元
素 周期 系 同
族 元
素
列
に
お
け
る
二
次 周
期
性
現 象
の
考 察
第
一
報
E
.
V
.
Biron
に よ る二次周 期性 現 象
の発 見
と同 族 元
素列
の物
理的
な ら びに化 学 的 性
質
大
竹
郎
*AConsideration
onthe
Phenomenon
ofthe
Secondary
Periodieity
in
An
Analogous
−
Elements
Series
ofthe
Periodic
System
ofthe
Elements
1
.
Discovery
ofthe
Phenomenon
ofthe
Secondary
Periodici
七y
by
E
.
V
.
Biron
andPhysical
andChemical
Properties
of
An
Analogous
−
Elements
Series
Saburo
OTAKE
The object of this paper is to reconsider the periodic system of the eIements and chemical perio
−
dicity
in
its
systemfrom
the secondary periodicity point of view.
In
ユ915
the phenomenon of tllesecondary
periodicity
was discovered byE .V .
Biron (Russ.
)as a new periodicityin
analogous・
e呈ementsseries of the elements
,
but in spite of being effective in the explanation of some characters of theelements system
,
now the periodicityis
notbroadly
known
yet.
This paper
, at 員rst
,
is
reported as an outline of the study by Biron and a history ofdevelopment
after Biron
,
and ロext on the basis of the primary and secondary periodicity it describes a periodicityof 亡he melting point for the d
−
el6ments which belo亘g to 4−
, 5_
,6_
periods,
a correlative betweenredox
potentials
and enthalpies offormaUon
, a且temate variations of
ionization
potentials
,
ionic
potentialsand e1ectrQnegativities on each analogous
−
elments series.
As a result , the curves of periodicity make
it
necessary to oorrect the rneltjng point of theV
, Ti,Hf
,Ru
, Re ,Os
elements.
For
exampIe , the 皿elting point of Os mustbe
corrected from 2700℃ tonearly 3200℃
.
For unknown va 董ues of redox potentials and enthalp 三es of formation oxides of someelements
,
a correlative ofboth
secondary periodicityis
also estimatedill
its
reasollable value,
1.
緒 言 元 素の周 期律は, D.
1.
Mendeleev に よっ て 1869 年3
月1
日 (ロ シヤ暦 2 月 17 日)に発 見11され たの で , 今 年 (1969 年〉 は ちょ う ど 100 年にあた る。周期律な らびに周 期 系 (表 )に関し
,
1967 年までに発 表 さ れ た論文 (著者 を 含む)は,
これにつ い て 調べ たSemishin2
}に よ る と2890
件に達し,
Author
lndex
に は,
ロ シ ヤ人 695 人, その他 1160 人を数え る。
載録され た 論 文数が
54
件の最多数を教えるShchukarev,
*
助 教 授 化 学 1969 年 10 月 3 目受理
つ づい て Mendeleev の研 究で名 高い Kedrov , その ほ か Kapustinsky
,
Krechicovsky , Haissinsky,
Bedreag,
Brauner,
Ramsay,
Seaborg,
Sanderson
らの論 文が多 く, 日本人 では褪田竜 太 郎の名があげられる。その褪 田31 は
,
周期 律な ら びに周 期 系 (表)の歴史 的な 発展の過 程 を, 周 期表の変遷か ら考 察し, 当時,
1953 年 までを 4段階に 区分し てい るが, 104 番 目の元素で ある クル チ ャ ト ビ ウムの含 成 な らびにその化学 的確認4)が, 細 部を除いて承 認さ れ た と み て よい現 在では, つ ぎの 6 段階に区 分するこ とがで きる: (1) 1869−
1920 年 頃: 原 子構 造に 対して は,
ま だ 考 慮 が 払 われず, 専 ら化学 的な性質の比較か ら分 類が 11q
相 模工業 大 学 紀 要 第4
巻 第1
号 行な われた。 後 半に お い て希
ガス, 希 土 類元 素の性状が 次第に明 らか と なっ てきた が, 周期表上, その位置を正 しく定め るこ とがでぎない でいた。 (2
) 1920− 193e
年 頃:Bohr
に は じ ま る量 子 論 が, こ の段階で 発展の全盛 時 代 を 迎 える。 HeiSenberg
に よ る 量 子力学 (1925), 不 確 定 性 原 理 (1927),Sch−
r6dinger に よる波 動方 程 式 (1926
)な ど。 し か し 周期 表の 方は, あ ま り変 わ りばえしなか っ た。 遷移元素に対 す る認識は ま だ な く, 2, 3 周 期の元 素は , 表 内 を 文 字 通り左 右にゆ れ動い ていた。 希土類 元 素は, ラ ソ タ ソと.
一
つ の ますの 中に同居させ られていた。 (3) 1930〜
1940 年頃: 量 子 論の 発 表 に よ っ て, 化 学結合の 本 性が,
よ うや く 明 らか に され る と共に,Werner
に よっ て開かれた錯 塩 化 学 がめ ざま しい発 展 を は じめる。一
方, 物理学は, 中性 子, 陽電 子の発 見,
中 間子の 予 言, 人 工 放 射能の発 見 な ど核物理 学の段 階に は い る。 こ の段階の 周期 表は, 遷 移元素が独 自の 亜 族 と して明 確に表現されは じ め5〕 , 形 式 も長 周期 型が多 くなっ て き た。 (4) 1940〜
1950 年頃: 超 ウ ラ ン 元素の 発 見 が つ づ く時 代である。Seaborg
に よ るア ク チ ニ ド説 61,
Hais・
sinsky に よ る ウ ラニ ド説7)が提 唱され , 超ウ ラン元 素の 周 期 表で の位置が問 題と なっ て きた。 (5
)1950− 1970
年頃: こ の段 階の終 りは,
ク ル チ ャ トビ ウム が化 学 的に確 認 された1966
年 と定め るこ と がで きる。 新元素は,Seaborg
の予 測 通 り, ハ フ ニ ウム と同族の元 素で ア ク チ ノ イ ドは, 103 番 元 素で終 り, 周 期 表 上, ラ ン タ ノ イ ドと 見 事 な対 称を示す ことと なっ た。 1962 年, 希ガスに真の化 合 物ejがつ くられた こ と も, 周期 表の構成 上 重 要 な 出 来 事で ある。 これ らの 出 来 事は, Mendeleev 型の周期 表が, 元素 系の表 現に おい てずっ と持 ちつ づけて きた 《不自 然さ》か らい よい よ解 放されるこ と を意味 する。 (6
) 1970〜
: は じ ま りつ つ あるこれか らの段 階で あるが, 超重元素を含む全 元 素 系のた め の 周 期表の 完 成 である。 特別の条 件が付 与され る に せ よ,
残されたア ク チ ノ イ ドお よび超 重 元素の物理的,
化 学 的性質の推定, 確認 も果た され よう。 さらに, 超高圧 条 件 下における元 素系の周 期性 および周 期 表の提 案e)も可 能と な ろ う 。 現 在,一
般に知 られた 周期表で は, 数十 万 気 圧 下の元素の 性 状は考 慮 されて お らず, いわば, 地球的条件 下の周 期 系で ある が, 超 高圧 下の 元素に お い て は, 周期 系の degeneracy9 }が発 生し よう 。 こ の提案は, 現周 期系の 別の次 元へ の拡 張である。 ところで , 元 素系を, 原 子 内にけお る電子 充 嬪の順序 か ら見る な らば, 原 理的に も, 表現の形式か らもたいへ ん合 理 的 なThomsen ・
Bohr
の表が あるが, こ の表は, 元素の 化学的 性格の考 察に は不便で ある。 元 素の化 学 的 性格を 描き出 す点で は , これに は た くさん の表が 発表S} されて い るが, いずれ も Mendeleev 型を鋳 型 とし たも のであっ て, これか らして Mendeleev 型 が もっ ともすぐ れ た もの で あるこ とを 示 して い る。 し か し,Mendeleev
型 が誕生して100
年 間, 元 素に関す る知識が豊 富 となっ た割に は,
それに見 合 うだけの変 遷, 発展は遂 げない ま まに置か れて い る。 槌 田は, これ を 化学者の無 関心, 怠 慢 として きび し く叱っ て い るS)。 当 面の問 題は, 元素 系に現わ れ て い る とこ ろ の各 性 質 の各 種の 周期 性に対する定 量 的な解釈を強 化す るこ とで ある。
これに よっ て数 値の予 測, 既知の測 定値の妥 当 性 が検 討で ぎる。Mendeleev
は,
この こ とに よっ て化 学 者 とし て の栄 誉をか ち得た が,
現 在, 周期 性は, 元素の 性質の 定量 的 な考察の ため に,
当 然の有 効 性 を発 揮して い るとはい い が たい。 さらに, 表現 と しての元 素 周 期 表 が, 元 素系の実 際をどこ まで 忠 実にその 中に表 現で ぎる か とい う間題 も明らか に しなけ れば な ら ない。 ところで,
従来,
周期 表の構成で は, た とえば, L.
