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<論説>家族法の展開と租税法

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Academic year: 2021

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(1)論. 説. 碓. 展 開 井. 光. 租. の. と. ネ去. 家族. 税法. 明. 居 スルトキ方向 シ 」とされた。 このような法律. はじめに. 状態は,昭和15 年の所得税法まで 続いたのであ. ために,私法のなかでも, 財産法との関係の 問. (33 条 2 項。 これは「綜合所得税」の 税率 の規定であ る。 そのほか,分類所得税の不動産 所得と事業所得の 所得計算についても 同様の方. 題が, しばしば登場してくることは ,周知のと. 法 がとられた ) 。. ころであ る。 しかし, そのことは, 家族法につ. なお,所得の合算方式と関連して ,明治32 年 法 以降,課税最低限の計算について ,戸主及び 同居の家族については ,合算額について計算す ることとされた。 その後,勤労控除や扶養控除 についても, この方式が採用されていった。 大正 2 年 法 以降においてほ ,同居家族の所得 の合算は, もっぱら税率の 適用,同居家族の総. る. 租税 は ,経済的な事象を対象にして課される. いても, 同様であ る。 本稿は,家族法の制度や 理論が,租税法に対して, どのような影響を 与 えてきたか, また,現在, 家族法との 係 わりに おいて,租税法上いかなる問題があ るか,を検 討しょうとするものであ る。. 得」が課税されたが ,そこでは,「同居 / 家族. 税額の算出過程に 限定され,所得税額自体は, 各人の所得金額に 応じて配分されるというもの であ ったことに注目しておきたい。 したがっ て,戸主が同居の家族の有する 所得について 納 税義務を負うという 構成ではなかったのであ る。 その限りにおいて ,個々の所得者は独立の. 二尾スルモノ " 総テ 戸主 / 所得二合算スル」. こ. 納税義務者であ った。 これに対して ,明治㏄年. 条 ) 。 次いで,. 法は ,納税義務の全体が,合算額について戸主. 1. 民法上の財産制度と 課税単位 1.. 宗制度の下における 課税単位 明治 20 年に , ほ じめて,わが国に所得税が 導. 入され「人民 / 資産 又 " 営業 其他ョリ生 スル所. ととされた. ( 明治 20 年所得税法 1. 明治㌍年の所得税法においては ,税率に関する. に帰する趣旨であ. 規定の中で, 「戸主政基同居家族. 所得 " 第三. において,税率に関する規定となっだが ,そこ. 本条 / 税率 ヲ. では,按分方式が明示されていないので ,納税. 種二限り 之ヲ 合算 シ其 総額 ニ 依 宝ム戸主. ト. ノ. り. 別居スル家族二人以上同居スルトキ. (3 条. 亦同シ 」と定められた 大正 2 年の改正により ,. 2. 項 ) 。 その後,. 「第姉種. /. 税率. ヲ 適用. る. よう にみえる。 明治 32 年法. 義務を戸主に 集中させるのか ,所得金額に応じ て按分するのかが 明らかでない。 この ょう な合算に よ る税率算定 は ,家族法制. スヘ キ場合 二於テ 戸主 及其 / 同居家族 / 所得 ". とどのように 関係していたのであ ろうか。 民法. 之ヲ 合算 シ其 / 総額二対 シ 適用シテ算出シタル. (l日 規定 ) 親族 編 には「戸主政 ヒ 家族」の章が 投. 金額. げられていたが ,. ヲ 戸主政 其. 其 / 税額. ヲ. / 同居家族 / 所得 ニ 按分シテ 各. 宗ム戸主. ト. 別居スル家族二人 U 、 七回. 「家族 力 ロ己 / 名 ニ股 テ得 タ. ル財産 " 其 特有財産トス」とされ ,¥ ,に " 戸主.

(2) 80@ (80). 横浜経営研究. 第 1 号 (1984). 第V 巻. 又 " 家族 ノ執レ ニ尾スル 力 分明ナラサル 財産」. ル " 反 リテ故意二所得. が戸主の財産と 推定されたのであ (748条 ), 家族の構成員 は ,それぞれ独自に財産権 の主体. ルノ 弊ヲ醸 スノ 恐 アルノ、 テラス, 同居 / 家族 間二アリテ " 所得 ヲ 合計使用スルノ 風俗間 未タ. となりえたわげであ る。 これに対して ,夫婦財. 我国 二 " 行 " ル ルノ事情アル ヲ以テ ,戸主 家. 産制においては ,. 族. り. 「矢文 " 女戸主 " 用法二 従ヒ. ヲ. 分割スルノ手段 ヲ構 ス. ト. ト. 同居スル場合政戸主. ト. 別居スル家族 . 入域. 其 配偶者 / 財産 / 使用 及ヒ 収益 ヲ為ス 権 利 ヲ有 ス 」るものとされていたので (798 条 1 項 ), 財 産権 の主体と,その財産を収益することに よ る. 上 同居スル場合 二於テ " 所得金額 " 其 / 各自二. 所得の帰属とが 分離することが , 当然予想され. 率 モ 各自 / 所得金額二 ニ ラス, 其 / 合算額姉佐. ていたといえる。 このような法制度Ⅱこおいて. リテ之ヲ定 ムルモノトス」と 述べていた " 。. は, 妻 又は入夫から 夫 又は女戸主への 使用貸借. そらく, この見解が,当時の所得税法の趣旨を. ということを 観念する必要はなく , また,租税. 的確に述べたものであ ろう。. 付 キテ決定スル 二拘 ハラス ,課税 スヘキヤ否ヤ. ヲ決 スル 二其 / 合算額 ヲ以 テスルト 同 シク,税. 面においても ,かかる経済的利益の課税は,問. お. もっとも, より厳密にいえば ,民法自体は,. 題にならなかったといってよい。 ただ,課税単. 居所指定権 や扶養義務の 規定を置いていたにと. 位 との関係で, 妻 又は入夫が婚姻 中 自己の名に. どまるのであ るから,完全な共同生活を義務づ. おいて得た財産は ,その特有財産とされていた ので (807 条Ⅰ 項 ), 自己の名において 獲得する 時点の扱いは ,一般の家族と異なるところは 無. げていたと述べることは 正確ではないであ ろ. かった。. う。 このことは,中川善 2 助博士の見解にも ,. 端的に示されている。 博士は,. 「民法上の家と. る 。 両者の間には ,制度的にではなく,思想的. は,戸籍上に同一家族団体を 形成する者として 一括記録されてゐる 人々の集団に 体ならない。 集団といつても 実際上の集団ではなく ,戸籍上 の集団であ る。 観念的集団であ り, また法律上 の集団であ る」とされ, 「家の範囲をかくの 如 戸籍面の上だけで 決定し実際上の 生活関係. に共通の基盤があ ったとみることができる。 す. を顧慮しないと かふ 仕方も,法律技術の上から. なわち,民法旧規定は,家族に対する戸主の扶 養義務を定める (747 条 ) とともに, 戸主の居 所指定権 (749条 1 項 ), 妻の財産に対する 夫の 管理権 C801 条Ⅰ 項 ) 及び双述の使用収益 権 等 により,家族の共同生活ないし ほ ,協力関係を 確保しょうとしていた。 他方,所得税法は,民 法によって支えられている 家族の共同生活ない し 協力関係に着目して ,租税負担の能力を測定 しょうとしたものであ る。 それに加えて ,租税. いって 必 らずしも非難さるべきことでは 勿論な い。 家の定義をもっと 実質的なものとするのも 一つの方法であ る。 しかし全く形式的なものと. 以上のような 民法の旧規定の 構造をみるなら. ば,家族に関する財産制度と,税率算定の際の 合算主義とは ,法制度的には直接の関係が 存在 しなかったといって. よ. いのではないかと 思われ. く. してしま ふ のもまた一つの 理由あ る方法であ. る。 前の方法をとれば ,各個の場合に家族関係 の存否を論 澄 しなければならぬといふ 煩雑があ る」とされていた 2)0. 法独自の目的として ,故意によ る所得分割を 防. これに対して ,所得税法は,「同居」という 実 質的生活関係をとり 込んでいたのであ るから, 民法よりも範囲を 限定したといえるが ,それ. 止することが 意識されていた。. が, どの程度の共同生活を 内容とするものであ. この ょう な所得税法の 趣旨を説明した 文献は. るのかは, 必 らずしも明らかではない。 しか. 比較的少ない。 関口健一郎氏は ,明治44 年時点 において,税率は各所得者の所得金額に 応じて. し 「家族」とは ,戸籍を同じくする 者であ り, また, 「同居」というのほ ,居所を同じく. 適用すべ. き. ものであ るが,. 「. 之 / 原則. ヲ. 貫徹 ス. するという意味であ るとする見解が 有力であ. っ.

