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〈研究ノート〉最近のイギリス金融政策の特色 : マネー・サプライの目標値設定を中心として

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〈 研 究 ノ ー ト〉

最 近 の イ ギ リス 金 融 政 策 の特 色

マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 目標 値 設 定 を 中心 と して 一

1  は   し が   き   1970年 代 初 めの 激 しい イ ンフ レー シ ョ ンやIMF体 制 の崩 壊 に よ る フ ロー ト制へ の移 行, さ らに は マ ネ タ リス トの影 響 を 受 け て,先 進 諸 国 の通 貨 当局 は利 子率 に代 え て マ ネ ー ・サ          プ ライ を金 融政 策 の 指標 や標 的 と して選 び,さ らに そ の 目標 値 を設 定 して い る国 も少 な く な い 。   こ こで 考 察 す る イ ギ リス もそ の代 表的 な1国 で あ り,か つ て わ れわ れ も同 国 で貨 幣集 計 2) 量(monetary  aggregates)な い し マ ネ ー ・サ プ ライ重 視 の重 要 な 契機 とな った 国 内信 用        ラ 拡 張(D omestic Credit Expansion;DCE)の 分析 を 行 った 。   本 小 稿 で は イギ リス にお け るマ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 値 設 定 の 問題 を 中心 と して 最 近 の 金 融 政策 の特 色 を検 討 し,先 進 主要 諸 国の 最 近 の金 融政 策 の 比 較 研究 の た め の1つ の素 材 と した い 。 2  マ ネ ー ・サプ ライ 目標 値 設 定 ま で の経 緯 6   イ ギ リス通 貨 当 局 に マ ネ ー ・サ プ ラ イ重 視 の契 機 を 与 え た の は,慢 性 的 な 国 際収 支 の 赤 字 に 悩 ん だ イギ リス が1969年5月 にIMFよ りク レジ ッ トを 受 け る に さい して提 示 され た 」 1)  金 融 政 策 の 指 標 と 標 的 の 意 義 と 両 者 の 区 分 に つ い て は,拙 稿 「金 融 政 策 の 標 的 と 指   標 に 関 す る 基 本 問 題 」 『金 融 経 済 』155号(1975年12月)を 参 照 。 2)  一 般 に 貨 幣 集 計 量 は マ ネ ー ・サ プ ラ イ よ り 広 義 の 金 融 変 数 を 含 む よ う に 使 用 さ れ て   い る 。 イ ギ リス の ば あ い,マ ネ ー ・サ プ ラ イ と はM1とM3を 意 味 し, DCE(後 述   参 照)は 含 ま れ て い な い が,本 稿 で は 貨 幣 集 計 量 と マ ネ ー ・サ プ ラ イ を 同 義 に 扱 う 。 3)  拙 稿 「開 放 経 済 に お け る 金 融 政 策 の 標 的 一 イ ギ リス の 「国 内 信 用 拡 張 」 を め ぐ って   一 』 「世 界 経 済 評 論 』18巻2号(1974年2月),「 イ ギ リ ス に お け る 金 融 政 策 の 標 的 一   「国 内 信 用 拡 張 」(DCE)を め ぐ って 一 」 『金 融 学 会 報 告 』41号(1975年11月)参 照 。

