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ラゲールガウスモード分割多重信号伝送

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Academic year: 2021

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 現在,光ファイバー通信技術は容量枯渇の危機にさらさ れている.その要因としては,光増幅器の帯域限界や,海 底ケーブルシステム特有の事象ながら給電容量の限界など も指摘されているが,最も顕在化しつつある主たる理由は 光ファイバーの挿入パワー限界と考えられている.  光ファイバー通信システムが導入された当時,スピード アップ(このころは容量増加というよりもこのほうが適し た表現と思われる)のための技術の進歩は,光送受信機の クロックアップによって行われていた.1 本の光ファイ バーに複数の通信チャネルを収容するためには,光パルス 列をタイミング調整と同期によって弁別する時分割多重 (OTDM; opical time-division multiplexing)方式が用いられ た.いわば,光の送受信機を駆動する電子回路の高速化が 牽引役であった.  下 っ て,1990 年 代 後 半 は 波 長 多 重 分 割( WDM; wavelength-division multiplexing)時代の幕開けとなった. わが国発の WDM 方式の実用化は,高精度な光フィルター の製造と,複数の波長を一括で増幅可能な光ファイバー増 幅器の小型化によって,一気に加速した.光の並列性を利 用することで潜在容量をふんだんに使うことが可能にな り,スピードアップの時代から総容量(あるいは帯域)の 拡大の時代へ入ってきた.しかし,半年で 2 倍という驚 異 的 な 容 量 増 加 を み せ た の も つ か の ま,2001 年 に S ( 1476.81∼1508.01 nm)+ C( 1526.83∼1563.05 nm )+ L (1570.01∼1610.06 nm)の 3 バンドを用いた 10.92 Tb/s の 伝送実験を最後に,研究発表における容量の増加がぱたり と止まってしまう.利用可能な光増幅器の帯域をほぼ使い 切ってしまったということだろう.  第三の時代は無線通信に学べということで,それまでの 光パルスのオンオフによる OOK(on-o› keying)から脱却 し,高度な変調フォーマットによる周波数利用効率向上を 目指すコヒーレント(ディジタル)変復調技術が立ち上 がった.シャノン限界に近づこうとする試みといえる.光 ファイバーや光増幅器の所与の帯域は有限であっても,周 波数利用効率を向上することで通信容量の拡大が期待され たが,奇妙なことに WDM のときのようなめざましい増加 はみせず,むしろある一点に向かって飽和・漸近するよう な傾向が年ごとに顕わになった.このころから(たとえ ば1))光ファイバーの容量危機がささやかれるようになっ てくる.  周知のように,光ファイバーには三次の非線形性が顕著 に表れる.総容量を拡大するためには,WDM において波

光渦・偏光渦が生み出す新応用

解 説

ラゲールガウスモード分割多重信号伝送

淡 路 祥 成

Laguerre-Gaussian Mode Division Multiplexing

Yoshinari AWAJI

Space-division multiplexing is the one of hottest topics in fiber telecommunications. Multi-core fiber (MCF) for long distance transmission or multi-mode transmission technologies which utilize high speed modulation of higher order modes owing to mode de-multiplexer or MIMO were investigated enthusiastically. Usually, LP modes are utilized as higher order mode in multi-mode fiber (or few-mode fiber). On the other hand, OAM mode or Laguerre-Gaussian (LG) mode utilization for fiber telecommunications is rising up, especially in abroad. In this review, I shall introduce LG mode transmission through MCF as a technology of Japanese origin.

Key words: space-division multiplexing (SDM), multi-core fiber (MCF), Laguerre-Gaussian (LG) mode

