環境教育で取り組むべき新しい課題 : 内分泌撹乱
物質(環境ホルモン)
著者
八田 明夫
雑誌名
鹿児島大学教育学部研究紀要. 教育科学編
巻
50
ページ
23-38
別言語のタイトル
New Difficult Problem of Environment Education
: Endocrine Disruptors
環境教育で取り組むべき新しい課題
一内分泌撹乱物質(環境ホルモン)
-八 田 明 夫*
(1998年10月15日 受理)
New Di餓cult Problem of Environment Education
Endochne Dismptors
-Akio HAm*
1.はじめに 内分泌撹乱物質(環境ホルモン)が自然界の動物に異変を起こしヒトに対しても生殖器官に影響 を与え,子ども達に異変を起こしていると疑われている。大気汚染や海洋汚染そして河川や地下水 の汚染に関する環境教育は,現在広く使われている「環境教育指導資料」の示す内容を,指導する 側が充実していくことで十分に可能である。これを拡大していけば本論で扱う内分泌撹乱物質(環 境ホルモン:以下環境ホルモンの言葉は略す)に関する教育についても実践することはできるし, 現に実践している人も多いであろう。しかし,この新しい課題の重要性から考えると自然発生的な 広まりを待つのでは内分泌撹乱物質の危険性に関する情報量が不十分で時代の要請に答えられない。 現在の状況はいわゆる環境ホルモンの問題点や不安が不正確な形で広まりつつあるといえる。こう した状況に答えるために本論の目的は,現在までにどの様なことが起こり,どのように解釈されて きたのか,どの様な問題点が指摘されてきたのか引用を明らかにして紹介することである。特に教 育学部に席を置く者として,児童生徒に現われている現象も内分泌撹乱物質の影響が疑われており, こうした新しい事態に対して旧来の解釈と方法論で対応することが児童生徒にとっても教師にとっ ても不幸な結果を産み出している可能性があると直感している。こうした危惧が「無用なものであっ た」という評価を将来受けることであれば幸いなことである。2. 「奪われし未来」と「メス化する自然」
内分泌撹乱物質に対する最初の本格的で系統的な指摘は,次の2つの文献,「奪われし未来」と 「メス化する自然」を上げれば充分であろう(シーア・コルボーン・他, 1966;デポラ・キヤドバ リー, 1997)。 1960年代にレイチェル・カーソンの「沈黙の春」が際限のない農薬や殺虫剤の開発 とその乱用に対して警告を発し,彼女の主張が今日では常識になっているが,前述の2つの文献は *鹿児島大学教育学部理科教育学24 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編 第50巻(1999) 今日の「沈黙の春」であろう。 コルボーン・他(1996)が指摘した現象は,野生生物の甲状腺機能不全,生殖能力の減退,舵化 率の低下,重篤な先天性欠損,新陳代謝異常,雌雄の異常行動,オスにおける「メス化」メスにお ける「オス化」及び免疫不全などである。野生動物に見られる現象は動物実験でも同様の結果が見 られた。彼らはヒトについても言及し合成治療薬DES (ジエチルスチルべストロー)レ)で,膣の 明細胸腺がん,生殖器異常,妊娠異常,などの生殖系の異常や生殖能力の低下が現われているとし ている。また,病気や先天性欠損を起こさないまでも「学習障害や多動症,運動機能障害」などの 行動面での変化を生じさせているとしている。米国では5 -10%の児童が多動や注意散漫などで学習 障害をきたしていることを紹介している。こうした現象を引き起こすメカニズムとしてPCBが神 経細胞の増殖を促す甲状腺ホルモンの作用を撹乱し脳に損傷を与えるという例を紹介している。こ のように内分泌撹乱物質が引き起こす現象を多岐に渡って紹介している。 ギヤドバリー(1997)はコ)レボーンらの仕事を引用するとともに,イギリスでの魚の「雌性化」 の例などを引用し,内分泌撹乱物質は天然の物質と同様に人間を含む動物の内分泌系を撹乱し,す でに多くの野性生物が殺虫剤や工業化学製品である残留性の化合物の影響を受けていることを述べ た。 オキアミなどの動 ジンコなどの動物プランクトン∼ イワシなどの小魚 ∠二一一一一
シャ雫ほ乳:,",≡.;蒙マグロ違憲海鳥
図1 海洋における物質循環(生物濃縮) ミジンコ,アミなどの動物プランクトン 物プ メダカなどの小魚/
ンクトンナマズなどの魚 マスなどの大きな魚鳥 図2 湖における物質循環(生物濃縮)3,自然界での異変
自然界に出された環境汚染物質は微量であっても生物による濃縮でその濃度は飛躍的に増加する。 図1及び図2に海洋と湖での物質循環を示す。海,湖いずれにおいても異常を示す動物は食物連鎖 の上位の動物である。 1988年北ヨーロッパ,デンマークから発生したゴマフアザラシの大量死は,北海,バルト海のア ザラシに伝播し, DIETZ et al. (1989)のデータで18,000頭ものアザラシの大量死が確認された。 これらの異変はその後スペイン,地中海に広がった。 AGULAR & RAGA (1993)は,東北スペイ ンのシマイルカの脂肪から健康なイルカの2-3倍のPCBを検出した。 AGULIAR & BoRRELL (1994)は, 1990-1992年の地中海にPCB汚染の影響を受けたシマイルカのいることを報告した。 25 20 15 10 5 0 % Frequency of strandings.∩
狽
賠、
贏ク萪跏
0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 DaysFig・ 2・ Disthbution of the frequency of striped dolphin strandin邸du血g the血st outbreak of the Mcditemnean
epI200tic・ The anew shows the estimated Outpoint between the two phases or the eyent・
PCB Liver concentration (ppm)
● ● ● ....●..く●● ●● ● ;。:。..● ● ●■●● ●
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
PCB B一ubber concenlralion (ppm)
Fig. 3. Relationsmp between PCB ∞ncentrations (expressed
as ppm calculated on a 一ipid basis) in the blubber and in the
liver of sthped dolphinS which died during the epEOotic・
図3 地中海におけるイルカの打ち上げられた頴 度と脂肪や肝臓へのPCBの漬菜
(Aguliar 皮 BorreII. 1994よij )
図3に地中海で打ち上げられたイルカの 頻度と脂肪や肝臓のPCB汚染の数値を 示す。数千ppmという高濃度の汚染状
況である。 DIETZ et al.
