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波の自動計測のための画像処理

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(1)

TUMSAT-OACIS Repository - Tokyo University of Marine Science and Technology (東京海洋大学)

波の自動計測のための画像処理

著者

岸本 卓也

学位授与機関

東京商船大学

学位授与年度

2004

URL

http://id.nii.ac.jp/1342/00000671/

(2)

診雛輪慧

修士学位論文

波の自動計測のための画像処理

平成16年度

 (2004)

学籍番号 2003305

  岸本 卓也

東京商船大学大学院

  商船学研究科

交通電子機械工学専攻

(3)

目次

第1章 波の画像処理の背景

 1.1 日本と海洋 ・・・・・…

 1.2 波浪の基本 ・・・・・…

第2章 砕波

第3章 砕波画像解析システム

 3.1 現在の波浪情報 ・・1・…

 3.2 砕波画像解析 ・・・・…

 3.3 砕波画像解析システム …

 3.4 本研究の目的 ・・・・…

第4章 周期検出の実験

 4.1 実験画像取得 ・…  ◎・・

 4.2 ヒストグラム ・・・・…

 4.3 2値画像処理 ・・・・…

 4.4 領域分割による雑音除去 ・・

 4.5 輪郭線抽出 ・・・・・…

 4.6 細線化 ・・・・・・・…

 4.7 周期検出のための波の抽出 ・

 4.8 周期検出 ・・・・・・…

第5章 波高検出の実験

 5.1 フレーム間差分 ・・・…

 5.2 膨張・縮小 ・・・・・…

 5.3 波高検出 ・・・・・・…

第6章 まとめ,考察

1

1

1

4

10

10

12

13

14

15

15

16

17

19

22

24

26

29

31

31

33

35

42

(4)

謝辞

参考文献

43

(5)

波の画像処理の背景

1.1

日本と海洋

 海洋は地球の表面積の約7割を占める.日本は,四方を、総延長,34,386k mにもおよぶ海岸線 に囲まれている.それだけに,人々の「海洋」とのかかわりは深く,現在も「海洋」の利用は盛 んに行われている.  近年のアウトドアレジャーのブームとともに,多くの親水性レクリエーションが各種メディァ などで紹介され,人々が水に接する機会が増大している.最もポピュラーな海水浴については,

夏季の2ヶ月間に3000万人もの人が参加する国民の一大レジャーとなっているが,その中で

毎年,数百人もの尊い命が失われているという現実がある.その理由としては,遊泳者の水に対 する認識の甘さ,救助員の技術不足,海岸などの安全管理体制の不十分さが上げられる.また, 沿岸の漁業や,サーファーにとって波の動きの把握はとても重要な関心事である.サーフィンは, 波の斜面を滑ることでスピードを出し,楽しむスポーツである.また,自然相手のスポーッであ り,判断を誤ると命にかかわるスポーツであるため,常に,正確で新しい波情報を求めている. 本研究では,特にサーファー等向けの沿岸の波の解析を指向する.

1.2 波浪の基本

波浪 風浪とうねり

 波浪の源は,おもに,はるか外洋で風によって作られる風波でありる.まず,風によって海面 が乱れ,小さなさざなみができ,それらの小さな波が重なり合い大きな波となる.その波が風域 を出るとまとまり,その波が岸に打ち寄せ,浅瀬にぶつかって砕ける.一度引き起こされた波は, 水の粒の運動として周囲へ伝わるので,そこに風がなくても伝わってくる波もある.土用波とい うのは,はるか南海上で発生した台風による波が,1,000k m以上もはなれた日本へ伝わっ てきたもので,このような波をうねりと言う.これに対して直接風によってできた波を風浪と言 う。風浪とうねりをあわせて波浪とよばれている. (1)

(6)

波長と波高

 下図,図1に示すように,波の山から山の長さを波長,谷から山の高さを波高とよぶ.風が強 くなると波高も高くなるが,波高が波長の7分の1以上になると山がくずれ,白波ができる.風 速が大きいほど,風域(風からエネルギーを受ける領域)が長いほど,また,風の継続時間が長 いほど大きな波が発生する.しかし,ある時間以上吹き続けても,風域の大きさで決まるある限 界値以上の波高にはならない.風域を離脱し,風からエネルギーの供給を受けずに伝播する波が うねりである. 山 山 油高 泣高 − 油長 図1.1 波長・波高

波のエネルギープロセス

 風→水面へのエネルギーの移行→風浪の発達→風浪の伝播→変形(うねり)→海岸への遡上. 強風域の中で,その強風によって起こされた波が「風浪」であり,風域外に伝播して「うねり」 に変化する.「風浪」は,個々の波が相互に干渉し合い,鋭い頂を持った山脈と似た形をしている. また,個々の波はそれぞれ違う方向に進み,不規則であるため,任意の点において,現在通過し つつある波の次にどのような波が来るかを予測することは出来ない.一方,「うねり」は丸い頂を 持ち,「風浪」と比べ,波の斜面はゆるやかである。「うねり」は比較的規則的で,高い波が来る と,おなじくらいの波高のうねりが数本続く.しかし,1時問に数本今までの波高の2∼3倍の 波高の「うねり」が届くことがあるため,「うねり」は短時間内では予測が可能であるが,長時間 にわたっての予測は「風浪」と同様に不可能である.

