<症例報告>
C 型肝炎に対する Direct-Acting Antivirals 治療後に発症した
心腎肺眼サルコイドーシスの一例
金子 三紀
1)堂原 彰敏
2)*西村 尚起
1)竹田 惣一
1)中谷
聡
1)塩山えりか
1)竹田 幸祐
1)吉川 雅章
1)上田 重彦
1) 要旨:症例は 45 歳男性.35 歳時に C 型慢性肝炎に対して IFN 治療を施行されたが無効で,他 院で肝庇護療法を継続されていた.肝障害が増悪し精査加療目的に当科紹介受診となった.肝生 検では脂肪沈着を伴う A2F3 の慢性ウイルス肝炎像であり,肝サルコイドーシスを示唆する所見は認めなかった.Direct Acting Antivirals(DAA)療法で SVR24 を達成したが,終了 3 カ月後
から eGFR が低下し腎生検で腎サルコイドーシスの診断に至った.追加検査で心・肺・眼にも病
変あり,ステロイド内服加療を施行した.既報では C 型肝炎に対する IFN 治療後にサルコイドー シスを発症する症例が散見され,IFN が宿主の免疫応答を惹起しサルコイドーシスを引き起こす
ことが想定されている.今回 DAA 治療後に発症した心腎肺眼サルコイドーシスの一例を経験し,
貴重な症例と思われるため報告する.
索引用語: C型肝炎 サルコイドーシス Direct-Acting Antiviral Ledipasvir Sofosbuvir インターフェロン はじめに HCV 感染により,肝臓内での炎症や線維化などの変 化だけではなく,マクログロブリン血症や B 細胞リン パ腫,甲状腺機能異常など肝外の様々な臓器や組織が 影響を受けることが知られている1).既報では C 型慢性 肝炎とサルコイドーシスの合併頻度が高いことが知ら れており2),また C 型慢性肝炎に対する IFN 治療時あ るいは治療後にサルコイドーシスを発症する報告が散 見され,IFN 製剤が宿主の免疫応答を惹起しサルコイ ドーシスを引き起こすことが想定されている3).今回, C 型慢性肝炎に対する IFN 治療後 10 年間は発症せず, DAA 治療後に発症した心腎肺眼サルコイドーシスの一 例を経験したので報告する. I.症 例 症例:45 歳男性. 既往歴:高血圧,糖尿病,脂質異常症. 家族歴:母 C 型肝炎,父 肺癌,高血圧,糖尿病, 脳梗塞. 嗜好歴:喫煙 20 本/日(25 年),飲酒 機会飲酒. 職業歴:会社員(粉塵暴露歴なし).輸血歴:なし. 内服薬:イルベサルタン(100)1T 分 1 朝食後,ビ ルダグリプチン(50)2T 分 2 朝夕食後,グリメピリド (1)2T 分 2 朝夕食後,ロスバスタチン(2.5)1T 分 1 夕食後,ポリエンホスファチジルコリン(250)3Cap 分 3 毎食後,ウルソデオキシコール酸(UDCA)(100) 6T 分 3 毎食後. 注射薬:グリチルリチン製剤(SNMC)60 ml 週 3 回. 現病歴:C 型慢性肝炎や糖尿病,高血圧,脂質異常症 で近医に通院中.35 歳時に C 型慢性肝炎に対して IFN 治療(Peg-IFNα2b+Ribavirin)を施行されたが無効で, UDCA と SNMC による肝庇護療法を継続されていた. 血液検査で肝障害の増悪を認め,また血糖コントロー ルも不良であるため精査加療目的に 20XX 年 7 月に当 院へ紹介となった. 初診時現症:身長 184.0 cm,体重 109.7 kg,BMI 32.4 kg/m2.体温 36.4℃,血圧 123/67 mmHg,脈拍 81/min,
SpO2 97%(room air).眼瞼結膜に貧血なく,眼球結膜
1)国保中央病院内科 2)済生会中和病院消化器内科 *
Corresponding author: [email protected] <受付日2020年10月13日><採択日2020年12月17日>
表 1 初診時血液検査所見