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● o b マ ネー ・サ プ ライ重 視 の条 件 で あ った 。特 に イギ リス の よ うな 開放 経 済 が イ ンフ レと国 際 収 支 の 赤 字 に悩 む ば あ い に は,通 常 の マ ネ ー ・サ プ ライ は イ ンフ レ圧 力 を 示す 適 切 な 指 標 と はな らな い 。 とい うの は,開 放 経 済で は イ ン フ レ圧 力 は一部,輸 入 増 大 の形 態 を と り,・ そ の 分 だ け邦 貨 が 外 貨 に換 え られ る ので マ ネー ・サ プ ラ イの増 加 が 過 小 評 価 さ れ るか らで あ る。 この よ うな欠 点 を除 去 した い わ ば事 前 的 な マ ネー ・サ プ ライがDCEで あ り,そ の 用 語 が示 す よ うに 「国 内で 拡 張 さ れた 信 用 」 で あ って,国 際収 支 の 赤 字 額 だ けマ ネー ・サ       1)プ ライ に加 算 す れ ば よ い(黒 字 の ば あい に は控 除)。 これ が 当時 の イ ギ リス通 貨 当局 の見 解 で あ った 。   しか し,こ の よ うなDCEも イギ リス の 国 際収 支 が 黒 字 に転 じた1970年 代 初 め に は,通 貨 当局 によ って 重 視 され な くな り,『 イ ング ラ ン ド銀行 四季 報 』(Bank of England  Quar・ terly Bulletin)を 始 め とす る政 府 関係 の 論文 で は ほ とん ど言 及 され な くな った 。 これ は黒 字 の ば あい,DCEを 金 融 政策 の指 標 な い し 標 的 とす れ ば,マ ネ ー ・サ プ ライ に比 べ よ り 拡 張 的 な 政策 を と る こ とを意 味 す るか らで あ る。   と ころ が,国 際 収 支 が再 度 赤 字 基 調 に転 じた1975-6年 頃 か らDCEの 復 活 を見 る よ う にな った 。た とえ ば,上 記 『イ ン グ ラ ン ド銀 行 四 季 報』 の1975年12月 号(第15巻4号)か    2)    3)らM ,やM3と 共 にDCEの 動 向 が 同 四季 報 の本 文 に掲 載 され,注 目 され る よ う にな っ た 。 イ ング ラ ン ド銀 行 は その 理 由 を述 べ て いな い が,イ ギ リス経 済 の イ ン フ レ基 調 に加 え て,国 際収 支 が 赤字 に転 じた(1974,75,76客 年)こ とが 主 な原 因 と思 わ れ る 。つ ま り, 以 前 と 同様 イ ン フ レ圧 力 を よ り適 格 に示 す 意 図 か ら生 じた と推 測 され る。(た だ し,1977 年 は北 海 油 田 か らの産 油 に よ り赤 字 は大 幅 に改 善 され,78年 前 半 も この 傾 向が 持 続 さ れ た 。)さ らに 後述 の よ うに,1976年12月 以 後DCEが 重視 さ れ るに い た ったの は,1969年 と同 様IMFか らク レジ ッ トを 受 け るた あ に付 け られ た条 件 によ るので あ る。   この よ うにDCEに 対 す る通 貨 当 局 の見 解 に はか な りの変 化 が 見 られ た が,い ず れ にせ よM,,M,お よ びDCEを 内容 とす る貨 幣集 計 量 な い しマ ネー ・サ プ ライが 重視 さ れ る こ とに は変 りな い 。 イギ リスが アメ リカや 他 の西 欧 主要 諸 国 と同 様 に,マ ネー ・サ プ ライ 1)  詳 細 は 前 掲 拙 稿 『世 界 経 済 評 論 』,『 金 融 学 会 報 告 』 を 見 よ 。 2)  Ml=公 衆 保 有 現 金 通 貨+民 間 部 門 に よ る 要 求 払 銀 行 預 金(ポ ン ド建)。 た だ し,こ   こ で 銀 行 と は イ ギ リス(U.K.)の 預 金 銀 行 以 外 に 引 受 商 社(acceptance  house)お   よ び 外 国 銀 行 の 支 店 を 含 む 。

3)  M3=Mエ+民 間 部 門 ・公 共 部 門 に よ る 貯 蓄 性 銀 行(割 引 商 社 を 含 む)預 金(ポ ン ド   建 ・外 貨 建)。Maは 以 前 公 表 さ れ た が,そ の 後 廃 止 さ れ た 。

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78 の 増加 率 の 目標 値 を設 定 す る政策 を開 始 した の は1976年7月 で あ り,1976会 計年 度 にM3       4) の 増加 率 の 目標 値 を12パ ー セ ン トにす る こ とが決 定 され た 。.さらに,1976年12月15日 に イ ギ リス政 府 がIMFよ り39億 ドル の ク レジ ッ トを 得 る た あ に提 出 した趣 意 書(Letter  of     5)       6)

