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山田耕筰『幽韻』に於ける音楽語法について

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(1)山田耕搾『幽韻』に於ける音楽語法について 田鎖. A. Study. of the technique. 大志郎. language. of musical. Daishiro. in K・Yamada′s. ≪Ydin≫. TAKUSARI. 序 明治期に西欧音楽の音組織及びその語法を取り入れてから、その後すっかり西欧の語法と日本的 な感覚は融合し、次々と新しい表現内容を展開しているかに見えるoしかし果たしてそうであろう か。西欧音楽の持つ立体的な造形性は失われていはしないか。日本的精神風土は希薄になっている のではないか。西欧音楽と対峠し日本的な美意識と向かい合った、泰明期の作曲家である山田耕作 を前回の信時潔に続いて探り、たい。 彼らが自国の言語の特質と西欧の音組織を括抗させながら作り上げた新しい芸術歌曲という領域 を、その背後にある美意識や精神風土と共に分析し、訪ねる(検討する)ことにより、はっきりと日 本的な特徴を再確認する必要がありはしないだろかo二人の後、橋本国彦らのさらに脚宙された束 洋と西洋の融合した作品が規れるoしかし、後続する作品の中には、音楽としては解りやすく平易に なったが、本来の美意識を探ると、薄くなってしまった点もあるように思われるo山田、信時雨先人 の、西欧と日本のせめぎあいの中にこそ、日本(東洋)の美意識の真髄を見ることになるはずであるo 再吟味の意味するところは、鮮明な葛藤の最中にあった作品の内にこそ、その崇高なレヴュルを 感得し得るであろうし、その原点から、それらの後に続く作品の評価が、改めて為される必要があ るように思われる。すなわち、遠のいてしまった(忘れてはならない)日本の精神風土の奥深く豊 かな財産の再確認を急ぎたい。. 山田の作品の中で、テキストとしては小倉百人一首の女流歌人の和歌ばかり五首を選んで作曲さ れた『幽韻』について、日本的音調と西欧音楽の語法を積極的にとり入れ、新しい響きに果敢に挑 んだ作曲法を見ていきたい。. 『幽韻』をも含み山田の歌曲に関しては、 ′J鳩美子氏による、小泉文夫の比較音楽学の成果を活 用し、伝統的音階を軸にした練密な分析とその解釈があるがl)、さらに旋律と和声、全体の構成等 について抽出し、表現を支えているテクスチェアの特徴とその美しさ(美的価値)を結びつけられ れば幸いである。. 『幽韻』の位置 山田耕搾は生涯にわたって歌曲を数多.く書き続けているが、この作品が作曲された1919-1922年 は、 『病める蕎劉やその後に続く『わかれ』 『紫』さらには代表作『AIⅦNの歌』等、歌曲作曲上、 最も意欲的に様々な試みが為され、新しい境地を切り開いた時期であるoその中でも『紳韻』は、.

(2) 132. 田銀. 大志郎. 日本の都節音階奪の民族音階の使用と、西欧の近代的な響きを盛っていて、最も先鋭で難解な作品 でもある。2). 1,一分析 分析の方法について′. 1.1 l-1.l. '旋律と和声について. 古典派から口々ン派にかけて、旋律と和声は本来不可分の関係にあり、大きな枠組みでは、調性. の確立されたフレ-ズを作っているoある旋律に対して唯一-絶対の和声が存在するとまでは言い切 れないが、旋律の渡れと和声の機能的な進行と妄ま密接に関わりあっているo ≪幽韻≫の場合、調性とその他の音階(旋法、民族的音階等)が融合され、響きの世界妄ま、既に 無詞の世界(後期ロマン挽から表浅主義に対応する)に踏み込んでおり、和声的に単に縦の響きの みを追っていてはおぼつかない。そしてこの作品の場合、後期ロマン派から無詞に至る西欧の和声 法と,東洋的(日本的)な旋法や民族的音階が共存している。 そこで調性的な世界がやや暖昧になり、. <狭い意味に於ける調性>を外れた旋律と和声は、それ. ぞれが独立して存在しているという親方が必要であろう。むしろそのことによって分析も解釈も可 能になるであろう。. :i). また、時に不協和な響きは、むしろ日本の音感覚から導き出されているようにも思われるo従っ て、和声分析に於いては、多面的な観点から行う必要があろう。 調性と他の音階は、主軸になる旋律の上に如実に携れており、ピアノは,その旋律に対応しつつ、 LL傾国有の和声法を展開している. 従って『駒韻』の分析については、旋律と和声を別々に観ていく挙が適当であろう。むしろ旋律 と和声を対比的、或いは対立的に捉えることが必要であり、肝要なことでもある。 そして曲全体がどう作られているか(旋律と和声の関わりあい方)を観る単によって、その曲の 様式的特徴が浮かび上がってくることになろうo具体的には、旋律線(ヴォーカルライン)と和声 を担っているピアノパートに分けて観ていく方が効果的であろうo. 1.1.2. 分析の項目. 1)テキストと曲の関わり合い 2)旋律練の分析 調性、半音階、全音音階(Wholetone-scale)、旋法、ペンタトニック、音域、線の形態及 び連なり方(5と関連) 3)和声分析. 機能和声、平行和音、何度構成の和音、クラスタ-、擬音又は自然音の模倣 4)リズムについて 5. )_楽曲構成或いは旋律の基礎構成について. 6)全体について 音楽的特徴、表現の内容及びその解釈.