(3) 家族法の展開と 租税法 たよう であ. 。. その場合に,居所といり 場所. (81) 81. (碓井光明 ). の同一性のみが 要件であ るのか,経済生活を共. を 有する者の一人 仁 ついて,いくらという控除 でほなかったのであ る。. 通に営むという 生活関係までもが 要件であ るの. この法律において 注目されるのは ,従来の戸. る". かが, という点が, さらに解明されなければな. らない。 居所のみの同一性というのであ れば, 財布が別であ り,釜も別であるという場合で も,. 「同居」といえたことになるが , どうであ. ろうか。. 2. 現行民法上における 課税単位 CD) 昭和 22 年の所得税法 昭和 22 年法律第 222 号に. よ. る現行の民法親族. 編 には,戸主に関する規定は 置かれていない。 「. 家 」制度は廃止されたのであ る。. ぅ. 「同居の親族」. 「同居親族の 課税所得金額は ,. 観念を用いていることであ る。 戦後において. も ,昭和21 年法律第. 63 号増加所得税法において は,戸主及びその同居家族を単位にして ,所得 控除及び税率を 適用していたのであ るが,民法 改正作業にあ わせて,民法の改正法が公布され る 前の段階ではあ ったが,昭和22 年所得税法 は,すでに戸主及び家族という観念を 改めたの であ る (所得税法の公布 目 ( 昭和 22 年 3 月 31 日 ) よりも若干遅れて ,昭和22 年 4 月 19 日法律第 74 号により「日本国憲法の 施行に伴 民法の応急、 的 措置に関する 法律」が公布され , 施行の日から ,. 日本国憲法. 「戸主,家族その他家に関する. 規定は, これを適用しない」こととされた おいて,. した金額を , 各々その課税所得金額に 按分し. ていることであ る。 それ以前においては ,. (13 条 2. )。. もう一つ注目すべき 点は,同居親族の定義に. これ. を 合算しその総額に 対し税率を適用して 計算. て,各々その税額を定める」とした. とし. う. しかし所得税法における 合算規定は ,いわ ゆるシャ タブ 税制の直前まで 存続した。 昭和 22 年法律第 27 号「所得税法」は ,税率に関する規 定の中で,. 主・家族の観念に 代えて,. 「生計を一にする」ことが 要件とざ ね. が要件とされていたが. 同居. ( ただし,戸主と別居す. 項 ) 。 この場合に,「同居親族とほ ,配偶者及び. る家族 . 人 以上同居の場合には ,前述のよう. 三親等内の親族で 生計を一にするもの」と 定義 され (8 条 1 項 ), さらに, 生計を一にする 者. に, その同居する 者を単位とした ), 生計を一 にするという 定め方でほなかったのてあ る。 そ. の一人と, この関係があ る者が二人以上あ ると. こで,. きは,その二人以上の者相互の間にほ 関係がな. のような関係にあ るのかを考察しておく 必要が. い場合においても ,. あ る。. その生計を一にする 者全部. の間に,関係があるものとみなされ だ C8 条 2 項 ) 。 たとえば, 中. と ろ,. 中と何との間に ,そ. 「同居」 と「生計を一にする - とが, ど. まず,. 「生計を一にする」としづ. 規定は ,現. 往 においては,租税法において頻繁に用いられ. れぞれ同居の 親族の関係があ るときには, 乙と. ている観念てあ るが,戦前の租税法においては. 丙 との間においても ,. 見出すことができないし ,他の法分野の用語例. 同居の親族の 関係があ る. と擬制されるのであ る。. も捜し出しえていない。 健康保険法に ,. さらに,同年の所得税法 は ,所得控除 ( 基礎 控除 ) として 4,800 円を所得金額から 控除する. 験者. 維持スル者. こととしたが ,. がみられる程度であ った " 。 そこで, " 生計を一. 同居親族のうちに 所得を有する. 老が二人以上あ る場合において , これらの者の. 所得の全部が 給与所得及び 退職所得以外の 所得 であ るときは, これらの者の 所得金額は, これ を合算し,その総額について , 4,800 円を控除 するとされていた (12 条 3 項 ) 。 つまり,所得. ト. 同一 / 世帯二尾 シ 被保険者 ( 以下世帯員 ト称ス. 「. 被保. ニ 依り生計. ヲ. )- という表現. にする」とい 5 昭和 22 年法の意味 は ,その当時 までに,その用語に通常与えられていだてあ ろ ぅ. 意味により理解するほかはない。 おそらく, ・. 典型的には,. ・. - 同じ. ・・・・・ の 飯を食ふ」こと. ・. ・. ・. ,. ・. ・. ・. ・. ・. 屋 恨の下で眠り , 同じかま. ,あるいは,「日常の衣食住の ・・ ,.

(4) 82@ (82) 共同」とし. 第V 巻 第. 横浜経営研究 ぅ. 家族共同体にみられる 共同生活①. 1. 号 (1984). 編の改正により , 家 制度の廃止,夫婦の平等が. をさすものであ ったと思われる。 「生計を一に. 実現されたが ,. する」という 概念自体は, 同居の事実を 要件と するものではないが ,法律上の概念を離れた一. は, 前述の合算制度が 存続した。 この点につい て, シャウプ勧告は ,. 般的な観念としては ,. 伝統的な日本家族制度に 従. 同居していない 場合で ,. 昭和 25 年のシャウ プ 税制まで 「この措置は 形式的には う. ものであ る」。). と. なお生計を一にするという 場合は, きわめて例. 述べているが ,. 外であ ったのではないかと 思われる。. 度ではなく,家族の協調という家族の 生活実態. 以上述べてきたよらに ,沿革的にみる限り, 「生計を一にする」とし 概念が典型的な 借用 概念であ るということは 困難であ る。 ただし, 二点を指摘しておく 必要があ る。. を指している ,。)。 したがって,合算制度を ,. ぅ. 第一は , 他の法分野で 発達してきた「世帯」. ここでは,規範としての 家族制. 日. 本国憲法や民法の 新規定に抵触ないし 矛盾する ものと見ていたわげではない。 同勧告が,合算 制度を改めるべぎであ るとした理由は ,純粋Pこ. の同一という 観念は,生計の同一を原則的な 要. 税制上の観点による 以下の 4 点であ っだ。 ①合 算により,同一の担税力水準にあ る納税者より. 素Ⅴこしていることであ る。 農地法 2 条 6 項は ,. 高い負担を負. 「世帯員」について ,「住居及び生計を一にする. と。. 親族」と定義したりえ ,疾病父は 負傷による療 養,就学,公選による 公職への就任などによ. 解する人為的誘因をなしていること。 ③現実の 同居の親族関係にあ るか否かを判定することが 困難で,基準の適用が統一を 欠いていること。. り,一時住居又は 生計を異にしても ,なお住居 又は生計を一にするものとみなしている。. この. う. ことになり,不公平であ るこ. ② 税 負担の増大Ⅱ こ ょり大世帯を 小世帯に分. ④税額を決定して 世帯員に按分すると か. 5. 手続. 立法例。こみられる よう に, 「世帯」とは ,現実. が 複雑であ ること "' 。 合算制度自体の 憲法適合. に住居及び生計を 一にしている 者の集団をさす. 性に着目していなかったことほ ,同勧告が,原. ものであ る " 。. 則的な個人単位主義を 提案しつつも. 世帯に関する 立法例に比較して. も, 「生計を一にする」という 場合は,住居の 同一は要件とされていないことを 理解すること ができる。. ,扶養親族. と主張されている 者の所得の合算,配偶者・ 未 成年の子の資産所得・ 事業従事による 給与の合 算を主張している 点にも現われている。. 第二に,昭和37 年の改正に よ り追加された 民 法 958 条の 3 が特別縁故者の 例として, - 被相. (2) 資産所得合算制度. 続人と生計を 同じくしていた 者」を掲げて L.、 る. 法は,資産所得の合算制度及び 扶養親族の所得. ことが参考になる。 もっとも,それは例示の一. 0 合算制度を存続させた (13 条の 2, 13 条の. つにとどまるから ,. 3) 。 しかし. 生計を同じくしていたとい. シャウ プ 勧告に基づいて ,昭和25 年の所得税. これらの制度は ,早くも昭和26. えない場合であ っても, 「被相続人の 療養看護. 年に,廃止されている。その後,昭和31 年 12 月. に努めた者その 他被相続人と 特別の縁故があ っ た者」にあ たる場合には ,相続財産の分与があ. の『臨時税制調査会答申』. りぅ. るのであ り,生計を同じくしていたかどう. かが独立の要件として 厳格に吟味されることほ 少ないのではないかと 思われる。 しかも,遺産 の分与 は ,家庭裁判所が「相当と 認める」かど うかにかかっているのであ るから,なおさらで あ る" 。. さて,昭和22 年法律第 222 号に よ る民法親族. ほ,. 「資産所得につ. いては,世帯を課税の単位とする 方が,生活の 実態に即した 課税となる」. ぅえ ,. 「資産の名義. の分割等,表面上の仮装によって 不当に所得税 が 軽減されることを 防 くこともでき」るとし 「同居親族の 資産所得は合算して 累進税率を適. 用 することとした 方が,かえって担税 力 に応じ た公平な負担になる」と 述べ,合算制度を提案 した C212 頁 ) 。 同答申は,「合算される所得は ,.