Meyer
が,
原子容 を 原 子量の関 数とし て 変 化 曲線を描 き, 元 素の周 期 性を 示 し た よ うに,Mendeleev
表の横 の元素 列に おける周 期 性が, 主 と して, そ の基 礎と なっ て い た。 これに対 し, 主と してShchukareviD
,,
Grigorovich11
} らの ソ連の研 究 者たちは, Mendeleev 表の縦の元 素 列, つ ま り 各族の亜族元素列につ い て物理 的, 化学 的 諸 性質 の変 化 曲線を描 ぎ, そこ に一
定の周期性の存 在す るこ と を認め, 従来, 表 現されていなか っ た元素の性質の微細 構 造 を 描 き 出そ うと し てい る。
こ の ような同族元素 列に お け る 周 期 性 はJ1915 年vc
Bironi2} }こよっ て発 見され, 彼に よっ て く二 次 周 期 性 〉 (Secondary
Periodicity
)と 名 付け られてい たもの である。 こ の周期性が, 重 要 な 意 味を もつ ものであることは, 長い間気付か れ ない ま まに あっ たが,1950
年,Balarev
, Andreevts 〕 に よ っ て独 立に再 発見 された。
し か し, 元素系に 関する何らか の考 察に際 して,
こ の 周期 性 を 利用 し よ う とす る 人 々 は, い ま なお限 ぎられてお り, 事実,
わが 国に おい てBiron
ら の研 究は まっ た く知られて いない。 亜 族 元 素 列に おける元素の性質 変 化は, 原子 番 号の増 加に伴 なっ てその順序に順次的に, つ まり単調に増 強ま た は軽減す る とい うのが一
般的な理解となっ て い る。 だ が, こ の よ うな 理解で は, 周期 性を定量的に解 釈し よ う とする方向に は発 展しない 。 周 期 性 を 定 量 的に考察する に つ い て は,
多 方 面の性質にわたっ てその変 化を詳 細に]
酒 晦一 12 一
元素周期 系同族 元 素 列に お ける 二 次周期性 現 象の 考 察 (1) (大竹三 郎 ) 解析 するこ と が必 要で ある。 各 族, 各 列の 元 素の性質の 変 化とその 周期的な現わ れ方の考 察か らは, た くさん の 知
.
見を引ぎ出す
ことが期待
でき
るか らである。 特 定のある亜 族 元 素 列 に おい て,
ある 性質が交 互 的 に, 非 単 調な 変 動 を起こ し てい ること が 指 摘さ れ た場 合,
そ れは むしろ 特 異 性と して理 解 さ れて ぎた。
あるい は , もっ と否 定 的に,
共 通 性と呼 ば れる ものですら, そ の程 度は大 幅に変 化し,
数 値 を 順 次並べ て も 周 期表 それ 自 体の く発 言 権 》 が 決 し て大きくな い と い うよ うな 周 期 性の効用に 消極 的な低い評価14》さえ 見 られ る 。 こ の見 解 は, 同族元素 列に おけ る共 通 性の現 われ方につ い て誤っ た 理解に 立っ てい る。 第一
に, 同 族 元素列 を 共 通 性 ない し類 似 性だけか ら評価 し相異性 とか 変動の し方の 中に も 法 則 性の あるこ とを 見てい ない。 Mendeleevts , 自身, 周 期 表に相 異 性を どの よ うに して表 現し得るか を 苦 慮 し ていた。Biron
は, 同族元 素 列におけ る性質の交互的な変動を 捉え, これ を 元素 系に 普遍の も う一
つ の 周期 性 現 象とし て理解 し た。 さ きの Shchukarevi6 〕 らは , 主 と して化 合 物の標 準 生成エ ンタル ピー
の測 定 と得 られ た数 値の妥 当 性の 検 討 か ら,Grigorovich17
}は , 元素な らび にその化合物の物 理 的, 化 学 的 性 質 全 般か ら,Biron
の い う二 次 周 期 性 現 象 を 詳細に検討し, 説明し た。 し か し, 個々 の問題につ い て,
必 ず しも十 分に 検 討さ れて い るわけで は ない。
こ の 周 期 性 を 法 則 性 と して確 立 するには,
さらに広 範な新 しい よ り 正確な数 値を使っ て裏 付けるこ と が 必 要である し,
なに よ りも正 確 な 予 測 が 可能とな ら な け れ ばな ら な い oAllred
,Rochow18
) やSandersoni9
) らは, 電 気 陰 性度の Pauling
’
sScale
の再 評 価 を 通 じ,
III,
IV
族 主亜族に 交互 的 な 変動 の ある べ きこ とを 指摘 し て い る。
Grigorovich
も成 書20)で 電気陰 性 度に おける二 次周期性 につ い て考察を 行 な っ て い るが, 両 者の研 究の結 果は 相 互に利用 さ れ て いない。 本 論 文は,
元 素 周 期系同 族 元 素 列に おける主 とし て分 析 化 学に関 係の ある数 値につ い て二 次 周 期 性 現 象 を 考 察 し 周 期 性の定 量 化 と その積 極 的 な 利 用の可能性 を 探 ぐろ うとす るもの で ある。 第一
報で は, 二次 周 期 性 現象の 発 見 とその後の 発 展につ い て概観 し,
元素な な らびに化合 物の物理 的, 化 学 的 性 質の 周 期 性を考 察し, い くつ か の 知 見を引ぎ出す。2
.
二
次 周期性
現 象の発 見と そ の発 展 2−
1 発 見 E.
V .
Biron
の く二 次周 期 性 現 象 〉 (E .
B.
