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患者および家族の不確かさに関する研究内容の分析

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患者および家族の不確かさに関する研究内容の 析

川 田 智 美, 藤 本 桂 子, 小和田 美由紀

神 田 清 子

要 旨 【背景・目的】 本研究は, 患者および家族の 不確かさ に関連する研究を 析し, 患者や家族が病気に伴っ て経験する 不確かさ とはどのような内容であるのか,その表現を明確にし,言語化する.そして,不確かさ をいかにマネジメントしていくかという適応上の課題に対して看護の示唆を得ることを目的とする. 【対象 と方法】 2001年から 2011年 7月までの原著論文を対象とした.医学中央雑誌を 用し, 不確かさ and 看 護 をキーワードに検索を行ない, 患者および家族を対象とし, テーマ内容に った 35論文について内容 析を行った. 【結 果】 不確かさ に関する研究内容は,《身体感覚に確信が得られないことにより生じる 不確かさ》《適切な情報が得られず状況を把握できないことによる不確かさ》《将来の見通しが立たないこと に関する不確かさ》《病状や治療効果を予測できないことに対する不確かさ》《迫りくる死への不安から生き る意味が見いだせず感じる不確かさ》の 5カテゴリから形成された. 最も大きなウエイトを占めたカテゴリ は, 《適切な情報が得られず状況を把握できないことによる不確かさ》であった. 【結 語】 患者および家 族が不確かさを受け入れ, 適応に向けて生活していけるよう, 適切な情報提供と不確かさを傾聴することが 重要な課題であると示唆された.(Kitakanto Med J 2012;62:175∼184) キーワード:不確かさ, 看護, 内容 析 .は じ め に 近年, インフォームド・コンセントや患者の意思決定 が重要視され, 患者の QOL を尊重した治療方針や療養 環境の提供が求められるようになってきた. この社会的 背景の中で, 患者や家族は様々な場面において意思決定 を求められる. 人は, 意思決定を求められた時, 選択肢に 関する情報を得るための行動をとる. しかし, 選択肢に 関する適切な情報が得られない場合や情報量が多すぎて その人の認知能力を超えたときには, 情報はその人の負 担となり, 不確かさが生じる と言われている. 人は不確 かであると認知すると, 出来事を明確に評価することが できなくなり対処行動が限定され, その人の行動に大き な影響を及ぼす. 多くの看護者や研究者は, 生命を脅かす疾患や原因が 不明で治療法が確立されていない特定疾患, 再燃や寛解, 急性増悪の予測が困難である慢性疾患を持つ患者やその 家族においては, 療養の経過全般にわたって様々な不確 かさに遭遇し, それらの不確かさが主要なストレス源に なっていることを指摘している. そのため, 看護者が患者や家族が病気に伴って経験す る状況を不確かさという視点から理解し, 不確かな状況 にある患者への適応に向けての援助を実践していくこと はとても重要である. 不確かさの概念は, 1981年に Merle H. Mishelによっ て発表されて以降, 継続的に研究が重ねられ, 看護の領 域に定着してきた. そのため, 看護における不確かさの 研究では, Mishelの理論を基盤としたものが多い. Mi-shel は, 不確かさとは, 病気に関連しておこる出来事に 明確な意味を見いだせない状態であると定義している. また, 不確かさは人の状況により肯定的にも否定的にも 意味づけられる. しかし,不確かさの認知的評価は,文化 の影響を受けるため,必ずしも Mishelの定義がすべて日 本人に当てはまるとは限らない. 現に, 先行研究におい 1 群馬県高崎市中大類町501 高崎 康福祉大学 2 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院保 学研究科 平成24年2月21日 受付 論文別刷請求先 〒370-0033 群馬県高崎市中大類町501 高崎 康福祉大学 川田智美