(7)

浅海波

 海の深さが波長に比べて十分に深くない場合は,波の伝播速度が変化するばかりでなく,波の 発生,及び衰弱もまた海底の影響を受ける。水深が波長の1/2より浅い海域(浅海域)に波が入 ると,波の速度が遅くなるとともに,波の頂きの高さは高くなる。浅海域を通り越した波は再び 元の速度を取り戻す.遠浅の海岸に近づいた波は岸に近い部分が減速され,方向を変えながら岸 に向かう.海岸線に達する時には海岸線に平行な形に極めて近くなっている.水深が波長の1/25 より小さくなると長波(極浅水波)とみなせ,波の伝播速度C,周期Twはそれぞれ

c=極瞬)

T.=

傷瞬)

(1,1) (1,2) で求められる.ここで,h=水深(m),Lw二波長(m),g=重力加速度(m/sec2)である.潮流 のある海面や河口等のように流れの速い所では,その流速に相当する波の速度は増減し,波高も それに応じて変化する.引潮の時の河口で極めて高い砕波が発生するのはこのためである. (3)

(8)

砕波

 海岸付近に届いた波は,海岸の地形によって変化し,白い泡とともに崩れていく.波には大き な力があり,その力は海岸にたたきつけられ,そのため陸地は削られたり,運ばれてきた石や砂 が堆積する.波が岸に近づくと,それまで円の形で動いていた水の粒は,海底の地形によって, 楕円形につぶされ,最後には地形にそって水がかけ上がる流れとなる.そして,力がなくなると, 重力によって,地形の傾きに沿って海へ戻る,本研究では,海岸付近で,うねりが海底の地形の 影響をうけ,崩れる波のことを「砕波」と呼ぶ.また,波が砕け白い泡の波のことを「スープ」 と呼ぶことにする. 下の図2.1は砕波の画像である.また,ここで,砕波についての言葉をいくつか説明する. ①ボトム:波の一番下の部分の水平なところ. ②リップ=波が崩れる寸前の一番高いところ.斜面は一番きつい. ③フェイス:波が掘れあがる斜面のあるところ.サーファーはこの部分をすべることで        加速する. ④スープ:波が掘れあがった後,砕け,白い泡が見えるところ.  以下に,図示する. 柵}蹴  蹴 灘 灘 弼

蝋      照 .期卍       .、照 難       ぜ              翻鰻        鰍癬雛 _

、灘議灘轟鞭轟聖覇聾.轟墨聾

             難欝雛鑛羅螺漱

.難灘 騰

   図2.1砕波

(9)

砕波の砕け方

 砕波には決まった形は無く,“波には2つとして同じ波は無い”と言われる不定形物体であり, サーファーにとって波の砕け方は,その日のサーフィンの楽しみ方に大きく影響するため特に注 視する点である.また砕波は,一般的に,以下のような条件により砕け方が変化する.

①風

 風は空気の移動によって起こるものである.風は波を作り,さらに波の砕け方にも大きく影響 する.沿岸部において,岸から沖に向かって吹く風をオフショア,反対に沖から岸に向かって吹 く風をオンショアと言う.オンショアは風波を作るが,強く吹きすぎると,波面は乱れ,ぐちゃ ぐちゃなチョッピー状態となる.逆にほどよいオフショアが吹くと,乱れた波面を整え,波面が きれいな波をつくってくれる.また,オフショアが強く吹くとうねりを押し戻す方向に力が作用 するため,波の波高が小さくなる. 図2.2 オフショア画像 (5)

(10)

   }  強

  脚

  藍畑

    

    一一

 …難

  澱灘難鞭

   ㎜難難懇

   照灘雛雛 簸              冒甥55常    .聴    躍蕪i 年郷郡  蝋田    v_聾 灘i’麟. 世嘉       

  聾,…i

      

 ㎜灘難…議灘嚢

董嚢垂聾

聾馨i難葦藝i

鞭霧i灘難灘嚢.嚢灘i        図2.3 オンショア画像

②地理:

 沖合いから届いたうねりは海岸に打ち寄せられ砕波となる.砕波の様子はその土地の地理的条 件によって大きく変わってくる.例えば,太平洋沿岸を低気圧が通過し,太平洋沿岸の波高が高 くなっているときでも,東京湾は比較的穏やかである.