6HPOH《
9BJIeHM
見 BTopHqHo 茸 HepHoAHqHocTu >)と題 した論文は
,
ロ シ ヤ物理一
化学会 誌 ()KP
ΦXO
>,
47 巻,964〜
988
(1915
年 )に掲 載され ている。Biron
に関し てその詳細ば 知ら ないが
,
伺い 知る材 料と し て, こ の 論交の もう
一
つ の 標題に <M3XHMHgecKofi
Jla60paTop
曲Jle−
cHoro MHcTmyTa > とあるこ と,
Shchukarev
が彼 をPetrograd
大 学 教 授 と 呼んで い ること, 前 掲のSemi ・
shin の 文献2}に 《M21SnC16
,MllSnC16
型の ク ロ ロ スズ 酸 塩の研 究〉(1905 年)と題する彼の論 文を選 択 し て い るこ とをあげるこ と がで きる。 二 次周期 性 現 象の 発 見に至 るBiron
の研究は, 過 臭素酸 製 造 の失 敗か ら
,
D6bereiner の triad rule に疑い を もちは じめ た こ とには じ ま る。
彼は,
臭素元素に お け る triad rule か らの違 反を , 《元素の 根 本 的 な 本 性に結 びつ い た 何かの一
般 法 則 が存在し てい るの で は ないか〉 と判断 し, 意 識 的に 違反 例を探 し は じ め た。1.
W.
Mel・
10r21) の無 機化学書や 」.
Thomsen2i
〕 の 熱 化学デー
タ に , ハ 巨 ゲン の 化 合物 に おい て,
酸素化 合物が triad rule に従 わ ない 性状を示 すこ とが指摘され て いた。 と くに Thomsen は,
ハ ロ ゲ ソや カル コ ゲ ソ の化 合 物の 生 成熱を考 察し, これ らの元素の水 素, 炭 素,
金 属な どに 対 する親 和 力が原 子 量の小 さい順に大 ぎく, triad rule に違 反 しない に もか か わ らず, 酸 素に対 して は例 外で,
臭 素はもっ とも親和 力が小さ く, つ ま り著し くnegative で あっ て,
塩 素は,
これにつ ぎ,
ヨ ウ素で は 反対に著 し く possitive で あるこ とを示し た。 結局, (P, As,Sb
), (S,Se,
Te),
(Cl,
Br,
1)の 三組の triad に おい て は,
中央の元 素は, つ ねに, 両 端の元 素の平 均と は な っ てい ない。Biron
は, その確証の た め に,ハ
ロ ゲン,VI
,V
族 非金属元素, 希ガスの物理的 性質, 化 学 的 性 質,
熱 化 学 的 な data につ い て検 討し,
その結 果 をつ ぎの ように結 論し た 〔12
),967
〕:〈
BnonrpyHHax
nepHoAHuecKo 苴cHcTeMbl gneMeH−
TOB
,
MHOrHH CBOtiCTBa 9”eMeHTOB H HX COe 八HHeHHti H3MeHHK )TcH , npH nocneAoBaTenbHoMyBenHqeHH
茸 aTOMHOrOBeCa
gneMeHTa ,
He
fiOCJeAOBaTenbHO
TO >Ke
,
anePHO 丑Hi{eCI(H・
STo
cBoeo6pa3Hyio nepHoAMHHocTb , KaK6H
HaK・
JIa双HBaK )lllyK)Tc 兄Ha ocHoBHYK )nepHonHyHocTb 刀〔・
M .
MeAHeJeeBa
, H npennaram Ha3HBaTb BTopHqHoti nePHOflHqHOCTbro・
〉 〔訳: 元 素周 期 系の亜族に おい て, 元 素 とその 化 合 物 の 数 多 くの性 質の変 化は, 原 子 量の増 加 する順 序に おい て, それ と 同じ順 序で はなく, 周期 的である。 こ の独 特 な 周 期 性を, Mendeleev の基 本の 周 期 性に さ らに加 え一 13 一
4 航 相 模工業大 学紀要 第 4巻 第 1号 て, 二次 周 期 性と呼ぶ こと を提 案 する〕。
後述する ように,
Biron
は 二次 周 期性 現 象を説 明す る た めに, Abegg の原子価 説に依 拠し, 同 族元素にお け る各 元 素の原 子 価の と り方と諸 性質に おける数 値の変 化 の 仕 方 とを対応 させ, どの 場 合に 変 化が 非 単 調 (un・
monotone )に現われて くる か を考 察し た。一
方,Biron
は, 彼 自身の結論を一
般 化 する にあたっ て, 周 期 律 発 見に おけ るMendeleev
の洞 察に学 び,
つ ぎの よ うに述べ て い る 〔12)973
〕。
<Mendeleev
がその 自然 系で われわれに 教え た元 素の 相互関 係を 理解 すると, もし, 周 期系の中の一
つ の 族内 に な に か の規則 性が発 見 さ れたな らば,
他の族内に も, その現わ れ方に大 小は ある にせよ同 じ規 則 性の存 在 する こ とを 確 信し て よい〉。 これ は 方法論 的に も正 しいす ぐ れ た理 解といえる。 これか ら して, ア ル カ リ金 属にお け る よ うな, き わめ て単 調な変 化を示す元 素 列に も, 彼は 隠 蔽さ れ た二 次周 期 性を発 見 するの で ある。2−2Biron
と そ の以後の研 究2−2−1Biron
の研 究’
Biron
は,
二次 周期 性現 象を 法 則 とし て一
般 化 する に あた り,
決 して思弁だ け に依 存 し たの では なか っ た。 彼 は, 主 と して熱 化学的なdata
を多 く引用 し た が, これらの数値の多 くは,
Abegg
のHandbuch
der
anor・
ganischen chemie (
4
巻)(1905)か らの ものである。 数値の正確さは, 現在の便覧 (た とえば, 日本 化 学 会編 化学便覧,1966
)と比較し て も, 見 劣りしない。 第 1図は,Biron
の指 摘に し た が い, ハ ロ ゲ ソの 水素 酸 と酸 素 酸の諸 性 質 を 比較のた めに 縦 目盛に原 子番号 を と り図式化し た もの で ある が,
こ の よ う な 目盛の も とで 前 者に は 明 瞭に,
triad rule が , 後者に はそれか らの離 反が現われて い る。 (Biron
は, その 論文で 数値の変化 を曲線 化し て い な いが, 以後の説明の た め にBiron
の 引用し た数 値はすべ て曲線化し た。 数値は修正せず 原論 文の ものを採 用 した)。V
族のN −P −As −Sb −Bi
で は, ポ リ アル キル ア ミ ン化 物の酸 化に交 互 的 な変 動を認めた。
すな わ ち, ト リ アル キル ポ ス フ ィ ン と ト リ アル キル ス チ ビンは, 同ア ミンや 同ビス マ ス よ り も, よ り著 し く 酸 化 されや すい。 し か し,
沸点,
融 点,
比 重 な どの物理 的 性 質 では,
窒素を考 慮 し なけ れ ば,
変 化の仕 方は単 調であっ た (第 2図 )。
交 互 的な変動は, テ ト ラ ア ル キル ア ン モ ニ ウ ム塩 を乾 留 し た とき RV か ら R皿 へ の反応に も認め られた 。宀
亀 HCI HBr HI Cl Br 1 o dHFIO 20 b,
t.
c、
t,
rn,
t,
η E°
4Hア/
150°
バ 10゜
50°
E°
0.
5 1,
0 1,
5 D一
50°
−
lou°
ユ.
5 广『_
邵
LO O.
5 比粘度 ω rtHRDJ・
]O−
2 (v=
2t) 0 5 HRO ・HRO.
KROIL R= ROHR2→
ROH μ μo1
.
0E°
1.