Intent)に お い て, DCEと 公 共部 門 借 入 必 要 額(Public  Sector Borrowing  Require・ ments;PSBR)の 目標 値(上 限)が 設 定 され,1976会 計 年度 にDCEは90億 ポ ン ド, 77会 計 年 度 にDCEは77億 ポ ン ド, PSBRは87億 ポ ン ドに 決 め られ た 。同 趣 意書 で はM1, M3の 目標 値 は設 定 さ れな か った が,ヒ ー リー(D.  Healey)蔵 相 はDCEの 上 記 目標 値 と 両 立 す る ス タ ー リングM3増 加 率 は9-13パ ー セ ン トに な る 旨を 公表 した 。 この よ う に M,やM3に 比 べ て 再 度DCEが 重視 さ れ るに い た っ たが,そ れ は1969年 の ケ ー ス と同 様IMFの 要 求 によ るの で あ って 他 律 的 な理 由 に基 づ くと いえ るで あ ろ う。 ,以 上 の よ うな経 過 を た ど って マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 値 が設 定 され た が,既 述 の よ うに M3の 単一 目標 値(12パ ー セ ン ト)か ら一 定 の レイ ンジを もつ ス タ ー リ ングM3の 目標 域 値(9-13パ ー セ ン ト)に 変 更 され た 。単 一 の 目標 値 を 域 値 に変 更 した理 由 につ いて は, 『イ ング ラ ン ド銀 行 四 季 報 』 は言 及 して い な い 。 しか し,銀 行 計数 報 告 日(make-up  day) の よ うな あ る特定 日 にマ ネ 」 ・サ プ ライ を 測定 す るば あ い に は若 干 の 誤 差 は免 れな い し, ま た マ ネ」 ・サ プ ラ イを 厳 密 に コ ン トロー ル す る こ と は不 可能 で あ る 。 この よ う にマ ネー ・サ プ ライ の 単一 の 目標 値 を 達成 す る こ とが 困難 で あ る とす れ ば,公 衆 に 対 し目標 値 の 許 容 範 囲 を 認 あ る一 定 の レイ ン ジを 示 す こ とに した 方 が 良 い と通貨 当局 が 判 断 した か らだ と        考 え ら れ 7) る 。 ∩ o

4)Bank  of  England  Quartely  Bulletin,(以 下,  BEQRと 略 称)Vol.16,  No.3   (Sep.  1976)  p.296.

5)  Letter  of Intent(15  Dec.1976)の 原 文 は 参 照 で き な か っ た 。  そ の 内 容 に つ い て   は,BEQB,  Vol.17,  No.1(Mar.1977)p.16,"Of  DCE,  M3  and  Similar  Myste・   ries",  Midland  Bank  Review,  Feb.1977,  p.17,"Annual  Monetary  Survey",1協 ゴ.   land  Bank  Review,  May'1977,  PP.17-8に よ る 。 な お,  Letter  of  Intent(14  Dec   1977)は 全 文 がW.T.  Newlyn  and  R. T.  Bootle,  Theory  of  Money,3rd  ed.,1978,   App.1,  pp.187-90に 再 録 さ れ て い て,そ の 中 で 上 記 のLetter  of  Intent(15  Dec.   1976)の 内 容 の 一 部 が 示 さ れ て い る 。 6)  そ の 内 容 は 次 姉 で 述 べ る 。 7)  イ ン グ ラ ン ド 銀 行 調 査 部 部 長 ソ ー ン ト ン(M.Thornton)氏 の 筆 者 に 対 す る 私 信   (1977年12月8日 付 け)に 基 づ い て い る 。 同 氏 か ら 貴 重 な 資 料 や 示 唆 を い た だ き 謝 意   を 表 し た い 。 な お,イ ギ リ ス で は 毎 月 第3水 曜 日 が 銀 行 計 数 報 告 日 と な っ て い る 。 マ   ネ ー ・サ プ ラ イ 統 計 は こ の 月 央 計 数 を 基 礎 に 作 成 さ れ る 。 日 銀 調 査 局 『調 査 月 報 』 昭   和53年12月 号,61ペ ー ジ を 参 照 。 ● ●

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● ●

                       〈

研究 ノー ト〉最近 のイギ リス金融政策 の特色  79

      の   M3か らスタ ー リングM3に 変 更 した理 由 は同 四季 報 に述 べ られて い る 。す な わ ち,こ うで あ る。 マ ネー ・サ プ ライ統 計 に 外 貨建 預 金 を 含 む こと につ いて は従 来 か ら見 解 の分 れ る と ころ で あ る 。現 在(1977年3月),外 貨 建 預 金 はM,の8パ ー セ ン トを 越 え るが,そ の 主 要 部 分 は石 油 会 社 と保 険会 社 の預 金 で あ り,国 際 的 な営 業 資 金 と対 外 投 資 の た あ の も ので あ って,イ ギ リス 国 内 の要 因 よ り もむ しろ海 外 の要 因 によ って 影 響 され る。 ま たM3 に含 ま れ るの は イギ リス 居 住者 に よ る同 国 内 の銀 行(イ ギ リス 在 の 外 国銀 行 支 店 を含 む) 預 金 の み で あ って,資 料 の不 足 か ら海 外 の銀 行 へ の預 金 は含 ま れ て い な い 。 この よ うな理       9) 由か らマ ネ ー ・サ プ ライ の ポ ン ド建 部 分 で あ るM3に よ り重 点 を 置 くべ きで あ る,と 。   1976-78会 計 年 度 のPSBR,  DCEお よび ス タ ー リン グM,の 目標値 は1表 の と:おりで あ る 。   な お1978年4月 の 予 算 演 説 にお い て ヒー リー 蔵 相 は ス タ ー リ ングM3の 増 加 率 の 目標 域       10) 値 を6カ.月 毎 に見 な お す ロー リン グ方式(rolling  targetと 呼 ば れ る)の 導 入 を発 表 し, そ れ に基 づ いて1978年11月,ス タ ー リングM3の 目標 域 値(1978年10月 央一1979年10月 央)       11) を 前 回 と同 様8-12パ ー セ ン トとす る 旨が発 表 され た 。 こ の よ うな ロー リ ング方式 は ア メ リカ 連 邦 準 備制 度 の 方式 に な らった もの で あ るが,連 邦 準備 の ば あ い は,マ ネー ・サ ブ ラ b 1表   PSBR,  DCEお よ び ス タ ー リ ン グM3の 目標 値