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長数を増設したり,コヒーレント変調で多値度を上げたり する必要がある.いずれも十分な通信品質を得ようとする と,ある程度の光パワーを送出する必要があり,それによ りトータルの光パワーも増大し,三次の非線形性によって 信号の劣化が起こるようになる.したがって,総容量を拡 大するために光パワーを増大させると,却って信号品質が 劣化して容量が低下する(あるいは極大が生じる)という ジレンマに陥る.これは非線形シャノン限界などとよばれ る,光ファイバー伝送特有の現象である.  空間分割多重( SDM; space-division multiplexing )はこ うした背景から注目されるに至った.なぜならば,三次の 非線形性に制限されずに総容量を抜本的に増加させるに は,空間を用いた多重方式が最後のフロンティアと考えら れているからである.そこで,従来の標準シングルモード ファイバー(SSMF)の限界を突破するための候補となっ たのが,複数のコアをもつマルチコアファイバー(MCF) や,複数モードをもちかつ三次非線形現象が起きにくい大 きな実効断面積をもつ multi-mode fiber(MMF)(few-mode fiber(FMF))である.なお,まだ言葉遣いの統一がなさ れていないが,本稿では SDM を広義の空間分割多重と し,空間モードや伝搬モードを用いたモード分割多重 (MDM)は SDM の一部として取り扱う. 1. ラゲールガウスモードの通信応用  SDM とは,並列した複数の空間チャネルを用いて独立 なパスとして利用することである.1 本の光ファイバー中 に複数のコア(ここでは各コアをシングルモードに限定す る)を収容した MCF では,単純にいえばコア数の掛け算 で通信容量が増加する.一方,1 本の光ファイバー中に複 数の高次モード(一般的な光ファイバーでは LP モード) を収容可能な MMF では,モード分散が阻害要因となって 高速変調が不可能というのが近年までの一般的な理解で あったが,モード合分波器や MIMO( multiple-input and multiple-output)の利活用によって,高次モードを分離し て高速変調することが可能となり,SDM の一方式として 研究が進められている.  さて,本特集の主題であるラゲールガウス(LG)モード を通信に応用するという研究活動が海外を中心に展開され ているが,これは軌道角運動量(OAM)の異なる LG モー ドを弁別することで,それぞれ別個の通信チャネルとして 用いるという概念である.  まずは,LG モードによる MDM の原理確認的な意味合 いで,10 Gbit/s 多重化 LG モード光パルスのコヒーレント 伝搬と多重分離について,一般的な通信波長帯である C バ ンドで実証実験を行った.  図 1 に,実験装置の構成の概略を示す.ファイバーコリ メーター 1 から出射した TEM00モードビームを,ハーフミ ラー(HM1)により 2 つのパスに分離した(CH1,CH2). CH1 を空間光変調器( SLM )を用いて TEM00から LG+1 ま た は LG−1に 変 換 し た.実 験 で は 解 像 度 の 異 な る 2 つの PAL-SLM(浜松ホトニクス製 PPM X8267; 1024×768 ピクセル,PPM X7550; 640×480 ピクセル)を用いた(PAL-SLM1,PAL-SLM2).その後,CH1 と CH2 とを HM2 によ り合成し,PAL-SLM2 へ入射した.PAL-SLM1 と HM2 は, モード多重器(MUX)として機能している.PAL-SLM2 に おいて空間変調を適用しなければ,多重化された CH1 と CH2 はその空間モードを維持する.一方,PAL-SLM1 で用 いた変調パターンと同一のパターンが PAL-SLM2 に印加さ れた場合,CH1 が LG+/−1から TEM00に変化すると同時 に,CH2 が TEM00から LG+/−1に変化する.PAL-SLM2 TSL MOD PPG PAL-SLM1 PAL-SLM2 Collimator1 Imaging system Collimator2 PD Error detector Spatial mode: TEM00

LG+/-1 CH2 CH1 CH2 CH1 + CH1 CH2 + CH1 CH2 + or MUX DEMUX HM1 HM2 TSL MOD PPG PAL-SLM1 PAL-SLM2 Collimator1 Imaging system Collimator2 PD Error detector Spatial mode: TEM00

LG+/-1 CH2 CH1 CH2 CH1 + CH1 CH2 + CH1 CH2 + or MUX DEMUX HM1 HM2 図 1 ラゲールガウスモードを用いたモード多重の構成の概略. CH1: LG+/-1 CH2: LG+/-1 CH1: TEM00 + CH2: LG+/-1 CH1: LG+/-1 + CH2: TEM00 CH1: LG+/-1 CH2: LG+/-1 CH1: TEM00 + CH2: LG+/-1 CH1: LG+/-1 + CH2: TEM00 図 2 CH1,CH2,モード分割多重化された CH1,CH2 の ファーフィールドパターン.