50 印 100 150
nHfe
第
1
図Biron
に よ るハ ロ ゲン の 水 素酸 と 酸素 酸の性 質の 比 較元素周 期 系 同族元素列に お ける二 次周 期 性 現象の考察 (
1
) (大 竹 三郎 ) 1・
N ]5P ssAs 51Sb 9;Bi 15工)/
100”
5〔j’
fi°
NH } m,
t.
b.
1.
R(C2H5’
:l b,
t.
R (》
」 〃M 【ド,
/
/
1RIC2H5
)二 d 2,
0 冨 ユ.
5 1.
0 1酬 〕L
一
1〔k).
一
50”
o 十1σ0 十50 0−
5 輪、
b (NH:1) dH 尸(kcaL.
moi > 第2
図V
族 窒 素 族 元 素の性 質の 変 化 N (CH
,)4NI=
(CH3
)3十CH31
(CH3
)4NOH=
(C
且s)3N 十CH3 ・
OH
(C2H5
),NOH
= (C2H5
)aN 十C2H4
十H20
P 2(CH3
)4PCI=
2(CH3
)sP・
HCI 十C2H4
(CH3 )4POH・
.
(CH3 )sPO +CH4
(C2H5
)4POH = (C2Hs
)3PO +C2Hs
As (CH3
)4Asl 十KOH−一
→ (CH3
)3As(
C2Hs
)4Asl 十KOH−
→ (C2H5)3As(CHa)4Asl3
=
(CH3 )2AsI 十2CH31Sb
(CHs
)4Sb ÷SbnKm − 一
冫Sb
(CHs
)3 (CH3
)4SbOH :一
部 分 解 な しに昇 華 上 述の反応か ら,
Biron は,
5価の型に移 行する能 力 と誘 導体 RV の 安定性が, V 族 元素の原子量の 周期 的 関 数で あ る と し, つ ぎの よ うに表現し た: 。/P
\。 。/Sbx
。、 五塩 化 物の 安定 性, 酸化物の生 成熱に も同 じ変動 を観測 し た。 こ こ まで くる と,Biron
は,
同 じ周 期 性現 象が,VI
, VII 族の非金 属 元素に も 観察さ れ ねばな ら ない こ とを 確 信し た が, このためには,
つぎ
の二点に つ い て解 答せね ば な ら ない と 考 え た 〔12),973
〕;<1) 二 次周期性現 象は
,
これ らの 元素だけに止まる の か, それ とも 他の元 素に も発 見され るの か。
もし,
あ る な らば どん な 元 素に か 2) 元 素の どの よ う な性質と化 合 物に,
triad ru 置e が 適用 され, どれに 二次周期性が適用 され るの か。 だ が, これ が解 決に は, 元素と化合 物に関 する充 分な資料 が 必 要であっ た。 そ うで ない と く指摘し た法 則 性が一
般 的 な 意 義 を もち得ず, 理論 的に も 不明の ま ま と な る〉 〔12
),997
〕 恐 れ が あっ た。
こ の よ うな場合, 思弁は, 明らか に重 要な意味を もっ てくる。 測 定された数値だ け に, 法 則 性の 発 見を依 存 してい る研 究 者に とっ ては,
思弁は と きに, 危険な もの に映るが, しか し, す ぐれた発 見 者と い う もの は, つ ね つ ね, そ れ も勇 敢な る思弁家で も あっ たo Biron は, V , VI, VII 族 非 金 属 元 素 列の ほ かに, ア ル カ リ金 属,II
族の 奇数列 亜 族 (Be −Mg −Zn −Cd −Hg
)に 二 次周 期 性の 出現を認め ていた が, 他の族につ い ても 資 料の不 十分さに もか か わ らず, 同 周期性の 存在を結論 し た。 た だ, その 出現 の強弱の原 因を説明せ ねば な らなか っ た が, 当 時に お い て, これは 不可能で あっ た。 それに もか か わ らず, Biron は, 二重の 原子価を定め て い る Abegg の原 子 価 説 を 採 用 し二 次周 期 性 現象を 根 拠づけよ う と した。 周知の ごとく,Abegg
は, 正常 原 子価 と 逆原子価の二 種 類を各元 素に 分配 し て い た : 族 番 号O
I 皿 皿Iv
V
VI
V
皿 正常 原子価 〇 +1 +2 +3−
3−
2−
1 ±4
逆 原 子 価一8 − 7 − 6 − 5
+5
+6
+7
Biron は, 自分の 目的の た め にAbegg
の説 を採用し た が,
む し ろAbeg9
の 原 子 価その もの よ り Abeg9 が 二種の原 子価 を 決定する にあたっ て基 本と し た考え方に よ り多 く惹かれ た といえ る。
つ ま り,
元 素が化 合 物の 形 成に際 し て現わす 原 子 価は, つ ね にある一
方だけ とい う の で な く, 二 つ の原 子 価を参加さ せなが ら も, その現 わ一
15一
鯛
相 模工 業 大 学 紀 要 第4
巻 第1
号 れ方に 強 弱 がある とい うこ とで ある。V −VII
族 非金属 元 素 が 金属と結 合 する に際し て は, 相 手の金 属元素に お ける よ りもよ り以上強 く逆 原 子価を現わ し てい るので あ る。 分子 性の 化 合 物やComplex
Compounds
で は,
逆 原 子 価に よっ て規 定さ れてい る。 原 子価を未 飽 和の まま残 し てい る溶質と溶媒があれば, そ こに は溶 解 現 象が観 察 されよう。 液 体の会 合 (association ) も同様に, これ が 原因で ある。 こ うして ,Biron
は , つ ぎの よ うに 二つ の 仮 説を 立 て た 〔12)977〕: 1) 元素の正常 原子価で形 成さ れた化合 物の物理的な ら び に化 学 的性質は, triad rule に従う。2
)元 素の逆原 子価で形 成された化 合 物の物理 的
,
な らび に化学的 性 質は, 二次周期 性に従 う。調
HI HCI ヨBr HI一
40a−
20°
0一
叡〕°
−
40弓
一
21ジ m.
t.
一
十こ)
」ノ1;冠 ↑4 ÷3 5H203H20100H201 吐〕H:O 2‘〕OH30/
/
職/
\
〔−
20} (一
]5) 卜・
1一
20 Cl Br 1一
15一
10 」H:,
i 固 俸 液 体 ■ 「 「 ‘ ’ ’ ’ ’’
ノ ’ 、 、 、 、、
ノ ’ ! 1 ! 1}
o−
As−
x『
Sb 5 11} 1{} 2{1 30 些o Dlelectric const.
