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田中文相主導下「教育基本法法制」構想の形成 : 昭和21(1946)年9月~11月初旬の教育改革立法過程概況(その一)

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(1)Title. 田中文相主導下「教育基本法法制」構想の形成 : 昭和21(1946)年9月 ∼11月初旬の教育改革立法過程概況(その一). Author(s). 吉野, 博明. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 37(1): 17-31. Issue Date. 1986-10. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5016. Rights. Hokkaido University of Education.

(2)    . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成 −− 昭和21(1946) 年9月 ∼11月 初旬の教育改革 立法過程概況 −−. 古. 野. 博. (その−). 明. はじめに 6巻第2号) の続編 本稿は, 前稿 「教育刷新委員会の発足と教育基本法の立案開始」(本紀要第3 46) 年9月 ∼11月初旬の教育改革立法過程について, 戦後教育改革資料調 査研 として, 昭和21(19 究の現段階で確認しう るところを概況的に整序 し合わせて関連資料の紹介を企図したものである, 前稿の冒頭に少しくふれたように, 文部省内の教育改革立法立案作業は, 昭和21(1946) 年9 ∼10 1月初旬には独自の プロ グラムとスケジュールを先行的 月 段階で急速かつ 体系的な展開をみせて, 1 に形成し, 教育基本法を頂 点とする教育改革立法体系化の原型 という意味での 「教育基本法法制」 構想の形成と呼びうる状況を呈するに至 っていた, かかる状況を促した要因として以下の二点を指 9月初旬にかけての文部 省と CIE (及 び教刷委) との構造的対 摘できよう. 第 ー に, 8月 末から・ 立の表面化, 教刷委の審議・方針形 成を主軸 にそれを文部省が具体化 し実行する方向で局面の打開 E の闘争, 教刷委の自律性の確認を基本 とした三者の任務分担に関する 「合意」(いず を図っ たCI れも前稿参照)を背に負いつつ も,田中耕太郎文相 はなおこの動向とは対抗的な文部省主導による「自 主改革」 の路線に執着したということ. 教刷委の審議はまだ開始された ばかりの段階であった, 第 2年5月 3日施行) 二 に, 11月 3 日に は日本国憲法が公布され (翌2 , lf月16日には第91回帝国議会 が開会されている, 9月段階に急展開をみせた省内の立案作業は, 新憲法の成立 (10月 7 日) ・公 布が間近かに迫る中, 11月臨時議会への法案提出をめ ざして独自に開始されたものとみられよう, この二つの事情を考慮するとき, この段階の整序と紹介にあたっては, ①その諸改革案が制度的に た段階のものであ は生成途上のものであっ たにせよ, 5月末∼8月下旬の立案準備作業とは異な っ , E 教育課の出方をにらみつつもなお文部省のほとんど独自の立案作 ること, ②教刷委の活動や CI 業となっ ている こと, ③したがって, 教刷委の活動 はまだ9月 4 日の三者首脳会談の 「合意」 にふ さわしい位置を確立するに至っていないこと, この 三点に注意する必要がある. 以下, 前稿の補強 を 含 め つ つ そ の 経 緯 を ふ り か え っ て み よ う と 思う,. 1. 1日付教育基本法要綱案の意義 1年9月の審議室の活動と9月2 昭和2 1. 9月21日付教育基本法要綱案の成立経緯. 1) 立案経緯の概況 昭和2 1年9月 段階の文部省内 立案作業の核心は, 8月28日に設置された大臣官房審議室 が教育法 17.

(3)    . 古. 野 博. 明. ・ →教育基本法の具体的立案を開始 し, 9月21日にはその後の教育基本法立法過程と他の教育改革諸 立法の立案動向を規定する一定の成案を確立し, 省議の承認をうけたと推定さ れる点にある. 11月ノ議会の議案 日 高ノー トによる と, 9月11日の省内上層部の会議 (省議と推定できる) で 「 1 ) を開始するの は, 審議室が活 が検討さ れている ) 動 ) 」 ( 傍点引用者 ノ問題 (教育法, 行政制度 , 早く とも9月 4 日の省議以降のこととみられ, 9月11日前後 (ないしそれ以降) に教育法 (→教育 (ママ) )①9月14日付教育 法要綱案 ②9月18日付教育基本法要項案 (審 基本法) の具体的起案に着手し,2 , 想 教刷委第3回総会) 議室提出) , を経て, , ③9月20日, 田中文相による 「教育基本法構 」 の提示 ( この間の審議室 前稿で紹介済み ) ( ①②④の原文は 成案に至 た ,付教育基本法要綱案の ④9月21日 っ , , 1 8 1 4 の活動は, 田中文相→ 省議→審議室というラインで, すなわち, 9月11 , , 日の省議その他に 3 ) な 現れた田中文相や他の局長連の 「意向を体して具体的 案文の作成を」 する というかたちで行わ れたとみ られ, 9月21日付教育基本法要綱案 成立過程における田中耕太郎 の主導性 は明らかだと いっ てよい. 実際, 上記①, ②は, それぞれ9月14 , 18日の省議に付されてその検討をうけたもの であることが確実視される, ④も省議での検討・承認を経たと推定しうる, 日高ノー トは, 9月21 日に省内上層部の会議 (省議と推定できる) が,25日に省議 が開催されたことを記している. なお, 4 )中にも見出すことができる ④の原資料は, 「教育刷新委員会・教育刷 新審議会等関係資料」 . 2) 立案局面の構造と特徴 で は, 以上の経緯を各案の構成, 条項の案文にそく して検討し, その立案の局面を構造的にさぐっ て み よ う.. 第一. 9月14日 付教育法要綱案の全文七項目構成 (教育の目標, 教育の機曾均等, 義務教育, 政 治教育, 宗教教育, 撃校教育の公共性, 教育行政) は, 項目構成上, 8月22日付学校教育法要綱案. (学校教育局) 中, 学校教育の根本方針を規定した項目にき つめ て 相 似 して い る.. 各項 目にかかる. } 条項をも含めて注目を要しよう. 5. 1) 2 ) 教育上の機曾均等(第1−7前段,12第エ項) 1項及び第3−2 1 { ) , ,( . 学校教育の目標(第1−1第1,1 6 )〔学校長, 教 5 ) 宗教教育 (第1−8) 3 4 ( ) 義務教 育 (第1−3第n項) ) 政治教育 (第1− 9) ,( ,( ,( 7 )〔学校教育行政〕* (第8−36) 師〕* (第2−14 ,( , 20及び第4−22第1, 亘項) * 〔 〕 内は, 8月22日付学校教育法要綱案の章 (第 2及び8) の名称. また, 各条項の案文に沿って比較した場合にも相当の相似部分を指摘できるほか, 次のような追 加条項を見出すことができる, 1 ( ) 翻民 は, 学校以外に於ても凡ゆる機曾に凡ゆる施設を通 して不断に教養を高め, 公民たるにふさ はしい 1 )教育の目標−4〕 資質の向上に努めなけれ ばな らないこと, 〔 ( 2 ( ) 国民 は, 法律の定めるところにより, その保護監督する子女に滴六歳 より満十五歳までの間九ヶ 年の普 通教育を受けさせる義務を買うこと, 〔 ( 3 )義務教育 − 1項, 傍点引用者〕. 前者は, その直後に 「教育の方針」 条項へと分化する し, 後者は, 帝国憲法改正草案衆議院修正 案 (8月24日衆議院本会議可決) 第26条第n項をうけたものである, こうして, 9月14日付教育法 要綱案の, 8月22日付学校教育法要綱案の 上 記諸条項との内容的な相似, 継承関係及び新たな条項 の追加など大幅な付加充実関係は明らかであるかにみえる. しかしながら, このことは, 直ちに省内立案作業上の, 両者の直接的接続関係を意味するものと は必ずしもいえないように思われる, というのは, 田中文相 が推進した教育調査部 (ないし教育刷 18.