③地形:

 第1章でも述べたように,水深の浅い海域では,波浪は海底の影響を受ける.つまり,砕波も 同様に海底の地形の影響を受け,崩れ方が大きく変化する.海底の地形は以下に分類することが 出来る.  ・サンドバー: 砂の堆積によってできた海底であるため,地形が変化しやすい.  ・リーフ: 海底は岩礁でできているため,地形は変化しない.   リバーマウス(河口): 川から流されてきた砂や石が堆積され,波が立ちやすくなる.

(11)

④流れ

 海には潮の流れというものがあり,カレントと呼ばれる.特に沿岸部の浅瀬にできる.沖から 岸に打ち寄せられた波が,岸から沖に戻るときにできる流れで,この潮の流れを離岸流(リップ カレント)といい,流速は最大で毎秒2mにもなる.毎年,この離岸流で沖に流されるという海 難事故が報告されている.  リップカレントを見つける方法として,まず,他では波がわれているのに,そこだけ波がわれ ていないところ.また,沖に向かって海底の砂が巻き上げられて,そこだけ色が変わっていると ころ.同じように漂流物や泡が沖へ向かって流れているところ.さらに,砂浜が一部低くなって いて,海に向かって緩やかになっているところの延長線上にリップカレントがある。という方法 はあるものの,実際にカレントを見極めるにはある程度の経験が必要であるため,正確に把握す るのは難しい. 図2.4 カレント図

⑤潮汐

 海には潮の干満がある.これは地球と月と太陽の引力によっておこる自然現象である.それぞ れの惑星の持つ引力が地球の表面を覆ってい’る海水に微妙に影響を及ぼす.つまり,引力により 海面が膨れ上がる部分と,反対に海水が少なくなる部分ができるが,それがいわゆる潮の満ち干 きである.月と太陽と地球が一直線に並んだとき,潮に影響する起潮力という力が最大限に働き, 海面は大きく盛り上がる.これが大潮である.反対にこの起潮力が直角に働く時,干満の差は最 も小さく,小潮となる。潮の状況は月を見ればわかるが,満月や新月の時は大潮,下弦・上弦の 月の時は小潮となる.1ヶ月単位で考えれば,大潮・小潮・長潮・若潮といった時がある.1日 単位で考えれば,通常,満潮・干潮が1,2回ずつある.  潮の干満により,海の水深が変化することで,波が崩れる地点の地形が変化し,砕波の様子が 変化する.また,波が崩れる地点が変化するということは,陸上の任意の地点から砕波まで,の 距離は刻々と変化することとなる.        (7)

(12)

 これら風,地理,地形,流れや潮汐によって様々に変化する波の例を以下にあげる.ただし波 の名称はサーフィン用語である、     ダンパー:波が崩れる時,広範囲にわたっていっせいに崩れる.または崩れるスピード

        が早い波

    マッシー:波が厚く,崩れない.または波の上部だけが崩れ傾斜がない.     ホロー :波がフェイスの傾斜が大きい.時よりチューブとなる. 艦} 蕪 醸 難 図2.5 ダンパー

(13)

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(14)

砕波画像解析システム

3.1現在の波浪情報

 上でも述べたとおり,マリンスポーッ愛好家にとって波情報というものは,とても重要であり, その内容は,正確でかつ新しい情報が好ましい. 現在,波情報を得られる方法として以下のものが挙げられる.

①気象庁発表波浪GPV予測

 G P Vというのは,“Grid PointValue”の略で,日本語に訳すと“格子点値”となる 気象の予測に使うための,立体的な網目を日本列島周辺の上に設定し,辺と辺の継ぎ目が,格子 点値(G P V)の地点となる.気象の予測には数値予報という形式も用いられていて,気象庁が 各地の観測点の実測値や前回の予測値を用いて,格子点(G P V)毎の物理法則に基づく計算で, 次にどうなるかを予測した気象情報の数値データを作成している.  この予測の波浪版が“波浪G P V予測”である.“波浪G P V予測”の場合は,“風による風浪 の発生・発達”や,“波と波との相互作用”,“逆風や砕波による波浪の減衰”などを物理法則に基 づいて計算した,波浪の変化を予測するためのプログラム(数値波浪モデル)が用いられている. つまり,“G P V波浪予測”というのは,この数値波浪モデルを用いて,気象庁のコンピュータが 計算した波浪予測である.  沖合いの波浪による波が海岸線に届き,サーフィンする波となるのだから,沖合いの波浪を予 測した波浪G P V予測は,サーファーの波予測には大きく役立つ.しかし,沿岸波浪予測ですら, 沖合い30kmの地点の波浪を予測している数値なため,決してサーフポイント(サーフィンを する場所)の波浪予測ではない.  下の画像は気象庁の発表する沿岸波浪予想図である.この画像で赤いところは波高が高く,逆 に,青いところでは波高は低い.また,矢印はうねりの方向を示している.この画像で日本近海 のうねりの高さがある程度見てとれる.しかし,サーフポイントでどれくらいの波高の波がどの ように砕けているかは全く分からないのでサーファーにとってはあまり有用ではない.

