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被災自治体の災害対応の課題・教訓を継承するための 記録の作成及び訓練・研修の実施に関する実態把握

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Academic year: 2021

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地域安全学会論文集 No.37, 2020.11

被災自治体の災害対応の課題・教訓を継承するための

記録の作成及び訓練・研修の実施に関する実態把握

A Questionnaire Survey on Record of Disaster, Disaster Prevention Drills and Training

to Succeed to Disaster Response Lessons in Disaster-affected Local Governments

秋元

康男

1

,佐藤

翔輔

2

,紅谷

昇平

3

Yasuo AKIMOTO

1

, Shosuke SATO

2

and Shohei BENIYA

3

1 三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱ 政策研究事業本部研究開発第1部

Research and Development Dept.1, Mitsubishi UFJ Research and Consulting Co., Ltd.

2 東北大学 災害科学国際研究所

International Research Institute of Disaster Science, Tohoku University

3 兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科

Graduate School of Disaster Resilience and Governance, University of Hyogo

For effective disaster response, it is important to record and succeed past disaster lessons learned. In this study, a questionnaire survey for local governments affected by major earthquake disasters was conducted to understand their efforts and challenges on succession of the disaster response lessons to the next generation. As a result, although many affected local governments have organized and issued their lessons, there is a tendency that disaster prevention drills and training for staff have not been carried out mainly due to insufficient time to prepare for. It implies that affected local governments should utilize the existing disaster prevention drills and training, and drills and training for practical operations should be effective such as shelter management or issuance of disaster damage certificate.

Keywords: disaster response, disaster experience, succession system, questionnaire survey, local government, earthquake disaster 1.はじめに 効果的な災害対応を行うためには,過去の災害におい て対応上課題となったことを整理し,その経験や教訓を 生かすことが重要である.南海トラフ地震など,今後, 国内で大規模な災害が発生することが危惧されているな か,災害に対する早期の行政対応や住民の早期の生活再 建等には,過去の経験の積み重ね,振り返り,共有が欠 かせない.昨今では,地球温暖化による大雨災害が頻発 化しており,同じ地域が数年おきに被災することも稀で はない. 本研究は,災害対応の重要な実施主体の1つとして自治 体に着目し,被災した自治体における災害対応の課題・ 教訓の継承の実態について検討する.災害対応の経験を 継承する手段として,問わず語りのインタビュー調査に よって,災害対応従事者のありのままの経験・認識を形 式知化する方法が開発されている1).平成16年(2004年) 新潟県中越地震で被災した新潟県小千谷市では,この手 法に 基づいた記録 誌2)が作成 された.ま た,平成7年 (1995年)阪神・淡路大震災や平成16年(2004年)新潟 県中越地震を経験した自治体職員が,その後に発生した 災害において,被災自治体の災害対策本部に入り,災害 対応の知識移転を行っている事例も把握されている3) いずれも「災害対応の経験が別の被災地で生かされた」 事例として有益である.一方で,その「災害対応の経験」 が,被災した自治体の組織において,未経験の職員に対 しどのように災害対応の経験が共有・継承されているか は体系的に明らかにされていない. 被災した自治体による自組織内の災害対応の課題や教 訓の継承に関する既往研究には,次のようなものがある. 芦屋市の継承手法「芦屋SHINE」4)では,平成7年(1995 年)阪神・淡路大震災時の記録をもとに災害対応を学び 問題意識を持ったうえで,当時の経験職員からの話を聞 き,その内容を自分の言葉で他者へ伝える一連の流れが まとめられており,経験・教訓を継承していくために, 伝えられる側の能動的な姿勢が必要だとされている.神 戸市5)では,平成7年(1995年)阪神・淡路大震災を知ら ない世代が年々増える中で,震災の記憶と教訓を継承す るため,新規採用職員を対象としたロールプレイ研修等 を実施している.佐藤・今村6)は,平成23年(2011年) 東日本大震災で被災した宮城県庁職員に対して,それ以 前に経験した昭和53年(1978年)宮城県沖地震,平成15

地域安全学会論文集

No.37, 2020.11

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年(2003年)宮城県北部連続地震,平成20年(2008年) 岩手・宮城内陸地震の経験がどのように継承され,生か されたか(継承されなかったか,生かされなかったか) の実態を明らかにしている.また,自治体職員の階層に 応じて,継承のための基礎資料に工夫が必要だとされて おり,資料において「語り」の要素があることで,より 伝わりやすくなると提案されている6).さらに,平成23 年(2011年)東日本大震災で被災した宮城県7)では,東 日本大震災の対応業務を経験していない若手職員や当時 担当ではなかった現在の担当職員の同席・聴講の下,当 時の担当職員へのインタビューを行い,「語り」の要素 を含めた継承資料の作成が進められている.仙台市8) おいても,自治体職員による災害対応業務経験の聴き取 り調査が行われ,冊子化や研修事業等への活用が行われ ている. こうした継承に関する取組みの実態については,全国 の自治体を対象とした調査がいくつか行われている.武 田・竹内・水山9)は,全国の都道府県・政令指定都市・ 県庁所在市・特別区を対象に災害記念碑等の把握状況, 災害記録誌等の編纂やそれらの公開の状況,博物館・図 書館等での災害教訓に関する展示や特定の災害に関する 施設の設置状況,災害教訓の語り部派遣等の普及啓発事 業など,様々な取り組みの現状についてアンケート調査 を行い,特に近年の大規模な災害を経験している地域の 取り組みが顕著であり,その他の地域との連携や情報共 有が課題であることを示している.一般財団法人 日本防 火・危機管理促進協会10)は,災害対応経験の継承の先進 例についてインタビュー調査等を実施したほか,全国の 都道府県・市町村を対象にアンケート調査を行い,訓練 の実施回数等と自治体の被災経験との関連について分析 を行い,被災経験のある自治体において取組みが進んで いることを示している. 既往の調査・研究を踏まえると,自治体職員間で経験 や教訓を伝えていくためには,まず災害対応の実態(事 実)や課題を明文化した記録資料が整理されていること が必要であり,そのうえで,職員を対象とした訓練や研 修等の場で,実態(事実)や課題を効果的にわかりやす く伝える工夫が必要になるものと考えられる. 本研究では,継承に関する取組みを進めていると考え られる過去30年以内に大規模地震災害で被災した自治体 を対象に,被災自治体の職員による災害対応業務の継承 方法について,特に記録資料の作成,職員向けの防災訓 練及び防災研修の実施,応援・講師の派遣等に着目し, その具体的な内容も含めた実態把握を行う.そこで得た 基礎資料や問題点をもとに,効果的な災害対応の継承の ための取組みの在り方について考察・提案を行う. 2.研究方法 過去30年以内に大規模地震災害で被災した自治体(県 及び市町村)において,継承の基礎となる災害対応の実 態(事実)や課題を明文化した記録についてどのような ものを作成しているか,また,記録を生かし,実態(事 実)や課題を伝わりやすくする工夫としてどのような研 修や訓練等を実施しているか,他の自治体等へどのよう に記録として整理した内容を伝えているかについて,ア ンケート調査で把握することとした. アンケート調査の設問は,1)災害対応に関する記録資 料に関すること:作成の有無,内容,公開方法,2)防災 訓練・防災研修に関すること:実施状況,内容,実施し ている防災訓練・防災研修に対する評価とその理由,3) 継承している災害対応の他被災自治体への波及(応援・ 講師等):被災自治体への応援で役立ったこと,被災自 治体からの問い合わせや講師派遣依頼の状況である.な お,本稿では,防災訓練は「災害が起きた時に備えて, どのように行動をしたらよいか,実際に動いてみて確認 を行うこと」,防災研修は「災害対応上必要となる知識 や技術力の向上の為に,学習や講義の受講を行うこと」 とする. 平成7年(1995年)阪神・淡路大震災,平成16(2004年) 年新潟県中越地震,平成23年(2011年)東日本大震災, 平成28年(2016年)熊本地震(以下,年号は省略)にお いて,災害救助法の適用を受けた市町村及び県(ただし, 東日本大震災については,岩手県及び福島県の沿岸市町 村並びに宮城県の全市町村)の危機管理・防災担当部署 へアンケート調査票を郵送し,郵送により回収を行った. 回収結果を表1に示す.全144件送付のうち,74件から 回答を得た(回収率51.4%). 表1 アンケート調査回収結果 ※( )内は,全数のうち都道府県のもの 3.結果・考察1:災害対応に関する記録資料に ついて 記録資料の作成状況の有無を図1に示す.全体の傾向と しては,経験・教訓の継承の基礎となる記録資料につい て,約7割が「作成済」であり,多くの自治体で課題・教 訓の継承のための材料は揃っているといえる. 図1 記録資料の作成状況(S.A.) 表2に回答のあった自治体の人口(震災当時)に対する 死者・行方不明者の割合と記録資料の作成状況の関係を 示す.「作成していない(作成予定がない)」に比べる と「作成済である」のほうが,人口に対する死者・行方 不明者の割合の高いランクに回答が分布していること, 人的被害が軽微(0.2%以下)でも記録を作成する自治体 が一定数あること,人的被害が甚大(0.2%超)では記録 を作成しない例はほとんどないことが分かる. 記録資料を「作成済である」,「作成中である」また は「作成予定である」と回答した自治体(55自治体)に 災害名 全体 144件 (7件) 74件 (7件) 51.4%(100.0%) 阪神・淡路大震災 19件 (2件) 13件 (2件) 68.4%(100.0%) 新潟県中越地震 17件 (1件) 6件 (1件) 35.3%(100.0%) 東日本大震災 62件 (3件) 33件 (3件) 53.2%(100.0%) 熊本地震 46件 (1件) 22件 (1件) 47.8%(100.0%) 配布数 回収数 回収率 70.3 69.2 50.0 93.9 40.9 2.7 9.1 4.5 24.3 30.8 50.0 6.1 40.9 4.5 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体 (n=74) 阪神・淡路大震災 (n=13) 新潟県中越地震 (n=6) 東日本大震災 (n=33) 熊本地震 (n=22)