(4)    . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成. 新資料部) の構想は, 7月中旬以降, 教育法と教育行政機構改革の立案を同審議課の中心的所掌事 項と位置づ け続けてきていたとみられ, この二つの課題の取り扱いの推移を無視 できないように思 われるからである. 教育調査部の構想は, 主として予算上の陸路があって (大蔵省との折衝が難航 ●規模の縮小を余儀なくさ れ 暫定的な措置として審議室の 設置 (←総務室の廃 したと推測される) , 止) と ,な っ た も の と み ら れ る, こ の こ と を 念 頭 に お い て, 筆 者 の 確 認 で き た と こ ろ を あ ら た め て 列 記 し て み よう, kT.or“, デ ル ・ し (ArundeIDeIRe) に会っ て, ) 7月18日, 内藤誉三郎が CIE 教育課のオア (Ma ( 1 r 6 ) i ll t 教育調査部審議課で 「教育財政, 教育法 (educ aws) a ona , 教育行政機構の改革案作成にあたりたい旨」 説明している, (傍点引用者) ( 2 ) 8月 6 日の省議で教育刷新資料部を審議課,調査課の二課編成とすることが検討されたが,日高ノー トは, )(傍点引用者) その審議課に関し 「事務局制, 憲法, 教育法, 要綱マトメアゲ」 と記している,7 3 ) 教育行政の改革案は, 7月中旬以降, 省議, 局長会議その他で再三検討されて, 8月20日付教育行政刷 ( )その作成には 大臣官房総務室が関与してい 新要綱案の成案に至り, 同日の省議に付されたとみられる.8 , たと推測されよう. 11月ノ議会の議案ノ問題 (教 4 ) 前述したように, 9月11日, 省議とみられる省内上層部の会議において, 「 (. 」 が議題となった,(傍点引用者) 育法, 行政制度). ( 5 ) 審議室が作成した9月14日付教育 法要綱案 は, その名の通り教育法の要綱案として成案に至っ たもので あ る.. さらに, 田中文相の意向を体して教育調査部 (教育刷新資料部) の構想を立案してきたのは, 大 臣官房総務室であり, 9月以降の審議 室の活動 が総務室の活動の延長上にあったことは明らかだと みられる. 後述の通り, 審議室は, 教育法 (→教育基本法) だけでなく教育行政官庁法 (学区庁法) の立案を担当 した. 以上のような経緯・状況証拠に依って 「教育法」 についての一定の検討が田中 文相→省議→総務室のラインですでになされつつあっ たと推定したとしても決して不自然ではない であろう, 加えて, 9月14日付教育 法要綱案は, その構成項目の内実において, 田中文相が7月15 日の帝国憲法改正案委員会で明らかにした 「教育法ノ根本的ノ構想」(傍点引用者) の諸事項*に類 似 す る と ころ を 多 分 に 含 ん でい る と み ら れ る の で あ る.. * 「民主主義的平和主義的教育ノ根本原理」 , 「男女ノ性別二依ツ ,「教権ノ独立」 , 「義務教育ノ範囲ノ問題」 テ教育ノ区別ヲ設ク ベキ デハナイ ト云フヤウナ問題」 , 「女子教育ノ根本理念」, 「教員養成機関ノ問題」, 「私 学ノ問題」. こうして, 9月14日付教育法要綱案 したがって9月21日付教育基本法要綱案成立過程は, 8月22 日付学校教育法要綱案及び学校教育局の活動ではなく, 7月中旬以降の 「教育法」 の取り扱いと総 務室の活動の延長上に位置する, そうみる余地が十分に存在するといわね ばならない, そして, か かる見地は, 一つの作業仮説として, 7月中旬にはすでに文部省内の教育改革立法立案作業上 「教 育法」と「学校教育法」の分離が行われていた(ないし行われつつあっ た)という見解を導くであろう. それゆえにまた, 8月22日付学校教育法要綱案の性格の解明にまで影響の及ぶことは必至である, (ママ) 0日 (教刷委第3回 第二, ①9月14日付教育法要綱案, ②9月18日付教育基本法要項案, ③9月2 が提示した 教育基本法構想 」 1 「 総会) に田中文相 , ④9月2 日付教育基本法要綱案 (以下, それぞれ ①②③④と略記することがある) の案文等を比較しつつその経緯を追っ てみると, 省議→審議室のラ インにおける討論は, 主に教育目標条項に集中していたことを指摘することができる, 9月14日の 省議で 「女子教育」 の項の追加が決まり (前稿参照) , ②でその案文と 「教育行政」 の項に 「学問の 19.

(5)  . 古. 野. 博. 明. 自由」 が挿入された点を除けば, 他の各条項からは若干の字句上の変容や文章上の構成及び表現の .しかもそ 修正過程が読みとれるのみで, 内容上の骨子に大きな変更の跡を認めることはできない, れらの条項には8月22日付学校教育法要綱案の前記諸条項に類似の部分 が少なくなく, その諸項目 の基本方向については8月 段階ですでに省内の共通理解が形成されつつあっ たと推測しうる. これ に対し, 教育目標条項についてはやや様相を異にしており, 概括的にみても次の諸点を見落すこと が でき な い, 1 ( ) 審議室は, ①で4項目から成る 「教育の目標」 条項を用意 し, そのうち第工項に二案を付しているが, その違いは 「平和的」 「民主的」 の二句及び 「文化国家」 の字句の有無にある, この4項目を8月22日付学 校教育法要綱案の関連条項とつき合わせてみたとき, 教育思想的にはともに田中耕太郎のそれを色濃く反 o }若干の文言上の重複がみられるほか教育の理念や目標を示そうとする言句 映しているとみられること,i の量的増大 が著 しいこと, その対象が学校外教育の領域にまで広げられていること, ともに教育の文化的 性質の強調 が目立っ ていること等々を指摘することができる. これらのことは, 8月下旬までの省内の到 達点の延長線上に, 9月 段階で教育の理念・目標に関する相当の論議が再開されたことを示唆している. 2 ( ) 14日の省議の討論をうけて審議室が作成し,18日の省議に提出されたとみられる②の「教育目標」条項は, ①の1 (一案) , 2, 3・4をそれぞれ ベー スにした3項目から成る, 14日の省議の討論の筋を整理したも のと推測できる, 3 ( ) 18日 の省議には, 学校教育局長, 体育局 (長) , 学校教育局次長, 科学教育局長, 社会教育局長, 官房秘 書課長から, ①に関する 「改正案」 が提出された (それぞれの原文は前稿で紹介済み) . その主要な改正の 対象は 「教育目標」 条項に集中しており, 18日の省議の 焦点が教育の理念・目標の問題にあったことを示. 唆している. また, それらの「改正案」中には, 例 熟ま ,「生命」の 「尊重」「鴎堕雀塘進」(以上, 体育局) , 」「国民に内住する素質」 の 「展開」(社 「科挙的精神」 の 「昂揚」(科学教育局長) 「 国民の一生を通じて ,. 会教育局長) 等々のように各所掌事務に対応 した強調点がみられる. なお, かかる 「改正案」 の提出は, 14日の省議決定によるものとみられよう. 4 ( ) 審議室や各局長等からの提案にもとづぐ18日の省議の議論の推移と結論をうかがううえで, 上記③の田 , 中発言が非常に興味深い, 「教育目標」 条項にかかっ て田中文相は, 次のように述べていた, 「なお, その外に重要な問題といたしま して は, 科学教育の振興, つまり日本人が科学的の知識が足り ない. 合理的に物を考える能力において十分今まで発達 していない, あるいは, 体育を重ん じなければな らぬとか, 社会教育はどう であるか,.家庭教育とかそういう問題について, −々 科学教育とか, あるいは 体育とか, あるいは社会教育というような項目 は掲 げませんでしたが, 科学につきましては, 真理の探求 という中に含ま れるわけであります, 体育につきま しては, 人格の完成という教育の目的の中に織り込む にいたしましても,体育の問題は人格という中に,あるいは入らないように解されるおそれがありますから, とくにそれを織り込んだ方が宜 しくはないかとし う風に考えて, 教育の目的,、あるいは理念と申すべきも のと・ いた.しま して は, 真理の探求と人格の完成 が目的であり, 民主的, 文化的な国家及び社会の成員と し ての責任を果すこと ができる心身共に健全な国民を育成するということを一応書いて見たのであります, しか しこれは抽 象的になって居り, もう少し具体的な方針を掲げた方がよくはないかというわけでありま して, 真理は普遍的なものであり, 人格 は尊厳なものであり, 社会はお互の協力によってはじめて・その健 全な発展を期待 しうるものである, 又, 個性の健全な発展を図り, 実生活との関連を考慮しつつ相互の敬 愛と信頼のもとに切さたくまによっ て, 文化の創造と発展とに貢献するように教育を行わなければな らぬ という多少具 体的な方法を掲げて居るとも考えて居るのであります.」{数刷委第3回総会議事録) すなわち, 第一に, 18日の省議では審議室の案文に沿い, 若干の改正意見を付加しながら結論に至っ た ・ とみられる, 第二に,.14 ては 「真理の探求」 の中に含まれること, 体育 , 18日の省議を通 じて科学につい, について は 「心身共に健全な国民の育成」( ・ 傍点引用者) という中にその精神を織り込むこと, 科学教育・ 体育・社会教育・家庭教育の項目 はとくに掲 げないこと等々 が方向づけられたと推定できよう, そして第 三に, 以上の田中報告は,18日の省議の結果, 審議室案の 「教育目標」 条項を 「教育の目的」(②←)第1項) と 「教育の方針」 (②(一第ロ, m項) とに分化することが決まっ たことをも示唆している. ( 5 ) . , ④の 「 )教育の目的」, 「ロ教育の方針」 の条項 は, 以上の経緯で18日の省議の結論, 20日の田中発言を ほ ぼ踏襲 して成案に至 ったものとみられる, 「心身共に健全な国民の育成」 とか 「賓生活との開聯を考慮し つ∼」 とかの文言が18日の省議で加えられたこと は, 辻田文書の原資料中の書き込み (前稿で紹介済み) からも明らかである. 20.

