第2学年4組 道徳学習指導案
指導者
1 主題名 「感謝の気持ちの表現」
内容項目 2‐(6) 感謝
資 料 「愛」藤田美喜 作,「第35回全国小中学生優秀作品コンクール入選作品集」より
2 指導観
○ わたしたちはみな、多くの人々の善意や支えによって日々の生活が成り立ち、現在の自分があることを忘れ
てはならない。しかし、具体的な支援に対してはすぐに感謝の気持ちを伝えることができても、自分の存在に
深く関わることになると、つい気づくことができなくなってしまったり、わかってはいても言葉や行動でうまく感
謝の気持ちを表現できなかったりすることがある。潤いのある人間関係を築き、自己と他者との絆をより強くす
るために、自分の心の中にある感謝の気持ちを素直に表現し、それを相手の心に届けることは大切なことで
ある。また前述のことを踏まえれば、実は感謝の心はある特定の人だけに対するのではなく、自分とつながる
多くの人々や自然などにも広がってゆくものである。そして、それを表現する行為を見ることで、相手の心に
感謝の気持ちが届くこともあるものと考える。
○ 本学級の生徒は、友だちの善意に対して「ありがとう」と素直に感謝の気持ちを表現することができる。アンケ
ートで将来なりたい職業ややってみたいことを尋ねたところ、全ての生徒が何らかの職業や希望を記述するこ
とができた。そしてそのように考えた理由については、「興味がある・好きなことだから」○36.7%、「家族の提
案・影響」33.3%、「本やテレビの情報」12.9%、「ありがとうと言われてうれしかったことがあるから」3.3%のよう
に回答したが、自分が感謝した体験をもとにした理由はあげられなかった。つまり、前述のように、具体的な支
援に対しては感謝の気持ちを表現できるが、自己の存在に関わるような部分についてはさほど意識しておら
ず、自己の体験が行動には結びついていることが少ないのではないかと考える。このような生徒たちに、感謝
の気持ちをどのように伝えることができるのか考えさせ、感謝の気持ちをもとにした行為によってよりよい社会
が築かれることに気づかせたい。
○ 本資料「愛」は、腎不全のため苦しんでいた母に、母の弟が腎臓の提供を申し出て腎臓移植を行い、母が
健康を取り戻した時の気持ちを綴った生徒作文である。おじさんが自分の家族や健康に対する不安と手術
の痛みを乗り越えて、母のために腎臓を提供してくれたことに対する感謝の気持ちから、筆者はおじさんにも
らった愛を今度は自分が多くの人に与えることのできるよう看護師になることを決心する。この筆者の姿から、
感謝の心は行為を受けた相手に返すだけでなく、その感謝の気持ちをもとにした行為によって、より多くの
人に伝わり、よりよい社会を築き、そしてこのことから感謝の気持ちを感じることができるのではないかというこ
とを生徒たちに気づかせたい。
3 本時の指導上の工夫
(成就感を味わわせるための)資料が生きる発問の工夫 板書・プリントの工夫
導
入
A:自分との関わりを意識化させる発問
・アンケート結果を提示し、資料の筆者が看護師になろうと決心したきっかけと
自分の場合とを対比させる。
○アンケート結果を掲示。
展
開
B:人としての道徳性を認識させる発問
・素直に自分や自分の家族にとって利益になることに「うれしい、ありがたい」と
感じていることに気づかせるために、病気が治ったときの気持ちを考えさせ
る。
B:自分との関わりで道徳性を深めさせる発問
・感謝の気持ちが「ありがとう」の言葉だけでなく形を変えて表出されようとして
いることに気づかせる。(中心発問)
○グループで話し合った意見を短冊に
書き、黒板に掲示させる。
終
末
C:自己の道徳性の成長を実感させる発問
・感謝の気持ちから看護師になることを決心した筆者についての意見を記述す
ることで、自分にも筆者のように他人からもらった思いやりに対する感謝の気
持ちを誰かに返していけたらいいなという気持ちがあることを実感させる。
・生き方についての価値を深めるために、書いたことを発表したり通信で知らせ