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て日本人が捉える不確かさには, Mishelの定義にはない 概念も含まれていることが研究されている. 患者および家族の不確かさと療養行動に与える影響を 理解することは, 患者の病への反応を理解し, 不確かさ を変化させる手がかりを見いだすことにつながる. また, 日本人に特徴的な不確かさの存在を明らかにすること で, どのような関わりができるのか, 文化的な背景を 慮した看護のあり方について える機会となる. そこで, 本研究では, 患者および家族の 不確かさ に関連する 研究を 析し, 患者や家族が病気に伴って体験する 不 確かさ とはどのような内容であるのか, その表現を明 確にし, 言語化することを目的とする. このことにより, 避けることのできない不確かさへの反応を減らし, 患者 および家族が, 不確かさをいかにマネジメントしていく かという適応上の課題に対して, 看護の示唆を得ること ができると える. .研 究 目 的 患者および家族の 不確かさ に関連する研究を 析 し, 患者や家族が病気に伴って体験する 不確かさ と はどのような内容であるのか, その表現を明確にし, 言 語化する. そして, 不確かさをいかにマネジメントしていくかと いう適応上の課題に対して看護の示唆を得る. .用語の操作的定義 広辞苑には, 不確かさ という言葉は掲載されておら ず,「不確か」という言葉が用いられていた.「不確か」と は,「確かでないこと,不確実,あやふやなこと」と明記さ れている. 看護の研究論文においては,前述した Mishelの定義が 多く用いられている. しかし, 論文によっては不確かさ の定義が曖昧なままカテゴリを形成し, 不確かさ と ネーミングしているものも見受けられた. そこで, 本研究では, 不確かさ を, 患者および家族 が, 疾患や治療により不安定に陥っている状況の中で経 験する明確にできない心の揺らぎや心理状況, および状 況の中で生じた え・認知とする. .研 究 方 法 1.対象論文 2001年から 2011年 7月までの約 10年間に掲載され た原著論文を対象とし, web版医学中央雑誌 (ver. 5) を 用し, 不確かさ をキーワードに検索した原著論文 106件に 看護 を組み合わせた原著論文 71件をまず選 択した. その後, 医療者・看護者の不確かさを除く, 病を 体験した患者および家族の 不確かさ についての記述 がある 42論文を選択し, 析の対象とした. その際, 病 名は限定せず, 各論文の対象である患者および家族が 不確かさ を感じていると えられる記述のある論文 を採用した. また, 不確かさ が論文の目的とされてい なくても, 不確かさ に関する記述がある論文は採用し た. また, 42論文のうち文献レビューは引用文献が重複す る可能性があり, コード化が困難であると判断したため 除外した. さらに, 独自の質問票や, 既存の尺度を用いた 量的研究において, 著者自身による 不確かさ の定義 が明確に示されておらず, 既存の定義を引用している研 究については本研究の主旨と異なると判断し除外した. 本研究の主旨と異なると えられる文献を除外する際 は, 内容を共同研究者間で再度確認した上で協議し, 決 定した. その結果, 最終的に 35論文が 析対象となった. また, 不確かさ は, 文化的な背景の影響を受けること を 慮し, 海外文献は対象とせず, 国内文献のみを対象 とした. 2. 析方法 1)データ 析 研究内容について, 内容 析の手法を用いて 析した. 各対象論文の不確かさに関する文章のうち, 最も端的に 患者および家族の不確かさの内容を表している記述部 をコードとした. コードは 1論文 3コード以内とし, 不 確かさに関する記述が複数ある場合は, 最も不確かさの 操作的定義に近い意味内容と えられるコードを優先に 選択した. また, 患者および家族が表現した気持ち, 疾患 や治療によってもたらされた揺れ動く心理状況を最もよ く捉えている内容, 論文中において重要な意味を成して いると えられるコードから優先順位をつけ, 上位 3位 までを抽出した. コードの優先順位を決める際には, 選択したコードの 内容を共同研究者間で確認した上で決定した. コード化 したものを内容の類似性に従い 類し, サブカテゴリ化 したものを抽象化し, カテゴリ化した. そして, 各サブカ テゴリ, カテゴリに 類された記録単位の出現頻度と比 率を算出した. 2) 析の信頼性の確保 コードの解釈, カテゴリ 類, ネーミングの妥当性に 関して, 共同研究者 4名の間で検討を行い, 析の信頼 性を確保するよう努めた. 研究者間で判断が困難である 場合には, 繰り返し討議を行い, 検討を重ねた上で決定 した.