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は,所望のチャネルを TEM00モードに変換するための空 間モードスイッチとして機能し,その後空間ピンホール フィルターが LG モードを含む他のモードを排除する.本 実験では,コリメーター 2 に接続された SSMF の開口がピ ンホールとして機能している.これらは,モード分離器 (DEMUX)として機能する.  光源は可変半導体レーザー(santec 製 TSL510)を用い, 中心波長は 1550 nm で,CH1 と CH2 の間のマルチパス干 渉を避けるため,線幅はコヒーレント制御機能により 160 MHz まで増加した.この光を疑似ランダムビット系列 (PRBS)223 -1 により 10 Gbit/s で変調した.  図 2 に,CH1 および CH2 のファーフィールドビームプ ロファイルを,イメージングシステムにより観察された各 LG モードおよび TEM00モードについて示す.最後に,図 3 に示すように,多重分離された CH1 および CH2 のビッ トエラーレートを計測した.チャネル間クロストークによ り,5 ∼ 10 dB のパワーペナルティーとエラーフロアが発 生したが,すべての多重分離されたチャネルについてビット エラーレート(BER)⬍10−9 (エラーフリー)を達成した2) また,海外でも同様の実証実験が行われている3) 2. LGモードのファイバー伝搬  次に,LG モードのファイバー伝搬と通信実験について 述べる.上記の MDM 方式が実現可能であることは原理的 には実証されたが,遠方への信号伝送を考えると,ファイ バー伝搬能力は不可欠な要素である.現在ではさまざまな ファイバー伝搬実験が報告されるようになったが,ここで は皮切りとなった MCF 伝送実験について紹介する4)  この研究報告では,MCF による多重化 LG モードの同時 伝搬を実現するとともに,7 コアファイバーから出射した 6 ビームの群から LG モード成分を多重分離することに成 功し,各モードチャネルではエラーフリー品質の維持を達 成している.この MDM 技術は光学的に動作し,MIMO 等のディジタル信号処理を一切必要としない.  図 4 に,MCF における LG モードの MDM の概念を示 す.各 LG モードは,いくつかの MCF コアと空間的に重 なり(多重化され)結合されている.MCF の出力は,各 コアに対応するビーム群となる.MCF 伝搬後のビーム群 に OAM が保存されていれば,適当なビームの組み合わせ によって LG モードを復元できる.よって,ビーム群の OAM を識別することにより,適切な LG モードを抽出(多 重分離)できることになる.MCF の役割はイメージファ イバーの役割に似ているが,各コアはシングルモードであ り,高速信号を伝送する能力がある.  図 5(a)に,実験に用いた 7 コア MCF(住友電工製)を 示す4).コア間クロストークを減らすため,各コアは図 2 (b)に示すトレンチ型屈折率プロファイルを有するように 設計した.コアピッチとクラッド径はそれぞれ 45 mm と 150 mm で,すべてのコアは同じ設計プロファイルに基づ いており,長い距離を伝搬した後のクロストークは,ファ イバーの曲げによるコア間の実効(等価)屈折率の不整合

Bit error rate

-35 -30 -25 -20 -15 -10 Received power [dBm] -3 1 100 -4 1 100 -5 1 100 -6 1 100 -7 1 100 -8 1 100 -9 1 100

Bit error rate

-35 -30 -25 -20 -15 -10 Received power [dBm] -3 1 100 -4 1 100 -5 1 100 -6 1 100 -7 1 100 -8 1 100 -9 1 100 䢳 䣊 䣅 䢢䢢 䢴 䣊 䣅 䢴 䣊 䣅 䢢 䢱 䣹 䢢 䢢䢢 䢳 䣊 䣅 䢳 䣊 䣅 䢢 䢱 䣹 䢢 䢢 䢴 䣊 䣅 䢴 図 3 計測したビットエラーレート. " =0 " =1 " =2 䝷䝀䞊䝹䞉䜺䜴䝇䝰䞊䝗 " =0 " =1 " =2 ಖᏑ䛥䜜䛯㌶㐨ゅ㐠ື㔞 SDM MUX SDM DEMUX 䝬䝹䝏䝁䜰䝣䜯䜲䝞 図 4 マルチコアファイバーにおけるモード分割多重の概念.