轟 轡iPSBR

1976* 1977 1978 謁87億 £85億 紳 DCE ・ス ター リングM3     (増加 率) £90億 認77億 £60億 9-13%*** 9-13% 8-12% (出 所)注5)の 文 献 。 *  1976年4月 一1977年3月 ,通 常1976/77と 表 示 。. **1976年12月 ,IMFへ 提 出 し た 「趣 意 書 」 に 示 さ れ た 金 額 よ り 毘1億     な い 。 ***M3(12%)が 変 更 さ れ た(本 文 を 見 よ)。

8)  "DCE  and  Money  Supply-A  statistical  Note,,  BEAR,  Vol.17,  No.1(Mar.   1977),p.39.

9)  1∂∫4,

10)  ``Monetary  Survey",  Midland  Bank  Review,  Summer  1978.  p.20に よ る 。BEQB   の 記 事 は こ の 事 実 に 触 れ て い な い 。

11)  日 銀 調 査 局 「調 査 月 報 」 前 掲,61ペ ー ジ に よ る 。BEQB,  Dec.1978に 記 載 さ れ て   い る と 思 わ れ る が,筆 者 未 見 。

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80 イの 長 期 目標 域 値(M1,  M2, M3)(1年 間)と 短 期 目標 域値(M1,  M2,連 邦 資 金市 場 金 利)        12) (2カ 月 間)を 設 定 し,前 者 は四 半 期 毎 に改 訂,後 者 は毎 月 改 訂 す る方 式 を と って い る 。 イ ギ リスの ば あ い,M3な い しス タ リー リ ングM,の み の 目標 域 値 が設 定 され て い る の は, そ れ らがPSBR,対 民 間 部 門銀 行 貸 付 け,お よ びDCEと 連 結 さ れて い るか らで あ り,ま       13)

たM3はMIの 約2倍 の 額 に達 す るの で, MIの 算 定 に 含 ま れ る未 達 勘 定(transit items)       14) の変 化 に よ って 影 響 を 受 け る割 合 は 小 さ い とい う利 点 を も って い る 。       1図M,の 目標 値 と スタ ー リングM3の 目標 域値 お よび       そ れ ぞ れ の実 績 値(季 節 調整 済)       1976年4月 央 か らの変 化(%表 示)       % 一       一 14       だ

      M,(7)目

   

纏 一::戦 覇 響 雛

標緊

一… 難 糊M、

の実。値

      :r:     パM 3'\   ノ   ! ' ! 一   8         '         ' ・'、一'         '       '       ' 一   6 ● o ,'.=="・ タ ー リ ・ グM・ " 一   4 一   2 ● 3月    6月     9月    12月    3月 1976年       1977年

(出 所)BEQB,  Vol.17,  No.2(June  1977),  p.147。 ●

12)  た と え ば,S.  G.  Hoffman,`'Monetary  Growth  Objectives",  Monthly  Review,   Federal  Reserve  Bank  of  Atlanta,  Dec.1976,  PP.175-81を 見 よ 。 ア メ リ カ の 方 式   は 別 稿 で 扱 う 予 定 。

13)  M1な い しM3を 算 定 す る ば あ い,民 間 部 門 銀 行 要 求 払(非 利 付)預 金 に つ い て は 未   達 勘 定 の60パ ー セ ン ト を 控 除 し た も の を 加 算 す る 。 詳 細 はBEQB,  Statistical  Annex   を 見 よ 。

14)  "Reflections  on  the  Conduct  of  Monetary  Policy',,  the'First  Mais  Lecture,   (Given  at the  City  University,  London,9th  Feb.1978),  mimeographed  paper,   p.12.Reprinted  in  BEQB,  Vol.18.  No.1(March  1978).

