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高分子含有チタニアゲル薄膜の乾燥過程におけるベナールセル構造の形成とその機構

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Academic year: 2021

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(1)高分子含有チタニアゲル薄膜の乾燥過程におけるベナールセル構造の形成とその機構                                 教科・領域教育学専攻                                  自然系(理科)コース.  M10183G 池田 慎太朗. 1 はじめに.  化学研究室では様々な金属アルコキシドを用. れに、修飾剤としてアセチルアセトン(AcAc)、. い、有機高分子であるヒドロキシプロピルセルロ. 溶媒の2一プロパノール(2・PrOH)、加水分解の. ース(HPC)を多量に含んだゲル薄膜の作製を行. ための水(H20)、触媒として塩酸(HC1)を加. ってきた。これらの高分子含有ゲル薄膜では、組. え、出発溶液を調製した。組成はモル比で、. 成によっては表面に特徴的な凹凸構造が形成さ. Ti(0・ナPr)4:AcAc :2−PrOH:HC1:H20=1.O:. れることが報告されている。. O.3∼1.0:25∼50:1.3:6.5とした。高分子とし.  このような凹凸構造の発生は、ベナール対流に. てHPCを使用し、チタンアルコキシドが全て反. よるものと考えられている。ベナール対流は上層. 応した場合に生成する酸化物に対して重量比. と下層の間の温度差により発生し、一般的には、. 1.0∼4.0倍量を添加した。その後、ガラス基板. 溶液の密度、層厚、粘度などの要因が影響すると. 上にディップコーティング法、スキージ法により. 考えられるが、ゾルーゲル法で作製した薄膜は非. 薄膜を作製し、乾燥、焼成を経てゲル薄膜を得た。. 常に薄く、また温度差はほとんど生じていないと. これらのゲル薄膜について、レーザー共焦点顕微. 考えられるため、その発生のメカニズムは明らか. 鏡を用いて表面形状を観察し、出発溶液のHPC. になっていない。. 添加重、2・PrOH添加重、AcAc添加量の表面形状.  そこで、本研究では金属アルコキシドとしてチ. に対する影響を調べた。さらに、作製したゲル薄. タンテトライソプロポキシドTi(0一ナPr)4を用い. 膜の凹凸構造を観察し、溶液の粘性、密度、層厚、. て、HPCを多量に含むゲル薄膜を作製し、表面. 蒸発量により構造の形状や大きさを整理した。. に形成される形状の観察により、その発生のメカ. ニズムを明らかにすることを目的とした。また. 3結果及び考察. HPC添加重、2一プロパノール(2・PrOH)添加重、.  有機高分子を多量に含んだゲル薄膜を作製し. アセチルアセトン(AcAc)添加量の表面形状に対. た結果、条件により薄膜表面に特徴的な凹凸構造. する影響について検討し、さらにこれらの高分子. が見られることが確認できた。このような凹凸構. 含有ゲル薄膜の表面形状と対流の関係について. 造に溶液の粘性や密度、蒸発量が関係していると. 考察を行った。. 考え、HPC添加重、2・PrOH添加重、AcAc添加 量を変化させて薄膜を作製した。. 2 実験方法.  まず、HPCを添加した場合、膜全体に100μm.  高分子添加チタニアゲル薄膜の作製には、出発. 程度の四角形の構造が形成され、添加量を増加さ. 原料として、金属アルコキシドであるチタンテト. せると、縦横の長さが異なる四角形の構造が観察. ライソプロポキシド(Ti(0寸Pr)4)を使用した。こ. できた。構造の大きさは、HPC添加量の増加に.

(2) ともない構造の長さ、高さともに増加することが わかった。.  次にHPCと同様に、溶液の粘性や密度、蒸発 量に大きな影響を与えると考えられる2・PrOH添 加量を変えて薄膜を作製した。その結果2・PrOH 比25では、縦横の長さが異なる四角形の構造が、. また添加重を50に増加すると、300μm程度の円.           Ri. 形に近い構造が現れた。2・PrOH添加量が増加す.      図1.構造の長さとRiの関係. ると、構造の長さ、高さともに減少することがわ. ず、粘度が小さくなったため対流の直径が小さく. かった。. なったものと思われる。ベナール対流は、溶液の.  次にTi(0・ナPr)4の反応性に直接影響するAcAc. 密度、層厚、粘度、温度差によって、レイリー数. の添加量を変えて薄膜を作製した。ゾルーゲル法. (RJでその形成が見積もられる。しかし今回作製. の場合、アルコキシドの重合反応が進むにつれて、. した薄膜において、表面と基板面の間に温度差は. 溶液の粘性が増加することが知られている。AcAc. 非常に小さいと考えられるため、薄膜表面におけ. 比0.3の時、縦横の長さが異なる400μm程度の. る溶媒などの蒸発により密度差が生じることが. 四角形の構造が観察され、添加量が増加すると、. 対流の要因であると考えた。そこでレイリー数の. 膜全体に縦横の長さがほぼ同じ四角形が衝察さ. 温度に関する項に対して代わりに蒸発量を代入. れた。AcAc添加量が増加すると、構造の長さ、. し、次の式で表わされるRiを見積もった。. 高さともに減少することがわかった。.  このような変化は、溶液組成の変化により粘度. Ra=pgd.3α△T!qk. Ri=Pgd3v!I1. や密度が変わり、ベナール対流の形成に影響を与. ここでρは密度(kg!m3)、gは重力加速度(m/s2)、d. えるためであると思われる。ベナール対流は、粘. は層厚(m)、γは蒸発量(kg!m2・s)、ηは粘性係数. 度や密度が層厚に対して極端に大きい場合、小さ. (mPa・s)、∠l rは温度差(K)、αは熱膨張率(Kl)、. い場合のいずれにおいても形成されることはな. 五は熱拡散率(m2/S)を示している。. い。また形成する範囲内においては、粘性が大き.  図1はそれぞれの薄膜の作製条件から見積もっ. いほどまた密度が小さいほどその直径は大きく. たRiと構造の長さの関係を示す。今回作製した. なるとされている。今回、HPC添加量の増加に. すべての薄膜について、スキージ法、ディップコ. ともない対流の直径が増加したが、これはHPC. ーティング法で作製したいずれの膜についても. 添加による粘度の増加が主な要因であると思わ. Riと構造の大きさの間には良い相関がみられる. れる。. ことがわかった。つまり本研究において、ゾルー.  一方で、2・PrOH添加量が増加すると、構造の. ゲル法により作製した薄膜にみられた表面の規. 大きさが小さくなった。これは溶媒量の増加によ. 則的な構造は、溶媒の蒸発により、表面と基板の. り、溶液の粘度が小さくなり、対流の直径が小さ. 間で生じた密度差が引き起こしたベナール対流. くなったと思われる。. によるものであることが明らかになった。.  またAcAc添加量が増加すると構造の大きさが 小さくなったが、これはAcAcによりアルコキシ. 主任指導教員 尾 關 徹. ドの反応性が小さくなり、重合反応があまり進ま. 指導教員小和田善之.

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