(5) 家族法の展開と 租税法. (83)@83. (碓井光明 ). 課税上世帯の 主たる所得者の 所得とみなす 方法. 違憲を主張する 上告理由に対して ,. にょ. ), その答申 ど おりに制度化された 場合には,主たる所得者が 合算対象世帯員の 所得についても 所得税の納税 義務を負 ことになり,後に述べる所得税法 56. 税に関する事項は 法律又は法律に 基づいて定め られるところに 委ねられている」とし 「所論 は,ひつきょ ,特定の法律における其体的な 税額計算の定めに 関する立法政策上の 適不適を 争 ものにすぎず ,違憲の問題を生ずるもので. 条と同様の問題が 起りえだのであ る。 しかし. はない」 , ". 現行所得税法 96 条以下に よ る資産所得合算制度 は,適用税率を決定するにあ たり資産所得を 合 算するにとどまり ,そのようにして算定された. 裁の判断方法にほ 疑問点があ るが,。 ,,資産所得 合算制度を違憲ではないとしている 結論にほ 賛. 9. 合算を行い, 申告税額計算の 複雑化を避. げる」ことを 提案したが. ( 同頁. う. 税額 は ,各世帯員の資産所得. ( 主だる所得者. ぅ. う. としだ。 租税違憲訴訟に 関する最高. 成 であ る。 なお,資産所得合算制度に関する改革論の 一. は. 全所得 ) の額に応じて 按分するという 方式をと っている。 したがって, このような方式は ,民 法上の財産制度には 何ら抵触しないと 考えられ. 「憲法上租. つとして,主だる所得者と合算対象世帯員との 間 ,及び合算対象世帯員相互間において,連帯. 「資産所得合算制度の 対象となる夫婦の 夫又は 妻が, 古 制度の対象とならない 独身者た ;-,個ノ、 ょり多額の所得税を 負担することとなっだとし. 旨の規定を設ける 必要性が提案 されているⅣ。 相続税法 34 条 1 項に よ る連帯納 付責任の定めなどに 鑑みると, この ょう な提案 を倹 同 してみる必要は 十分にあ ると考えられ る。 ただ,資産所得を有する場合にのみ ,なぜ 連帯納付責任を 負わなければならないのかが 明 確にされなけれ‥ばならない。 単に資産を移転さ せることにょり 滞納処分を回避するおそれがあ るというのてあ れば,国税徴収汝 39 条に よ る第. ても, それは担税 力 に応じた負担を 実現する ゑ". 二次納税義務を 課すことによって ,相当程度対. の 制度を適用しだ 結果であ って 右 差別は合理的. 処て. な理由に基くものと 言うべぎであ って, これを. 家族法との関係において ,資産所得合算制度 がそれに抵触する。のてないことは ,以上に述 べたとおりてあ る ", 資産所得合算制度自体に は,なお改 苦の余地,ないし検 Ⅱすべ き 点があ ることほ否定てきないⅢ。 しかし,本稿は,資. る。. ただし 芯法 14 条や 24 条に適合するか 否かが 争点とされた 訴訟が存在する。 神戸地判昭和 ( 何故何集コ巻 3 号 472 頁 ) ぽ, - 破約. 51.3.31. な 税制に関する 立法裁量論を 展開したりえで ,. 以て憲法 14 条の法の下の 平等の原則に 反するも のと言. う. ことは出来ない - と判 示した 口 。 さら. に, 憲法別条との 関係について , それは,婚姻. 生活を送る夫婦者と 独身者との間の 平等につい. 納付責任を負. き. う. るはずであ る,. て規定したものではないし ,婚姻を維持,保護 産所得の合算制度 臼体 の 倹 " りを. ロ. 的にする心の. すべ き ことを規定したもの ては ないとしだ。 憲. ではないの て, こ九 以上立ち.フ、 うないこととし. 法 24 条との関係を 扱った,東京地判昭和 53. 2.. キー. 27 ( 税資 97 け 309 頁 ) は, 所得税法 96 条ない し. 101 条の規定の適用によって ,結果的に税負. 担が 亜 くなるとしても ,. - これによって 生活秩. @@ L"、 。. (3) 所得税法 5f 条 支払の否定. ( 同居の親族に. 対する対価の. り. 民法の財産制度との 関係において ,. よ. り. 屯要. 序が破壊されるとか ,家庭生活の円滑に対する. な制度は,所得税法56 条に. 国家自身による 妨害行為とかいうことは、 で. する対価の支払の 否定であ ろう。 すなわち, 「居住者と生 什を 一にする配偶者その 他の親族 がその居住者の 常 む 不動産所得,事業所得又は. き. ず , 右 規定は憲法第 24 条に違反するということ. はできない, と判 示しだ。. さらに,最高裁判所は,資産所得合算制度の. よ. る同店の親族に 対. 山林所得を生十べ き彊業 に従事しだことその 他.

(6) 84@ (84). 横浜経営研究. 第V 巻. 第 1 号 (1984). の事由により 当該事業から 対価の支払を 受ける 場合には,その対価に相当する 金額は」その 居 住者の所得の 計算上必要経費に 算入せず,か つ, 「その親族のその 対価に係る各種所得の 金. 負担しなければならないことになる。 その程度 が極端になる 場合には,負担能力のない者が他. 額の計算上必要経費に 算入されるべ. ほ, 「生計を一にする」状態に. き 金額は」. ,. その居住者の 所得金額の計算上必要経費に 算入 される。 そして, その親族についてほ ,. これら. の金額をないものとみなすのであ る。 専従者給 与に関しては ,. この原則が大幅に 緩和されてい. (57 条 ), 今日においても 原則自体 は 存続している。 るものの. の者の租税を 負担することになり ,合理性を久 、 くことになる。 ただし,所得税法の論理として よ. り,所得税の. 負担も親族間で 調整されることが 期待されると いうことになるであ ろう。 その場合には ,所得 税法 56 条が「生計を 一にする」という 経済的依 存関係をますます 強固 Fこする役割を 果たすこと になる。 税制が,家族の結合をより強化する 機 能を有しているのであ る。 この点に関して ,家族法の論理というより. この制度により , 「その親族」は ,所得税の 課税なしに対価分を 蓄積できるのに 対し , 「そ. も,家族生活の実態の流れに 逆行する面があ. の居住者」は 親族に支払った 対価 分は ついてま. ことは否定できない。 たとえば,. で 所得として課税されるのであ る。 シャウプ勧. する」という 観念でまとらうるとしても ,かつ. 告は ,個別申告制 に制限を設けて 置かないと,. ての財布を一つにするという 共同生活から ,個. 要領のよい納税者は ,. 々の構成員が 自己の財布を 有してかつ拠出し 扶 け あ らという共同生活に 変化しつつあ るのが, 今日の実態ではないかと 思われる。 ことに, 複. 「妻子を同族の 事業 レこ雇. 傭して, これに賃銀を 支払うという 抜け道を講 ずるであ ろう」という 危惧に基づいて ,. 「納税. る. 「生計を一に. 者の経営する 事業に雇傭されている 配偶者およ び未成年者の 給与所得は,納税者の所得に合算. 数 世代の夫婦が 共同生活している 場合には,. させる よう にすべきであ る」と提案したⅢ。 同. 勧告は,懇意的な所得分割を封ずることを 考え. るならば,個人個人の独立の人格を 尊重しょう とする憲法や 民法の理念には ,やや抵触する面. ていたのであ る。. がないとはいえない。 先に述べた よう に, シャ. こ. の ょ 5 な傾向が顕著であ ると考えられる。 とす. この ょう な制度は,家族法といかなる. ウプ勧告 は ,憲法に抵触するものとほみていな. るのであ ろうか。 すでに見た よう に,. かったが, シャウプ勧告当時の 家族の共同生活. 税率算定の際に ,生計を一にする同居の親族を. と今日の家族のそれとの 違い な 無視するわげに. 単位とすることには ,何ら問題がない。 これ ぴこ. はいかない。. では,. 関係. Vこ あ. 対して,業務を営む居住者に 所得税負担を 集中. 第三に, この ょう な実態変化に 対応して,. させる制度については , 同じに結論を 出すこと. に , 夫への賃料の 支払が無視されるのであ る。. 「生計を一にする」状態の 認識も困難となるこ とが予想される。 最高裁が,昭和 51 年の判決 で,居住者の長男及び次男に 対する給与にっき 所得税法 56 条を適用した 処分について ,原審判. 借入金利子についても 同様であ る。. 決を破棄差戻したことは ,. はできない。 一例をあ げると,妻が夫の所有す る建物を賃借して 美容院を経営するという 場合. まず第一に, この制度は , 夫であ ること,又. この ょ 5 な事情を物. 語るものであ ろうⅢ。 この問題を解決するため. は妻であ ることによる 差別をしていないので ,. の視点として ,対価の相当性の判断を加える 必. 憲法 14 条や憲法 24 条。こ違反するものではない。. 要性を重視し ,. 第二に, しかし,事業を営む居住者自身の 所 得が僅少であ るときにほ,その僅少な所得によ って,本来ならば親族 課されるはずの 租税を. を 削除して, 単 。こ 「親族」とし ,現行の青色事. ひこ. 「生計を一 こする」という 要件 ひ. 業専従者給与におけるような「対価として. 相当. であ ると認められるもの」。こついてほ,所得の.