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を利用することにより,より低減することができる5).今 回の実験では MCF 伝搬とビーム群による OAM 保存の原 理確認のため,光学定盤上の 80 cm 程度の短い距離で実験 を行ったが,ほぼ曲げられていない状態でのファイバーの 結合長は 1550 nm では 30 km よりも長いため,クロストー クは−100 dB よりも小さく,ほとんど無視できる.  図 6 に,MDM 実験の構成の概略を示す.基本構成は 図 1 に準じる.CH1 と CH2 の多重化ビームは MCF のク リーブ端に集光しているが,SSMF での従来の集光条件と は異なり,ビームウエストは 7 つのコアすべてに重なるよ うに調整され,直径は約 110 mm と推定される.CH1: LG+1 (l =+1)を 7 コアファイバーの外側コアに導入すると, MCF からの出力は 6 つのガウスビームになり,l =+1 お よびl =± 6 の LG モードに分解できる.一方で,CH2: ガ ウス(l = 0)は中央コアに入射される.MCF の出力は非 球面レンズにより PAL-SLM2 に入射し,l =−1 の対応す る位相パターンを印加してモード変換を行った.  図 7 に,CH1,CH2,および多重化された CH1+CH2 の,MCF 伝搬前および伝搬後のビームプロファイルを示す.  CH1 と CH2 では伝搬後のビームサイズが異なることが わかり,単なる SDM と考えることも可能であるが,LG モードを用いた MDM の最も顕著な特徴は OAM の保存で あり,このことは PAL-SLM2 を多重分離に用いて OAM を 切り替えることにより確認できる.MCF のコア間クロス トークが小さいため OAM は十分に保存され,CH1 と CH2 のモード消光比は 15 dB に達した.  最後に,図 8 に示すように,CH1 と CH2 のビットエ ラーレートを計測した.MDM の典型的なパワーペナル ティーは約 6 ∼ 9 dB で,これはおもに MCF 端面でのビー ムの蹴られ損による電力損失に起因すると考えられる.  なお,本実験に続いて,海外では Vortex ファイバーを 用いた LG モードの伝送に成功している5). TLS PAL-SLM1 MCF PAL-SLM2 (7-core) PCU Error Detector SSMF MOD TLS MOD HM PCU + Off On Off On SLM1 On + + + SLM2 Off SLM2 On CH2 CH1 TLS PAL-SLM1 MCF PAL-SLM2 (7-core) PCU Error Detector SSMF MOD TLS MOD HM PCU + Off On Off On SLM1 On + + + SLM2 Off SLM2 On CH2 CH1 図 6 実験装置.TLS:可変レーザー光源,MOD:LiNbO3変調器,PCU:l/2 波長板・l/4 波長板・偏光板からなる偏光制御ユニット,HM:ハーフミラー. -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0 5 10 15 20 Radius [ m] [%] (a) (b) 図 5 使用したマルチコアファイバー.(a)断面図,(b)コ アの設計プロファイル. CH1+CH2 CH2 CH1

SLM1

SLM2

SLM1

SLM2

CH1+CH2 CH2 CH1

SLM1

SLM2

SLM1

SLM2

CH1+CH2 CH2 CH1

SLM1

SLM2

SLM1

SLM2

CH1+CH2 CH2 CH1

SLM1

SLM2

SLM1

SLM2

(a) (b) 図 7 ビームプロファイル.(a)マルチコアファイバー伝搬前,(b)マルチコアファイバー伝搬後.

