ニカラグア農村部で活動する伝統的産婆の
地域保 における役割
阪 本
忍, 森
淑 江
要 旨 【目 的】 ニカラグア農村部で活動する伝統的産婆が 介助以外に行ってきた保 活動を明らかにし, 今 後どのように伝統的産婆が地域保 に貢献していくことが有効なのかを検討することを目的とした. 【対象 と方法】 伝統的産婆 14名に半構成的面接を行いベレルソンの内容 析法を用いデータ 析を行った. 【結 果】 14名全員が 介助以外の保 活動を行っていた. 行ってきた保 活動は, PHC の基本活動 8項目に 類された. 伝統的産婆は農村部の人々に病気の治療を行い子供の病気や症状に対して母親に助言を行って いた. また, 農村部の人々を生物医学につなげる役割を担っていた. 【結 語】 伝統的産婆の農村部におけ る役割として, 農村部の人々に対する治療行為や農村部の人々と医療を結ぶ橋渡しの役割, 子供の 康を促 進するために母親をエンパワーメントする役割は重要であり村人と文化的地理的近接性を持つ伝統的産婆の 活用が有効であることが示唆された.(Kitakanto Med J 2010;60:329∼338) キーワード:伝統的産婆, 地域保 , プライマリヘルスケア, ニカラグア 緒 言 1977年にアルマ・アタで開催された WHO/UNICEF 共催による「プライマリヘルスケア (以下,PHC と略す) に関する国際会議」において「アルマ・アタ宣言」 が採 択されて以来, 世界中の国々で PHC が実践されてきた. この PHC の基本原則の中には 平性が唱えられている が, 多くの発展途上国では, 都市部に住む人と農村部に 住む人では医療を受けるということに格差が生じてお り, 農村部では一部の人しか医療を受けることが出来て いない. 発展途上国では, 先進国に比べ都市人口の割合 が低く, 農村部に住む人口の割合が高い. しかも, 農村 部から医療施設までの道路や 通網は未整備な上, 医療 施設で働く保 医療従事者は先進国に比べ少なく, 医薬 品などの医療資源も不足している. さらに, 農村部に住 む人々の病気に対する え方や近代医療に対する恐怖心 などが, 受診を遠ざける要因となっている. 中米のニカラグアも同様に, 医療施設までのアクセス の困難さ, 医療施設や医療従事者の不足などの問題を抱 えている. ニカラグアの舗装道路は全道路の約 10%であ り, 雨期には通行できなくなる道路も多い. また, ニカ ラグア保 省によると, 農村部で簡単な診療や処置が行 われている保 ポスト (簡易保 所) まで国民の 10%が, 一次医療施設である保 センターまでは 22%が到達す るのに 2時間以上かかると報告している. 二次医療施 設である病院は都市部にしかないため, さらに受診しづ らい状況である. このように, 医療施設へのアクセスが困難な農村部に おいて, 長年, 人々の出産に関しては, 伝統的産婆が人々 の生活の中で重要な役割を担ってきた. 伝統的産婆は生 活している土地で長期にわたり 介助を行っており, その知識や技術の多くを母親や親戚など他の伝統的産婆 から代々受け継ぎ, また, 経験することで獲得している. そして, 多くの伝統的産婆は 介助だけでなく, 妊娠, 出産, 産褥を通しての女性の 康, および新生児の 康 管理, 家族計画指導, 性感染症予防指導などを行ってい る. また, 伝統的産婆はその土地の文化や習慣, 価値観を その土地の人と共有し活動しており, 住民から尊敬され ている. 1980年代よりニカラグア政府は, 医療の行き届かない 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 平成22年8月17日 受付 論文別刷請求先 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 阪本 忍地域保 の重要な要員として, 伝統的産婆を取り込もう としてきた. ニカラグア保 省の産婆マニュアルによる と伝統的産婆とは「正常な妊娠, ,産褥,家族計画,子 供の 康についてだけでなく, 異常な妊婦を保 セン ターへ送る役割や地域での保 プロモーターのような役 割」 と定義されている. しかし, 現在, ニカラグア政府 は専門技能者の介助による出産を推奨しているため, 専 門技能者が付き添う出産の比率は 67%であり, 農村部 で伝統的産婆が 介助を行う件数は減少してきてお り, 伝統的産婆本来の役割は失われつつある. 現在, 伝統 的産婆は村人の 康上の相談を受けたり, 病人の様子を 見に行ったりと 介助以外の保 活動を行っている様 子が見られ, 村では 介助以外の役割を担っていると 推測されるが具体的には明らかにされていない. 伝統的 産婆が 介助以外の保 活動を行うに至ったと えら れる経緯にはブリガディスタと呼ばれる保 ボランティ アの存在がある. 1979 年のニカラグア革命後, 社会主義 を標榜するサンディニスタ政権時にブリガディスタは保 ボランティアとして活動し, 国全体の保 状態の改善 に貢献した. このブリガディスタの中でも, PHC ブリ ガディスタと呼ばれる人たちの中に, 伝統的産婆が含ま れていた. 伝統的産婆は主に家族計画の国家プログラ ムに取り入れられていたが, その後の政変によりこの保 システムは崩壊し, 伝統的産婆は独自の活動をせざる を得なくなり, 政府とは切り離された存在となった. 