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2図'ス タ ー リン グM3の 目標 域 値 と実 績 値(季 節 調整 済)        1977年4月 央 か らの変 化(%表 示) ● 1 ノ ' ! 16 一12

易鷲

      一  8 % 、……1彰 一  4 7 3月    6月    9月     12月    3月 1977年       1978年 一一 『扁 ス タ ー リ ングM3の 実 績 値         (旧方 法 に よ る季 節調 整)       ス タ ー リ ングM3の 実 績 値         (新方 法 に よ る季 節調 整)* 0ス タ ー リ ングM3の 目標 域

     値

(出 所)BβQβ,Vol.18,  No.2       (June  1978),  P.166. *新 方 法 で は 公 共 部 門 取 引 の 制 度   的 な 変 化 等 を 考 慮 。 詳 細 に つ い   て は,``Seasonal  Adjustment  of   Monthly  Monetary  Statistics,',   BEQB,  ibid.,  PP.196-201を   見 よ 。 M,の 目標値 とス タ ー リングM3の 目標 域値 お よび とそれ ぞ れ の実 績 値 を 示 す グ ラフ は 1図 と2図 の とお りで あ る。 3  PSBR,  DCE,ス ス ター リン グD13の 関係 お よ び ス タ ー リングM,の 目標 値 算 出 b   前 節で 述 べ た 過 程 を経 てPSBRとDCEの 限 度 額 お よ びス タ ー リ ングM3の 増 加 率 の 目 標 域 値 が設 定 され た 。 そ して 『イ ング ラ ン ド銀行 四季 報 』 で もそ の17巻1号(1977年3月) か ら これ ら三 者 の計 数 が 内訳 と共 に一 覧 表 の形 式 で 示 され るよ うにな った 。       1)   こ こで 簡 単 にPSBR,  DCEお よび スタ ー リ ングM3の 関係 を 見 よ う。       2)   DCEは 銀行 部 門 と海 外 部 門 に よ って 国 内経 済 に与 え られた 総 信 用 を示 す もの で あ って, そ れ は先 ず次 の よ う に表 され る 。 1)  M3を ス タ ー リ、ン グM3に 変 更 し た た め に,そ れ と 対 応 上DCEの 定 義 は 若 干 変 更   さ れ た 。'し か し,原 理 は 以 前 と 変 ら な い 。DCEの 原 理 に つ い て は 前 掲 拙 稿,『 世 界 経   済 評 論 』,『 金 融 学 会 報 告 』 を 見 よ 。 変 更 部 分 に つ い て は"DCE  and  the  Money  Sup-  ply",Sup-  OP.``'.,Sup-  PP.39-42,旧DCEと 新DCEの 対 比 に つ い て は,  D.  Cobham,``The   Debate  Over  the  Letter  of  Intent",  The  Banker,  Vol.127,  No.612  (Feb.1977),   PP.52-3を 見 よ 。

