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保育所実習の実態について--学生のアンケート調査をもとに

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Academic year: 2021

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保 育 所 実 習 の 実 態 に つ い て

— 学生のアンケート調査をもとに—

桑原 逸美

The Current State of Practical Training in Nurseries

—Based on Questionnaires of Student Apprentices—

Itsumi KUWABARA

 これまで学生達の保育所(園)の実習については,事前指導として理論・技術など様々 な対応をし,実習終了後は感想やレポートを提出させ,個々の学生からも報告は受けて きた。しかし,それらを通しては実習の断片しかわからず,現実の保育所(園)が学生 にどのようなものとして映り,どう感じたかを正確かつ詳細につかむことができなかっ た。  そこで,今後の実習をよりいっそう効果的に,かつ学生にとっても受け入れ先にとっ ても円満な実習を行ない,併せて本学の実習の質を高めるために,本格的な実態調査を 行なった。  本学で実習の態勢をよりよいものに整備するための資料として役立てられればと思 い,項目ごとの考察をまじえて,その結果をここにまとめた。 はじめに  本学で「実習」を担当して2年になるが,これまで長年保育現場を預かってきた経験から, 学生を受け入れる側の立場には精通していた。そこで,学生達には受け入れ側の考え方や対 応を指導し,円満で効果的な実習の実現に努めてきた。  しかし,この経緯の中でそれだけでは不十分であることに気づいた。それは実習の当事者 である学生が,現場の現実をどう捉えているかについての,全体的な姿が捉えられていない という点である。これを徹底的に理解・分析することによって「現場」と「学生」のギャッ プを少しでも埋め,学生の成熟するきっかけをつかめると思った。  今後,より多くの学生の志望を実現させるためにも,きめ細かな対策を立てる必要がある。 そのためには「学生」という目を通してという限界はあるものの,実態調査から始めるべき であると考えた。(2年次「保育実習1−2」の授業において,1年次「保育実習1−1」 の事後指導としてこの調査を行なった)

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−   − 「保育所・園の体験を終えて」のアンケート調査結果   (対象…2年生保育士資格取得希望者 154 名) 1.健康状態はどうでしたか その他の病気に罹った〈インフルエンザ・感染性胃腸炎・急性胃腸炎・溶連菌感染症・帯状 疱疹・化膿性扁桃腺炎・中耳炎・声が出なくなった〉 (考察)  疲労感,風邪,その他の病気については学生達の新しい環境に対する極度の緊張感や毎日 の実習の整理や準備によっての睡眠不足が免疫力を低下させたと考えられる。その日の実習 が終ってから翌日の実習までの時間をどのように過ごしたか,朝食を摂って出勤したか,何 が大変であったか等を問い,対策を考えることが必要である。 2.勤務の状態 (1)時間外保育への参加状態 その他〈朝0・夕2,朝0・夕6,朝0・夕毎日,朝1・夕毎日,朝毎日・夕0等〉 (考察)  時間外保育は早朝1回夕方1回が約半数というのは妥当であると思う。一度経験してみる 必要があるからである。しかし,毎日早朝・夕方というのは保育所(園)が単に只の労働力 ととらえているのか,帰りにくくて,いてしまうのか,明らかにする必要がある。学生の疲 その他 7% 良好 20% 疲労感 20% 風邪 53% ■ 風邪を引いた ■常に疲労感があった ■ 良好だった ■ その他の病気に罹った その他 5% 夕1回 8% 朝1回 3% 朝・夕1回 46% 朝・夕毎日 2% 正規の保育 時間 36%