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年(2003年)宮城県北部連続地震,平成20年(2008年) 岩手・宮城内陸地震の経験がどのように継承され,生か されたか(継承されなかったか,生かされなかったか) の実態を明らかにしている.また,自治体職員の階層に 応じて,継承のための基礎資料に工夫が必要だとされて おり,資料において「語り」の要素があることで,より 伝わりやすくなると提案されている6).さらに,平成23 年(2011年)東日本大震災で被災した宮城県7)では,東 日本大震災の対応業務を経験していない若手職員や当時 担当ではなかった現在の担当職員の同席・聴講の下,当 時の担当職員へのインタビューを行い,「語り」の要素 を含めた継承資料の作成が進められている.仙台市8) おいても,自治体職員による災害対応業務経験の聴き取 り調査が行われ,冊子化や研修事業等への活用が行われ ている. こうした継承に関する取組みの実態については,全国 の自治体を対象とした調査がいくつか行われている.武 田・竹内・水山9)は,全国の都道府県・政令指定都市・ 県庁所在市・特別区を対象に災害記念碑等の把握状況, 災害記録誌等の編纂やそれらの公開の状況,博物館・図 書館等での災害教訓に関する展示や特定の災害に関する 施設の設置状況,災害教訓の語り部派遣等の普及啓発事 業など,様々な取り組みの現状についてアンケート調査 を行い,特に近年の大規模な災害を経験している地域の 取り組みが顕著であり,その他の地域との連携や情報共 有が課題であることを示している.一般財団法人 日本防 火・危機管理促進協会10)は,災害対応経験の継承の先進 例についてインタビュー調査等を実施したほか,全国の 都道府県・市町村を対象にアンケート調査を行い,訓練 の実施回数等と自治体の被災経験との関連について分析 を行い,被災経験のある自治体において取組みが進んで いることを示している. 既往の調査・研究を踏まえると,自治体職員間で経験 や教訓を伝えていくためには,まず災害対応の実態(事 実)や課題を明文化した記録資料が整理されていること が必要であり,そのうえで,職員を対象とした訓練や研 修等の場で,実態(事実)や課題を効果的にわかりやす く伝える工夫が必要になるものと考えられる. 本研究では,継承に関する取組みを進めていると考え られる過去30年以内に大規模地震災害で被災した自治体 を対象に,被災自治体の職員による災害対応業務の継承 方法について,特に記録資料の作成,職員向けの防災訓 練及び防災研修の実施,応援・講師の派遣等に着目し, その具体的な内容も含めた実態把握を行う.そこで得た 基礎資料や問題点をもとに,効果的な災害対応の継承の ための取組みの在り方について考察・提案を行う. 2.研究方法 過去30年以内に大規模地震災害で被災した自治体(県 及び市町村)において,継承の基礎となる災害対応の実 態(事実)や課題を明文化した記録についてどのような ものを作成しているか,また,記録を生かし,実態(事 実)や課題を伝わりやすくする工夫としてどのような研 修や訓練等を実施しているか,他の自治体等へどのよう に記録として整理した内容を伝えているかについて,ア ンケート調査で把握することとした. アンケート調査の設問は,1)災害対応に関する記録資 料に関すること:作成の有無,内容,公開方法,2)防災 訓練・防災研修に関すること:実施状況,内容,実施し ている防災訓練・防災研修に対する評価とその理由,3) 継承している災害対応の他被災自治体への波及(応援・ 講師等):被災自治体への応援で役立ったこと,被災自 治体からの問い合わせや講師派遣依頼の状況である.な お,本稿では,防災訓練は「災害が起きた時に備えて, どのように行動をしたらよいか,実際に動いてみて確認 を行うこと」,防災研修は「災害対応上必要となる知識 や技術力の向上の為に,学習や講義の受講を行うこと」 とする. 平成7年(1995年)阪神・淡路大震災,平成16(2004年) 年新潟県中越地震,平成23年(2011年)東日本大震災, 平成28年(2016年)熊本地震(以下,年号は省略)にお いて,災害救助法の適用を受けた市町村及び県(ただし, 東日本大震災については,岩手県及び福島県の沿岸市町 村並びに宮城県の全市町村)の危機管理・防災担当部署 へアンケート調査票を郵送し,郵送により回収を行った. 回収結果を表1に示す.全144件送付のうち,74件から 回答を得た(回収率51.4%). 表1 アンケート調査回収結果 ※( )内は,全数のうち都道府県のもの 3.結果・考察1:災害対応に関する記録資料に ついて 記録資料の作成状況の有無を図1に示す.全体の傾向と しては,経験・教訓の継承の基礎となる記録資料につい て,約7割が「作成済」であり,多くの自治体で課題・教 訓の継承のための材料は揃っているといえる. 図1 記録資料の作成状況(S.A.) 表2に回答のあった自治体の人口(震災当時)に対する 死者・行方不明者の割合と記録資料の作成状況の関係を 示す.「作成していない(作成予定がない)」に比べる と「作成済である」のほうが,人口に対する死者・行方 不明者の割合の高いランクに回答が分布していること, 人的被害が軽微(0.2%以下)でも記録を作成する自治体 が一定数あること,人的被害が甚大(0.2%超)では記録 を作成しない例はほとんどないことが分かる. 記録資料を「作成済である」,「作成中である」また は「作成予定である」と回答した自治体(55自治体)に 災害名 全体 144件 (7件) 74件 (7件) 51.4%(100.0%) 阪神・淡路大震災 19件 (2件) 13件 (2件) 68.4%(100.0%) 新潟県中越地震 17件 (1件) 6件 (1件) 35.3%(100.0%) 東日本大震災 62件 (3件) 33件 (3件) 53.2%(100.0%) 熊本地震 46件 (1件) 22件 (1件) 47.8%(100.0%) 配布数 回収数 回収率 70.3 69.2 50.0 93.9 40.9 2.7 9.1 4.5 24.3 30.8 50.0 6.1 40.9 4.5 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体 (n=74) 阪神・淡路大震災 (n=13) 新潟県中越地震 (n=6) 東日本大震災 (n=33) 熊本地震 (n=22) ついて,記録資料の内容を集計した結果を図2に示す.全 体の傾向としては,記録資料を作成しているほぼすべて の自治体で「災害の概要」や「災害対応として実施した こと」を整理していることが分かった.いずれも災害対 応の実態を伝えるための基本的事項であり,記録資料を 作成したどの自治体もこの2点についてはほぼ整理を行っ ている. 表2 人口に対する死者・行方不明者の割合と 記録資料の作成状況 図2 記録資料の内容 (記録資料を「作成済である」,「作成中である」また は「作成予定である」と回答した自治体が対象,M.A.) 各災害の被災地域別の回答結果を見ると,比較的近年 発生した東日本大震災や熊本地震の被災自治体では, 「災害対応として実施したことに関する課題」や「災害 対応に従事した職員等の証言記録」についても整理して いるところが多いことが分かった.「はじめに」で触れ たとおり,近年大規模災害が多発するなかで,災害対応 の課題や教訓を伝える手法の検討が進んでおり,記録資 料にも,課題の整理や経験者の体験談などが盛り込まれ るようになってきており,行政において職員個人の体験 を残すことが重要視されてきていることが分かる. 一方で,「災害対応として実施したこと(対応した事実 の整理)」は被災地域の違いに係らず多くの自治体で整 理がされているが,「災害対応の前提となっていた計画 や法令」や「課題に対する今後の方向性・方法」等まで 言及している自治体は多くはない. 記録資料を「作成済である」,「作成中である」また は「作成予定である」と回答した自治体(55自治体)に ついて,記録資料の発表(公表)手段について集計した 結果を図3に示す.全体の傾向としては,記録資料を作成 している自治体のうち約7割で「冊子等を関係機関へ配布」 を実施していることが分かった.次いで,約6割程度の自 治体で「冊子等を関係施設で公表」や「ホームページへ 掲載」を実施していることが分かった.基本的には,記 録資料を冊子(印刷物)として作成し,それを公表して いる自治体が多く,課題や教訓の伝承のための基礎資料 は公開されており,アクセスしやすい状態にある. 各災害の被災地域別の回答結果を見ると,新潟県中越 地震以降,東日本大震災や熊本地震の被災自治体で, 「ホームページへの掲載」を実施しているところが多い ことが分かった.近年はインターネット環境の整備をは じめICT技術が発達していることから,記録資料につい ても,冊子(印刷物)としてだけでなく,インターネッ トで閲覧できる媒体としても作成されるようになってい る.また,いわゆる文章の文献資料としてだけではなく, デジタルアーカイブのような,画像,映像または音声等 のデータ形式で整理されるものも増えてきている.災害 対応の課題や教訓を伝えやすくする手法や環境は今後さ らに整う可能性がある. 図3 記録資料の発表(公表)手段 (記録資料を「作成済である」,「作成中である」また は「作成予定である」と回答した自治体が対象,M.A.) 回答数 割合 回答数 割合 1.0%~ 9 17.3% 1 5.6% 0.8%~1.0% 3 5.8% 0 0.0% 0.6%~0.8% 0 0.0% 0 0.0% 0.4%~0.6% 3 5.8% 0 0.0% 0.2%~0.4% 4 7.7% 0 0.0% 0.0%~0.2% 28 53.8% 8 44.4% 0.0% 5 9.6% 9 50.0% 合計 52 100.0% 18 100.0% 人口に対する 死者・行方不明者の割 合 「作成済である」 「作成していない(作成予 定がない)」 災 害 の 概 要 ( 災 害 の 発 生 日 時 , 被 害 の 概 要 等 ) 災 害 対 応 の 前 提 と な っ て い た 計 画 や 法 令 災 害 対 応 と し て 実 施 し た こ と ( 対 応 し た 事 実 の 整 理 ) 災 害 対 応 と し て 実 施 し た こ と に 関 す る 課 題 課 題 に 対 す る 今 後 の 改 善 の 方 向 性 ・ 方 法 災 害 対 応 に 従 事 し た 職 員 等 の 証 言 記 録 そ の 他 無 回 答 100.0 21.8 96.4 50.9 40.0 60.0 20.0 0.0 0% 50% 100% 全体 (n=55) 100.0 33.3 100.0 44.4 33.3 44.4 44.4 0.0 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=9) 100.0 33.3 100.0 33.3 33.3 33.3 0.0 0.0 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=3) 100.0 22.6 100.0 51.6 45.2 64.5 22.6 0.0 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=31) 100.0 8.3 83.3 58.3 33.3 66.7 0.0 0.0 0% 50% 100% 熊本地震 (n=12) 無 回 答 そ の 他 外 部 へ 発 表 し て い な い ( 内 部 で も 共 有 し て い な い ) 外 部 へ 発 表 し て い な い ( 内 部 の み で 共 有 し て い る ) 外 部 か ら の 視 察 対 応 時 に 配 布 災 害 発 生 時 に 被 災 自 治 体 へ 紹 介 講 演 会 等 ( 他 組 織 主 催 ) で 発 表 講 演 会 等 ( 自 組 織 主 催 ) で 発 表 ホ ー ム ペ ー ジ へ 掲 載 冊 子 等 を 関 係 機 関 へ 配 布 冊 子 等 を 関 係 施 設 で 公 表 61.8 74.556.4 1.8 3.6 18.2 29.1 12.7 3.6 12.7 0% 50% 100% 全体 (n=55) 55.677.8 22.2 11.1 33.3 11.1 22.2 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=9) 66.7 66.7 66.7 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=3) 71.0 80.6 67.7 3.2 19.4 29.0 6.5 3.2 9.7 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=31) 41.758.3 50.0 8.3 8.3 25.0 33.3 33.3 8.3 16.7 0% 50% 100% 熊本地震 (n=12)