末血 ChE 247 IU/L HBs Ag 0.00 IU/mL WBC 4700 /μl ALP 558 IU/L HBs Ab <10.0 mIU/mL Hb 14.2 g/dL γ-GTP 187 IU/L HBc Ab <1.00 S/CO Plt 9.8 万 /μl BUN 12.4 mg/dL HCV Ab 14.7 S/CO Coagulation Cre 0.54 mg/dL HCV-RNA 8.2 logIU/mL PT-% 100 % Glu 264 mg/dL HCV Serotype 1
生化学 HbA1c 11.7 % ANA <×40
AST 207 IU/L TSH 0.98 μIU/mL AMA-M2 Negative ALT 356 IU/L Free T3 2.84 pg/mL 尿
LDH 238 IU/L Free T4 1.12 ng/mL 尿蛋白 (±) T-Bil 0.6 mg/dL IgA 440 mg/dL 尿糖 (3+) TP 7.5 g/dL IgG 1990 mg/dL 尿中 CPR ≦0.9 μg/day Alb 3.9 g/dL IgM 9.1 mg/dL 尿中 Alb 12.2 mg/day
図 1 DAA 治療前画像検査所見 腹部超音波検査(A)および造影 CT(B)では肝表面は平滑で辺縁は軽度鈍化して いた.また脂肪肝の像を呈し,軽度脾腫を伴っていた.肝細胞癌や腹水貯留は認めな かった. B A に黄染なし.胸腹部所見に異常なし.下 浮腫なし. 皮疹や皮下結節を認めず. 初診時血液検査・尿検査(表 1):血小板は 9.8 万/ μl と低下し,AST 207 IU/L,ALT 356 IU/L,ALP 558
IU/L,γGTP 187 IU/L と肝胆道系酵素の上昇を認めた が,肝予備能は Child-Pugh A 5 点と保たれていた.空 腹時血糖 264 mg/dL,HbA1c 11.7% と糖尿病のコント ロールは不良で,尿中 C ペプチド 0.9μg/day 未満と低 値でありインスリン分泌能は低下していた.初診時に は腎障害は認めなかった. DAA 治療前画像検査所見(図 1):腹部超音波検査 (A)および造影 CT(B)では肝表面は平滑で辺縁は軽 度鈍化していた.また脂肪肝の像を呈し,軽度脾腫を 伴っていた.肝細胞癌や腹水貯留は認めなかった. DAA 治療前肝生検組織所見(図 2):門脈域を中心 とし,中心静脈へ向かって小葉のひずみを伴った線維 化を認めた.門脈域にリンパ球を中心とした炎症細胞 浸潤を認め,リンパ濾胞を形成していた.また一部で は脂肪滴が沈着し,Ballooning を伴う部位も認めた.不 規則な再生性変化を伴っており C 型慢性肝炎に矛盾し ない像を呈していた.A:Azan 染色, B:Hematoxylin-Eosin 染色. 治療経過 1(図 3):肝生検で新犬山分類 A2F3 のウ イルス性肝炎であることを確認後に Ledipasvir(LDV)/ Sofosbuvir(SOF)を 12 週 間 投 与 し た.AST/ALT 値や胆道系酵素は速やかに低下し,ウイルス学的効果 も良好で SVR24 を達成した.しかし,DAA 投与終了 3 カ月後から eGFR が低下傾向で,尿所見では糖尿病性
図 2 DAA 治療前肝生検組織所見 ⾨脈域を中心とし,中心静脈へ向かって小葉のひずみを伴った線維化を認めた.⾨脈域 にリンパ球を中心とした炎症細胞浸潤を認め,リンパ濾胞を形成していた.また一部で は脂肪滴が沈着し,Ballooning を伴う部位も認めた.不規則な再生性変化を伴っており C 型慢性肝炎に矛盾しない像を呈していた. A:Azan 染色,B:Hematoxylin-Eosin 染色 A B 図 3 臨床経過 肝生検で新犬山分類 A2F3 のウイルス性肝炎であることを確認後に Ledipas-vir(LDV)/ Sofosbuvir(SOF)を 12 週間投与した.AST/ALT 値は速やか に低下し,ウイルス学的効果も良好で SVR24 を達成した.しかし,DAA 投 与終了 3 カ月後から eGFR が低下傾向であり,原因精査目的に腎生検を施行 した.