算 3図 ハ ロ ゲン化 物の 性質の 変 化 この仮説に 従えば, V 族元素の水素化物, そ し てそ の誘導 体と見られ る ト リアル キ ル化 物は, 順 序 的な 性質 の変 化が 観 測 され, 5価の 化 合 物で は,
正常 原 子 価 が一3
を越えるこ とに なるの で , 逆 原 子 価が利用 され, 結 局,
二次周期 性が現わ れ る。
原 子 価の本 性 が不明であっ た時代に,Biron
は,
triad rule か らの 離 反 した 諸 事実を,
こ の ように,
法 則 的 な もの と し て捉え, 今日い うところの ク ラス レイ ト化 合物 で あるハ 目 ゲ ン 化 水 素の水 和 物の融 点,
同 じ くハ ロ ゲ ン 化 水素と その 誘導体の 溶 解 熱, ヒ素, ア ンチ モ ンの ト リ ハ ロ ゲ ナ イ ドの固・
液 体に おける誘電 率の変 化を説明し た (第3
図)。 後 者に つ い て は, 結晶 形成のた め温 度の 低 下と共に逆原子 価が影響を現わ し, 交互的な変動が起 こ る もの と した。 正常 原子 価を最 強に現わすアル カ リ金属に対 し ても,Ni ,
Co ,
Zn,
Cu
な どの硫 酸複 塩の溶解 度の変 化に二 次 周 期 性 を見出 し, 微 弱だ が 同 周 期性の存在を指摘し た。
II
族につ い て は,Mg −Zn −Cd −Hg
列の固 体の酸 化 物の 希塩酸に よ る中和 熱に 二 次 周 期 性を見出した。 Mg−Ca −
Sr−Ba
列で は, こ の場 合, 単 調な増 加を示し て い る。 こ の こと か ら, Biron は, 周期系の 同族元 素の配置につ い て の示 唆 が 得られる と し,
当 時, Brauner22
⊃ が 提 案 し てい た 周 期系内の 希土 の位 置の 正しい ことを 承 認し た。
周 期系の同 族 元 素の配 置 を 決 定 する上に,Biron
の 二 次 周 期 性 が果た し得 る役 割がこ こ に見 ら れ る が,
後にGrigorovich20
)に よ っ て彼の周 期系構 成にあた り全 面 的 に」采用され るこ と に な る。0
族元素に対 する Biron の考 察は, もっ と も 興 味 深 い。 絶対 的に化学的 不 活 性 と信じ られていた希ガス に , 彼が一
定の化 学 親 和 力の存 在 を 推 定 したこ とは, 今 日, Mg ωH)2 、 丶 Ca(OH 〕2 丶 丶 、8Z
以OII}、 Sr〔OH 湾 ’ ’ Cd°背
Cd〔°H )・ Ba〔OH>a 、 、 、 、 HgO 冨一
40一
30一
20 4H (kcaVmol) 第 4図 II族 元 素の 酸 化 物の希 塩 酸に よ る中 和 熱「
』1
一 16 一
元素周 期 系 同族元 素列に お け る二 次周期性 現 象の 考 察 (1) (大竹三郎)
希ガス に対し化学 的 不活性の絶対性が取り払われた こ と
と結びつ けて考 えると高く評 価で きよ う。
彼は, 当時, 発 表されたばか りの
Landolt−
B6rnsteinの
Physikalish・
Chemische
Tabellen
(1912
)か ら, 希ガ ス の 諸 性 質に関する数値を引 用 し, 二 次 周 期 性の存在 を 確信した
。
だ が,
こ の こ とは Biron もい うよ うに く二次周期性は,
元 素の 原 子 価 と関 連 するもの で あり,
0族 元 素が絶 対 的az化 学 的不活 性で ある とすれ ば, その 原 子 価は0
に等 しく〉 なっ て,一
見 奇 妙 な事で ある。 しか し, Biron は , 物理 的 性 質 と化 学 的 組成, 物 質の 構 造との間の関 係につ い て語る物理化 学の一
部 分であるStoichiometry
, また アル ゴ ソ お よ び同族の不活性ガス の 発 見は凝 集 な どの物 理 力と化 学 力との 問に密 接 な 関 係 が あるこ とを 示 す,
もっ とも 明 白 な 事 実で あるこ とを強 調 する。 希ガ ス の融 点,
沸点, 臨界 点が他の どの元素にお けるよ りも低い こと,
Van
der
Waals
定 数 a も また小さい こ とか ら
,
化 学 的不活 性の原因 を, 分 子間 の引 力 の 余 りに も小 さい 異常性 と判断するの だ が, 《(0
族の) 気 体 を 圧 縮 す れば やは り凝 縮し, 原 子 量の増 大 と共に分 子 間引 力は大 きくなっ てい く。 つ ま り, 何らか の引 力 が こ こには存 在して い る。 これは微 弱 だが, 何か の残 余 原 子 価が な くて はな ら ない 》 〔12
),984
〕。 <Abeg9 の二重 の 原 子価 説に よれば,
周期 系に おけ る 0族 元 素の 位 置か ら, 0 価の正常原 子 価 と8価の逆 原 子価を所 有せ ねば な ら ない。 それ 故, 正常 原子 価が一
般に 0価で あるこ とから, 明 ら か に引 力は, 微 弱な逆原子価の出現と関係せね ば な ら ず, そ れに単 体の物 理 的 性 質 が支配 さ れ ねぽな ら ない。 し た がっ て, わた しの定式化し た仮 説に従 え ば, 物理 的 性質は 二次周期性に従属する筈で ある〉 〔12),984
〕。 第 5図に示したBiron
のdata
は,
粘性 と原 子 密 度 に もっ とも顕 著に Zigzag 状の変 動が観 測さ れて い る。 また他の性質に つ い て は, 隣接二 元素につ い て数値の差 を求め, その差の変動に交互 性を指摘し てい る。 これ に っ い てBiron
は , 飽 和炭化 水 素 列の 融点の 変化曲線と 比 較し てい る。 最後に,Biron
は , 元 素の原 子価が原 子の 電子 構造と 密 接な関 係を もっ 筈で あり, 光学 的な性 質も電子に よっ て規 定さ れて い る と す れ ば,
元素の ス ペ ク ト ル に も,
二 つ の法則性 が期待さ れ ねばな ら ない と判 断 し た。
彼は, こ の ため に ス ペ ク トル 線の主 また は副系列の二重項ある い は 三重 項の振 動 数の差 (V)と原 子 量の二乗 (A2
)と の 比に彼の 二次 周 期 性の 出現を求め た。 確か }z v1A2 値に,
, た と えばII
族やVI
族の列に交 互 的 な変 動と, そし てMg −Ba
列に単調 な変化 を観察 し たが, 化学的な性質 に見た よ うな興 味 ある結果は乏しく, 簡 単な指 摘だ けに 終っ て い る。
し か し,
1915 年に おい て,
これ は当 然な こ とで あっ た にちがい ない。 Ad・
厂.
v 3.
0 2.
O I.
〔〕 :He1 〔、
Ne]
sAr tFtKT fIXc StiRn.
ア齢
.
一
ぜ一.
.
.
●一
噂
’一
一
弄一
一
一一
一
一』.
一
一.
.
畠 f拠
/
ノ
’ γ.
〒
τ
「
一
/
/
、・/
元一
!6
ノ/
…1・
/
/
/
/
t℃ 100一
100a−
150°
−
200°
t℃ ユ000−
250° a・
1Q5 馴〕0 〔註 〕 tb: 沸 点 tm: 融点 t。: 臨 界 点 第5 図a
・
10s
:Van
der
Waals
定数Ad
ワ
・
10只0°
) 0 3.
D 2,
8 2,
6 2.
4 2.
2 2.
0 1.
S 5,
Q 4,
0 3,
0 2.
0 1.
0 0.
S・
10一
二0
族 元 素の物理 的 性 質 η・
1〔P: 粘 性 率 (0℃)S ・
10−
1:水 1容当 りの 溶解度 (0
℃,760mmHg
) rM :分子 半 径 (He ≡1.
0
)Ad
:原子密度 (He =1 .