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4.結果・考察2:防災訓練・防災研修について 経験・教訓を継承するための取組みとして職員向け防 災訓練及び防災研修の実施状況について集計した結果を 図4に示す.また,記録資料の作成状況と職員向け防災訓 練・研修の実施状況をクロス集計した結果を表3に,職員 向け防災訓練で想定している災害について集計した結果 を図5に示す. 図4 経験・教訓の継承に関する取組み (防災訓練・防災研修)の実施状況(M.A.) 図4を見ると,全体の傾向としては,約6割の自治体で 職員向け防災訓練を,約4割の自治体で職員向け防災研修 を実施していることが分かった.防災訓練については, 災害対策本部設置訓練のような専門的な訓練でなく,年 間の定例行事となっている一般的な防災訓練も多いため, 防災研修に比べると,実施している自治体の割合が高い と考えられる.また,記録資料を作成している自治体が 全体(図1の最上部)の約7割であったことと比べると, 職員向けの防災訓練や防災研修を実施している割合はや や少なく,記録資料は作成されたものの,訓練や研修の 実施には必ずしもつながっていないことがうかがえる. 阪神・淡路大震災の被災自治体では,職員向けの防災 訓練及び防災研修とも実施している割合が全体(図4の最 上部)より高い傾向にある.また,表3を見ると,記録資 料を作成している9自治体のうち8自治体は職員向けの防 災訓練を実施しており,震災の発生から25年が経過する が,災害への備えが継続されていることがうかがえる. 新潟県中越地震の被災自治体でも,表3より,阪神・淡 路大震災の被災自治体と同様,記録資料を作成している3 自治体のうち2自治体が職員向けの防災訓練を実施してお り,災害への備えが継続されていることがうかがえる. 東日本大震災の被災自治体では,職員向け防災研修を 実施している割合は全体(図4の最上部)と同等程度だが, 職員向け防災訓練を実施している割合は全体(図4の最上 部)に比べやや低い.これは職員向けのものに限った回 答であり,「その他」として,自主防災組織をはじめと する市民団体も参加する総合防災訓練を回答している自 治体が多く見られた.当該の回答を含めれば,約7割が職 員を含めた防災訓練を実施していることになるが,記録 資料を作成している自治体が約9割であったことを考慮す ると,記録資料は作成されたものの,訓練の実施には必ず しもつながっていないことがうかがえる. 熊本地震の被災自治体では,職員向け防災研修を実施 している割合は全体(図4の最上部)より低く,職員向け 防災訓練を実施している割合が全体(図4の最上部)より 高い.図5より,職員向け防災訓練で想定している災害は, 地震を想定したものに限らず,台風や土砂災害を想定し たものが全29件のうち約2割(6件,訓練の件数について は後述)あり,熊本地震の直接的な課題・教訓の継承だ けでなく風水害の多い地域として災害に備える取組みが 行われていることがうかがえる. 表3 記録資料の作成状況と職員向け防災訓練・研修の 実施状況 図5 職員向け防災訓練で想定している災害 (防災訓練単位で集計,S.A.) 無 回 答 そ の 他 職 員 向 け 防 災 訓 練 ・ 研 修 は 特 に 実 施 し て い な い 職 員 向 け 防 災 研 修 の 実 施 職 員 向 け 防 災 訓 練 の 実 施 59.5 36.5 23.0 17.6 1.4 0% 50% 100% 全体 (n=74) 69.2 46.2 23.1 7.7 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=13) 33.3 33.3 33.3 33.3 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=6) 54.5 36.4 21.2 21.2 3.0 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=33) 68.2 31.8 22.7 13.6 0% 50% 100% 熊本地震 (n=22) 職員向け 防災訓練の 実施 職員向け 防災研修の 実施 職員向け 防災訓練・ 研修は特に 実施して いない その他 全体(n=74) 作成済である 52 33 22 7 11 作成中である 2 2 2 0 0 作成する予定である 1 1 1 0 0 作成していない 18 8 2 9 2 その他 1 0 0 1 0 阪神・淡路大震災(n=13) 作成済である 9 8 6 0 1 作成中である 0 0 0 0 0 作成する予定である 0 0 0 0 0 作成していない 4 1 0 3 0 その他 0 0 0 0 0 新潟県中越地震(n=6) 作成済である 3 2 2 0 1 作成中である 0 0 0 0 0 作成する予定である 0 0 0 0 0 作成していない 3 0 0 2 1 その他 0 0 0 0 0 東日本大震災(n=33) 作成済である 31 17 12 6 6 作成中である 0 0 0 0 0 作成する予定である 0 0 0 0 0 作成していない 2 1 0 1 1 その他 0 0 0 0 0 熊本地震(n=22) 作成済である 9 6 2 1 3 作成中である 2 2 2 0 0 作成する予定である 1 1 1 0 0 作成していない 9 6 2 3 0 その他 1 0 0 1 0 区分 28.1 50.0 15.6 16.7 0% 50% 100% 全体 (n=96) 30.4 56.5 8.7 4.3 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=23) 25.0 25.0 50.0 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=4) 7.5 87.5 15.0 15.0 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=40) 55.2 20.7 24.1 0% 50% 100% 熊本地震 (n=29) そ の 他 風 水 害 地 震 ・ 津 波 地 震

