写実的表現の始まり : 美術教育における造形表現
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(2) . 平成10年 2月 Feb 1 r uaryl998. 8巻 第2号 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4 I 2 fEduca i Sec i i i t lo fHokka i do Un tyo t on( on 工C)VO Journa vers .48 ‐ .No. 写実的表現の始まり - 美術教育における造形表現 - 福. 1. 井. 凱. 蒋. は じめ に こ の期 の特 徴 は社 会 的 な成 長と 関連 が深 い. V. ロ ーエ ンフ ェ ル ドは9歳 ~11歳の この期 を ギャ ン グ・エ. イ ジ (ganga ) と別称している. それは盛んな仲間づくりにあっ て, 社会参加の準備期を意味している ge. のである. 又, 自己中心性が崩れ出し, 仲間という集団, 社会への要求と承認で激しく自己葛藤を体験する 時 である.. 写実的表現の始まりは, このような状況の中でさらに周囲に対する客観的な認識が芽生え, 表現する対象 を写実的に描くようになる. 教育的配慮で示す, グル プ活動は, 仲間づくりが私的な性質を持つのに対して, 誰とでも目標をめざし て協力 し, 自他のよさの発見に有意義であることを主張した.. 亘 発達段階の区分 わが国における, 図式期の次に発達段階である前写実期を基準にして三人の児童画研究者の発達区分を参 考 に した い. 1) V. ロ ー エ ンフ ェ ル ドの 場合 ロー エ ン フ ェ ル ドによ る と, 9 歳~11歳 の ギ ャ ン グ・エイ ジ の段 階をさ している. 図式 か らの離脱 であり. 写実の開始である. 彼の写実の概念は写真的仕方での自然の模倣ではなくて, 視的概念としての現実を再現 描出する試みを意味する. 2) H. リ ュ ケ (H.Luque ) の場 合 t リ ュ ケ に よ る と, 9 歳 ~13歳 の 知 的リ アリ ズ ム ( ) に相 当 す る. 彼 によ る と 象 徴 的 l t reaUsmei nt euec ue 図式期 にあ た る こ の 前 の 段 階であ る 不 完 全リ アリ ズム ( ) ま でも 含め て児 童 を写 実の 視 点 re副i sme manque で 分類 して いる. 3) C. パ ー ト (C ) の場合 t .Bur パ ー トによ る と, 視 覚 的 写 実 (v lre司i i sua sm) の 時期 の 9 ~10歳 に相 当 す る. そ れま での 記 憶 と想 像 か. ら描く段階から自然から描く段階に移行を意味する. この時期はさらに, 二つの下位相に分けられ, ①輪郭 線だけが用いられる時期と, ②立体性が試みられる時期である. 立体性は, 重なりや透視遠近法に注意が向 けられるようになる. 以上, 三 人 の研 究 者 による 区 分は図式 か ら写 実への 発展 を特 徴 と している. さ らに G. ケ ルシ ェ ンシ ュ , タイ ナー (G i ) に よ っ て も, 観 念 描 画 時代 か ら 自 覚 描 画 時代 へ の 発 達 段 階 の 公式 と して示 t schens e nr .Ker している.. 229.
