• 検索結果がありません。

尺骨鉤状突起骨折に対するロッキングプレート固定術の治療成績

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "尺骨鉤状突起骨折に対するロッキングプレート固定術の治療成績"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

-120-日本肘関節学会雑誌27(2)2020

尺骨鉤状突起骨折に対するロッキングプレート固定術の治療成績

Keywords:coronoidprocessfractutre(鉤状突起骨折),lockingplating(ロッキングプレート固定),operation(手術)

Correspondingauthor:KozoMorita,DepartmentofOrthopaedicSurgery&HandSurgeryCenter,InternationalGoodwill Hospital,1-28-1,Nishigaoka,Izumi-ku,Yokohama-city,Kanagawa245-0006

肘関節後方不安定性において重要な骨性要素である尺骨鉤状突起骨折に対し専用のロッキングプ レートを用いて内固定を行った症例の治療成績につき検討した.対象は5例 5肘,平均年齢 43.2歳, 平 均 観 察 期 間16か月,骨折型は Regan分類 type24例,type31例,O'driscoll分類 Anteromedial subtype22例 ,subtype32例,Basalsubtype11例であった.全例骨癒合を認め平均肘関節可動域は 伸展0度,屈曲 135度 ,回内 88度,回外 90度,JOA-JESスコアは平均 96.6点で良好な成績が得ら れた.本プレートは骨片を面で支持固定することが可能であり治療に難渋しやすい粉砕骨片の症例 や骨片の大小に関わらずスクリューのみでの内固定では不安な症例では早期から良好な固定性が得 られ有用な内固定材と考える. 森田 晃造 梅澤 仁 国際親善総合病院 整形外科・手外科センター

Locki

ngPl

at

i

ngofCor

onoi

dPr

ocessFr

act

ur

esoft

heUl

na

KozoMorita HitoshiUmezawa

DepartmentofOrthopaedicSurgery&HandSurgeryCenter,InternationalGoodwillHospital

【緒 言】 尺骨鉤状突起骨折は肘関節後方不安定性において 重要な骨性要素であるが,骨片が粉砕している場合は 治療に難渋することがある.今回著者らは本骨折に 対して現時点において本邦で使用可能な唯一の専用 プレートを用いて内固定を行った症例の治療成績に ついて検討を行った. 【対象および方法】 2016年 か ら 19年 に か け て Zimmer-Biomet社 製 A.L.P.S.コロノイドロッキングプレートを用いて内固 定を行った鉤状突起骨折症例のうち,6か月以上観察 が可能であった5例 5肘を対象とした.内訳は男性 3 例,女性2例,年齢は平均 43.2歳(23~ 70歳)で平 均観察期間は16か月であった.骨折型は Regan分類 においてtype2:4例,type3:1例,O'Driscoll分類に お い てanteromedialtypesubtype2:2例,subtype3:2 例,basaltypesubtype1:1例であった.手術は全例と も,内側からのFCUsplitapproachにて進入,尺骨神経 を同定した上で,尺側手根屈筋の両頭間を進入し骨折 部 に 到 達,最 小 限 に 展 開 し 整 復,必 要 に 応 じ て Kirschner鋼線で仮固定後に本プレートを設置し固定 を行った.その後内反ストレスにて外側要素の評価 を行い,特に不安定性がなければそのまま閉創とし, 不安定性を認めれば外側を展開し修復を行った.後 療法は術後1週より関節可動域訓練を開始した.プ レート固定以外の追加手技として,Kirschner鋼線固定, 合併損傷である外側側副靭帯完全断裂,内側側副靭帯 後斜走靭帯部分断裂の修復をそれぞれ1例に施行した. 今回検討項目として,最終観察時における関節可動域, 骨癒合,JOA-JESスコアを用いた臨床評価,合併症の 発生について検討した. 【結 果】 最終観察時における肘関節可動域は平均で伸展0 度(-5~ 10度),屈 曲 135度(130~ 140度),回 外 90度(全例 90度),回内 86度(85~ 90度)であり, 経過観察中の骨片の転位は認めずに全例骨癒合した. JOA-JESスコアは平均 96.6(100~ 91)点であり,良 好な成績が得られた.合併症は一時的な尺骨神経領 域の痺れを2例に,術中プレートベンディングの際の プレート折損を1例に認めた. 【症 例】 23才女性,オートバイ運転中転倒受傷,単純 X線上 Regan分類 type2の尺骨鉤状突起骨折を認めた(図 1a). 3D-CTではO'Driscoll分類anteromedialtypesubtype2の 骨折を認め,骨片は3つに粉砕していた(図 1b).術 中所見では麻酔下に徒手的に後方不安定性を確認し, 完全脱臼はないものの後方不安定性を認めた(図2a). 手術はFCUsplitapproachにて進入し,尺側基部の骨折 線を確認後,プレート設置部の軟部組織を最小限に剥 離のうえ関節包ごと鉤状突起骨片を本プレートにて 固定した(図2b,c).固定後内反ストレスにて外側の不 安定性は認めなかったため外側の処置は行わず,その まま閉創とした.術後単純X線写真ではパドルを介 して骨折部が固定されていた(図3a).術後骨片の転 位を認めず,術後10か月経過時の X線では,alignment も良好に保ちつつ骨癒合が完成した(図3b).術後 10 か月経過時では屈曲135°伸展 0°回内 90°回外 90°と 良好な可動域が維持されており,疼痛,不安定感の訴 えなくJOA-JESスコアは 100点であった.