0
)一
17一
相 模工 業 大 学 紀 要 第
4
巻 第1
号Biron
は, 終りにつ ぎの ように述べ てい る: <こ こに わ た しの研究を終る にあた り, わた し は,
化 学者 が, 二次周 期 性とい う独得な現 象に注 意を 払 うべ き こ とを提 案し た。 い っ そ うの研究に よっ てその本 質をさ らに正 確に解明する こ と は , 化 学 元 素の本 性を明らか に し よ う として い るわ れ わ れの 仕 事 を,
これが援助 し て く れ るに ち がい ない〉 〔12), 988〕。2−2−
2Biron 以 後の研 究 は じめ に述べ た よ うに, Biron の研 究は, 主 と し て1953
年 頃か ら, Shchukarev とその一
派に よっ て継 承 発展 された。 元素とその化 合物に関す る物理 的, 化 学 的 な 知 見が畜 積 するに伴ない, 周 期系同族元素列における 元 素の 性質が, つ ねに単調な増 減を示 すとは限らない こ とが 広 く理解され る よ うになっ た。 た とえ ば, ある一
つ の性 質に 関する数値を求め たとぎ,
族の 主亜族 元素列に お け る非単調 な, 交互 的 な 変 動は,
恐 ら く,
当該の どの 研究 者たち も等しく気 付い て いたことにちがい ない。 し か し, こ の場 合,
重 要なこ と は, その現 象を 元素周 期 系 の同 族 元 素 列の本 性 的 な 法 則 性と み な し, 第二 の周期性 とし て元素系に普遍 化 したか ど うか にある。 こ の こ と は, Biron の い う周期性 を 承認 する か ど うか とは関 係 な く, 元 素系に おける周期性の木質を,
原 理 的に は, もは や明 白で あっ ても, 実 際の物 質と その挙動に,
それ を ど う発 見する か に か か わ る問 題だか らで ある。
こ の 観 点に 立 っ て, Biron 以 後の研 究の Chronicle を概 観する。 1869・
−
1871 年; Mendeleev 元 素 周 期 律を発 見,
現 在 の 周期系
(表)の原型 をすべ て完 成 する27) 。1887
年:Bazarov2s
〕原 子量の修正 , 点検,
算 定の た めに周期 表の横
列と縦 列の隣 接元 素との比 を求め,
こ の 際に縦 列にお け る比の値の変 動の仕 方に注 目 し た。
1915
年:Biron
の 論文 《二 次周期 性 現象〉が発 表。1940
年:Klemm
,Westlinning2v
V
族 主 亜 族 元 素列 に お ける イ オ ン半 径の変 動の仕 方をd
な ら びに ∫収縮 か ら説 明。1941
年:Hildebrand25
) V 族 主 亜 族 元 素の 塩 化 物の 安 定性が リン とア ソ チ モ ンで 高く窒 素, ヒ 素, ビス V ス で低 く交互的な変 化の あるこ と を 注意
した。
1949 年; Wasilkova (学 位 論 文 )26), 1945 年にShchu −
karev
は,Biron
の研究につ いて知 り,Biron
が触れて いなか っ た
IV
族主 亜 族元素とMg
との 化合 物の生 成 熱の審 議に , 二次周 期 性 の利 用を指 示 し た。1950 年; Balarev , Andreev13 ) ,
Biron
の研究を知ら ず, 独 立に, 〈周 期 系に おける普 遍 的な規則 性〉 と題す る論 文の中で, 二次 周 期 性 を 指 摘した。
1951−
1953 年二 Diogenov27 )<ア ル カ リ金 属 内に おけ る周期 性につ い て〉,Kapustinsky28 )<0
周期と二次 周期 性 〉,Shishokin29
)《Mendeleev
の元 素 周期系に おける 二 次 周 期 性 〉 な ど,
二 次周期 性 現 象が よ う や く注 目 さ れ は じ め る。Shchukarev
とその一
派に よ る生成熱の 測定とそ れへ の 二 次周 期 性の 利 用に関 する広 範な研 究10}蚓 3°ト 勵 が は じま る。1952 年: Sanderson19 )彼 の 規 定 に よ る
Stability
ratio (SR)か ら 計 算した電気陰性度が, 各主亜族元素 列 に お い て交 互 的 な 変 動 を起こすこ とを指 摘し, これと各 族 元 素の化 学 的 性 質の 非 単 調な変 化 とを 対 応さ せ, 交互 的な変 動が合理 的で あ るこ と を 指 摘 し た。
その 後 も,
電 気 陰性度の再 評 価につ い て議 論し,Pauling
’s39) やPri−
chard ・
Skinner
’s4e)らの値が 族に お い て 単調 な変 化を と るこ とに 不満を 示 し, 交 互 的な非 単 調な変 化を とるべ きこ と を 主 張し た。 だが,Sanderson
は 二次 周 期 性に 関 し まっ た く触れていない し, 各 族へ の拡張。
普遍 化 も 果たさ なか っ た。 1958 年 ;Allred,
R how18〕 IV 族の元 素 C−Si−Ge −
Sn −
Pb の電 気陰 性 度の 評価に 関し, 電気 陰性 度 とこ の 族の有 機 元 素 化 合物の化 学 的 挙 動の異 常 性, 酸化物や塩 化 物の生 成 熱の変 動と対 比し,NMR
の 化 学シ フ ト,
核 四 極結合 定数,
静 電ポ テ ン シ ャ ル, 静電気や,
仕事 関 数 な どか ら再 計算し た値が, いず れ も交 互 的に変動し てい るこ とを 明らか に し た。 1965 年:Shchukarev
蚓,
モ ス ク ワで 開か れ た IUPAC xxCongress
に て 元 素 周期 律と 周期 系に 関す る総 括を報 告。 1966 年:Grigorovichii
)i7)2e)42)一
一
451,
Biron−Shchuka −
rev の研 究を総
括,発
展させ, 元素 系の周 期性な らびに 周期 表の構 成,
表 的表 現の 原理 を 明確に し, 体系 化し た。
こ の 問 題は , と うに解 決 済みの よ うで あ り な が ら,
実 際には,
とくに表 的 表 現の問 題に おい て, Chemicar
Common・
Sence とい っ た域を出て い なか っ た。Gri−
gorovich は 1960 年頃か ら周 期 系の問題に取 り組ん で きた が,
彼の 表は,
外 側の三電于殼へ の 電子充填, しゃ へ い 効 果, 殻の収 縮 効果な ど元 素が現 実に単 体や化合物 の形 成に際 し, 大 ぎな 影響を うける諸 因 子を, 重み に応 じ て 元素の配 列 と対 応 させ, 各 亜 族に お ける 二 次周期 性 を説 明, その現わ れ方の度合を もっ て元素の縦列に大 小 の位置偏移を与えて表 現 し, その結 果に基づい て,
a,
b,
c 亜族の成 立 と族 内の相 互 位 置 関 係, さ らに超 重元 素の 配 列につ い ても根 拠づ けた。 明 らか に こ こ で は,Nek −
rasov4G ) のElectronic
Analogous
の概 念が 基 本に なっ てい る
。Grigorovich
の 仕 事は.
元 素周期 律とその系に 関 する学問の現 在に お ける もっ とも 合理的,
かつ妥当 な 集大成 とい える。 因み に, 彼の研究は,
元素周期 律発 見 , V ¶ の一 18 一
元 素 周 期 系 同 族 元 素 列 に お ける二 次 周 期 性 現 象の考 察 (
1
) (大竹三 郎) 100 年を記念し, 著 書 として も発 表 20}さ れた。
3.
