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能動的な学びに向けた授業改善に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

能動的な学びに向けた授業改善に関する研究

著者

茂泉 優

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

11301甲第18231号

(2)

平成29年度 博士論文内容要約

能動的な学びに向けた授業改善に関する研究

東北大学大学院教育情報学教育部

(3)

目 次

第1 章 序論 ... 1 1.1 本研究の背景と問題の所在 ... 1 1.2 本研究周辺の知見と課題 ... 12 1.3 本研究に関わる概念の整理および定義づけ ... 16 1.4 本研究で行うこととその意義および目的 ... 18 1.5 論文の構成と研究デザイン ... 20 第2章 協同学習の効果的な方策の検討 ... 24 2.1 背景と目的 ... 24 2.2 方法 ... 26 2.2.1 実施概要 ... 26 2.2.2 対象者 ... 27 2.2.3 データ収集 ... 27 2.2.4 データ分析 ... 28 2.2.5 方法論の確実性と妥当性・信頼性の検討 ... 28 2.3 結果 ... 30 2.3.1 課題設定 ... 30 2.3.2 適切な運営 ... 31 2.3.3 学習者理解 ... 32 2.4 考察 ... 36 2.4.1 はじめに ... 36 2.4.2 カテゴリー別考察 ... 36 2.4.3 総合的考察 ... 37 2.4.4 総括 ... 38 2.5 まとめ ... 40 第3章 協同学習が学習者の学習態度に与える要素と構造-協力学習法の導入- ... 41 3.1 背景と目的 ... 41 3.2 方法 ... 42 3.2.1 実施概要 ... 42 3.2.2 分析 ... 45 3.2.3 方法論の確実性と妥当性・信頼性の検討 ... 46 3.3 結果 ... 48 3.3.1 自己の位置づけ ... 48 3.3.2 双方向の学び ... 49 3.3.3 主体的な学び ... 50

(4)

3.4 考察 ... 54 3.4.1 はじめに ... 54 3.4.2 カテゴリー別考察 ... 54 3.4.3 総合的考察 ... 56 3.4.4 総括 ... 57 3.5 まとめ ... 58 第4章 学習態度の向上を目指す授業の効果の検証-生徒チーム学習の導入- ... 59 4.1 背景と目的 ... 59 4.2 方法 ... 60 4.2.1 実施概要 ... 60 4.2.2 分析 ... 67 4.2.3 方法論の確実性と妥当性・信頼性の検討 ... 68 4.3 結果 ... 70 4.3.1 学習態度に与える要素と構造 ... 70 4.3.2 生きる力と満足度 ... 77 4.4 考察 ... 79 4.4.1 学習態度に与える要素と構造 ... 79 4.4.2 カテゴリー別考察 ... 79 4.4.3 総合的考察 ... 80 4.4.4 生きる力と満足度 ... 81 4.5 まとめ ... 82 第5章 結論 ... 83 5.1 各章における研究成果 ... 83 5.2 総合的な研究成果と示唆 ... 86 5.3 今後の課題 ... 89 引用・参考文献 ... 90 研究業績 ... 102 付 録 資 料 ... 104 付録資料1 第 2 章 実施座席 ... 105 付録資料2 第 3 章 授業プラン(1 年) ... 106 付録資料3 第 3 章 授業プラン(3 年) ... 109 付録資料4 第 4 章 授業プラン ... 112 Abstract ... 114 謝辞 ... 116

(5)