(3) 133. 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. 『幽韻』の分析. 2. 2-1. Ⅰはなのいろは. 2-1-1テキストと曲との関わり合い. 和歌は一句二句-はなのいろは(6)うつりにけりな(7)-と三、臥五句-いたづらに(5)わが身よ にふる(7)まがめせじまに(7)-に区切られるが、三句のいたづらにのところで、低音から一気に駆 け登って四、五句につなげていてあたかも、前半と後半の橋渡しをしている様である。このことは 句の意味内容を受けての作り方であろう。 ピークは音高、ダイナミズム、ピアノの広がりから最後の句の-ながめせしまに-の(ながめ) に置かれている。. -、はなのいろは(6) 二、うつりにけりな(7). 3(-(1. /よ甘/、9. v\. ?/,::'a= ,:ヱヽ軒/ ′. 三,いたづらに(5) 臥. わが身よにふる(7). 五、ながめせしまに(7). u-I:e'.I:-iL妄't†ー ,.I:,;.:.. o壕,Jb身夕端之8壊仏者atL王. ( )内シラブル数 国1. 2-l、-2. 調号は♯. 旋律線の分析 4つでEdurかcis. mollを指すものであるが、バスに保続的にcisが置かれているだけで、. 和音はgismo11としてとらえた方が自然であるoさらに旋律はDurでもmollでもなく、. gismollの主. 普(gis)又は第5音disを核音とするペンタトニックで出来ているo一応第三句まではdisを核昔とす Cはhからcis-行く途中、経過的にあらわれている(9′ト る都節音階(dis,e,gis,ais,也,cis)を軸とし、 節)。第5句は前半はdisの都節音階ではじまるが後半はgisを軸の都節音階(gis,a,cis,dis,丘s)に転じ ている。4). 旋律はメリスマ的であり、各句の二番目に当たるシラブルからメリスマ的に伸び伸びとした、し かも起伏に富んだ波状の線を画いている。. 4鳩低音はcisl第二句(8小節),嶺高音は、. gis2第三句. (10小節)第五句(12,13小節)にあり、音域はオクタ-ヴと完全5度にわたっている。 旋律線は、大略図1の如くであり、下から上-、 り、次に(うつりにけりな). (はなの)(1′ト節) (いろは)(1小節)と二連あ. (2小節)と大きくまとめ、下向した線をピアノの高潮した勢いのって. (いたずらに)で一気に上に向い(1小節半)、小さく下向する二連(わがみ)(よにふる)を経て(な がめせしまに)で上向し下向する、大きな波をつくって終わっている。波形の最高音を二つ経て、 第五句を乗せた彼の最高音のところにこの曲のピークが重なっているo.

(4) 134. 田鎖. 大志郎. 和声分析. 2-1-3. 冒頭と最後のバスはCisであり、要所ではGis,Fisが現れて、. --応cismonの体をましているが、実際 は、バスを除いてgismontしてとらえた方が、とらえ易い。特にaisが頻繁に現れており、 gisに対 するⅦ等、ドミナントの和音が多い。従ってcisとgisの二重構逮(共存)的であるといえるbさらに 旋律はペンタトニックで出来ており、複調とペンタトニックの混在である。和音は4度5度(主とし て完全4度、. 5度)を重ねて作っており、それらと三和音の調性的響きが混然として鳴っている。. 7/ト節、 10/ト節では鳴らされた和音の構成音全てを横に並べるとペンタトニックの音階になってい るo. ( 7小臥gis,ais,cis,dis,鮎/10小節-dis,a,gis,ais,c(or Gis))逆に言えばペンタトニックの核になる. 音と旋律に使われた昔によって組み合わされた和音に非和声音を加えて4度構成(又は5度構成) の和音と三和音を融合させているo. 2/ト終日には変イヒ和音(エ度の増三四大-フランスの六)があ. らわれているo Bの. 又、.12小節ではバスのC-H-+B-A-Gisの半音による下行に対してl・壬の上には完全5度、 上にほ増5度、Aの上には短6度を重ね、響き及び空間を広をヂてドミナントのGisに行きついている. (分析表1参照). そしてこの箇所がこの曲の響きの頂点になっている。. 又、ピアノにはメロディーに対する対旋律があり、それは対比的な旋律というよりは、時に同じ 様に動いたりしてヘテロフォニツクでもある。讃1)和音は主として4度、. 5度音程でつくられ、その. 二本の線を関係づけて、車や三味線の同音連打の様なシンプルな動き(音軌リズム)を持って、 鳴らされているo. ・.. ,・.・T I.・・・[・一丁-、. :i.・・ よe#rTL_..,I,・.. -. izF:-. =・ ・ニー-. ・-. f♪二:,JL.㌔. i 空. 1. :一il(::. すぃ、・.! _. -,占. ,i::.・皇.