(1989)は,Am-bience (環境)誌に, 1988年の北ヨーロッ パ,北海,バルト海のアザラシの大量死 は,免疫系が抑制され,ウイルスに感染 しやすくなっていたからと報告した。 鳥類における異変は繁殖行動における 異変と更に深刻な欠損を伴う病変である。 NoRSTROM et al. (1978)は, PCBが オンクリオ湖からセグロカモメの体内に 達するまでの間に2500万倍に濃縮される ことを明らかにした。 FRY&TooNE (1981)は,カモメの 胎児に対しDDTが作用して引き起こし たメス化を明らかにした。 FRY et al. (1987)は,カモメの性比の歪みと繁殖 パターンを研究した。人口統計学的毒物 学的考察成長過程でエストロゲンに暴露 したオスの脳と生殖器管に異常が現われ たことを明らかにした。DIAMOND (1989)は, 1950年代以前には見られな かったメス同士のつがいの例を報告して いる。
26 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編 第50巻(1999) GILBERTSON et al. (1991)は, 1970年オン9リオ湖に棲むセグロカモメを研究し,雛の80%が 締化する前に死んでいることを明らかにした。 Fox (1993)は,五大湖の水鳥の先天的な欠損の例を示した。特にクロスビル(隣がクロスして いるので餌が取れない)などの生存機能を奪われた変異や胴体の癒着や目や脳の部分欠損のため舵 化でさなかづた例などを紹介し,これらの異常は我々に何を訴えているのかを問うた(図4)。 1980年に湖岸から400mの所にあるタワー化学会社が殺虫剤を流出させる事故を起こした。その 結果90%以上のアリゲ一夕が死滅した。その後アポプカ湖にアリゲ一夕を戻しだが, 1980年代,ア リゲ一夕の減少が起こった。 WooDWARD et al. (1993)は,フロリダのアボブが朗のアリゲ一夕の卵の購化率が低いという ことを報告している。他の湖の卵は90%が艦化するが,アポプカ湖では18%であり,縛化しても半 数が10日で死ぬという事態が起こっている(図5,図6)。 GUILLETTE et al. (1995)は,中央フロリダの湖に生息するアリゲ一夕に含まれる生殖腺ステロ イド起源について研究した。彼らは汚染された湖と比較の為の湖から手にいれた幼いアリゲ一夕か ら取り出した生殖腺のステロイド起源の活動性を試験した結果を記述した。エストロイド-17B (E2と略す)の合成物は,汚染湖と比較湖からの卵巣を比較したとき,重大な違いがあった。加 エ ト 寓 くつ 偖ネ ツ I▲」 謹 =)く0 25 白 ヤ TR ネ ツ -b 雷董 tgト. ⊃(j UdU%8クネ+TR 一一Z ulj 妊 ヤ 4R 石山 着$U :竃 〇一 _I < Lu エ ネ ツ リ8 HoMEOSTASiS ユ T D簸 FAiLURE ○IMPAiRMENT ク オ ィ キ ・ 言問鳩U R E >
FIG・ I・棚e erposure-response cαTYe.
