ご 挨 拶
関西学院は、米国南メソヂスト監督教会より派遣されたW. R. ランバスにより1889(明
治22)年神戸原田村(現在の神戸市王子公園)にキリスト教主義を建学の精神とする私
塾として誕生しました。
この建学の精神は、西宮上ケ原キャンパスに移り1932(昭和7)年に設立された大学
にも受けつがれ、すでに大きな教育成果を挙げていた高等学部の初代部長で後に第4代
院長になったC. J. L. ベーツ院長が提唱したスクール・モットー“Mastery for Service”
として具体化し、現在もなお、在校生・卒業生の間に生き続けています。このスクー
ル・モットーは、人びとに奉仕できる、社会に役立つ知性と人間性を、自らの主体性を
持って磨き上げよ、ということを意味しています。この知性を磨く場として図書館は、
創立当初から「書籍館しょじゃくかん」として重視され、また、移転後の西宮上ケ原キャンパスでは
W.M.ヴォーリズの設計理念である「生きることの意味を語りかける設計」の中心に据え
られた時計台に置かれました。今回ご覧いただくことになった「書物としての聖書」の
数々やそれを教育の場で活かすために描かれたヴォーリズの設計図は、関西学院にとっ
てこれまでも、これからも欠かすことの出来ないもっとも重要な史料です。
また、関西学院はその創立時から兵庫・神戸の地に根ざした教育・研究活動を行って
きました。それは「ミナト神戸」を支えるビジネス・パーソン育成のための「商学・経
済学」教育であり、豊かな心を育てる全人教育に取り組んできました。これらを支えた
のがここに展示した「灘酒造」文書や「兵庫県漁具図解」であり、経済学の多くの古典
であり、会計学の古典です。さらに、多くの関西学院関係者がかかわったのが「神戸モ
ダニズム」の世界−ジャズ、絵画、文芸など−です。今回ご覧いただけるのは、「神戸芦
屋」に花咲いた短歌の世界です。与謝野晶子とその愛弟子丹羽安喜子との親密な関係を
示す書簡・添削文書類は今回初めてその内容が公開されるものです。
これら今回展示しました書籍・資料・文書は関西学院のこれまで114年にわたる教育・
研究の歴史の一端を示すものですが、この展示を通じて関西学院への想いを、そして憧
れを少しでももっていただければ幸いです。
関西学院大学図書館長
井上鞜智
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No.73