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4.結果・考察2:防災訓練・防災研修について 経験・教訓を継承するための取組みとして職員向け防 災訓練及び防災研修の実施状況について集計した結果を 図4に示す.また,記録資料の作成状況と職員向け防災訓 練・研修の実施状況をクロス集計した結果を表3に,職員 向け防災訓練で想定している災害について集計した結果 を図5に示す. 図4 経験・教訓の継承に関する取組み (防災訓練・防災研修)の実施状況(M.A.) 図4を見ると,全体の傾向としては,約6割の自治体で 職員向け防災訓練を,約4割の自治体で職員向け防災研修 を実施していることが分かった.防災訓練については, 災害対策本部設置訓練のような専門的な訓練でなく,年 間の定例行事となっている一般的な防災訓練も多いため, 防災研修に比べると,実施している自治体の割合が高い と考えられる.また,記録資料を作成している自治体が 全体(図1の最上部)の約7割であったことと比べると, 職員向けの防災訓練や防災研修を実施している割合はや や少なく,記録資料は作成されたものの,訓練や研修の 実施には必ずしもつながっていないことがうかがえる. 阪神・淡路大震災の被災自治体では,職員向けの防災 訓練及び防災研修とも実施している割合が全体(図4の最 上部)より高い傾向にある.また,表3を見ると,記録資 料を作成している9自治体のうち8自治体は職員向けの防 災訓練を実施しており,震災の発生から25年が経過する が,災害への備えが継続されていることがうかがえる. 新潟県中越地震の被災自治体でも,表3より,阪神・淡 路大震災の被災自治体と同様,記録資料を作成している3 自治体のうち2自治体が職員向けの防災訓練を実施してお り,災害への備えが継続されていることがうかがえる. 東日本大震災の被災自治体では,職員向け防災研修を 実施している割合は全体(図4の最上部)と同等程度だが, 職員向け防災訓練を実施している割合は全体(図4の最上 部)に比べやや低い.これは職員向けのものに限った回 答であり,「その他」として,自主防災組織をはじめと する市民団体も参加する総合防災訓練を回答している自 治体が多く見られた.当該の回答を含めれば,約7割が職 員を含めた防災訓練を実施していることになるが,記録 資料を作成している自治体が約9割であったことを考慮す ると,記録資料は作成されたものの,訓練の実施には必ず しもつながっていないことがうかがえる. 熊本地震の被災自治体では,職員向け防災研修を実施 している割合は全体(図4の最上部)より低く,職員向け 防災訓練を実施している割合が全体(図4の最上部)より 高い.図5より,職員向け防災訓練で想定している災害は, 地震を想定したものに限らず,台風や土砂災害を想定し たものが全29件のうち約2割(6件,訓練の件数について は後述)あり,熊本地震の直接的な課題・教訓の継承だ けでなく風水害の多い地域として災害に備える取組みが 行われていることがうかがえる. 表3 記録資料の作成状況と職員向け防災訓練・研修の 実施状況 図5 職員向け防災訓練で想定している災害 (防災訓練単位で集計,S.A.) 無 回 答 そ の 他 職 員 向 け 防 災 訓 練 ・ 研 修 は 特 に 実 施 し て い な い 職 員 向 け 防 災 研 修 の 実 施 職 員 向 け 防 災 訓 練 の 実 施 59.5 36.5 23.0 17.6 1.4 0% 50% 100% 全体 (n=74) 69.2 46.2 23.1 7.7 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=13) 33.3 33.3 33.3 33.3 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=6) 54.5 36.4 21.2 21.2 3.0 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=33) 68.2 31.8 22.7 13.6 0% 50% 100% 熊本地震 (n=22) 職員向け 防災訓練の 実施 職員向け 防災研修の 実施 職員向け 防災訓練・ 研修は特に 実施して いない その他 全体(n=74) 作成済である 52 33 22 7 11 作成中である 2 2 2 0 0 作成する予定である 1 1 1 0 0 作成していない 18 8 2 9 2 その他 1 0 0 1 0 阪神・淡路大震災(n=13) 作成済である 9 8 6 0 1 作成中である 0 0 0 0 0 作成する予定である 0 0 0 0 0 作成していない 4 1 0 3 0 その他 0 0 0 0 0 新潟県中越地震(n=6) 作成済である 3 2 2 0 1 作成中である 0 0 0 0 0 作成する予定である 0 0 0 0 0 作成していない 3 0 0 2 1 その他 0 0 0 0 0 東日本大震災(n=33) 作成済である 31 17 12 6 6 作成中である 0 0 0 0 0 作成する予定である 0 0 0 0 0 作成していない 2 1 0 1 1 その他 0 0 0 0 0 熊本地震(n=22) 作成済である 9 6 2 1 3 作成中である 2 2 2 0 0 作成する予定である 1 1 1 0 0 作成していない 9 6 2 3 0 その他 1 0 0 1 0 区分 28.1 50.0 15.6 16.7 0% 50% 100% 全体 (n=96) 30.4 56.5 8.7 4.3 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=23) 25.0 25.0 50.0 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=4) 7.5 87.5 15.0 15.0 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=40) 55.2 20.7 24.1 0% 50% 100% 熊本地震 (n=29) そ の 他 風 水 害 地 震 ・ 津 波 地 震 防災訓練に記録資料の内容がいかされているかについ て得た回答の結果を図6に,記録資料がいかされているか の評価理由に関する代表的な意見を表4に示す.この設問 では,各自治体で実施された職員向けの防災訓練につい て,それぞれ直近3年の代表的なものを最大3つまで回答 する方式とした.このため,分析上の回答総数は回答し た自治体数に一致しない.職員向け防災訓練を実施して いると回答した自治体は全体で44あり,そのうち3つ回答 した自治体は21,2つ回答した自治体は11あり,多くの自 治体で複数の訓練を実施していることが分かる. 図6より,全体の傾向としては,各自治体が実施してい る防災訓練のうち,約6割で記録資料の内容が防災訓練に 「とてもいかされている」または「いかされている」とさ れており,一定程度,防災訓練を通じて課題や教訓の継承 がされていると考えられる. 各災害の被災地域別の回答結果を見ると,阪神・淡路 大震災の被災自治体では,「とてもいかされている」ま たは「いかされている」とするものが少なく,「どちら ともいえない」とするものが多い.図5及び表4より,震 災から25年が経過し,その後発生した災害も踏まえ,想 定災害も直下型地震ではなく津波災害も想定する等,記 録資料に記載された課題・教訓に限定せず,新たな課題 やニーズへの対応も想定した内容としていることがうか がえる. 図6 防災訓練に記録資料の内容がいかされているか (防災訓練単位で集計,S.A.) 新潟県中越地震の被災自治体の防災訓練では,サンプ ル数は少ないもののすべて「いかされている」とするも のだった.表4より,中越地震の経験をベースに,災害対 策本部体制の見直しや訓練シナリオを構築するなど,課 題や教訓を継承する内容のものが実施されている. 東日本大震災の被災自治体の防災訓練では,「とても いかされている」または「いかされている」とするもの が約8割に及んでいる.図5及び表4より,訓練では東日本 大震災と同程度の災害を想定しており,記録資料に記載 されている東日本大震災発生時の状況が,訓練の前提や シナリオに反映されているものが多い. 熊本地震の被災自治体の防災訓練では,「いかされて いる」とするものは約5割であり,「記録資料を作成して いない」や「無回答」がそれぞれ約2割あることが特徴で ある.熊本地震の被災自治体では,熊本地震の課題・教 訓を生かした訓練も実施されている一方で,図5からも分 かるとおり,地震の被災経験とは直接関係しない風水害 を想定した訓練も実施されている. 表4 防災訓練に記録資料の内容がいかされているか の評価理由(代表的なものの抜粋) ◆阪神・淡路大震災 (とてもいかされている・いかされている) ・記録資料に整理された時系列の事実関係を,図上 訓練のシナリオを作成する際に参考としている. (どちらともいえない) ・各関係機関との協力体制については,阪神・淡路 大震災から受け継がれているが,記録資料を反映 した訓練ではない ・訓練の想定が阪神・淡路大震災のような直下型地 震ではない(南海トラフ巨大地震) ◆新潟中越地震 (いかされている) ・県内で発生した大規模災害や,他県における災害 の教訓を踏まえ,災害対策本部体制の見直しやシ ナリオの構築など,実践的な訓練を行っている ◆東日本大震災 (とてもいかされている・いかされている) ・訓練では東日本大震災と同程度の災害を想定して おり,記録資料に記載されている東日本大震災発 生時の状況が,訓練にも反映されている (どちらともいえない) ・図上訓練シナリオについて,災害時の事実関係の 一部分を参考にしている ◆熊本地震 (いかされている) ・熊本地震の経験などにより,訓練シナリオ等の参 考としている (どちらともいえない・いかされていない) ・今後生かしていきたい 防災研修に記録資料の内容がいかされているかについ て回答を得た結果を図7に,記録資料がいかされているか の評価理由に関する代表的な意見を表5に示す.この設問 でも,各自治体で実施された職員向けの防災研修につい て,それぞれ直近3年の代表的なものを最大3つまで回答 する方式とした.このため,分析上の回答総数は回答し た自治体数に一致しない.職員向け防災研修を実施して いると回答した自治体は全体で27あり,そのうち3つ回答 した自治体は14,2つ回答した自治体は6あり,多くの自 治体で複数の研修を実施していることが分かる. 図7 防災研修に記録資料の内容がいかされているか (防災研修単位で集計,S.A.) 全体の傾向としては,各自治体が実施している防災研 修のうち,約7割で記録資料の内容が防災研修に「とても いかされている」または「いかされている」とされてお り,一定程度,防災研修を通じて課題や教訓の継承がされ ていると考えられる. 13.4 17.4 22.0 50.5 34.8 100.0 56.1 48.3 15.5 34.8 12.2 6.9 9.3 7.3 20.7 9.3 13.0 20.7 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体 (n=97) 阪神・淡路大震災 (n=23) 新潟県中越地震 (n=4) 東日本大震災 (n=41) 熊本地震 (n=29) 19.7 20.0 25.0 14.3 50.8 60.0 100.0 53.6 21.4 8.2 20.0 7.1 7.1 7.1 7.1 8.2 35.7 4.9 21.4 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 全体 (n=61) 阪神・淡路大震災 (n=15) 新潟県中越地震 (n=4) 東日本大震災 (n=28) 熊本地震 (n=14)