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3. ファイバー伝搬後の軌道角運動量スペクトル評価  これまでのファイバー伝送の実証実験では,OAM を識 別するために,受信側で空間光変調器(SLM)をモード変 換器として用い,ピンホールとして機能する SSMF に結合 することで基本ガウスモードを弁別し,7 コアファイバー の 出 力 に 対 し て,隣 接 す るl = 0 と l =+1 間の消光比 ∼20 dB を達成している.しかしながら,スケーラブルな OAM 空間の全体像と相対強度を与える OAM スペクトル についての見通しはなかった.特に,MCF から出力され るビームは特異なトポロジカルチャージを有しているた め,その OAM スペクトルを理解することは大変重要であ ると考えられる.  この実験では,7 コアファイバーからの出力ビームの OAM スペクトルを観察した6) .また,ファイバー長を従 来の 80 cm から 500 m まで伸ばし,各コアにおける偏光が 独立して回転することを見いだした.この状態においても なお OAM は保存されることがわかり,OAM 伝搬方法と しての信頼性が向上した.  図 9 に,MCF 伝搬後の OAM スペクトルを観察するため の実験装置の概略図を示す.コリメーター付きの可変光源 から 1550 nm の TEM00モードビームを出射し,空間モード の変換には LCOS 型 SLM(浜松ホトニクス製 X10468-08) を用いた.パターン Tx と Rx はそれぞれ,SLM の投影面 を半分ずつ分割して印加している.SLM には偏光依存性 があるため,波長板群と偏光子を用いて SLM に入射する ビームが直線偏光になるように調整した.パターン Tx か らの回折ビームは,非球面レンズを用いて MCF の端に集 光される.集光条件は伝送実験のときと似ているが, OAM に従ってビーム径が変化した場合でも 7 つのコアす べてに重なるように,LG モードのビームウエストは常に 径が ∼110 mm になるように調整した.LG モードでは中 心に特異点があるため,おもに外側の 6 つのコアが励振さ れる.  まず,80 cm の MCF を用いて,MCF 伝搬後のビーム 群を再び SLM に入射し,パターン Rx により回折された 出力光を CCD カメラにより観察した7).図 10 に示すよう に,中央部における光強度を画像処理により抽出し,l = −12 ∼+12 の場合についてパターン Rx の OAM に従って プロットした.これにより,図 10 に示す OAM スペクトル を得た.  図 11(a)に,パターン Tx,l =+3 の場合を示す.l = -10 -8 -6 -4 Exponent of BER -35 -30 -25 -20 -15 Received power [dBm] CH1 (Back to back) CH2 (Back to back) CH1 after MDM in MCF CH2 after MDM in MCF 図 8 計測したビットエラーレート. 図 10 6 つのビームのプロファイルとサンプリング点. 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 In te ns ity -10 -5 0 5 10 l 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 In te ns ity -10 -5 0 5 10 l 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 In te ns ity -10 -5 0 5 10 l 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 In te ns ity -10 -5 0 5 10 l (a) (b) 図 11 軌道角運動量スペクトル.(a)l =+3,(b)l =+4. TLS Camera SLM MCF Pol. Pattern Tx Pattern Rx Pol. O/2 O/4 O/4 O/2 O/4 O/4 TLS Camera SLM MCF MCF Pol. Pattern Tx Pattern Rx Pol. O/2 O/4 O/4 O/2 O/4 O/4

O/2 O/4 O/4 O/2 O/4 O/4

図 9 軌道角運動量観察のための実験装置.TLS:可変光 源,Pol:偏光子,SLM:空間光変調器,MCF:マルチコア ファイバー.