(6)    . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成 みられるように, 9月21日付教育基本法要綱案の成立過程において, 省議→審議室のライ ンによ る立案作業の核心部分が 「教育の目的」 「教育の方針」 条項の形成にあっ たことは, 疑いえな いと ころである,その案文には,田中文相と彼を中心とする文部省首脳の意向が直接に反映したのであっ た, そして, 9月段階の, 省内におけるかかる教育理念の形成過程は, 教育勅語原理を相対化しそ のいたずらな暗唱を戒しめる田中文相の方針を内側に含み, 儀式での勅語奉読を禁じた10月・ 8日付 文部次官通牒 「勅語及び詔書の取扱いについて」 の形成過程と表裏の関係で推移 していたのであ 1) る,1. 以上の経緯をふまえ, かつそれが9月27日の教育刷新委員会第3回会議に提出されてその後の討 議のたたき台となったことを合わせ考えると, 9月21日付教育基本法要綱案は, 教育理念の形成に 関する教刷委の審議を強く意識したところの, 教育基本法の文部省原案としての意義と性 格を有す る も の で あ っ た と み る こ と が で き る,. 2. 9月25日付 「教育基本法制定に当って考慮すべき事項」 が提起したもの. 1日付教育基本法要綱案は, 昭和21(1946) 年9月, 10月 段階の省内教育改革立法立 では, 9月2 案作業の中では, どのような意義と位置を占めていたのであろうか, 9月21日付教育基本法要綱案 の成案のあと, 審議室は, 以下のような9月25日付の 「教育基本法制定に常って考慮すべき事項」 2 )鈴木英一・教育行政(東大出版会 を作成している. この原資料は,辻田文書に収められてし るが,1 , 1970年 3月, 237− 8 頁) に そ の 全 文 が紹 介 さ れ て お り, す で に 広 く 知 ら れ て い る, 今 日 で は 戦 ,. 後教育改革資料調査研究の現段階にふさわしくその資料的意義の検討がなされるべき であろう. 圏 教育基本法制定に富って考慮すべき事項・ 二一, 九. 二五 審議室 o教育の機曾均等 1, 学校教育法要綱案の作成 学校の種類と目的, 入学資格, 修業年限, 設置配〔廃〕止, 設備, 教師と学生生徒, 教科内容, 学校に 対する助成, 義務教育 2, 大日本育英曾法の改正 英才主義から能力主義へ, 能力ある者〔の〕認定方法 〔育英を受くる者の範囲 (経済的貧困の基準) 〕該 富者数の稼想とそれに伴ふ財政的措置 〔3. 働きつ 学ぶ態勢の確立 (夜学, 通信教授, 厚生施設, 内職斡旋その他のエックステンショ ン) 〕 0女子教育 1, 女子に労する義務教育年限の検討 (青 年学校令の改正). 2, 拳科課程教科書の同等化(中学校規程, 高等学校規程の改正) 3. 機曾均等 (大挙令及高等学校令の改正, 女子高等学校の問題) 0義務教育 (年限の延長) 1, 就学義務者の増加数及之を収容するための校舎設備教員の養成法, 賓施年度計書の作成, 財政上の 措 置. ,. 2. 就学奨励の検討 〔就学奨励費を要する者の範囲〕 生活保護法の適用を受ける者, 一定所得額以下の者 右に要する財政上の措置 3, 盲聾者, 不具者の義務制, 財政上の措置 4, 少年教護法との開係 5. 義務教育年限延長に伴ふ保護者の頁塘の調査. 〔6, 義務教育課程に於ける教科書の無償給典制の調査〕 0政治宗教教育 21.