内 戦が終結した 1990年以降, ニカラグア政府は保 省の 組織改革や保 サービスの地方 権化を進めているが, 草の根レベルの地域保 には予算がほとんど配 されて いない. そこで, 保 システムが崩壊した後も 介助以外の 保 活動を行っていると思われる伝統的産婆が, 今後, ニカラグア農村部の保 衛生状況改善のためにその土地 でどのように地域保 に貢献していくことが有効なのか を検討することを目的とし, 実際に行っている 介助 以外の保 活動内容の調査を行った. 本研究では以下のとおりに用語を定義した. 1. 伝統的産婆 : 正規の助産教育を受けず, 自 自身 の経験または他の伝統的産婆から習得した助産技 術によって, する産婦を支援する女性. ただ し, 本研究では女性だけでなく男性の伝統的産婆 も含まれるため, 男性も含むこととする. 2. 地域での保 活動 : 本研究で指す地域での保 活 動とは, PHC の基本活動項目を参 にし, 農村部 での 康維持・増進,疾病予防のみならず,村人の 康問題に対する活動, 治療行為, 村の衛生活動 を含む. 方 法 1.調査対象地 調査対象地は,中米ニカラグア共和国 A 県 B市の保 センターを調査の拠点とした. B市は首都から 50km南 に位置し, 面積 257km 人口約 35,000人の地方都市であ る.B市の産業は主に農業であるが,太平洋 岸の村は農 業とともに漁業も盛んである. また, 太平洋 岸以外は 低い山に囲まれているため, 牧畜が盛んである. 水道や 電気などの普及率は市の中心部から遠いほど低い. 調査 地の選択理由として, 研究者が外国人であることにより 調査対象者である伝統的産婆の語りに影響を及ぼす可能 性があるため, 以前青年海外協力隊助産師隊員として活 動しており, すでにほとんどの伝統的産婆と面識のある B市を調査対象地 と し た. B市 に は 1ヶ所 の 保 セ ン ターがあり, B市保 センターは 6ヶ所の保 ポストを 管轄している. 各保 ポストは 8∼19 の村・地域を管轄 している. 2.調査対象者 調査対象の伝統的産婆は, B市保 センターが伝統的 産婆であると認定している人で, 居住地域周辺で家 内 介助を行っている人」32名の中から, B市にある全 6ヶ所の保 ポストのうち, 都市部の保 ポストを除き 農村部にある 4ヶ所の保 ポスト管轄地区在住の伝統的 産婆 17名全員の自宅を訪問し調査依頼をした. 1名は高 齢による体調不良のため固辞され, 2名は悪天候による 通事情の悪化から研究者が産婆宅を訪問できず面接を 断念したため, 14名の伝統的産婆から面接の承諾を得る ことができた. なお, 伝統的産婆居住地の概況については表 1に示し た. 3.調査期間 2004年 5月 10日∼9 月 2日 4.調査方法と調査内容 半構成的面接法を用い, データを収集した. 面接は, データの信頼性を高めるために各伝統的産婆に対し 2回 ずつ, 1回の面接につき平 1時間, 伝統的産婆宅におい て行った. 1名は娘宅で行った. 面接は研究者が一人で訪 問し, 同席者がおらず落ち着いて話すことが出来るよう 環境に配慮した. 質問内容のスペイン語の表現について は, 曖昧さがなく誤解の生じない表現方法にするために, 現地でニカラグア人の保 医療関係者と面接内容の検討 を行った. 面接前に調査対象者の承諾を得た上で, 面接内容を録
音した. 録音した内容は現地で文章化し, 不明確な言葉 は現地の協力者に質問し明確化した. 録音した内容はす べてスペイン語で全文を記録し, その後日本語に翻訳し た. この日本語逐語録をデータとした. 面接は, 実際に村で行っている 介助以外の保 活 動に関連する質問をきっかけにして自由に語ってもらっ た. 具体的には, 村で病気が発生したときの対応や, 妊婦 や子供への援助についての質問をベースに行った. その ときの状況に応じて質問項目を変 しながら面接を進め た. 5.倫理的配慮 ニカラグア保 省,A 県保 局,B市保 センターに文 書と口頭で研究の目的, 研究方法, 調査計画について説 明し承諾を得た. 伝統的産婆に対しては面接前に自宅を 訪問し, 口頭で研究目的, 研究方法について説明し, 研究 協力を途中で辞退しても不利益を被らないことを保証し た. また, 研究によって得た資料は, 研究期間中厳重に保 管し, 終了と共に破棄することを説明した. その上で再 度協力依頼について口頭で説明し, 同意を得た. 6. 析方法 ベレルソン.Bの内容 析 の手法を用い, 析を行っ た. 面接内容をスペイン語で全文記録をした後, 日本語 に翻訳し, 逐語録を作成した. 次に, 逐語録の中から「村 で行ってきた保 活動」に関連のある文章を抽出後, そ の文章を一つの意味のある文に区切り, コードとした. その後, すべてのコードを内容の類似性によりグループ 類し, サブカテゴリーとした. 最後にサブカテゴリー をさらに内容の類似性によりグループ 類し, カテゴ リーとした. また, 析の妥当性を高めるために複数の 国際看護経験者との検討を行った. 結 果 伝統的産婆の基本的属性については表 2に示した. 年 齢 は 43歳 か ら 75歳 で あ り, 平 年 齢±標 準 偏 差 は 60.1±10.9 歳であった. 学歴は全く学 に行ったことが ない者が 8名, 小学 中退が 3名, 小学 卒業が 2名, 看 護補助者養成学 卒業が 2名であった. 職業は 1名が農 業で, 13名が主婦であった. 介助の経験年数は 16年 から 60年であった. 面接調査の結果, 伝統的産婆 14名全員が村で 介 助以外に何らかの保 活動を行っていたことが明らかに なった. 以後,コードを > ,サブカテゴリーを「 」,カテゴ リーに至る前段階のグループ別 類を , カテゴリー を『 』で示す. 14名の逐語録からは伝統的産婆が村で行ってきた保 活動に関するコードが 359 コード抽出された. コード は表 3のように 栄養失調児への対応」「下痢症の子供へ の対応」「妊婦への対応」「家族計画指導」「予防接種時の 対応」「風土病患者への対応」「風土病の予防対策」「病人 発生時の対応」「発熱への対応」「頭痛への対応」「けが・ 傷への対応」「民俗疾患への対応」「その他の疾患・症状 への対応」「村人への保 指導」「村での衛生活動」「安全 な飲料水の指導」「巡回診療時の対応」「NGOの一員とし ての活動」の 18サブカテゴリーに 類された.これらの サブカテゴリーは類似性を基にグループ化し (表 4),「栄 養失調児への対応」「下痢症の子供への対応」「妊婦への 対応」「家族計画指導」「予防接種時の対応」の 5サブカ テゴリーを 母子保 に関する活動 とした. 風土病患 者への対応」「風土病の予防対策」の 2サブカテゴリーを 風土病に関する活動 とした. また, 病人発生時の対 応」「発熱への対応」「頭痛への対応」「けが・傷への対応」 表1 伝統的産婆居住の村の状況 産婆番号 村名 世帯数・人口 産業 上水道 電気 簡易トイレ 村中心部より保 ポストまでの所要時間 村の中心部から病院, 保センターまでの所要時間 1・2 A村 データなし 農業・牧畜 なし, 井戸 なし なし 馬で 2時間または徒歩 3時間 馬で 2時間+バスで 1.5時間 3・4・5 B村 世帯数不明・912名 農業・漁業 なし, 購入 家によってあり 家によってあり 徒歩 5∼15 バスで 1.5時間 6 C村 46世帯・392名 農業・牧畜 あり あり あり 徒歩 5∼10 バスで 30 または徒歩 1時間 7 D村 40世帯・235名 農業・牧畜 あり あり あり 徒歩 20∼30 バスで 30 , または徒歩 1.5時間 8 E村 26世帯・118名 農業・牧畜 家によってあり なし 家によってあり 徒歩 1.5∼2時間 徒歩 30 +バス 30 9 F村 22世帯・235名 農業・牧畜 あり あり あり 徒歩 1∼1.5時間 バス 30 , または徒歩 1時間 10 G村 60世帯・235名 農業・牧畜 あり 家によってあり あり 徒歩 45 ∼1時間 徒歩 45 +バス 30 11 H村 15世帯・101名 農業・牧畜 あり なし あり 徒歩 1∼1.5時間 徒歩 1時間+バス 30 12 I村 30世帯・178名 農業 あり あり あり 徒歩 5∼10 バス 30 13 J村 14世帯・160名 商業・農業 あり あり あり 徒歩 5∼20 タクシー20 または徒歩 45 14 K村 データなし 農業・牧畜 あり あり あり 保 ポストなし 徒歩 1時間
表2 伝統的産婆の基本的属性 産婆番号 性別 年齢 学 歴 職業 産婆経験年数 年間介助件数 (2003年) 1 女性 51 なし 主婦 17年 3 2 男性 68 なし 農業 46年 0 3 女性 74 なし 主婦 46年 1 4 女性 46 小学 中退 (2年生まで) 主婦 29 年 0 5 女性 43 小学 卒業 主婦 23年 1 6 女性 52 なし 主婦 27年 1 7 女性 75 小学 卒業 主婦 60年 0 8 女性 52 なし 主婦 23年 0 9 女性 56 なし 主婦 34年 3 10 女性 73 小学 中退 (3年生まで) 主婦 58年 0 11 女性 65 小学 中退 (1年生まで) 主婦 16年 2 12 女性 53 看護補助者養成学 主婦 19 年 1 13 女性 70 なし 主婦 35年 1 14 女性 63 なし 主婦 28年 0 表3 データのコード化からサブカテゴリー化 【コード】 栄養失調児の母親への助言 (17) 栄養失調児の病院搬送 (3) 栄養失調児に対する NGOや保 センターとの協力 (3) など 下痢の治療 (24) 下痢症児の母親への助言 (16) 下痢症の子供の病院搬送 (6) など 妊婦への助言 (13) 妊婦への治療・ケア (6) など 未 診妊婦への助言 (9) 未 診妊婦への受診同行 (2) ハイリスク妊婦への助言 (6) 家族計画希望者への指導 (14) 子供を多く持つ女性への家族計画指導 (1) 困者への家族計画指導 (1) など 予防接種の伝達・招集 (4) 予防接種時の保 医療従事者の手伝い (3) 風土病疑いの村人への助言 (4) 風土病の治療 (3) など 風土病予防の助言 (1) 風土病予防のための村の清掃 (1) 病人の治療 (13) 病人の搬送に関わる援助 (13) 病人への助言 (11) など ( ) 内はコード数 村の改善のための NGOとの活動 (3) など 巡回診療の手伝い (3) 村人への巡回診療の伝達 (2) 飲料水煮沸の助言 (1) NGO組織との清掃活動 (1) など 疾病予防のための村人への助言 (1) セクシャルヘルスに関する村人への助言 (2) 子供を持つ母親への講習会の実施 (1) 喘息の治療 (2) など 感冒の治療 5) 胃痛の治療 (5) アイレの治療 (1) など エンパチョの治療 (1) けが人への助言 (4) など 傷の治療 (14) 頭痛患者への助言 (2) など 頭痛の治療 (17) 発熱患者への助言 (5) など 発熱の治療 (22) 【サブカテゴリー : 18】 栄 養 失 調 児 へ の 対 応 (28) 下 痢 症 の 子 供 へ の 対 応 (51) 妊 婦 へ の 対 応 (39) 家 族 計 画 指 導 (20) 予 防 接 種 時 の 対 応 (7) 風 土 病 患 者 へ の 対 応 (19) 風 土 病 の 予 防 対 策 (2) 病 人 発 生 時 の 対 応 (53) 発 熱 へ の 対 応 (33) 頭 痛 へ の 対 応 (21) け が ・ 傷 へ の 対 応 (23) 民 俗 疾 患 へ の 対 応 (6) そ の 他 の 疾 患 へ の 対 応 (35) 村 人 へ の 保 指 導 (3) 村 で の 衛 生 活 動 (8) 安 全 な 飲 料 水 の 指 導 (1) 巡 回 診 療 時 の 対 応 (5) NGOの 一 員 と し て の 活 動 (5)
表4 サブカテゴリーのグループ別 類からカテゴリー 類 【サブカテゴリー】 栄 養 失 調 児 へ の 対 応 下 痢 症 の 子 供 へ の 対 応 妊 婦 へ の 対 応 家 族 計 画 指 導 予 防 接 種 時 の 対 応 風 土 病 の 予 防 対 策 風 土 病 患 者 へ の 対 応 病 人 発 生 時 の 対 応 発 熱 へ の 対 応 け が ・ 傷 へ の 対 応 頭 痛 へ の 対 応 そ の 他 の 疾 患 へ の 対 応 民 俗 疾 患 へ の 対 応 安 全 な 飲 料 水 の 指 導 村 で の 衛 生 活 動 村 人 へ の 保 指 導 NGOの 一 員 と し て の 活 動 巡 回 診 療 時 の 対 応 ふつうの疾病傷害の適切な処置 当面の保 問題とその予防方法・対策に関する教育 安全な水の十 な供給と基本的な環境衛生 風土病の予防と対策 主要な伝染病に対する予防接種 家族計画を含む母子保 サービス 食糧の供給と適正な栄養摂取の推進 【カテゴリー : PHC 基本活動項目】 【グループ別 類】 母 子 保 に 関 す る 活 動 風 土 病 に 関 す る 活 動 村での病気やけがに対する保 活動 保 医療従事者や機関・組織との協力活動 村での保 衛生に関する活動 その他の保 活動 表5 伝統的産婆が行ってきた保 活動内容 カテゴリー : PHC 基本活動項目 人数 サブカテゴリー コ ー ド 病人発生時の対応 14名 (53) 病人の治療 (13) 病人の搬送にかかわる援助 (13) 病人への助言(11) など 発熱への対応 13名 (33) 発熱の治療 (22)発熱患者への助言 (5)発熱患者の病院搬送 (5)など 頭痛への対応 13名 (21) 頭痛の治療 (17) 頭痛患者への助言 (2) 受診同行 (1) など ふつうの疾病傷害の適切な 処置 14名 (171) けが・傷への対応 11名 (23) 傷の治療 (14) 怪我人への助言 (4) 怪我人の病院搬送 (3) など 民俗疾患への対応 5名 ( 6) エンパチョの治療 (1) アイレの治療 (1) エンパチョ患者への助言(1) 等 その他の疾患への対応 11名 (35) 胃痛の治療 (5) 感冒の治療・助言 (5) 嘔吐の治療 (2) 喘息の治療 (2) 咳の治療 (2) など 下痢症の子供への対応 13名 (51) 下痢の治療 (24) 下痢症の子供の母親への助言 (16) 下痢症の子供の病院搬送 (6) など 家族計画を含む母子保 サービス 14名 (110) 妊婦への対応 13名 (39) 妊婦への助言 (22) 未 診妊婦への助言 (11) ハイリスク妊婦への 助言 (6) 家族計画指導 8名 (20) 家族計画希望者への指導 (14) 子供を多く持つ女性への家族計画指導 (1) 困者への家族計画指導 (1) 男性への家族計画指導 (1) 食料の供給と適正な栄養摂 取の推進 14名 (28) 栄養失調児への対応 14名 (28) 栄養失調児の母親への助言 (17) 栄養失調児の病院搬送 (3) NGO や保 センターとの協力 (3) など 風土病の予防と対策 13名 (21) 風土病患者への対応 12名 (19) 風土病疑いの村人への助言 (4) 風土病の治療 (3) など 風土病の予防対策 2名 ( 2) 風土病予防の助言 (1) 風土病予防のための村の清掃 (1) 村での衛生活動 3名 ( 8) 疾病予防のための村人への助言 (1) NGO組織との清掃活動 (1)など 安全な水の十 な供給と基 本的な環境衛生 4名 ( 9) 安全な飲料水の指導 1名 ( 1) 飲料水煮沸の助言 (1) 主要な伝染病に対する予防 接種 4名 ( 7) 予防接種時の対応 4名 (7) 予防接種の伝達・召集 (4) 保 医療従事者の手伝い (3) 当面の保 問題とその予防 方法・対策に関する教育 1名 ( 3) 村人への保 指導 1名 ( 3) 子供を持つ母親への講習会の実施 (1) 康問題やセクシャルヘル スに関する村人への助言 (2) 巡回診療時の対応 4名 ( 5) 村人への巡回診療の伝達 (2) 巡回診療の手伝い (3) その他の活動 5名 (10) NGOの一員としての活動 1名 ( 5) 村の改善のための NGOとの活動 (3) など 計 (359) * ( ) 内はコード数.
「民俗疾患への対応」「その他の疾患への対応」を 村で の病気やけがに対する保 活動 とし, 村人への保 指 導」「村での衛生活動」「安全な飲料水の指導」は 村で の保 衛生に関する活動 とした. 巡回診療時の対応」 「NGOの一員としての活動」は 保 医療従事者や機 関・組織との協力活動 とした. 類されたサブカテゴ リーは PHC の基本活動項目に該当することが確認でき たため, それらの活動項目に対応させ, PHC の基本項目 を用いてカテゴリー 類を行った.PHC の基本活動項目 別に伝統的産婆が行ってきた保 活動を見てみると, 表 5のとおり,『ふつうの疾病傷害の適切な処置』に関する 保 活動で, 14名全員が行っており, 171コード 類さ れた. これらのコードはコード数の多い順に「病人発生 時の対応」「発熱への対応」「頭痛への対応」「けが・傷へ の対応」「民俗疾患への対応」, 発熱, 頭痛, けが・傷, 民 俗疾患以外の疾患をまとめた「その他の疾患への対応」 の 8サブカテゴリーであり, 中でも, 病人発生時の対 応」は 53コード抽出され,薬剤の投与や薬草治療などの 病人の治療>や,病人の病院への搬送,搬送方法の探索, 搬送の依頼など 病人の搬送にかかわる援助> をしてい た.また,薬草治療を教えるなど 病人への助言> を行っ ていた. 発熱への対応」に関する全コード 33のうち,22 コードは解熱剤やマラリア治療薬の投与や薬草治療, ア ルコールの頭部湿布などの 発熱の治療> に関するもの であった. 頭痛への対応」も, 全コード 21のうち, 17 コードが鎮痛剤投与, 薬草治療, イグアナの油の頭部塗 布など 頭痛の治療> に関するものであった. けが・傷 への対応」「民俗疾患への対応」でも治療に関するコード が多く挙がった. エンパチョは中米で一般的に見られ, 食物の消化不良, 消化管異常を起こすと えられており, エンパチョの治療>ではマッサージと下剤の投与を行っ ていた. また, 民俗疾患アイレは邪悪な空気が体内に入 り痛みを起こすと えられており, アイレの治療> とし てカラーニャという木の皮から採取したカミバールと呼 ばれる油を患部に塗布していた. その他の疾患への対 応」でも, 治療に関するコードが最も多く抽出された. 次に多くのコードが抽出されたのは『家族計画を含む 母子保 サービス』で,14名全員が行っており,110コー ド抽出された. 本研究では, 伝統的産婆本来の仕事であ る 介助に関する活動以外の保 活動を知ることを目 的としているため, ここでいう母子保 サービスは 介助に関する活動以外を指す. コードは「下痢症の子供 への対応」「妊婦への対応」「家族計画指導」の 3サブカ テゴリーに 類された. 下痢症の子供への対応」は 51 コード抽出され, 経口補水液を補給や薬草治療, 伝統療 法などの 下痢の治療>が最も多く行われていた.その他 のコードは 下痢症の子供の母親への助言> 下痢症の子 供の病院搬送> などが挙がった. 次に多くのコードが挙 がった「妊婦への対応」は 39 コード抽出され,妊娠がわ かった女性に 診を促すなど 妊婦への助言> や 診を 受けたがらない妊婦に対して 診を勧めるなどの 未 診妊婦への助言>, 合併症を持つ妊婦に対し受診するよ う勧めたり, 初妊婦や高齢妊婦へ施設 を勧めたりす る ハイリスク妊婦への助言> が挙がった. 家族計画指 導」は, 家族計画希望者への指導> のほか, これ以上子 供を増やさないよう助言する 子供を多く持つ女性への 家族計画指導> や しい生活状況を見て助言する 困 者への家族計画指導>,男性に対して避妊を勧める 男性 への家族計画指導> などが挙がった. 『食料の供給と適正な栄養摂取の推進』に関する保 活動も 14名全員が行っており, 28コード抽出された. こ こでの活動はすべて「栄養失調児への対応」であり,栄養 失調児の母親に受診を勧めたり, 栄養指導を行うなど 栄養失調児の母親への助言>をしていた.その他 栄養 失調児の病院搬送> NGOや保 センターとの協力>な どのコードが挙がった. 『風土病の予防と対策』に関する保 活動は 13名が行 い, 21コード抽出された. コードは「風土病患者への対 応」「風土病の予防対策」の 2サブカテゴリーに 類され た. 「風土病患者への対応」は 19 コード抽出され, マラ リア疑いの村人に受診を勧めるなどの 風土病疑いの村 人への助言> をし,マラリアやデング熱,アメーバ赤痢の 患者に対し,薬草治療などの治療を行う 風土病の治療> を行っていた. また, 風土病の予防対策」は蚊帳の 用 を勧め, 蚊の発生予防のために清掃を促す 風土病予防 の助言> と 風土病予防のための村の清掃> が挙がった. 『安全な水の十 な供給と基本的な環境衛生』に関す る保 活動は 4名が行い, 9 コード抽出された. 8コード 挙がった「村での衛生活動」では 疾病予防のための村 人への助言>や NGO組織との清掃活動>を行い, 安全 な飲料水の指導」は村人に対して 飲料水煮沸の助言> を行っていた. 『主要な伝染病に対する予防接種』に関する保 活動 は 4名が行い 7コード抽出された. このカテゴリーの保 活動はすべて自発的ではなく保 医療従事者からの依 頼で行っていた.コードはすべて「予防接種時の対応」に 関するもので, 村人に対し, 保 医療従事者が予防接種 に来ることを伝達し, ひとつの家に召集する 予防接種 の伝達・召集> と,予防接種時に保 医療従事者の手伝い をし,昼食の準備をする 保 医療従事者の手伝い>が挙 がった. 『当面の保 問題とその予防方法・対策に関する教育』 に関する保 活動は, 1名が行い, 3コード抽出された. これらはすべて「村人への保 指導」を行っており, 子
供を持つ母親への講習会の実施> と, 康問題やセク シャルヘルスに関する村人への助言> が挙がった. 『その他の保 活動』は,PHC の基本活動 8項目には 含まれない活動であるが, 5名が行い, 10コード抽出さ れた. 村人への巡回診療の伝達>や 巡回診療の手伝い> をする「巡回診療時の対応」と, NGOの一員としての活 動」が挙がった. 察 伝統的産婆本来の役割は WHOが定義しているよう に, 専門的訓練を受けていないが伝統的にしかも自立し て地域で妊娠, 出産, 産後の世話をすることである. しか し,Sheilaは「伝統的出産介助者として定義された人が産 前, 産後の看護もすれば, 母親や赤ん坊が病気にかかっ たときは, その治療に携わるケースが多いということが 明らかになった. (中略) 彼女たちはプライマリヘルスケ アのほかの活動や家族計画プログラムにも参加するの で, その役割の範囲はさらに拡張しつつある.」と述べて いる. 今回の調査で明らかになったニカラグアの伝統 的産婆がどのような保 活動を行ってきたのかという結 果を踏まえ, 今後, ニカラグア農村部の保 衛生状況改 善のために, どのように伝統的産婆が活用され, 地域保 に貢献していくことが有効なのかを 察したい. 今回の調査で調査対象の伝統的産婆 14名全員が村で 介助以外に何らかの保 活動を行っていることが明 らかになった. 多くのコードが挙がった活動はカテゴ リーの中でも,『ふつうの疾病傷害の適切な処置』『家族 計画を含む母子保 サービス』であった. 『ふつうの疾病傷害の適切な処置』や『家族計画を含 む母子保 サービス』で特に多く見られた活動に治療行 為があった. 伝統的産婆は村人に対し解熱剤や鎮痛剤, 経口補水液の投与とともに薬草治療などの伝統療法を 行っており, 医療の行き届かない地域の村人が一番初め に接する治療者としての役割を担っていた. 治療は伝統 療法と投薬を組み合わせて行っていた. 伝統的産婆は伝 統的治療師として薬草治療に精通している者も多く, そ こに, 比較的安価で保 センターや保 ポストに行けば 処方してもらいやすい鎮痛剤や解熱剤を併用するように なったと えられる. しかし, 発熱時に発熱=マラリア という短絡的な えからマラリア治療薬を適用している こともあり, 間違った投薬を行っていることも かった. 薬草治療などの伝統療法は現金収入の少ない農村部の 人々にとって, 経済的負担の少ない治療法である. 国の 保 医療システムが草の根までたどり着かず, 効果的に 機能していないニカラグア農村部の人々にとって, 伝統 的産婆が行う薬草治療を含む伝統療法は重要である. 村 人が信じる民俗疾患や伝統療法を否定し近代医学を推し 進める従来の方法では現在のニカラグア政府の経済状況 で村人の 康を維持していくことは困難であるため, 村 人の信じる 康や病気に関する価値観を尊重し理解を深 める必要がある. そこで, 伝統的産婆の持つ文化的近接 性を活かしていくことは有効である. また, マラリア治 療薬の間違った投薬をしているままでは, その地域で感 染症が蔓 してしまうという可能性もあるため, マラリ アの治療に関しては伝統的産婆がかかわるのではなく, マラリアなどの感染症専門のボランティアや保 医療従 事者が行うという従来の方法を国全体に周知していくこ とが必要である. 発展途上国で子供の主要な死亡原因である下痢症の子 供に対してニカラグアの伝統的産婆が行っている病院搬 送までの間に経口補水液を投与するという行為は, 特に 今回の調査地である A 村のように保 ポストや保 セ ンターまでの距離が遠い地区では搬送に時間を要すた め, その間の下痢の重症化を防いでおり非常に重要な役 割を果たしているといえる. 子供の下痢症は栄養失調と の関連が深く, 栄養失調児が下痢症に陥ると, 早期に脱 水症を起こし, 死に至る. ニカラグア農村部での栄養不 良児は 30%を超えており, 栄養失調児が下痢症を発症 した場合, 伝統的産婆が経口補水液を投与するという行 為により死を回避できるということになり得る. 伝統的産婆は現在まで様々な保 プロジェクトに組み 込まれてきたため, 確実ではないが多少の近代医学の知 識を持ち, さらに農村部の文化的理解を持ち得る. その ため, 伝統的産婆が下痢症の子供へ経口補水液を与える という行動においては, 正しい 用方法を再度学び実施 できるようにしていく必要がある. 今後は, 下痢症の子 供の母親が家で経口補水液を正しく作り与えられるよ う, 母親が子供の 康について力をつけられるとよりよ い. その母親たちのエンパワーメントのために母親との かかわりが深い伝統的産婆の力が発揮できるところであ ろう. また, 伝統的産婆の多くは病人を病院に搬送する際に 何らかのかかわりを持ち, 村人が受診する際に同行して いた. ニカラグア農村部の人々の中には, 近代医学的な え方が理解出来ないことから, 病院や保 センターな ど医療施設に対して恐怖心を持ち, そのことが受診を遠 ざける一因となっている. 農村部の人々の中でも保 医 療従事者とのかかわりが多い伝統的産婆が, 病院搬送に かかわり受診同行するなど, 村と医療施設の橋渡しのよ うな重要な役割を担っていた. 伝統的産婆が保 医療従 事者と村人との間に存在することが, 村人の受診につな がり, また, 症状の悪化を予防するという役割を果たし ている. 『家族計画を含む母子保 サービス』の「妊婦への対
応」では, 妊婦に 診を促す活動をしている伝統的産婆 が多く存在した. これは, 妊婦が 診を受けることで異 常の早期発見につながり, 農村部の妊産婦死亡の低減に つながる重要な役割を担っている. ニカラグア政府も異 常妊娠や異常 を病院など二次医療施設につなげる役 割を伝統的産婆に求めているため, それが, 伝統的産婆 の行動につながっているためであろう. 家族計画指導」 では, 男性に対して, 自ら進んで家族計画指導を行って いた. 多くのニカラグア人は自然受胎を重んじるカト リック教徒であり, 熱心なカトリック教徒は避妊に対し 消極的である. また, ニカラグアにはマチスモという男 性上位の え方があり, そのため, 男性主体の避妊が社 会的に難しい中で, 村人に尊敬され, 地域に根付いた活 動を行っている伝統的産婆であるからこそ, 男性への家 族計画指導が行える. また, 子供を多く持つ女性や 困 者に対しての家族計画指導は, その土地で生活し活動す る伝統的産婆だからこそ, 各村人の生活状況を把握し適 切な助言がしやすい. しかし, 家族計画指導は若い世代 にアプローチする若い保 ボランティアの育成や保 医 療従事者への研修を保 省及び外国 NGOなどの援助機 関が実施しており, 必ずしも伝統的産婆が行うことでは ないと えるが, 伝統的産婆の協力を得ればより実施し やすくなるだろう. また, 伝統的産婆は『食料の供給と適正な栄養摂取の 推進』の「栄養失調児への対応」に関する保 活動を多 く行っていた. 栄養不良の原因は単一によるものではな く, 社会的, 経済的な原因も大きく関与するため, 伝統的 産婆一個人での対応では限界がある. そのためには, 国 全体がこの問題をきちんととらえることが大切である が, 農村部の人々も自らの 康問題について え, 対策 を えられるとよい. 現在, 栄養失調児に対して母親に 助言するなどの活動を行っている伝統的産婆を活用する ことも一助となるだろう. PHC はすべての人に絶対的な保 サービスを提供す ることを目的としている. そのためには住民との近接性 が重要となる. 伝統的産婆の多くはその活動地域周辺に 居住し, 村人と同様の生活を送っているため, 村人の生 活状況に詳しい. そのため, 村人の生活状況に即した保 活動を行いやすい立場にいるといえる. また, 伝統的 産婆は村人と同じ文化圏内で生活しているため農村部の 人々の え方を理解でき, 文化的近接性も持っている. このように, 地理的, 文化的な近接性を持つ伝統的産婆 は PHC の重要な人員となり得る. 今後, 伝統的産婆が村で治療や処置を行うだけでなく, 村人が病院などの保 医療施設を有効に利用することが 出来るよう促進するという役割も村人の保 状態を改善 させるために有効である. しかし, 介助技術を中心 に研修を受けてきた伝統的産婆が多い中, 彼女らだけで 保 指導などの活動を行うことには限界があり, 行った としても適切であるかどうかは疑問である. しかしなが ら, 現在も行っている保 プロモーター的な役割は担う ことができるであろう. また, 村の保 状況改善のため には村人の 康に対する え方や民俗疾患など病気の捉 え方など生物医学的な見方と異なった村人の え方を保 医療従事者が理解を深める必要があり, その際, 村人 と保 医療従事者との中間に位置する伝統的産婆を活用 していくことは有効である. 今回の調査で, 伝統的産婆が行ってきた保 活動の多 くは PHC の基本活動項目に 類されたことから, 多く の伝 統 的 産 婆 は PHC の 知 識 が な い に も か か わ ら ず, 行ってきた保 活動は PHC に即したものであることが かった. しかし, 高齢であり, 初等教育を修了していな い伝統的産婆が多いことから, さらに多くの活動を求め るのではなく今行っている保 活動をより充実させてい くためには, 伝統的産婆の現在の活動を支持しつつ, さ らに保 ボランティア育成などを政府及び援助組織が 行っていくことが農村部の人々の 康につながるであろ う. 本研究の限界と今後の課題 調査はスペイン語で行ったが, 研究者の母国語ではな いため, 微妙な表現を理解するには限界があった. 世界 的には安全な出産のために施設内 を推奨する動きが 主流であるが, 現在でも様々な国や地域で伝統的産婆に よる 介助は行われている. また, 国によってはニカ ラグアの伝統的産婆のようにボランティアで地域保 活 動を行っている伝統的産婆も存在する. ニカラグアの伝 統的産婆の 介助数は減少しているものの保 活動を せざるを得ない現状があるが現在のニカラグア政府の方 針からは逸脱しており, 単なるボランティアにすぎない. 今後, 研究結果を通して, 伝統的産婆のみならず, 農村部 の地域保 を担う人材の育成に役立てていく必要があ る. また, 施設内 を進めていながらも施設にたどり 着けない母子の安全を確保するための伝統的産婆の活用 についても えていく必要がある. 謝 辞 現地調査にご協力いただいた,ニカラグア A 県 B市の 伝統的産婆の皆様, B市保 センター, ニカラグア保 省, A 県保 局, B市市役所の皆様, 前在日ニカラグア大 のハリー・ボダン・シールズ氏,並びに JICA ニカラグ ア事務所の皆様, JICA グラナダ地域保 プロジェクト の皆様に感謝いたします.
文 献
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A Role for Community Health of a Traditional Birth
Attendant Working in a Nicaraguan Rural Area
Shinobu Sakamoto
and Yoshie Mori
1 School of Health Sciences, Gunma University Faculty of Medicine, 3-39-22 Showa-machi, Maebashi, Gunma 371-8511, Japan
Objectives: The objectives were to identify health related activities other than delivery assistance by traditional birth attendants in rural agricultural villages in Nicaragua and to explore their effective utilization and contribution to improvement of the health status of the communities. Subjects and M ethods: The subjects were 14 traditional birth attendants. The methods used were semi constitutive interview and data analysis using Berelson s content analysis. Result : All 14 traditional birth atten-dants were involved in health related activities in addition to their original role of birth assistance. Their activities were classified into eight fundamental primary health care activities. The traditional birth attendants were found to provide care for common diseases of the local residents who have limited access to the biological medicine. They also offered advice to rural mothers on child diseases and symptoms. They played the bridging role between local villagers and the modern medicine. Conclu-sions: Their roles will continue to be important, including therapeutic activities for local people, bridging community to the modern medicine and empowering local mothers to promote child health. It is indicated that utilization of traditional birth attendants who have cultural and geographical proximity to villagers is effective in developing primary health care system in those communities.(Kitakanto Med J 2010;60:329∼338)
Key Words: Traditional birth attendant, community health, primary health care, Nica-ragua