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大企業の技術革新行動一技術料収支
の実証分析
明 石
芳 彦 1 は じ め に 経済活動のポテンシャルを規定するという意味で,またそのダイナミズムを 画出するという意味で,技術の進歩が重要な要因であることは疑いの余地もな い。ところが,多くの論者が様々な角度からの分析を試みつつもなお嘆息の声 が窺えないように,技術進歩(革新行動)の実態をいかに捉えうるのか,その 投入と産出の関係をどのように規定し,かつそれらをどのような変数で指し示 すか,という困難が立ちはだかっている。それは,マクロ(国民経済全体)の 次元,ミクロ(個々の産業もしくは企業)の次元のいずれにおいても似通った 状況であると思われる。即ち,マクロ次元でみると,(経済成長率の上限を画 する)労働生産性を高めるために研究開発および機械・設備への投資支出が必 要であるけれども,そのときいかにして投資インセンチィヴを創出・維持する かが主要な問題の1つであろう。また,それに関連して,新技術がいかなる型 式で採用され,どのような効果をもつのか,という問題はミクロ次元での説明 を不可欠とすることも間違いない。こうした国民経済全体(または産業構造) のワーキングのミクロ的な基礎づけという観点から,大企業レベルでの技術革 新行動を考察し直すことが,われわれの基本的な視座である。 さて,技術革新に関する定量的な分析の方法としては,それが企業レベルで あれ,集計レベルであれ,生産関数を用いた接近法が最も理論的な体を成して いるだろう。ただし,そこで測定される技術の大きさは,生産(・販売)活動 における産出額とか付加価値額の大きさ(それらの伸び方)であり,それを1188 彦根論叢第224号 人当りに換算すれば「労働生産性」の検証となる。また,企業活動の次元で言え ば,それは,「営業活動」における生産技術条件の分析,つまり生産(・販売) 活動において技術要因が生産条件(収益性)の改善に対してどれだけの貢献を するか(しうるか)という点の検証である。それは新しい技術が生産方法の改 善とか新しい製品需要の創造とかにどれ位の力を発揮するかを調べるものであ ると言っても良い。それらは営業(生産・販売)活動に関係する技術条件の分 析という意味で最も重要であり,また,企業レベルでの技術開発に関する従来 のほとんど総ての分析がこの種のものである。 これに対して,技術ノウハウそのものの売買・取引契約の指標,例えば技術 料収支の条件が別の次元の技術開発力の代理変数となる点も指摘される。それ は会計上,技術の指導料・ノウハウの供与・特許権の使用料等の明細で「営業 外収益」として捉えられている(支出分は「一般管理費」などの中)。同項目 が営業利益などの利益指標の値に占める比率は必ずしも大きくないかもしれな い。けれども,これらの「技術料収支」は単なる金銭上の収支勘定の一項目で あるだけでなく,その企業(または産業)の技術開発ポテンシャルを示す指標 と捉えることができよう。すなわち,企業の技術開発能力の長期的な動向に少 なからぬ影響力をもつか,またはそうした条件を間接的に反映する指標として の役割をもつと考えてよいだろう。もちろん,そのためには技術料「受取」の 額・条件の動向だけでなく,その「支払」の額・条件の動向をも見据えて,そ れら両面について考察する必要がある。 以下での分析の順序は,次節で技術料収支の動向を概観・整理し,削節では 技術料支払い条件の計量的な検討を行なう。IV節では技術料受取り額の規定要 因を回帰分析によって探ってみる。 豆 技術料収支の動向 〈戦後日本の概況〉 初めに日本経済全体でみた過去25∼30年間の技術貿易の動向は大きく変化し
大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 189 1) ている。すなわち,表罫に示されている通り,技術の対価受取額が同支払額に 対する比率は,!%にも満たない状態から25%前後 へと傾向的に上昇しているのである。また,製造業 全体に限定した場合でも,71年以降(資料の制約 による)の収支比率は傾向的に改善されている(表 Il](a))。けれども,80年の日本の0.26に対して,ア メリカ8.9,イギリス1.29,フランス1.71,西ドイツ 0、46など,欧米先進諸国と比べると,まだまだ「技 術導入依存型」の体質が支配的である〔5〕。 ただし,これらの比較は技術契約全体(継続分+ 新規分)の条件についてである。また,個々の技 d術契約は0∼15年問に及ぶ契約期間の幅がある。 そのため,その契約締結時点と契約満期に近い時 点とでは,当該企業の技術開発能力に少なからぬ 変化があることは予想できる。そこで,技術契約 ! 1 の新規契約分だけに着目して技術条件を再検討し てみよう。表1[[の(b)欄に製造業全体についての新 表工 日本経済の技術貿易条件 (対価受取額/支払額比率) 1950年 55 60 65 70 72 75 80 o. oo .Ol .02 .ユ0 .14 .13 .23 .26 〔4〕より作成。 表豆 製造業の技術貿易条件 旨・)i(・) 1971 1 .17 0.56 72 .24 1.35 75 .36 1.!6 80 .57 1.93 (a)継続分+新規分 (b)新規分のみ 〔4〕より作成。 規技術契約の対価受取額・支払額比率が示されていて,72年に1を上回って以 来,80年に至っては新規契約分の技術貿易収支は受取額が支払額の2倍近くに なっている(産業別動向については後述)。 かくして,継続分を中心とする技術貿易の緩かなトレンドを大勢としながら も,新規契約分については技術輸出の方が支配的な動向になっていることが確 認された。この継続分と新規分の2つのトレンドが,全体としての技術料収支 の比率ならびに企業の技術革新行動にどのような影響力をもつのかという点は 興味深い問題であろう。 次に,技術導入の契約条件の推移の仕方を概観しておこう。技術導入契約の 1)戦後日本の技術貿易に関する議論はもっと多面的な論点をもつが,ここでは以下の 分析との関連で必要最小限の特徴だけを指摘する。 2)技術導入の契約は,特許権,商標権,ノウハウの組合せからなるが,1980年度の資
!90 彦根論叢第224号 条件は,対価支払条件,契約期間,輸出市場制限などからなるが,以下では小 稿の分析目的に沿して初めの2つの条件だけを取り上げることにする。 第1は,支払条件であるが,ここではランニング・ロイヤルティーの比率の 推移に着目してみよう。分析に必要な資料は表皿に示されている通り,1967年 から入手可能であるが,67年はサンプル件数が他と比べて若干少ない。そのた めかr=2∼5%が最頻値域であった。70年には7を5∼8%とした契約がもっ とも多い割合を示していたが,それは73年ごろから2∼5%の値域へ移行して 80年に至っている。ここで, 「その他」とは,例えば個数当り,質量当りの支 払条件など,価額の百分率では表示できないものから成るが,この項目も25∼ 30%のシェアをもっていて無視できない。 表皿 ロイヤルティー比率の推移:構成比率(%) r (%) 67 70 72 73 75 80