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+3 成分とl =−3 成分のサイドモード抑圧比が高いこと がわかる.図中別枠のスペクトルは数値計算による. MCF からの出力ビーム群には 6 つの分離されたビームが 含まれるため,方位角方向の強度変動により主成分から± 6 ずれたサテライトモードが発生すると考えられる.した がって,l =+3 成分には l =−3 成分と l =+9 成分が付 随することが予想される.l =+9 成分が小さいのは,よ り高次の OAM の違いが回折効率に影響したことが原因と 考えられる.このことは,図 11(b)に示すパターン Tx, l =+4 の場合で確認できる.この場合は,l =+10 成分 およびl =−2 成分が小さくなっている.  ここまでは,MCF 長が大変短かったため,ファイバー に由来する変動はすべてほぼ無視できると考えられた.そ こで,外乱などによる変動を観察するため,MCF を別の 500 m 長のものに取り替えた.まず,各コアからの各ビー ムの偏光が互いに独立して回転することを観察した. MCF 伝搬後の観察のための実験装置の構成と各コアへの 割り当て数を図 12 に示す.CCD カメラの画像を観察しつ つ各コアについて最大強度を得られるように波長板を調整 した.この測定を偏光子の回転角を 3 通りに固定して行っ た.その結果,500 m 伝搬後の各コアからのビームの偏光 状態は互いに異なりランダムであることが明らかになった.  このように偏光の回転はランダムであったが,OAM ス ペクトルは図 13 のように観察することができた.偏光が 回転すると,SLM における直交偏光は回折されず,OAM スペクトルの背景雑音になる.そのような雑音を低減する ため,波長板群と偏光子を SLM のパターン Rx の直前に配 置して,外周コアからの 6 つのビームの強度がほぼ等しく なるように調整した.図 13 の結果は,500 m 伝搬後のl = +1 の OAM スペクトルと付随するl =−5 成分を示す. 4. MCFと LG モードを用いたコアパススイッチング  ここまで MCF を用いた LG モードの伝送について紹介 してきたが,通信ネットワーク応用ではスイッチング機能 が不可欠である.本章では MCF を用いた LG モードビー ムのコアパススイッチング方法,具体的には,MCF と LG モードを用いた 2×2 ポートスイッチング方式について述 べる8).この方法では,基本ガウス(TEM 00),あるいは高 次の LG モードを入力信号として想定する.また MCF を,伝送ファイバーとしてだけでなく,スイッチングにお ける空間識別器として用いるところに特徴がある.MCF には非結合型マルチコアファイバーを用いたため,各コア を独立パスとして扱うことができる.簡略化のため本実験 では 7 コアファイバーを用いて考察・実証を行ったが,19 コア等のコア数がより多いマルチコアファイバーを用いる ことで,スイッチングのポート数は簡単に増やすことがで きる9)  図 14 に示す通り,本方式では入力ビームは MCF の端面 上に集光される.高次 LG モード入力を結合する際には, リング状のビームウエストが外周の 6 つのコアに重なるよ うに集光するため,本実験では約 95 mm だった.一方,基 本ガウスモードの入力光は中央コアに集光され,おもに中 央コアを励振する.  SLM は空間位相変調パターンを適用することにより回 折光の OAM 数を変えることができる.したがって,SLM による変調に従い,入力光は中央コアパスと外側コアグ ループパスとの間で切り替えることが可能になる.中央コ アパスと外側コアパスの 1 つをシングルコアシステムでの 2 3 6 7 4 5 1 2 3 6 7 4 5 1 No.1 λ /2 λ /4 Polarizer 1 64 166 240 2 66 86 240 3 84 164 240 4 28 180 240 5 82 96 240 6 90 98 240 7 86 104 240 No.1 λ /2 λ /4 Polarizer 1 64 166 240 2 66 86 240 3 84 164 240 4 28 180 240 5 82 96 240 6 90 98 240 7 86 104 240 No.2 λ /2 λ /4 Polarizer 1 44 16 150 2 46 4 150 3 48 86 150 4 62 4 150 5 26 8 150 6 46 14 150 7 40 18 150 No.2 λ /2 λ /4 Polarizer 1 44 16 150 2 46 4 150 3 48 86 150 4 62 4 150 5 26 8 150 6 46 14 150 7 40 18 150 No.3 λ /2 λ /4 Polarizer 1 74 62 7 2 20 0 7 3 78 64 7 4 88 30 7 5 44 44 7 6 68 44 7 7 58 46 7 No.3 λ /2 λ /4 Polarizer 1 74 62 7 2 20 0 7 3 78 64 7 4 88 30 7 5 44 44 7 6 68 44 7 7 58 46 7 CCD O/2 O/4 Pol.

CCD O/2

O/2 O/4 Pol.Pol.

図 12 マルチコアファイバーにおける偏光の独立回転. SLM or Multi-core fiber lens Gaussian Laguerre-Gaussian

Outer core output

Center core output SLM

or Multi-core fiber

lens Gaussian

Laguerre-Gaussian

Outer core output

Center core output 図 14 マルチコアファイバーとラゲール・ガウスモードビーム を用いたコアパススイッチングの概念.SLM:空間光変調器. 1.0 0.6 0.4 0.2 Intensity -10 -5 0 5 10 l 00..88 1.0 0.6 0.4 0.2 Intensity -10 -5 0 5 10 l 00..88 図 13 500 m 伝搬後のl =+1 の軌道角運動量スペクトル.