(5) 135. 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. リズムについて. 2-1-4. Lentoといった悠揚せまらないゆっくりし、た流れの中を、拍子感にとらわれず微妙な動きを伴い ながら(メリスマ的、又はこぶしの様なリズム的装飾を加えながら)、フレーズを積みあげているo (8/8)の拍子感とは全く無縁であり、単に8分音符を8 拍子は西欧のアクセントの有無によるC っの-くくりで繋げているにすぎない。息の切れ目とフレーズが重なっている自由リズムである(い わゆる追分様式)0 楽曲構成. 2.-1-5. 或いは旋律の基礎構成について. F)になT7ux2)十(T′ En'7声一事dJr 前奏は4小節であるが内容は(rUメi)十(T ていて、最初の半楽節の部分動機を次第に成長させている。西欧の基本的でシンメトリックな構成 では無い。. 全体は大きく2つの波に分けられ、ことばに従って旋律の項(2-1-2)で見た如く波状にフ (2′ト節)/ (1小節半) / (半小節×2+3小節)〕 〔(1小節+1小節) レーズを連ねている。 ・自在に見えながら自然景観(山の連なり、波の連動)の様なバランスを構築しているo 全体の解釈. 2-1-6. 和歌の5つの区切りをメリスマ的な旋律に乗せながら有機的な連関を構築し,響きはペンタトニ. ックによる旋律を、. 4度5度による和音構成と三和音による融合した和声で背景を作っているoこ. の曲では対旋律的な線をピアノ部分に秘ませているo克明に書き込まれた強弱記号により、繊細な 表情を要求されているが、大らかで柔軟な構成との融け合いが図られている様に思うo. Ⅱ. 2-2. わすらるる. 2-2-1テキストと曲との関わり合い. 和歌は三句切りで、一句二句三句一忘らるる(5)身をば思はず(7)誓ひてし(5)で区切られ、四句 五句一人のいのちの(7)惜しくもあるかな(8)と続く。旋律はこれに対して一句で1フレーズ、二句 三句で1フレーズをつくり、ひとつにまとめられている。 後半は四句五句と続いてはいるが、五句において5小節与えてフレーズを拡大しているo旋律の ピークは五句の前半(おしくも)に置いている○音高はg2,. a2で高いが、ダイナミズムは最強では. 無く、 pp<mf>ppで注意をひきつけているo. -、忘らるる(5). I?チ-与占--3-. 二、身をば思はず(7). サと-/才ttあ、鼻EStす・、. 三、誓いてし(5). ちP\-ひて\し-. 四,人のいのちの(7). 判じ/クーL^サヶ\中一. 五、惜しくもあるかな(8). /. ◎し一◎-く-、あ-矛3-か官 # 〟■. o湊鼻音加え・濠他者声プ 図2.