(15)

図3.1 沿岸波浪予想図 ②携帯電話による波情報  企業が提供する波情報を携帯電話によって得ることが出来る.この情報は,人がサーフポイン トに行き目視によって得た波情報を携帯電話に配信するといった方法である.実際の砕波の様子 がよく分かる.しかし,1地点にかけることのできる観測時間が短く,人の波の判断に個人差が あり,実際の波との誤差も大きい.また,更新も平均すると3時間ごとである.

③ライブカメラ

 沿岸付近に据え付けられた定点カメラによる波の画像をインターネットにより見ることができ る.これは,リアルタイムで情報を得ることができる.しかし,カメラの設置地点と波の崩れて いる地点との距離があるため,波が有るか無いかの判断はある程度できるが,波の砕け方までは よく分からない. (11)

(16)

3.2砕波画像解析

 まず,不定形物体である砕波がどのような情報を持っているかを以下に示す.これらの情報を 得ることができれば,砕波の状況を知ることができる.  一定時問における波数及び周期  周期のばらつき具合  砕波の波高  うねりの波長(厚み)  砕けたあとのスープの厚さ  波面状況 ・ うねりの砕け始め∼終わりの時間と距離(dの距離と時間)  砕け始めた場所の横幅(Aの距離)  砕け終わった場所の横幅(b及びcの距離)  左右それぞれの砕けていく方向とスピード(Bの角度とスピード)  左右それぞれの砕波距離(aの距離)  砕波のスピード変化とスピード毎の距離(Bのスピード変化と各距離) 図3.2 砕波画像解析模式図 上図は砕波の様子を上空から見た図である.波の砕けた地点(スープ)の変化を表す.

(17)

3.3 砕波画像解析システム

波浪画像解析:   ↓ データベース化   ↓ 未来画像の活用  海岸にビデオカメラを設置,撮影し,得られた画像の色彩・明暗変化などの特 徴から砕波を解析する.  解析で得られる砕波の波高,周期,スピード,砕け始め∼砕け終わりの距離 などに加え,天候(風向・風速・気温),地形データ,天気図パターン(気圧配置 やうねりの根源の位置)などをデータベース化.  砕波の無人センシングに役立てる他,波浪予測データと,今の画像及び過去 の画像データベースとの合成により,未来の砕波の予測画像などを作成し提供す る.  リアルタイムな現地情報のセンシング及びそれらにより蓄積されたデータベー スの活用により,未来の状況をビジュアル的に再現し,各種情報の提供に活かす とともに,広く危険回避,沿岸工事などにも役立てる. (13)

(18)

3.4 本研究の目的

 砕波画像解析システムを構築するにあたり,まずビデオカメラからの画像の解析により砕波の 解析を進める.   _難一撫難        鰯羅難萎蕪難雛難

      灘

』、酪凸、聯躍   ・      _                     灘鰭繋i  _燃

      

羅襲萎羅

媚 猟

馨議葦簸羅_

胤_  翻轍蝋

藩灘灘鞭灘糞嚢灘灘_

       図3.3 砕波画像解析画像       ㎜㎜㎜鐡黙    撚難難   ㎜灘蕪灘灘蝶          瀦   難   ≡灘灘轍  撚≡硝纈撚

轟鞭  轍彗墨難鍵嚢嚢簾

一 .騰難踊轍囎謂旺嚢…韓騒

朧羅簗繍  弼肋  チ撒 難  図3.3砕波画像解析画像において,スープ(白い泡=赤枠内)に注目すると,スープの高さ(h 1)は,波の波高(h2)に近似する.また,スープ領域の検出は,波の左右の砕けていく方向・ スピードや,砕波のスピード変化の解析に対し,とても有用であると考えられる.そこで,砕波 のスープ部分を検出し,サーファーにとって必要な情報の抽出を本研究の目的とする.

(19)

+4

4.1

j TU lf

(

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J4.1 : I U Jf ..l

(20)

図4.2 原画像2

 原画像1,2は神奈川県辻堂海岸で撮影したもので,その日の波高は0。5∼L O mであ

った.画像2は画像1の9フレーム後の画像であり,フレーム内に砕波が1つ入っている画像

をサンプル画像とした.