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使用のために独立に出力 SSMF に接続し,一方,外側コア グループでは新たに割り当てられた OAM を印加して MCF を連続的に伝搬するようにすることも可能である.  図 15 に実験装置を示す.本実験では,各入力ビームご とに別々にスイッチングの特性を調べた.可変半導体レー ザー(santec 製 TSL510)の出力ビームを,それぞれ LCOS 型 SLM1(浜松ホトニクス製 X10468-08)と SLM2(Holoeye 社製 PLUTO-TELCO)を用いて変調した.SLM には偏光 依存性があるため,波長板群と偏光子を調整して,SLM に入力されるビームの偏光を直線にした.また,アイリス を用いて望ましくないスペックルや迷光を排除した.MCF の出力を CCD カメラで記録し,出力強度を画像処理によ り測定した.  図 15(a)に LG モード入力の場合を示す.SLM1 は,LG モードビームを生成するためだけに用いた.SLM1 に代え て,位相板などの別のモード変換器を用いてもスイッチン グは可能である.本実験では入力光として,l =+4 を用 いた.SLM2 は,l = 0 と l =−4 の 2 つの回折パターンを 切り替え,出力 OAM はl =+4 または l = 0 になる.LG モード(l =+4)はおもに外側の 6 つのコアを励振し,再 生成されたガウスモード(l = 0)はおもに中央コアを励 振する.  図 15(b)には基本ガウスモード入力の場合を示す.ス イッチングには SLM を 1 つだけ用いた.SLM1 はl =+4 とl = 0 の 2 つの回折パターンを切り替え,出力 OAM は l =+4 または l = 0 になった.  表 1 に測定した出力強度と消光比(ER)を示す.中央コ アにおける ER は,いずれのスイッチングの場合も 30 dB を超えている.これは,スイッチングの観点からはかなり よい結果と考えられる.一方,外側コアの ER は,LG モー ド入力の場合は 13∼21 dB,ガウス入力の場合は 12∼18 dB であった.ER が比較的低くなった理由は,ビーム整形 の不完全さと SLM の変調度のばらつきにあると考えられ る.また,途中の光学系のレンズがビームの質に大きな影 響を与えるが,これらは実装段階で最適化し改善すること が期待される.コアによっては ER が 18 dB に達したの で,外側コアの 1 つを少なくともシングルコアシステム用 の SSMF 出力に実用することができる.外側コアのビーム 群には強度のばらつきが観察されたが,保存された OAM は各コアの出力強度を等化した後でも検出できる6).した がって,スイッチング後のビーム群を MCF 伝送すること 4 14 1 00 5 -5 -66 3 -3 -7 17 1 rr ee tt u Ou O 55 5 -5 -3 3 ee rr o co c 88 3 -3 -3 13 1 4 4 e re r o co c rr ee tt u Ou O 00 5 -5 -77 3 -3 -4 14 1 1 21 2 4 14 1 5 35 3 5 5 e re r o co c rr ee tt u Ou O R ER E 11 5 -5 -]] B B d [d [ 55 5 -5 -00 5 -5 -22 2 -2 -r r ee w w o Po P 77 3 -3 -]] m m B B d [d [ 44 3 -3 -66 3 -3 -77 5 -5 -r r ee w w o Po P ]] m m B B d [d [ 6 6 e re r o co c rr ee tt u Ou O 2 2 e re r o co c rr ee tt u Ou O 1 1 e re r o co c rr ee tt u Ou O ee rr o co c rr ee tt n n e Ce C 4 14 1 88 3 -3 -22 5 -5 -7 17 1 rr ee tt u Ou O 44 3 -3 -3 3 ee rr o co c 11 5 -5 -8 18 1 4 4 e re r o co c 22 3 -3 rr ee tt u Ou O 00 5 -5 -5 15 1 5 15 1 2 12 1 2 32 3 5 5 e re r o co c rr ee tt u Ou O R ER E ]] B B d [d [ 33 3 -3 -00 4 -4 -88 3 -3 -22 5 -5 -r r ee w w o Po P 88 4 -4 -]] m m B B d [d [ 55 5 -5 -00 5 -5 -00 2 -2 -r r ee w w o Po P ]] m m B B d [d [ 6 6 e re r o co c rr ee tt u Ou O 2 2 e re r o co c rr ee tt u Ou O 1 1 e re r o co c rr ee tt u Ou O ee rr o co c rr ee tt n n e Ce C (a) (b) 表 1 出力強度と消光比(ER).(a)ラゲールガウスモード入 力,(b)ガウス入力. TLS Camera SLM1 SLM2 Iris PC PC (a) TLS Camera SLM1 PC (b) Aspheric lens Multi-core fiber Aspheric lens Multi-core fiber TLS Camera SLM1 SLM2 Iris PC PC (a) TLS Camera SLM1 PC (b) Aspheric lens Multi-core fiber Aspheric lens Multi-core fiber

5 m

34.8 m

5 m

34.8 m

図 15 実験装置とマルチコアファイバーの横断面.(a)ラゲールガウスモード入力の場合,(b)ガウス入力の場合.