時代背景の変化により,教育システムの改善が求められている。中でも,学校教育の大部分

を占めている教科科目の授業改善は危急の課題として掲げられている。こうした今日的課

題に対し,本研究では,学校教育現場で試みられている授業改善を,学習者の主体的な学

びの実現に向けた環境の構築として位置づけた上で,学習者の能動的な学びの視点から学

校教育現場での実践に向けた新たな提言を行うことを目的とした。そのために,これまで

に多様な議論がなされている学力について整理し,学習者が主体的に学習に取り組む態度

を協同学習の理論的枠組みの中で論じた上で,学校教育現場での実践研究それぞれに理論

的な基盤を位置づけ,実践の際の要素として体系化を試みた。

第1章では,時代背景の変化に伴って変遷する,学校教育において育成が目指される資

質・能力を,学力との関わりの中で整理した。その中で学力の

3 つの要素の一つである「主

体的に学習に取り組む態度」に着目し,学校教育現場における教科学習上の現状や課題に

ついて論じた。また,その課題の解決を視野に入れ,先行研究を通観した上で,本研究に

おける用語および理論的枠組みを示し,協同学習および学習態度,向上を目指す授業につ

いて検討する本研究の意義について論じた。

第2章では,協同学習の今日的意義および実践について体系的に論じた。先行研究の知

見を参考として,協同学習の学習理論の一つであるバズ学習に理論的基盤を置いた実践を

行った。実践の後に受講生を対象とした「協同学習の効果的な方策」に関するインタビュ

ー調査を実施した。その結果を質的に分析した結果,協同学習の効果的な方策に必要な要素

として,「課題設定」

「適切な運営」

「学習者理解」の

3 つのカテゴリーが提示された。

「課題

設定」のカテゴリーは,「教科の特性」「論理的思考力」「印象づけ」の 3 つのサブカテゴリ

ーから構成されている。本カテゴリーは専門分野に応じた学習方法を追究し,何度も試しな

がら理解に至ることでより充実感が得られ,記憶が定着していく一連の流れを説明するカ

テゴリーとして作成された。また,「適切な運営」のカテゴリーは,「脱線の防止」「集団構

成の条件」

「臨機応変な姿勢」の

3 つのサブカテゴリーから構成されている。このカテゴリ

ーは進行度合いを教員側が常に確認し,順調に進行するための班の在り方や学習の際の心

構えを説明するカテゴリーとして作成された。

「学習者理解」のカテゴリーは,「自信をつけ

る」

「平等の大切さ」

「親和的な雰囲気づくり」の

3 つのサブカテゴリーから構成されてい

る。このカテゴリーは発言や他者への指導の機会を通じて自尊感情を高め,参加者全員での

情報共有,さらに協調的な雰囲気作りが大切であることを説明するカテゴリーとして作成

された。以上の,協同学習の要件としての「課題設定」

「適切な運営」

「学習者理解」を示

した上で,それぞれについて実践的背景を含め検討を行うと同時に相互連関を構造化し,

協同学習のモデルを提示した。

第3章では,協同学習が学習者の学習態度に与える要素と構造について検討を行った。

(6)

前章までの研究によって得られた知見を取り入れた協同学習を,協同学習の学習指導法の

一つである協力学習法により実践へ展開した。実践の後に質問紙調査を実施した。分析の

結果,協同学習が学習態度に与える要素は,「自己の位置づけ」

「双方向の学び」

「主体的な学

び」という

3 つのカテゴリーにより構成される点が明らかとなった。第1のカテゴリーで

ある「自己の位置づけ」は,「自己開示」「学習仲間の再認識」「他者理解の促進」の 3 つの

サブカテゴリーから構成されている。このカテゴリーは仲間との問題解決を通じて学習者

相互の理解が深化し,思考が展開していく一連の流れを説明するカテゴリーとして作成さ

れた。また,「双方向の学び」のカテゴリーは,「相互教授の探求」「授業方法の探求」「授業

価値の認識」の

3 つのサブカテゴリーから構成されている。このカテゴリーは教える側,教

わる側といった一方通行の枠組みから離れ,仲間との連携を深めながら相互理解を深め,さ

らに教室全体における相互作用へと展開し,学級での学びの価値が認識されていくカテゴ

リーとして作成された。

「主体的な学び」のカテゴリーは,「学習意欲の向上」「視野の広が

り」

「学び方の探求」の

3 つのサブカテゴリーから構成されている。このカテゴリーは,学

習者が他者に学びを提供できる実感を通して深い学びを自ら追及していくという学びの在

り様を説明するカテゴリーとして作成された。これにより,自己を客観視しながらこれま

での学習を批判的に評価するようになり, この一連の流れを繰り返すことで学習者の学習

態度が向上するという構造が示唆された。これらの知見をふまえ,能動的な学びに向けた

モデルを提示した。

第4章では,第2章および第3章の知見に基づく協同学習を,協同学習の学習指導法の一

つである生徒チーム学習(TGT)により実践し,その有効性を検証するとともに,学習態度の

向上と主体的な学びの具体性について論じた。

以上の分析をふまえ,第5章において,能動的な学びに向けた授業改善について考察を

し,以下の点を導いた。第

1 に,学習指導の理論として導入した協同学習に関し,課題設

定に応じた運営方法による学習環境整備により学習者主体の学びが実現されることで協同

学習が深まる点を確認した。第

2 に,学習態度は,協同学習を通して自己を客観視しなが

らこれまでの学習を批判的に評価するという一連の流れを繰り返すことで向上することを

示した。第

3 に,ルール意識および拡散的思考を促す課題設定が協同学習の中での他者理

解を促進し,学習者の主体的な学びに影響を及ぼすことを示した。

こうした分析から,学校教育の中で行われる授業改善について,協同学習を通した学習

態度の向上という観点から,能動的な学びを教科学習の中に位置づけることにより体系化

を行った。残された今後の課題として,本研究で得られた学習態度の要素と構造に基づい

た学習評価の在り方の検討,一斉の協同学習,及び個別の協同学習における有効性の検証が

あげられる。

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