4.2

ヒストグラム

 ヒストグラム(histogram)とは頻度分布の意味であり,画像データのもつ特徴を調べるた

めに用いられる.1画素あたり8ビットが割り当てられている濃淡画像では,画素値として0

から255までをとることができる.ヒストグラム作成に際しては,画像中に各画素値がどの程 度の割合で存在するかを調べる.まず,C[0]からC[2551までの合計256個のカウンタを用意し て,その値を0に初期化する.次に,画像中のすべての画素値を調べ,その値に対応するカウ ンタの値を1増加させる操作を行う.つまり,画素値が1のとき,カウンタc[i]の値を1増加 させる.次に,画素値を横軸にとり,その画素値の頻度(カウント値)を縦軸にとると下の図 4、3,図4.4となる.

(21)

図4.3

         濃淡値

原画像1のヒストグラム

図4.4

         濃淡値

原画像2のヒストグラム

4.3 2値画像処理

 ある閾値(thresholdv&lue)Tを決め,濃淡画像中の画素値がTより大きいときその画素値 を1,それ以外のとき画素値をOにする変換を画像の2値化とよぶ.式で示すと,

9(x,y)

一{1

∫(x,y)≧丁

上記以外

(4.1)

となる. f(X,y),g(X,y)は,それぞれ処理前,処理後の画像の(X,y)の場所

にある画素の濃度値を,Tは閾値を示す。図9,図10の原画像1,2の2値画像が下の図4.5, 図4.6である.なお,閾値丁は!00である. (17)

(22)

τヌ   ¶.撃ぢ 幽験←♪ 瓦

.φ

A

図4.5 原画像1の2値画像 臼舗‘ 疲 幽

4

   ム』     』

一一■     一    一一’ 一』   一一〇』一一 } 一     南    A }→    冒・一 図4.6 原画像2の2値画像

(23)

4.4 領域分割による雑音除去

 連結しているすべての画素に同じラベル(番号)を付け,異なっている成分には別のラベル を付ける処理をラベリングという.この処理により,個々の連結成分に分離することができる. 以下にラベリングされる様子を示す.

①ラベルが貼られていない画素に新しい

  ラベルを貼る.

④もう一度最初からたどって,自分と別のラ

  ベルが隣接していた場合,小さい方を優先   する.

②互いに連結した成分に同じラベルを貼⑤

  る.異なるラベル同士が隣り合った場   合は,小さい方を優先する.

1

1

2

1

1

1

3 2

1 1

2

1

1 1

1 1

1

1

1 1

1 1

すべてラベル付けされれば終了.

1 1

1

1 1

1

1

1

1 1

1

1

1 1

③最後までラベル付けする。

1 1

2

1 1 1

3

2

1 1 1 1

1

1

図4.7 ラベリング (19)

(24)

 本実験では,ラベリングによって領域分割し,画像のラベルごとの面積を求め,ある閾値を 決め,閾値より小さなラベルは除去するという作業を行った.図4.8,図4.9はそれぞれ原画 像1,2のラベリングである.この画像では,波の部分の領域と陸地が検出されている.

(25)

同様に面積の閾値の値を変え,波の部分だけを取り出すと図4.10,図4.11となる.

図4.10 原画像1のラベリングによる波領域の抽出

図4ユ1

原画像2のラベリングによる波領域の抽出

      (21)』

(26)

4.5 輪郭線抽出

 輪郭は濃度値が急激に変化する部分であるから,関数の変化分を取り出す微分演算が輪郭抽 出に利用できることがわかる.微分には1次微分(グラディエント)と2次微分(ラプラシア ン)とがあり,ともに輪郭抽出に利用できる. 1次微分(グラディエント):

 座標(x,y)における濃度の勾配を表す1次微分の値は大きさと方向を持つベクトル量

σ(X,y)=(麟)として表現できる・ここで五はx方向の微分・伊y方向の微分

をしめす.』 ゐ,ゐはディジタル画像では,

・方向の微分 ∫、=∫(X+1,y)一∫(X,y)

(4.2) y方向の微分

∫,=∫(x,y+1)一∫(革y)

で計算する. 2次微分(ラプラシアン): 2次微分(ラプラシアン)L(X,y)はグラディエントをもう1度微分したもので,輪郭の 強さだけを検出するのに用いられ,ディジタル画像では次の式で表される.