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各災害の被災地域別の回答結果を見ると,阪神・淡路 大震災の被災自治体の防災研修では,「とてもいかされ ている」または「いかされている」とするものが約8割に 及ぶ.訓練に比べ,「とてもいかされている」または 「いかされている」とする割合が高く,より記録資料の 内容を意識したものが多い.全職員を対象としたものの ほかに階層(新任職員・昇任間もない中堅職員・監督職 など)別に実施するものが15件中7件あり,職員の自覚の 高い時期に,震災の教訓を踏まえ,行政職員として必要 な災害への備えや心構えなどを学ぶ工夫がされている. 新潟県中越地震の被災自治体の防災研修では,サンプ ル数は少ないもののすべて「いかされている」とするも のだった.災害対策本部要員,防災担当部局の職員,避 難所要員,または新規採用職員を対象としたものであり, 中越地震の経験と教訓を踏まえ,参加職員の災害時の役 割に関して実践的に学ぶことのできるものや,自治体と してのこれまでの取組みや体制について知る内容のもの となっている. 東日本大震災の被災自治体の防災研修でも,「とても いかされている」または「いかされている」とするもの が約8割に及ぶ.訓練と同様,「とてもいかされている」 または「いかされている」とする割合が高く,記録資料 の内容を意識したものが多い.28件の回答のうち10件が 新規採用職員としたものであることも特徴で,行政職員 としての災害対応を知らない世代への継承をすることに ついての意識の表れと考えられる. 熊本地震の被災自治体の防災研修では,「とてもいか されている」または「いかされている」とするものは約4 割であり,訓練と同様,「記録資料を作成していない」 や「無回答」の割合が高いことが特徴である.熊本地震 の被災自治体では,防災訓練と同様,熊本地震の課題・ 教訓を生かした研修も実施されている一方で,表5からも 分かるとおり,地震の被災経験とは直接関係しない風水 害を想定した研修も実施されている. 表5 防災研修に記録資料の内容がいかされているか の評価理由(代表的なものの抜粋) ◆阪神・淡路大震災 (とてもいかされている・いかされている) ・新規採用職員や昇級者を対象に,阪神・淡路大震 災の経験(談)と教訓(を生かした施策)が,研 修のベースとなっている (どちらともいえない) ・研修内容に直接の関連はない(資料の引用等) ◆新潟中越地震 (いかされている) ・新規採用職員を対象に,本市の被災状況を伝えた 上で,被災経験を有する市が行う防災の取り組 み,体制等について説明している. ◆東日本大震災 (とてもいかされている・いかされている・全くいか されていない) ・新入職員の意識啓発や継承内容の資料として使用 している ・県主催の研修のため,必ずしも自組織の課題・教 訓に関する内容ではなない (どちらともいえない・いかされていない) ・記録資料の記述が中心であり,先の災害での課題 や改善等の記載がない ◆熊本地震 (とてもいかされている・いかされている) ・防災意識の高揚を図りながら,災害時における各 課の業務の把握ができる (どちらともいえない・いかされていない) ・風水害に備え,避難所等の担当者を対象に出水前 の心構えを習得するもののため 防災訓練に記録資料の内容が「とてもいかされている」 とされたすべての回答を抽出し,表6に示した.被災を踏 まえた避難場所等の見直しや訓練シナリオ等に被災経験 を生かしているものがみられる(表6,A市,B市,C県, E県,F市).訓練の前提にこうした経験を盛り込むこと で,訓練を企画する側については改めて課題や教訓を認 識する機会となる.対して訓練参加者については,訓練 の振り返り等のなかでシナリオに過去の被災の経験や教 訓が盛り込まれていることを解説することで,実体験を 通じて災害の教訓や課題を認識することができる.今回 のアンケートでは具体的な訓練参加者への解説の方法や 内容までは確認できていないため,今後詳細を把握する ことが必要である. 防災研修に記録資料の内容が「とてもいかされている」 とされたすべての回答を抽出し,表7に示した.当時の記 録を研修資料としてまとめるとともに,当時の経験者が 講師となっているものや,新規採用職員や昇任・昇級者 を対象としたものがみられる(表7,G県,H市,J県). 講演側が実体験を通じて実感をもって震災当時の課題や 教訓を伝えることや受講側が意識をもって学ぶことなど 効果的に実施する工夫が行われている. 災害対応の経験・教訓の継承に係る防災訓練や防災研 修の実施上の問題点・課題を図8に示す.全体の傾向とし ては,「継承に関する関心の低い(ない)職員が多い」, 「必要なノウハウがない」または「訓練や研修の内容を 検討する時間がない」という回答がそれぞれ3割程度みら れた. 図8 災害対応の経験・教訓の継承に係る 防災訓練や防災研修の実施上の問題点・課題(M.A.) 各災害の被災地域別の回答を見ると,「訓練や研修の 内容を検討する時間がない」という回答は,どの地域も 共通して3割程度見られる. 阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の被災自治体で は「継承に関する関心の低い(ない)職員が多い」また は「組織として継承する意識が低い(ない)」という回 答が多い.これは時間の経過とともに個人や組織の継承 に関する意識が薄れていることが考えられる. 熊本地震の被災自治体でも「継承に関する関心の低い (ない)職員が多い」という回答が多いが「組織として 無 回 答 そ の 他 訓 練 や 研 修 を 実 施 す る 会 場 が 確 保 で き な い 訓 練 や 研 修 を 実 施 す る 時 間 が な い 訓 練 や 研 修 の 内 容 を 検 討 す る 時 間 が な い 必 要 な 人 材 が い な い 必 要 な ノ ウ ハ ウ が な い 基 礎 と な る 資 料 が な い 必 要 な 予 算 が 確 保 で き な い 組 織 と し て 継 承 に 関 す る 意 識 が 低 い ( な い ) 継 承 に 関 す る 関 心 の 低 い ( な い ) 職 員 が 多 い 33.8 20.3 20.3 16.2 33.8 21.632.423.0 18.9 5.4 0% 50% 100% 全体 (n=74) 53.8 30.8 23.130.815.4 15.438.523.1 7.7 7.7 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=13) 33.350.0 33.350.0 16.7 33.3 16.7 16.7 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=6) 18.2 12.1 27.3 3.0 30.3 18.2 30.3 15.2 30.3 3.0 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=33) 45.5 18.2 13.6 22.7 45.5 31.8 31.8 36.4 9.1 9.1 0% 50% 100% 熊本地震 (n=22)