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.結 果 1.不確かさに関する対象論文の概要 表 1に論文の概要を示した. 年別では, 2010年が最も 多かった. 種類別では, 質的研究が 80.0%を占めていた. 研究デザイン別では, 因子探索研究が 77.1%で多くなっ ていた. データの収集法別では, 面接法が 64.3%を占めていた. 独自の質問票によるデータ収集の研究は Mishel Uncer-tainty in illness scale-community Form 日本語版 (以下 MUIS-C と略す) などの既存の尺度を利用していた. 対象者別では, 患者を対象とした論文が 65.7%, 家族 を対象とした論文が 34.3%であった. 疾患の種類別では, 小児科系疾患が 最 も 多 く 25.7%を 占 め, 次 い で が ん 17.1%であった. 2.患者および家族に関する不確かさに関する論文の 析内容 対象となった 35論文の研究内容から, 不確かさ に 関する 64コードを抽出した. 意味内容の類似性に基づ き 析し抽象化した結果, 12サブカテゴリ, 5カテゴリ が形成された. 以下カテゴリ毎に結果を述べる. なお, 本 文中では,カテゴリを《 》,サブカテゴリを > で示 した. 1)《身体感覚に確信が得られないことにより生じる 不確かさ》 (表 2) このカテゴリは 自 の身体に起こっていることに確 信が持てない認知的状態> というサブカテゴリから形成 された. このサブカテゴリは, 8コードから形成され, 自 自身の身体に起こっている症状の変化に確信が持てな い状態や妊娠の成立に関して抱く身体への評価に関する 内容が含まれた. 藤原ら は大腸がん術後患者が血 を認識していたに も関わらず確実に の異常であるという自覚を持てない 状態を述べていた. また, 末次ら 栗井ら は, 不妊女性が, 思いのままに妊娠できない現実に直面し, 次の妊娠も今 回のように難しいだろうと感じる自己の身体に抱く認知 的評価について述べていた. 2)《適切な情報が得られず状況を把握できないこと による不確かさ》 このカテゴリは, 状況が把握できずどうなるのか,ど うしてよいのかわからない状況> 未知の経験に対する戸 惑い> 情報不足や情報過多により明確な意味づけができ ない状態> 治療に対する説明がないことによる不安>の 4サブカテゴリから形成された. 状況が把握できずどうなるのか, どうしてよいのか わからない状況> は, 6コードから形成され, 自 が現在 置かれている状況が把握できず, コントロール感覚を 失っている患者の状況と心理が含まれた. 西方 は, 母体搬送を経て出産に至った女性の経験に ついて, 事態を把握できず, 当事者でありながら, どうし てよいかわからない状況について述べていた. また, 芹 沢ら は, 前立腺がんの患者が, がんがどうなるのか先が 見えず, 前立腺特異抗原 (Prostate Specific Antigen以下 PSA とする) 値が上がると他のことに手がつかなくなる 状態を述べていた. 未知の経験に対し戸惑う状況>は,3コードから形成 され, 初めての経験に対して抱く対象の不安や戸惑いが 含まれた. 益田ら は, 未破裂の動脈瘤を抱える患者が初めて行 う手術に, 血管内手術も開頭術も一長一短だと術式の選 択で戸惑う体験を述べていた. 情報不足や情報過多により明確な意味づけができな 表1 論文の概要 n=35 項目 内訳 数 % 1. 年次別 2001 1 2.9 2002 4 11.4 2003 1 2.9 2004 2 5.7 2005 2 5.7 2006 3 8.6 2007 2 5.7 2008 4 11.4 2009 6 17.1 2010 9 25.7 2011 1 2.9 2. 研究の種類 質的研究 28 80.0 量的研究 7 20.0 3. 研究デザイン 因子探索研究 27 77.1 関係探索研究 3 8.6 関連検証研究 3 8.6 因果仮説研究 1 2.9 その他 1 2.9 4. データ収集方法 面接法 27 64.3 観察法 6 14.3 診療録・看護記録 1 2.4 独自の質問票 4 9.5 既存の尺度 5 11.9 5. 研究対象 患者 23 65.7 家族 12 34.3 6. 疾患の種類 がん 6 17.1 循環器疾患 3 8.6 自己免疫疾患 1 2.9 呼吸器系疾患 1 2.9 産科・婦人科系疾患 3 8.6 小児科系疾患 9 25.7 脳・神経系疾患 2 5.7 血液・造血器系疾患 2 5.7 腎疾患 1 2.9 肝疾患 2 5.7 その他 5 14.3