図4 暴露が進行すると障害の状況が増大する ことを示す(Fox.1993よIj) (./..,?''ん U,S,441 ∴一㌧∴\\ ∴r壁.∴ ・∴∴ ・ヽ ∼ 蕊\\\ :∴: ;主\-1 -yS-、 'さ-tSik._- 二\ヽ、- 8 R粐篦 ネ ク b :H髭2 經 ヾ Bl 8-蕊. \ヾ;. \ヾヾ 千 2 ∴i、∴- ヾヽ\ :\ り ィヒ薤Bメ 耳ヒ 騒tB' ∴∴\ 蕊 *.三選Llt.∼ ..-、 ト・ I-'」L'虫- I 二二二二二二二二二二二二三重二二二二三三重二二〇二 C肌sGroves 圏 圏 vege-ab,eFa'm5 -C圃ties嚢田 園e woodedSwamp
FIC l 山e ▲即ka. Flo,kh a・ttl 捕,.oL・画ng aghIl(uml operalwni dun鮎hc ea小畑触
図5 フロリダ.アポプカ湖とその周辺植生
1979 1980 1981 1982 1983 1984 1 985 1986 1 987 1988
Yeer
Flc・ 2・ Esti・-ted trends otjwenile (30-122C・..) alligatorpopulatio・" on lakes Apopka, Cnmn, and
Jessup during 1980-87・ Estimates were de・ived trom log-transformed night-light counts, adjusted tor
water leve上 and presented on an untransfb-ed scale・
図6 アポプカ湖の若いアリゲ一夕の個体数周辺のクリヒン湖, ジ工サツプ湖と比較して減少していることが宗されている (Woodward et aL,1993よiの えでアポプカ湖の汚染された湖から手にいれたオスの精巣も比較のオスに比較した時, E2の高い 濃縮を示していた。この研究で実験されたすべての精巣からのテストステロンの合成物質は,比較 の湖から手にいれた精巣を調べたものより少ないことを示した。 生殖,内分泌,免疫システムに関連する多くの汚染の世界的分布と汚染の多量発生が,野性の世 界に影響している。この原因と結果が幾つか解明されているけれども,汚染の原因が生殖の加減に 影響する基本的な生理学上のメカニズムはまだほとんど理解されておらず研究の拡大を必要として いる。
4.動物に見られるホルモンの性発達への影響の研究
ラットのメスの性的発達-のエストロゲンの影響の研究は,すでに戦前にノースウエスタン大学で行なわれていた(GREENE et al., 1939)。 CLARK et al. (1993)は,スナネズミの胎内の発
育位置による影響を調べている。 PHOENIX et al. (1959)は,出生前に与えられたテストステロン の組織的働きをテンジクネズミ(モルモット)で研究した。胎児の発生のある時期に間遜ったホル モンメッセージが出されるとメスにおけるつがい行動に影響するなど,性が混乱してしまうことを
明かにした。
Missouh-Columbia大学のBiological Science DivisionのF. S. Vbm SAAL教授は,胎生期
のホルモン量の変化が遺伝子以外の強力な力となり,性への影響を及ぼすというホルモン作用撹乱 物質の危険性を指摘した。彼はテキサス大学で1976年にテストステロンが胎児に及ぼす影響の研究 ( 一 〇 > e T J o ) o M L ° ︺ p o ︺ S つ . r P V ) ∈ エ L O d s L ° ︺ ° 6 ! w E o z z T O n l 3 0 1 0 〇 一 〇 1 ) t J ︽ ∠ ク ー _
-28 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編 第50巻(1999)
で,メスに見られる攻撃性に注目し,尻尾での威嚇や追いかけや噛みつきなどを行うメスは子宮内 でオスに挟まれていたメスであることを兄いだした。この研究で胎児の子宮内の位置は帝王切開で 測定された。子宮内でオスに挟まれていたメスはオスに選ばれる確率が5分の1になり,メスに挟 まれていたメスよりも成熟が遅く,他のマウスの攻撃や子殺しから子どもを守れるという特徴を
持っていた-(SAAL & BRONSON, 1980;SAAL et al., 1990)。 SAAL et al. (1990)は,マウス
の子宮は角状の2本の筒からなり,子宮内の雌の胎児の配置は両側が雌(oM),片側が雄(lM), 両側が雄(2M)のいずれかであるので(図7),肛門と性器の小乳頭状突起の距離や,体重や, 成熟期における性周期の長さ,エストラジオールとテストステロンの奨液の濃度や割合を調べた。
2匹の雄に囲まれた雌はより高いテストステロンの値を示し,性周期は長くなるという結果などを
兄い出した。 Von Saalらの研究でオス,メスとしての完成はXX, XY染色体だけでなく発生の
途中のテストステロンやエストロゲンが決定的な役割を果たしていることが一般的に知られること
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FIG 1. The u-erilP ho/Ill tnd ulerilllB too° ●賀erlet and veirtS ol I preOI19Ilt muse ●l lem. IJItlJLlterlna poBitbh ol tctu●es録●e detemined et e能〇億911 deIiveTY. ne lJtNII重OM. lM. ello 2M rcter to the lWITlber ol m●Ie I競uBCe to which Ill lhdlyilJtlel w●3 colllieuouB (ZM ・暮Ooo〝eell a mel調. lM - beWoell a lTl●Ie 〟nd 〟 fcm〃fe. tlld OM一cmn 2 lelh●tB●).小一0 8Jmo Cl●調iOcJllCrI ∞heme w●● uBed ioi bclh mきIee tlld fBmdq. Anow● tNmih lho Iooo tlt●TY and v●lh leedlnp ∞en LrtPIIlt Im.I. 1hdbtlI the dlr∝請Il el tlI00d now ●● leYe葛IBd by llltqli叩CIrborl dyc iIlto the lTImemal he●rl (br ●Ttehal llo鴫I) md ilIto IlldMeuol lll9∞ntBo (hr y●rlUe no録)
図7 マウスの2本の角状(枝豆状)の子宮内のオス,メスの配置と血液
となった。メリーランド大学のス一・カーターの研究でホルモン暴露の違いでネズミには家族行動
型と単独行動型があることが知られている(CoLBORN et al., 1996)。
5.内分泌撹乱物質のヒトへの影響
(1)生殖への影響
PHOENIX et al.(1959)は,胎児は発生のある時期に脳が間違ったホルモン・メッセージを出す とその性が混乱してしまうということを明らかにしている。 THOMAS & CoLBORN (1992)母乳
に含まれる化学物質についての研究を行った。 McFADDEN (1993)は,男女の双子に関する研究 で胎内におけるホルモンの影響を研究している。 CARLSEN et al. (1992)は,精子の数の激減と精 子の奇形についての報告をした。スキヤケベックらはヒトの不妊治療の経験から精子の数の減少, 睾丸体内停留の増加,精巣滴の増加,尿道下裂などの生殖にかかわる異変が起こっていることを明 らかにしている(図8,図9)。 精子の減少などが起こるメカニズムは次の様に考えられている。受精後35日の胎児には, 8ミリ iO ○ ○。 ○ 一一一一一QOOO ヽヽ ヽ ヽ 、ヽo 、一、°○
00、0-a-?
OOOO liiilii93O i940 I950 I9eO i970 I980 I990
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fIG 1-Ll'nea・ regre.・Sion of mean Spun densfly 'ePmLed in 6)
publicalions (,epresenleJ by ein・les wIIOSe area i'・ p岬印rtionQ/ (0 lhe
togariMm of the number oJ-subjects I'n study) eQCh weigllted oEeOrdlnC w number oJsubjecIS, I 938-90 図8 過去50年間の精子数減少を志すグラフ (CarIsen et sI..1992より) 44 27 ネ耳耳耳耳
met_I00xt0`/m
テ苴 ニヤ 一作60XIO`Im ロー一一一口204OxIO`Im △一一△<20xIO`ImI うI ∼8 27 ∼I # # IeI91 Il∼ 薄R∼ 8---- II 5 ら 末ト白I930-50 I951-10 I9eI-70 I97I・80 1981-90 Years
FIG 2-N∽lber (I)erCentnge) oj- men with spe77n densin'es in the
JIWe.e柑eO請en加ilion bands.I <20× LOO/nl, 2040 × IQS/nL, 4Ll舶X YQ'/ml, 6)-loo × ]αInlL, > )00 × LOO/mL (daIaj:TOn1 27 9ubticalions)
図9 過去50年間の精子数変動1億匹以 上のヒトは50%から16%に減少し2 千万匹以上のヒトは6%から18%に 増加している (Carlsen et a1.,1992よIj) 仰 5 0 (∈もー×)善さ0.⋮。ds
30 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学縞 第50巻(1999) 程度の大きさで未完成の「始原生殖細胞」がある。この細胞は精子になるか卵子になるかまだ決 まっていない。受精後6週間,胎児は雌雄いずれにも分化しうる。男性生殖器の原形はヴオルフ管, 女性生殖器の原形はミュラー管である。 XY染色体を持っている場合,受精後7週日, Y染色体上の遺伝子がいずれにも成りうる生殖腺 を精巣に分化させる。精巣から特殊なホルモンが出されるとミュラー管は萎縮していく。 Y染色体 上の遺伝子の働きが焦げれば 受精後3-4カ月(12-16週)で生殖腺が卵巣に分化する。ヴオルフ 管が萎縮し消える。ヴオ)レフ管は精巣から指令が出なければ受精後14週目までに自然に消滅してし まう。この「消えるな」という指令がテストステロン(男性ホルモン)である。 「消えるな」とい う指令が出されなければミュラー管は成長する。 胎児が暮らす胎盤への働きの中に母親からのジェット流という血流がある。そこに含まれる自然 界の女性ホルモンはタンパク質と結合して大きい粒子となり胎盤を通過できない。しかしDESな どは通過して胎児に影響を与えてしまう。 精巣の中のセルトリ細胞は精子に栄養を与える役割をしている。セル上l)細胞が少ないと栄糞が 少ないので育つ精子が少なくなる。精巣からの指令が内分泌撹乱物質で乱されれば精巣が十分発達 せずにセルトリ細胞が少なくなる。精子の数の減少はこの様にして引き起こされるとされている。 (2)合成女性ホルモンによる被害
アメリカにおける1940年代のDES (Diethyl Stilevestolor):(ジエチル・スチルベストロール)
の暴露は1970年代の若い人の膣ガン,睾丸の体内停留,精巣ガンの多発などの社会問題化している。
DIECKMANN et al. (1953)は, DESの被害を研究した。合成女性ホルモンであるDESによる 被害で,胎児の時のホルモン暴露の重大さが明らかになっている。 キヤドバリー(1997)によるとこれらの物質が内分泌を撹乱することは予想されており, 1930年 代にDESを発見したチャー)レズ・ドッズがネイチャー誌に「関連する化学構造を持つ物質のグルー プ全体が発情を起こさせる特質を持つ」と述べ「発情状態の特質である細胞の増殖は,いくつかの 点で悪性腫瘍の初期を連想させる」とし, 1936年に「ジフェニル」と名付けた。これは現在ビフェ ニルと呼ばれ, DES,ビスフェノールA, PCB類などが含まれる。 内分泌撹乱物質がヒト-の被害という形で社会問題となっている。ヒトの体を維持するための3 つの系統それぞれに合成化学物質は影響を及ぼしている。 第1は,神経系(神経による情報伝達系)への影響である。神経細胞(ニューロン)間の空隙を 伝える物質,情報伝達物質には,覚醒型のドーパミン,アドレナリン,ノルアドレナリンがあり恐 価,危険,ストレスなどで分泌される。抑制型の情報制御の物質は,セロトニンである。第2は, ホ)レモンによる情報伝達を行う内分泌系である。第3は,免疫系である。これらいずれにも内分泌 撹乱物質は,男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン)として,ふるまっ てしまう。
大人には大丈夫でも,胎児は大きな影響がある。胎盤を通じて,母乳を通じて胎児に与えられて
しまう。情報系に与える複合的要因は社会的要素だけでなく化学的要秦(内分泌撹乱物質)も考え
られる。
6.子どもの脳機能障害
(1) ADHD : Attention-De鯖cit Hyperactivity Disorder (注意力欠如 多勤性 痛恨群) 教育学部の卒業生が勤務する学校現場から得られだ情報や実際に公立学校で観察した経験から学
校現場に発生している問題にこれまでと違ったタイプの問題点が現われていると考えられている。
ADHD:Attention-De角cit Hyperactivity Disorder (注意力欠如 多動性 症候群)と名付けら
れている病気がある。情報伝達系に異常があるため物事に集中できなく勝手に動き回ってしまうな どの行動を取る児童が存在する。ただのワガママなのか異常なのか精神医学的に判定されなければ ADHDかどうか分からないが,そうした病気が存在するということ,児童の中にADHDと診断 される児童がいる可能性があるということを認識する必要がある。 医学的にADHDと診断された児童は,我慢できない子どもと違う。親の愛情が少ないからこう なったということではない。しかしこれを病気の症状として見ないと,病気が原因の多動-先生の 悲-子供に冷たく当たる-子供は不満-多動,という悪循環が成立してしまう。自分で制御できな くなり友達へ危害を加え,友達から仲間外れにされて,さらに制御できなくなる。学校や教師がこ の症状を知らないと児童の親に対して最悪な場合「特別な対応が必要なら面倒は見きれない」とい う対応をしてしまう。 アメリカの精神医学会はDSM-IV (滞神疾患の分類と診断の手引き)を作って対応している。 アメリカではADHDの8割の子供150万人にりタリンという薬を投薬している。りタリンは集中 刀,落ち着きを増す。副作用として食欲不振,睡眠不足が起こる,などが知られている。注意力欠 如多動性症候辞への対応は,早期発見が重要であるとしている。 WENDER (1976)は,エコノモ型脳炎(嗜眠性脳炎),嗜眠(しみん)性脳炎や鉛中毒になると 大脳基底核のドーパミン含有ネウロンが侵され多動症候辞と似た行動を示すとした。アドレナリン と生化学的に同じであるアンフェタミン(中枢興奮剤)は主としてドーパミンの作用増強効果があ るがさらにラットやマウスの動物実験で鉛中毒を起こしたり,薬物を脳室に注入してドーパミン作 用系の組織に障害を加えると人間の多動児と同じように幼い被験体は多動になるという。 SHAYWITZ et al. (1977)は,「小児科学誌」にドーパミンの主要代謝産物であるホモバニリック 酸の髄液中の濃度を比較して,多動児は対照児の1/-2であることを明らかにしている。 江川 成(1987)によると,ウエリーらは1972年に神経学的見地から,多動児詩は神経症辞や健 常児に攻らべて,感覚一運動の協応の障害を示す繊細な神経学的なサインが目立つとしている。脳 波の異常や疾病歴など粗大な異常サインは離間に差異がないとしている(WERRY,∫.S.et al.
neu-32 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編 第50巻(1999)
rotic and nomal children. American Joumal of Onhopsychiatry, Vbl・ 42, No. 3,
p・441-451.江川, 1987による)。また,チェスは1960年に多動児の出現の性差は男児6,女児lの割合で
あることを示した。多動児のうち脳波所見で脳障害と診断されたのは17%であった(CHESS, S・
(1960) : Diagnosis and treatment of the hyperactive child. New York Journal of
Medicine,\ vo〟. 60, p. 2379-2385.江川, 1987による)。そして, Sroufは, 1975年に覚醒水準
や活動性と多動との関係はセレトニン,アラドレナリン,ドーパミンを成分とした神経伝達物質モ ノアミンの代謝異常に帰せられるとした(中枢神経系におけるシナプスの刺激伝導は電気的活動に よるのではなく神経伝達物質によるので)。 ADHDにどう対処すればよいか。周囲の理解で対応するのがよいか,薬で対応するのが善いか。 現状では生活科の授業などで,軽度の多動の子どもも含むクラスでの指導法を学ぶ必要がある。周 囲の理解で対応できる範囲は限られており対応の方法を考えなければならない。 表1に,多動児の出現率,性差の出現率,年齢変化を示す。 表1 多勤児の出現の実態(江II上1987よi)作表) 多 動 児 の 4x8 リ6x.rテ 田b 多動症候群37人に対し,対照詳36人の4%が多動児 ウユング-ら,1978 鉄 iノ ネ,ノ ル:韜 リァy 韜 ノo RR
宮本,1981 迭テ3 ネ,ネ髯;h/ (サ8踪, h. リシ鞅9:餠ル.逸ゥ7 ,Y+(ロ S X,ツ 出 現 翠 剋剴カが多動とした
坂本と西岡,1979 俾俥ネ,ネラ9:竟ゥ7 S テ3CIkネ,ネ 髦* y(hァy h/ ァyD饅ィ,Y+(ロ Y ル:
児は2.2-10.6%とした 性 差 の 也 現 翠 (オウンステッドを引用) 4x8 リ6x.rティ田b 男子対女子-6:1 顋x ヨニテ」2 ウユング-ら,1978 ィ髦, リ*" 宮本,1981 ィ 繧X x 紕R ィ 顋x モB經」 坂本と西岡,1979 ィ 顋x モ3」 チェス,1960 ィ 顋x モc」 午 4x8 リ6rテ 都 5年後の追跡調査で45人の多動児は14人が変わらず,5人に改善が 齢 変 剏ゥられた
スチエワ-トら,1973 D靜8,ノ,y Y+(ロ Rテ"モXワク,Z) ル:顰xマ8 ェ8,i i&h+8.ィ+モ ネ,ツ
化 剋剴カの自己評価では40%が自信の不足を 多動現象は年齢と共に減少する○思春期前期に症候群の幾つかは消滅する○しかし新たな二次的特徴 が出現している○ (2)多動や注意力欠如障害の原因 WENDERら(1978)によると多動の原因をドーパミン代謝の低下によるとしている。注意力欠如 多動性症候群の原因として遺伝や環境が考えられている。前頭葉は注意力,行動抑制などの働きを している。神経細胞(ネウロン)のつなぎめで使われる神経伝達物質(ドーパミン)は信号を伝え 元に戻って次の信号を伝える準備をするが,そのドーパミンが不足していると注意力が欠如したり
行動の抑制が効かなくなったりすると考えられている。ドーパミンは伝達状態の回復に必要な物質 である。人間の脳はネウロンのつなぎめの物質が足らなければ つなぎ目である樹状突起を増やし てその障害を克服するという機能を持っている。拗らせないで情報伝達が繰り返されると次第に新 しい樹状突起ができてくる。 多動や注意力欠如障害の子どものセロトニンのレベルは低いことが知られている。 PCB被害の 母親から生まれた子供にADHDと思われる「多動」の子供が生まれていることも知られている。 JACOBSON et al. (1985)は,視覚の認識記憶に対する子宮内のPCB暴露の影響を研究した。
JACOBSON, JACOBSON, & HUMPHREY (1990a)は,子宮内のPCB暴露でわずかの汚染が子供の 認識の機能に影響があることを明らかにした。 JACOBSON, JACOBSON, & Humphrey (1990b)は,
子宮内のPCB暴露が子供の成長と活動性に対し影響があるとした。 我々の判断や行動は,視床下部と扁桃体のバランスのとれた働きにより成り立っている。視床下 部からAIO神経が前頭葉に繋がっていて,不安や恐れに直面した時,オキシトシンなどの「知らな い相手を恐れる物質」が,視床下部から出される。扁桃体がこれらの反応を制御(コントロール) している。我々も不安な時,びっくりした時に感覚刺激が過剰に反応し衝動的になるが,多動症で は不適切な抑制が原因で非選択的に反応し,時には強すぎ時には弱すぎる反応となる。充分に考え る余裕も無く迅速に無差別に反応し,刺激になかなか慣れないという特徴がある。 RAPIN (1982)によると,多動や注意散漫は,何らかの周産期障害に関係した微細ではあるが構 造的な脳損傷(brain damage)の主な所見であることが支持されてきた。最近の研究では,一回 では中毒症状を生じない程度の低濃度の鉛を慢性的に摂取することが原因と推察されるが,まだ解 明されていない。生化学的障害によって注意欠陥や学業困難が,引き起こされることがあるともさ れている。神経伝達物質のバランスの障害や,網様賦活系または視床の病変,計画を進めることを 妨げる前頭葉辺練糸活動の障害,皮質下の中継での抑制過程の機能不全,これら上記のいずれかが 覚醒機構を変化させ,選択的注意を妨害するのであろう。退屈でさえも,それは軽い感覚奪取の状 態と考えられるし,睡眠に至らなければ 自己刺激かあるいは退屈な状況から逃げ出したい欲求を 生ずるであろう。そのいずれもが落ち発きのなさの原因になる。通常,観察されるような症状は多 くの異なった機構における機能不全に基づいているとも考えられる。多動症候群は,特別な素質に よるものかもしれないし,常に脳損傷を伴うとは限らないということである。 病的な多動でさえも,環境要因で強い影響を受けているので,薬物療法のみが充分な処置である とは決して考えられない。事実,多くの病的多動児は,薬を飲んでいなくても,環境調整によく反 応する。調整は転導を刺激しないような静かな環境で勉強できるように配慮し,見通しの効くしっ かりした計画を与えることである。一方,子どもには遊んだり動き回る機会を頻繁に与え,ペース をおとし,反応する前に自分で確認するようにおしえる。もちろん,古典的な行動修正的接近も有 効であり, -しばしば用いられている。
8-34 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編 第50巻(1999)
TCDF,四塩化ジベンゾフラン)に汚染された食用油を摂取した母親から生まれた子供はペニスが 異常に小さい,注意力が散漫であるなど,身体や神経系に障害があったと報告している(M.Yu,
C.Hsu, Y.GUo, T. LAIS, S.CHEN, and ∫.LUo, 1994:Disordered behavior in the e組ly・
bom Taiwan Yucheng chikdren. ChemosphOlere, Vol. 29, no. 9-ll, p. 2413-22. CoLBORN,
et al., 1996による)。
CoLBORN et al.(1996)によると,サンドラ・ジェイコブソン,ジョセフ・ジェイコブソン夫
妻は五大湖の汚染魚を食べていた女性とそうでない女性から生まれた子供を比較し,前者の子供は 体重が少ない,頭圏が小さい,神経障害がある,認識能力に欠陥がある,過剰反応があることを報
告した(∫. JACOBSON, S. JACOBSON, P. ScHWARTZ, G. FEIN, and J. DowLER 1984: Prenatal exposure to an environmental lbxin ; Atest of the multiple e楢ects model Develop・ mental Psychology, Vbl.20,m0.4,p.523-532.)。また,ヘレン・ダーリーは1993年にオンクリオ
湖の魚を食べていた女性とラットを平行して研究しいずれもその子供に行動の異常「過剰反応」が
現われていることを報告している(H. DALY 1993 : Laboratory rat expehments show
consu-mptlOn Of Lake Ontariio salmon causes behavioral chanfes : Support for wildlire and
human research results. Joumal of Great Lakes Research, Vol. 19, m0.4,p. 784-788. )。
7.報道された内分泌撹乱物質汚染
(i)ダイオキシンとPCB 1982年11月30日ミズーリ州タイムズビーチが洪水でダイオキシンによる汚染された。アメリカで は道路の挨まけに油を蒔く習慣があった。その油にダイオキシンが含まれていた。環境保全活動家 スティーブテーラーは1994年Emに抗議。化学工場のダイオキシンがなぜ油に混入したか明らかに なっていない。 1200ppbの汚染状態のタイムズビーチは立入禁止となっている。 1998年,大阪肺能勢町のダイオキシン汚染8500ピコg/ 1gが我が国で最も深刻な汚染の例とし て報道されている。こうした特異な地点は存在するが,全国的にダイオキシン汚染は広まっている といえる。ダイオキシンの量と焼却場からの距離のグラブでは,回帰直線に近づかないというNHK 報道もある。 表2 ダイオキシン濃度と厚生省の成人摂取許容量 母乳の脂肪1gあたりのダイオキシン濃度(lpg-1兆分の1g) 埼玉廃棄物処理場周辺 冉ク、9;偖ネ [ルnツ 厚生省の成人摂取許容量 75.8pg 紲 r lope PCB汚染も深刻な状況にある。大阪府枚方市下水汚泥処分場では1.1ppm ;岡山県中央町25,000 ピコg/lgなどである。カネミ油症事件後の対応の拙さが問題の原因となっている。行政としては,変圧器に使われてい るPCBについて持ち主がいるということでPCB保管リストを作っただけである。工場が倒産し た場合, PCBは移動する。事業所-金属回収業者- 「右から左に回す業者」 -風呂屋で燃やして 処理した!などの事態を生じさせている。その結果7% (250t)が不明・紛失となっている(5年 前の厚生省の調査)。鹿児島大学の場合, PCBは変竃施設に保管されている。
cl.iHlc・.C.IR韓.cI一
図10 PCBとダイオキシンの化学構造(極めて類似していることが分かる) (2) DDT (シクロロジフェニルトリクロロエタン) Dichlorodiphenyltrichloroethane 有機合成殺虫剤クロロフェノタンは1874年0. Zeixlerにより合成された。 1938年P. H. Muller により殺虫力が発見される。ベンゼンに結合するクロルの位置で4種類の異性体があるる。神経繊 維に作用する神経毒である。 DDTに替わる農薬としてメトキシクロルがあるがこれも環境ホルモ ンである。 DDTは日本では生産されず使用禁止となっているが発展途上国では現在も使われてい る。前述のアポプカ湖のワニからは高濃度のDDTの分解物質であるDDEが検出されている。 (3)その他の内分泌撹乱物質 97年7月の環境庁研究班報告で67種が「環境ホルモン」として発表されている(日本子孫基 金, 1998)。 DDT,ダイオキシンの他,界面活性剤ノニ)レフェノール・ポリエトキシレートが分解 してできるノニルフェノール,ポリカーボネート樹脂の原料のビスフェノールA,発泡スチロール の原料のスチレン類,フタル酸化合物(塩ビ製品)などである。 スチレンダイマー スチレントリマー CH2 - C-CH2-CH2 CH2 - C-CH2-CH-CH2-CH2 I i i i i C6H5 CeH5 C6H5 C6H5 C6H5 図11スチレンダイマーとスチレントリマーの化学構造式 スチレンモノマーを鎖の様に長くし,ポリスチレンを作りカップラーメンなどのカップを作る。 この時スチレンダイマ-やスチレントリマーが出来てしまう。36 鹿児島大学教育学部研究紀要 教育科学編 第50巻(1999) 内分泌撹乱物質は,濃度を薄めたら害がないという性格の物質ではない。特に胎児の時に暴露し て影響が無いという数値は確定されていない。放射能の様に自然界に存在する物質であれば その 域値を推定できるが,人工的に作られた物質だけにその影響に範囲は確定が難しい。そのため内分 泌撹乱物質は1兆分の1 g (1ピコg)という精度で測定されている。 80ナノグラムとは1立方m 当たり0.00000008g, 0.1ナノグラムは100ピコg, lppmは百万分の1, 1ppbは10億分の1, 1ppt は1兆分の1である。報道で使われる少数以下の単位を下の表で示す。 表3 少数以下の単位 単位名称 兒ゥ B r 少_数 伜 ヨツ lpc:%:percent Zィ,テ r 0.011ー lpm:%○:permill Zィ,テ r 0.001g テ
lppm.partpermillion iノZィ,テ r 0.000001g iテモ テ テ lppb:panperbillion lナノg=1000ピコg 壑Zィ,テ r 6 ヨr 0.000000001g 壞モ テ テ テ
lppt:partpertrillion (=athousandbillion) )ケZィ,テ r 785&r 0.000000000001g )ケ? テ テ テ テ
a trillion(莱) - a thousand billion(輿)
最後に本論を執筆中に報道された内分泌撹乱物質とその影響を記す。 98-6-30 NHKカップメンからスチレントリマーを10億分の62検出 98-6 大阪府能勢町焼却場付近ダイオキシン汚染8500ピコg/g 98-7 鯉の精巣の異常;締巣にビテロジェニン(卵黄タンパク質),川の中からノニルフェノール, イボニシのメスにペニス(インポセックス) :原因として有機スズの疑い, 魚類の女性ホルモンの構造は人間の女性ホルモンと構造が類似 98-7-6 NHKニュース: 30才,前後の女性200人に1人が子宮内膜症に罷っている。 8,おわりに 野生生物に現われている異変は重要な警告である。ヒトには進化の過程で備わった毒物を浄化す る高度な機能がある。多くの毒物は肝臓などで分解されると言われている。しかし,その機能以上 の汚染物質を作り出しているのかも知れない。ヒトに異変が現われてからでは遅すぎる。 環境教育の課題の一つである「海洋汚染」の問題点の認識に,新たに内分泌撹乱物質(環境ホル モン)の存在を加える必要が出てきたため,最近入手できた文献を含めて緊急に本論を記した。草 稿までに入手できなかった文献で重要なものは,引用する方の為に本文中にそのページ数まで示し た。現在,教員養成の学部では理科教育や環境教育で汚染の問題を学ぶことができる。また,理科 の専門科目で生物の発生,物質循環,生物濃縮について学ぶことができる。これらの個々の学習を まとめることを通して,内分泌撹乱物質について学び,必要な対応を期待したい。
また,心理学や教育学の分野では,内分泌撹乱物質が問題になる以前から「多動」児童について の研究が行なわれ,その対応もとられている。一方,本論で紹介した様に内分泌撹乱物質が原因と 考えられる「多動児」に対する対応は,教育界で共通理解となっていない。更に研究が進まなけれ ば明確にはならないが,親の養育態度以外の要因も考えられていることは,学校や家庭での対応の 仕方について早急な共通理解を必要としている。拗らせる前の対応が必要と考えられる。 引 用 文 献
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