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労度を考えると「実習指導上のお願い」の中に時間外保育の実習は朝・夕1回ずつと明記し, オリエンテーション時に日にちを決めるなどの対策が必要と考える。 (2)部分実習をしましたか 年齢(0歳から5歳の全年齢) 内容(手遊び・紙芝居・絵本・パネルシアター・エプロンシアター・ペープサート・指    人形・新聞紙遊び・ホームルーム・ゲーム・わらべうた・クイズ・絵画制作・ピ    アノ・マジック・生活の介助…おむつ交換,授乳等) 所要時間(5分~ 90 分位) 指導案(立てた 41% 立てない 59%) (考察)  3週間で一度も部分実習をしなかった,というのは初めての保育所実習とはいえ,実習の 意義・目的から言っても問題である。「実習指導上のお願い」に各年齢相当の実習内容につ いて明記するとともに,実習生自ら,積極的・意欲的に取り組むよう指導する必要がある。  指導案を立てた 41%は1年生では多いと思われるが,部分的なものではあっても立案す る練習ができ,現場の職員に具体的に批評してもらえた経験は貴重な機会を得たと言える。  しかし,指導案を立てるには年齢別の知識が基本となり,その年齢のイメージを思い描き ながら,担当クラスの子どもの発達と保育者の動きを追い作成するものなので,その土台が ないままではただの模倣になり,真の習得とは言えない。どのような方法で指導するか,来 年度の課題は大きい。 いいえ 2% はい 98%

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−  0 − (3)実習を終えて一番の感想は (4)その理由は何でしょう ・とても楽しく勉強になった ・充実感・達成感でいっぱい ・3週間とても速かった ・疲れたがよくやった・辛かったが学べた ・大変だったが楽しかった ・やっと終った・3週間は長かった ・体力のなさに気づいた ・とても疲れた ・辛かった ・子どもと沢山遊んで楽しかった ・子どもは好奇心旺盛 ・子どもが可愛かった ・子どもが最後になついてくれた ・子ども達に「先生」と呼ばれて嬉しかった ・最終日に「また来てね」と言ってくれた ・全年齢の観察ができた ・幼児の遊びに入るのが難しかった ・記録簿が大変だった ・記録簿がうまく書けなかった ・記録簿がなかったら,もっと実習したい ・記録簿が書けるようになった ・保育園に魅力を感じた ・この職業につきたい ・保育園の方が合っている ・本当に保育士になりたいのか考えた ・もっと勉強していけばよかった ・先生の人数が多くて緊張した ・職員とのかかわりが難しかった ・授業で学べないことを沢山学べた ・子どももなついてくれ,先生も優しく教え てくれた ・先生方が仲良く子どもが明るい・子どもが 可愛い ・自炊して健康面に気をつけたため,乗りき れた ・辛い事が多かった・先生の指導がきびし過 ぎた ・病気が移ってしまった ・日誌・先生との人間関係・障害児保育・毎 日全力 ・自分に向いていない ・健康状態が悪かった ・子どもと沢山かかわれ,色々な経験ができた ・未満児に癒された・甘える子が多い ・子どもの事を考えるのが楽しかった ・かかわり方がわからない ・寝る時間がない・厳しい指導 ・自分の勉強,観察力,積極性の不足を感じた ・沢山指導してもらった ・のびのびした保育,環境 ・先生方の連携,雰囲気が合う ・将来絶対勤めたい ・自信がなくなった ・期待,希望を持ったのが間違いだった ・技術のなさを実感した ・子ども 300 人,先生 50 人 ・先生と会話することもなく、質問をしにく かった

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(考察)  それぞれに実感がこもっていて成程と思うが,その反面では学生自身のこれまでの社会観・ 人間観と,受け入れ先の人々とのそれとが正面から直接交わったからのことであって,学生 に対しては「職業としての保育士」とはどういうものかの指導が必要であると痛感した。そ れは実習の前にも必要だが,かえって「現実」に触れた後は学生自身の職業観を深めさせる きっかけになるので「後」を重視し,授業の中で折に触れ指導したいと思う。 (5)自己評価 (何か一言) ・積極的に行動しているつもりだったが,先生の評価は厳しかった ・努力がまったく理解してもらえなかった ・保育士を見て,こんな人とは働けないと思った ・厳しく無表情の先生がいた ・冷たい先生に傷ついた ・先生が怖かった ・実習生が入れる雰囲気ではなかった ・先生達の人間関係に疲れた ・休憩室でも緊張をしていた (ア)積極的に行動した (イ)明るく笑顔をたやさなかった (ウ)実習記録簿は毎日提出した (エ)職員との関係は いいえ 5% いいえ 5% いいえ 1% 時々 40% 時々 24% 辛かった 17% あまり 楽しく なかった 44% はい 55% はい 95% はい 75% 楽しかった 39%