(7)  . 古. 野 博. 明. 耽会教育費の国庫員績の増額. ○学校教育の公共性 〔1, 学校法人法の要綱案作成〕 1, 学校法人の性格, 私立撃校に於ける経営面と教育面との調整, 基本財産, 公租公課の兎除, 寄附金の. 弼税, 図庫補助, 監督, 〔学校の内容的範囲 (各種学校に於ける態度) 〕 2. 学校教育〔師〕身分法要綱案の作成 使命, 服務, 資格, 分限 (身分の保障) , 懲戒, 待遇, 組合 ○教育行政. 教育行政官臆法 (掌握藤法) 案の作成, 之に伴ふ財政上の措置. 0その他の財政上の措置. 1, 中等学校以下教職食諸給奥費の全額国庫員塘 2, 学校経営費の補助 3. 新改築費に饗する補助率 (下線部はペ ン手書きの削除の跡がある箇所, 〔 〕 内 は, ペン手書きの訂正又は挿入部分, 各項目の序 数のアラ ビア数字は原資料に同 じ −− 引用者注,). 一見して 明らかなように, 9月21日付教育基本法要綱案の, 「教育の目的」 「教育の方針」 条項を 除く各項目の関連諸事項が整序されている. その資料的意義に着目してこれを分析的にみたとき, 第一に,「教育の機曾均等」の項にかかって学校教育法要綱案の作成と大日本育英会法の改正が,「学 校教育の公共性」 の項にかかっ て学校法人法要綱案・学校教師身分法要綱案の作成が, 「教育行政」 の項にかか っ て教育行政官庁法 (学区庁法) 案の作成が明示されて, 教育行政官庁法を除くそれぞ れの立案項目の列記されていることが注目されよう. すでに学校教育局で成案をみていた8月2 2日 付学校教育法要綱案が学校教育法について一定の方向を形成していたし, その中で学校教師身分法 (仮称) の制定 (第2, 15) と 「私人が学校を設置しやうとするときは, 別に定めるところにより 学校法人を設立すること」(第4, 22頁項, 傍点引用者) を予定 していた. 但し, 学区庁法につい ては何の明示もなく, 8月20日付教育行政刷新要綱案も法案の名称その他についてまだ具体化して はいなかっ たとみられる, ところが9月 に入 っ て教育法 (→教育基本法) の立案が開始されると省 内の立案準備の構造に重要な変化が生まれたの であっ た. すなわち, 9月14日付教育法要綱案の原 資料には, 「同義務教育」 の第工項及び 「杓撃校教育の公共性」 の第エ, n項中, 「法律」 の右横に 手書きの波線が付されて, それぞれ, 「 (学校教育法) 」 (学校法人法) 」 (教員身分法) 」 との書 ,「 ,「 * 込みがあり, また, 原資料中, 上の余白に 「b i i t a s ceduc a on は同様, 内容は学校教育法に規定する」 という鉛筆手書きのメ モがみられる (前稿で紹介済み) . このことは, 9月段階で教育法→教育基本 法の立案を頂点とする前記諸立法の立案を予定した論議が始ま っていたことを明らかにしてくれて いる, 前掲資料は, かかる論議を集約的にまとめあ げてこれを整序したものであるという様相を帯 びており, また, 以上に確認された省内教育改革立法立案作業の再編成が, 田中文相→省議→審議 室のライ ンで行われたことを教えている. 弓高ノー トは, 9月25日の省議開催の事実を記している. *このメ モは,「口教育の機曾均等」 第n項の上に書き込まれている が, 同第工項中の 「性別」 の字句にかかっ て 「女子教育」 の方針に関するものとみられよう,. 第二に, ここに明示された学校教育法の立案項目及び 「女子教育」 の項の諸事項は, 学校教育法 の立案に直接関係する内容を有している, 後にみる通り, 9月 段階以降の学校教育法の立案作業も また学校教育局 で継続されるが, それが単なる 「継続」 ではなく, 9月2 1日付教育基本法要綱案を 頂点とした立案作業の再編成を経たうえでの 「再開」 とみる余地が生じてこよう, 文部省内の学制 改革構想は, 8月段階の試案を参考にしつつも, 9月以降, 田中文相→省議→審議室のライ ンの方 針に従っ てあらためて独自の再検討が求められるに至ったものと推測したい, 内容的にみれば, 審 22.

(8)  . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成 議室の構想には少なくとも後期中等教育以上の学校系統について8月段階の案に近似を示しつつも 高等学校令等の改正を意図するなど一定の現状維持的で8月22日案からの後退傾向が感 じ られるの である, かつ, 女子高等学校の検討 課題にのぼっていること が注目されよう. なお大日本育英会法 の改正にかかる 「英才主義から能力主義 へ」 の文言にも留意しておきたい. その他, 6月 段階以降の教育調査部構想の継 承として, 各項目にわたる財政問題の考慮が注視さ れる, また, 「政治宗教教育」 の項で社会教育費の国庫負担増額が記されたのみで, 社会教育法案 の作成には全く 論及するところがない, 9月21日付教育基本法要綱案 が社会教育の条項を掲 げな かっ たことに起因するの であろうか. なお, 盲・聾者, 「不具者」 の義務教育制は 財政措置を含 , めて検討の姐上にのぼっているが, 精神薄弱者が除かれていることを記憶しておきたい, こうして, 9月25日付 「教育基本法制定に富って考慮すべき事項」 は, 9月21日付教育基本法要 綱案が, 昭和21( 1946) 年9月以降の省内教育改革立法立案作業上, その法原理的, 制度的な準則 の意義と位置を有するものであり, 教育基本法を頂点に教育改革立法を体系 化しようとする田中文 政独自の立法政策が9月 下旬の段階で明瞭なかたちで成立したことを示唆している, 教育調査部構 想に託された田中文相の意 図は, ここにようやく教育法律的, 教育制度的な整 合性の確立をめざし て, 正式 にス タ ー トす る 運 びと な っ た の で あ る,. 亘 教育改革諸立法立案過程の概況 1, 立案の分担等について 戦後教育改革資料調査研究の現段階では,9月∼11月初旬の教育改革諸立法の立案状況を全面的 , 正確に解明することはまだ困難 である. したがって, 以下においては 今後の調査研究に有益だと , 思われるところの若干の整序と関連資料の紹介, 検討を旨としたい, あらかじめ, 各立法の立案分 担等 に つ い て 言 及 し て お こ う,. 1 3 )(日付なし 9月 末の作成と 辻田文書に収められた 「拳校教師 (員) 身分法に関する問題鮎」 , 推定される) の余白に書き込まれたメモ*及び10月 2 日の省議に関する日高ノートの記述**は 9 , 月末から10月初旬の立案分担の概況を示したものとして重視されてよいと思われる, 学校根本法 学校法人法 学校教育法 教師身分法. 学校局. 審議室. 田中氏 審議室. 地方制度−−一. 関ロ氏. **根本法. 審ギ. 学校 凝)学 学局 局 身分法 行政法 社会教育法. 稲田. 田中, 秘書 関ロ. 寺中. みられるように, 学校教育法と学校法人法の担当部局は, 学校教育局であったといっ てよい, 稲 田清助学校教育局次長 がその全体を総括する位置にあったとみ,られる, 学校教師身分法と教育行政. 官庁法 (学区庁法) は, それぞれ田中二郎参事, 関口隆克審議室長を総括的責任者として審議室が 担当し, 官房秘書課 (ないし剣木享弘秘 書課長) が 「身分法」 の立案に関与したことが確実視され よう, さらに, 後者の記述 で, その立案担当責任者と 目される人物名 (社会教育局社会教育 課長 寺中作雄. 昭21 ,3,6∼24 .6,1) を伴って, 9月段階では全くその形跡のみえない 「社会教育法」 23.

(9)    . 古. 野. 博. 明. の登場が注目される. なお, 「学校教育法」 「法人法」 「身分法」 「行政法」 の全部又は一部の立案準 .9月末までにはそれぞれの 担当 部局室の実務担当者によって開始されつつあったと推測する 備は, のが自然 である, 次に, 日高ノ ー トの記述にしたがっ て, 9月 末から11月初旬にかけて開催された 省議の日付を確認しておこう. 9月25日付前掲資料な どにもとづいて, 上記諸立法の関連事項に関 する方針討議の行われた可能性があると推測しうるからである. k ) 9月28日艇, 10月 2 日( 水 ) ) 7 , 10月 5 日出, 10月 9 日( , 10月23日体 , 10月30日体) , 11月2日出, 11月 6 日 (村* . , *11月 6 日体に ついては, 辻田文書 (教育法案関係1 2−1) の書込みによる. また, 10月12 (力, 16休) , 19聞, 26日閑にも省議 が開催された可能性が濃厚である,. 2・ 学校教育局の立案活動 1)10月27日付学校教育法要綱案 日本私学教育研究所所蔵の春山順之輔資料 ( 以下, 春山文書という) には, 10月27日の日付の入っ . 4 }ところ で日高ノー トは.10月23日 (9 :20∼) の 省 た 「学校教育法要綱案」 が収められている.1 , 議をはさんで前後三回の学校教育局局議開催の事実を記している, ( 10 1 月 ) 10 .2 .00−− 局議 ;00−− 局議. 義務教育. 下級中学. 三年義務. 木 )9 ( 水 ) 11一一 局議, 10 ( 明年一年,10 .24 .23. 8月29日の 「学校制度組織についての局内打合せ」(日高ノ ー ト) 以来 しばらく中座していたと 考えられる学校教育局の学校教育法の立案作業は, 9月段階の省議→審議室のライ ンによる教育改 革立法立案方針の再編に沿ってその準備が再開され, 10月下旬の上記局議で集中的に審議されて10 月27日付学校教育 法要綱案 (以下, 10月 案という) の成案に至っ たとの推測が可能である, 以下に おいては, 紙数の制約上, その概要の紹介にとどめ ざるをえな いが, 同案の全文は, 名大教育学部. 墾育雛 器 繁 難・学校教育法成立史関係資料 ( 1 9 8 3年3月) 及び日本私学教育研究所・教育制度等 の研究 (その10) −− 春山順之輔資料 −− (調査資料106 昭和59年3月) に収録されているの で そ の 参 照 を 願 う こ と に し よ う.. まず, 10月案は全文61の条項及び附則から成り, その草構成は次の通りであった. 総則 (1∼ 6) , 小峯校 (12∼18) , 初級中学校 (19∼22) , 幼稚園 (7 ∼11) , 上級中等撃校.(23∼27) , 教育専門学校 (28∼34) , 専門学校 (35∼38) , 高等撃校 (39∼43) , 大学 (44∼51) , 特殊教育 (52) , 雑則 (56 ∼6 1) , 附則. みられるように, 8月22日付学校教育法要綱案 (以下, 8月 案という) の章構成に比べて大きな 変化がある. では, 各条項 が示す制度構造についてはどうであろうか. 第一.,8月 案にみられた学校教育の理念, 根本方針などを規定する条項は存在しない, 9月21日 付教育基本法要綱案の諸規定との重複を避けたものとみられよう. かわって, 各段階の学校の 「目 的」 (7, 12, 19 , 23 , 28, 35, 39 , 44) を 規 定 し よ う と し て い る の が 注 目 さ れ る が, そ の 案 文 は,. 具体的に明示されておらず, 「目的」 規定と後述の 「性格」 規定を区別 して 定め, 各段階の学校こ とに教育の目的・方針をより具体的に示そうとする意図が十分煮つまっ ていなかったことを示唆し て い る. 24.

