特別支援教育学生支援員の導入年度の活動状況と課題 : 山梨大学の場合 利用統計を見る
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(2) 生9人(大学院1年生:2人,学部4年生:5人,学部3年生:2人,いずれも障害児教育専攻)。. 2.調査期間 平成19年11月下旬に調査用紙を配布する。同12月10日から12月21日までの期間に回収す る。回収の際に自由記述欄について聴きとり調査を行い,必要な事実確認を行う。. 3.調査項目 調査項目の詳細は,「結果」部に示す。調査項目(2)(4)については,特別支援教育 .. 学生支援員の制度的な位置づけと異なるが,文部科学省初等中等教育局特別支援教育課(平 成19年6月発行)の『「特別支援教育支援員」を活用するために』に示されている「特別 支援教育支援員の具体的な役割」を参考にして作成した。 (1)支援員として派遣された回数,学校種別,学級や学年 (2)支援員として行った支援内容 ※ 各項目について「頻繁に実施」「時々実施」「実施なし」にて回答を求める。. (3)支援員として活動したことで学べたこと ※ 具体的かつ簡潔に箇条書きで,思いつくままに5件程度の記入を求める。. (4)この制度の「(受け入れ先に求められる)留意事項」についての徹底度 ※ 各項目について「十分に徹底や配慮されていたと判断できる。」「ある程度は徹底や配慮されていた ように思う。」「徹底や配慮されていたとは思わない。」にて回答を求め,「徹底や配慮されていたと は思わない。」については,その理由を記述または聴きとりにて求める。. Ⅲ.結果. 9人中8人から調査用紙回収と聴きとりを実施した。以下,調査項目に従い結果を示す。. 1.支援員として派遣された回数や学校種別など 全員が週1回(いずれも午前が中心)程度で,各回3単位時間:1人,4単位時間:6人,5 単位時間:1人という状況である。 いずれも小学校の通常学級で,1年生:2人,2年生:2人,4年生:2人,5年生:1人,6 年生:2人である。なお,1人の支援員は,1年生と5年生を兼任した。. 2.支援員として行った支援内容 (1)基本的生活習慣確立のための日常生活上の介助 ・頻繁に実施したと回答した学生の人数。 ・時々実施したと回答した学生の人数。 ・実施しなかったと回答した学生の人数。. 0-0-8 自分で食べることが難しい児童生徒の食事の介助をする。また,必要に応じて身支度の手伝 い,食べこぼしの始末をする。. - 85 -.
(3) 0-0-8 衣服の着脱の介助を行う。一人でできる部分は見守り,完全にできないところもできるだけ 自分の力で行うよう励ます。. 0-0-8 授業場所を離れられない教員の代わりに排泄の介助を行う。排泄を失敗した場合,児童生徒 の気持ちを考慮しながら後始末をする。. (2)発達障害の(または特別な教育的ニーズをもつ)児童生徒に対する学習支援 0-0-8 教室を飛び出して行く児童生徒に対して,安全確保や居場所の確認を行う。 2-5-1 読み取りに困難を示す児童生徒に対して黒板の読み上げを行う。 1-0-7 書くことに困難を示す児童生徒に対してテストの代筆などを行う。 2-5-1 聞くことに困難を示す児童生徒に対して教員の話を繰り返して聞かせる。 1-2-5 学用品など自分の持ち物の把握が困難な児童生徒に整理場所を教えるなどの介助を行う。 (3)学習活動,教室間移動などにおける介助 0-0-8 車いすの児童生徒が,学習の場所を移動する際に,必要に応じて車いすを押す。 0-0-8 車いすの乗り降りを介助する。 1-4-3 教員の指導補助として,製作,調理,自由遊びなどの補助を行う。 (4)児童生徒の健康・安全確保関係 2-4-2 体育の授業や図工,家庭科の実技を伴う場面(特にカッターナイフや包丁,火などを使う場 面)で介助に入り,安全面の確保を行う。. 0-0-8 教師と他の子どもが活動している間,てんかんの発作が頻繁に起こるような児童生徒を把握 する。. 1-0-7 他者への攻撃や自傷などの危険な行動の防止などの安全に配慮する。 (5)運動会(体育大会),学習発表会,修学旅行などの学校行事における介助 0-0-8 運動会で長距離走のとき,一本のひもをお互いに持って同じペースで走って進行方向を示し たり,学習発表会では舞台の袖に待機し,舞台から落ちないように見守る。. 0-0-8 修学旅行や宿泊訓練のとき,慣れていない場所での移動や乗り物への乗り降りを介助する。 (6)周囲の児童生徒の障害理解促進 0-4-4 支援を必要とする児童生徒に対する,友達としてできる支援や適切な接し方を,担任と協力 しながら周囲の児童生徒に伝える。. 2-4-2 支援を必要とする児童生徒に適切な接し方をしている児童生徒の様子を見かけたら,その場 の状況に応じて賞賛する。. 1-6-1 支援を必要とする児童生徒の得意なことや苦手なこと,理解しにくい行動を取ってしまう理 由などを,周囲の児童生徒が理解しやすいように伝える。. 3.支援員として活動したことで学べたこと 37件の回答があった。それらを分類して以下に示す。 a.教師の職務にかかわって(4件) ・授業の進め方や子どもへの接し方など,先生の姿を見ていて勉強になる。(2件) ・現場の先生の指導を間近で知ることができること。 ・優れた先生でも,一人で30人程度の子ども全員を把握することの難しさや支援員の必要性を感じた。 b.教師の職務(指導法)にかかわって(10件). - 86 -.