852他
∼∼∼∼の
852 そ
し8 16.9 47.8 10.3 23.2 7.5 31.9 27.1 0r.8 27.8 7.7 28. 1 27. 1 13.6 23. 4 7.8 24. 8 30. 3 11.2 25.9 5,9 25.7 34. 2 8.! 26.1 8.4 24. 9 27. 4 9.3 30.1 〔1〕より作成。 こうして,数の上での割合としては,r=2∼8%が全体の50∼60%を占め ている。しかし,傾向としてみれば,70年代半ば以降(件数割合の上で),5∼ 8%の水準から2∼5%の水準へと低下する動きがあるとみてよいだろう。 次に,契約期間について検討してみよう。表IVに示されたように,1967−70 年置ろは,5∼10年を筆頭として,10∼15年がそれに次ぐ割合を示していて, 5∼15年が72.4%を占めていた。ところが,73年に至ると5∼10年の27.9%に 次いで,5年未満が26.2%となり,両契約期間の10年未満は,73年の54.1%以 来,80年の63.2%まで若干の変動を伴いながら,着実に増加し,;期間も短縮化 の傾向を辿っている。 料〔1〕によると,総数1, 860件の契約(甲種)の中で特に「ノウハウのみ」766件 (41.2%)を筆頭に,「ノウハウ+特許権」502件(27.0%)などがこれに続いている。大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 !91 表IV 技術の契約期間の推移(甲種);構成比率(%)
輔(年)i67
70 72 73 75 80 15一一 10一一15 5 一一10 一一 5 その他 2.3 29.7 42.7 9.3 !6 O 5,1 27. 0 32.6 15.2 20.149
23.4 31.4 21.6 18.7 5.0 19.9 27. 9 26.2 21.0 3.6 16.6 22. 2 30. 1 27. 544
14,6 24.1 39.1 17.8 〔1〕より作成。 こうして,日本経済全体でみた技術貿易ならびに技術契約条件の推移から, 技術に関する対価支払条件がすう勢として日本にとって「改善」されているこ とが確認できた。それは特定の産業または企業について見れば,もっと鮮明な 特徴を有していることが予想できよう。 〈企業レベルのばあい〉 さて,以上のような技術貿易に関する日本経済の推移を踏まえた上で,企業 レベルでの技術料収支の動向を分析することが,小稿の目的である。しかし, それに必要なデータが豊:富にあるわけではない。むしろ通常は入手困難な種類 の変数である。ここでは,日本経済新聞社が.と場企業に対して行なった技術開 発行動に関するアンケート調査の結果を企業別データとして利用する。アンケ ートという性格上,回答者による質問内容(概念)の受留め方,実情把握の仕 方などに相違点がありうるという問題が考えられないわけでもない。けれど も,筆者の知る限り,この種のデータについて,他にはこれに匹敵するだけの サンプル数が入手できないこと,一部のサンプル企業についてではあるが,ア ンケート結果の値と「有価証券報告書総覧」の値との相関係数が0,876であっ き たこと,などの理由から,検討に値するだけの資料的な価値は十分あると考え る。 3) アンケート値(TP)と「有価」値(P)の双方が正値のケース(N=67)について, それぞれの平均値(変動係数≡標準偏差/平均値×100)は, TP=360.7 (163.6) P=378.7 (181.6)192 彦根論叢第224号 アンケート調査は,1972年度,80年度(同時に5年前の75年度も併せて質問) の に関するものである。第1回目の調査対象は,東証1部・2部上場企業に限ら れていて,母集団となる企業数は913社(1部539社,2部374社)である。第 12回目の対象は,東証・大証・論証の1部・2部上場企業であり,その母集団 の数は約1710社となる。また,質問項目の内容は,両調査とも企業の保有特許 件数と技術料収支である。 初めに調査結果の概要を整理してみよう。技術料は1972年度,75−80年度に ついて,それぞれ千円,百万円単位で「支払い」と「受取り」の項目がある。 それらに対する企業の回答は,両項目とも無回答または有額回答,いずれか 一方のみ回答という4つのケースに分れている。われわれは,分析目的に照し て,支払い・受取りの両項目への無回答もしくは千円未満のケースのいずれも 一様に0とみなさざるを得なかった。以下でみる調査結果の内容は,受取り・ 支払いのいずれかの項目に有額の回答をした企業について整理されたものであ る。 先ず,表Vは回答した企業を,各企業ごとに受取り超過,支払い超過, (両 項目0の回答を含めた)収支均衡の3つのケースに分類された企業の数を示し ている。72年度については回答企業数252社中,82.9%にあたる209社が支出 超過の状態であった。よって,大企業の技術革新についても大半の企業が(相 手が外国企業に限られるとは言い切れないが)技術の導入,借用,特許使用権 などに支払う理由から,技術料収支は赤字の状態であったことが読みとれる。 ところが,その支出超過企業の比率は1975年度には327社中68.2%の223社,さ らに80年度には377社中58.1%の219社へと70年代を通じて各企業の技術料収支 は大きく「改善」されている。 (単位=百万円)であり,単純回帰式は TP=O.751P十76.2 R2= .763 (14.611) であった。 4)ただし,前者は72年8月∼73年7月期決算を,後者は一部(!2社)の例外を別とし て,80年4月∼81年3月期決算を対象年度としている。
大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 193 表V 企業の技術料収支の状況
品三帰学膿鋼轍灘四
諦三品化O石が鉄非金一三二精そ
合 ニニロ ト ユ972年 回答数i支出超1受取超498200359342805
31ーユー 5611
︵
2
346589128245884
11
451
︶
!52721231107021
1
ユ975年 回答数{支出超1受取超 252 (!00%) 209 (82.9%)65827289!852308
11 711111 552!
︵
43 i 327 (17.1%)1(100%) 7 6(1) 7 43(1) 12 11 10(1) 11 5 5 46(1 38 19 8 7 2.?.3(4) (68.2P/o︶
98!851786384421
2 1 100 )1(30. 60/o) ユ980年 回答数1支出超1受取超300094913019629
22181!12ーユ6521
︵
377 (loOgo) 9 7 6 41(1) !4 11 7 11(1) 5 4 46 4!(1) 15 9 7︶
434853298657132
!1
3 1
11!
