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タブレット端末とモバイル実物投影を活用した学習用暗黙知の獲得

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Academic year: 2021

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タブレット端末とモバイル実物投影を活用した学習用暗黙知の獲得

Acquisition of learning "Tacit Knowledge" utilizing tablets and mobile real projector

澤井 進

*1

佐藤 幸江

*2

濱崎 好治

*3

Susumu Sawai Yukie Sato Kouji Hamazaki

*1

公益財団法人 学習ソフトウェア情報研究センター

* 2

金沢星稜大学

*3

川崎市市民ミュージアム

Information Research Center for Learning #1 Kanazawa Seiryo University #2 Kawasaki City Museum #3

This document describes the evaluation of tablet terminals, real projectors and mobile real projectors, from the practical examples to acquire tacit knowledge for learning at schools and museums..

1. はじめに

教育現場では、映像などの言葉で表現できない又は表現し にくい暗黙知の活用が重要になっている。 本論文では、タブレット端末とモバイル実物投影セットを活用 し、学習用の暗黙知を獲得する実践例での研究を報告する。 暗黙知(tacit knowledge)とは、教科書等に言葉で書き記せる 形式知(自然言語で表現した知識)で表現することができない、 もしくはそれが困難な主観的な知,個人知,直観知,身体知, 体得知,あるいは技能知などをいう。 しかし、暗黙知は情報処理することが困難なので、便宜上情 報処理が可能の「動画知」を用いる。動画知は、静止画または 静止画の連続である動画により映像化・可視化された暗黙知で ある。[1][2][3] 教育の情報化の観点から見ると、文部科学省の調査によると、 実物投影機は平成 27 年度 3 月現在全国の小中高等学校で 18 万台弱しか導入されていない(図1参照)。[4] 実際、実物投影機は 20 万円前後と高価である。

2. 研究の方法と対象

本研究では、タブレット端末、実物投影機と「TJ & Irコモンア ダプターLBIR7200」(以下では「モバイル実物投影セット」という) の3機材を対象に、学校や美術館での学習用の暗黙知を獲得 する研究を行った。 図 2 の モ バ イル 実 物 投 影 セ ット 「 TJ & lr コモ ン ア ダター LBIR7200」はデジジタルカメラで撮影した写真や動画を一瞬で テレビや電子黒板などに拡大提示できる「モバイル教材提示ツ ール」とうたっている。 無線 LAN や AppleTV は不要で、デジタルカメラをモバイル 実物投影セットの「てんとう虫」にタッチするだけで、画像・映像 などを一瞬でデータ転送する装置である。[5] 2.1 研究の方法 研究の方法は、①参加者に「問題は野外での協働学習に役 立つ『モバイル実物投影システムの選定』を評価とする」ことであ ることを説明し、②「拡大表示性」・「共有しやすさ」・「理解しや すさ」・「見せやすさ」の4つの評価基準で3機材に関するアンケ ートを実施し、③アンケート結果を階層化意思決定(AHP)モデ ルで評価する というものである。 本研究で使用する AHP は、参加者の主観的判断とシステム アプローチとの両面から問題解決を図る意思決定手法である。 正式には AHP ( Analytic Hierarchy Process ) と呼ばれ、ピッツ バーグ大学の Thomas L. Saaty が提唱した。[6][7] AHPでは、①AHPの階層図の構築、②一対比較、③重み 付けの計算を経て、④総合評価値の計算を行うという方法で分 析・研究する。 図3は、構築したAHPの階層図である。 図2 モバイル実物投影セット 図 1 実物投影機の整備状況 人工知能学会研究会資料 SIG-ALST-B503-12 − 66 −

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表1は、「拡大表示性」・「共有しやすさ」・「理解しやすさ」・ 「見せやすさ」の4つの評価基準を一対比較したものである。 モバイル実物投影システムでは、まず野外の観察ノートや授 業ノートの見せやすいことが求められる。ついで、教師や生徒が 操作方法を簡単に理解し使いやすいことが求められる。次いで、 共有しやすさが求められ、最後に拡大表示性が求められる。従 って、4 つの評価基準の項目で以下のような一対比較表を作成 する。 (表1の評価基準の一対比較表参照) 次に一対比較値の数値について説明する: =========================================== <一対比較値> <意味> 1 両方の項目が同じくらい重要 3 前の項目の方が後の方より若干重要 5 前の項目の方が後よりも重要 7 前の項目の方が後の方よりもかなり重要 9 前の項目よりも後の方が絶対的に重要 「拡大表示性」より「理解しやすさ」のほうが重要ならば表に 記入するべき数値は 5 であり、反対の「理解しやすさ」対「拡大 表示性」は必然的 1/5 という事になる。 図4は、KT 法ベースの潜在的問題分析(PPA)による知識の 表出化作業で得られた、「ボートと光る星座帽を作ろう」という学 習用暗黙知の例である。[6] 2.2 研究の対象 本論文では、タブレット端末、実物投影機とモバイル実物投 影セットの3機材を評価対象とする。研究対象は、野外での協 働学習に役立つ「モバイル実物投影機器の選定」である。 (1)評価対象: モバイル実物投影セット、実物投影機、タブレット端末 (2)評価条件: ・野外での協働学習に役立つモバイル実物投影システム を対象とする。 ・動作速度は,データ量が 3 つの比較対象で異なるので 問わない。 ・動画には,動画の一形態の静止画も含む。 (3)評価基準(比較カテゴリー): ・画面についてお尋ねする: 「拡大表示性」、 「共有しやすさ」 (協働学習・グループ活動しやすさ) ・利用者から見た有効性についてお尋ねする: 「理解しやすさ」 (わかりやすさ)」、 「見せやすさ」(自分のノートを見せる)」

