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CA1-3 絵画作品における色彩的特徴の計量的比較分析

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Academic year: 2021

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絵画作品における色彩的特徴の計量的比較分析

○行村 隆平†,金 明哲‡ 同志社大学大学院文化情報学研究科†,同志社大学文化情報学部‡ 1 はじめに 絵画作品における研究は,人間の感覚や知識を用いて研究を進める質的研究が主である.一方, 絵画を画像として扱うなどデジタル化が進む中,従来の質的研究に比べると数は少ないが,絵画 作品を計量的な観点から捉えた研究も行われている.そこで本研究では,画家の作風や作品の特 徴を捉えることを目的に,絵画作品を画像として扱い,計量的に捉えて分析した.なお,多くの 研究では画像データの色彩情報の一つである RGB に注目し分析を行っている.しかし RGB 情報で は作品の色彩が RGB 各成分に分割されて表現されるため,人間が作品を見た際に感じる色彩的印 象を反映したデータとして考えるには限界がある.そこで今回は,RGB の他に新たにカラーコード に注目し分析を行うことでより作品の特徴や画家の作風を捉えることを試みた.加えてカラーコ ード情報が絵画の特徴を捉える際にどの程度有効か検討するため、カラーコードに注目した分析 結果を RGB に注目した分析の結果と比較した. 2 研究方法 本研究では画家カラヴァッジョの絵画 48 作品,画家レンブラントの絵画 47 作品,画家フェル メールの絵画 35 作品,合計 130 作品を研究に用いた.作品を画像データ化する際にはすべての作 品において同じ出版社の画集と同じスキャナーを用いた.その後カラーコード情報を抽出する際 は,画像編集ソフトにて WEB セーフカラー画像にしたのち情報を抽出した.RGB 情報を抽出する 際にはフルカラー画像から RGB ヒストグラムに注目し情報を抽出した.RGB ヒストグラムではそ れぞれのチャンネルにおいて階調を 72 等分して情報を抽出した.なお,色彩情報は RGB 情報であ れば該当する区間に色彩が何ピクセル含まれるか,カラーコード情報では該当する色彩が何ピク セル出現したかという形式で集計される.本研究では作品サイズによる色彩の出現数の影響をな くすため,作品ごとに作品の総ピクセル数で割ることで相対度数を用いた. 得られたデータに対して統計的多変量データ分析法と機械学習法で分析を行い,色彩的観点か ら 3 人の画家の作品の特徴を捉えることを試みた.具体的に統計的多変量データ分析として相関 係数行列を持つ主成分分析,機械学習法ではサポートベクターマシン(以下 SVM)とランダムフォ レスト(以下 RF)を行った.機械学習法では一個抜き交差検証(LOOCV)の正解率を求めた. 3 分析結果 3.1 RGB 情報に注目した分析 まず RGB 情報すべてを用いた主成分分析の結果を図 1 と図 2 に示す.なお,第 3 主成分以降に

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関しては適当な解釈が難しかったため,今回は第 1 主成分と第 2 主成分を用いて分析を進める. 図 1 は主成分負荷量,図 2 は主成分得点のプロットである. 図 1 RGB 情報での主成分負荷量のプロット 図 2 RGB 情報での主成分得点のプロット 図 1 において図の左下には RGB それぞれのチャンネルにおいて暗い色彩の変数が位置し,時計 回りに移動するにつれて明るい色彩が多くなることが読み取れる.そして図 2 では,左下にカラ ヴァッジョとレンブラントの作品が多くプロットされ,時計回りに移動するにつれてフェルメー ルの作品が多くプロットされた.よってカラヴァッジョとレンブラントの作品は暗い色彩が,一 方でフェルメールは 2 人の作品に比べて明るい色彩が作品に多く用いられていることが読み取れ た.なお,RGB それぞれのチャンネルのみの情報を用いて分析を行った場合も RGB 情報すべてを 用いた場合と同じ傾向の結果が得られた. 一方,機械学習法では,3 人の画家の作品の識別において,SVM で 63.85%,RF で 64.61%の正 解率が得られた. 3.2 カラーコード情報に注目した分析 カラーコード情報を用いた主成分分析の結果を図 3 と図 4 に示す.図 3 は主成分負荷量,図 4 は主成分得点のプロットである.なお,第 3 主成分以降に関しては適当な解釈が難しかったため, 今回は第 1 主成分と第 2 主成分を用いて分析を進める. 図 4 では,多くの作品がプロットされた部分から外れた位置にフェルメール絵画 02(V02)とレ ンブラントの絵画 23(R23)の 2 作品がプロットされ,この 2 作品は色彩的に特異な特徴を持つ作 品と読み取れた.図 3 では右上の方向に濃い青色や濃い赤色の変数が位置し,右下には薄い青色 や薄い緑色の変数が効いていることが読み取れる.このことから図 4 において右上のフェルメー ルの絵画 02 は濃い赤色や濃い青色が用いられた作品,図 4 右下に位置するレンブラントの絵画