(7) 家族法の展開と 租税法. (碓井光明 ). (85). 85. 分散を認めるべきであ ると考える ", 。. 和 36 年 9. 第四に, この税制を前提にして ,親族からの 無償に よ る役務・資金・ 資産の提供に 対して対. あ げることができる。. 価の支払がない 場合に,当該利益を相続税法 9. 事業所得について ,半分は,家事労働を 為す等 妻の協力によって 得たものであ るから, 夫 と妻. 条に よ る経済的利益として 贈与税を課税できる かどうかが問題であ る。 対価の支払の 有無にか. 月 6. 日判決. ( 民集. 15 巻. 8. 号2047 頁 ) を. X 名義で取得した " 所得のうち,給与所得,. かわらず,事業を営む居住者の 所得税負担は 同. に 半額ずつ帰属するものとして , X と ,その妻 A とが半額ずつ 申告した (X に は 他に配当所得. 一なのであ るから,実際に支払わないで 済ませ. があ った ) ところ,税務署長が全額を X の所得. てぃ. 6 場合に贈与税が. 課税されることほ 差支え. として課税したという 事案であ る。 X は,一審. ないと L づ べきであ ろう。 ただし,相続税法9. において,次のよう。 こ主張した。. 条但し書きにい. 「失名義で取得される 財産の全額が 夫にのみ 帰属するとの 被告の認定は ,現行所得税法上の 所得の解釈としては 形式上正当であ るとして も,妻が夫の就労に協力しその 財産取得のだ. う. ,. 「資力を喪失して 債務を弁. 済することが 困難であ る場合において ,その者 の扶養義務者から 当該債務の弁済に 充てるため. になされだものであ ると. ぎ-. に該当する場合. は ,課税されない。. めに家庭等でいかに 労働に従事し ,いかなる内. 第五として,生計を一にする親族間におい. 助の功を尽そうとも ,その取得した財産につ L.、. て,契約により共同事業を営む 場合であ って. て 事に何らの権 利も認めず,すべて夫の財産と. も,所得税法56 条に よ り,一人の居住者に 所得. して天一人が 独占することを 許容することは ,. を集中させたけれ ば ならないのであ ろうか。 こ. 妻の尊厳を苦し 両性の木質的平等を 侵すもの. の点にっ。ては,別の機会に論じたが,結論の. というべく, ・…‥根拠となった 所得税法は芯注. みを述べるならば ,同条は ,特定の居住者の事. 24 条, 30 条に 遼 反すること明白であ る」。. 業に他の親族が 従事したこと 等に. よ. る対価をな. い ものとみなすものであ るから,共同事業者と. これに対して ,一審の裁判所ほ,. 「所得税法. して出資した 者に対する利益の 分配についてほ. が夫婦の所得の 認定につぎ,民法所定のいわゆ る別産 主義に依拠することもちろんであ り」,. 適用がないというべぎであ る " 。 もっとも, 出. 「もともと課税物件となるべ. 資と利益の分配に 関する契約が 明確な場合に. 律制度としての 別産 主義にょり規律され ,認識. は,その原則により 処理できるにしても ,契約. しなければならないものであ り」,かつ,民法 762. の存在そのものが 不明確であ るという場合に. 条 1 項が憲法別条に 違反するものではないか. は ,組合課税方式を適用することは 著しく困難. ら ,所得税法が憲法別条に違反する. であ る,,,。. いえないと 判 示した。 さらに,夫婦の協力によ. き 夫婦の所得が. 法. 点 あ りとは. 3.. 夫婦財産制度と 課税単位制度. り, 一方が所得を 得ている場合と ,夫婦共働き の場合とを比較して , 「税額の累進性の 点から. (1). 昭和・%6 年. も 後者が前. 9 月 6 日判決. 現行の民法の 夫婦財産制度と 課税単位との 関 係について考察しておぎたい。 第一に,夫婦財産契約について必要とされて. 名は 比し差別的に 優遇されている. 結果となる不公平を 避げがたいことは 否定しえ ないところであ るけれども,夫婦の協力の割合. いる民法上の 手枕をふむことなく ,所得税法の. を評価して各自に 好属すべ き 所得額を算定する ものとすれば ,右の認定は事実上著しく 困難で. 適用の うえ において, 夫と妾 とが所得を折半し. あ って,実際の運用にあ だり迅速簡便な 技術と. るか否か " 問題となる。 この点を,やや間接. 徴税費用の節減とを 要求される課税制度の 趣旨 に反することになり 右にみだ程度の 租税法規上. ぅ. 的ながら扱った 裁判例として ,最高裁大法廷昭.

(8) 86@ (86). 横浜経営研究. 第V 巻. 第. Ⅰ. 号 (1984). の 不合理があ るからとい」って ,合憲性の判断. 方の名義となっているもの」は. を左右するものではない ,. の一方に属するが 実質的には共有に 属するとな. と付言した。 二審判. ,. 「名義は夫婦. 決も, これを相当であ るとした。 最高裁も, 「所得税法が ,生計を一vこする夫婦の 所得の計. 産分与との関係において 意味をもつ解釈論であ. 算について, 民法 762 条 1 項に よ る い わゆる 別. っ たが,5),最近においては,財産分与前の段階. 座主義に依拠しているものであ. においても共有に 属すると主張する 説が登場し. るとしても, 同. すべきもの」であ るとされた,。 ,。 この説は,財. 条項が憲法 24 条に違反するものといえない」以. ている。 特に,夫婦の一方が勤労によって 取得. 上,所得税法もまた違憲ということはできな. する賃金・報酬が 夫婦の共有に 属するとの説が. い, と判 示した。. 存在することは 注目される,。 ,。. 民法の法定財産制に 依拠して所得税法を 構成. かりにこの ょう な説が民法学界において 通説. することが憲法に 違反しないことは , 判 示の通. たる地位を占め ,判例法としても確立されたと いう場合に,所得税法の稼侍者課税の 原則が自 動的に修正を 受けるとみるか ,立法措置を講じ ない限り変るものでないとみるかは ,人により. りであ る。 もっとも, この点について ,吉良実教授は, 「合憲であ るというためには ,協力寄与をした. 見解が分かれると 思われる。 筆者としては ,初. 配偶者が,財産分与請求権,相続権,扶養請求 権 等に よ り財産を取得した 場合,税法上その者 が当初からその 財産を取得していたのと 同じ取 扱いを受ける ,すなわち具体的にはその取得 財 陸に ついて所得税とかその 補完 税 としての相続 税・贈与税等が 一切課税されない 取扱いが税法. なる所得税制とするには ,逆に,積極的に 反対 趣旨を所得税法に 規定しなければならない。. 上保障されていることが 必要であ 」ると述べて. (2) 所得税法の解釈. いる め 。. めから瞬時の 帰属しか観念できない 状態になれ. ば, 稼 侍者課税の原則もおのずと 修正を受ける のではないかと 考える。 したがって, それと 異. 現行所得税法が 個人単位主義を 採用している. しかし,所得課税は,所得の発生時点におい. ことは前述の 通りであ るが, なお所得税法の 解. て 担税 力 を把握して課税するものであ って,最. 終的な分配時点で 課税するものではない。 配偶 者の寄与分について 後に現実に分配がなされた ときに,その分配に着目して 課税するかどうか. 釈 問題が残されている。 ① 夫婦財産契約との 関係 夫婦財産契約により 一切の所得を 夫婦の共有 とする旨を定めた 場合に,所得税法の適用がど. は立法政策の 問題であ るというべきであ る。 そ. うなるかが問題であ る。 実際に締結され 登記さ. の 意味において ,妻の寄与分について,当初か. れた夫婦財産契約の 中にも,. ら事に帰属していたのと 実質的に異ならない 租 税制度をとらなければならないわげではない。. たる財産は各共有とする」とか ,. 新に得た財産は ,夫婦の共有とする」とかの契. 以上述べたよらに ,所得税法が,個人単位主. 約条項がみられる " 。 これらの契約は ,外部と. 「婚姻十双方が 得 「婚姻由夫が. 義 ,それも, いわゆる 稼 侍者課税の原則を 採用 しているとしても ,そのことが憲法に違反する. の 経済取引の主体までも 変更させるわけではな. とはいえない " 。 しかし,家族法理論の発展に. のであ るから, 稼得 考課税の原則を 適用するに. よっては,所得税法の適用も異なってくる 可能 性があ る。 すでに,我妻栄博士が夫婦財産の帰. あ たっては,何らの影響も受げないという. 属 には, 3 種類のものがあ り, 「婚姻中に夫婦. が協力して取得した 住宅その他の 不動産,共同. 税することは 疑問であ る。 そこで,共有にする 旨の夫婦財産契約の 存在を配慮した 解釈論とし. 生活の基金とされる 預金,株券などで夫婦の 一. ては,所得計算の う えでは,夫婦の持分に応じ. く,夫婦に流入した後の財産の帰属を 定めるも 解釈. もあ ろ ゲ " 。 しかし瞬時の 帰属に着目して 課.