AST䞉ALT
(IU/l) LDV+SOF eGFR(mL/min/1.73m2)
0 20 40 60 80 100 120 140 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
AST
ALT
eGFR
Chronic hepaƟƟs A2F3Liver biopsy Renal biopsy 201X.7 201X+1.1 201X+1.7 201X+2.1 腎症は否定的なため,原因精査目的に腎生検を施行し た. 腎生検施行時血液検査・尿検査(表 2):BUN 30 mg/
dL,Cre 1.39 mg/dL,eGFR 45.1 mL/min/1.73 m2と腎
障害を認めた.尿蛋白,尿糖,尿潜血は陰性.ACE および可溶性 IL2 レセプター抗体は高値であった.
表 2 腎生検時血液検査所見 末血 ANA <40 WBC 5300 /μl PR3-ANCA <1.0 U/mL Hb 13.4 g/dL MPO-ANCA <1.0 U/mL Plt 16.3 万 /μl ASO 65 IU/mL 生化学 RF 7 U/mL AST 23 IU/L C3 122.0 mg/dL ALT 25 IU/L C4 23.4 mg/dL ALP 219 IU/L Anti GMB Ab <2.0 U/mL γGTP 30 IU/L Cryoglobulin (−) BUN 30 mg/dL HCV-RNA negative Cre 1.39 mg/dL 尿
eGFR 45.1 mL/min/1.73 m2 尿蛋白 (−)
HbA1c 6.7 % 尿糖 (−)
Ca 9.6 mg/dL 尿潜血 (−)
ACE 25.4 U/L 尿中 NAG 9.4 U/L sIL2-R 2475 U/mL 尿中 β2MG 1101 μg/l 図 4 腎生検組織所見 壊死を伴わない類上皮肉芽腫変化が多数あり,糸球体には明らかな異常は認めなかっ た.A:Hematoxylin-Eosin 染色,B:PAS 染色 B A 腎生検組織所見(図 4):壊死を伴わない類上皮肉芽 腫変化が多数あり,糸球体には明らかな異常は認めな かった.A:Hematoxylin-Eosin 染色,B:PAS 染色. 胸部 Xp/CT 検査所見(図 5):DAA 治療前の胸部 Xp 検査(A)と比較して,DAA 治療後の胸部 Xp 検査 (B)で両側肺門リンパ節腫脹(矢印)が出現していた. また胸部 CT 検査(C,D)では気管支血管周囲間質や 小葉間隔壁が肥厚し,右上中肺野優位に微細粒状に集 簇した陰影や肺門部リンパ節腫脹(矢印)を認めた. FDG-PET 画像(図 6):両側肺の粒状影部および肺 門リンパ節,気管分岐部リンパ節などに FDG の集積を 認めた. 気管支鏡検査(図 7):経気管支肺生検では小さな類 上皮細胞肉芽腫を複数認めた.周囲肺胞壁にはリンパ 球浸潤を伴っていた.また肺胞洗浄液では肺胞マクロ ファージ(PAM)63.5%,Lym 37.5%,Neut 0.0%,Eo 0.0% とリンパ球比率が上昇し,CD4 69.0%,CD8 30.0% であり,CD4/CD8 比は 2.3 と高値を示していた. 眼科所見:DAA 治療前には認めなかった周辺虹彩前 癒着と雪玉状混濁を認めた. 治療経過 2:腎眼肺サルコイドーシスの診断に至った が,コントロール不良の 2 型糖尿病を有しており,経 時的な腎障害の増悪を認めず,また呼吸器症状も認め ず,心臓超音波検査でも特記所見を認めないため,ス テロイド点眼のみで加療とした.しかし,20XX+2 年 7 月頃より労作時の動悸が出現し,20XX+2 年 11
図 5 胸部 Xp/CT 検査所見 DAA 治療前の胸部 Xp 検査(A)と比較して,DAA 治療後の胸部 Xp 検査(B)で 両側肺⾨リンパ節腫脹(矢印)が出現していた.また胸部 CT 検査(C,D)では気 管支血管周囲間質や小葉間隔壁が肥厚し,右上中肺野優位に微細粒状に集簇した陰影 や肺⾨部リンパ節腫脹(矢印)を認めた.