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表2 不確かさに関する内容のカテゴリ 類 n=64 コード サブカテゴリ カテゴリ 自 の身体に起こっていることの不明確さ 血 を認識していても確実に の異常であるという自覚を持てない状態 次の妊娠も今回のように難しいだろうと感じる認知的評価 思いのままに妊娠できない現実に直面し, 自 の体の不確かさを感じる状態 自 の身体に起こってい ることに確信が持てない 認知的状態 身体感覚に確信が得られ ないことにより生じる不 確かさ 見つかったがんを放っておくとどうなるのかわからず, PSA 値は先の見えない将来への不安をあ おるもの 自身の味覚や触覚が「あてにならない」身体状況 日々変化する体調の把握ができないことに関連した認知的状態 心筋梗塞患者の心負荷と残存機能維持のための養生法とのバランスが不明確な状態 自 の置かれた状況が把握できない状態 怖さだけを感じ, 自 が何をされているのか, どうなるのか理解できず身を託す状況 事態を把握できず, 当事者でありながら, どうしてよいかわからない状況 状況が把握できずどうな るのか, どうしてよいの かわからない状況 がんがどうなるのか先が見えず, PSA 値が上がると他のことに手がつかなくなる状態 自 のおかれた状況とこれからの入院生活についてイメージできず, 入院生活を送る状態 もう在宅での療養は難しいと言われ, これから先どうしたらよいかわからない状況 在宅ケアへと移行した直後, 子どもの状態が予測できない状況で生じる不安感 わが子が戻ってきたという不安と期待の入り混じった興奮状態が続き, わが子として受け入れる ことへの戸惑い 未知の経験に対し戸惑う状況 血管内手術も開頭術も一長一短だと術式の選択で戸惑う体験 【看取りに関する高齢者の意向が不明】という困難を感じつつの事前意思代理決定後の家族の心 の揺らぎ 適切な情報が得られず状 況を把握できないことに よる不確かさ 子供の状態にあった情報の不足や, 逆に情報過多で選び取れない状況 告知に関連する内容の手がかりが欠けているために確実な評価ができない認知的状態 乳がん治療に関する複雑な情報に翻弄され術式の選択へ混乱を生じる心理状態 情報不足や情報過多により明確な意味づけができ ない状態 十 な手がかりがないために,対象となる物事や状況に明確な意味づけができなかったり,結果を 正確に予測できない状態 「告知に関連する内容に対する確実な評価」や「評価する手がかり」が不足することにより生じ ること 情報がはっきりせず, 不十 だと曖昧が生じたり, 出来事がいつ起こり, どのくらい長く続くのか 等, 予測できないこと 他の病院へ搬送され, いつになったら治療が開始されるのか見通しが立たない状況で待つ心理状 態 急変の可能性を説明され, 待たされる間に何が起こるかわからないという状況で揺れる心理状態 治療に対する説明がない ことで生じる揺れる心理 状態 どのような治療が行われて退院となるのかわからず抱く漠然とした不安感 隔離により,本人は今どうしているのか,どんな治療を受けているのかわからない状況にある家族 の不安感 心筋梗塞患者の, 退院直前から社会復帰を遂げる時期における今後の生活の見通しの立たなさ 今後の生活への心配 「これから先どうなるのか」と身体状況の変化に伴う今後の生活への影響を案じ, 生じる不安感 今後の生活の見通しが立 たないことに関連した懸 念 在宅ケアの導入により今後の家族の生活の見通しが立たないことへの懸念 子どもの症状の進展に合わせ, 家族関係の安定と不安定を繰り返す混沌とした状況 女性としての性に求められる社会的な生き方の望ましさと自ら望む生き方とのバランスの間で生 じる思い 将来の見通しが立たない ことに関する不確かさ 子供の先行きへの漠然とした恐れ 子供の成長・発達・病気に対する不安な思い 超低出生体重児で生まれた児が普通に育たない可能性への不安と悲嘆な思い 子どもの成長・発達に関 連する見通しの不安定さ 生命の不確実性に対するゆらぎ 周囲の気管切開をした子供とのかかわりから感じるネガティブなイメージ 子どもを産み育てることについての将来見通しの曖昧さ