(9) (87)@87. 家族法の展開と 租税法 (碓井光 弗 て ( 持分の定めたき 場合には各人等しいものと. ても,それだけで直ちに結論を 出すことはでき. 推定して ) 按分したらえ ,所得税法を適用する. ないように思われる。 所得税の課税を ,外部的 な問題として 租税行政庁の 保護を図るか ,むし ろ内部の法律関係に 着目して課税すべきかの 選. ということになると 思われる。 ただし, その場. 合にも,配偶者の一方の勤労に 源泉を有する 給 与所得について ,総額について算出された給与 所得控除額を 夫婦双方に二重に 認めることは 不 合理であ る。 また,給与所得控除額が給与所得. 択が残るのであ る。 不動産の贈与にっき 未 登記 であ る場合でも, 引渡しがなされているなら ば,贈与税が課される。 そして,納税者は,た. の収入金額に 応じて定まるしくみであ ることに. とえば 10 年後に登記がなされた 時点で初めて 課. 鑑みると,給与所得控除額を夫と妻の得た 金額. 税を受けたときには ,課税処分の除斥期間を徒. に 応じて算出するということも 合理的ではない. 過している,. にの方法に. の意味で対抗し. ょ. れば,給与所得控除の 面でも有. 利となる ) 。 同じことは,. 退職所得控除の 方法. についても妥当する。. 結局,給与所得控除や退職所得控除は・ 金額の総額から 一括して控除し ,. 収入. しかる後に,. その残額を夫婦間で 按分するという 力法によら ざるをえないのではなかろうか。. もっと - 般的. にいえば,総所得金額,退職所得金額, 山林 所 得 金額の算定までの 過程においては ,夫婦財産. と 主張することも ぅ. 許されよ. う. 。 そ. るといえる。. 従来の課税要件法の 解釈方法からすれば , 内 部関係着目 説 に賛成したいのであ るが⑨, 「寝 室の契約」にょり 所得の分割を 認めることは ,. いかにも課税を 不安定ならしめる。 しかも,夫 婦間の契約取消権 (754 条 ) に よ り, きわめて 懇意的に課税方法を 選択することも 起こり ぅ. る 。 そこで, 民法 756 条及び 758 条の趣旨から ,. 計算しその後に 合算して按分するということ. 対抗要件によっては 影響されないが ,夫婦財産 契約は,婚姻届出以双のものに限り ",, 租税上 も有効なものとして 扱われるとい 分解釈をとる. になるのであ る。. ことにしたひ。 民法規範にもかかわらず , 当事. 登記されていない 夫婦財産契約 民法は,夫婦財産制度が取引社会に影響を 与 えることを考慮して ,取引の安全性を確保する. 者間において 現実に有効であ るかのように 扱わ. 契約の影響を 受けることはなく ,各人について. ②. れ 所得が分割されている 場合があ. り. ぅ. ることに. などの要請に よ り,夫婦財産契約について ,特. 鑑みると,民法に依拠した租税法の 解釈は,経 済的実質を重視する 解釈方法を主張する 側から. 別の手続を要求している。 ただ,その定め方. 批判されざるをえないが ,現在の段階では,. は,「婚姻の届出までにその 登記をしなければ , これを夫婦の 承継人及び第姉者に 対抗すること. の ょう な考え方をとっておきたい。. ができない」 (756条 ) という対抗要件にとどま っている。. そこで, この対抗要件規定が ,所得税をめぐ る 納税者と国との. 関係にも適用されるかどうか. こ. (3) 家事労働担当者の 報酬の扱い 最高裁の昭和 36 年判決と関連して ,家事労働 担当者の報酬について ,宮崎俊行教授から特色 あ る見解が示されている。 その見解を要約して おこう 3% 。. 756 条にい. ①消費共同生活についての 合意を「家族法上. う「第姉者」とは ,夫婦の財産に利害関係のあ. の組合関係」と 構成しそこに 提供された財. る第三者であ り, 「第姉者を保護する 趣旨は,. 産,たとえば生計費は,組合員である夫婦の共. 取引関係において 夫婦が夫婦財産契約に ょ. 引の担保となる 夫婦財産の隠匿あ るいは仮装を. 同所有 ( 二合有 ) となる。 ②自己の勤労に 基づいて収入を 得た者は,そ. なすのを登記によって 防止する意味をもってい. の中から家事労働担当者に 対して報酬を 支払う. るⅠ。,とされる。 この一般趣旨を 承認するとし. べきこととなる。. が問題であ る。 民法の解釈として ,. 9. 敗.

(10) 88 (88). 横浜経営研究. 第V 巻. ③家事労働担当者の 報酬は,一方 ( たとえば 夫 ) にとっては収入を 得るための必要経費であ り,他方にとっては所得となる。 宮崎教授は, このような認識に 立って, 「民 法 762 条 1 項は, もちろん違憲ではないが , 本 条を根拠にして ,. もしくほ本条の 不平等適用の. 結果として,現実的,積極的・客観的寄与をな している家事労働担当者・ 妻に,その報酬・ 所 得の帰属することを 否定してしまうことほ ,違 憲の疑いが極めて 濃い ,. とはけ」とされる。. ただし,教授は,家事労働担当者が報酬を得 る権 利を認められるのは. ,世帯・消費共同生活. の組合の覚から 収入を得る者が 自己の勤労に 基 づいて得ている 場合に限られ ,. 自己の勤労に 基. づかない利子,配当等の場合には,報酬を受け る権 利がない旨を 強調される。 宮崎教授の議論は ,紹介した部分のみでは,. 解釈論であ るのか立法論であ るのか明確でない が,最後の「税法への提言」の項に「現行の 所. うな法的立場にあ るのかという 問題があ る。 民 法. 761 条によれば,. 「夫婦の一方が 日常の家事. に関して第三者と 法律行為をしたときほ , 他の. 一方は, これによって 生じた債務について ,連 帯してその責に 任ずる」とされている。 そこ で ,租税債務が 日常の家事債務といえるかどう かが問題となる。 しかし,民法761 条は,夫婦 の家事に関して ,. 取引をなす第三者からみれ. ば,夫婦の双方を相手と考えることが 多く, そ のような第三者を 保護しなければならないとい う要請に基づく 規定であ る "。 , 。 このような立法. 趣旨に従って 租税債務についてみると ,それは 行政庁との取引によって 生ずるものではない. し,かりに,申告行為に 法律行為的要素があ る とみても,行政庁が夫婦を一体のものとみて 行 動するという 説明 は 成り立たないと 思われる。 したがって,民法761 条は,租税債務にほ適用 がないというべきであ ろう 85,。. る。. さらに,租税法の連帯納付義務の 規定との関 係においても 夫婦財産制度が 問題になる。 国税 にあ っては, 「共有物,共同事業 又は 当該事業 に属する財産に 係る」ものについて ,地方税に あ っては, 「共有物,共同使用 物 ,共同事業, 共同事業にょり 生じた物件又は 共同行為に対す る徴収金」及び ,同様の特別徴収義務者の納入 義務について ,それぞれ連帯義務が課されてい る ( 国税通則法 9 条,地方税法 10 条の 2) 。 そ. 所得税の制度としては ,必ずしも民法に合致. こで,民法理論とこれらの規定とをどの. 得 税法 56 条の生計を一にする 親族間における 対 価支払の否認の 原則と, 45 条 1 項 1 号の家事上 の経費・関連費の 必要経費不算入の 原則, とに 対して,根木的な検討をせまち 必要があ る」と 述べられていることからすると. ,前述の議論@. 原則的法理論であ って,その具体化は所得税法 の改正による べ ぎであ る, という趣旨のようで あ. 第 1 号 (1984. させる必要性のないことほい. う. までもない。. こ. ようレこ. 関係づけるかという 作業が必要になる。. とに,消費生活における共同という通常の 夫婦 に着目した税制を 樹立することは 差支えないで. 第一に,夫婦の一方の名義で 不動産を取得し た場合であ っても,実質的には夫婦が共同で 取. ろう。 たとえば,金子安教授は, 妻の生産労. 得したものであ るということで ,連帯納付義務. あ. 働・家事労働を 正当に評価する 制度として, 夫 婦の所得を合算し. ,それを夫婦の共同の所得と. 考えて,独身者用と異なった夫婦用の 税率表を 適用する制度を. 提案されている③。 所得税制度. を生ずるのであ ろうか。 不動産取得税が「共同. 行為 - に対する地方税となりうる 性質を有して いることは疑いない⑥。 しかし不動産取得税 は,流通段階において課税しよ 5 とする税であ. の改正によって 対処するのが 適当であ ろう。. るから,購入による不動産の「取得」者は ,売. (4) 。補講. も との関係における 買主が誰であ ったかによっ. コ. 徴収上の処理. 以上述べてきた 問題とは別に ,夫婦の一方@, こ ついて生じた 租税債務につ L.、 て ,他方がどのよ. て判定すべ. き. ものであ る。 とするならば ,購入. 代金の形成に 寄与しているということで , 直ち.