(3) . 福 井 凱 府. 1 発達段階の意義 こ の 発 達 段 階の 意 義 は V. ロ ー エ ン フ ェ ル ドによ れ ばgangage (集 団 期) にあ る. つ ま り 「仲 間」 の 誕 生 によ っ て, ひとり でいる よ りも グルー プで一緒 にいた方 が心 強い という 意識 が強く なり, 子 ども が 「社 会 的独 立」 に気付く こと に なる注1).. グループ心理においてはたいていの場合は異性を意識しはじめ, 同性のグループ構成による心理的作用が 働く. それは発達段階においてはじめて経験する性に対する意識であり, 少女たちは服装に対して気をつけ るようになったり, 物事に対する暗好性や考え方の承認を求めるために, 気の合った同士の集会を好むよう になる. 少年たちも自分たちの好む規則や秘密の仲間をつくり, 時にはグループ間の争いをしかけ合ったり する. ロ ー エ ン フ ェ ル ドによる このよう な社 会 的独 立 の芽 生 えと しての こ れらの 重 要 な時期 は, 子 ども たち をと. りまく人間的環境, つまり親や教師がより子 どもを親しく監督したり, 指導したりしたいという欲求と対立 することがある. 親や教師の子どもたちへの指示のつもりがしばしば子どもたちの反対をうけて, ますます 大人への協力が低調になり不良化へと進む場合が多い. このような社会的独立への意義は, 創作活動において極めて顕著に行われる時期でもある. 図式期に使われた幾何学的線は, 自己表現には不十分となる. それは, より自然に密接した表現形式へと 移 っ ていく. ロー エ ンフ ェ ル ドがいう よう に, この 時期 の写 実 は写真 的方 法 で自然 を 模写する よう に, 物 体そ れ自 体の. 再現ではない.それは特定の対象についての経験の再現である.造形指導上気をつけなければならないのは, 単なる科学的・写真的再現方法は, この時期の子どもたちが自身の経験に自己同一化する大切な過程を奪っ て しまう こ と である.. しかしながら写実的傾向は空間表現に至ってはまだ絵の中において描かれた対象の相互関係がはっきりし て いないの である.. y 発達段階の特徴 1) 空間表現 幾何学的線の放棄と基底線による象徴的表現から, 写実的な表現への変化がみられる. それは空間表現の 媒介物をとして基底線の役割は失い, 基底線間の空間に画面上の平面を発見する. この時期の子どもは, 奥 行きという視覚的知覚は未発達であるが, たとえば基底線にまで拡がっていた空とともに, 地面から生えた 木が空を部分的におおうようになることにも気づく. ここから重なり合いを知るようになり新しい視覚の発 達 を経 験す る. 一つ のも の を他 の物 の上 に重 ねる こ とが できる という こと は, 空 間概 念の一部 分と して立 体. 的表現に役立つからである. さらに, この時期の重要なことは, 自分自身の個人性の発見と, 成人と同じだと考え, 欲求するために自 分自身に葛藤が起きることである. たとえば, 親に誤解された子どもは自信を失い自身の内部へ退行しよう とする. これが描画においては, 空間の相互関係を表現できないことが多い. 大人が自分に合わせて子 ども を抑圧すればするほど, このような表現が発展しないでいることになるのである.. 230.
(4) . . 写実的表現の始まり- 美術教育における造形表現 - . ー .. . ー. . . . . . iき ご 縁、 ,ず、--寒さき~きざ’. . 4年. . “ : ,、二が 、 . 、.. 図2. . 落ち葉をあつめたよ. . 落ち葉あっめ. き ド. . 三一もき, 三 孝 ; ミ三塁 ニ き戴き 図1. . . \ , を 耕一 , ノ 詐 . い ゴ. . ノーミー\. 」 I L. ”三 ¥ & イダ i 度墓 , 1三 . 藤戸声望▼. 亀 扇 ぎ 沸〜r 0. 〆▼〆. . 4年. 2) 人物表現 図式期でみるような人物の様式的表現は発達とともに役立たなくなってくる. それは, 人物に対する細部 描写が必要になってくるからである. それは子ども自身が経験した好ましい表現であり, より自然的になる が, より自己経験にこだわりを持つ細部描写である. しかしながら, 子 ども自身は発達に応じて順調に以前 の表現からの脱出を歩んでいるのではない. 社会的独立への芽生えは, はじめて意識する社会への承認欲求を通して成就する. これまでの自分をもっ とよい自分でありたいことの葛藤や危機を経験して大人への仲間入りをめざす重要な時期である. 子 どもはまだ十 分に視覚概念を作り出すことはできないが, 表現をより自然に合わせることができること がわかってくる. 一般に人物表現はまだぎこちなく, 描かれた部分はそれぞれの意義をもち, 経験による価 値観を部分的に表現することを好む. だが自己中心的な特性が中核となり, 集団における自分と, 集団に対 する考えが合わなくなり, 自分を客観視できるまでこのような画面における相互関係のぎこちなさが続く. ナ子ナナ サ乳化上ハ 婦 上h\うメー 「キー. 4年. 「. = 図. . 運動会. ~〆. . . , 一 瞬. 湿 し、. . . ノ. . J=. . . ,\. ム ー」 .. . . 燐. 図3. 17 ぎに玉露轍,学 部. ニ も 誓 電『ミ .. れ. .. . . ”!. { ‘. . 鱒 詩. 、三軒手ラド\ ÷ 「 零そ す - だ. . 給食のお ばさん. 4年. 231.