たりすることで意見の交流を促す。(+共存感)
4 ねらい
おじさんの腎臓提供に対する感謝の気持ちから看護師を目指すようになる筆者の姿を通して、感謝の気持
ちは与えられた相手に直接返すだけでなく、その気持ちをもとにした行為からよりよい社会が築かれることに
気づかせる。
5 展開
配時 学習活動と主な発問 予想される生徒の反応 指導上の工夫と留意点
導
入
(
十
分
)
1.将来なりたいものややりたいこ
とについてのアンケート結果を
見る。
◯どうしてこんなことをしたいと
考えるようになったのだろ
う。
・なんとなく
・自分の興味のある(好きな)ことだ
から
・安定しているから
・給料がいいから
・ 目標に(尊敬)する人がいたから
・ 人のためになりたいから
・ 助けられたことがあるから
◯筆者が看護師になろうと決意するきっかけ
となった「感謝」の気持ちや将来の目標の
根拠となる体験そのものが少ないと考えら
れるので、将来の目標への動機を提示す
ることで本時の価値の方向づけを行う。
○アンケート結果を提示することで、雰囲気
を和らげる。
展
開
(
三
十
分
)
2.資料を読み、状況を整理して、
筆者の心の動きについて考え
る。
◯健おじさんが腎臓の提供を
申し出たとき、すぐに言葉が
出なかったのはどうしてだろ
う。
○お母さんと健おじさんが元気
になったとき、筆者はどんな
気持ちだっただろう。
3.筆者の感謝の気持ちの表し方
について考える。
○筆者に「看護師になろう」と
決心させたのはどのような思
いだろう。空欄に言葉を入
れてみよう。
○看護師になろうと努力する
姿や、もし看護師になったと
したらその姿から、健おじさ
んに筆者の感謝の気持ちは
伝わるだろうか。
・ あまりにうれしかったから。
・ びっくりしたから。
・ 信じられなかったから。
・ 本当だろうかと思ったから。
・ うれしかった。
・ 「健おじさんありがとう」という気
持ち。
・ 健おじさんのおかげで、もとの家
族に戻った。
・ おじさんのように優しい人になり
たいという気持ち。
・ 自分を犠牲にして人を助けるよう
なおじさんのようになりたいという
気持ち。
・ お母さんのように病気で困って
いる人を救いたいという気持ち。
・ 健おじさんや健おじさんの家族
への感謝の気持ち。
・ わかってくれると思う。おじさんも
いいことをしようとか感謝されよう
とか思ってやったことではないか
ら。
・ わからないと思う。
○「本当にそんな大変なことを…」と信じられ
ないような気持ちであることを感じ取らせ
る。
○すぐに言葉にならないくらい大変な申し出
であることを確認する。
○「ありがとう」という言葉ではとても表現でき
るような感謝の気持ちではないことを感じ
取らせる。
○筆者の決心が健おじさんやその家族への
感謝の念からであることに気づかせるため
に、資料終末部分の空欄に入りそうな言
葉を考えさせる。
○個人で考えた後でグループ交流させ、意
見を黒板に掲示させる。
○おじさんの人間愛的な意見が多くなった
場合、どうしておじさんはすごいと感じたの
か根本的なことを問うことで、根底におじさ
んに対する感謝の念があることに気づか
せる。
○「おじさんへの感謝の気持ち」という意見
に対して、これを全体で取り上げて補助発
問を行うことで、感謝の気持ちの表し方や
返し方について考えさせる。
終
末
(
十
分
)
4.今日の授業の感想を道徳の記
録プリントに記入する。
◯筆者は健おじさんへの感謝の
気持ちから、看護師になるこ
とを決心したが、このことにつ
いてどう感じるか。
・健おじさんには「ありがとう」と何度
も言っただろうが、それだけでな
く、健おじさんからもらった愛を今
度は自分が他の人にも分けること
で感謝の気持ちを伝えようとした
んだと思う。
・自分も人にもらった「ありがとう」の
気持ちを多くの人に返せるように
なりたいと思う。
◯自己の道徳性の成長を実感させるため
に、授業を通して考えたことを記述させ、
本時の思考を振り返らせる。