(10)    . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成 第二. 次に, 初等教育, 中等教育, 高等教育その他を一本化して同一の法典に規定しようとする 従来の方針を継承・確定しつつ, 義務教育制度と学校体系を以下のように定めていたことに注目し た い, 14 , 保護者 (子女に対 し親糟を行ふもの, 親権を行ふものがないときは後見 人, 又は後見の職務を行ふもの をいふ以下同 じ) は子高段癖奇 才に達 したろ日の翌日以後の最初の学年の姶 より満十五才に達したろ日の. 属する学年の終り迄之を□拳校及初級中等墾校又は小学校及初級中等撃校の課程に準ずる教育を行ふ盲学. 校若しくは聾学校に就撃させる義務を賀ふこと. 但し, 身心の正常でない子女の 保護者に対 しては主務官廓 はその義務を猶予又は菟除することが出来るこ と, (第n, 皿項は, 省略) 17*,市町村は主務官麟の許可を受けた場合の外その区域内の拳齢子女 (十四の規定により就墾を要する子女 をいふ) の就撃に必要な小学校を設置する義務を有すること, 21*,初級中等寧校については十五, 十七, 十八の規定を準用する, (傍点引用者) 13 , 小学校の修業年 膿ま六ヶ年為 し之を義務とすること・ 20*.初級中等隼校は小学校を終了した者に普通教育を施しその修業年限は三ヶ年とすること. 24 . 上級中等学校は初級中等学校卒業程度の資格のある者に対して中等普通教育又は実業教育を施しその修 業年限は三ヶ年とすること,. 2 9 , 教育専門学校は上級中等畢校卒業程度の資格ある者に対して義務教育を施す学校の教師を養成する教育 を施しその修業年限は四年とすること, を施し, その修 36 . 専門学校は上級中等隼校卒業程度の資格ある者を入学させ高等の学術技聾に関する教育 業年限は三ヶ年以上とすること. は三ヶ年と 40 , 高等学校は上級中等学校卒業程度の資格ある者を入学させ高等普通教育を施しその修業年限 す る こ と,. ( マ マ ). .. (ニ字不明 ,しそ力). の修業 45 . 大挙は, 高等専門学校卒業程度の能力ある者を入学させ高度の学術の理論及応用を教授研究□□ 年限は, 三ヶ年以上とすること, 46 . 大挙は大学予科を設置することが出来ること, 前項の大挙予科については高等学校に関する規定を準用する. なお, 原資料中, (アステリスク*を付した数字は, 原資料では判読不明により, 引用者の推定したもの,. 各条項の序数については漢数字が用いられている, 以下同じ,). 後に少 しく検討する通り, 8月案に比べて条文の配置や案文構成の変化, 学校の名称とその 「性 格」 規定の一部並びに若干の字句に重要な相違がみられるものの, 10月案が予 定した義務教育制度 ・あ る か に み え と 学 校 体 系 は, 8月 案 の そ れ に き わ め て 近 似 して お り, か た ち の う え で は ほ ぼ同 一 で. る. すなわち, 六年制小学校と三年制初級中等学校による九 ヶ年の義務教育を土台に, その上に三 年制 上級中等学校をおき, さらにその上に義務教育学校の教員を養成する四年制 教育専門学校, 修 業年限三年以 上の専門学校, 三年制の高等学校 を並列的において, その上に修業年限三年以上の大 学をおく というものである, 大学に大学予科を附置できるようにしたのも8月 案と同様である, と ころで, 8月案は, とくに 「備考」 を付し, 「学校の名称及び学校制度は決定的なものではなく, ー試案であり, 特に 『第6』(初等, 中等及高等教育 −−引用者注) は相当に研究しなければならず」 , 5 )(傍点引用者) と記していた 8月案が学制改革 「隼校制度の確定に伴って多少修正の要がある」1 , の文部省案としては相当に不確定の部分を含む存在であっ たということは認めてよいであろう, で は, 10月 案の場合はどうか, 10月案も学校の名称を確定しているとはみられず,.初級中等学校・上 ( 級中等学校の具体的制 度構想は明示されてはいない, しかしながら, このこと は, 8月案の場合と を意味するものとはいえないように思われる そこで 学校体系の構 同義に学制改革案の不確定性 . , \規定 (10月案の 「目的」 規定と区別するために便宜的にこの用語を用 造を各段階の学校の 「性格」 いることにしたい) にまで立ち入って分析する必要があろう. 8月案と比較しつつ10月案の 「性格」 25.