(11) 家族法の展開と 租税法. (89) 89. (碓井光明 ). に ,取得が共同でなされたということはできな. い。 だだし,登記名義が真実の買愛人を 反映し. Ⅰ. 1. 内縁関係と租税法. ていない場合には ,真実の買愛人に課税される ことは当然であ る。. 1.. 内縁関係に関する 租税法の態度. 第二に,固定資産税の納税義務者 は ,固定資 産の所有者であ るから ( 地方税法 343 条 1 項 ),. の成果の一つは ,内縁関係にある者ないしあ っ. 実質的共有論等と 最も関係をもつはずであ る が,登記簿に登記されている 土地建物について. た者の保護であ る。 今日,親族法の体系 害 等に おいては,内縁の不当破棄老の 責任などに 閲す. は,登記名義人に課税されるので. ( 同条. 2 項 ),. 実際には, ほとんど問題にならない。. 家族法の分野における 学説,判例による努力. る 叙述が必ずなされている。. また,借家権の承. 財産を有し,かつ,当該財産。 こ関して生ずる 所得. 継について,借家法7 条の 2 は,限定的でほあ るが,明文で内縁関係にあ る者の保護を 図った ものであ る。 まだ,社会保険関係の 法律をはじ め,各種の法律において ,内縁関係にある老を 配偶者と同様に 扱っている。 このような状況の 中で,租税法は,いかなる態度をとっているの. が納税者の所得となっている 場合において - 納. であ ろうか。. 次に,国税徴収 法 37 条 は ,納税者と「七目を一 にする配偶者その 他の親族でその 納税者の経営 する事業から 所得を受けているもの」が ,. 「納. 税者の事業の 遂 小こ久、 くことができない 重要な. 税者の滞納・ 徴収不足 見込 があ るとき ",. その. 者が第二次納税義務を 負 旨を規定している。 この規定の適用において ,重要な財産の所有名 う. まず, 内縁関係を明文で 取り込んでいるのは 次のような場合であ る。. ①. 同族会社の判定の 際の特殊関係者. 義が 妻になっているが ,それが名義にすぎず,. 同族会社を判定する 際の特殊関係者には ,. 実質 は 納税者であ る夫が所有しているというよ. 「株主等とまだ 婚姻の届出をしないが 事実上婚. うな場合に,所有名義人であ る要が第 =- 炊納税. 姻関係と同様の 事情にあ. 義務を負うのであ ろうか。 一般には, まさにそ. 令. ( 法人税法施行. されている。 すなわち,納税者が,親族等の財 産をあ たかも自己の 財産と同様に 支配 L,, 実質. 項 2 号 ) が含まれている。 同じく, 相 統税法 64 条 1 項の同族関係者についても ,「株 主又は社員とまだ 婚姻の届出をしないが 事実上 婚姻関係と同様の 亨 佑 にあ る者及びその 者の親. 的な処分権 限を右している 場合などが想定され. 族でその者と 生計を一にしているもの -. ているのであ る 3" 。 その趣旨 は もっともであ る. 施行令 31 条Ⅰ. が, その趣旨を忠実に 法文化する必要があ るの. に対する寄附財産の 譲渡所得の非課税の 規定中. では ないかと思われる。 また,. にも,同趣旨の定めがあ. のような場合に 対処しようとした 規定であ ると. - 納税老の経営. する事業から 所得を受けている」ことを 要件と. している点は ,第二次納税義務を負. 根拠とし. 4. 条. る老」. 1. ( 同法. が 含まれている。 公益法人等. 号). る. (租 ". 法施行令 5 条. のⅡ第 3 項 1 号 ィ ) 。. なる重要な資産を 無償で提供している ょ,な場. 第二次納税義務 国税徴収 法 38 条 は ,納税者が視臥 その他の特 殊関係者③に 事業を譲渡し ,かっ,その 譲受人 が同一とみられる 場所において 同一又は類似の 事業を営んている 場合に,その譲受人に第二次. 合にも,妾が第二次納税義務を 負. 納税義務を課し. う. ての説得力を 与えるものであ るが,常にこの 要 件を必要とすることが 妥当か否かについて 再検 討する必要があ る。 妻が夫の事業所得の 基因と. があ. り. ぅ. るからであ る。. う. とする必要. ②. ぅ. るとしているが ,. 「婚姻の届. 出をしていないが ,事実上婚姻関係と 同様の事 情にあ る若. -. を 配偶者と同じに 扱っている. 法施行令 13 条. 1. 項. 1. (同. 号 ) 。 無償又は著しく 低い.

(12) 90 (90). 第V 巻. 横浜経営研究. 第. 1. 号 (1984). 対価の譲渡を 受けた者が, この特殊関係者に 該. があ. 当するときには ,同法39 条の第二次納税義務の. 相続税についても ,配偶者に対する軽減規定が 置かれているが ( 相続税法 19 条の 2), ここで. 場合に , 受けた利益の 限度. ( 一般は. , 受けた利. 益が現に存する 限度 ) とされている。 これに関連して ,地方税法の同種の第二次 納 説義務の規定 Cm 条の 7, Ⅱ条の 8) を受けた 同法施行令 5 条の特殊関係者の 定義には,国税 徴収法施行令のような 内縁関係にあ る者を含む. 旨の明示的規定が 置かれていない。. 「納税者. 又. 83 条,相続税法 21 条の 6) 。. ( 所得税法. は,前記二 税の配偶者控除の 対象となる「配偶 者」に内縁関係にあ る者が含まれるか 否かを 問 題 忙したい。. この点を扱った 裁判例として ,大阪地判昭和 36. 9. 19 ( 付載何集 12 巻 9 号 1801 頁 ) があ る 配偶者控除が 独立せず, 扶養控除に ( ただし. は 特別徴収義務者から. 含まれていた 時点のものであ. の財産に. 結論を導く理由として ,. 5条. よ. 受ける特別の 金銭その他 り生計を維持しているもの」⑨ ( 令. る. 項 3 号 ) に含まれるとみるのも 困難であ る。 では,国税と異なるのかというと ,結果は 全く同じであ る。 すなわち,同法施行令 3 条 1. ェ. 号 こ, Ⅴ. 「経営者の配偶者. ( 婚姻の届出をしてい. ないが,事実上婚姻関係と同様の事情にあ る者 を含む。 以下同じ。) 」との表現が 存在するから ・. ・. ・. る 法律用語は他の. る)。. 裁判所は,. 「あ る法律分野にお. け. 分野においても 同一意味を有. するのが原則であ るから,ある法律で単 に. T配. 偶者』及び F 親族』と規定している 場合には 民 法 上の配偶者 ( すなわち婚姻届をした 配偶者 ) 及び親族を指称するものと 解すべきであ る」と. ・. であ る。. し,他の立法例に比較して,所得税法には,. 「内縁の配偶者を 含ましめることがうかがえる. ③ 連帯納入義務を 負 共同事業者 地方税法 10 条の 2 第 3 項によれば, 「事業の 法律上の経営者が 単なる名義人であ って,当該 う. 経営者の親族その 他当該経営者と 特殊の関係の. る個人で政令で 定めるもの」が 事実上当該 事 業を経営していると 認められる場合において あ. ような特別の 表現が用いられていないから , 同 法 では内縁の配偶者を 扶養親族に含めしめてい. ないと解せざるをえたい」とした。 ところが, この判決は,前記結論に先行する 侍読部分において ,. 「内縁の配偶者のあ る納税. 義務者に扶養控除を 認めることに 合理性があ. ほ,特別徴収の連帯納入義務を 負う共同事業者. り,一方そうすることによって ,なんらかの不. とみなすことにしているが ,その親族等の特殊 関係者の中に 内縁関係にあ る者も含まれている. 都合を生ずるおそれもない」から ,控除を認め るべしとの主張は 一応札っともであ ると述べて いる。 そして,⑦現実生活における扶養の実体. ( 施行令 3. 条. 1. 号) 。. 以上列挙しただけでも. ,内縁関係者を配偶者. を 把握するという. 観点からすれば. ,内縁は男女. と同じに扱う 立法例 は ,いずれも,租税債務の 拡張など納税義務者の 不利益となる 方向で規定. が相協力して 夫婦としての 生活を営む結合であ る点においては 婚姻関係と異るものではないか. されていることが 理解できる。。 '。 もっとも,所. ら,控除を認めることに合理性があ ること,㊥ 婚姻の届出は ,控除を欲する納税義務者が 単独 でなし得るところではないので ,婚姻の届出に より利益を受けうるからといって ,内縁配偶者 につき控除を 否定すべきではないこと ,④納税 義務者と生計を 一にする者が 内縁の配偶者であ. 得税法 56 条においては ,「配偶者その他の親族」 と 定めるのみで ,内縁関係者を含めていない。 認定が困難であ るという問題はあ るものの,内 縁関係者を含める 立法措置を講ずるのが 妥当な よう に思われる。. るかどうかを 認定することほ ,. 2. 「配偶者」控除との 関係 所得税及び贈与税に 関して配偶者控除の 規定. さほど困難では. ないこと,をあげている。 以上紹介した 部分は傍論であ. るから,それを.