A
B
D
C
図 6 FDG-PET 画像 両側肺の粒状影部および肺⾨リンパ節,気管分岐部リ ンパ節などに FDG の集積を認めた. 図 7 気管支鏡検査 経気管支肺生検では小さな類上皮細胞肉芽腫を複数認 めた.周囲肺胞壁にはリンパ球浸潤を伴っていた. 月に意識消失発作を認めた.心臓超音波検査では 20XX +1 年と比較して左室中隔基部の非薄化と左室壁運動低 下,心臓 MRI 検査で心室中隔基部と下側壁に心内膜側 優位な遅延造影領域,FDG-PET 検査で心筋への集積亢 進を認めたことより心サルコイドーシスの診断に至っ た.疾患活動性が高いと判断し,プレドニゾロン 40 mg/表 3 C 型慢性肝炎に対する IFN 治療後に発症したサルコイドーシスの臨床的特 徴と経過 年齢 50±8.7 性別(数) 男:女 21:39 IFN の内訳(数) IFNα 7 IFNα +ribavirin 19 Peg-IFN+ribavirin 31 Peg-IFN+ribavirin+telaprevir 3 発症までの期間の内訳(数) IFN 治療中 56 IFN 治療後(1-12 カ月) 4 臓器の内訳(数) 皮膚 38 肺 37 眼 6 神経/肝/関節/腎 4/2/2/1 治療の内訳(数) IFN 中断 25 ステロイド内服 19 ステロイド局所使用 5 ACE(U/L) 97(14-386) 転帰(数) 回復/死亡 58/2 day 内服を開始して経過は良好である. II.考 察 サルコイドーシスは多臓器にわたる原因不明の非乾 酪性類上皮細胞肉芽腫性疾患である.好発年齢は若年 (20-30 歳代)と中年(40-50 歳代)の二峰性で,両側肺 門リンパ節,肺,皮膚に罹患することが多い.発症時 には約 3 分の 1 の症例は無症状とされ,有症状時は霧 視・羞明・飛蚊・視力低下などの眼症状で発見される 場合が最も多く,次いで皮疹,咳,全身 怠が多いと される4). サルコイドーシスでは Th1 を誘導する IL-12 や Th2 を抑制する IFNγ などが遺伝子および蛋白レベルで増加 しており,Th1 優位な状態にあることが知られている5). 疾患頻度はコントロール群 0.001-0.04% に対して C 型肝 炎群は 0.12% と C 型肝炎の症例でサルコイドーシスの 頻度は増えると報告されている6).原因としては HCV ウイルス自体が内因性の IFNα の発現を増強することが 挙げられている7).また従来 IFN 治療によりサルコイドー シスを発症することが報告されており,IFNα は IL-12 と IL-18 と共同して IFNγ を増加させること8),またリ バビリンは Th1 反応性を増強し Th2 反応性を低下させ ること9)が確認されており,併用することがさらにサル コイドーシス発症に関与すると考えられている. 我々が Pubmed および医学中央雑誌で検索しうる限 り,DAA 治療後にサルコイドーシスを発症した報告は 認めなかった.一方,C 型肝炎に対する IFN 治療に関 連しサルコイドーシスが発症する報告は 60 例認めた (表 3).男女比は女性が約 2 倍で,発症までの期間は IFN 治療中が 56 例で IFN 治療後が 4 例であり,この 4 例は IFN 治療後 1 年以内の早期に発症した. また, C 型肝炎以外の疾患に対する IFN 治療に関連し発症し たサルコイドーシスの報告例は 20 例認めた(表 4).C 型肝炎以外の背景疾患は悪性黒色腫をはじめ様々で, 発症までの期間は 12 年後に発症した症例も存在するが, IFN 開始後数カ月後に発症する症例がほとんどであっ た.以上から IFN 治療中あるいは治療後のサルコイドー シス発症において,基礎疾患として C 型肝炎の頻度が 極めて高く(75%,60/80),発症時期は IFN 治療開始 時から終了後比較的早期が多い.このように C 型肝炎 の存在や IFN による免疫応答が,サルコイドーシス発 症を惹起していると考えられてきた.一方,本症例で は C 型慢性肝炎に対する IFN 治療からサルコイドーシ ス発症まで 10 年以上経過していること,DAA 治療前 の眼底所見や胸部レントゲン画像からはサルコイドー シスの所見がなかったことから,サルコイドーシス発 症における IFN の影響は少ないと考えられる. 本例は,DAA 治療終了後間もなくから腎障害が出現 し,腎生検によりサルコイドーシス発症の診断に至っ た.DAA は C 型肝炎ウイルスの非構造蛋白の機能を直
表 4 C 型以外の疾患に対する IFN 治療後に発症したサルコイドー シスの臨床的特徴(N=20) 年齢(中央値) 44(30-64) 発症までの期間(中央値,月) 13.5(4-144) 疾患(数) 悪性黒色腫 7 多発性硬化症 6 慢性骨髄性白血病 3 多発性骨髄腫 1 真性赤血球増加症 1 慢性 B 型肝炎 1 腎癌 1 接阻害して増殖を抑制する薬剤で,免疫応答に直接影 響を及ぼすことはないこと,C 型肝炎自体が全身の免疫 応答を惹起すること1),IFN 治療に関連し発症したサル コイドーシスの多くの症例で C 型肝炎が関与していた ことから,DAA による C 型肝炎ウイルスの急激な排除 が免疫状態の変化を生じサルコイドーシス発症に寄与 した可能性がある.これまで C 型肝炎ウイルスの急激 な排除によって免疫状態は大きく変化することが知ら れている.内因性 IFN の抑制10),免疫細胞の rebalance やサイトカインの imbalance が起こり11),短期間で肝臓 の免疫学的環境が大きく変化する.