219(3)1 155 (58. 1%)1(41 . 1%) 「支出超」欄のO内数値は,支出・受取同値の件数。 次に,表Vの分類の基準となった企業の技術料収支を産業ごとに集計して表 わしたものが表VIである。同表より,企業ベース・データを集計した「産業」 別の技術料収支に関して,1972年度では紙・パルプ,鉄鋼,金属の3産業が 「受取り超過」であった。それは,1975年度でも繊維,鉄鋼,金属の3産業で あったが,1980年度ではさらに,繊維,化学,窯業(ガラス・土石),鉄鋼, の 非鉄金属,金属,輸送用機械および精密機械の8産業に増加していた。 5) 〔4〕に記載されている産業別技術貿易の資料によれば,契約による単年事象を除 いて,総額では,繊維が76年(79年を除く)から,鉄鋼が74年から,共に出超である。 また,新規分でみれば,製造業全体(73年一・),繊維(74年∼),化学(72年”一),窯 業(=ガラス。土石)(75年一一),鉄鋼(71年,73年一),非鉄金属(76年一一),一般機 械(74年∼;76,78年を除く),のそれぞれが記載年から出超である。なお,金属製 品は72,75,77,80年の新規分に限って出超であった。彦根論叢 第224号 卜。卜。っ。っ αっ B① eつ゚寸囲 QQ.銀輯 ①.り誘 目.①卜
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大企業の技術革新行動 技術料収支の実証分析 195 皿 技術料支払いの分析 前節では,技術料収支条件の推移の仕方を概観したが,ここではその資料を 用いて,企業がどのような条件の下で,外国企業の技術を使用しているのかを 数量的に計測してみよう。 技術導入の契約条件の1つである対価支払条件(有償の場合)は,技術使用 権に対する固定的な支払額と技術使用の頻度に基づいて売上高(生産数量)の 一定割合を賦課する可変的な支払額とに分れる。前者は初期契約(イニシャル またはミニマム・ペイメント),技術ノウハウ援助料などに該当し,後者は「ラ の ンニング・ロイヤルティー」とよばれているものである。こうした技術使用の 条件を,われわれは次のような関係式を用いて,その爾定費用部分と,ロイヤ ルティー比率の大きさとを推定してみた。つまり, TI)=r・S+B (M−1) ここで,TP=技術料支払額, S=売上高であり,7がロイヤルティー比率, Bが固定支払額を示すとみなされている。 この式を用いて,72年,75年,80年の3時点におけるrとB(契約条件の計 量的推測)を計算した結果が表∼里に示されている。そこでのサンプルは,各年 度においてTP>0を示す全企業であり,各年度間のサンプル構成企業は同一 ではない。それは構成企業を統一するとサンプル数が随分と減少することとも 無関係ではないが,むしろ単年度毎の「産業」レベルの技術条件を推定すると いう目的にとって,その企業の数とか構成の変化は問題とならないと考えるか らである。 初めに,全サンプルのケ・一一一スでは,例えば,72年半ついて 7「P=0.OO194S十・82.2 6)例えば,一部の企業の「有価証券報告書総覧」には,経営上の重要な契約として, 技術導入(供与)契約を別記し,相手方の名称,国名,契約の品目・内容(技術情 報・特許実施権の提供など)・期間などが記載されている。また,「契約に基づく報償 料は,当該品目の売上高の2∼3%程度であり.一部の契約については,一定金額を 一時払として支払(受領)する。」などが注記されている。
彦根論叢 第224号 !96 無O.O− Q一肖. O穿. σっnch. お一. oっ?g. 苺O. 卜爵 ◎っgoo 寸8.︷Y 爲O. トのN. り。っ一.9− ㊤N㊤. σりnの, σうgN. ロ 1叱 誘の.eq畿一 Oト①.O卜 ΦO囲一嵩一I QDmH。Hニー おN.NOH 露。っ.刷り一 ㊤。D。D.寸cq ⑤総.。o。う目 cqソ卜.暮マ 80Q.8。っ ㎝一ゆ.㊤斜 きり.σっト Noっ①.oO三 寸お6寸一 “σつぐ,σoOゆ一 見ゆ.卜寸
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麟謹沼田)障兼議総く昌↑圏
茸細罧鋼重 簡十のk陛儀ト 蓮蝋Q懸再揺蘂翠嵐 弾粥大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 197 となり,売上高の0.2%程度と約82百万円の固定支払額とが技術支払額の内容 となっていた。表Wから,説明変数5は(その係数が統計的1=・Oとは有意に異 なり)説明上の意味をもっているのだけれども,決定係数の低さはTPを説明 する上では,それ(S)が約10%程度の説明力にしか過ぎないことを示してい る。 次に,75年,80年の計測結果も併わせて検討してみよう。サンプルの構成が 異なるためか,rは72年に比して75年に若干上昇するが,80年には低下してい る。しかしtいずれの計測についても,rはおよそ0.2%前後の水準であると 言ってよい。他方,Bは物価水準の調整を全く施さなくとも,低下傾向が読み とれる。したがって,技術の契約条件は,押しなべて言えば,ロイヤルティー 比率の大きな:変化は明らかではないが,契約に件う固定的な支払額が減少して いるとみなしてよかろう。 〈個別産業の分析〉 紙・パルプ,薬品,石油・ゴム,非鉄金属,精密機械,その他製造業(印刷・ 雑貨)では係数プが有意な結果を示さなかった。また,食品,繊維ではわれわ れが前節で試みた第一次分析の内容から期待したような計測結果が検出できな かった。けれども,(薬品を含めた)化学,窯業(ガラス・土石),輸送用機械 などは3年時点にわたって,また,金属製品,一号機械,電気機械などでは75 −80年において,rの低下傾向が見出された。技術契約条件の「改善」を示唆 するものであろう。 ところで,計測されたrの値が,前述の統計資料の値と比べて随分と低い。 その理由として,Pイヤルティーとは本来,当該技術の使用に関する個別売上 高(生産数量)に関する料金系である。けれども,われわれはデ・・一一タの制約 上,TPと企業の全売上高sとを直接的に関係づけて検討せざるを得なかった。 この点でわれわれの推定した値が過少な水準になることも止むを得ないのであ る(もう1つの論点は,借入技術の使用に基づく売上高が全売上高に対してど の程度の割合を占めるか,であり,契約の短期的な固定性が存在すれば,この 割合をその限りにおいて硬直的とみなしうるかもしれない)。
198 彦根論叢i第224号 しかし,われわれの関心事は推測値の絶対的水準にではなく,その技術料収 支(契約条件)の動向にある。そうした点から言えば,日本の大企業ベースで みた技術導入の条件が「改善」されている背景には,それら大企業の技術開発 力が増強されつつあることが考えられる。その結果,外国技術への依存度が次 第に低下し,逆に部分的には技術の対外供与が増えていることも予想される。 いま,そうした状況を示す何らかの代理変数が利用できれば,どのような要因 がそうした技術貿易条件の変化を促がしているのかを解明することができよ う。次のIV節では,その代理変数として技術料収入(対価受取額)を用いた分 析を行なってみる。対価受取額と支払額の比率を代理変数とみなすことも考え られるが,ここでは絶対額での経済学的な意味を追求する方を選択した。 IV 技術料収入の計量的分析 これまでの節では,技術導入条件が導入企業にとって緩和の傾向にあるこ と,技術料の麦払い条件が低下傾向にあることを,支払額の受取額に対する超 過件数(企業数),その収支金額,推定ロイヤルティー比率などの点からほぼ 確認した。そのような傾向の原因解明とも関連して,本節では技術料の受取額 (TR)を規定する要因を計量的に調べてみよう。 〈分析のフレーム・ワーク〉 はじめにも述べたように,個別企業(または産業)の技術開発能力を計測す る方法として,1つには企業の生産・販売活動の中にある種の改善度を見出そ うとする方法がある。また,現行の生産・販売とは直接的な関係のないポテン シャルな部分を代理変数によって捉えてみようとする別の方法もあろう。後者 の技術ポテンシャルは,いわばストック(もしくは「状態」変数)としての性 格をもつことになるのだが,そのストックの価値を維持・拡大するための営為 として企業の技術開発行動を位置づけることができる。したがって,企業の各 期の技術開発のための支出(技術投資)は,若干の時間的遅れを伴って,一方 で生産(・販売)条件の改善に貢献し,他方で特許権の保有数など企業の技術 開発能力(ポテンシャル)を更新していると考えてよい。