(2)

尺骨鉤状突起骨折に対するロッキングプレート固定術の治療成績 -121-【考 察】 近年,肘関節外傷において複合性肘関節不安定症が 注目されており,その中でも肘関節の中央に位置する 尺骨鉤状突起は重要な骨性要素であり,後方のみなら ず内側の安定性においても重要な役割を果たしており 同部の骨折は関節不安定性につながる可能性が高い1,2) 一方で本骨折の治療方針に関しては骨接合が必須とい う意見3)もあれば,靭帯修復のみで骨接合が不要とい う意見4)もあり,治療方針に一致が見られていない現 状がある.本骨折に対し骨接合を行う場合,tiptypeな どで骨片が小さい場合はlassotechniqueで関節包ごと

骨片を縫着したり5),骨片が大きい場合は前方より screw固定で十分な固定性が獲得可能だが,骨片が複数 におよび各骨片が小さい場合はその固定に難渋する. 今回検討したロッキングプレート固定法であるが海外 では既に多くのロッキングプレートが選択可能なのに 対し,本邦では2014年に今回検討した A.L.P.S.プレー トが使用可能となって以来国内では唯一の専用プレー トであり,その良い適応として諸家6,7)も報告している

ように今回のようなanteromedialtype骨折のような複 数の小骨片を有する粉砕骨折が良い適応ではないかと 考える.

1:23才 女性

a:受傷時単純 X線像 Regan分類 type2

b:受傷時 3D-CT像 O'Driscoll分類 anteromedialsubtype2

2:術中所見

a:麻酔下ストレス撮影 後方不安定性を認める b:FCUsplitapproachにて進入し,骨折部を展開 c:鉤状突起骨片をプレートにて固定

3:術後画像 a:術直後単純 X線像

(3)

森 田 晃 造 ほか

-122-Anteromedialtype骨折の発症機序に際し O'Driscoll は“varusposteromedialrotatorymechanism”を提唱した1)

発症機序としては理解しやすいが,今回の検討にて外 側側副靭帯の修復を要した症例は1例のみであり他の 3例では修復せずに安定性が保たれていた.この結果 から必ずしも全例に外側要素の修復は不要であり,骨 折内固定後のストレス評価により修復の要否を決定す る著者らの治療方針は妥当であると考える. 今回の小経験から本プレート固定の問題として,プ レート設置のために尺骨周囲の軟部組織のへの侵襲, その際に剥離する尺骨神経の問題,またプレートが薄 いゆえにベンディングを繰り返すと折損の恐れがある ことに注意が必要である.本研究のlimitationとして症 例数が少ないことが挙げられる.以上,今後検討する 点はあるものの本プレート固定法は良好な治療成績を 獲得可能であり,現時点では有用であると考える. 【結 語】 尺骨鉤状突起骨折に対してロッキングプレート固定 を施行した症例の治療成績について検討した.本プ レートは後方不安定性を有する骨片を面で支持固定す ることが可能であり,骨片の粉砕した症例や骨片の大 小に関わらずスクリューのみでの内固定のみでは不安 な症例に対し早期から良好な固定性が得られることか ら有用な内固定材である. この論文は第32回日本肘関節学会で発表した. 【文 献】

1)O'DriscollSW,JupiterJB,CohenMSetal:Difficultelbow fractures;pearlsandpitfalls.InstrCourseLect.2003;52: 113-34.

2)RingD,DoornbergJN:Fractureoftheanteromedialfacet ofthecoronoidprocess;surgicaltechnique.JBoneJoint SurgAm.2007;89:267-83. 3)岩部 昌平,別所 祐貴,伊藤 恵康ほか:Terribletriad injuryの治療 鉤状突起は内固定すべきか ?.整形・災 害外科.2017;60:1091-7. 4)洪 淑貴,堀井 恵美子,服部 達哉ほか:尺骨鉤状突起 骨折の治療経験.日肘会誌.2015;22:250-3. 5)今谷 潤也,森谷 史朗,前田 和茂ほか.LassoTechnique を用いた尺骨鉤状突起骨折の手術的治療.日肘会誌. 2014;21:43-5. 6)南野 光彦,友利 裕二,高井 信朗:尺骨鉤状突起骨折 に対する鉤状突起プレートの使用経験.日肘会誌. 2017;24:190-3.

7)小川 光,石河 利之,仲西 知憲:AnteromedialFacet骨 折に対するA.L.P.S.プレートの使用経験.日肘会誌. 2017;24:198-201.

図 3 :術後画像 a: 術直後単純 X 線像

参照

関連したドキュメント

たRCTにおいても,コントロールと比較してク

 仙骨の右側,ほぼ岬角の高さの所で右内外腸骨静脈

therapy後のような抵抗力が減弱したいわゆる lmuno‑compromisedhostに対しても胸部外科手術を

「他の条文における骨折・脱臼の回復についてもこれに準ずる」とある

朱開溝遺跡のほか、新疆維吾爾自治区巴里坤哈薩 克自治県の巴里坤湖附近では、新疆博物館の研究員に

攻撃者は安定して攻撃を成功させるためにメモリ空間 の固定領域に配置された ROPgadget コードを用いようとす る.2.4 節で示した ASLR が機能している場合は困難とな

[r]

Oracle WebLogic Server の脆弱性 CVE-2019-2725 に関する注 意喚起 ISC BIND 9 に対する複数の脆弱性に関する注意喚起 Confluence Server および Confluence