(11)    . 古. 野 博. 明. 規定の態様をみる場合, 最小限, 以下の諸点に注意を要すると思われる, 1 ( ) 小学校は, 8月案と同様に 「初等教育」 を施す機関と考えられている ように思われるが, 文言上の 明示 はないから, どのようなタームで性格づけるか未確定であったことをも示唆している. (傍点引用者 以下 , 同じ). 2 { ) 初級中等学校は, 小学校修了者に 「普通教育を施」 す機関とされ, 8月案 (下級中学校) の 「性格」 規 定と同一のタームが用いられている, 「初級中等学校」 なる名称にも注意を要 しよう,. { 3 ) 上級中等学校は, 初級中等学校卒業程度の 「資格のある者」 に 「中等普通教育又は実業教育を施」 す機 関とされており, 8月 案の場合と同じく, 「中等普通教育」 のタームが用いられていること 及 び 「又は」 の 文言に注意を要しよう,. ( 4 ) 専門学校は, 上級中等学校卒業程度の 「資格ある者」 を入学させ, 「高度の学術技萎に関する教育を施」 す機関とされており, 8月案が 「高等普通教育を施」 すとしていたことに比べ, 大きな変化がある,. ( ) 高等学校は, 上級中等学校卒業程度の 「資格ある者」 を入学させ,「高等普通教育を施」 す機関とされて 5. おり, 8月 案と同一のタームが用いられている, また, 大学予科 は, 8月 案の規定をより明確化して 「高 等学校に関する規定を 準用する」 とされた, すなわち, 大学 附置の予備教育機関でありなが ら, 高等学校 と同様の 「高等普通教育を施す」 機関であるということになる, 6 ( ) 大学は, 8月案と全く同一の規定であっ て 「高等専門学校卒業程度の能力ある者を入学させ, 高度の学 術の理論及応用を教授研究」 する機関とされ, また教育専門学校は, 上級中等 学校卒業程度の 「資格ある者」 に8月 案と同 じく 「義務教育を施す学校の教員を養成する教育を施」 す機関とされた. ( 7 ) 各段階の接続の原理に着 目すると, 初級中等学校 −− 上級中等学校 −− 教育専門学校 専門学校 高 , , 等学校間がそれぞれ 「能力」 の原理から 「資格」 の原理へと重要な変化を示しており, 他は8月案と同一 で あ る.. みられるように, 10月 案の 「性格」 規定は, 8月案とほぼ同様の構造を有しながらも専門学校の 性格や学校系統の接続の原理の一部などに重要な変化を示しているのである. そこで, それぞれの 規定の文言に厳密に従ってその構造と変化の意味するところを分析的に検討してみよう, 第一に , 8月案も10月案も上級中等学校の性格を 「中等普通教育又は実業教育」 というタームで規定してお り, 昭和18(1943) 年の中等学校令第1条, 「中等学校の目的」 規定が用いた 「高等普通教育又は 実業教育」 に類似の構造のあることが注目される. とくに 「又は」 の文言は, 中等学校令 (当時の 現学制) のそれを踏襲したものとみなしうる, 7月以降の経緯からみて旧 (当時にあっ ては現) 青 年学校 (本科) が上級中等学校の範鴎に組みこまれていたと目されるから, 昭和18年時の 「改革」 よりはるかに前進的 ではあるが, そのうえでなお上級中等学校 レベルの諸学校間の, 種別化と格差 の継承を予定したものとみるべき であろう. ここに 「中等普通教育」 のタームが用いられたのは , 佐々 木享氏が指摘されるように, 高等学校 (8月 案では高等学校, 専門学校) の 「性格」 規定中に 6 )のである 第二 「『高等普通教育』 というタームを用いていることに関係していると推測される」1 , に, 8月 案も10月案も修業年限上は六・三・三のかたちをとり, 下級中学校 (8月案) ・初級中等 学校 (10月 案) の中等教育機関としての位 置づ けと六・三の義務制を定めているにもかかわらず , その教育を性格づけるタームとして 「普通教育」 という字句を用い ていることに留意しておきたい, 戦前の学制改革論議において義務教育の内容を性格づ けるタームとして 「普通教育」 が用いられる ようになり*, 教育界の常識的な義務教育年 限延長論が初等教育8年説をとっ てきていたことを想 起して, 8月案及び10月案をその延長上に位置するものという見地からながめるならば その 「性 , 格」 規定中に用いられた 「普通教育」 は, 義務教育ではないところの 「中等普通教育」 −− 「高等 普通教育」 との区別を予定したタームであると解する余地 が生まれてこよう. 8月案も10月案も学 校の 「性格」 規定上は, 初等教育 (ないし小学校教育) −− 「普通教育」 の系統と大学に接続 す るところの中等普 通教育.−− 高等普通教育の系統とを二重構造 的に扱っているかにみえて 旧学 , 26. ・.

(12)    . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成 *を六・三・三のかたちの中で明らかに引き継ぐことを意図して 制にみられた目的規定の二重構造* いると考 えられることに注意を喚起したいのである, したがって, 上級中等学校の 「性格」 規定中 に用いられた 「中等普通教育」 のターム は, 文言上厳密には, それが10月 案でいう 上 級中等学校 −− 高等学校・大学予科の系統における段階区分に対応しているという限りで, 「学校の性格を段 階的に区別する発想から生まれたものである」 とみるべきだろう. 以上の二点について10月案の8 月案にかわるところはないように思われるけれども, より単一的な 「下級中学校」 からより包括的 な 「初級中等学校」 への名称変化を合わせ考 えると, 8月案の旧制 度的要素の固定化及 びそれ以上 の後退傾向が感じられるという意味でそ の事実のもつ重みは格段に異なってこよう, *例えば, 義務教育年限の延長を 「尚其ノ時期ニ非ス ト認ム」 と して見送っ た臨時教育会議 の大正6 (1917) 年12月 6 日の答申中 には, 義務教育の期間の教育を性格づけるタームとして 「普通教育」 を用いている, 3小学校令第1条) と 「高等普通教育」(明32 * * 「其ノ生活二必須ナル普通ノ智識技能ヲ授クル」 こと (明3. 2条ロ項) 中学校令第1条) −− 「高等普通教育」 の 「完成」(大7高等学校令第1条, 大学令第1 , 「初等普 8中等学校令第1条, 第2条D項) −− 「大学教 6国民学校令第1条) と 「高等普通教育」(昭1 通教育」(昭1 8大挙令改正第1 2条n 8高等学校令改正第1条, 昭1 育ノ基礎夕」 る 「精深ナル程度」 の 「高等普通教育」(昭1 項) 第三に, 専門学校の性格づ けに関する 「高等普通教育」(8月 案) から 「高等の撃術技曽に関す 43) 年の専門学校令改正時への回帰 (第1条) る教育」(10月案) へのタームの変化は, 昭和18(19 , 「高等普通教育」 機関化をめざす構 を意味する 8月案が専門学校の すなわち当時の現行制度維持 , 想であっ たのに対して 「高等普通教育」(このタームの意味するところが重要となろう) を三年制 高等学校と大学予科に限定するに至 っ たものとしてきわめて注目されよう. 初等教育 −− 「普通. 教育」 の系統 (すなわち義務教育) とは相対的に別個の 「普通教育」(中等普通教育 −− 高等普通 教育) の系統において, 10月 案は8月 案以上に旧学制の目的諸規定に近似した構造を有するに至っ たとみることができるからである. 第四に, 学校制度の接続をめぐる 「能力」 の原理 (8月案) か ら 「資格」 の原理 (10月案) への変化は前進的に解釈する余地が十分あるように思われるもののも それは, 上記 「性格」 規定の二重構造及 び義務教育とは別個の 「普通教育」 系統の構造の枠内にお ける部分的 「改善」 とみるべきものといえよう. かかる 「性格」 規定の構造的分析から得られることは, 10月案の学制構想が①8月案以上により 確定的傾向があること, ②8月案に比 べてより後退的傾向 を禁じえないこと, この二点である, 実 際, 9∼10月の田中文相→省議のライ ンにおける学制改革方針には,「自主改革」 性への執着と六・ コ・三制への消極性があらわれていた, 9月25日付 「教育基本法制定に当って考慮すべき 事項」 に l そ の こ と を 伺 い え よ う. ま た, 10月 3 日 の CIE 教 育 課, ウ ィ グ ル ス ワ ー ス (Edwi ‐ n H, Wi es gg. h) との会談における, 山崎匡輔次官の対応, 発言には, 専門学校改革と六・三・三・四制に t r wo 対する文部省首脳の否定的見解がより明瞭に現れていた, この日, ウィ グ ル ス ワ ース は, 文部省が iteeof membersofthespec i li i i tutes) i llnst tutes Commi t tee a nst 「専門学校委員会」(Spec a ,acomm t を 設 置 し て, 専 門 学 校 教 員 (per l) の 研 究 と 学 識 (i t sresearchandlearning) を大学化 に 向 sonne. 1 ) 7 l l l i l t ege けて(tocol es)方 向 づ け る 方 策 を 立 案 す る よ う 求 めて い る二 CIE は,「専 門 学 校(co acu egef l ies) 間格差の除去と全高等教育機 t ty ofoneor moref fspec i l i acu o a zedtraining) ・ 大学 (Universi. i 」 をアメリカ側に提案していた日本教育家委員会 (JEC h 関の大学化 (t t nd ng) a esameacademics 1 8 ) ) の見解 を支持していたのである, これに対し, 山崎は, 煮えきらない態度で 「委員会は, 16日 に召集されることになっている」 と述べたという, また, この委員会は 「第二義的には, 六・三・ 27.