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い状態> は, 7コードから形成され, 情報が十 でないこ と又は, 情報が氾濫しているために必要な情報の選択が できず, 物事や状況を判断できない内容が含まれた. 山下ら は, 告知に関連する内容の手がかりが欠け ているために確実な評価ができない認知的状態を述べて いた. また, 国府ら は, 乳がん治療に関する複雑な情報 に翻弄され術式の選択へ混乱を生じる心理状態について 述べていた. 治療に対する説明がないことで生じる揺れる心理状 態> は, 4コードから形成され, 治療の開始時期や今後の 治療方針について説明がないために抱く不安が含まれ た. 江口 は, 救命救急センターに搬送された患者の家族 が, いつになったら治療が開始されるのか見通しが立た ない状況で待つ心理状態について述べていた. 西村ら は, 結核と診断された患者が, どのような治療が行われ て退院となるのかわからず抱く漠然とした不安感を述べ ていた. 3)《将来の見通しが立たないことに関する不確かさ》 このカテゴリは, 今後の生活の見通しが立たないこと に関連した懸念> 子どもの成長・発達に関連する不安な 思い> の 2サブカテゴリから形成された. 今後の生活の見通しが立たないことに関連した懸念> は, 6コードから形成され, 現在の病状や今後の生活の見 通しが立たないことを案じる内容が含まれた. 武田ら は,心筋梗塞患者の,退院直前から社会復帰を 遂げる時期における今後の生活の見通しの立たなさにつ いて述べていた.今井ら は,「これから先どうなるのか」 と身体状況の変化に伴う今後の生活への影響を案じ, 生 じる不安感を述べていた. 子どもの成長・発達に関連する見通しの不安定さ> は, 6コードから形成され, 疾患を抱える子どもの成長・ 発達に関する親の不安な思いが含まれた. 池内ら は, 超低出生体重児で生まれた児が普通に育 たない可能性への不安と悲嘆な思いについて述べてい た. コード サブカテゴリ カテゴリ 化学療法の治療効果がはっきりと保証されないために行っている治療が適しているのか判断でき ない不安感 行っている治療が自 に適しているかへの疑念 病気の進行や病状の経過, 治療の効果などがまちまちで先が見えない状態 治療効果がはっきりと保 証されないことにより病 状が判断できないことに よる不安感 子供の病状にとって良い状態が不明瞭 病気の予測性がつき難く, できごとの不確実性, 病気が長期間持続することから生ずる不安感 治療を含む療養行動の決定や行動による効果を予測できない認知的状態 助言をもらうだけでは解決せず,子供に起きている問題が完全に改善されない限り,心配な気持ち をぬぐいされない状況 がん切除後も消えず持ち続ける病状への疑念 移植をしたから悪化したのではないかという治療に対する疑念の気持ち 病状や治療効果を予測できないことに対する不確 かさ 治療してもぬぐい去れな い病状への疑念 PSA 値が上がるとがんではないか, 後で手遅れになるのではないかと不安になる, という疑心暗 鬼 「腸の手術をしているので治るのかなあ」子どもの 康状態に対するネガティブな予測にとらわ れる状態 心筋梗塞の再発,再狭窄の不安を抱えながらも,再発予防のための養生法に取り組まなくてはなら ない状況 今自 は病気の経過の中でどの位置にいるのだろうかという疑問と治る可能性があるかもしれな いという思い 未知への診断に揺らぐ心の安定 病名や病状説明に対して明確な意味づけができなかったり, 正確な予測ができない認知的状態 病名・病状に対しての予測ができないため生じる 心の揺らぎ 療養生活を送るなかで, 病気に関連した出来事の意味を決定したり結果を予測できないこと 想像もしていなかった未知への診断に何も からずショックを受け奈落の底に突き落とされるよ うな思いの中で生じる心の揺らぎ 心筋梗塞の再発作の一瞬に脅かされる「生」のあやうさ 病状悪化に漠然と死が近づいていることを感じ, 生への確信が揺らぐ心理状況 死への漠然とした不安感 死んでしまうんだろうかという思い 再発の可能性が低いことを説明されていてもなお, 身体の変調により消えない死への不安感 迫りくる死への不安から生きる意味が見いだせず 感じる不確かさ 患者の苦痛からの解放と 命への期待の間で揺れ動く気持ち 自 の人生は終わったと思うものの, これからの人生のつながりも見いだせずにいる認知的状態 期待と諦めで気持ちが揺らぎ, 生きる意味を見い だせない状態 生きたい気持ちと死にたい気持ちが共存しており, 生きる意味を問うが手ごたえが得られない心 理状態