同
族元素列
の物
理的な らび に化学
的 性質
3−1
同族元素 列に おける物理的な らび に 化学 的 性 質 の共 通 性 (類 似 性 )と交 互 的 な 変 動 た と えば, 教 科書に おい て, ある性質の元素 系に おげ る周 期 性が記述さ れ てい る場 合,一
般に, 周 期 曲 線の形 の類 似 性 と反復出現が きわ め て概観 的に指 摘 さ れ, つ い で, 同族元素列に お け る共通性ない し変化ば, 原子 量の 増 大 順の 方 向に,
単に増 減力二指 示される だけで終っ てい る。
し か し なが ら,
同 族 元 素 列に おける性 質の変 化の仕 方は, い ち 早 く Biron が指 摘 し たよ うに, 必 ずしも単 調 な 増 減 を 示 さ ない.
とくに,III,
IV ,
V
族 主亜族 元 素 列で は , 数多 くの性質に お い て, しば しば 原 子 量の増 大 順に 交 交 的 に 大 小の変 動を 示す。
Allred や Rochow,
Sanderson
が電気陰性度のPauling’
sScale
を議 論の対象とし たの も, そ れが単 調で , しか も増 減の 差 が 小 さ く, 実際の元素の
・
「生状と 著しく矛盾 するこ とに あっ た。 これに つ い ては, Allred,
Rochow18 } の 論 文に詳 L い。 ところ で, 同族元素列の ノt
素の物理 的, 化学 的i
生質の 考 察に 際し て, 共 通 性 ない し類 似 性 とい うとき, 当 然, 変 動 が 小 きいか,
もしくは 上 述し た単 調な増減とい う観 念が 基 本に ある。
その た め,
変 動が 大 いか,
も し くは 交 互 的で ある ときには,
どち らか とい えば 例外 視さ れて き た。 また, 隣接 元 素族との問におけ る共 通 性の 度合, 同’
族 列 両 端の 元素間 に お け る変動の 大 き さに つ い て も,
簡 単な指 摘だ けに止まっ てい る。
Mendeleev,
Biron
に お け る よ うに , すべ ての 性質に関 し各族元素列 相 互 を 比較 し, 変 動の 様子 を元 素系 全 体に つ い て解析す る な らば新 しい く変 動の規則 性 》 (周 期 性 )の 発見が 期 待 で きる。
III,
IV ,
V
族主 亜族元素列の非 単 調 な交 互 的な変 動は,
d一
収 縮,
f
一
収 縮に起 因 する もの と し説 明18 )で きる 。 だ が それに よっ て,
元 素の,
あ れ これの 性質に関し, 変 動の 幅を予測 した り, 数値を推 定 す る こ とは,
理論 的に も 不 可能で ある。 元素の 性質を予 測 する とい う実 用か らい え ば,
<変 動の規 則 性》で ある 周期 性を, と りわ け全同族 元 素 列に つ い て,
よ り微 細に 描 ぎ 出 す ことに よっ て,
日 的を果たすこ とがで き る。 た と えば,
標 準 酸 化 還 元 電 位 の考 察に お い て, 単に序 列 をつ くり,
これ と 周期 表 内の 元素の位 置と を 対 応 させ て も, ごく一・
ee
的 な 傾 向は つ か め 得たとし て, 数 値 的 な 予 測 や 知 見となる と, なに も 期 待するこ とが で きない。 こ の よ うな 結 果が,
勢い,
定 量 的な考 察に おけ『
る周 期表の く発言権〉の 後退を余 儀な く さ せ て し まっ た。
これに対し,
酸化還元電位の 二次 周期 性は,
元素の 序列 が規則的で あ るばか り か,
同 じ酸化 状 態の酸 化物な どの標 準生 成エ ソタ ル ピー
と もきわめ て よ い 対応を 示 し, 定量的な知 見を引き 出 すこ とが で ぎる。Shchukarev
らは,
二次周期 性 を 基 礎と した 元 素の 周 期 性が,
定 量 的 な 考 察に }5い て,
依 然 とし て 高い一
定の 役 割を 果た せ るこ とを 長 年に わ た り実 証し よ うと して ぎ た。 正確な値の求め難い数 多 くの無 機化合物の生 成= ン タ ル ピー
につ い て, 二 次周期陸 を積極的に利用 し,
妥当 な値を 決 定S3}34)し た 。 結局, 同族元 素 列の 物理的, 化学 的 性 質の変 動に とっ て,
単 調 な 増 減 と共に 非 単調 な 増 減 もまた 本 性 的で あ る。
III,
IV,
V 族主 亜族で は,
と くに 非単調 な交互的 増 減 が 顕 著に 現われるが,
そ の 他の 族に お い て も単 調な増 減の中に非単 調 な交互的 変 動を観測で きる。 各 同 族 元 素 列 に お け る 単 澗,
非 単 調 な 変 動の様 子は,
これ を 各 性質ごとに図式 化してみ ると,
各 族 元素の イオ ン化ポ テ γ シ ャ ル に お け る 変 動 の様 子 と すべ て基 本 的に一
致してい る (第6
図 )47)4s)。
ま た 各族に おけ る 各 亜族 (sp一
元 素 列,
d一
元 素 列,
∫一
元 素 列 ) 相 互 の 曲線上 の位 置 関 係は, 各亜族 元 素 列が各i
生質に おい てと り得べ ぎ数値 の位 置 関 係と も 良い 対 照 を 示 して い る。
Grigorovich2D ) は,
こ の ような 各 亜族の 相 互 位置関 係と非 単 調 な 変 動 と 11.
・
:「
1・
ゴド
1u[ xI
コい1
ゆ1
亅
tJLSfl {〕「,
、 “ ] 1り 1.
1111111Tf /.
、
塑 罰:
ll二
つ
/m b r二1乢:、一
ン・
・
.
’.
eV)、
1:1 第6
図 イ オ ン化 ポテ ン シ ャ ル とそ の 周 期 性一 19
誼
相 模工 業 大 学紀要 第4巻 第 1号 を 元 素 周期 表に おける元 素の配 列に反 映 させ, 独 自の形 式の周 期 表 を 構 成 し た。3−
2 単体の 融 点 と その周期 性 単体の融 点につ い て一
次 周 期 性曲線を描い て み る と, 曲 線の形は各周期ごとに反復 類 似し, 融点の変化にも,一
定の規則 性の あるこ とがわか る 。 融 点の ほ かに 融解ニ ン トロ ピー
49]”
51}をとって も, 原子 番号と周期的 関 係に ある。 だ が, 細 部につ い てい くら か な り とも考察し よう とする と, 曲線の形の非類 似性の方 が むし ろ気に なっ て こ よう。 曲 線の形から数値的な 予 測 を 行 な うこ とは あま 融 3500°
3000°
点 2500e (°
C) 200eV 工5DO°
1
4 周 期 5周 期 6周 期 第7
図d
一
元 素 (単体)の 融 点 (一
次周 期 性 ) 35DO』
3帆D°
融 点 2鋤 伊 (℃) 2000」
1500c嬢
1 / ! /!、
!/ /
ウ
/ M♂ / //
.
」
/
/ 〆 〆 / / / / Os贈
町/
、!
(Os/ 1lLL ! lt Sc rl Nb 其u Rh /〆
〆!
一
.
一
一
・
一
.
函 駈一
一
’
.