(5) . 福 井 凱 将. V 個別的成長の特徴 1) 知的成長 ロー エ ンフ ェ ル ドが ギ ャ ン グ・ エイ ジと称 した の は,子 ども の社 会 的独 立を求 める と いう 傾 向を利用 して,. 集団描画をさせ, 社会性の発達を促進する最適期 と考えたようである. 集団で出来た仕事が自分一人では出 来なかっ たり, 逆に集団がある目的を満たし得なかったものを自分だけで完遂した場合は, 集団への欲求不 満 によ っ て, 集 団の社 会 的単位 が崩 れか けてく る‐. 孤立した状態での社会的承認ではなく, 仲間と協力して, さまざまな欲求をぶっつけ合い, 遊んだり, 学 習したりする十分な体験を卒業してからの社会的参加でなけれ ばならない. ギ ャ ン グ・ エイ ジのこ のよう な考 え は, 子 ども たち の社 会性 の 発達段 階をあ らわ しても, 描画 の 発達類 型. を指す概念として適切でないという批判があるかも知れない. そ れに は, ロー エ ンフ ェ ル ドが示 した 美術 教育 の二 つ の 目 的, そ の一つ は自 己 表現 の手段 と他 は治療 的手. 段の有意性によって答えることができる. 子どもが大人になる過程はさまざまな一定の発達段階をたどるこ とは誰でも承知していることであろう. それが全体的の調和のある発達は望ましいことであり, やがて社会 人と なる ための 自立する 過 程 を前提 にす れ ば, ローエ ン フ ェ ル ドの二つ の目 的 は有 意 義 となる.. 2) 情緒的成長 ギ ャ ン グ・ エイ ジを迎 える この 時期 の子 ども たち は, 集 団にお いて 自 己がより 矛盾 なく 主 体 的に調和 す る. ことの必要性を体験する‐ ) は, 精神 分析 学 の 発 展 的概 念 か ら 発 達 を社 会 ・ 心 理 的 発 達 と して と E‐H. エリ ク ソ ン (E .H.Erkson. らえ, 各発達段階を不連続なゲシュタルトとして, 自我同一性の形成を唱えている. ロー エ ンフ ェ ル ドも 同 様 に, よ く 調和 の と れた 人 格 形 成 の ため に は, 「… … … 自 分の する こ と に自 己同 一. 化することが根本であるし, 隣人と協調するためには, 隣人の要求に自己同一化することが最も重要な前提 と なり, こ れらは確 定的な こ とである. 注2)」 と述べ て いる.. 特にこの時期は, 集団と個人との相互の同一化の貴重な機会であることを見逃してはならない. 同時にそ のような発達過程である子 どもたちの存在を認識して教師は子 どもたちとの同一化をおろそかにしてはなら ない こと が責 務と なる の である. このよう な, 心 理 的な発 達 にお いて, 情緒 的特 徴 は, 描 か れる 対 象 の 関心 の 度合 によ っ て, そ れが 強 けれ. ば詳しく描き込むことである. つまり, 子どもは情緒的に重要な部分の特徴を描き表すことには, いっ そう 熱意を示す傾向が強いといえよう. 3) 知覚的成長 子どもの視覚的意識の最初の経験は地平線の取り入れである. 図式期にいて試みる基底線とは異なる. 確 かに子どもはあらゆる物を一本の基底線の上に置く描画が特徴の一つである. 一般に図式期のこのような基 底 線を用 いた絵 に は, 地上 に立 っ て いる 人も, 実 際に は線の上 に立 っ て いな い描 き方 にな っ ている. そう す. ると, 基底線は, 視覚的経験に基づいたことでないことが断定できよう. 視覚的知覚のもう 一つは, 重なり合う知覚である (図3). 以前のX線画にみられる方法 は, 現実的・自 然的でないことが視覚的経験を通して知覚されていく. 手前にある人や物がうしろにある対象物を隠して描く方法ははじめて経験する試みである. 初期には遠近 感を知覚して表すことはとうてい誕生していないが, 手前は下に, 遠くは上の方に表すことが都合のよいこ. 232.