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4)《病状や治療効果を予測できないことに対する不 確かさ》 このカテゴリは, 治療効果がはっきりと保証されない ことにより病状が判断できないことによる不安> 治療し てもぬぐい去れない病状への疑念> 病名・病状に対して の予測ができないため生じる心の揺らぎ> の 3サブカテ ゴリから形成された. 治療効果がはっきりと保証されないことにより病状 が判断できないことによる不安感>は,6コードから形成 され, 治療効果がはっきりと保証されないことにより病 状が判断できない不安感が含まれた. 橋ら は, 化学療法の治療効果がはっきりと保証さ れないために行っている治療が適しているのか判断でき ない不安感を述べていた.浅井ら は,C 型慢性肝炎患者 の療養法に関する不確かさを, 治療を含む療養行動の決 定や行動による効果を予測できない認知的状態と定義づ けていた. 治療してもぬぐい去れない病状への疑念>は,6コー ドから形成され, 治療しても完全に病状に対する不安は 解消されず, 常に疑念が付きまとう状況が含まれた. 岡島 は, がんを切除後も消えず持ち続ける病状への 疑念について述べていた.習田ら は,治療後の自 のイ メージと現在の 康状態とのギャップから, 移植をした から悪化したのではないかという治療に対する疑念の気 持ちやネガティブな予測が出現することを述べていた. 病名・病状に対しての予測ができないために生じる 心の揺らぎ> は, 5コードから形成され, 未知の診断への ショックや予測のできない病状に抱く漠然とした不安が 含まれた. 金正 は,筋萎縮性側索 化症患者が,今自 は病気の 経過の中でどの位置にいるのだろうかという疑問と治る 可能性があるかもしれないという思いを持ち続けている ことを述べていた. 益田ら は, 未破裂動脈瘤という, 想 像もしていなかった未知への診断に何も からずショッ クを受け, 奈落の底に突き落とされるような思いの中で 生じる心の揺らぎを述べていた. 5)《迫りくる死への不安から生きる意味が見いだせ ず感じる不確かさ》 このカテゴリは, 死への漠然とした不安感> 期待と 諦めで気持ちが揺らぎ, 生きる意味を見いだせない状 態> の 2サブカテゴリから形成された. 死への漠然とした不安>は,4コードから形成され,漠 然と死が近づいていることを感じ, 生への確信が揺らぐ 心理状況が含まれた. 今井ら は,患者・家族が,病状悪化に漠然と死が近づ いていることを感じ, 生への確信が揺らぐ心理状況を述 べていた.習田ら は,生体肝移植を受けたレシピエント が, 再発の可能性が低いことを説明されていてもなお, 身体の変調により消えない死への不安感を持つことを述 べていた. 期待と諦めで気持ちが揺らぎ, 生きる意味を見いだ せない状態> は, 3コードから形成され, 期待と諦めで気 持ちが揺らぎ, 生きる意味を見いだせない心理状態が含 まれた. 田村ら は,終末期血液疾患患者の家族が,患者の苦痛 からの解放と 命への期待の間で揺れ動く気持ちを述べ 表3 カテゴリ間のコード数の割合 順位 カテゴリ コード数 % 1 適切な情報が得られず状況を把握できないことによる不確かさ 20 57.1 2 病状や治療効果を予測できないことに対する不確かさ 17 48.6 3 将来の見通しが立たないことに関する不確かさ 12 34.3 4 身体感覚に確信が得られないことにより生じる不確かさ 8 22.9 5 生きる意味が見いだせずに感じる死に対する不確かさ 7 20.0 表4 サブカテゴリ間のコード数の割合 順位 サブカテゴリ コード数 % 1 自 の身体に起こっていることに確信が持てない認知的状態 8 22.9 2 情報不足や情報過多により明確な意味づけができない 7 20.0 3 治療効果がはっきりと保証されないことにより病状が判断できないことによる不安 6 17.1 4 今後の生活の見通しが立たないことに関連した心配 6 17.1 5 子どもの成長・発達に関連する不安な思い 6 17.1 6 治療してもぬぐい去れない病状への疑念 6 17.1 7 状況が把握できずどうなるのか, どうしてよいのかわからない状況 6 17.1 8 病名・病状に対しての予測ができないため生じる心の揺らぎ 5 14.3 9 死への漠然とした不安 4 11.4 10 治療に対する説明がないことによる不安 4 11.4 11 未知の経験に対する戸惑い 3 8.6 12 期待と諦めで気持ちが揺らぎ, 生きる意味を見いだせない状態 3 8.6