Et (lf)52 年の1直[ IIIViv、厂
IVIi「
マ互i「 1[且】、F
、『
1、」
、 i【 マli厂 1置[lV VVIV [且 、JII【」
4周 期 s周 期 6周 期
第
8
図d一
元 素 (単 体)の 融 点 (一
次周期 性 )元 素 周 期 系 同 族 元 素列に お け る二 次 周期 性現象の 考 察 (1) (大竹三郎 ) りに も 冒 険で あ り過ぎる。 しか し
,
日本 化学会 編 化 学 便 覧の新旧52)5s)に依 拠し て採 録されてい る融 点 を 比 較して みると, 各周期の融 点一
原 子 番 号 曲線は, 一
段と類似性 を強め, いっ そう良い周 期 性 を 示 してい る (第7
,8
図 )。 Szabo , Lakatoss4]は, 4, 5, 6 周 期の d 元 素の 単 体 の融 点の変 化に つ い て考 察し,一
次 周 期 性 曲線におい て 同族元素の融 点が一
直 線上に位 置するこ と を結 論し,d
電 子 数 を 変 数 とし て 含 む 融 点を求め る 計 算式を 提 案し た。 第 7図に て, 点 線はSzabo,
Lakatos
の規 則の成 立 する ことを示 して い る が, これに従えば, Ti ,
v ,
Ru ,
Hf, Re,Os
の融 点の 日化・
便 覧 66 年 版の値は変 更さ れねばな ら ない。
と くに,Re ,
Os
の融 点は , 周 期 性を 著 し く 乱 し て お り, Samsonov47 ) の便 覧で はg こ のSzabo
, Lakatos の値:Re 3035℃, Os 3227℃ を採用,
日化便 覧の値:Re
3167
℃,
Os
2700
℃ と大 きくちがっ てい る。Cr
の 融点は , 50 年代,1600〜
1800℃ 52 } で あ っ た が, 現 在,1903
±10
℃ 47[55)が採用 され , こ の値は Mo−
W 直 線の延長と完全に一
致 する。 同 じ く,Co −Rh −
Ir,
Ni −Pd −Pt
が新[日の値い ず れに おい て も 良い規則性 を示 し て お り,Ru
とOs
だ け がこ の 規則 性を乱し てい る。Ru
の融 点は,
く1950DC
か ら約 2500 °Css
} に修正 さ れ た が, これに よっ て, Fe−Ru
直 線の延 長 上にOs
が Z 1 20304 〔, 50607080go 1500°
2000“
2500°
融 点 (°
C
) 3000e35c 〕D’
築9
図d一
元素 (単 体 )の 融 点 (二次 周 期 性 ) dllf。
s 〔kca且19−
atom 1098 Reo W 夢 Ta … 7 Nb一
〇 〇s 6m Zr Hf oTc 荒 1 ・M°←
5 Rh 4 3 21
蹙参曜 〆し ムs贈 むに語
’
がo蔚’
層
, PMn1
齒o
磯
・予・ o o越
v 塊 : 占/
c「 0 翼 ム 0 : ; 日 口 SAMSQNOV (1965 化 (1966) LANGE (1961) 化 (1952) 1 1000b 2000’
3000°
Tf“
s.
(°
K> 第10
図AHfus.
−Ti
・s.
関 係21 一
]
相 模工業大 学 紀 要 第 4 巻 第 1号 位置する とすれ ば,Re
の修正 と相俟っ て, 4,5
,6
各 周 期の 曲線の形状は, きれ い に一
致 し た対 応を見せ る よ うになる。
最 後に, 4周 期 Sc−
Cr の曲線が 5, 6 周期と ち がっ て い る が, Ti,
v の融 点は 1700〜
1800℃ 付 近で変 動 し て お り確か ではない。 もし, 周 期 性 とい うことに重みを か け るな らば, 現在の Ti の融 点1800
℃ は, もうすこ し低下し, V は , 1726°
C
か ら 1850℃ 近傍まで上昇し て よい。Hf
は,1977
℃4T〕55) の報 告 も あり,
現 在一
般に 採用 さ れてい る 2200℃ は, 明 らか に低 下せねばな ら ない 。 その ほかに ,
VIII
族のTriad
で あるFe −
Co−Ni
,Ru
−
Rh−
Pd,
Os −
lr−Pt
の融 点は , それぞれ直 線上 に 並 ぶ 傾 向を 示し て お り, 現 状は,Ru
が僅か,Os
が著しく これを乱して い る が,Szabo,
Lakatos
の規 則が 成立す れば, これ も解 決する。 融 点の周 期 性に関する上述の指摘は,
二 次 周 期 性 を 描 い て み る と さ ら に明白と な る。Os ,
Re ,
Ru ,
Hf,
Ti ,
V
の位 置が い ずれ も 周 期 性から 違反し て お り,Szabo,
Lakatos の規 則に よっ て修正 さ れ た位 置は, よい 周期 性 に復元 される (鎖 線の曲 線 )。 融解の際の融解エ ン トロ ピー
は, 蒸 発のエ ソ トロ ピー
のTrouton
の規 則の場 合とち がっ て,Richards
の規 則か ら離反 する例が多い と されて い る。 し か し,
結 晶 構 造を限定し て適用 すれば, た と えば金 属の場 合,dSf
。s.
=e2
・
3 cal!9−
atom・
de9・
の一
定 値をとる。 第10
図は,先と同 じく 4
,
5, 6 周 期のd
元 素の金属につ い て plot し た結果であるが,一
次また は二次 周 期 性に離反し た金 属が , こ こで も, や は り離 反を見せ て い る。Cr
の古い値は, まっ た く問題にな ら ない が, 新しい融 点
1903
℃ を採 用 し ても,dSfu
、.
の直 線か らの離 反が大 きい。 しか し, これは
riH
}。s,=3 .
5kcal
!g −
atOm が4
.
5〜
5kcalfg−
atom ま で 修 正され れ ば解 決 する。Gri・
gorOvich20) は
,
後者の融 解熱を 採 用 し てい る
。
Ti の位 置は
,
samsonov の値 (1655℃,
3.
7kcal19−
atom )の位 置よ りLange の値(1677±20℃,4.
6kca1 /g−
atom )の 位 置の方が適正 で あ る
。
・
V
は, 融 点, 融 解熱と も さ らに修正 を うけて よい。Hf
は,一
次,
二 次周期性で修正 された融点 をとれ ば,
直 線に合致す る。 Os の位 置は , Szabo−
Lakatos の規 則に し たが う融 点 3227°C で は, Lichards の規則か ら むし ろ離反し て し ま う が,
一
次,
二次周期性か ら規 定す れ ば,
現 在のAHiu
。=7.
Okcl
/g−
atom を さ ら に越え る値:8kcal
!g−
atom が予 想 される。 以 上の ような 予 測は,
金 属 が 現 実に とっ てい る 個々 の 結 晶 構 造の 特 性を捨象 し,
ある意 味で,
すべ てを 理 想 化 した場 合の議 論と も解 するこ と がで きるが, それな らば それ で,
なぜオ ス ミウムが,
他の 同 族 元 素とは ちが っ た 特性 を現わ してい るのかに つ いて, 新たな議 論を起こす こ と が で きる。
現 在,
物質の純度は , 飛 躍 的に 高まっ て きて い るが, それ と共に, 融点 も著しく変 化し てきてい る。 その意 味 で融 点は純度の関数で ある。 この場合,一
次, 二 次周期 性か らこ の ような議 論することもたいへ ん意 味の ある こ と である。
3−
3 イ オンポテン シャル とそ の周 期 性 イオ ソポテ ン シ ャ ル の二次周 期 性曲線は,一
つ の典型 を 示 す もの で ある。 イオ ソ半径は, 日化 便覧 (1966
)とSamsonov の 便 覧に収載さ れて い る Bokiy
,
Belov の値と を 採 用 した。 配 位 数は