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23 は薄い青色や薄い緑色が用いられた作品という点で他の作品と違うことが読み取れた. 図 3 130 作品での主成分負荷量のプロット 図 4 130 作品での主成分得点のプロット 次に色彩的に特異な特徴を持つ 2 作品を除いた 128 作品で主成分分析を行い,図 4 においてま とまってプロットされた作品それぞれの特徴を捉えることを試みた.128 作品での主成分分析の 結果を図 5 と図 6 に示す.図 5 は主成分負荷量,図 6 は主成分得点のプロットである.なお,今 回においても第 3 主成分以後に関しては適当な解釈が難しかった. 図 5 128 作品での主成分負荷量のプロット 図 6 128 作品での主成分得点のプロット 図 5 では第一主成分の負の方向に濃い赤色や茶色,黄色といった暖色系の色彩が,正の方向に

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濃い青色や緑色といった寒色系の色彩が位置していることが読み取れる.そして図 6 において図 の左側にカラヴァッジョとレンブラントの作品が,右側にフェルメールの作品が多くプロットさ れていることから,カラヴァッジョとレンブラントの作品は暖色系の色彩で,フェルメールの作 品は寒色系の色彩で作品が構成されていることが読み取れた. 機械学習法による作品の識別では 130 作品分のデータを用いた場合,SVM で 66.15%,RF で 80.77%の正解率が得られた.そして 128 作品分のデータを用いた場合,SVM で 66.41%,RF では 82.03%の正解率が得られた. 4 考察 RGB 情報を分析に用いた場合,作品の色彩的特徴に関して明るさの程度の視点から捉えること が出来たが,具体的な色彩について捉えることは難しかった.一方,カラーコード情報を用いた 場合,研究対象作品を暖色,寒色という色彩的観点から特徴を浮き彫りに出来た.加えて具体的 な色彩の用いられ方の違いから特異な作品の特徴を捉えることも出来た.また,機械学習法によ る作品の識別の結果では RGB 情報よりカラーコード情報を用いた場合の方が高い正解率が得られ たことから,色彩的な観点において,カラーコードを用いた場合,RGB に注目するより絵画作品そ れぞれの色彩的特徴や画家の作風が抽出できるという結果に至った. なお,今回の分析ではカラヴァッジョとレンブラントは暗く暖色系の色彩で作品が構成されて いる一方,フェルメールは 2 人に比べて明るく寒色系の色彩で作品が構成されていることが色彩 的特徴として読み取れた. 終わりに 本研究では画像の色彩情報に注目し,分析を行うことで作品の特徴や画家の画風を色彩的な観 点から客観的に捉えることを試みた.一方で作品の特徴をさらに捉えるために,分析の際に対象 作品のどの位置にどの色が用いられるといった情報や作品に描かれているモチーフなどの情報を 加えたデータでの分析や考察も今後の課題である. 謝辞 本研究を行うにあたり多大なご支援,ご助言を下さった同志社大学大学院文化情報学研究科デ ータサイエンス研究室の皆様に深く感謝いたします. 参考文献 [1] ティモシ-・ウィルソン・スミス(2003)『カラヴァッジョ』(アート・ライブラリー) 西村書店 [2] マーティン・ベイリー(2005)『フェルメール』(アート・ライブラリー) 西村書店 [3] マイケルキツソン (2009)『レンブラント』(アート・ライブラリー) 西村書店

参照

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