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ていた. 金正 は, 筋萎縮性側索 化症患者は, 生きたい 気持ちと死にたい気持ちが共存しており, 生きる意味を 問うが手ごたえが得られない心理状態にあることを述べ ていた. 3.カテゴリ間,サブカテゴリ間のコード数の割合から 見た量的比較 (表 3, 4) 5つのカテゴリで最も多かったのは《適切な情報が得 られず状況を把握できないことによる不確かさ》57.1% であり, 次いで《病状や治療効果を予測できないことに 対する不確かさ》48.6%,《将来の見通しが立たないこと に関する不確かさ》34.3%が続いた. 12のサブカテゴリで上位を占めていたのは, 自 の 身体に起こっていることに確信が持てない認知的状態> 22.9%で最も多く,次に 情報不足や情報過多により明確 な意味づけができない> 20.0%が続いた. . 察 本研究の結果, 患者や家族が病気に伴って体験する 不確かさ には,《身体感覚に確信が得られないことに より生じる不確かさ》のカテゴリに示される日本人に特 徴的な不確かさの存在が現象の特徴として明らかになっ た. また, 5つのカテゴリのうち, 最も大きなウエイトを占 めた《適切な情報が得られず状況を把握できないことに よる不確かさ》からは, 情報提供によって解決できる不 確かさの存在と適切な情報提供の在り方が今後の課題と して浮き彫りになったといえる. そこで, 以下にこれらの内容を中心に 察を加え, 不 確かさに対する看護への示唆について述べる. 1.カテゴリ化された内容にみる日本人の不確かさの特 徴 今回明らかになったカテゴリでは,《身体感覚に確信が 得られないことにより生じる不確かさ》が日本人に特徴 的なカテゴリとして示された. このカテゴリでは, 患者 は, 新たに生じた身体変化を普段の生活動作を行う中で 気づき, 言葉で表現しようとするが, 純粋に感じたまま 表現できない不確かさを抱えている. また, 自 の身体 のコントロール感覚を失う現実と向き合うことを避け, あえてはっきりと表現しないことで平常心を保ちたいと 願う, 曖昧さの中に身を置く えから生じたとも えら れる. これは, 石橋 が先行研究で述べている, 確実であるこ と, はっきりしていること, 明瞭であることを最上の価 値とする欧米人の表現にはない, 曖昧さへの耐性が高い 日本人に特徴的であるという え方とも一致する. また, この身体機能や身体感覚そのものに不確かさを覚えると いう内容は, 身体変化へのこだわりが意識化されており, 日本人の身体機能への関心の高さが示されたとも えら れる. 現在, 看護の研究 野で多く用いられている, Mishel の不確かさの概念には, ①曖昧さ ②複雑性 ③情報の欠 如 ④非予測性の 4つの構成要素が含まれている. しか し, 今回明らかになったカテゴリは, Mishelの不確かさ の概念には含まれていない新たなカテゴリであるといえ る. これは, 不確かさの概念が, 文化の影響を受け, 国民 性によっても特徴があることを示した結果であると え られる. 2.情報提供によって解決できる不確かさと適切な情報 提供のあり方 明らかになった 5つのカテゴリのうち,《適切な情報が 得られず状況を把握できないことによる不確かさ》が最 も大きなウエイトを占めていた. また, サブカテゴリに おいても 情報不足や情報過多により明確な意味づけが できない> が大きな割合を占めていた.これは,情報の欠 如により, 診断や病気に関する重大な情報を知ることが できないことや, 以前に得た情報と現在の情報がつなが らないことによって生じている不確かさの存在が多いこ とを示していると えられる. それは, 適切な時期に患者が必要とする適切な情報提 供をすることにより, 解決できる不確かさがあることを 示しているといえる. そのため, 医療者は, 適切な時期に 患者が必要とする正確な情報提供をすることが重要であ る. 特に将来自らの疾患に起こりうることと, その時ど のような対策が えられるのかについて, 丁寧な説明を することが求められる. さらに, 患者が満足のいく治療 方法を選択するためには, 段階を追った正確な情報提供 が必要である. 特にがん告知後の患者は, 医師の説明内 容を理解するには時間的, 心理的に十 準備ができてい ない場合がある. さらに治療法に関する複雑で専門的な 多くの情報を一度に理解するのは困難な場合が多い. そのために看護者は, がん告知後の状況, 患者が受け 取る情報の種類・時期・理解状況,患者が現在求めている 情報は何かを常に意識し, 治療方法についての患者の理 解を深めていくことが必要である. また, 情報をどのよ うに解釈していくのかは患者により異なることを認識 し, 患者が情報の持つ意味を えていけるような情報提 供の在り方, 情報を整理しながらともに える機会を持 つことが重要である.