(13)  . 古. 野. 博. 明. 三・四制案が通ろうと通るまいと, 学部教育の レベ ルを引き上げて高等教育の再編成を助長する有 効な機関と して働く 可能性 がある」 というウィ グルスワース発言をとらえ て 「六・三,三, 四制 , 案には反対である」 と言い, 「六・三 ・三・四制案 では, 高等教育入学前 に学生に十分な語学力を つけることができない」{傍点引用者) と述べたの であっ.た, 下級学校体系に大学教育の基礎として の予備教育を求める見解だと受けとっ てよいように思われる. ウィ グルスワースは 「山崎氏は , , 大学化に向けて(t l i t を活用すると いう考えを理解しなかっ たように思う」 of u a c es)専門学校の資産, 「この点について何か措置をとらなければ, 方向 (thepurposes) が 何 も 示 さ れ て い な い の で 専 門 学校には予算はあま り充当されないと いう印象をうけ」 たと 記して 専門学校の大学化に強い懸念 , 9 ) を 表 明 し て い る,1. かく して, 文部省首脳 が高等教育 レベルの改革に消 極的であっ たことはもちろんのこと 初等教 , 目 −− 「普通教育」 とは相対的に別個の系統と して上級学校への予備教育システムを留保した 「普 通教育」 の系統 (中等普通教育 −− 高等普通教育) を構想 したというのが 9月 ∼10月段階の文 , 、 部省首脳の確定しつつあっ た方針であるように思われるのである, 10月案は かかる方向を如実 に , 反映していたとみるべき ではなかろうか. むろん, このことは 10月案の学校体系の構造が全く変 , 動の契機を含ん でいないことを意味するもの では決してなく 上記( IX2 )の態様が示す通り, 未確定 , で動揺的な要素は多分に存在していたとみるべき であろう, すなわち 10月案 は 小学校の 「性格」 , , を具体的に明示せず, 初級中等学校の 「性格」 を 「普通教育」 というターム で示したのであった . 8月案が小学校の 「性格」 規定に 「初等教育」 のタームを用 い, 下級中学校の 「性格」 規定に 「普 通教育」 のタームを用いていることと文言上厳密には同一視 できないであろう. 10月案の規定のし 方は, 帝国憲法改正草案衆議院修正案第26条第n項の規定とこれをうけた9月2 1日付教育基本法要 綱案の 「側義務教育」 第1項の規定にも関係していると推測されうる. ともに 「普通教育」 のター ムが用いられており, 後者には満6−15歳の年令・期間の指定があっ た, 10月案が示す上記( IX2 )の 態様は, かかる状況 下で田中文相ら● の意向を体した立案実務担当者たちの苦心を色濃く現わしてい ると推測することもできるのである, 初級中等学校の名称と制度形態をどの ように構想し その教 , 育を上下の学校との関係でいかに性格づけるか, このことがその後の 学制改革構想の行方に影響を 及 ぼすのは必至の形勢にあっ たとみられよう, さて, 以上の見地は, 10月 案のもつ学校体系が教 育刷新委員会の審議を強く意識したところの文 部省の原案 (ないしそれに近いもの) としての性 格を有し 細部のつめは残されていたものの 当 , , 時の情勢下において文部省が独自に意図する 学制改革の確定案に近 い構造をもつもの であったとい う見解を導くことになろう. かかる意味での文 部省の学制原案は, ①初級中等学校の中等 教育機関 としての明確な位置づけと九 ヶ年義務教育制の確定 そしておそらく青年学校の上級中等学校への , 昇格などの改革的側面 (修業年限上の六・三・三 のかたち) と, ②学校教育原理の二重構造や予備 教育 システムの温存, 初級・上級中等学校 レベルの諸学校間格差と種別化の継承という消極的 現 , 状維持的側面 (「性格」 規定上の旧制度維持) を合わせもつところの 矛盾に満ちた非常 に不安定 , な構想であっ たとみられるのである, 理論上の問題としては 「普通教育」 概念の 「混乱」 をみてと ・ 少なくともこの段階 ることができるように思われる. では 「普通教育」 のタームを用 いることが教 育の改革的あり方を方向づ けるまでには至っ ていなか ったといいうる であろう. こう して 昭和2 1 , .厳密な意味 で六・三・三制案が確定していたと はいいがたく 2 0 )文部省 (1946) 年10月段階では, , 案が六・三・三制案に転換をと げるには, 教育刷新委員会 での学制改革構想の 「成熟」 と教育刷新 委員会の自律的, 主導的位置の確立を待たねばならなかった. なお, 10月 案は, 幼稚園, 特殊教育の章を有し, 前者は 小学校以上の各段階の章にならって , , 28.

(14)    . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成 幼稚園の目的 (案文な し) , 幼稚園の 「性格」 と入園資格, 職員の資格及職務, 設置廃止, 保育項 目及その程度, 編制 (並に設備) , 監督について規定していた, 後者は, 次の一条のみである. 5 2 , 盲学校又は聾学校は盲者又は聾者に対し必要な小学校教育及中等挙校教育を施し其の修業年限は命令で 定めること, (傍点引用者). ちなみに, 8月案は, 盲者又は聾者に対し必要な 「義務教育の課程並にその他の教育」(春山文書) 「初等教育及普通教育, その他の教育」(辻田文書) を施すものと規定し倦め , 盲学校及聾学校の一校 以上の設置を都道府県に義務づ けていた (23ロ項) , また, 「身心の正常でない者で正規の撃級又は 学校では適富な教育を受けることのできない者の鴬」 の 「特別の学級又は学校」 を設置できるとし ていた8月案の規定倦めも10月 案では削除されている, 命令制定事項に移されたのかもしれない, 特 1 ) 殊 教 育 につ い て も10月 案 の 後 退 傾 向 は 否 め な い と こ ろ で あ る, 2. 第三, 8月案の 「撃校教育行政」 の章及び条項が削除されていることも10月 案の特色の一つであ る. 但し,・学校 「監督」 の規定鰯編ま, 各段階の学校ごとに分散して次のように規定された, 11 . 幼稚園は地方長官が之を監督すること. 18 , 官立を除き小撃校は地方長官が之を監督すること. 21キ 初級中等学校については十五, 十七, 十八の規定を準用する, 27 , 上級中等学校には十八及び二十二の規定を準用すること,. と る こ 讐 誓 事 書籍整 髪鑓婁 麗筆 言. 8月案が 「各種学校及上級中等撃校以下の撃校を地方教育行政藤が」 「監督すること」 としてい たのに対して官立を除く小学校, 初級中等学校,一上級中等学校を国の機関たる 「地方長官」 の 「監 督」 下においているのが注目されよう. 教育の国家事務性を前提にその国家後見的監督の行政秩序 を明確化したものとみられる, なお, 教育行政官庁法 (学区庁法) の立案動向との関連は考慮の外 におかれていたようにみ える, その他, 学校監督行政にかかる規定として以下の諸事項がみられる が, いずれも8月案の該当条項とほぼ同様である, 1 ) 各種学校の設置にかかる主務官庁の認可( , 「官立撃校及 びこの法律で設置義務を買う撃校以外の学校の設 置廃止又は設置者の変更その他」 に関する主務官庁の認可 (2m項) , 市町村の小学校・初級中等学校設置義 1) 務の猶予ないし免除に関する主務官庁の許可 (17 ,2 , 「この法律に違反する撃校」(傍点引用者) に対する. め 主務官庁の 「授業の停止若くは学校の閉鎖」 命令も なお, 10月 案は, 8月案 (24前段) と同様に学校設置者は 「其の学校の施設について責に任」 す る旨( 3 )の規定を有していて, 後に設置者管理主義の成立へと発展する 「管理」 概念の原型的表現が みられるが, それは 「施設」 に限定されている. その反面解釈として教員の教育活動は国の事務と 観念されていることは明らかであり, 前掲の通り, 各段階の学校の監督官庁の後見的監督のもとに おかれたのである. 学校監督行政と学校管理行政は, まだ未分化の状態にあったのである. 第四, 10月 案は8月案 と同様に学校経費の設置者負担主義 (3) をとっているが, 8月案の義務 4 教育学校教員給与費全額国庫負担規定( )の全文と24の但し書きを削除しており, 教育費の負担関係 について明らかに8月案より後退している. 公, 私立学校に対する国, 公共団体の財政的援助助成 規定 (4, 8月案では11) に変化はなかった, 29.