L(x,y)=8・∫(切一∫(x−1,y−1)一∫(x−1,y)一∫(x−1,y+1)

一∫(x,y−1)一∫(x,y+1)一∫(x+1,y−1)一∫(x+1,y) 一∫(x+1,y+1) (4.3)  ディジタル画像ではデータが一定間隔にとぴとびに並んでいるため,本当の意味での微分演 算はできない.このため(4.2)式および(4.3)式のように隣接画素同士の差をとる演算で微 分を近似する.  また,ラプラシァンについては,そのままでは出力画像がOを中心に正負に振れるものにな るため,ここでは絶対値をとったものを出力とする.

(27)

図4.12 図4.10の2次微分

図4.13 図4.11の2次微分

(28)

4.6 細線化

 太さが不ぞろいの輪郭線を同一の太さの線(1画素の幅)に整える処理で,閾値処理を行っ た後の2値画像で行う.太い輪郭線を外側から削っていき,1画素の太さとなったところで処

理を終える.図4.12,図4.13の細線化を行った画像が図4.14,図4.15である.

(29)

図4.15 図4.13の細線化

(30)

4.7

l 1

L} ) )q)Y

) J E}

2 * fSf n V Lf ) ) t lJ; JL, - )7 ; ) U L " , LIC i !; E; i f . 1 t! lf' *"a) ) j l 4 16 e T

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(31)

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(32)

 図4、18の画像より波の検出のための直線を抽出するため,領域分割により雑音を消した画 像が図4.19となる.

(33)

4.8 l

tLI

I l l If *JiiC z ) ; >f v* ・ I ( 4.7 I l Lf,_- v L,'T( < (?), J ) ' .* i 4'f . = ), o (f v*), I : ; o ・ I iC ・.^, ) f,_'・ o c '・^" ; 1 - ; )7L :f LB F lc4 ; ) * ) O C f._- ・ !^. i ) _ , . ) fe ru Bu(7)Y ! (7)Ji (7) ・・ ・ J ; < ;T;, 7l ; L, f} [ 5 iC , , 1 ・・ * * *" < f )7EE f J{ ' Jia) {, t rO il ' ', , -・='f ^. tLt..- e 1, ; tL Ta) i o f,_'・. , Te ;t 1420 421 a) B7ualf f v* :Lf,_- ( ) {^. , >"> i, J 4.20 l o, J 4.21 +'I I ,f' --'-- -・ f._-. J 4.20 v Uf * ( ;o) (29)

(34)

図4.21 実験結果(実験結果1)

 この処理を100フレームごとに2000フレーム(約30秒)まで繰り返し行いこの問に何本

の波が入ってきたかを1,0の結果で示す.連続して1と結果が出たときこの間は波が砕ける

前の状態が続いているときで1から0に変わったときに波が砕け白い領域が多くなったときで ある.表4、1の結果からこの2000フレームの間に5本の波が入ってきたことがわかる. 表4.1実験結果 フレーム番号 結果 フレーム番号 結果 100

1

1100

1

200

1

1200

0

300

0

1300

0

400

0

1400

1

500

0

1500

1

600

1

1600

1

700

0

1700

0

800

0

1800

0

900

1

1900

1

1000

1

2000

1

(35)

波高検出の実験

5.1

フレーム間差分

 現在のフレームと過去のフレームとの差分を出力画像とする処理には,主として2種類ある. 一つは背景差分である.現在のフレームと背景画像の差分をとり,背景のみを除去する.侵入物 を抽出する最も簡単な方法であるが,輝度変動に非常に弱く様々な雑音の影響を受けやすい.背 景とするフレームをある時間毎に更新するなど,様々な工夫が必要であり,それ単独では使いづ らい[9][10】[12].  一方,フレーム間差分は数フレーム手前の画像と現在の画像との差分をとる方法で,物体が移 動した場合,その移動領域を簡単に知るための方法である[81[91[11」[13」.よって,本来背景でな いものが画像に混ざっていても,まったく移動がなければ抽出されることはない.なお,差分を とるフレーム間隔が小さい場合は輝度変動にあまり影響されず,更新の必要はない.本実験では, 移動領域抽出のため後者を用いている.また,出力画像について二値化処理を行なっている.  ただし,フレーム問差分の場合,同じ移動領域が重なった部分については抽出されず空洞化し てしまうので,通常は膨張・収縮処理を行なう.(図5.5) 移動方向 前のフレーム       後のフレーム

     空洞化

馨………1………1……1…欝………1 一つの移動領域 図5.1 フレーム間差分 (31)

(36)

I 5.2,

f・ .1 z ) .

l 5.3 I =*' f,=・・ 7U Jf .. ) . J 5.3 I J 5.2 ) 1 7 l/- '(+' ' O 1/30 ・)J'f"" c )T I

l5.2 fu Jf l

(37)

図5.4は画像1と画像2とのフレーム問差分であり,その画像を2値化処理した画像である.