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  82  DCE=民 間 部 門(非 銀 行)保 有 の現 金 通 貨 の 増加+対 公 共部 門銀 行 貸 付 け+対 民 間 部 門 銀 行貸 付 け(ポ ン ド建)+対 海 外部 門 銀行 貸 付 け(ポ ン ド建)+公 共 部 門 の 海 外借 入 れ .た ち し,右 辺 ρ 箪 外項 は次g理 申 で スタ ー リングM3と 関 連 させ るた め に新 に加 え られ た 。つ ま り,、そ れ は 主 と して イギ リス の輸 出金 融 に 使用 され,イ ギ リス の輸 出 業者 に対 す ㌍ 接 の 銀行 鮒 け と同 じ蘇 を 国 内 濁 性}・与 え岬 内径 潔 与 え られ燃 信 用 と見 な され るか らで あ る。   一 方,PSBR一 民 間 部 門 保 有 の現 金 通 貨 の増 血+対 公 共部 門銀 行 貸 付 け+公 共 部 門 の 海 外 借入 れ+公 共 部門 債 の対 民 間 部門(非 銀 行)売 却   した が って ・DCE=PSBR一 公 共部 門債 の 対 民間 部 門売 却+対 民 間 部 門 銀 行貸 付 け(ポ ン ド建)+対 海 外部 門 銀行 貸 付 け(ポ ン ド建)   この こ とよ り,DCEを 減 少 させ る に は右 辺 の第2項 を 増 加 させ,他 を減 少 させ れ ば良 いが,重 要 な の はPSBRの 減 少で あ る 。   一 方,既 述 の よ う に簡 単 に はDCE=マ ネ ー ・サ プ ライ(ス タ ー リ ングM3)の 変 化+対 外 赤 字(公 共 部 門 の海 外 借 入 れ)で 表 さ れ る が,厳 密 に は若 干 の調 整 項 目を加 え て次 の よ う にな る。   DCE=ス タ ー リン グM,の 変 化+対 外 金 融 繰 り ・外 貨 金 融 繰 り(公 共 部 門 の海 外 借 入 れ +海 外部 門 に よる ポ ン ド建 預 金+民 間 部 門 と海外 部 門 に よ る外 貨建 預 金)+銀 行 の非 預 金 債 務(主 と して 準備 金)の 増 加   以 上 でDCE,  PSBRお よび ス タ ー リ ングM3の 関係 が明 らかで あ ろ う 。   さて,ス タ ー リン グM,の 目標 域 値 の設 定 はい か な る方 法 で 行 わ れ る ので あ ろ うか 。       3)   イ ギ リス で は 大 蔵 省 と イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 共 同 して 金 融 予 測 を 行 い 上 記 の 目標 域 値 を 算 出 す る が,現 在 で は い わ ゆ る 計 量 モ デ ル で は な く,資 金 フ ロ ー 分 析 に よ って 行 わ れ,1な       4) い し2会 計 年 度 に わ た る 目 標 域 値 が 予 測 さ れ て い る 。 現 段 階 で は ス タ ー リ ン グM3な い し   3)  1974年 か ら 行 わ れ て い る 大 蔵 省 の 金 融 モ デ ル は か な り 進 歩 を 遂 げ て い る よ う で あ る     が,金 融 変 数 と 実 物 変 数 を 同 時 に 解 く 完 全 な 金 融 モ デ ル は ま だ 完 成 さ れ て い な い 。   H.M.  Treasury,  Macroeconomic  Model  Technical  Manual,1977,  p.7を 見 よ 。   4)  M.E.  Willet,"Financial  Forecasts  in the  United  Kingdom",  BEQB,  Vol.17,   No.2(June  1977),  p。188.

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■ ● 1                              5)M 3の 需 要 関 数 か ら満 足 の 行 く計 量 的 な 推 定結 果 が 得 られて いな い よ うで あ る 。                             6)   資 金 循環 分析 に よ るス タ ー リン グM,の 予測 手 順 を イ ング ラ ン ド銀 行 スタ ッ フの論 文 を 手 掛 りに概 説 しよ う。   先 ず 第 一 に,名 目国 民 所得 の 推 計 が各 部 門(公 共一 中 央政 府,地 方 公 共 団 体,国 有 企 業 一 ,海 外,家 計,企 業,銀 行およびその他金融機関)の 赤字 ・黒字を推定す る金融予測の た あの 出 発点 とな る 。そ して 公 共 部 門 の 金 融取 引 か らPSBRが 予 測 さ れ る 。 また 別 個 に 予 測 され た対 外 資 本 取 引 か ら公 共 部 門 の海 外 借 入 れ が算 定 され る。 さ らに民 間部 門(家 計 ・企 業)の 金 融繰 り と資 金 ポ ジ シ ョンお よび 公 共 部 門 の 国内 金 融 繰 りの 予測 が 行 わ れ るが, これ に は担 当 スタ ップ に よ る判 断 を伴 う 。民 間 部 門間 の金 融 取 引で 重 要 な 項 目は,建 築 組 合(building  society)へ の預 金,当 組 合 によ る担 保貸 付 け,生 命 保 険 ・年 金基 金 へ の出 資,社 債 ・株 式(既 発行 ・新 規 発 行)の 取 引一 で あ る 。  対 民 間部 門 銀 行 貸 付 け(ポ ン ド建)の 予測 の た め に は また 当 道 ス タ ップ の 判 断が 使 用 さ れ るが,こ れ は銀行 貸付 け に関 す る最 近 の大蔵 省 に よ る計 量 研究 の結 果 によ って 補 われ る。 公 共 部 門債 の 対 民 間 部 門売 却 の うちで 最 も重要 な のが 政 府 長 期債 で あ り,そ の 予測 は最 も 困 難 で あ る 。大 蔵 省 手形(TB)や 地 方 公 共 団 体 の 短 期 債 の よ うな 短 期 公 共債 の対 民 間 部 門 売 却 の 予測 は各 種 の短 期 金 利 間 の 金利 差 によ って行 わ れ る。   これ らの計 算 が 完 成 す れ ば,対 公 共部 門銀 行 融 資 が残 余 と して 計算 さ れ,対 民間 部 門銀 行 貸 付 け,対 公 共 部 門銀 行 貸 付 けが 推定 され る。 この よ うに して銀 行 部 門 の 貸 借対 照 表 の 資 産 側 の計 算 が 完 成 し,こ れ に 銀行 の非 預 金 債 務(主 と して 準 備金 の増 加)と 外 貨 建 銀 行 預 金 を 考慮 す れ ば ポ ン ド建 銀 行 預 金 が 同時 に決 定 さ れ る 。 この 結 果DCEと ス タ ー リ ング M,の 目標域 値 の推 定 が 可能 と な る 。   以 上 の方 式 はい わ ゆ る反 覆 法(iterative process)で あ り,経 済 の各 部 門 の資 金 需 給 を 一 貫 した方 法 で 推 定 す る こ とに よ り,統 合 された金 融勘定が作成 され る。もちろん この方 法 に は 限界 も あ り,大 き な誤 差 を 含 む可 能 性 もあ る 。ま た 以 上 の手 続 き によ る金 融予 測 は 国 民 所 得 の結 果 と国 際収 支 の 予 測 に 大 き く依 存 し,こ れ らが 誤 りを もっ と,そ れ は資 金 循 環 分 析 に持 ち込 ま れ る。 しか し金 融 変数 と実 物 変 数 と の間 の 関係 の分 析 に改 善 の余 地 の あ るか ぎ り,金 融予 測 は計 量 的 な 推 定 結果 に よ って補 われ る もの の,主 観 的判 断 に依 拠 して 行 わ れ な け れ ばな らな い 。 「資 金 循 環 分析 の 主 な 長 所 は,こ の 分析 を 金 融組 織 の主 要 な 圧 5)  前 記 ソ ー ン ト ン 氏 の 私 信 に よ り 判 断 し た 。