(4) ・教員になることを考えると,先生の行っている指導法すべてが勉強になる。(3件) ・他の児童に対する言葉がけや接し方の難しさ。(2件) ・通常学級の教室内での担任教師の日常的な支援(机の位置や板書,掲示物の工夫など)。(2件) ・教科「算数」の扱い方(数の概念や考え方の基礎を教えること)の難しさ。 ・子どもとのラポール形成の仕方やタイミングよい支援の在り方など,勉強になる。 ・何度も復習すること,スモールステップの大切さ。 c.児童の現状の理解にかかわって(5件) ・通常学級で特別な支援が必要と思われる子どもの現状について知ることができた。(2件) ・自分の子どもの頃とは違う「小学生の実態」を知ることができた。 ・その児童以外にも支援が必要な児童がいて,そのような児童への支援ができたこと。 ・通常学級の中で特別な支援が必要な児童に対する他の子ども達のかかわり方を知ることができる。 d.自身(力量の向上)にかかわって(5件) ・理論(専門知識)を実践で活かせること。(2件) ・自分自身の経験として,積み重ねができる。 ・その児童の行為を言語化して周囲に伝えていくという,自分自身の訓練の場になっている。 ・教師間の連携の仕方について勉強になる。 e.自身(経験の蓄積)にかかわって(8件) ・「先生」と呼ばれることに対する違和感からの解放。 ・教育実習ではあまりかかわりがなかった学年とかかわれたこと。 ・教育実習とは異なる立場で子どもに接することができること。 ・教育実習でお世話になった学校とは異なる学校を知ることができたこと。 ・子どもと長期的なかかわりができること。 ・通常学級のリアルな現状を知ることができる。 ・家庭との連携の難しさや大切さを知った。(2件) f.自身(純粋な楽しさや達成感)にかかわって(5件) ・子ども達にふれあうこと,そのことが素朴に楽しい。 ・子どもとのふれあいはやはり楽しいと思えたこと。 ・支援を重ねていく中で,その児童との関係が深まったこと。 ・支援を必要としている児童のよい変化に少なからず自分自身が関与できたこと。 ・その児童と一緒に活動でき,達成の喜びを共感できる。. 4.この制度の「(受け入れ先に求められる)留意事項」についての徹底度 以下,「徹底や配慮されていたとは思わない。」については,その具体的な理由の記述 や学生からの聴きとりで得たコメントを示す。 ・十分に徹底や配慮されていたと判断できる。 ・ある程度は徹底や配慮されていたように思う。 ・徹底や配慮されていたとは思わない。. 3-2-3 支援員に対して学校は,「個人情報の取扱い(守秘義務)」についての周知徹底を図る。 ・これについては説明を受けていない。(2人) ・「報告書」にイニシャル書きをすると,実名で書くように指示された。. 5-0-3 支援員に,授業そのものをさせてはいけない。あくまでも授業の補助である。 ・担任の先生が不在のときに,一時的に学級全体をみたことがある。(3人). - 87 -.