大企業の技術革新行動一箪術料収支の実証分析 199 さて,技術料収入(TR)は企業が保有している技術ポテンシャルを他企業 に供与・貸与することの代価として獲得する収益である。それは「新技術」の 開発・応用能力が高く,周辺技術・ノウハウの蓄積が豊富であるほど大きくな るであろう。こうした意味で,ある企業の技術水準の動向は,この技術料収支 または技術契約の条件の推移に反映されていると考えることができよう。当企 業にとっては「最新」でなくなった,いわば旧式の技術を,その需要者に供与 して得た収入分が含まれている可能性は否定できないとしても,この技術料受 取額(TR)を技術開発ポテンシャルの1つの代理変数として分析を進めてみ たい。 先ず,そのTRを規定すると考えられる要因を,(i)その時々の技術開発行動 を示すフP一変数と,(ii)その時々の技術開発ポテンシャルを代理的に示すスト ック変数とに区分した。前者には研究開発支出(R),技術料支払(TP),設備 投資額(.1),および技術開発支出(T≡R+TP)を用い,後者には保有特許件 アラ 数(HPT),その変分(DHPT),特許公告件数(A月「)を用いる。ただし, 前述のデータ・ベース〔6〕に基づいているため,TR, TP, HPTなどが75年, 80年の2時点に限定されたデータであり,それとの説明力を比較・検討する観 点から,R,1などのフロ・・一変数も同一時点の値に揃えた。このため,推定さ の れるモデルは「点投入一点産出」型のフレーム・ワークとなっている。 推定モデルを関数型で要約して示すと, TR80=∫(Ri, TP,, Ii;Ti;HPT,, DHpr,・41『τ) i=75,80 となり,この因果関係にラグ付き・ラグ無しの両ケースについてのクロス・セ 7) Rは「研究用の投資支出」であり,研究用の人件費・原材料費ならびに設備投資な どから成る。また,1は新技術の「体化・実現」変数という性格も有しうる。よっ て,ここでの技術開発関数は広義の技術開発行動となっている。 8) これに関連して,例えば,研究開発投資の企業化までの期間に関する経済企画庁の 調査によれば,基礎研究で4∼5年目応用・開発研究で2一一3年という期間が最頻期 間であった(「企業の意識と行動」昭和57年版)。よって,それから直ちに収入に通じ るとしても.5年というタイム・ラグ自体は大きな問題とはなるまい。
200 彦根論叢i 第224号 クション分析を目的とした,線型回帰分析を行なった。 〈データ・サンプル〉 各企業の「有価証券報告書総覧」の損益計算書の中の「営業外収益」の一項 目として,TRを計上している企業もないわけではないが,その数はあまり多 くないように思われる。そこで,技術料収入(TR)のデータも,前述の日本 経済新聞社の調査値〔6〕を用いた。TRso>0のデータ・サンプルは284社あ ったが,75−80年度について合併・決算期の変更・上場廃止等による両年度デ ータの欠落などの企業を除外して,結局,総サンプル数は260社となった。 表田 TRの件数と金額
。叩維プ学刷ム石鋼属。叩械器械輪業
諡]耐灘職論繕
食繊紙化0石が鉄非金一電輸精そ
ユ975年企業数 平均値
904616!25992252
1 41 11 !31
︵
73. 8 445. 3 28.3 278. 2 154. 7) 103. 3 65. 6 836.7 114.4 68. 8 99. 7 200. 6 1234. 1 128.0 3.5 198Q年企業釧平均倒麟係数
455236736341086
11 61 11 1342
︵
48,6 700.2 98. 2 431.9 443.0) 328.8 201.2 1596.9 368.7 114.2 141.9 436.9 1576.1 218.0 9.0 118.2 149.5 75. 4 193.9 (165. 5) 85. 2 271.1 200. 2 84. 1 158.2 274. 4 249.8 276.6 208. 3 93.2製造業全体
182 298.7 260 478.3 332,7 計量分析は,この260社の個別企業データに基づいて,それをSIC中分類 の基準(「会社コード」の産業分類を参照)に従って数社ごとに集計した「産 業」レベルと,全企業を集計した「製造業全体」レベルとで行なった。TRの 9)特定の基準に従って確認した訳ではないが,TR80>0と東証1部との和集合(約 600社)について,その比率は約20社に1社程度でしかない。大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 20! 産業別の分布とその平均値は表戸に示されている。 その他の変数のデーター覧は次のとおりである。まず,技術開発に関する投 入変数として, R=研究開発費・試験研究費……・…………・・…・………・……’〔8〕 TP=技術料支払額………・………・………・…・……・…・…・…………・・〔6〕 / ==有形固定資産総額の増減額+「減価償却明細表」中の有形 固定資産の当期償却額………・……・………<8〕 T=一R十TP を用い,さらに特許関連の変数として, HPT,=保有特許件数(‘=75,80)………・…・・………〔6〕 班Zπ薫・HpT,ゲHπ75 A−PT=76∼80年の公告特許件数の年平均値………・…・・……〔7〕 を加えた。 〈計量的分析の結果〉 ユ.製造業全体 (1)TRsoをめぐる相関係数を調べると, TP75と0.758, TP80と0.734, Rt T sと0.537, RδoとO. 546, T.1 sと0.628, T80と0.546などの値が観察され た。次に,回帰分析の結果をみる。先ず,単純回帰では総ての説明変数の係数 について統計的に有意味な説明力1(正の関係)が認められた〔表Pt〕。決定係 数(R3)での大まかな比較を行なえば,丁君, Ttなどは75年次(ラグ付き) の方が,またRt, Jtなどについては80年次(ラグなし)の決定係数の方が大 きかった。よって,TRs。に関する分析の限りでも,75年次において研究開発 に対する技術導入のウェイトが相対的に大きかったことが確認できる。 また,対数線型式でも,いずれも有意に正値を示していたが,その係数値は 売上高SLSDを除くと1以下だった。それは各企業の様々なフロー変数の値が 拡大することと比例的な割合ではTRsoの値が拡大しないことを意味する。 そのときのR2と線型式のR2とを比較したとき,対数式の時のR2が大きい のはTP,,, T7S, DH:PT, TP60である。よって,特にTR80とTP,につい
202 彦根論叢第224号 表IX TRsoの規定要因の分析〈単純回帰〉 線 型
対 数線型
墾嬰。・tπ・lNl顯
難・・t頁・N
.407 RTs (8.243) !.441 TP7s (15. 913) .420 T7s (12. 95!) .240×10一且 115 30.71 .2841 1701 .537 95.ll .5721 190 1 .758 34.31 .3921 260 i .628 300.81 .2211 249 1 .473 .562 R7s (8.420) .738 TPis (!0. 691) .61! T7s (10. 500) .829 ITs 1.198i .3071 159 1.2121 .3931 176 O.9381 .3381 215 一1.8071 .4851 226 (8.438) (14.601) 1 .239 HP:r80 207.8 .199 248 ,449711HPT8D
0,140 383 233 (7.891) (12.039) 4.030 五PT 258.6 。207 251 458744APT
2,188 371 232 (8.!39) (1!.715) 1.417 DHPT 126.9 284 233 .536608DHPT