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−   − ・次の実習も不安である ・病は気からと思った ・先生が「実習は辛いけど,何事にも積極的に取り組めば将来に生かせるから,一緒に頑 張ろうね」と言ってくれた ・いい体験で子どもとも先生方ともとけこめた (考察)  それぞれ妥当な予測できる答である。積極的に臨むことにおいては事前に指導しているが, 後半は疲れからか息切れしてしまったようである。また,約4割が職員にあまりとけ込めず 楽しくなかったと答えているが,受け入れ先は自分の仕事と学生への対応とで二重の負担で あるし,学生の「楽しい」の内容がどのようなものか分析し,実習の心構えとして指導する 必要がある。 3.学んだこと (子どもから) ・発達の様子(発達段階) ・0歳から5歳までの発達の著しさ ・対応の難しさ ・一人ひとり個性があり個人差もある ・子どもの目線に立って考える ・異年齢のかかわりの大切さ(お互いに成長する) ・思いやりの心が育っていた ・創造性の豊かさ ・思っていたより色々なことができる ・約束を覚えている ・元気いっぱい,好奇心旺盛,素直,温かい,純粋,笑顔 ・大人をよく見ている ・好きなこと,興味のあることには何回も取り組む ・人見知りする子も笑顔で接すれば心を開いてくれる ・保育は自分が楽しまなければな らない ・信頼関係を作ることの難しさ ・正しい言葉で接する (保育士から) ・年齢や発達に合わせた言葉かけ,援助の必要性 ・年齢別のかかわり方の配慮 ・乳児保育の内容・かかわり方 ・母親のように子どもを愛すること ・授乳・おむつ交換・食事の援助の仕方等,生活の介助の仕方 ・ケンカの仲裁方法 ・ほめ方・叱り方 ・どのように子どもを引き込むか ・子どもの意思を尊重すること

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・平等とは一緒に何かをすることではなく,その子に何が必要かを読み取って働きかける こと ・常に子どものことを深く考えて対応している ・アレルギー児や病児への対応 ・保護者との関係 ・地域とのかかわり方 ・常に視野を広く持ち,子どもを見守ること ・感動や喜びが大きい職業であること ・挨拶・笑顔の大切さ ・子どもにとって保育者は鏡であること ・保育を楽しまなければいけない ・子どもを育てる環境の大切さ ・行事前の保育士の大変さ ・記録簿の書き方 ・子どもの心理状態を知る能力は日々の勉強で養われる (実習生として) ・保育園と幼稚園の違い ・保育園は生活の場ということ ・保育園の1日の流れ ・子ども達に接する楽しさ ・子どもに向き合う姿勢 ・積極的にかかわる ・保育者の連携 ・人間関係の大切さ ・笑顔,挨拶の大切さ ・やり甲斐のある仕事 ・保育は人と人との関わりの場であること ・健康管理の大切さ,考えの甘さ,1つのことで精一杯なこと ・自分の反省点がわかった(事前の学習・心構え・その他) ・教養の大切さ,視野の広さ,考えの深さ ・「お楽しみ会」に参加して普段と違う保育が勉強できた (考察)  このように書かせてみると,様々な面で学んだことが多かったようである。中高生の実習 の感想のように「楽しかった」「可愛かった」などではなく,机上の学問が基礎となったも のであることがよくわかる。学生達が今まで考えていた「保育」と現場を経験した後の「保 育」との違いを明らかにし,それが現場において「保育の技術」として身につくよう事例を 出しながら指導したいと思う。