(5) 6-0-2 支援員に,個別授業(いわゆる「取り出し指導」)を担当させてはいけない。 ・対象の子どもがもともと個別授業を受けており,その授業を支援員がそのまま引き継いだ。 子どもにとって,在籍学級の授業の展開がわからず混乱するのではないか。支援員として は,その子どもの在籍学級での様子がわからず,実態をつかみにくい。 ・支援員が個別授業を別室で定期的に実施した。個別授業が必要ならば,それなりの対処が 必要であると思う。. 2-2-4 支援員と学級担任や特別支援教育コーディネーターなどと事前の打ち合わせが必要である。 ・十分な情報交換なく,進んでしまっている印象である。 ・朝,行って,まず今日は何をすればよいのか,ということに戸惑う。 ・担任が自分に何を望んでいるのかがわからず,支援するにも困る。(2人) ・学級経営方針程度は知りたいと思う。 ・先生自身も支援員の活用の仕方を模索中なのではないか。. 4-2-2 支援員の心情(心細さ)に配慮して,教員の側から適宜,支援員に声をかけるようにする。 ・支援員の存在が校内であまり認識されていないように感じる。 ・担任の先生を含めて,その学校の先生と話をする機会はほとんどない。. 0-0-8 まず最初に,学級担任等が「個別の指導計画」を使いながら支援員に支援の内容を説明する。 ・「個別の指導計画」は見ていない。(3人) ・「個別の指導計画」についての話題は皆無。(3人) ・児童の実態について十分な説明がなく,支援の方法についても触れられていない。(2人). 3-0-5 支援開始後,機会を捉えて,支援員と学級担任等とで打ち合わせや情報交換を行う。 ・その日のスケジュールを事前に教えてもらえばよりよい。 ・情報交換は必要だと思うが,時間をどのようにつくればよいのかがわからない。(3人) ・そのような機会は皆無。学校側がその必要性を感じていないのではないかと思う。効果的 に進めるためにも,そのような機会を設けてほしい。. 0-4-4 対象の児童生徒以外の児童生徒への接し方について,事前に,学級担任と支援員とで十分に 打ち合わせをする。 ・打ち合わせはほとんどなかった。(2人) ・担任のニーズが見えない。担任と支援員との打ち合わせの機会を設けることが急務である。 ・学校や担任が支援員をうまく使いこなしていない印象をもつ。. 3-3-2 学級担任等がすべての児童生徒に対して支援員が教室にいる理由やその役割を説明しておく。 ・児童からの質問から判断すると,そのような説明はなされていないようである。 ・そのような説明は何もなかった。. 3-2-3 管理職は,学級担任と支援員とが連携して効果的な支援ができるように,必要に応じてアド バイスを行う。 ・アドバイスをいただく機会はこれまでにない。 ・管理職の先生とほとんど言葉を交わさない。(2人). 0-1-7 個別の指導計画の改善のための校内委員会に,必要に応じて支援員が参加できるようにする。 ・校内支援員会という話は一度も聞いていない。(5人) ・校内支援員会への参加とまではいかなくても,支援員からの聴きとりも必要に思う。 ・参加したことはないが,そこで話し合われたことは教えてくれる。. - 88 -.
(6) Ⅳ.考察. 1.導入年度の活動状況と成果 支援員は週1回・半日程度,小学校の通常学級で活動を行った。支援の内容は「学習の 補助」や「他の児童との関係調整」などが中心であった。学生自身にとっては,「教師の 職務」や「児童理解の在り方」など,広範囲にわたる学びの機会となったと考えられる。. 2.特別支援教育学生支援員派遣事業の課題と今後の在り方 (1)支援員はあくまでも補助的な役割であることの再確認 「支援員による取り出し指導」や「学級担任不在時に学級全体をみること」が短時間で はあるが,一部で存在したらしく,支援員を不安にさせた。さらに,このことは,教員免 許をまだ取得していない支援員が学級担任の十分な管理のない状態で授業をするという, 別の大きな問題になり得る。支援員の活動は学級担任による十分な管理下にあるべきこと を関係者は十分に理解すべきであろう。 (2)学級担任と支援員との情報交換の場の確保 児童の実態や支援員に対する学級担任のニーズなどが支援員に十分に伝達されず,支援 員の戸惑いを導くことがあった。学級担任と支援員との関係と役割はチーム・ティーチン グに準ずると解釈すれば,十分な情報交換こそがこの事業の成功の鍵であると考えられる。 (3)この事業の趣旨に関する学校や管理職の理解の促進 支援員の存在と役割をその学校の全教職員が共通理解していたかどうか,管理職がこの 事業の趣旨を十分に理解していたかどうか,と疑問をもつ支援員がいた。この事業に関す る上記の課題を解決するために,特に管理職の深い認識が必要であると考えられる。. 文献 1)古屋義博・岡輝彦・広瀬信雄(2007)障害児教育の「ナショナルミニマム」について. 山梨大学教育人間科学部附属教育実践センター研究紀要,12,50-59. 2)古屋義博・岡輝彦・広瀬信雄(2006)政策としての特別支援教育に関する多くの疑問 -特殊教育から特別支援教育への移行期の中で-.山梨大学教育人間科学部附属教育 実践センター研究紀要,11,51-74. 3)越野和之(2005)「特別支援教育」が提起する課題にどうむきあうか.越野和之・『み んなのねがい』編集部(編),特別支援教育の光と陰.全国障害者問題研究会出版部, 9-43. 4)宮崎隆太郎(2004)増やされる障害児.明石書店. 5)茂木俊彦(2002)障害・教育的ニーズと就学指導.茂木俊彦・荒川智・齊藤繁(編), 障害児教育改革の焦点.全国障害者問題研究会出版部,35-56.. - 89 -.
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