(6) . 写実的表現の始まり- 美術教育における造形表現 -. とを用いる. やがて知覚の発達と視覚経験の協力によって, 遠くを小さく近くを大きく表す透視画法に進ん でいくのである (写実的段階) . l F.W. スメ ドレー (F ey) は, 聴 覚 的記 憶 は 8歳 か ら, 視 覚 的 記憶 は9 歳 か らよ く 発達 し13歳 . W.Smed 頃ま で 大き な 差 で進展 す る と 述 べ て いる注3). こ の こ と は, 8, 9 歳 頃の子 ども は, 象 徴 的 な 表現 か ら写 実的 に移 行 していく ことを示 している (図4). 子 ども が 教 室 で 自 由 に討 議 した と き に どの よう な 題 目 を 選 ぶ か と いう こ と を, H. V. ベ ー カ ー (H.V . 注4 ) ) は Baker , 4 年 生 (アメ リ カ) ま で は, 話 題, 話 題 の 材 料, 話 題 の場 所 につ い て, 共通 して 自 分 の. 経験や狭い環境内に限られているのに対して, 6年生になればそれらの興味の範囲も広がり, 自分の経験を 離れて現在の問題となっている事件に興味をもち, それに関する知識を獲得する手段もより正確になってく ることを報告している. 読書についても男子は冒険物語に非常に興味を示し, それがたとえ空想的であっ て. も現実的人格を基礎に視 点をそ そ い でいる こ とを指摘 して いる.. W 教育的配慮 子どもたちが発達するこの時期をどのような環境で経験させたらよいのか, 教育的観点から1. 造形教育 の環境, 2. 子 ども の立場, 3. 教 師の 立場 につ い て 論求 した い.. 1. 造形教育の環境. 子どもたちが豊かな造形体験を経て, 次の発達段階へ進展することは造形教育の果たす役割にかかわって いる. それは, 図5に示す通り, 子どもと教師が十分に自己同一化が機能する教育的環境でなければならな し、.. 1 学習指導要領 1. 1題. 材ト. 造形活動を. 個人的条件. 社会的条件. 支 える 要 素 ・感 情 ・感 動 ・感 心 ・ 表 現力 ・忍 耐 ・創 造 力. .情 操 .心 情 . 自発性 ・独 立性 .創 造性. 1 造 形 教 育 論1. ・自他の存在を 認め あう ・客観 的認識の 向上 .協力 できる. 子 ど も の 立 場 自. 己. 同. 一. 化. 教. 師. の. 立. 場. 図5. 造形教育の環境. 子ども一人一人は自己表現を通して, 個人的条件である情操や心情, 創造性を育む活動に参加する. この ような一人一人の自己表現は, 相互に認め合うことによっ て社会的条件を育むことになる. ちなみに現行の 学習指導要領で示されている個性の伸長いわゆる個性豊かな人格の育成は, 客観的知覚が芽生えるこの時期. 233.
(7) . 福 井 凱 府. から, 教師は十分な配慮をしなければならない. 2 子どもの立場 幼児期から小学校低学年までにつづく幼児的心理である自己中心性がぐらつきはじめ, 客観的世界が見え てくる. 中学生にわたるある子どもらしさの最も現れる時期である. その子どもらしさとは, 情緒的には今まで感じなかったものに感情がはたらいたり, 喜怒哀楽の起伏もは げしくなる. 父母や教師に対して児童期のような信頼感を持たなくなる. 一方, 事物の性質を分析して観察 するような態度があらわれ, 自己意識に目覚め, 批判的になってくる. これに伴って社会的な関心も深くな り, 社会生活の一員として参加したいという要求が始まる. この要求を実現しようとしたり, 情緒的, 精神 的変化の安定のために集団的な活動を好むようになるのである. このような特徴は, 主に子 どもの身体的・心理的発達に基 づくものであって性別による興味の対象の違い もあらわれてくる. これらが造形的な能力にどのような影響を与えるかをようやくすると次のような項目を あ げる こと ができ る.. ① 仕事の結果を意識するようになり, 計画的な造形方法を選ぶようになる. ② 共同作業に興味を持ち, 共同の中で自己同一化をやわらげたり, 進めたりしてそれらの雰囲気を楽し む傾向が強くなる. ③ 表現が自己の視覚経験と結びついたり, 情緒的経験にこだわりを持った詳しい説明表現をする. ④. 表現力に対して, 鑑賞力がより進歩する傾向があらわれる.. 