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も可能である.  LG モードの光ファイバー通信の可能性の探求は主とし て海外で行われているが,他の SDM 技術と比べて実装面 での難しさが際立っている.ファイバー伝送については, まだ長距離化などに課題を残すことなどから,信号処理や スイッチングなどの展開が期待される. 文   献

1) E. B. Desurvire: “Capacity demand and technology challenges for lightwave systems in the next two decades,” J. Lightwave Technol., 24 (2006) 4697―4710.

2) Y. Awaji, N. Wada and Y. Toda: “Demonstration of spatial mode division multiplexing using Laguerre-Gaussian mode beam in telecom-wavelength,” 23rd Annual Meeting of the IEEE

Photonics Society, WBB2 (2010).

3) J. Wang, J. Yang, I. M. Fazal, N. Ahmed, Y. Yan, B. Shamee, A. Willner, K. Birnbaum, J. Choi, B. Erkmen, S. Dolinar and M. Tur: “Demonstration of 12.8-bit/s/Hz spectral e¤ciency using 16-QAM signals over multiple orbital-angular-momentum modes,” 37th European Conference and Exhibition on Optical

Communication (ECOC), We.10. P1.76 (2011).

4) Y. Awaji, N. Wada, Y. Toda and T. Hayashi: “World first mode/

spatial division multiplexing in multi-core fiber using Laguerre-Gaussian mode,” 37th European Conference and Exhibition on

Optical Communication (ECOC), We.10. P1.55 (2011). 5) N. Bozinovic, Y. Yue, Y. Ren, M. Tur, P. Kristensen, A. Willner

and S. Ramachandran: “Orbital angular momentum (OAM) based mode division multiplexing (MDM) over a Km-length fiber,” European Conference and Exhibition on Optical

Communi-cation (ECOC) Th.3. C.6 (2012).

6) Y. Awaji, N. Wada and Y. Toda: “Observation of orbital angular momentum spectrum in propagating mode through seven-core fibers,” Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO), JTu2K.3 (2012).

7) A. Mair, A. Vaziri, G. Weihs and A. Zeilinger: “Entanglement of the orbital angular momentum states of photons,” Narure (London),412 (2001) 313―316.

8) Y. Awaji, N. Wada and Y. Toda: “Core path switching based on multi-core fiber and Laguerre-Gaussian mode beam,” Photonics

in Switching, Fr-S26-O13 (2012).

9) J. Sakaguchi, B. J. Puttnam, W. Klaus, Y. Awaji, N. Wada, A. Kanno, T. Kawanishi, K. Imamura, H. Inaba, K. Mukasa, R. Sugizaki, T. Kobayashi and M. Watanabe: “19-core fiber transmission of 19×100×172-Gb/s SDM-WDM-PDM-QPSK signals at 305 Tb/s,” Optical Fiber Communication Conference (OFC), PDP5C.1 (2012).

図 6  実験装置. TLS :可変レーザー光源, MOD : LiNbO 3 変調器, PCU : l /2 波長板・ l /4 波長板・偏光板からなる偏光制御ユニット,HM:ハーフミラー.-0.6-0.4-0.200.20.405101520Radius [ m] [%](a)(b)図5 使用したマルチコアファイバー.(a)断面図,(b)コアの設計プロファイル. CH1+CH2CH2CH1 SLM1 SLM2SLM1SLM2 CH1+CH2CH2CH1SLM1SLM2SLM1SLM2 CH1+CH2CH
図 9  軌道角運動量観察のための実験装置. TLS :可変光 源, Pol :偏光子, SLM :空間光変調器, MCF :マルチコア ファイバー.
図 14 マルチコアファイバーとラゲール・ガウスモードビーム を用いたコアパススイッチングの概念. SLM:空間光変調器. 1.0 0.6 0.4 0.2Intensity -10 -5 0 5 10 l00..881.00.60.40.2Intensity-10-5 0 5 10l00..88 図 13 500 m 伝搬後の l =+1 の軌道角運動量スペクトル.

参照

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