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3.不確かさに対する看護への示唆 1)不確かさを語る場の提供 《将来の見通しが立たないことに関する不確かさ》や 《生きる意味が見いだせず感じる死に対する不確かさ》 のカテゴリからは, 今後の生活への見通しや予後に対す る不安, 子どもの成長・発達に関する親の不安が明らか になっていた. 籏持 は, 病者が, 過去と現在を結びつけ, 病を持ち生 きるための対処や新たな自己の見通しを, 聞いてくれる 他者に語る時, 自己の可能性が開かれ, 生きる目標や活 力を得ることができると述べている. 不確かで混沌とし た状況に身を置く患者や家族が不確かさや見通しを表現 することは, これまでを振り返り, 病とともに生きるこ れからの生活に目を向けること, 病気体験を整理し今後 の生活をより具体的に思 することにつながる. そのた めに看護者は, 患者や家族が体験している不確かさを語 る場を提供し, 患者の思いを傾聴することが重要である. 2)疾患に特徴的な不確かさと看護支援 《病状や治療効果を予測できないことに対する不確か さ》の中でも,今までの治療経験から,はっきりとした治 療効果が実感できず生じた不確かさと治療後の身体状況 が自己の抱いていたイメージと異なっていた場合に生じ る, 治療をしてもぬぐい去れない不確かさがあると明ら かになった. これは, 対象とした論文で取り上げられて いた疾患の特徴が反映された結果といえる. Mishelは, 慢性疾患の不確かさは, 生活の様々な領域 に入り込んでおり, 日課や日々の活動に影響するもので ある としている.がんや慢性疾患は,治療しても症状の 変化が乏しく, 完治することは難しい. また, 難病など自 己管理によって制御できない疾患の特徴から, 常に不確 かさを感じながら療養を続けていかなければならない患 者や家族の現状がある. 不確かさがあることは, 大きな ストレス源となり, 否定的な結果をもたらすと捉えられ ることが多い. しかし, 慢性的な不確かさの経験におい て, 不確かさはネガティブな影響を及ぼすばかりではな く, 人生に対する新しい見方を提供してくれる可能性が ある とされ, 対処によりその人を成長へ導くことが示 唆されている. そのため, 患者および家族を看護していくうえで大切 なことは, 患者や家族が不確かさをどのように受け止め ているのかを把握し, 否定的な評価をしているときには, 肯定的な受け止めができるような働きかけをしていくこ とである. そして, 不確かさを排除することを目標とす るのではなく, 不確かさを受け入れ, 患者と家族が適応 に向けて生活していけるよう, 支援していくことが重要 である. そのために, 適切な情報提供と患者および家族 が体験している不確かさを傾聴する機会を持つことが今 後の看護支援の課題として示唆された. .研 究 の 限 界 本研究においては, 疾患や治療の有無, 身体的症状の 程度, 病期や療養期間等を限定しなかったため, 不確か さ の認知に差異が生じていると えられる. 今後は, 不確かさ の存在を認め, いかにマネジメントしていく かを明らかにした質的研究を行うことで, 看護介入への 示唆を得ることができると える. 引 用 文 献

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Analysis of Research Related to Uncertainty

in Patients and their Families

Tomomi Kawata,

Keiko Fujimoto,

Miyuki Kowada

and Kiyoko Kanda

1 Takasaki University of Health and Welfare, 501 Nakaoorui-machi, Takasaki, Gunma 370-0033, Japan

2 Gunma University Graduate School of Health Sciences, 3-39-22 Showa-machi, Maebashi, Gunma 371-8514, Japan

Background and Objective: The present study analyzed published research regarding illness-related uncertainty experienced by patients and their families and clarified and verbalized uncertainty content and expression in order to obtain nursing suggestions regarding managing uncertainty as an issue of adaptation. Subjects and M ethods: Japana Centra Revuo Medicina was searched for original articles published between January 2001 to July 2011 using the key words uncertainty and nursing . Content analysis was conducted on the 35 articles that had similar research topics and that investigated patients and families as subjects. Results: The following five categories of research content were extracted : uncertainty due to 1) lack of confidence in somesthetic perception , 2) inability to assess situation because of lack of relevant information ,3) lack of future prospects,4) inability to predict disease state or treatment outcome,and 5) inability to extract meaning of life from anxieties about imminent death . The category of uncertainty due to inability to assess situation because lack of relevant information had the heaviest weighting. Conclusion : The present findings suggest that provision of relevant information and listening to uncertainties are important issues for enabling patients and families to accept uncertainty and move toward adaptation.(Kitakanto Med J 2012;62:175∼184)

参照

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