1,449 .231 188 (9.639) (7.568) 208 R80 一1.8 .338 187 585 603Rδo 0,516 395 176 (9.802) (10.740) 985 7■1)80 143.8 .536 216 .734 610TP80 1,762 3!7 196 (15.804) (9.573) 205 T80 95.3 .295 245 .546 .5957780 0,697 357 230 (10.ユ49) (!1.315) .411×10−lI80 ユ!0.5 .247 257 、500 .822160 一2.338 446 238 (9.2!0) (!3.852) 1.1!456。 一8.361 ,504 246 (15。814) ては線型よりも対数線型の関係に近いこと,TR8DとT,は75年次には対数線 型の,80年次には線型の関係が支配的であることから,T♂の構成において75 年にはTP7 sが,80年にはR8。が主要な役割を果たしていたと考えることも できよう。 (2)重回帰式の分析では,推定式に使用する変数を欠損値(0)をもつ組合せ (企業)単位で遂次除去して計測を行なった。そうした限定を付した結果と, そうでない場合の結果とを比べると,サンプル数が不揃いとなり各変数の係数大企業の技術革新行動一一技術料収支の実証分析 203 表X TRsoの規定要因の分析く重回帰〉 GV−1)式 N= 131 (W−2)式 N==158 (玉V−3)式 N=!24 (rv−4)式 N =149 (IV−5)式 N==142 (W−6)式 N=!32 (W−7)式 N=!56 RTs . 104(5} (2.522) .881×10−i@ (1.946) RBo . 363 × 10−」 (5) (2.163) .439×10一且③ (2. 577) R・7s .820×10−i (/.531) TP7s 1. 460@ (15. 416) 1. 429@ (13.980) TPso .917@ (17.814) .953@ (17. 672) TPis 1.407@ (12.477) Rso .250×IO−t (1.228) Rse .33!×10−1◎ (1.848) TPso .964@ (17.668) TPso T7f .389@ (7.864) Tso .206@ (!0.706) T7s .346@ (5.345) Tso .193@ (7. 182) Tso (161囎 乃5 .131×10一・1 (. 840) .388×10一・i@ (1. 8!8) Ise 一〇.811×10一一2@ (2.039) . 426 × 10−2 (e723) 1?s . !08 × 10−i (.641) .378×10一玉 (1. 657) HPTso .392×10一・t (, 555) .112 (1.164) R7s .886x10−ie (2. 084) Jts.o
HPTso
一〇.100×10−i@ (2. 444) . 239 × 10−2 (. 377) Ise .188@ (9,361) 一〇. 967× 10−2 (EP (2.358) TPTs RBo 1. 387@ (!2.727) 1 Tpso .321×10一夏◎ (1.796) .899@ (15.617) T7s .342@ (7.456) TtD . 169@ (8.055) .801×10−i@ (1.808) . 769 × 10−1 (1.095)DHPT
.253×1G一ユ (. 190) . 651@ (3.380)APT
1.635 (1.338) 5. 783@ (3,761)APT
.633 (.696) 4. 093@ (3. 239) cst. R2 一25.630[ .749 −45.338[ .748 −179.4191 .518 cst. 24. 373 60.917 −102,661 cst. 一61.137 −22!.314 cst. 42p158 −123. 150 cst. 81. 099 R2 .782 .786 .508 R2 .741 .512 Rz .795 .484 R2 .801 一lsro.@377堰@.516 cst. 一74. 758 −282. 980 cst. 8. 470 −188.223 R2 .751 .555 頁2 .781 .537204 彦根論叢 第224号 の有意性・推定式全体の決定係数の高さなどに多少の違いが生じて来るであろ うが,経済学的に意味のある比較を可能とすることを最優先させた。その計測 結果が表Xである。 (]V−1)式で,R75とTP75のとき,それらは共に有意に正であるが,それ に175を加えると決定係数(R2)はほとんど同じ水準ながら,1の係数は全く有 意でなかった。けれども,T(≡R+TP)と1とについてみると,R2の低下と なるが1は有意に変わった。また,(W−2)式で,R80と, TPs oは共に正で 有意,それに18。を加えると,1の係数が有意に負の値を示し,RZが緻かに 上昇した。けれども,RBOとTP80とを加えてTs。とし,それとIs。との説 明力を調べてみると,」8。の係数が全く非有意になると同時に,R2の値も随分 と低下した。 (IV−1),(]V−2)式の結:果から明らかとなったことは,(1)TR80の説 明に関して,投資の説明力は相対的に弱い。(2)RとTPとは共に正の貢献度を 示しているが,相関係数と単純回帰などの値から判断すれぽ,TPの説明力が 優っている。(3)5年間のラグを付けていない方がR2が若干高い。けれども, サンプル数も異なるし,経済学的に有意味な差異かどうかは断定できない。 次に,上の推定式に特許関連変数を加えた(IV−3)∼(W−7)式の計測 結果を検討してみよう。なお,単純回帰式における75年と80年のHPTの回帰 係数がほとんど同じ(O.240と0.239)で,80年のH:prの説明力の方が低水準 ながら若干高かったこと,80年のTRを説明する上でのストック変数という経 済学的な意味も与えやすいことから,重回帰分析ではHLPT,。のみを用いた。 先ず,(rv一 3)式では投資などフP一変数を75年値としたとき, TP, Tの係 数だけが有意に正であった。また,80年値のフロー変数を用いた(rv一・4)式 のとき,TPはやはり正だが,1が負, HPTが正で有意となった。けれども, このときにもTP, RをTにとりまとめるとTのみが有意と変わった。 さらに,特許保有件数を特定年のストック値から,75−80年間の変分値に代 えた場合〔G:V−5)式〕,Rs。, TPs。と18。の係数が有意であったが,その符 号は上と同様,それぞれ,正,負であった。TPとRをTs。に代えると, Tso
大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 205 とDHLPTが共に有意な符号を示した。 最後に,特許活動のフロー変数として,A−1)[Z■を用いた(]V一 6)(W−7) 式の分析結果を整理してみよう。APTは76−80年中問に企業が行なった特許 公告の年平均件数である。それはストックへの追加分としてフP一変数に近い 意味をもつ。それと,75年の技術変数とを組み合せて計測したとき,TとAPT のときは共に有意な正係数を示したが,TをTP, Rに分けるとAPTの係数 は全く有意でなくなった。他方,80年次の技術フP ・一変数との関連でも,T8。 とAPTのときは上と同様,共に有意に正だったが, TP, Rにすると, TPs o のみが有意性を保つ形となった。 技術関連変数に特許関連変数を付加して説明力の比較・検討をしてみたが, (rv一 3)∼(W−7)式の計測の結果から以下の点が明らかとなった。(4)特 許関連変数を追加するかどうかに拘らず,TPが最も強い説明力を保っていた。 (5)特許関連変数は,技術変数を1つにとりまとめた時には有意となる場合もあ ったが,TをRとTPとに分割して計測したほとんどの場合には統計的な有 意さを示しえなかった。この点は,重回帰分析全体の性格として,相互に必ず しも独立でない説明変数を多数採用していることに帰因して多重熱線性(マル チコ)の可能性を排除できない点として留意しておかねぽならない。 2.産業別分析 本稿の分析目的の!つは,RとTPとの量的関係において,そのウェイト がTPからRへと移行したかどうかをチェックすることにある。それは本来 TPとRが独立である(統計的には有意な相関関係にない)ことを必要条件と する。我々が実際に行なった計測結果には,「産業特性」と説明変数の選び方 とが微妙に入り組んでいると考えるべきであろう。以下では,TPが支配的な 決定要因でない(または,なくなった)産業を識別することと,その時の主要 な説明変数が何かを確認すること(「産業特性」の抽出)とを平行的に進めて, 分析結果を整理する。 表皿ではTRs。に対する各説明変数が線型の関係において統計的に有意なケ ース(総て正)を○印によって示している。初めに,対数線型分析によれば,75
彦根論叢 第224号 表X[ 産業別分析〈単純回帰〉 206 型 線 数 対
HPIAPIDH
80年 R lTplTII
75年 R l TplT 1 」o
o
○ ○○ ○○○○ ○○○○
○O O
○○○○○
○ ○○00000
○ ○OO
○○○○
○ ○ ○○○○○
○ ○ ○○○○○○
○ ○○○○○ ○○
○ ○ ○○○○○○
○ ○ ○○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○○・叩維プ甲声ム石鋼属。叩械器械三業
レ無耐雛灘論海
食繊紙化○石が鉄非金一電輸精そ
型 線HPlAPlDH
80年R PPITiI
75年Ri Tpi刎1
○ ○ ○ ○○ ○○ ○ ○○ ○ ○○○○ ○○ ○○○ ○○○○○
○○ ○
○ ○ ○○ ○○ ○
○○○○○
○○○○ ○ ○○ ○
OO O OOOOO OO
○○ ○ ○○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○○ ○ ○ ○○ ○品維プ門出ム石鋼属品械器械二業
d媒瓢雛二輪繕
食繊紙化O石が慨然金一電輸精そ
HP=HPTso, AP=APT, DH=DHPT大企業の技術革新行動一技術料収麦の実証分析 207 年値でex TPの方が,また80年値ではRの方がヨリ広い産業において有意な説 明関係にあることがわかる。けれども,Tも含めて各々の関係を比較してみて も,一般機械を除くと大差はない。むしろ,こうした技術関連変数よりも(特 に非鉄金属,金属製品など)投資(1)の説明力が相対的に強いことがわかる (1を新技術の実現・体化の過程と考えればもっともなことであるが)。また, 一般機械・精密機械は80年値のみに有意な関係を示している。さらに,特許関 連変数はAPTを筆頭に似通った性格をもっていることがうかがえる。 次に,線型単純回帰分析の結果をみよう。そこでは鉄鋼など投資の説明力が やはり幅広く観察されること,食品・その他製造業などはTPとの,化学はR との有意な関係を示さないこと,一般機械・精密機械などはやはり80年値のみ が有意なこと,などが確認された。 さて,このような関係を重回帰分析によって更に検討しようと試みたが,サ 表双産業別分析〈重回帰〉
品維プ学賜ム石肝属品械器械二業
d,
Z灘羅鶏藩
食繊紙三傑石が鉄非金一電輸精そ
75年
R/Tp I R/Tp/4 T/」R舜二R一R智RR
I I(TP) 1(OR) R R I(TP) R(TP, 1) R(el,TP) 1(eR,TP)TP
.1’ I I(eT)I
T(el) T(Ol) 」80年
R/Tp I R/Tp/4 T/1RR舜=RR舜四R四
㎝R
R R J R R(LeTP)TP
TP(eR) RTP
l RT
f I I T(1) 1 1.一州はサンプル数,t値などで検討に値しないケースを示す。 2.eは負で有意な関係を示す。208 彦根論叢 第224号 ンプル数の縮小,マルチコの存在可能性などの理由から本来の目的を十分に達 成するような計測はできなかった。そこで,次善の策として,各変数を説明力 の高い順に二次加えていく方法でマルチコの可能性が強く予想された時には, その直前の段階までの有力な説明変数を主要な規定要因とみなして作成した結 果が表側である。そこで,コラム中の変数が主要規定変数であるが,カッコ内 の変数はそれと同時に有意な関係だったが,説明力の順位(または彦値)にお いて次点のものを示している。その表から,75年値において,RとTPの関 係で,化学,金属製品はTPが,他の産業はRが支配的であった。しかし,そ れに1を加えた推定式ではRの「支配力」は低下する。そして,Tと1とを対 比したとき,ガラス・土石,非鉄金属,電気機器,輸送用機械などでT(技術 関連変数)が主たる説明力を示した。また,80年値の結果では,そのパターン が繊維,金属製品にも及んでいることが観察できる。 ところで,TとA−ITとの重回帰分析から,化学,非鉄金属,輸送用および 精密機械などではA.PTとの結びつきがヨリ強いことが判明した。ただし,化 学と輸送用機械ではTPと皿との相関度が高く,推定の仕方(式)に依存 している。 サンプルを総合的に捉えた製造業全体の分析結果と比べて,1とかR,Tな どの変数の説明力を無視できない点が注目に値する。そうした性格をもった産 業(企業群)のウェイトが高まることが,製造業全体での企業行動の性格を変 えることは言うまでもない。 3. 「技術戦略」別分析 さて,企業データに基づくこの種の技術革新行動の分析では,産業特性の差 異の可能性を先験的に前提していることになる。しかし,各企業の事業分野の 多様化とか技術ポテンシャルの産業間(cross−industry)的拡がりなどを考慮す ると,むしろ企業間の差異,いわば「技術戦略」の差異の方がヨリ重要な意味 を持つとも考えられる。すなわち,サンプルを「産業分類」に基づいて区別する rことに代えて,①技術革新への支出のパターンとか,②結果としての技術料収 支の動向などの観点から,各企業の技術革新に対する取り組み方に着目したケ
大企業の技術革新行動一技術現収麦の実証分析 209 一ス分けによる分析も有意味だと考えられる。以下では単独年データだが効果 が出るまでのタイム・ラグの存在を考慮して①75年次の技術革新支出の型,す なわちR15とTP,5の大小関係と②80年次の技術料収支の大きさ,すなわち 表XIII TP,s2.R7s ln
cst l酬N
.789 (3.387) .815 (7.566) .796 (7. 379) .795 (11.947) .694 (9.052) .984 (11.251) .726 (9s 184) .870 (8.230) . or 73 (5. 264) .723 (8.081) .648 (7. 456) .783 (10. 529) R7sTP
T,,s 1 ITs 班)Tso 1 SLg, o APT i 1.170 .53! .523 一1.758 .222 .2gs 11 l
l・S?I l.398 .596 .428 一7. 061 i .529 2.278 .447 D班}T・6・6・・〇一L・437】 i l R、。 ,828i.362 ミ[ l l
跳 ・933i・409 i
Tso .718 .360 Iso 一2. 168 」 . 504 26 82 82 97 109 113 !04 87 48 94 98 109 〔参考〕 ln TPtに対して。 .806 (11.886) .835 (IQ.751) S75 Sso 一4. 152 一4.928 n506 .420 1 1 138 159 R7s>TP7s ln cst副N
’ .623 (8, 442) .711 (8.028) .626 (8. 63!) .870 (9.487) .729 (7. 864) 1.271 (11.447) .779 (7. 449) .427 (3.737) .628 (g・?19) .bsb. 1 (6.128)1 .630 (8.860) .859 (9s312) lli5 .676 1 TPiS l ミ T’i5 1 .567 ii5 . 一1.963 1 HPTso@i‘453×10“1 SL80 1−10.010 1 Al)T 1 2.045 … 1=)Hl)2「 2.403 Rso ; .3QOrnn巳_
∠「8Di ∠,」δ」 … Tso . .254 f60 . 一2.518 .347 1.612 i.406 .358 .410 .331 .496 .300 .11JF .398 .266 .372 .401 133 1 94 1 133 1 129 124 133 128 101 1, !28 1, io2 l I 132 l i 129 1 1.033 (11. 902) .861 (7.853) STro 1 一6.938 S.go 1 一5.550 .526 .295 ts, i ,,, l t210 彦根論叢 第224号 TRs。とTP,。の大小関係とを基準として企業行動とその成果を2つの型に分 けて分析してみよう。 ①上でのサンプルを75年次の技術革新行動の様式(TP7 s>〈R75)に従って二 分したときの分析結果を検討しよう。先ず,対数線型の単純回帰分析を行なう。 ケース毎に弾性値の差があれば,企業行動の差異を反映するかもしれないから である。表X皿によれば,TP75≧R7sのとき, R 7 s, TP,, Tt, DHLPTの係数 が,TP75<R75のときR80, It, HPT80, A酊(Ss。)(t= 75,80)の係数が, 全サンプルとか他のケースに比べて高かった(R2はRt, T,。を除くと総て前 者の方が高い。けれども,今の限りでそれはあまり大きな意味をもたないだろ う)。前者のケースにT,が含まれるのは,やはりTP‘の影響力の大きさを示 すものであろう。すなわち,TP,5≧RT5という企業群は収入(TR8。)に対し て,TPおよびTの拡大につれて相対的に感応的である。しかし,」,は後者 のケースに含まれている。つまり,1がTR8。にヨリ弾力的な効果を及ぼす企 業群はTP75<R7sというグループだが,そのことが研究開発多支出型のパター ンの積極的な意味合いに関連するのか,元来,額での比率が常に(R/TP)>1 となることから当然に生じた結果なのかの判断は推測の域を出ない。また,R, が前者から後者のケースへと移行しているけれども,そのことが導入依存的な グループでのTP(支払)に伴ったR(研究開発)という性格からの変更を暗 示するものであるかどうかも即断は出来ない。 次に重回帰分析の結果〔表XIV〕をみよう。先ず,サンプル数において大勢 を占める量的支出のパターン,つまりTP, s<R75のときは,表Xの結果に比 べて全体的に決定係数が高くなっている6しかし,最も主要な説明変数はやは りTPであった。そのことが意味するところは必ずしも定かでないが,75年次 において量的には相対的に少ない技術への対価支払額が(研究開発支出と補完 的な関係をもちつつ)依然として80年次のTRを規定し続けているようであ る。 また,TP75≧R75の企業群ex TPを主たる説明変数としているが,全体的な フィットの程度は低く,そこでの技術導入的な性格のためか,TRBOを規定す
大企業の技術革新行動 表XIV 技術料収支の実証分析 2!ユ (rv−1)’ TP・TsZR7s N=28 rrPrt, s〈RTs N=:103 (’[V−2)’ Rfs .449 (.679) .634 (, 655) .994x10−1⑤ (2.109) . 772 × !0−1 (1.481) Rso TP・is2R7sl . 416 × 10−1 N=46 1 (1.216) . 462 × 10一 i (1.057) TPI5<R了5 N==112 (IV−3)ノ TP7s}ll−R7s N=27 TP7s〈R7s N==97 .399x10開工⑮ (1.992) .431×10−ie (2.133) R7s 一〇. 250 (. 245) .334×10−1 (. 487) TP・is T7s .722 ( 1.212) .485(. 40r i)[ 1. 477@ (!3.937) 1. 437@ (12.683) .564@ (3. 341) TPso .554@ (4. 096) .574@ (3,165) .938@ (15.964) . 960@ (15.492) TP7s .627 (。605) i ヨ1.386③i (11。010)i .396@ (6.924) TBo .817×10−a@ (1.817) .2150. (9.431) T7s .186 (. 512) .339@ (3.989) 乃5 .109×10一且 (. 266) .854×10−2 (. 344) .18!×10−i (. 955) .412×10−1 (1.632) lso 一〇. 175 × 10一’? (. 173) .121×10−i (1.272) .554×!0一一1 (1.115) .861×10司 (1.149) 17s . 426 × 10−Z (. 110) .178×10−i (. 739) .!26×10−1 (. 635) .405×10國篁 (1.471) cst 89. 899 !00. 897 95. 572 1 一16. 103 −43. 203 一277.887 cst. 72. 440 74. 303 sor.411 34. 395 63,033 R2 .353 .328 .3551 .757 .757 .523 颪2 .586 .576 .509 .799 .799 ロ
F
一⊥り⊥.bZ4 .b16 [ 1HPTso
.127 (1. 167) .121 (1.135) .132 (1.190) .142 (. 914) cst. 39.899 71.951 一67. 366 一305. 428 頁2 .383 .404 .751 .Jr l l2!2 彦根論叢 第224号 (IV−4)’ TP7s)R7s N= 44 TP7s〈R7s N= 105 (rv−5)t TP7s)R7s N==40 TP7s〈RTs N==102 (lsr−6)t TP7s)R7s N=28 TP75くR75 N=104 (W−7)ノ Rso .393x10一互 (. 992) .150x10一玉 (. 565) Rso . 663 × 10−1 (1.558) .340x10一且 (1.600) R7s .585 (. 883) .777 × 10−i (1.585) Rso TP7s>一dR7sl . 196 ×lo一・ 1 N==44 1 C549) TP75くRTS.348×!0一一1◎ N=112 [ (1.660) TPse .534tw (2.519) .969@ (15.594) TPso .664@ (3.165) 1. 008@ (!6. 284) TP・is .226 (. 32 1) 1. 390@ (11.465) TPso . 3890 (2. 474) . 914@ (13.950) Tso . 559 × 10−i (1.363) . 213@ (6.022) Tso .103@ (5.332) . 189@ (6.925) T7s . 412(5) (2.069) . 339@ (6.295) Tso .658×10−iO (2.264) .179@ (7.123) 11Bo 一〇.634×10一一2 (. 628) .725 × 10−2 (. 844) 一〇. 689 × 10−2 (1.346) . 790 × 10−2 (. 970) Iso 一一Z. 149 × 10−i (1.408) 一〇.611×10−2 (1.220) .478×10−2 (. 606)
APT
2.386 (1.273) 2.191 (1.288) 2.143 (1.432) 6. 525@ (3.406)APT
2. 801@ (1.997) 3. 977@ (2. 976) .924 (. 834) 4. 781@ (3.031)HPTso
.875×10−i・@ (2.000) .140@ (3.578) .114@ (1.757) .371×10一玉 (. 352)DHPT
.2520 (2.021) .403@ (3.580) .870@ (2.945) cst. 38.476 31. 194 44. 646 一195. 885 cst. 50. 263 37. 328 87. 238 −232. 001 cst. 84. !22 68. 860 一77. 157 −376.399 cst. 35, 824 39.134 5. 942 一279. 963 R−2 .647 .606 .809 .491 亙2 .663 .614 .814 .or27 R−2 .368 .392 .760 .562 R2 .611 .580 .798 .550大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 213 表XV (rv一一1)” TRBo$TPBo N=64 TRso>TPsD 」V==67 (rv−2)” TRso$TPso N=77 TRBo>TPso N=81 R7s .207@ (2.745) .1850 (2.083) .295×10−i@ (1.827) ,]、85×10一且 (1.127) Rso .103@ (4. 062) .768×10−L@ (2. 8Jr 5) .172 × 10−i (5) (2.034) .173x10一1i@ (2.063) (“Th3)tr RTs TRsott.TPsDl−O 120×!o−2 !− u=59 i l Tp.ao>Tpao N==65 t
一