図5.4 フレーム間差分の2値画像

(38)

5.2 膨張・収縮

 画像1と同じ情報を画像2に与える.ここで画像1を見て,白い画素が与えられた部分につい て注目する.画素の周囲8近傍を調べ,もし,黒い画素と隣り合っていた場合,画像2において 同じ部分を黒く塗りつぶす.このような方法を収縮という.この逆で黒い画素に注目し,周囲8 近傍で白い画素と隣り合った場合,その部分を白く塗りつぶす.この作業を膨張という.  収縮処理すると被写体は一回り小さくなるが,この性質を利用して細く現れたノイズを消し去 るときに使用される.膨張処理は5.1でも触れたように,フレーム問差分したときにできた空洞 を埋めるときに用いられる.どちらも処理後に被写体のサイズが変わってしまうので,相反する 処理を行なうことで,元のサイズに戻すことが必要である.

画像1

画像1

画像2

画像2

図5.5 膨張・収縮処理

(39)

l 5.4 ) '7J* fUfilf ' ・ -- ') / fjC OC L ) ) ._ ]di ' ) t

・.' i) l L f,_" SfV lf l 5.6 I ) .

l 5.6 ' ] ,- l LI

J 5.6 l 5.7a) iCx j, y th , : ka); -jT!". .. i J 58 J 1, I <

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y l5.7 * 1 x

yl)

l5.8 i * 2

Ll

B (x2. y2)

J5.8 IC V*C, A ) ^"l (366,247), B ) i *"l (420,270) , *--*' hl h : y I - y 21 ; L2 3 :) li;tl ;tLf..-. (35)

(40)

 連続する19フレームの画像で,それぞれの差分画像からスープ領域の抽出を試みた. その結果を以下に示す. 表5.1実験結果

番号

 1  2  3  4  5  6  7  8  9

10

11

12

13

14

15

16

肇7

18

(x1

376

407

428

411

410

406

408

405

411

422

423

416

418

419

418

375

377

366

y1)

242

246

252

250

246

250

251

250

252

254

247

246

247

246

244

246

247

247

(x2

465

466

472

467

460

469

476

455

468

464

491

468

465

458

464

415

415

420

y2)

262

266

268

268

268

271

271

271

272

272

265

266

263

262

260

266

268

270

高さ

20

20

16

18

22

21

20

21

20

18

18

20

16

16

16

20

21

23

面積

298

212

156

194

217

267

274

262

295

167

237

232

238

200

186

150

158

195

ここまでの実験で単純な扱いやすい画像では波高検出に必要なスープ領域の検出ができること がわかった.そこで画像の条件を変え,サイズが大きく,画像上に複数の砕波の領域が混在する 画像で実験を行った結果を以下図5.9に示す.

(41)

図5.9 実験結果  理想的な結果は画像上部の赤と青の二つの矩形が検出されることであるが,実際は対象とする 波とまったく異なった波の領域が検出されてしまっている.これは実際の大きさは奥の波の方が 大きくても画像の上では手前の波の方が見かけ上大きく見えてしまうことが原因である.そのた めカメラから近いほど動きも大きくなり,矩形の面積の大きさのみで対象領域を検出することが できない。 (37)

(42)

 そこで第4章で行った周期検出とあわせて考えることで対象とする波の位置の推定を行い,そ の後に波高検出に必要なスープ領域の検出を行うことにした.周期検出で波の上部の輪郭線にあ たる直線を抽出する際,その直線の座標を出力する.周期検出の結果が1から0に変わったフレ ームで得られた直線の座標より,砕け始めた波がその座標の周辺にあることがわかる.この座標 を領域抽出に与えてスープ領域の抽出を行う.

1逞壺甜曲曲贈

       原画像

蝋  鱒翼嚢脚蕪叢羅湖聾灘箋 撫   懸黙醗  譲灘藝 波高検出画像 周期 検出 周期検出画像 波高 検出 x,y) 波位置推定画像 図5.10 波の位置推定

(43)

 また,図5.10のようにy成分は小さいがx成分が大きく,矩形の面積が大きいために検出され ることがある.このような波高検出に適さないスープ領域の検出を防ぐため矩形の面積のほかに y成分の閾値を用意した. 図5.10 検出結果  周期検出結果からの波の位置の推定,検出時の閾値に面積とy成分を加えて波高検出を行った 実験結果を以下に示す.実験結果1と実験結果2は連続した画像である.波高検出に必要なスー プ領域の矩形が検出され,対象とする砕波のみ検出されていることがわかる. 図5.ll 実験結果1 (39)

(44)
(45)