3. 研究結果

美術館の学芸員、学校の教員と教育学部の学生など合わせ て17名のアンケート結果は、以下の通りである。 条件は、「単元『植物の冬越し』で野外での協働学習を行なう ことを想定してください」と言ってアンケートを実施した。 3.1 拡大表示性 アンケートでは、「野外での協働学習・グループ活動での 拡大表示性 についてお尋ねいたします」ということで、評価 対象3機材について「拡大表示がし易いですか?」と質問した。 図4 学習用暗黙知の例 図3 AHP の階層図 表1 評価基準の一対比較表

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回答は、①大変し易い(5点)、②ややし易い(4点)、③ど ちらとも言えない(3点)、④ややしにくい(2点)、⑤大変しにく い(1点)の5段階評価となった。 図5の拡大表示性に関するアンケート結果では、タブレット 端末(10)が、次にモバイル実物投影セット(8)が大変しやすい と判明した。 表2は、 図5のアンケート結果を反映した「拡大表示性」 に ついて、評価対象3機材の一対比較表である。 3.2 共有しやすさ アンケートでは、「野外での協働学習・グループ活動での共 有しやすさについてお尋ねいたします」ということで、評価対象3 機材について「共有し易いですか?」と質問した。 図6の「共有しやすさ」に関するアンケート結果では、タブレッ ト端末(8)とモバイル実物投影セット(8)が同等で、大変しやす いと判明した。 表3は、図6のアンケート結果を反映した「共有しやすさ」 に ついて、評価対象3機材の一対比較表である。 3.3 理解しやすさ アンケートでは、「野外での協働学習・グループ活動での理 解しやすさ についてお尋ねいたします」ということで、評価対象 3機材について「理解し易いですか?」と質問した。 図7の「理解しやすさ」に関するアンケート結果では、モバイ ル実物投影セット(10)が、次にタブレット端末(8)が大変しやす いと判明した。 表4は、図7のアンケート結果を反映した「理解しやすさ」 に ついて、評価対象3機材の一対比較表である。 図5 拡大表示性に関するアンケート結果 表2 拡大表示性に関する一対比較表 図6 共有しやすさに関するアンケート結果 表3 共有しやすさに関する一対比較表 図7 理解しやすさに関するアンケート結果 表4 理解しやすさに関する一対比較表

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3.4 見せやすさ アンケートでは、「野外での協働学習・グループ活動での見 せやすさについてお尋ねいたします」ということで、評価対象3 機材について「見せやすいですか?」と質問した。 図8の「見せやすさ」に関するアンケート結果では、モバイル 実物投影セット(12)が、次にタブレット端末(9)が大変しやすい と判明した。 表5は、図8のアンケート結果を反映した「見せやすさ」 につ いて、評価対象3機材の一対比較表である。 3.5 総合評価 図9の総合評価結果(表6)は、評価基準の重要度の違いと モバイル実物投影セットの優越性を示している。

4. 結論と考察

教育現場では、モバイル実物投影セットが実物投影機よりも 4 つの評価観点から優れていることがわかった。 タブレット端末と比較しても、理解しやすく使い易く、また児童 生徒達がノートを見せ易いと判明した。 実物投影セットは、どの学校にもあるデジタルカメラが活用で き、安価(5万円未満)なので、子ども達が、お互い野外の観察 ノートや授業ノートを見せあうといったアクティブ・ラーニングでも 今後活用されるようになると考えられる。 参考文献 [1]澤井進: 暗黙知を活かす紙・デジタルベースの教科書の提 案, 学習情報研究246号, 学情研, (2016)

[2]Susumu SAWAI, Kenji ASADA and Shinji MATSUMOTO: Movie making methods-based Digital Textbook , EDMEDIA2014, (2014)

[3]M.Polanvi:THE TACIT DIMENSION, Routledgee&Kegan Paul Ltd, (1966) [4]文部科学省:平成 26 年度学校における教育の情報化の実 態等に関する調査結果, (2015) (http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1361390.htm) [5] 前川治美:デジカメで撮った動画も瞬時にプロジェクターで 拡大投影できる環境つくり, 平成 26 年度「教育の情報化」 推進フォーラム, JAPET&CEC, (2015) [6]澤井進:3項組知識表現<“動画知”、“自然言語知”、“メタ データ”>, 北陸先端科学技術大学院大学, (2006) [7]T. L. Saaty : The Analytic Hierarchy Process: Planning,

Priority Setting, Resource Allocation (Decision Making Series), Mcgraw-Hill, (1980) 連絡先:澤井進、公益財団法人 学習ソフトウェア情報研究センター, 電話: 03-6205-4531,Fax: 03-6205-4532,[email protected] 表5 見せやすさに関する一対比較表 図8 見せやすさに関するアンケート結果 図 9 総合評価結果 表6 総合評価結果

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参照

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