(15)    . 古. 野 博. 明. 第五, 8月案に比べて, 命令委任事項を次のように具体的に特定しているのが目立っている. 学校の設置廃止又は設置者の変更以外の主務官庁の認可にかかる事項( 2 ) ,幼稚園・小学校・初級中等学校・. 上級中等学校の職員の資格及職務 (9, 16D項, 22亘項, 27) , 幼稚園の設置廃止・保育項目及其の程度・編. 制 (並に設備) に関する事項 (10) , 小学校及び初級中等学校の教科・教科用図書に関する事項・教則及編制 上級中等学校の教 2 (15 1 ) 科用図書 , , , 編制, 教科に関する事項 (26) , 教育専門学校の編制・教科・教科 用図書・学資の給与及卒業後の服務等 (33) 専門学校の種類・修業年限・学科・学科目及其の程度等 (37) , , 高等学校 (及 び大学予科) の編制・学科目及其の程度等に関する事項 (42 ,46亘項) , 大学の学部 (47) , 盲・ 聾学校の修業年限 (52) , 就学義務履行の督促 (59) , 各規定ごとの 「この法律」 の施行期日 (附則). 8月22日の時点以上に立案作業の伸展が伺い知れよう. そして, これら特定事項以外にも 「この 法律で規定するものの外撃校教育に関し, 必要な事項は命令の定めるところに依ること」(5, 傍 点引用者) と 「総則」 の章に規定されている. 文言上厳密にみれば, 8月 案が 「第10 雑則」 の草 に 「学校教育の細目については命令を以て定めること」(45 , 傍点引用者) と規定していた以上に, 命令委任事項の範囲が無限定に拡大したというニュ アンスが強い, 教育立法上の法律主義の空洞状 態の度合は, 8月 案以上に高いとみられるの である, その他, 学校法人について, 8月 案 (22江項) とほぼ同様に 「私人が学校を設置しようとすると きは別に定めるところに依り撃校法人を設立しなければならないこと」(2 n項)と規定しているが, 後にみる通り学校法人法の立案が相当に進展しており, 背後の事情は8月案と異なっていた, また, 「国は, 各都道府県の区域内に一校以上教育専門撃校を 設置すること」(31) と規定しているのは, 8月 案 (23m項) と同一 であっ たが, あらたに 「教育専門学校は官立とすること」(30) との規定 を設けて, 私立, 公立の義務教育学校教員養成機関を認めていないことが注目される, なお, 罰金 刑による就学義務履行の強制 (59) , 使用者による義務教育年令子女の就学の妨害禁止 (6) とそ の罰金刑による強制 (56) については, 規定上かつ法原理的に8月案 (40 , 5, 41) と同一 であっ た.. 以上, 若干の分析的紹介からえられる一つの結論は, 次の通りである. 10月27日付学校教育法要綱案は, それが生成途上のものである以上相当の不備とある程度の不確 定性を有してはいるが, 明らかに8月案を参考に, 9月段階の田中文相→省議→審議室のライ ンに よる教育基本法を頂点に教育改革立法の体系化をめざす立法政策に従っ て成案に至っ たところの, 「学校教育法」 の原案 (ないしそれに近いもの) としての性格を帯 びており, その内容においては, 2 }内外の改 8月 案の継承の側面を相当に含みつつも全体にわたってより後退的な印象をぬ ぐえず,2 革意見に対抗的な田中文政の現状維持的 「自主改革」 路線の学校教育法版をもっともクリアーに表 現したものである. この意味で10月 案は, 8月案の単なる延長上に位置するものとみられてはなら ず, むしろ学校教育法の第二次原案としての意義と性格を有すると いえよう, (未完・1986年1月 31日). .. 〔註〕 1) 日高ノー トエ, 戦後教育資料エー33 . 以下, 日高ノー トからの引用 はこれに同 じ, 2) 拙稿 「教育刷新委員会の発足と教育基本法の立案開始」. 6巻第2号, 9頁. , 本紀要 (第一部C) 第3 , 4) 佐藤秀夫 「戦後教育改革関係資料に関する調査研究の現状と課題」 国立教育研究所・特別研究 「戦後教 , 3) 北大教育学部教育制度研究室・教育基本法の成立事情 ( 1 9 6 9年7月)3 2頁 (田中二郎証言). 30.

(16)    . 田中文相主導下 「教育基本法法制」 構想の形成 0年3月)9頁に指摘された資料群, 育改革資料の調査研究」 報告書 (昭和6 5) 拙稿 「田中文政の成立と教育法の立案準備」 8−9頁参照. , 同前4. i IResea 18Ju l 946 6) 同前, 3 2頁, Mark T,on, ReportofConference: BureauofEducat r ) ona ch( yl ,GHQ/ C I 日 A 0 0 6 6 1 SCAP RECORDS ( ) ‐ , , 7) 同前, 4 4頁,. 8) 同前, 4 3一48頁参照. 9) 鈴木英一縞・資料教育基本法 (学陽書房, 1 978年) , 103頁, 1頁, 10) 拙稿 「教育理念の形成と教育刷新委員会第三回総会」 , 本紀要第32巻第2号 (1982年3月)50一5 1 1 4 1 5( 9 8 頁 鈴木英一・ N 年6月)6 11) 佐藤秀夫 「幻の新.教育勅語案」 社団法人教育問題研究会・文教, o , . , 日本占領と教育改革 (勤草書房, 1983年)208−9頁参考, 12) 辻田力氏1 日蔵文書 (以下, 辻田文書という) 2−5, なお原資料は縦書きである (B4タイ プ謄写) 13) 同前, 教育法案関係−39 , 14) 春山’ 頂之輔資料 NE −011(B4手書き謄写) , 15) 同前 NE −010(B4手書き謄写) , 16) 佐々木享 「中学校 (新制) の目的について」 名大教育学部紀要 (教育学科) 第29巻 (1983年3月) , 240 , 241頁, i ll i 3 0c h t t t t t t ) 17) Edwin H. Wiggl a ns ut es Commi ee( oberl946 eswor , , REPORT OF CONFERENCE:Spec op i t ‐00683 .c , CIE(A) i l l i i t i IRe f f i IVers i 18) Educat nor Co rchl946 ec on ona orm‐of c a onofJapEdCom,25 Ma , TheJoseph C. Tra , Box 29 , h i t t 19) Edwin H, Wiggel swor .c , , op 1946年10月の前後の時点で, 六三制は内定し, 六三制を含む六三三四の方向が固りだし 20) 鈴木英一氏は, 「 た」 とされつつ, 同時に, 「教刷新委が六三制を正式に決定するのは, 12月20日, 27日の二つの建議によっ てである」 として教刷委の動向にも着目しておられる, 「学制改革の成立事情」 名大教育学部紀要 (教育学 科) 第29巻, 186頁, 21) 加藤康昭氏は, 8月 案34の規定が10月案で削除された点に関し, 立案者の 「認識の低さ, 消極的態度」. を指摘されている. 「戦後教育改革と障害児教育改革の諸構想」 荒川勇教授退官記念論文集刊行会・障害児. 教育学研究 (1982年7月) , 109頁. 22) 「全体としてみると8・22案より1歩後退したものとなっ たことは否めない」 とする加藤氏の見解を支持 したい. 同前109頁, *なお, 本文中に紹介した日本文資料の原文は, すべて縦書きである, (本 学 助 教 授 ・ 旭 川 分 校). 31.

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