 表5.2の実験結果は周期検出で1から0に変わったフレームから連続して15フレームで実験 を行った結果であるAは実験結果1,2で検出された緑色の矩形の波高,Bは黄色の矩形の波高 を指す.  この実験を200フレーム連続で行った結果137フレームで矩形の検出が行われなくなった.こ のときAの波高の最大値が23,平均が20,Bの波高の最大値が22,平均が14.5,全体の平均が 16.5となった.砕けはじめの波高が最大値を取り,検出が終了した137フレームが砕けはじめか ら終わりまでの時間とすると周期検出の結果とあわせて考えると次のようにモデル化できる. 周期検出結果 1  0 波高  25 20 15

フレーム番号0

1

150 200 周期検出結果 1 1 0 0 0 1 0 0 1 1

O O 1 1 1 0 0 1 1

波高  25 20

フレーム番号0

100

200

図5,13 検出結果からの波のモデル  この結果から2000フレームの間に5本の波が入ってきたこととそれぞれの波の波高,砕け終 わりまでの時間が検出できたことがわかる. (41)

(46)

まとめ,考察

 本研究はサーファー向けの波情報を波の自動計測により求めることを目的としているが,そも そも,波とはどういうものかということに直面し,波の分類・定義付けを行った、それによって 波のスープ部分に着目し,スープの解析をすることが波の解析に有効であることが分かり,スー プの抽出を第一段階の目的とした.  サンプル画像は,今まで剛体に対して有効であった画像処理の手法が波のような不定形物体に 対しても有効であるかを確かめ易いように,フレーム内にうねりが1つ入った画像を選んだ.  実際の画像処理だが,2値化処理画像は不定形物体に対しても有効であることが分かった.ス ープ部分が背景に溶け込んでしまったが,波のフェイスの部分は比較的きれいに検出されている. 次にラベリングによる領域分割だが,波のフェイスに重なっている人の影も同一ラベルと検出さ れてしまったが,波のフェイス部分を抜き出すことが出来た.また,2次微分,細線化などのエ ッジ抽出だが,細線化によってフェイス部分のエッジが抽出された.サンプル画像で,従来の画 像処理の手法が波にも有効であることが分かった.  結果として,波の持つ様々な情報のうち,周期,単位時間の波数,波高,砕け始めから終わり までの時間を検出することができることが確かめられた.ただし,今回の実験によって得られた スープ領域というのは,波のすべてのスープ領域ではなく,フレーム間で動きのあったスープの 領域であるため,スープ領域の高さは,波の波高と必ずしも等しいというものではない.しかし, 波の波高,波の崩れる方向,早さなど,波の解析に対して,スープ領域の抽出はとても有効であ ると考えられる.  しかしここで扱った画像は様々な特徴をもつ波の一部であり,天候や時間などで変化する明る さなどを変えたときの本研究の有効性は確かめられていない.また,砕波の画像中に移動物体が 写った場合のスープ領域の自動識別は現在のところ想定していない.これらの問題点を今後の課 題として検討していく.

(47)

[謝辞1  本研究を行うにあたり,親身になって多くの有用な助言を下さいました本学情報システム研究 室の大島正毅教授,そして,実験・発表について助言下さいました本学文部科学技官の本多健二 氏,研究発表のたびに多くの助言を下さった本学博士後期過程海洋情報システム工学専攻在学中 の平澤雅入氏,そして情報システム研究室の皆様に心から感謝しております. [参考文献】 [1】,井上 誠喜,八木 信行,林 正樹,中須 英輔,三谷 公二,奥井 誠人,   “C言語で学ぶ実践画像処理”,オーム社, 1999年 [2],松下 賢也,加藤 邦人,山本 和彦,“背景変化の違いに注目した移動物体の抽出方法”,

 MIRU’98,pp.1410−1424,1998年7月

[31,谷内田 正彦 編,“コンピュータビジョン”,丸善株式会社,pp.169−172 [4L高藤 正雄,北村 忠明,小林 芳樹“空問微分および差分処理を用いた車両検出”,電子   情報通信学会論文誌D−H VbL j80−D・H No.11pp.2976−2986,1997年11月 [5],長井 敦,白井 良明,久野 義徳,“複雑変動背景下における移動物体の検出”,電子情報   通信学会論文誌D・H VbLj80・D・H No.5pp.1086・1095, 1997年5月 [6],磯崎 一郎,鈴木靖,“波浪の解析と予報”,東海大学出版社,2000年 [71,馬場 功淳,大橋 健,乃万 司,松尾 英明,江島 俊昭,“Head Finger:フレーム間差   分をベースにした人物追跡”,第6回センシングシンポジウム講演論文集,pp329−334 [8]中上 友宏,松尾 啓志,“複数カメラによる協調型顔領域検出アルゴリズム”,電子情報通

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  −334

(43)

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