(13) 家族法の展開と 租税法 独立に論じても 意味がないともいえる。 し. しか. 「配偶者」の 意義に関し 民法レベルにお. ける内縁についての 理論が, なぜ他の法分野, ことに租税法に 投影されないのか ,. ほ ついては. (91) 91. (碓井光明 ). 内縁に関して ,民法以外の分野においては , 特別の立法措置により 配慮していくという 流れ. からみて,大阪地裁の判断を承認せざるをえな いが。", 立法論としては ,所得税の配偶者控除. 検討する必要があ ろう。 単に , 他の立法例との. ほ ついて検討の 余地があ るのではないかと 思わ. 対比。こよ り, 内縁を配偶者に 含める旨の立法措. れる。. 置が必要であ るという議論のみならず ,. なぜ,. 所得税法や相続税法が 明文規定を設けようとし ないのかを探究する 必要があ ろう。. 3.. 内縁関係と相続税・ 贈与税 内縁関係をめぐり ,相続税の うえ で か かなる. この点で最も 問題となるの ほ , 内縁関係にあ るといえるかどうかの 認定であ ろう。 民法の関 係する紛争に 関してほ, いわば散発的に ,裁判. 扱いがなされ ,. いかなる問題があ るかをみてお. きだい。 まず,相続関係にお。 す る画一性の要請などか. 所が処理すれば よ いのであ るが,租税法におい. ら ,相続権は,. ては,大量に処理しなければならないのであ. 解されている 何 。 さらに,その実質的な理由に. る. から,単なる同棲生活などと 内縁の共同生活と. 内縁配偶者には 認められないと. を個別に判定することは ,相当な事務量の増大. 「相続による 財産の帰属が 取引秩序と 関連し,内縁のようにその存在を外部から 知り. となるはずであ る。 一般論としてほ ,. えないものには 相続の効果を 認めえない」 4". このよう. ついて,. こ. な理由で, 内縁関係にあ る者を配偶者と 同じに. と, 準 指事実の立証の 困難さなどがあ げられて. 扱っていないのであ ろう。. いる 蜘 。 内縁関係にあ った者は,昭和37 年に追. しかし な お 細かくみる必要があ る。. 加された 958 条の 3 の特別縁故者の 中の,被相. 第一に,贈与税の配偶者控除についてみる. きわめて困難であ. 続人と生計を 同じくしていた 者」として,相続 財産の分与を 受けるとしても ,それは,相続人 不存在の場合であ るから,相続一般のレベルに おける内縁問題の 解決にはなっていないのであ. は,婚姻期間の起. る。。 ,。 あ るいは,皮肉な見方をすれば ,. と,所得税に比べて課税件数 は 少ないのであ る. が,婚姻期間20 年以上という 要件を内縁関係に あ てはめて判定することほ , る。 相続税法施行令 4 条の. 6. この 追. 算点を婚姻の 届出があ った日として ,婚姻届の. 加 によって, 内縁問題の解決は 遠のいたとみる. なされている 配偶者のみを 想定している。. べ き かも知れない。. 第二に,所得税は,課税件数は多いのであ が,. る. この ょう な状況において ,次のような問題が. 国民皆保険制度の 確立に体なって , 国民. 生ずる。 内縁関係にあ る一方の当事者が 死亡した場合 に ,他方の生存内縁配偶者に対して金品が 給付 されることがあ るが,相続人が存在するとき に,それを租税面でいかに処理すべ き かであ. は, 何らかの健康保険制度に 加入しており ,そ. れらの健康保険関係の 法律では, 内縁関係にあ る者も配偶者と 同じに扱っているので (健康保 険法. 1. 条2 項. 1. 号,国家公務員共済組合法 2 条. 項 2 号 イ など。 国民健康保険法も 世帯単位で あ るので, 実質的には同じであ る ), これらの 事務が円滑に 処理されているとすれば ,認定の 1. 困難さにより 消極 説 に直結させることは 相当で. る。 まず,一つの見方は,相続財産の中から拠 出される贈与と 把握するもので ,. これに. よれ. ば ,相続人は, 内縁配偶者に. 対して給付した 分 を相続税の計算上控除することができない。 ま た,給付を受けた内縁配偶者は「贈与」として. ない。 特に,給与所得者に関しては,源泉徴収 義務者において ,社会保険の事務と併せて 処理. 贈与税を課税される。 しかし. することが可能であ る。. わたり共同生活を 営み財産の形成に 寄与した. これほ, 永年に 内.

(14) 92@ (92). 第V 巻. 横浜降 宮 研究. 第 1 号 (1984). 縁の配偶者に 対して配慮を 欠く扱いというほか はない。 しかし,他方で,相続そのものである. 検討を期すこととしたい。 家族法の分野は ,財. とみることは 困難であ る。 民法 958 条の 3 第 1. 産法の分野に 比べて法律自体の 拘束が強く,租. 項による特別縁故者に 対する財産の 分与につい 相続. 税法も比較的容易に 適用しさるはずであ るが, しかし,審判や裁判によらないで ,当事者の話. 税法 3 条の 2 が , 特に遺贈に よ るものとみなし. し 合いで解決された 事案については ,租税法の. ているのであ る。. 以上述べたよらに ,贈与とみることにも相続. えで,交付された金品の性質を 決定しなけれ ばならないことも 多い ( 財産分与と慰謝料の 額. とみることにも 問題があ る。 実際には,個別事. が区分されていない 場合が典型であ る ) 。 適用. 案に係る事実認定の 問題であ るが,少なくと も,すべてを贈与とみることは 相当でなく,生 存中の内縁解消に 際して財産分与として 認めら. にあ たる行政庁は 困難な認定に 直面せざるをえ. ては,贈与であるという前提に 立って ",. が ,時間の不足と紙数の不足とに. よ. り,他日の. う. ないことになる。. れる程度のものについては ,民法理論として も,分与を認める可能性が高いのであ るか ら 。 " ,相続税法の解釈上も, 「贈与」にはあ た. つ. 関口健一郎「現行所得税法要義」 (蕨粉 堂 書店, 明治 44 年 ) 176-177 頁。 また,大正9 年の所得. らないというべきであ ろう。。 ,。 分与を受けた 者. 税法の改正後に 刊行されたとみられる ,大阪税. が,他にいかなる課税問題を生ずるか ほ ,財産. 務監督 局 「第姉種所得税実務講義 案. 分与と共通に 処理すれば足りると 思われる。9)0 以上みてきたよ. う. 。こ, 内縁配偶者の 相続権 否. 定 という強固な 民法解釈論にもかかわらず ,財 産分与理論の 展開に体なって ,租税法の適用も 大きな変動を 受けることになる。 この法理の発 展。こ よっては,実質的には相続に代替する 機能 をもっ よう になるであ ろう。。 , 。 その場合に,相. 続人の柑統税の 計算において ,分与債務控除と して相続財産から 控除し ぅる. よ. う. 。こする必要性. が出てくる。 相続税法 13 条 1 項 1 号の「被相続. 人の債務で相続開始の 際現に存するもの」。 " 及 び 14 条 1 項の「確実と 認められるもの」の 要件. を満たすことに ,それほどの困難はないと 考え られるからであ る。. 』. も,. 「我. 国の法制に於ては 家族を以て国家の 一 単位とし 同居の家族間に 在りては経済を 共通する風習 尚 存するのみならず 故意に所得を 分割するの弊を 防止するの目的」によるものであ ると説いてい た (51頁 ) 。 2) 中川善之助「日本親族法 一昭和 17 年 @@ ( 日本評論社,昭和 17 年 ) 107 頁。 中川博士は, さらに,次の ょ 引こ述べて, 当時の民法につい. -. て批判された。. 「ただ忘れてならないことは. ロ. ,. 実質的に決定された 家族関係には 実質的の効果 が許さるべく ,形式的の家族関係の 上には形式 的の効果だけより 認められないとしふことであ る。 この意味に 於 いて, 私は わが民法の家が 純. 粋に形式的・ 技術的概俳であ ること自体には 何 の不服もないけれども ,そうした形式的・ 技術 的 概念たる家族関係の 上に甚だ実質的な ,現実. 共同生活の存在を 前提としてのみ 許容される如 き,効果が認められていることの 稀ならざるを 怪しむものであ る」 (108 頁 ) 。. これに対して ,穂積重遠博士は,逆に,「我 国現在の家族制度は 既に甚しく形式的であ. おわりに. っ. て,後述の通り 戸籍上の一家と 親族的共同生活 の 実質とが一致しない。 これでは家族制度なる. 当初の予定でほ ,. 「扶養義務の 履行と租税」. 「離婚の際の 財産分与・慰謝料と 租税」と L づ. 問題も考察する 予定であ った。 特に後者につい ては,財産分与と慰謝料をめぐる 民法理論が展 開され,それに応じて租税法の 解釈と適用も 影 響されるので 是非検討を加えたかったのであ. る. ものが形式上は 維持されて実質的には 崩壊し去 らぬとは 請 合はね ね 。 それ故家をモット 実質的 なものに引直すことが 新しい家族制度の 第一歩 であ る」と述べている (『親族法 J (岩波書店,. 昭和 8 年 ) 77 頁 ) 。 3) 渡辺吉蔵 『所得税法講義 金 第 3 版 J1 (東京財務 協会,大正10 年 ) 228 頁, 同 『所得税法・ 資本 利子税法釈義』 ( 自治 館 ,昭和2 年 ) 204 頁, 田.

