グローバリゼーションにおける個人化と個人の新たな社会的存立基盤-U.ベック「リスク社会論」の批判的検討を通じて-
2
0
0
全文
(2) 対人結合という側面での基本的な視座を,主として. これらの考察から,他者との関係性の中に個人化. 塩原勉の議論に依拠して整理する.. にともなう問題が焦点化する日本の個人化過程の特. さらに,現代目本社会の個人化過程の進行につい. 質においてこそ「広義の制度」の位置付けが間われ. て,その状況を領域ごとに概凝して,日本における. ていることが明らかになった.. 個人化の特徴を明らかにする.. 第三に,日本における個人化過程が内包する連帯. 第4章においては,個人化概念の重要な鍵である. を成立させる基盤の欠如という課題を踏まえれば,. 「不安」について聖書的伝統という視点から考察を. 形式合理性に規定されたr狭義の制度」に対して,. 深めるとともに,日本おける宗教的伝統について,. 対抗的分業を担うものとして対置されるべきは,日. 聖書的伝統との対比的な視点から考察する.. 本のハイブリッドモダン形成の過程で産業社会的伝. 終章において,本研究の論考を整理し,グローバ. 統に統合されることなく,逆に捨象された側面であ. リゼーションの深化を背景とした日本の個人化過程. ることを指摘した.そして,異質なものの自己循環. の特色から,個人化が進行する社会での個人の依拠. による再帰的な社会の変容と,個人化した個人が依. する社会的な存立基盤について考察する.. 拠する社会的存立基盤としての異質的・開放的な対. そして,個人化の進行という視点から学校教育に. 人結合連鎖を,「狭義の制度」と「広義の制度」の捨. おける課題と展望を,本研究の考察をもとにしてま. 象された側面との対抗的分業関係成立の申に希求す. とめていく.. べきであると提起した.. IV.研究の成果と課題. さらに,第四として,U.ベックに依拠するなら. 1、研究の成果. ばグローバル化と個人化は再帰的近代化という同じ. 第一に,人間を社会的存在として捉えるならば,. 過程における2つの側面であり,グローバル化とと. 近代的社会集団からも個人が解放される個人化過程. もに進行する個人化過程が,学校教育と無関係では. において,自己形成や社会化がどのような社会的基. なく,逆に深く関連することについて示唆を得た.. 盤のもとで成立していくのかという問題を個人化概. 2.今後の課題. 念は内包していることを指摘した.. 本研究において明らかにした日本の個人過程の特. そして,聖書的伝統に正当化された聖なる天蓋と. 色を踏まえた上で,日本の近代化の過程において捨. してのr広義の制度」が社会的凝集性の基盤である. 象された「広義の制度」から,近代の形式合理性と. 道徳性・共有意識として維持され,U.ベックのい. 対抗的な相補性を担いうる要素を抽出することが大. う個人化が進む過程において新たな意義を獲得して. きな課題である.. いる可能性について知見を得ることができた.. また,制度からの解放と制度への依存が同時に進. 第二に,日本の現代社会において進行する個人化. 行する矛盾する過程である個人化の進行は,学校に. 過程の特色は,近代の形式合理性の徹底に傾斜した. おける日々の教育活動にも新たな視点を付与するも. 同質なものの自己循環であることを明らかにした.. のである.補論において秩序形成の側面から若干の. そして,日本において進行する個人化過程では個. 考察を試みているが,さらに研究を深めていくこと. 人の連帯の在り方が,塩原勉の指摘したポスト・モ. が求められる.. ダンにおける弱連結・横結びの対人結合連鎖とも,. U.ベックがいう階級を超えた不安の共有による連. 主任指導教員 首藤 明和. 帯ともその様相を異にしていることを指摘した.. 指導教員 首藤 明和. 一313一.
(3)
関連したドキュメント
当社は、お客様が本サイトを通じて取得された個人情報(個人情報とは、個人に関する情報
当社は取締役会において、取締役の個人別の報酬等の内容にかかる決定方針を決めておりま
在させていないような孤立的個人では決してない。もし、そのような存在で
当社は「世界を変える、新しい流れを。」というミッションの下、インターネットを通じて、法人・個人の垣根 を 壊 し 、 誰 もが 多様 な 専門性 を 生 かすことで 今 まで
私たちは、行政や企業だけではできない新しい価値観にもとづいた行動や新しい社会的取り
『いくさと愛と』(監修,東京新聞出版局, 1997 年),『木更津の女たち』(共
二月八日に運営委員会と人権小委員会の会合にかけられたが︑両者の間に基本的な見解の対立がある
1989 年に市民社会組織の設立が開始、2017 年は 54,000 の組織が教会を背景としたいくつ かの強力な組織が活動している。資金構成:公共