3 教師の立場 子 どもたちの指導の立場にある教師は, 子どもたちの発達段階やその個 人差, 個性という べきものに考慮 し, それらを生かすような指導をする態度 (立場) が望ましいと考える. しかし, 実際的には教師の側には, 子どもの描く絵, 工作がその発達過程として妥当なものか否かを判断 でき ない で困 っ て いる 状況 を多く 目にする.. その原因の一つは, 教師自身が創造的表現の経験がなかったり, 不十分なためにある. これは子どもの創 造的表現を正しく評価できない どころか, 免罪として過度な評価や, 偏見的指導が子どもたちの表現意欲を 阻害する こ と になる の である.. これは子どもの自己表現が発達の過程として, より創造的表現を重視する必要があるということを認識し ている か否 か にも よる が, 子 ども に と っ て はき わめ て重要 な 状況 である こと に は間違 いない.. 次に教師の立場の重要なことは, 子どもたちに対する自己同一化のはたらきである. つまり子ども一人一 人の要求や悩みをどれだけ受け入れることができるかである. この時期の子どもたちを社会的成長の面から みると, はじめて社会的独立を見出す時期であり, 個人であるときよりもグループの中にいる方が, 自分が い っ そう 力 強く 感 じる 時期 で ある (ギ ャ ン グ・ エイ ジ). した が っ て子 ども た ち に対 する 自 己同一 化 は, 子. どもたちのグループの状態 (有様) に柔軟に対応しなければならない困難さがある. それには次のようなグ ルー プの 状態 が考 え られる. ①. 子 ども が所属 する グルー プにお い て自 己同一化 して い して 自信 を 持 っ ている.. ②. グループはまとまっ ているが, 性格が均質化されて他のグループとの争いが多い (権勢的集団).. ③. グルー プが一 人の ボス と自 己主 張 の強さ の序列 によ っ て統制 がと れて いる (サ ル 山的集 団).. ④. ある 目 的のた め に, 結 ばれている グルー プ. (利 権 のた め, 共通 の悩 みを解消 する た め, 虚 栄の ため,. 復讐のため). 234.
(8) . 写実的表現の始まり- 美術教育における造形表現 -. 以上 の こと から①以 外は グルー プの状態 が民 主 的で なく, いっ崩 壊 してもお か しく ない 状態 と いえ よう.. それには例えば, グループ形成の起因を確かめグループ内で矛盾に気 づきグループが再生したり新しいグ ループを誕生できるような同一化を通して子どもたちに勇気を与える方法が考えられる. 子 どもが成長過程でたどるギャング・エイジの意義は, 個人のちがいに深く気づき自分と他人を認め合う ことにある. それは造形活動においては, クラス仲間の自己表現を比較したり違いを発見し 共同製作を通 , して協力して得られるいろいろな成就感を味わうことにある. 次の発達段階を経験する写実期 (小学校高学年から中学校) にかけて, ギャング・エイジでの経験不足が 尾を引いて, 幼稚性のある仲間作りが目を引くことがある. 例を上げると, 中学校において学年はおろか学 級内であっ ても, 他の仲間の人と敵対したり, いじめの対象とする. また, 考え方, 身につける物 髪の形 , の違いや好みによって蔑視したりする. 要するに社会的独立が狭いのである. 対人関係も偏見的であること に気づかずに大人になっても, 社会性は未熟なままで過ごしてしまうことになる. 学習方法の一つであるグループ学習も, グループの編成 に工夫を要するが, 中学校では大いに活用すべき であろう. グルー プ間 の競争 な ど問 題外 である. グルー プ間 で互い によ いと ころ を認 め 合い グルー プ内 で ,. の互いの存在意識を大切にすることを体得できればよいのである.. W. おわりに. おおよそ小学校4年~5年からはじまるギャ ング・エイジの時期は自己中心的な存在から少 しずつ脱出が はじまる時期である. そして自己以外の周 囲に対する観察も主観的な度合いが強い反面 表現は客観的 (現 , 実) な取り入れがはじまる. 造形指導はこのような多様化して成長する子どもたちを, より広い視野から自己同一化を通して実践しな けれ ばな らない.. 常に発達段階を経て成長を続けている子どもたちは, 一般の大人と違う. 子どもたちは常に新しいパター ンを求 めよう と して いる. した が っ て 一 つ の パ ター ンの 中 で変化 をお そ れて いる 教 師より 新 しいパ ター , ,. ンに柔軟に自ら精神を高めようとする姿勢に子どもたちは共感する.. 注 1) V. ローエ ンフ ェ ル ド, 『美術 による 人間形成』 禁明書房 1969 p 238 , , , . 2) 上掲書, p.52 3) 倉田三郎編, 辰見敏 夫著, 『子 どもの 美術』, 美術 出版社 1956 p 10 , , . 4) 上掲書, p.10. 235.
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