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−   − 4.感動したこと (未満児) ・0歳児が笑顔で近寄ってきてくれた ・言葉はわからなくても気持は伝わっている ・0歳児に笑顔で接すると子どもも笑顔になってじっと見てくれた ・0歳児が最初人見知りしていたが,慣れてきて抱っこしても泣かれなくなった ・0歳児を抱いていると腕の中で眠ってしまった ・手の小ささや柔らかさ ・0歳児に授乳している時,言葉をかけると笑った ・前日遊んだ0歳児がニコニコして寄ってきてくれた ・1歳児が思ったより会話できた ・トイレで排泄できるようになった ・言葉が出るようになった ・実習中に歩けるようになった ・人見知りしていた子が食事やおむつ交換で話しかけていたら笑顔を見せてくれた ・子どもの成長の姿を見られた ・月齢の大きい子が小さい子の面倒を見ていた ・なついてくれなかった子が最終日にバイバイしてくれた ・徐々に慣れて抱きついてきた ・抱っこや午睡時のトントンで泣き止んでくれた ・いつも膝に乗ってくる子がいた ・生まれて初めてのおむつ交換 ・常に新しいことを学び身につけていく姿 (以上児) ・子どもの笑顔 ・自己紹介の時間をくれた ・「先生」と呼ばれた ・子ども達に慕われた ・お昼寝の時「トントンしてね,先生じゃなくちゃやだ」と言われた ・名前を覚えて呼んでくれ,抱きついてきた ・発表会の練習が見られた ・発表会で歌や劇が見られた ・発表会で子どもががんばる 姿 ・発表会本番は素晴らしかった ・障害児を周りの子がフォローしていた ・ケンカをしていた子ども達が先生の言葉がけですぐにおさまった ・ケンカをした時,ねばり強く働きかけていたらよい関係が築けた ・年長が下の子に優しかったり,友達に対する思いやりを見た ・ゲームで悔し泣きをしている子どもを目の前に見て共感できた ・クラスが代わっても声をかけたり,手を振ってくれた

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・実習生がやった手遊びを,子どもが先生になってやってくれた ・自分が本を読んだ後,子どもが他児に読んであげていた ・子どもが頼ってきてくれた ・お別れ会をしてくれた ・子どもから手紙や似顔絵などをもらった ・最終日「来週も来て」と言われた ・最終日「さみしい」「帰らないで」「先生大好き」と言われた (保育士) ・先生が優しかった ・子どもの気持を察していた ・泣いている子も抱かれると泣き止む ・部分実習でほめてもらった時 ・「明るい,保育士に向いている」と言われた ・自分がやった手遊びを先生に「教えて」と言われた (考察)  どれも「実習」に行ったからこその感動で,学生にとって極めて貴重な経験である。ただ 子どもの目から見て実習生は初々しく新鮮な存在であるからこんな風に接してくれたので, 学生達が「先生」になれば日常的な「先生」扱いにされることも知っておく必要があり,日 常に埋没しないためには,内面の充実が大切であることを知らせていきたい。 5.助言を受けたこと (実習生の姿勢について) ・挨拶をしっかりする ・笑顔ではつらつと若さを生かした方がよい ・発達段階を詳しく知ってほしい ・観察・参加実習にもっと積極的に参加してほしい ・課題を持って実習に臨む ・観察だけになっている ・保育者の動きをきちんと見る ・助言を謙虚に受け止める ・積極的に質問をした方がよい ・緊張しない ・積極的に紙芝居や手遊びをした方がよい ・明るく積極的に動く方がよい ・自分の行動に自信を持ち,やりたいことはどんどん聞いてやってみる ・解らないことはその場で聞く,質問が少ない ・言葉遣いをきちんとする ・きちんとした日本語を使う ・はっきり言う ・メモはとらずに子どもと沢山接する ・メモを取りすぎている ・子どもの見えないところでメモを取る

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−   − ・メモを取った方がよい ・健康管理を十分する ・体調がすぐれなくてもそれを子どもに感じさせてはいけない ・雑用など積極的に声をかけ行動する ・雑務に集中し過ぎない (子どもへの対応) ・親と離れて過ごす子どもがどうしたら安心して過ごせるか,その子にあった保育を心が ける ・子どもを第一に考える保育をする ・それぞれ個性があるから一人ひとりに向き合って子どもを理解する ・明るく,笑顔で元気いっぱい子どもと接する ・子ども達に積極的に話しかける ・子ども達にはきちんと話をすればわかる ・日々,子どもの様子(心身)が違うのでよく観察し接する ・子ども一人ひとりの気持を大切にし,よく考えた上で言葉がけや援助をする ・お姉さん・お友達の口調ではなく「保育士」らしい口調で接する ・叱ったりできない人が多いが,いけない時は叱った方がよい ・自分でやろうとする気持を育てるために見守ることも大切である ・子どもと遊ぶばかりでなく保育者の動きも見るようにする ・子ども同士のトラブルは仲裁するばかりではなく,子ども達での解決を見守ることが大 切である ・安全に留意する ・常に子どもの居場所を把握する ・子ども達に「させよう」とするのではなく,子どもが「したい」と思うようにする (記録簿について) ・くわしく書き,丁寧に,読みやすく ・文章力をつける ・誤字,脱字に気をつける ・発達段階や気づきを書くとよい ・実習のねらいは具体的に,ねらいにそった反省を書く ・言葉の使い方を間違えると意味が変わってしまうので気をつける ・印象に残ったことだけを書くとよい ・細か過ぎないようにする ・聞いたことも記録に残す ・簡潔に読みやすく書く  ・まとめをしっかり書いた方がよい ・先生が言ったことの意図を書いた方がよい ・反省したことが次の日に生かされているか書いた方がよい