これまでに IFN 治療による SVR 例において,nonresponse(NR)症例 に比し,Th1 応答の増加により肝組織中に NK 細胞や, NKT 細胞が増加しているという報告12)があり,本症例 においても急激なウイルス排除によって Th1 優位な細 胞性免疫応答が賦活された状況にあった可能性が示唆 されるが,C 型肝炎排除後のサルコイドーシス発症の機 序解明には,さらなる症例の蓄積が必要と考えられる. 本症例は,元々糖尿病を合併し糖尿病性網膜症の有 無目的に定期的に眼底評価を行えていたことで,今回 DAA 後にサルコイドーシスの眼症の出現を診断するこ とが可能であった.IFN 治療時代には,IFN 治療によ る眼底出血の危険性があり13),治療前に眼底を必ず評価 していたが,DAA 治療が行われるようになってからは, 眼底評価を行えていないことが多い.本症例のように DAA 治療後にサルコイドーシス出現が見られる可能性 があり,DAA 治療前にも従来通り眼底を評価しておく ことが重要であると考えられた. 最後に,本症例では HLA 遺伝子タイピングを行えて いないが,HLA class II 領域の HLA-DRB1 がサルコイ
ドーシス発症に関係し,日本人では HLA-DRB1*08 との 関連が知られている14).C 型慢性肝炎に対する IFN 治療後に発症したサルコイドーシス患者において HLA-DRB1*16:02 であった症例も報告されている15).一般 診療で C 型肝炎治療前にスクリーニングとして HLA class を測定することは少ないが,測定できれば疾患予 測因子となりうる可能性がある. III.結 語 C 型肝炎に対する DAA 治療後に発症した心腎肺眼サ ルコイドーシスの一例を経験した.DAA 治療後におい ても IFN 治療と同様にサルコイドーシス発症にも留意 する必要があると思われた. 文 献
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A case of sarcoidosis developing after direct-acting antiviral
treatment for chronic hepatitis C
Miki Kaneko1), Akitoshi Douhara2)*, Naoki Nishimura1),
Soichi Takeda1), Satoshi Nakatani1), Erika Shioyama1),
Kosuke Takeda1), Masaaki Yoshikawa1), Shigehiko Ueda1)
HCV infection causes chronic hepatitis and various extrahepatic diseases. According to previous reports, HCV infection itself may cause sarcoidosis and IFNα as antivirals for HCV may induce sarcoidosis. To the best of our knowledge, no reports of sarcoidosis following DAA treatment for HCV have been published. A 45-year-old man was referred to our hospital with markedly elevated liver enzymes and positivity for HCV antibodies. He had received interferon (IFN) therapy 10 years previously, but it had not been effective. He had no symptoms of sarcoidosis, such a decreased vision, skin rash, and subcutaneous nodules. Liver biopsy revealed chronic hepa-titis C. Hence, ledipasvir and sofosbuvir as DAA treatment were administered for 12 weeks, and SVR was achieved. However, the patient developed renal dysfunction 3 months after DAA administration. Renal biopsy showed multiple epithelial cell granulomas without necrosis and no change of glomeruli. Based on further ex-amination, the patient was diagnosed with sarcoidosis.
Key words: sarcoidosis chronic hepatitis C direct-acting antiviral
Kanzo2021; 62: 372―380
1)Internal Medicine, Kokuho Central Hospital 2)Gastroenterology, Saiseikai-chuwa Hospital
*Corresponding author: