61 519 1 第58回真空に関する連合講演会実行委員長
2 2017年真空・表面科学合同講演会委員会副委員長
3 産業技術総合研究所(〒3058568 茨城県つくば市梅園 111 つくば中央第二)
Fig. 1 YCU Square Building, our Joint Symposium venue, in Kanazawa-Hakkei Campus, Yokohama City University.
Fig. 2 A signboard for our Joint Symposium at the entrance to the YCU Square Building, Yokohama City University.
61 519 ―( )― Vol. 60, No. 12, 2017
報
告
2017年真空・表面科学合同講演会(第37回表面科学学術講演会・
第58回真空に関する連合講演会)開催報告
中
村
健
1,
2,
3Report on SSVS 2017, 2017 Joint Symposium of the Surface Science Society of Japan
(SSSJ)
and the Vacuum Society of Japan
(VSJ), Concurrently with SSSJ's 37th Annual Meeting
and VSJ's 58th Annual Symposium
Ken NAKAMURA1,2,3
1Chair, 58th Annual Symposium of the Vacuum Society of Japan
2Vice-Chair, 2017 Joint Symposium of the Surface Science Society of Japan and the Vacuum Society of Japan (SSVS 2017) 3National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST), Tsukuba Central 2,
111 Umezono, Tsukuba-shi, Ibaraki 3058568, Japan (Received September 8, 2017, Accepted October 9, 2017)
2017年真空・表面科学合同講演会は,2017年 8 月17日 (木)より19日(土)まで横浜市立大学で開催された.横浜 市金沢区にある同大学金沢八景キャンパスに昨年 4 月竣工 した YCU スクエア(Fig. 1)の 5 教室及びホールとロビー を拝借して,日本真空学会第58回真空に関する連合講演会 と日本表面科学会第33回表面科学学術講演会の合同講演会 (Fig. 2)として開催された.国際会議の開催などに配慮し て例年よりも 3 ヶ月ほど早い開催となったが,参加者数546 名,講演件数306件1),企業展示35社,懇親会参加79名など, 8 月中旬の旧盆明けとは思えない盛況な講演会となった.両 学会の講演会合同開催は,2006年大阪での同時期同場所開 催を含めると 6 回(他に2010年大阪,2013年つくば,2015 年つくば,2016年名古屋,今回)となる.これまでの十分 な合同開催の経験の蓄積が両学会合併後の講演会運営に引き 継がれることとなるので,次回以降の参考のために今回の開 催報告を簡単にまとめておきたい. 会員が最新の研究成果を報告する一般講演のうち,口頭発 表は当該分野の研究を先導する招待講演(真空学会でも 2016年より「特別講演」から呼称変更)と併せて,両学会 の各々 8 分類された講演セッションにそのプログラムが編 成された.真空学会では,講演セッションが真空科学技術 (VST),表面工学(SE),表面科学(SS),応用表面科学 (ASS),薄膜(TF),プラズマ科学技術(PST),ナノ構造 (NS),電子材料・プロセス(EMP)等に分類されており,
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Fig. 3 A snapshot during Poster Session on the ˆrst day of the Symposium.
Fig. 4 Prof. Ichiro Arakawa, Gakushuin Univ. and VSJ Presi-dent, presenting Prof. Yukio Yasuda, Nagoya Univ., with the Fourth VSJ Award at the VSJ Awards Ceremony.
Fig. 5 Prof. Yoshio Saito, Univ. Tokyo and VSJ President-Immediate-Past, giving his presentation at the VSJ Or-ganized Session: Symposium on ``Sixty years of JVSJ and its future''. 62 520 ―( )― J. Vac. Soc. Jpn. 表面科学会では,◯表面物性,◯表面反応,◯表面構造,◯ 表面分析・評価技術,◯半導体・磁気・電子・光デバイス材 料,◯低次元・ナノ物質,◯ソフトマター,◯環境・エネル ギー材料,等に分類されている.この中で,講演内容及び参 加者の興味・関心に重複がある SS と◯~◯,ASS と◯, EMP と◯,NS と◯等から 4 つの合同セッションを編成す る一方で,TF, PST, VST 等に関しては真空学会セッショ ンとして初日及び 3 日目に開催した.また,一般講演のう ちポスター発表は,1 日目夕方及び 2 日目午前後半の各90分 間をポスターセッションに充て,1 階ピオニーホールにて開 催した(Fig. 3).真空学会から講演登録されたポスター発 表は 1 日目20件(主に薄膜・プラズマ関係)2 日目19件(主 に真空・表面関係)で,このうち15件が優秀ポスター賞審 査に応募され,審査の上で本誌60巻10号の会告で公表され ているポスター発表の筆頭発表者を表彰することとなった. 両学会会員に共通した興味・関心の対象となる研究課題に ついて,5~6 名の講演者が異なる視点から報告を行い参加 者と共に当該課題の議論を深める機会として,4 つの合同シ ンポジウムが企画された.生物個体を構成する階層構造の計 測について「バイオ表面・界面,細胞,生体組織のオペラン ド計測」,真空環境を利用した材料プロセスの最新の話題に ついて「新材料・新表面技術を切り拓くプラズマプロセス」 及び「原子層堆積法(ALD)・原子層エッチング法(ALE) の最前線」,また基礎的な物性物理学の最先端について「低 次元超伝導の新展開」が各々 1 日目午前,1 日目午後,2 日 目午後,3 日目午前に開催され,活発な討論が進められた. 2 日目の午前前半は両学会の表彰式に充てられ,日本真空 学会では顕彰式(Fig. 4),表彰式及び受賞記念講演を行っ た.日本真空学会では2014年より真空,表面及び関連する 科学技術とその産業応用の進歩発展等について顕著な功績を 上げた会員に学会賞あるいは「フェロー」の称号を授与する こととなり,既に置かれていた「真空の匠」の称号と合わせ て,顕彰審査会で審議・推薦の上で理事会が顕彰者を決定し て連合講演会の顕彰式にて顕彰するとの運びになっている. 本年は第 4 回学会賞が安田幸夫先生(名大)に,またフェ ローの称号が後藤康仁先生(京大)と本田融先生(高エネ研) に授与された2).またこれまでの長い歴史を持つ熊谷記念真 空科学論文賞と真空技術賞,若手会員に対する真空進歩賞, 会員の啓蒙・教育に対する真空会誌賞に関しては,表彰審査 会での審議・推薦を経て理事会が決定した上で顕彰式に続く 表彰式で授与を行うこととなっている.本年は真空技術賞が 糟谷圭吾先生(日立製作所)ほか 3 名の先生及び末次祐介 先生(高エネ研)ほか 6 名の先生の 2 組に,また真空会誌 賞が後藤康仁先生(京大)に授与され3),引き続き受賞記念 講演をいただいた. 2 日目の午後には日本真空学会オーガナイズドセッション
63 521 63 521 ―( )― Vol. 60, No. 12, 2017 が開催された(Fig. 5).学会活性化の施策の一つとして 2015年より開始された本セッションは,会員・委員会・部 会・支部などの直接的な提案に基づく企画で,本年は日本真 空学会編集委員会提案のシンポジウム「真空誌60年と学会 誌の将来」が開催された.今年通巻60巻を刊行中の本誌4)と 同時代の過去及び現在の真空と関連する科学技術を振り返る と同時に,これら知見を伝達する媒体である学会誌とそれを 運営する学会の将来を展望する議論が行われた.これまで 3 回のオーガナイズドセッションはそれぞれ正会員・部会・委 員会の提案になるもので,連合講演会への自由な企画提案が 定着してきた感がある.講演会活性化への貢献のため,次回 以降も引き続き活発な提案を期待したい. 2 日目の夕方には,基調講演が 2 件行われた.大門寛先生 (奈良先端大)からは「原子分解能ホログラフィーの最近の 発展と 3D 活性サイト科学」と題して,完全結晶とは異なり 規則性に乱れのある系(微量元素の局所配列など)にも適用 可能な新たな 3 次元原子配列決定法である「原子分解能ホ ログラフィー」の現状と課題及び先生が先導している新学術 領域研究「3D 活性サイト科学」プロジェクトの進捗につい てご報告いただいた.木本恒暢先生(京大)からは「省エネ ルギー・パワー半導体 SiC の進展と今後の展望」と題して, 整流などの電力制御用半導体素子(パワーデバイス)の分野 で高耐圧・低損失等の特性から Si の代替が期待されている 族化合物半導体である SiC について,実用化に向けて鋭 意進められている研究開発の現状と課題をご報告いただい た.なお川合真紀先生(分子研,東大)がご都合により登壇 できなくなったため,基調講演は予定を一部変更して行われ たことをお断りしておく. また 1 日目・2 日目にはポスターセッション会場と同じ 1 階ピオニーホール及びロビーにて企業展示が行われ,35社 の企業からの出展をいただいた.このうち13社からは,初 日あるいは 2 日目の昼休みを利用した企業プレゼンテーシ ョンまたは企業セミナーを催していただき,聴講者は地元横 浜名物のシウマイ弁当などをいただきながら各社の最新の製 品紹介等を拝聴させていただいた.なお出展企業の方々との 意見交換・名刺交換等の機会として,1 日目夕方のポスター セッション終了後に合同ミキサーを開催した.また招待講演 の先生方を含めた合同講演会参加者の交流の機会として,2 日目夕方の基調講演終了後に合同懇親会を開催した.ご招待 の先生方17名や出展企業の方18名を含む79名の参加があ り,学会賞受賞の先生方からスピーチをいただいたり,参加 者同士の話に花が咲いたり,楽しい一時を過ごすことができ た. 今回の合同講演会では,これまでの合同開催の蓄積を踏ま えてさらに一体化された実行体制を構築することができた (会誌本巻 7 号の会告参照).昨年から講演登録システムを 両学会一体で運用しているが,今年は「合同講演会に関する 覚書」の改訂も踏まえてプログラム編成を両学会合同の合同 プログラム委員会のみで行い,以ってプログラム編成体制の 統合が完成の域に至った.現地実行体制も,両学会からの会 場・懇親会・展示担当等の委員が情報共有を図りつつ一体に なって準備及び開催に取り組むことができ,合同講演会委員 会として効率的な講演会運営を担うことができた.学会合併 に向けた今後の主な課題としては,講演セッションの統 合・再編と若手講演者の講演発表表彰の一本化の 2 点で あろう.私見だが,はこれまでの合同講演会における合同 セッション設立の実績等を踏まえて,両学会員が共に推進す る分野かいずれかの学会員が主として推進する分野かに応じ て,10~12セッション程度に統合・再編できるのではない かと考える.は両学会の間に表彰対象や応募資格の分類の 相違等があるので,今後十分な時間を掛けて議論・検討を進 める必要があるが,両学会員の総意が得られる表彰制度に継 承して優秀な若手会員と彼らの研究の奨励に貢献することが 重要と認識している. 最後に本合同講演会開催にあたって,公益財団法人横浜観 光コンベンション・ビューロー及び横浜市立大学学術研究会 よりご支援いただいたことをここに記して,深く感謝の意を 表したい.ありがとうございました. 年真空・表面科学合同講演会(第回表面科学学術講演 会・第回真空に関する連合講演会)のまとめ 期日2017年 8 月17日(木)~19日(土) 会場横浜市立大学金沢八景キャンパス YCU スクエア,教 室(A~E の 5 会場),ピオニーホール,ロビー 参加者546名 講演構成306件 基調講演2 件 日本真空学会受賞記念講演技術賞 2 件,会誌賞 1 件 日本表面科学会学会賞講演2 件 合同シンポジウム「バイオ表面・界面,細胞,生体組織の オペランド計測」5 件 合同シンポジウム「新材料・新表面技術を切り拓くプラズ マプロセス」6 件 合同シンポジウム「原子層堆積法(ALD)・原子層エッチ ング法(ALE)の最前線」6 件 合同シンポジウム「低次元超伝導の新展開」5 件 真空学会オーガナイズドセッション「真空誌60年と学会 誌の将来」6 件 表面科学会研究部会セッション(表面分析研究部会) 「HAXPES(36 keV)ラボと放射光」8 件(一般講演 2件を含む) 表面科学会研究部会セッション(データ駆動表面科学研究 部会)「物質設計と計測データ解析のためのデータ駆動科 学の新展開」6 件 表面科学会研究部会セッション(摩擦の科学研究部会) 「さまざまな界面の摩擦・凝着制御の最前線」5 件 表面科学会研究部会セッション(プローブ顕微鏡研究部会) 「走査プローブ顕微鏡によるナノ表面科学の最前線」6 件 合同セッション(4 セッション)一般講演23件,招待講 演 7 件,表面奨励賞 1 件,表面技術賞 1 件 真空学会セッション(3 セッション)一般講演21件,招 待講演 3 件 表面科学会セッション(10セッション)一般講演92件, 招待講演 6 件,表面会誌賞 2 件
64 522 64 522 ―( )― J. Vac. Soc. Jpn. ポスターセッション1 日目44件(真空学会20件,表面科 学会23件,表面産業賞 1 件),2 日目46件(真空学会19 件,表面科学会27件) 企業展示 企業展示35社(小間) (うち,企業プレゼンテーション12社,企業セミナー 1 社) ほかに,予稿集掲載の企業広告1 社 関連行事 日本真空学会教育委員会主催 スクールコース 「表面科学研究のための超高真空技術」 8月19日(土)14時45分~16時15分 C会場 講師間瀬一彦(高エネ研) 〔文 献〕 1) https://www.jstage.jst.go.jp/browse/sssj2008/37/0/_contents/ -char/ja/ (Last accessed: 20170908)
2) S. Zaima: J. Vac. Soc. Jpn.,60 (2017) 239 [in Japanese]. 3) D. Fujita: J. Vac. Soc. Jpn.,60 (2017) 244 [in Japanese]. 4) Y. Saito: J. Vac. Soc. Jpn.,60 (2017) 1 [in Japanese].