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各災害の被災地域別の回答結果を見ると,阪神・淡路 大震災の被災自治体の防災研修では,「とてもいかされ ている」または「いかされている」とするものが約8割に 及ぶ.訓練に比べ,「とてもいかされている」または 「いかされている」とする割合が高く,より記録資料の 内容を意識したものが多い.全職員を対象としたものの ほかに階層(新任職員・昇任間もない中堅職員・監督職 など)別に実施するものが15件中7件あり,職員の自覚の 高い時期に,震災の教訓を踏まえ,行政職員として必要 な災害への備えや心構えなどを学ぶ工夫がされている. 新潟県中越地震の被災自治体の防災研修では,サンプ ル数は少ないもののすべて「いかされている」とするも のだった.災害対策本部要員,防災担当部局の職員,避 難所要員,または新規採用職員を対象としたものであり, 中越地震の経験と教訓を踏まえ,参加職員の災害時の役 割に関して実践的に学ぶことのできるものや,自治体と してのこれまでの取組みや体制について知る内容のもの となっている. 東日本大震災の被災自治体の防災研修でも,「とても いかされている」または「いかされている」とするもの が約8割に及ぶ.訓練と同様,「とてもいかされている」 または「いかされている」とする割合が高く,記録資料 の内容を意識したものが多い.28件の回答のうち10件が 新規採用職員としたものであることも特徴で,行政職員 としての災害対応を知らない世代への継承をすることに ついての意識の表れと考えられる. 熊本地震の被災自治体の防災研修では,「とてもいか されている」または「いかされている」とするものは約4 割であり,訓練と同様,「記録資料を作成していない」 や「無回答」の割合が高いことが特徴である.熊本地震 の被災自治体では,防災訓練と同様,熊本地震の課題・ 教訓を生かした研修も実施されている一方で,表5からも 分かるとおり,地震の被災経験とは直接関係しない風水 害を想定した研修も実施されている. 表5 防災研修に記録資料の内容がいかされているか の評価理由(代表的なものの抜粋) ◆阪神・淡路大震災 (とてもいかされている・いかされている) ・新規採用職員や昇級者を対象に,阪神・淡路大震 災の経験(談)と教訓(を生かした施策)が,研 修のベースとなっている (どちらともいえない) ・研修内容に直接の関連はない(資料の引用等) ◆新潟中越地震 (いかされている) ・新規採用職員を対象に,本市の被災状況を伝えた 上で,被災経験を有する市が行う防災の取り組 み,体制等について説明している. ◆東日本大震災 (とてもいかされている・いかされている・全くいか されていない) ・新入職員の意識啓発や継承内容の資料として使用 している ・県主催の研修のため,必ずしも自組織の課題・教 訓に関する内容ではなない (どちらともいえない・いかされていない) ・記録資料の記述が中心であり,先の災害での課題 や改善等の記載がない ◆熊本地震 (とてもいかされている・いかされている) ・防災意識の高揚を図りながら,災害時における各 課の業務の把握ができる (どちらともいえない・いかされていない) ・風水害に備え,避難所等の担当者を対象に出水前 の心構えを習得するもののため 防災訓練に記録資料の内容が「とてもいかされている」 とされたすべての回答を抽出し,表6に示した.被災を踏 まえた避難場所等の見直しや訓練シナリオ等に被災経験 を生かしているものがみられる(表6,A市,B市,C県, E県,F市).訓練の前提にこうした経験を盛り込むこと で,訓練を企画する側については改めて課題や教訓を認 識する機会となる.対して訓練参加者については,訓練 の振り返り等のなかでシナリオに過去の被災の経験や教 訓が盛り込まれていることを解説することで,実体験を 通じて災害の教訓や課題を認識することができる.今回 のアンケートでは具体的な訓練参加者への解説の方法や 内容までは確認できていないため,今後詳細を把握する ことが必要である. 防災研修に記録資料の内容が「とてもいかされている」 とされたすべての回答を抽出し,表7に示した.当時の記 録を研修資料としてまとめるとともに,当時の経験者が 講師となっているものや,新規採用職員や昇任・昇級者 を対象としたものがみられる(表7,G県,H市,J県). 講演側が実体験を通じて実感をもって震災当時の課題や 教訓を伝えることや受講側が意識をもって学ぶことなど 効果的に実施する工夫が行われている. 災害対応の経験・教訓の継承に係る防災訓練や防災研 修の実施上の問題点・課題を図8に示す.全体の傾向とし ては,「継承に関する関心の低い(ない)職員が多い」, 「必要なノウハウがない」または「訓練や研修の内容を 検討する時間がない」という回答がそれぞれ3割程度みら れた. 図8 災害対応の経験・教訓の継承に係る 防災訓練や防災研修の実施上の問題点・課題(M.A.) 各災害の被災地域別の回答を見ると,「訓練や研修の 内容を検討する時間がない」という回答は,どの地域も 共通して3割程度見られる. 阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の被災自治体で は「継承に関する関心の低い(ない)職員が多い」また は「組織として継承する意識が低い(ない)」という回 答が多い.これは時間の経過とともに個人や組織の継承 に関する意識が薄れていることが考えられる. 熊本地震の被災自治体でも「継承に関する関心の低い (ない)職員が多い」という回答が多いが「組織として 無 回 答 そ の 他 訓 練 や 研 修 を 実 施 す る 会 場 が 確 保 で き な い 訓 練 や 研 修 を 実 施 す る 時 間 が な い 訓 練 や 研 修 の 内 容 を 検 討 す る 時 間 が な い 必 要 な 人 材 が い な い 必 要 な ノ ウ ハ ウ が な い 基 礎 と な る 資 料 が な い 必 要 な 予 算 が 確 保 で き な い 組 織 と し て 継 承 に 関 す る 意 識 が 低 い ( な い ) 継 承 に 関 す る 関 心 の 低 い ( な い ) 職 員 が 多 い 33.8 20.3 20.3 16.2 33.8 21.632.423.0 18.9 5.4 0% 50% 100% 全体 (n=74) 53.8 30.8 23.130.815.4 15.438.523.1 7.7 7.7 0% 50% 100% 阪神・淡路大震災 (n=13) 33.350.0 33.350.0 16.7 33.3 16.7 16.7 0% 50% 100% 新潟県中越地震 (n=6) 18.2 12.1 27.3 3.0 30.3 18.2 30.3 15.2 30.3 3.0 0% 50% 100% 東日本大震災 (n=33) 45.5 18.2 13.6 22.7 45.5 31.8 31.8 36.4 9.1 9.1 0% 50% 100% 熊本地震 (n=22) 表6 