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・環境構成をもっと詳しく書く ・実習生の気づきをもっと書いた方がよい (部分実習) ・おむつ交換,衣服の着脱,食事の介助の仕方 ・紙芝居や絵本の読み方(声をはっきり,大きな声で,早口にならない等) ・紙芝居や絵本はなるべくキャラクターものを避ける ・本や紙芝居は子どもの集中できる環境を整えてからやる ・落ち着かせてから活動に入る (その他) ・指導案が簡単過ぎる (考察)  この問題も,職員の個人差と実習生の個人差から生まれるという面もある。例えば「助言」 の場合,学生は無意識のうちに自分にとって一番刺激的な言葉を抜き出し,文脈を無視して いるかもしれない。どのような文脈でどういう言葉が発せられたのかを知る必要がある。事 の正否は別として学生に,言葉は具体的かつ特定の文脈(出来事の流れ)の中で語られるも のであることを知る必要があると教え,そうでないと自己弁護になって認識が正確でなくな る危険があると指摘するのも大切だと思う。  しかし,これらの助言も全体としては学生達の弱い部分を指摘しており,今後の指導の参 考にしたい。 6.学校で事前に,こんな事を指導して欲しかったと思ったこと (遊び) ・年齢別に沢山手遊び ・簡単なゲーム ・童謡,わらべ歌,季節の歌,子守唄,昔の歌 ・集団遊びについて ・折り紙・ハンカチ遊び・軍手人形等 ・パネルシアター,エプロンシアター,ペープサート ・絵本の読み方 ・年齢別紙芝居 ・部分実習で使える遊び(制作等) (知識) ・指導案 ・子どもの発達段階

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−   − ・記録簿の書き方 ・未満児に関しての知識を詳しく ・保育園の生活・1日の流れ ・年齢に合った部分実習の内容 ・0才児の保育をもっと詳しく ・障害児への接し方 (生活の介助) ・授乳方法,ミルクの作り方 ・ご飯の食べさせ方 ・検温の仕方 ・おむつ交換(種類が違う) ・排泄の介助の仕方 ・おんぶの仕方 ・着脱のさせ方 (その他) ・礼儀作法 ・不安を楽しみに変える方法 ・どの保育士も納得する記録簿 ・保育者とうまくコミュニケーションをとる方法 〔その他,実習生の反省点として…自分自身の勉強不足だった。自分でもっと事前学習して おくべきだった〕 (考察)  授業で教えたにもかかわらず自分の事情で覚えていない事が多い。これも人間の常で,ま ず自分の非を認めた後,問題点を指摘するという,ひと呼吸置く習慣を学生達につけさせる よい機会である。但し,乳児の発達については,ひと通り説明したが保育実習の授業の中で は十分な時間は持てない。「乳児保育」をはじめとして,関係する「他の教科」の担当講師 と連携し,多くの知識や技術が習得できるようにしたい。今後の課題である。 7.その他 (楽しかったこと・嬉しかったこと) ・子どもが名前を覚えてくれた ・子どもに大好きと言われた ・人見知りの子が近づい てきてくれた ・大勢の子と接することができて良かった ・一緒に遊んで楽しかった ・普段かかわれない乳児にかかわれて嬉しかった ・子どもがなついてくれた ・慣れない場所で疲れたが,子どもが可愛くて楽しかった ・「先生の雰囲気は子どもに好かれるよ」と言われて嬉しかった ・エプロンシアター楽しかったと言ってくれた