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  84 力 が ど こ に感 じ られ そ うで あ るか,ま た そ の よ うな 圧 力 が ど の よ うに して吸 収 され そ うで       7) あ る かを 明 らか にす るた あ に使用 で き る とい うこ とで あ る」 と。   以 上 が,現 段階 で の イ ン グ ラ ン ド銀 行 に よ る マ ネー ・サ プ ライの 目標 域値 設 定 の 方 法で あ る 。 4  イ ング ラ ン ド銀 行 の見 解 q   最 後 に,こ の よ うな マ ネ ー ・サ プ ライ の 目標 域 値設 定 の基 礎 にい かな る理 論 的根 拠 を イ       1) ング ラ ン ド銀 行 当 局 が 置 いて い る かを 総 裁 の 講 演 に よ って 検討 しよ う 。  総 裁 は まず マ ネ ー ・サ プ ラ イの 目標 値 設 定 の 重要 な 目的 は イ ンフ レの 抑 制 に あ る こ とを 強 調 す る 。 マ ネー ・サ プ ライ とイ ンフ レ率 の 因 果 関係 は簡 単 で はな いが 両 者 の 間 に は統 計 的 に 観 察で き る関 係 が あ り,重 要 な の は短 期 で な く長 期 の関 係 で あ る 。 これ に 関す る きわ        2) め て 多数 の研 究 が 多 くの諸 国で な さ れて きて この よ うな 関係 は 疑 いえ な い と思 う,と 。 目 標 値 設定 は 「イ ン フ レー シ ョンの 沈静 のた め に ます ま す 浸透 して 行 く力 とな る こと を期 待     3) した い 。」 そ して イ ンフ レー シ ョンが経 済 成 長 の 阻害 要 因 で あ る ことを 強 調 し,イ ン フ レ を 抑 制 で きれ ば経 済 成 長 は高 ま り,「 イ ンフ レを処 理 す るた あに犠 牲 にす る 〔経 済 〕 拡 張       4) は 外 見 よ りも小 さ い」 ので あ る。   総 裁 は次 の よ うに 言 う。金 融政 策 は財 政 政 策,為 替政 策 お よ び所 得 政 策 と共 に政 策 手 段 の1つ に しかす ぎな い 。 そ れ に もか か わ らず,マ ネ ー ・サプ ラ イの 目標 値 を 設 定す る こ と は硬 直 性 を 導入 す る こ とに な らな いか の疑 問 に対 して は それ を否 定 す る 。つ ま り,わ れ わ れ は環 境 の 変化 に過 剰 に 対 応 しす ぎ,経 済運 営 を 過 剰 に行 いす ぎな い よ う に注 意 すべ きで あ る 。一 定 方 向 の政 策 を環 境 の変 化 が 変 更を 要 求 す る ま で と り続 け る こと は正 しい 。 また そ の ばあ い 金 融政 策 が 経 済 運 営 の他 の 手 段 を支 持 す るた め に使 用 され る可 能 性 を 大 幅 に減 少 させ る こ とに な るが,「 これ は現 在 イギ リス が と って い る方 向 の論 理 的 かつ 望 ま しい延 ` 澗 7)  1ゐ`4.,p.195.