防災訓練に記録資料の内容が「とてもいかされている」もの 自治体名 実施 年度 開催時期 訓練名称 内容 対象者/属性の意図 記録資料が訓練に 「とてもいかされている」理由 A市 H31 4/11 A市津波避難訓練 大 津 波 警 報 に よ る 職 員 参 集 , 本 部 運 営 , 避 難 所 開 設,避難等 全職員,全消防団員,関 係機関 被災した避難所の指定を見直し,開設 訓練をしている. H30 11/9 県総合防災訓練 (A市合同) 大 津 波 警 報 に よ る 職 員 参 集 , 本 部 運 営 , 避 難 所 開 設,避難等 全職員,全消防団員,関 係機関 参集場所等を見直し,参集訓練をしてい る. H29 3/11 (震災発災日) A市津波避難訓練 大 津 波 警 報 に よ る 職 員 参 集 , 本 部 運 営 , 避 難 所 開 設,避難等 全職員,全消防団員,関 係機関 本部設置場所を見直し,本部設置訓練 をしている. B市 R1 11/5 (津波防災の日) 津波避難訓練 大規模地震による津波を想 定した避難訓練等 全職員 記録資料に整理された事実関係を参考 に訓練を実施している. R1 ― 災害応急対策訓練 大規模地震及び津波を想定 した非常時優先業務の事前 確認及び発生時の行動訓練 全職員 C県 R1 9/1 (防災の日) 県9.1総合防災訓練 県内で6弱の地震が発生した 想定の実動訓練 県各課・市町村・各防災 関係機関 実動訓練が主となる訓練であるため,発 災当時の初動対応や防災関係機関との 応急・復旧・救助等に関する連携等,当 時の動きを参考とし,改善しながら取り組 んでいる. R1 6/12 「県民防災の日」 総合防災訓練 県内で最大震度7を想定した 図上・実働訓練 危機対策課,消防課,初 動 職 員, 各 防 災関係 機 関 訓練のシナリオを作成する際に参考とし ているほか,図上訓練の事務局の運営 や,情報連絡員派遣等についても,当時 の状況も参考にし,改善しながら取り組ん でいる. D市 R1 6/9 (県民防災の日) D市総合防災訓練 津波を伴う海洋型地震を想 定した実動訓練 市職員避難所担当職員 等 災害発生時に避難所担当職員が迅速に 避難所を開設し,対応が良かった. E県 R1 12/2 災害対策本部 設置運営訓練 南海トラフ地震の発生を想定 した図上訓練 災 害 対 策 本 部 員 ( 代 理 含),事務局職員 震災等,過去の災害の記録を参考に応 急対策行動シナリオ(南海トラフ地震・津 波)を作成し,そのシナリオを基に図上訓 練のシナリオを作成している. R1 10/30 第2回災害対策本部 事務局訓練 南海トラフ地震の発生を想定 した図上訓練 災害対策本部事務局職 員 R1 7/23 第1回災害対策本部 事務局訓練 南海トラフ地震の発生を想定 した図上訓練 災害対策本部事務局職 員 F市 H30 8/31 F市防災総合訓練 南海トラフ巨大地震の発生を 想定した図上訓練 災害対策本部の本部員 および各部と関係機関 記録資料に整理された時系列の事実関 係を,図上訓練のシナリオを作成する際 に参考としている. 表7 防災研修に記録資料の内容が「とてもいかされている」もの 自治体名 実施 年度 開催時期 研修名称等 内容 対象者/属性の意図 記録資料が研修に 「とてもいかされている」理由 G県 H30 7/9 総務部職員研修 災害対応における教訓を職 員に継承する研修 震災の災害対応に従事し た職員が減少しているた め 震災において,県災害対策本部の中核 となって災害対応に従事した元総合防 災室職員を講師とし,震災における教訓 等について研修を実施した. H市 H31 - 新採用職員研修 新採用職員を対象とした防 災基礎研修 新採用職員 当時に市職員が対応したことを学びに生 かしている. H30 - 新採用職員研修 新採用職員を対象とした防 災基礎研修 新採用職員 当時の課題を検証記録としてまとめ,研 修資料としている. H29 - 新採用職員研修 新採用職員を対象とした防 災基礎研修 新採用職員 検証記録をBCPとしてまとめ,研修資料 としている. I県 H31 人事異動後すぐ 災害対策本部 事務局転入職員研修 転入職員を対象に課内の配 備体制や防災機器に関する 研修 転入職員全員/いつ起こ るか分からない災害に課 として備えるため 記録誌や教訓を生かしながら,防災・危 機管理担当課として準備しておくべき事 項を研修資料としてまとめている. H31 人事異動後すぐ 防災業務研修会 各防災主管課担当職員の役 割について被害状況報告に ついて等 防災主管課職員/災害対 応に備えるため 有事の際には,被害状況の把握など,各 部局と連携して取り組まなければならな い事項が多々あることから,教訓を踏ま えた防災体制を構築できるよう資料をま とめている. J県 R1 台風,出水期の前 市町職員 防災基本研修 市町職員を対象とした防災 業務に係る基本的知識を習 得する研修 市町の防災部局新任職 員を対象に防災業務に係 る基本知識を早期に習得 す る必要 があ るた め ( 県 職員についても受講可) 震災の教訓を踏まえ,発災直後から行 政職員がどのように対応すべきか等を考 える内容の研修としている. R1 人事異動後すぐ 災害対策本部事務局 職員研修 本部事務局職員を対象とし た本部事務局体制や災害時 の対応等に関する研修 異動で防災部局に配属さ れ た 職 員 を含 む 防 災 部 局 職 員 /24 時 間 監視 即 応体制を構築するため 震災の教訓を踏まえ,発災直後に災害 対策本部事務局職員が対応すべき内容 等を習得する研修としている. R1 入庁時,昇任時 など 行政特別研修・ 階層別研修 (震災経験・教訓を継承 する防災関連科目) 新任職員,若手・中堅職員, 監督職などを対象に,震災を 経験した県職員等による経 験談や,防災・減災への取組 についての講義 新任職員・昇任間もない 中堅職員・監督職 など/ 自覚が高い時期の実施が 効果的なため 震災の教訓を踏まえ,行政職員として必 要な,災害への備えや心構えなどを学ぶ 研修内容としている. K県 R1 10月 情報連絡員研修 座学,経験者の体験談やグ ループ討議を通じて,情報連 絡員の役割と行動,心構え 等の基礎を学ぶ研修 大規模災害対応業務職 員名簿に記載されている 職員他/情報連絡員とし て派遣される職員に対す る人材育成のため 震災では,派遣した情報連絡員の役割 や業務内容が明確でなく,派遣職員も, 自らの役割を理解していない者もみられ たという課題があったが,本研修により理 解してもらうことができたため. R1 6~8,11~12月の 間に計6回 (出水期や繁忙期 を避けて実施) 災害対応業務別研修 災害対応の個別業務につい て,震災の業務経験や新しい 災害対応ノウハウを庁内で広 く共有する研修 班 長 以下 の 職員 で各部 局が推薦する者/災害時 に実務を担うスタッフ職を 中心に,全庁的に広く受 講させる 検証報告書にまとめた内容を含む震災 の課題等について震災経験者に語っても らい,業務所管所属において,それを踏 まえた現在の取組内容を説明している.