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・毎日が楽しかった ・最終日,プレゼントをもらったり,「寂しい」「行かないで」「ずっといて」と言われた ・先生が休憩中話しかけてくれた ・積極的にやっていると評価してくれた ・今回の実習が楽しかったのでがんばって保育士になろうと思った (不安になったこと・嫌だったこと・辛かったこと) ・将来子どもの事を深く考え,理解し,努力する保育者になれるだろうか ・子どもへの接し方で「これでいいの?」と思うことがあった ・実習生として学ぶべきものがわからなかった ・記録簿の書き方がわからない ・記録簿の内容が幼稚だと言われた ・記録簿の書き方がわからず時間がかかってしまう ・記録簿を返してもらえなかった ・自分の字が汚いのが嫌だ ・自分は意欲が足りない気がする ・笑顔が消える瞬間があった ・自分が思っているように動けなかった ・笑顔でいたのに元気がない,笑顔がないと言われた ・積極的だったと思っていたのに消極的だと指摘された ・前半慣れずおどおどしてしまった ・帰りづらい ・3週間は長く辛かった (職員のこと) ・いろいろ話しかけてくれて,質問には丁寧に答えてくれた ・子どもと接するとき,とても楽しそうで尊敬できた ・忙しい中,質問に細かく答えてくれたり,熱心に指導してくれた ・先生方がよくしてくれた楽しい実習だった ・先生が若くて笑顔を絶やさず感じがいい ・子どもの頃お世話になった先生がいたので接しやすかった ・所長・主任が厳しくて怖かった ・嫌われている人がいたり,先生方の悪口(陰口)が多く怖くなった ・気の合わない先生とはやりにくかった ・休憩室は怖く,気まずい

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−  0 − ・先生によって指導が違っていた ・子どもを怒るとき,腕を引っ張ったり,オモチャを投げて箱に入れたりしていた ・実習生をうっとうしがっていた ・布団の畳み方も知らないと言われた (幼稚園と保育園) ・幼稚園の方がよかった ・幼稚園と違い先生方とコミュニケーションがとれた ・幼・保の実習の良さに差があって戸惑った ・良い保育士になりたい ・雰囲気がよかった ・保育園はのびのびしていて,時間がゆっくり流れていき家庭的 ・3歳未満児を見られてよかった (給食) ・給食もおやつもおいしい ・おいしくない ・おかずの量が多かった ・ゆっくり食べる時間がなかった ・給食室の衛生管理がすごい ・作ったが大変だった ・やさしく教えてもらえた ・給食で初めてカリフラワーを食べた (実習記録簿は書きやすかったですか) ・項目がわかりにくいと言われた ・難しかった ・書き方に自信がなく戸惑った ・大きくした方がよい ・一枚に書くのは難しい ・横線がほしい ・書きやすかった (その他) ・3週間は長いと先生に言われた ・体調管理ができなかった ・保育士に向いているか不安になった ・良い環境で実習できた事を感謝している ・この体験を忘れないようにしたい (考察)  学生にとっては理不尽と映ることが多かったろうが,それを相手に非があると考えるより も「現実」とはこういうものなのだと知って,それに対して自分はどう対処するかを考えさ せる必要がある。実習に際しての新鮮で希望に満ちた若者の心は大切だが,同時に職員が結

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婚し,子どもを育て,残業や職員同士の不和や彼ら自身の個人的苦悩を背負って生活の糧を 得るために必死なのかもしれないと考えれば「それは未来のあなた方の姿なのかもしれな い」と教え,その中で出会った一人か二人のすばらしい保育士を見習おうと考える方へと学 生の関心を引きつけた方が意味があると思う。個々の対策は対策として提案し,それを実現 させるように努めながらも「社会」に出ていく直前の若者達にもそれなりの自覚をしてもら い,今からでも勉強は間に合うのだからと,能力の不足の面を補うように指導しようと思う。 8.今後の課題(2年生の実習授業で話し合いたい事等) (課題) ・実習を楽しみたい ・緊張せず,自信を持って,積極的に笑顔でいるよう心がける ・実習の準備を早めにする ・実習グッズを揃える ・積極的に質問する ・体調管理をきちんとする ・ピアノを練習する ・部分実習でできることを増やす ・手遊びや紙芝居を練習する ・できるものを増やす ・自分自身の目標を明確にし,積極的に取り組む ・反省をきちんとして,気持を立て直す ・発達に合った保育を事前によく学び,自分なりにアレンジできるようにする ・記録簿の提出は決められた時に出す (学びたいこと) ・みんながどんな実習だったのか,体験談を聞きたい ・子どもの発達段階と関わり方について ・部分実習や責任実習の詳しいやり方 ・情緒不安定な子の関わり方 ・指導案の書き方 ・手遊び ・雑巾のしぼり方 ・保育士とどう関わったらよいか ・いつ質問したらよいか ・去年の報告書を見たい ・記録簿の書き方 ・基本から教えてほしい

