第三学年 国語科学習指導案 1 単元 多角的に考える(教材名「フロン規制の物語――<杞憂>と<転ばぬ先の杖>のはざまで」) 2 指導観 ○ 情報社会が終わり,「Society5.0」を迎えようとしている日本社会は今,まさに転換期にある。AI の台頭によって職業観も大きく変化し,先の見えない時代を生き抜く力を身につけさせていくこと こそ,中学校に求められる喫緊の課題である。一方,国語科における授業で社会的事象にまつわる論 説文を取り扱うことは,論理的思考を養い,未来への豊かな想像力を育むことにつながると考える。 不透明な社会を生き抜くための力の一助となるという点において,大変意義深い。 本単元で扱う「フロン規制の物語――<杞憂>と<転ばぬ先の杖>のはざまで」は,フロンという 化学物質を巡る数奇な運命をたどった,神里達博氏による論説文である。1928年に開発されたフ ロンは無色無臭の気体であり,冷媒として非常に優れた性質をもっていたことから,当時は大量に生 産されることになった。そのフロンにオゾン層を破壊する可能性が指摘されるも,企業や政治家,マ スコミをも巻き込む論争に発展したという事実から,筆者がこれからの社会で生きていくために求 められる力について述べたのが,この論説文である。不透明な未来を生き抜く力についてストレート に生徒へ語りかけるものであり,本単元を学習することは大変意義深いものであると考える。 ○ 生徒は一学期に長谷川櫂氏の「間の文化」を学習しており,批判的な思考のもとで文章構成につい て考える活動を通して,説明的文章における本文の構成などは筆者の意図が大きく働いていること などを学習している。説明的文章における筆者の意図や工夫を意識して読む力は着実に身につけて いる反面,グラフから読み取ったことをもとに考えを構成したり,新聞記事を用いて情報を比較した りする学習の経験が少ないことから,複数の情報を活用して筆者の思いに考えを巡らせることは苦 手だと感じている生徒も少なくないと考えられる。 ○ 本単元では読み取った内容と自己のつながりを認識させ,考えを深めることを主たる目的として いる。その学習の過程では自分の考えをわかりやすく相手に説明するために,友人の考えや資料を活 用して説明したり,説得したりする活動を行う。また,筆者の工夫や表現の効果を適切に読み取り, それらを生かして意見文を書く活動を通して,論理の展開を工夫して書く能力を養いたい。 そのために,まず,一学期に学習した「間の文化」との違いを明らかにしたうえで本文中の小見出 しに着目させ,筆者の工夫や意図を読み取らせる。その際,教師が提示する代替案となる小見出しと 比較させることで,筆者の意図するものを明らかにしたい。次に,本文を通読して内容を理解し,意 見文を書く活動にむけた意欲を高める。その際,「あなた自身も将来,その物語の登場人物に加わる かもしれない」という言葉に着目させ,課題意識を十分にもたせる。最後に,筆者の主張を読み取り, 具体的な課題を取りあげ,意見文を書かせることで,単元のまとめとする。その際,他者の多様な考 えに触れる場を設定することで,生徒の思考をさらに深めさせるようにする。 3 目標 ○ 本文から読み取った内容と自己との関連について,主体的に考えを深めようとすることができる。 (関心・意欲・態度) ○ 友人の意見や資料を活用して説明をしたり,説得したりすることで考えを広げることができる。 (話すこと・聞くこと) ○ 既存の学習や資料を活用して,論理の展開を工夫して自分の意見を書くことができる。 (書くこと) ○ 批判的な立場から読解を試み,筆者の工夫や表現の効果を適切に読み取ることができる。 (読むこと)
4 計画 関:関心・意欲・態度 書:書くこと 読:読むこと 次 時 学習活動・内容 手立て(○) 評価規準 一 1 ( 本 時 ) 1 「フロン規制の物語」の小 見出しにおける筆者の工夫 や効果をとらえる。 ・小見出しの工夫や効果 ①短い言葉で端的に内容 を言い表す。 ②読者の興味を喚起する。 ③本文の強調する部分を 明確にする。 ④複数の意味を込め,創造 の余地を与える。 ○ 既習の学習を想起させ,説 明的文章の特徴をとらえさ せる。 ○ 教師が提示する別の小見 出しと本文の小見出しを比 較させ,筆者の工夫やその効 果について考えさせる。 ○ 考えを深め,広げるための 班活動をより促進するため に,ヒントとなる資料やデー タを個々に配付する。 読:筆者の工夫や小見出 しの効果について,根 拠 を 明 確 に し て 読 み とることができる。 2 2 本文を通読し,科学技術の 発達についての筆者の見方 をとらえ,自分の考えを広げ る。 ・本文の内容把握 ・課題意識をもつ ・挿入画像と本文の関連 ①国際会議のイラスト ②地球の画像 ③天秤と疑問符のイラス ト ④トーマスミジリーの画 像 ○ 前時の学習を生かして本 文を通読し,内容を把握す る。 ○ あなた自身も将来,その物 語の登場人物に加わるかも しれない」という言葉から, 意見文を書く活動が前提に あることを伝える。 ○ 新たな図やイラストを挿 入するという活動を通して, 本文の内容を的確に把握し, 筆者の見方を捉える。 関:本文の内容に興味を もち,意欲的にイラス ト や 画 像 の 関 連 に つ い て と ら え る こ と が できる。 二 3 3 結論部分から筆者の主張 をとらえ,現代社会の事象に 対する自分の考えを広げ,意 見文を書く。 ○ フロンと同様に,様々な利 益と損失を生み出す以下の 事象について自分の考えを もたせ,意見文を書かせる。 ・スマートフォン ・防犯カメラ ・人工知能 書:論理の展開を工 夫 し,資料を適切に引用 し て 自 分 の 考 え を 書 くことができる。 4 4 前時の活動をふまえて意 見文を完成さえ,交流する。 ○ 評価シートを活用して観 点を明確にして,友人の意見 文を読ませる。 書:論理の展開を工 夫 し,資料を適切に引用 し て 自 分 の 考 え を 書 くことができる。 5 本時 平成 年 月 日( ) 第 校時 計画1/4 3年 組教室にて (1)本時の指導観 本時は筆者の小見出しのつけ方について筆者の意図やその効果を的確にとらえることをねらい としている。 そのために,まず一学期に学習した「間の文化」と本文を比較して,異なる点を明らかにしたい。 その際,異なる点をわかりやすく比較するために,「フロン規制の物語」は見開き1ページのみ提 示する。次に,筆者が意図する小見出しにこめた思いについて生徒に考えさせる。その際,教師が 提示する小見出しの代替案と比較させることで,筆者の意図やその効果についての考えを促す。最 後に,自分の考えをグループや全体で交流する活動を通して自分の考えを広げ,改めて筆者が意図 する思いやその効果について書かせる活動をとおして,本時のまとめとし,次時の確認を行う。
(2)主眼 グラフや資料を活用した対話活動を通して,小見出しのつけ方について筆者の意図やその工夫 をとらえることができる。(読むこと(1)-ア) (3)準備 ・個人用学習プリント ・班別学習プリント ・電子黒板 ・ヒントカード ・付箋 (4)過程 段階 学習活動・内容 教師の手立て・支援(◆評価基準) 形態 配時 で あ う 1 一学期に学習した「間の文化」と比較 して,異なる点を明らかにする。 ・小見出しがあること ・サブタイトルがついていること ・グラフが用いられていること 2 本文の範読を聞き,「夢の化学物質」と いう小見出しについて考える。 ・読者の興味を喚起している ・導入部分との関連を示している ・複数の意味を暗示している 〇 異なる点をわかりやすく比較するため に,「フロン規制の物語」は見開き1ペー ジ目だけ提示する。 〇 板書を用いて本文の内容を整理する。 〇 教師が提示する「フロンの性質と用途」 という小見出しと比較させ,考えを深め させる。 10 一 斉 一 斉 ね り あ げ る 3 筆者が「夢の化学物質」という小見出 しを用いた理由を考える。 (1)本文を読み,一人で考える。 (2)ヒントカードを参考にして,班で 考える。 (3)班ごとにプリントにまとめる。 4 全体でそれぞれの考えを比較したり 付加修正をしたりして,考えを深める。 <予想される生徒の考え> ・読者の興味を喚起するため ・当時の社会的背景を明確にするため ・儚い物質であることの暗示 ・導入の関連していることを示すため ○ 自分の考えを付箋に書かせる。 〇 各班にヒントカードを渡す。 〇 班で二つに意見を絞り,短冊に書かせ る。 〇 書いたものは黒板に貼らせ,分類させ る作業を通して,考えを広げさせる。 ◆A:筆者の思いや工夫について二つ以上 の考えに言及し,根拠を明確にして 意見を述べることができる。 B:筆者の思いや工夫について二つ以上 の考えに言及することができる。 Cへの支援:ヒントカードの意図につい て説明し,思考を促す。 20 10 個 ↓ 班 ↓ 一 斉 一 斉 振 り 返 る 5 学びの過程を確認し,本時の学習内容 を振り返り,まとめとする。 (1)振り返りを書き,全体交流する。 ・学んだこと ・学びの過程 (2)次時の予告を確認する。 ○ 次時に向けた学習の意欲を高めるた め,本文の続きを予測させる。 10 個 ↓ 一 斉 まとめ 筆者は小見出しを付ける際,読者の興味を喚起し,一つの言葉に多様な 意味を込める等の工夫をしていた。 めあて 友人との交流を通して,筆者が小見出しにこめた思いや工夫を捉え、深めよう。