(O一 OOO) .316×10’3 (. ooo) TP7s 1.449@ (10. 821) 1. 438@ (10.512) , 710@ (9.840) . 585@ (6.520) TPso .942@ (15. 928) .908@ (15. 323) .489@ (11.26]) . 541@ (10 10!) TTs . 633@ (8. 844) 422 × 10−i dy (2. 108) Tse ,293@ (9.982) 乃5 .110×10−i (. 466) 一〇. 695 × 10−2 (. 230) . 196 × le−i wr (2,244) .494×1G一互③ (5. 418) Jso .598×10−1③ (6.02s) 1 . 203 × 10−L (5) (2. 338) .247×10−1◎ (1.768) 一〇. 315× !0−2 (/,622) 1、657x10−2@ (2. 836) E TaP7s 1.304@ (9 229) .416Ca (4.278) T7s .579・@ (4.849) 一〇.120×10一一2 (. 063) 乃5 一〇,868x10−2 (. 346) 一〇.265×10−1 (.796) .208x10−iO (2. 606) .394×10−L③ (5,127) ノ∫P780 .5玉4③ (2. 908) .294 (1.270) .764×10−i@ (3. 278) .125@ (5.367) cst 196. 871 181.043 一85.266 一Jr7. 134 一65. 947 一15, 962 cst 213.580 128.191 一193,841 一一Zr3 822 一50. 392 .350 葱2 .819 .817 .695 .652 .672 .484 R−2 .942 .901 .743 .739 .744 9 7 4畠 cst 亙2 42.514 一165.373 .836 .708 一80. 195E .730 一61.5731 .6501
‘
214 彦根論叢 第224号 (IV−4)” TRsoS.TPBD N =72 Rso TPso .958×10−i@ (1.680) TRao>TPsol.664×10’2 」〉二77 (.789) (ISI−5)” TReoSTPso N =69 TRso>TPso N=73 (rv−6)” TRsof.TPso N=64 TR80〈TPso 2>コ68 (lsr−7)fi TRs,S.TPsD N=76 Rso .120@ (3. 416) .125 × 10−i (1.510) Rls .113 (1.326) .279×10一一i@ (1.742) RBo .688×ユO一’1⑮ (2,281) .903@ (15.911) .542@ (9.141) TPso .882@ (12.686) .581@ (9.752) TP7s 1. 294@ (8.680) . 656@ (7.840) TPso .894@ (14. 127) TRse>Tti’sgl.163×10“’@1 .454@ N=80 1 (1,917) 1(8.800) Tso . 381@ (9,144) .338×10−i@ (3.050) Tso .338@ (10. 017) .517×10−i@ (5. 035) T7s .456@ (5. 476) .737×10−i@ (3.806) Tss .270@ (7.213) .531×10−i@ (5. 574) Iso .101 × 10−i (, 195) .165×10層量 (. 985) O.368×10−20 (2.035) .479×10−20 (2.219) lso . 934 × 10−2 (. 853) 一〇.313×10一一2 (. 202) O.420×10 20 (2. 222) .481×10−20 (2.051)
APT
5. 328@ (2.141) 7. 702@ (2.457) .579 (1.482) 2. 190@ (3.966)APT
3. 112@ (1.971) 4. 734@ (1.892) .5(7 (1.270) 2. 222@ (4.329) HPTso .802×10’10 (2.012) 一{).133 (1.224) .544×10−ie (2. 544) .122@ (4. 336)DHPT
.192 (. 995) . 888@ (3. 568) .113 (1.641) .307@ (3. 203) cε診 114.800 −130. 390 一一U6. 712 −40.820 cst 125. 382 −167.403 一6ユ.212 一一R7. 555 cst 61.054 −272. 132 一68. 384 −25.644 est 146,086 −191.620 一64. 704 −41. 525 R−2 .905 .769 9 8 7 ● 6 7 5 R−2 .905 .806 .782 .532 頁2 .829 .722 .655 .396 R’2 9 9 8 4 4 7 .741 ,537大企業の技術革新行動一技術料収支の実証分析 215 る関係自体が相対的にぜい弱であるように思われる。 ② 日本企業の多くが本質的に技術導入のパターンをとる(とっていた)か もしれないとしても,その企業の技術料収入(TRs。)が多いか少ないかによっ てサンプルを二分し,特にその収入の多いグループの企業行動型を浮び上がら せることがこの分類(TR80≧TP80)の狙いである。その分析結果は表XVに 示されている。 先ず,(rv一 1)”,(rv一・2)”式について,結果は表Xとほぼ同様だったが, TP8。≧(〈)TRsoに応じてR2が若干高(低)くなっている。 R’・の水準は表X とか前項①の時よりもさらに高位であった。また,(rv一・3)ft∼(rv一・7)”式 についても,ケース毎のR2の動きはそれと同様であった。このとき,特許関 連変数の有意性(逆に技術関連変数の非有意性)が増すけれども,それは両者 間のマルチコ(更には投資一研究開発支出間のマルチコ)の可能性が大である ことに求められよう。 さて,ここでの技術戦略捌分析に関して,TP7,とTPs oの自己相関が小さ くないのでTP>TRのとき,推定式の説明力が高まることは当然予想された。 しかし,それと同時に(変数間の相関性に関するわれわれの解釈に誤りがなけ れば)TP≧TR両ケースにおいてTPの説明力が依然支配的であることは無 視できない。その結果,技術料収入が多い企業に限定されることなく,両ケー スについて,TR80の規定因を対価支払額(TP)に求めることができるであろ う。 V 分析結果の要約 小論において,われわれは企業の技術革新行動を総合的に分析する目的の1 つとして,各企業の技術開発ポテンシャルの大きさとその規定要因を分析し た。小論における分析の主要な結論は以下の通りである。 L技術料収支の動向について,産業,企業のいずれのベースでみても,既 存の資料からは受取額(TR)<支払額(TP)から, TR>TPへと転ずるべく 傾向が読みとれる。
216 彦根論叢 第224号 2.技術導入契約に関して,資料からはロイヤルティー(r),契約期間と もに低下傾向にあった。われわれの計測結果によれば,rはほぼ一定,固定支 払額(B)は傾向的な低下を示していた。 3. こうして統計資料からは,技術導入(TP)に対して研究開発(R)の役 割が最近時に至るにつれて優位となること,つまり自主技術開発の割合が高ま っていることが予想された。けれども,技術料収入(TR)を代理変数とみる限 りにおいてTPの果たす役割が大きい(しかもラグを伴わないときの説明力 が相対的に大きい)ことが観察された。 4,これらのことから,契約条件が「改善」されてきたとはいえ,日本の技 術導入・改良化体制(TPとRが正の補完的関係にある)が依然として支配 的であり,技術料の受取額もその改良された技術またはノウハウに基づいて増 加していると判断した方が適切であろう。 5.特許関連変数は,重回帰分析の中では相対的に小さい効果しか示さなか った。けれども分析フレームワークの中での多重曲線性の可能性が認められる ので結論は断定的でない。 6.サンプルを①R75とTP15(または②TP8。とTR8。)の大小関係によ って二回転た「技術戦略」別分析の場合,(i)投資,特許関連変数の説明力が回 復したこと,(ii)RTS>(≦)TP,5(またlx TP,,≧(く)TR80)のケースに応じて, 従来の方法(表Xの結果)と比較すれぽ,決定係数(R’・)が上昇(下落)の傾 向をもったこと,㈹ケース分けに拘らず,TP,とTR,。との結びつきの強さ が改めて認められたこと,などが分かった。しかし,この支出(または成果) の型に応じたケース分けの分析によって,企業行動の明確なパターンが整理で きたとか全サンプル分析の結果と(説明力の点を除いて)格別顕著な差異が認 められたとは言えない。分析目的にもよるが,こうした企業の戦略別分析の手 法がもっと積極的な意味をもちうるように定型化の努力を重ねることは今後の 課題である。 7.総額としてのTRa。を用いたことに関連して,それが過去の技術契約の