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継承する意識が低い(ない)」という回答は多くないこ とから,被災後の復興事業へ職員のマンパワーを注力し ている最中であることや,震災の発生からの時間経過が 短く,経験のある職員が多く職員個々には継承に関する 意識がそれほど高くないこと等が影響しているものと考 えられる. 表8 災害対応の経験・教訓の継承に係る 防災訓練や防災研修の実施上の問題点・課題 (図8の「その他」及び自由記述より) 《図8「その他」》 ◆阪神・淡路大震災 ・震災については,当時を知る職員が少なくなってい る ◆東日本大震災 ・継承する側の経験ある職員が減少している ・時間が経つにつれ震災を経験した職員が少なくな り,危機感が薄れていく ・単なる継承より実践的な避難訓練を行うことの方が 重要 ・「経験・教訓の継承」だけでなく,それを受けて, どのように市の防災・減災の取り組みを向上させる かが重要 ・震災を経験した職員が訓練を計画するとは限らなく なってくる ・人事異動等により,大規模災害の対応を経験した職 員が防災担当課に少なくなっている ・近年,水害等の大規模災害が増えており,その記録 や検証業務がある ◆熊本地震 ・各所属において所管業務に関する訓練や研修を実施 する時間が取れない 《自由意見》 ◆阪神・淡路大震災 ・自然災害が多発・激甚化していることを踏まえ,当 市における経験・教訓に限定せず,常に新たな課 題・ニーズをとらえ,その対応を想定し,行動する ことのできる体制の構築を目指すことが必要 ・災害対応の記録,課題整理を行う専門員(国・県・ 研究機関等)を市町村に派遣し,経験・教訓を残す 体制を整備する ◆新潟県中越地震 ・具体的・実践的な災害対応について,自治体主導で はなく,国が知見を蓄積し,被災自治体を支援する 仕組みを構築してほしい ・災害対応などを検証し,災害対応マニュアルの改定 などを行い,職員個人の経験,教訓ではなく,組織 として経験と教訓を蓄積していくことが重要である ◆熊本地震 ・経験・教訓の収集・共有を日本中で行うことができ る仕組みがあると良いと思う ・全国で大規模災害が頻発する中,災害の経験・教訓 を全都道府県及び市町村で容易に共有できるよう, 各災害の記録誌や検証報告書等を一元的に管理し, 閲覧できる仕組み(データベース化など)を作る 「基礎となる資料がない」という回答は,全体では割 合は高くないが,東日本大震災以外の被災自治体では比 較的多い回答である.これは先述した「記録資料の作成 状況」の結果の裏返しの結果であり,阪神・淡路大震災 や新潟県中越地震の被災自治体では発災から時間が経過 し記録資料が整理できていない場合,訓練や研修に活用 できる基礎資料としてまとめることは難しいという実態 によるものと考えられる.熊本地震の被災自治体では 「記録資料の作成状況」においても「作成する予定がな い」とした回答が4割以上あり,記録資料の整理がされな いままであると,阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の 被災自治体と同様の状況になる可能性がある. 「必要なノウハウがない」という回答は,阪神・淡路 大震災の被災自治体以外に多くみられ,自治体規模が影 響しているものと考えられる.「必要な人材がいない」 や「訓練や研修を実施する時間がない」という回答は, 熊本地震の被災自治体において比較的回答が多いが,こ れは「継承に関する関心の低い(ない)職員が多い」と 同様,被災後の復興事業へ職員のマンパワーを注力して いる最中であることや,震災の発生からの時間経過が短 く,経験のある職員が多く職員個々には継承に関する意 識がそれほど高くないこと等が影響しているものと考え られる. また,「その他」と回答された内容,及び自由回答で 災害対応に関する経験・教訓の継承に関して記述された 意見を表8に示す.継承する側の職員が少なくなってきて いるという回答がみられ,時間の経過とともに必要な人 材がいなくなることと類似の課題認識である.また,職 員の人事異動により災害対応を経験した職員が必ずしも 訓練や研修の企画に参加できなくなること,訓練,研修, 震災伝承の担当課が異なるため調整を要することなど, 組織体制上の課題があることもうかがえる.さらに組織 体制という点では,各自治体単独での取り組みではなく, 国や全国の自治体で災害対応の教訓を蓄積する仕組みの 必要性について言及する意見も見られた.そのほか,単 なる経験・教訓の継承の場をもつだけでなく,実践的な 訓練を継続することで継承を図るべきとする意見や経 験・教訓の継承だけでなく,それを受けて,どのように 自治体としての防災・減災の取り組みを向上させるかが 重要とする意見も見られた. 5 . 結果 ・ 考 察3 : 他 被災 自 治 体 へ の 波及 ( 応 援・講師等) 災害対応の経験・教訓についてその後の災害対応や被 災自治体への応援で役立ったことについて得られた主な 回答結果を表9に示す.記録を整理しておいたことにより, 応援派遣された際,災害対応全体の時系列を予期し必要 な対応を伝えることができたという回答が多く見られた (表9,①~③).また,個別の業務に関しては,避難所 運営や罹災証明の発行等の応援に役立ったという回答が 多く見られた(表9,④~⑨). 被災した他の自治体からの災害対応の経験・教訓に関 する問い合わせや講師派遣の依頼について得られた主な 回答内容を表10に示す.首長や幹部職員等による災害対 応全般に関するもの(表10,①~⑥)や,支援物資の受 入・管理・搬送,災害廃棄物処理,避難所運営,ボラン ティアとの協働など現場向けの個別業務に関するもの (表10,⑦~⑨)など,多岐にわたる依頼があることが 分かった.記録資料を整理しておくことにより,こうい った依頼にも対応しやすくなるものと考えられる.

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