1)  "Speech  by  the  Govern'or  of the  Bank  of England".(Given  at the  Lord  May-  or'sMay-  DinnerMay-  to  the  Bankers  and  Merchants  of the  City  of  London  on  20th  Oct   1977),Press  Notice.  Reprinted  in  BEQB,  Vol.17  No.4(Dec.1977).`'Reflection

  on  the  Conduct  of  Monetary  Policy",  op.  cit. 2)  Lecture,  mimeographed  paper,  oρ. cit., p。8, 3)  Speech,  Press  Notice,  op. cit., p.2,

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■ 6       5) 長 で あ る よ う に思 え る」 と 。   さ らに マ ネ ー ・サ プ ライの 目標 値 の設 定 は政 策 当局 に 自己 規 制 を与 え る し,公 衆 に対 し て はか りに厳 しい 措 置 を と らざ るを え な いば あ い に も彼 らを 納 得 させ や す い し,そ の 措 置 を 正 当 化 しや す い とい う利 点 を も って い る 。   つ ま る と ころ,イ ギ リスで は,通 貨 の国 内価 値 と対 外 価 値 に 関す る不 確 実性 によ って 経 済 体 系 に対 す る信 頼 が失 わ れ て い る 。そ れ ゆ え,マ ネー ・サ プ ライの 目標 値設 定 は 「他 の       6) 政 策 目標 を よ り容 易 に達 成 で き る 〔経 済 体 系 の〕 安 定 性 の 枠組 み を与 え る ことで あ る」 と。  以 上 の よ うな主 張 はむ しろ マ ネ タ リズ ムの 色彩 が強 い 。 もち ろん ケ ィ ンジ ア ニズ ム とマ ネ タ リズ ム の相 違 は 簡単 に論 じえ な いが,重 要 な相 違 点 の1つ に汲 及 機 構  (transmission mechanism)に 関 す る両 者 の 見解 の 相違 が あ る 。つ ま り,マ ネ ー ・サ プ ライ が 実 質 所 得 (マネ タ リズ ムの ば あ い は貨 幣 所 得)に 影 響 を 与 え る経 路 に つ いて 利 子 率 を通 ず る間 接 効 果 を 重 視 す る のが ケ イ ン ジア ン,経 済主 体 の ポー トフ ォ リオ の 変 化,い わゆ る直接 効 果 を 重 視 す る の が マ ネタ リス トの立 場 で あ る 。 しか し総裁 は マ ネー ・サ プ ライ とイ ンフ レの因 果 関 係 は複 雑 とい うの みで,波 及 機 構 に は言 及 して い な い。   た しか に総 裁 は長 期 的 に は マ ネー ・サ プ ラ イ と イ ン フ レ率 の 因 果 関係 を重 視 し,ま た逆 の 因 果 関係 はか りに あ る に して もマ ネ ー ・サ プ ライ とイ ンフ レ率 の 関係 ほ ど持続 的で な い       7} と い う見 解 を と る 。ま た 上述 の よ うに,マ ネー ・サ プ ライの 目標 値設 定 の主 目的 は経 済 体 系 の 枠 組 み に安 定 性 を 与 え る こ と にあ る と い う。 この よ うに 見 ると む しろマ ネ タ リス トの 見 解 に近 い 。 しか し慢 性 的 な イ ンフ レに 直面 し,し か も労 働 組 合 の賃 上 げ圧 力 が 強 力 な イ ギ リス の ば あ い,こ れ らを抑 止 す るた あ に マネ タ リス ト的 見 解 を示 して い る と もいえ る し,. 現 段 階 で イ ギ リス 通 貨 当 局 が マ ネタ リズ ム に傾 い て い る と は まだ いえ な いで あ ろ う 。       (昭和53年 度 科 学 研究 費 交 付 金 に よ る研 究 の 一部 で あ る) 5)  Speech,  OP.`f'.,  p.2。 6)   Lecture,  op.  cit.,  P.7・ 7)   Ibid.,  P.9.

参照

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