(15) 家族法の展開と 租税法 (碓井光明 ). 4). 5) 6). 7). 中 勝次郎「所得税法精義」 (厳松 覚書店, 昭和 5 年 ) 278-279 頁。 要件としての 説明なのか,傾向の 説明であ るの が判然としないが ,武本宗 重郎「実務参考所得 税法詳解』 (東京税務調査会,大正 15 年 ) 210 頁 は, 「経済生活を 共通に営む二人以上 ff)者 即ち 戸主 文 同居家族」と 述べている。 生計の維持という 概念は,工場法施行令 8 条に もみられた。 和辻哲郎 倫理学中巻 J ( 岩波書店, 昭和 17 年 ) 174 頁。 F 新版新法律学辞典 d (有 斐閣,昭和42 年 ) 7 Ⅱ 頁 , 林 修三ほか 編 『法令用語辞典」 (学 陽書房, 昭和 51 年 ) 419 頁。 国民健康保険法は ,市町村 の区域内 住所を有する 者を当該市町村の 行う ニ. 坂 )11 40 頁など。 Ⅰ。) 「シャウブ使節回日本税制報告書』 だし, シャウブ使節 団が ,. (5 条 ), 修. 学中の者で「修学していないとすれば 他の市町. 村の区域内に 住所を有する 他人と同一の 世帯に 属すると認められるもの」については ,. 常 に属するものとみなしている. 当該 世 (116条 ) 。 他の. 立法例として ,住民基本台帳法 (6 条, 25 条 ), 生活保護法 (10 条 ) などがあ る,. 8) 中川善之助丁 泉、 久雄 相続法 ( 新版 lJ (有斐 閣,昭和49 年 ) 404 頁。 9) 『シャウ プ 使節回日本税制報告書』 ( 日本税理士 正. 会 連合会,昭和54 年復元版 ) 52 頁, Ⅰ. 0) 本文引用邦訳部分の 原文は, "the traditional Japanese unity of the family" という表現で あ る。 なお,我妻栄 F 家の制度」 (酬燈社 ,昭 和 23 年 ) 27 頁は,和辻氏の 「人倫」を批判しつ っ,. 「夫婦共同体・. 目 -54 頁。 だ この部分を最初から. 重要なものと 考えていたのか , 日本政府からの 強い要請により 盛り込まれだものであ るのかに ついては,検討が必要であ る,. 18) 景一小判昭和 51.3.18 訟務月報 22 巻 6 号 1659 頁。 9) 碓 ガー・ (半 l@ 評釈 ) ジュリスト 650 号Ⅱ 4 頁。 20) 金子 安「租税法 (補正 版 )J (弘文 堂 ,昭和護 年 ) 153 頁, 碓井「共同事業と 所得税の課税」 税理-25 巻 6 号 9 頁, 北野腔大「内助の 功と税 法」北野編「日本税法体系』 251 頁, 257 頁。 Ⅰ. @1 ワ. 》. 金子. 安「所得税における 課税単位の研究」. 十二郎先生古稀記念「公法の 理論 閣,昭和51 年 ) 703 頁, 735 頁。. レこ. 国民健康保険の 被保険者としつつ. 93. (93). (中 Ⅱ. 田. (揖斐. 22) 吉良 実「課税単位」別冊ジュリスト『租税・ 判 例百選 (第二版Ⅱ 38 頁。 23) 金子・双掲論文 734 頁。 なお,最高裁判決の 読 み 方については ,活水敬次 「夫婦所得課税」 別 冊 ジュリスト『憲法判例百選Ⅱ』 340 頁を参照。 24, 我妻 栄『親族法』 (有 斐閣,昭和36年 ) 102頁 以下,青山道夫編 「注釈民法 (20)親族 (1)j (有 斐閣, 昭和 41 年 ) 410 頁 (執筆分担・石地 亨 ) も, この流れに属する。 25) 有泉、 亨 F 新版親族法・ 相続法 (補正 坂 )Jl (弘 文 覚 ,昭和56 年 ) 52 頁のい う , 「婚姻が継続し ている間は倫理と 愛情とにまかせ ,婚姻が解消 する際にこれを 考慮することにしている」とし ぅ. ,. フ. 理解が一般的であ ろう。. 6) 杉崎光世「夫婦財産契約について」青山道夫博 士 追悼論集『家族の 法と歴史」 (法律文化社,. 親子共同体の 他にⅡ家族共. 同体」を認めるにしても ,それほあくまでも. 昭和 56年 ) 153頁, 164 頁。. Ⅱ日常生活の 共同」を媒介する 者の間 " 限らね ばならない」と 主張したが, この制度 は ,実際 の生活の共同に 着目するものであ るから,矛盾 するものではない , 11) トン ャウプ 使節 団 日本税制報告書」双掲 53 頁。 12) 同趣旨の裁判例として ,東京地判昭和皿 . 7. 28. 折 り佐藤良雄「資料・ 夫婦財産契約とその 登記」 英 城法学 8 号 117 頁, 202 頁, 204 頁に よ る。 ,フ 8 Ⅰ軍者 も ,かつては,そのような 解釈に傾いてい. 行裁 何集 折巻 7 号 1067 コ 何故別集 29 巻 1 号 71 3) 最一 小判昭和 55.11.20 14) 碓井「立法府の 裁量 と. する文献として ,金子 安 F 咀 税法 (補正 坂 Ⅱ 153 頁があ る, 29) 青山道 " 綱丁注釈民法⑫ 0)" 族 。 1 Ⅱ 3 羽 頁働。. Ⅰ. 頁,東京商利昭和㌍. 1. 頁があ る。 判例時報 1001 君 31 頁 。 連憲審査」別冊。 , ス、 「憲法判例百選 DJ 328 頁, 嗣 吉良 実「資産所得合算課税のあ 方 」説経遊 j38 巻 12 号 19 頁, 大 " 勇 「課税。 位 ,: 実質課. エは. 財産契約の場合の 所得税法の解釈の 問題を指摘. 筆 分担・依田精一 ) 。. リ. ト. Ⅰ. た 。 碓井「租税法における 課税物件の帰属につ いて ( 山 」説経通信 27 巻 2 号 48 頁, 49 頁,夫婦. り. 税」税理士会 818 号。 ) 北野腔人『税法の 基本原理 ( 増補 版 Ⅱ 0 や大経 済社,昭和37 年 ) 245 頁以下, 北野腔大「資産. 所得の合算課税制度」北野編「日本税法体系. 刀 (学 陽書房,昭和54 年 ) 269 頁, 泉美文世 「資産所得の 合算課税制度の 検討」秘経通信 36 巻 Ⅱ 号 2 頁,三木義一「資産所得合算制度の 合 憲性」別冊 ジ, " , 。 F 租税判例百選 悌二. 30) 碓井・前掲 (注 28) 論文 50 頁。 31) 民法 758 条 1 項に関する立法論的批判としては , 背山道。編 ,前掲薯 378-379 頁 (敵軍 " 担 ・依 田精一 ) 。. 3@. 宮崎俊行「夫婦の " 力 をめぐる民法と 税法」高 梨公之教授還暦祝賀論文集「婚姻法の 研究 仕 Ⅱ (有 斐閣.昭和訂年 ) 166 頁。 33) 金子・双掲 (注乃 ) 論文 735-737 頁。 34) 中川善之助「親族法 (上 Ⅱ (育林書院,昭和33 年 ) 240 頁, 中川善之助 編 「註釈親族法 (上 Ⅱ 。 有 斐閣, 昭和 25 年 ) 218 頁 (執筆 " 担 ・有泉、 ソ.

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