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−   − (考察)  現場での実習を経なければ気がつかない点に気づき,しかも他人の経験や前年の記録をも 学びたいというのは,学生の成長を示しているものだと思う。学生の知識欲に応えるべく, 次の実習においては,できる限りの対応をしたいと思う。これについて2年生には,このア ンケート調査結果を配布した際に,一つひとつを取り上げ今後の保育所実習への取り組み方 を話した。1年生にはこれを参考にして,先輩が実際に経験した結果から出た課題として授 業の中に取り入れたい。 おわりに  今回の調査は,現代の若者の心のありさまが如実に現れている調査結果であった。あえて 学生達の生の声をそのまま採録したのだが,それは学生として本学で接している若い男女の ありのままの姿を描き出したいからである。ほとんどが20 年間「家庭」と「学校」の間で 暮らし,外界から守られてきたのだが,そこには「人間」あるいは「社会」の即物的な認識 が欠如している。そういう学生達にとっては実習こそが「人間」と「社会」との赤裸々な初 めての逃げることのできない接触である。その反応が瑞々しくも神経質な表現となって形を 与えられている。この「未知なるものとの遭遇」によって人間が本来持っているものの,し かし実際にはそれを隠して生きてきた彼らが,本来的な喜怒哀楽を露骨に示し,七転八倒し ている様は感動的でさえある。今回の経験は彼らにとって「保育所(園)」という範囲を越 えて極めて貴重な経験となったと思える。  私達は学生達の報告や要望に対して個々に誠実に答える必要がある。しかし,それ以上に 「人間」と「社会」について,その即物的な姿を彼らに示す必要があると痛感した。彼らは 生い立ちや性格に従って自分好みの「世界」のイメージを持って生きている。だからこそ十 人いれば十の異なった世界が拡がり,お互いがそれを表現し合うことによって「他者の世界」 が自分のそれといかに違うかに気づくのであるが,今回の調査を見ると,彼らの世界の相違 を認めつつも,最大公約数的な「人間」と「社会」の実質をなるべく早く共有できるように しなければならないと思う。  今回の調査によって大きく言えば現代日本の青年における人間観,社会観,世界観が明確 に体得されておらず,言わば広大な社会の中で手さぐりで生きている実態が明らかになった。  これは単に日本独自の現象ではなく,アメリカ社会においてもすでに 50 年前に顕著なも のとなり,リースマンが『孤独な群衆』の中で総合的に分析している。  次の機会には学生達へのさらに詳細なアンケートを実施し,単に保育実習のための対策を 立てるだけではなく,それを含めて今日の青年の本質を明らかにしようと思う。  その際リースマンの社会心理学的探求と,幼年期に明確な文化的枠組みを持たなかった者

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が青年期にどのような精神的危機に遭遇するかをテーマに研究したエリクソンの『幼児期と 社会』を主要な手懸かりとして研究を深めるつもりである。 この分析をもとに的確な対策を立てて授業に取り入れ, ・知識を実際の場に関連づける力を養う ・知識・技術を実践に生かす応用力を身につける ・体験を通して学んでいくことの大切さを身をもって知る という保育実習本来の目的を達成するよう努めていこうと思う。  すでにこの調査結果を1年生の実習授業で使い,実習中の様々な事についての対策をまず 学生自身に考えさせるようにした。そうすることによって実習についての個々の備えの他に 実習の全体像がわかり,学生達の抱くイメージが精密になり彼らが,真剣に取り組もうとす る姿勢が見られるようになったと思う。 参考文献 1)阿部明子編著 『教育・保育実習総論』萌文書林,2005 年 2)E.H. エリクソン著,草野栄三良訳『幼児期と社会』日本教文社,1954 年 3)デヴィット・リースマン著,加藤秀俊訳『孤独な群衆』みすず書房,1965 年

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