(6) 136. 田鎖. 大志蕗. 旋律線の分析. 2-2-2. この曲は、. Des. dur上に書かれているが、やはり調性感ほ希薄ではある。但し、. 5曲の中では健. の曲より調性的であり、音階の第6音が半音下がったMol-durによる旋律が浅れ、後半でほ第3音ま でもが半音下をヂられてmo11そのものになっているo派生音として半音階的なモダーンな動きがあり ながら(7,. 13,. 15,. 16小節),旋律にほ第4音と第7音が省かれており、ヨナ抜き音階の様に用い. られているo′従って長音階、短音階の用法は、ベンダトニックに準じている。最後に第7音が使わ れているが(18/)、節)、これも主音に直結せず、第5音に降りていて導音の働凄をほのめかす程度に 留まっている。. 5). 旋律は3拍子の上に乗ってはいるが、細い音符を含み、メ1)スマ的に動いているo最後(をしく もあるかな)では、四分音符単位で大らかな曲線を作っているo全体に起伏はゆるやかであるo. 2-2-3. 和声分析. 前奏の冒頭が4度構成の和音で始まってはいるが、全体はDes-durの和音が与えら、れており、 拍子の小節の変わり目,さらには1拍毎に和音は変えられている。 現れている。. 16小節目ではAdurのⅠ度が. (主音から減4度下であるがBesと見ると長3度下のⅥ度調ということになる■.)三和. 音叉は七の和音に附加音として4度や7度等が(5, 3,. 13,. 3. 7,. ll,. 13等)加えられ、掛留音等と共に(2,. 19等)、ペンタトニック的要素を加味している。 18小節では半音階的な和声進行によって暖昧模糊とした雰囲気が漂い、. A-dur. (長3度f)への. 転調と相まって、ペンタトニック的世界との不思議な色調をDes-durの上に作っているo. 2-2-4. リズム. 掛子は4分の3才白子になっているが、同時に8分の6としての表記があって、相子リズムの拍節 感にほ依拠していないc,旋律は音価の巾が広く、. (月かウF. 手乙い)こぶしを回す様な流れは前曲. と同様であるが,最後のフレ-ズは四分音符単位で大らかな揺れを作っていて前半と対比的であるo ピアノは終始一貫して8分音符の刻みが2度や4度の重音を伴って鳴らされ,撃や三味線の響きを 坊梯とさせている。. :プ;1・'.'l2-2-5. 楽曲構成について. 前奏が4小節あり、. (3小節+4小節)のフレーズで前半をまとめ、後半は(3小節+5小節)で. 伸びやかに広げて終わっている。. 2-2-6 Des. 全体の特徴 durの調性の上にA4o111durやヨナ抜き音階を融け込ませ、甘美な味わいを醸Lているo.

(7) 137. 山田耕符『幽韻』に於ける音楽語法について. 2-3. Ⅲ、あらざらむ. 213-1. テキストと曲の関わり合い. 全体は、和歌の一句から三旬までの前半と、四、五句の後半に分けられる。前半は、一句-あらざ らむ(5トに1小節、二,三句-この世のほかの(7)思い出に(5)一に3′ト節が与えられ(2小節+. 1小. 節)、間奏を1小節挟んで臥五句-いまひとたびの(7),あふよしもがな(7)-と高まって終わって いる。四、五句の高まりは旋律の上行と下行、音域の高さによってクライマックスが作られている が、ピアノはp,ppと弱音で声の線をなぞっており、声の表現力を際立たせているo. あら-ぎ、卜む. -、あらざらむ(5). 二、この世のほかの(7). ンり-i-Q)絶■\し甥-. 三,思い出に(5). か. ●. 一入. 四、いまひとたびの(7). /. る--7^乙-、J-ぎー≠と1・-が\ク/7\. ぁしト-軌←Jが、耳-A/. 五、あふよしもがな(7). o液あヰ血l. ・廃仏有功1. 図3. 2-3-2. 旋律線について. 2小節の前奏は,. 8分音符4つの2拍による部分動機を2回線り返した後,その音形を拡大して. いる。これを受けて始まる主旋律は、一句の(あらざらむ)を1小節フレーズに乗せ、二,三句(こ のよのほかの/おもひでに)を3′ト節フレーズでまとめ、全体で4小節フレーズを作ってい.るoピー クは2-3小節にある。. 1小節目の音階は、. geslとaslによる狭い巾の旋律で、特定しにくく(盛. らくは、ピアノの音と共にdes上の都節音階と見なすことができるが)、このフレーズ全体は、. esl,fesl,asl,bl,des2,es2の都節音階にgeslを加えたものと見ることができる。次に、増4度(減5 皮)平行の刻みの間奏(7小節目)を経て、ピアノのdes一昔に導かれた四句(いまひとたびの)は、 desに核音が移った都節音階に、. ges2,blをさらに下行変質して浮遊させた音を加えて不安定にし、 表情の揺れを、音高の上昇、音量の増大と共に表している。五句(あふよしもがな)は,最高音(as2 -bes∑)のピークを経て、 asI音に収束している。 大きく二つに分かれたフレーズは、前半と後半で、音階を換え(eslt_の都節音階からdesl上に)、 ▼. 後半にクライマックスを作っている。ピアノパートは、全体に、撃の音形 散らしていて村旋律的では無いが、. 9小節目では、声のパートとの上行とは逆に、バスが下行して. 音域を広げている。. 2-3-3. 前奏から、. 和声について. 4鹿和声を軸とし、変過音を加えた響きは、種々の不協和音程を含み、乾いて無機的. でありながら、同時に非現実的な浮遊感を漂わせている。声のパートはペンタトニックを情感豊か に歌っていくが,ピアノは、そのメロディーの音階音を支える一方、それらに与しない普(浮遊音) 4小節。 3、 4拍目)0 をソプラノの高い位置で鳴らしている(3、 前奏の動機は音域を広げて散らされ、音程の巾も下声部では5度からオクタ-ヴへと広げられ(5、.

(8) 田鎖. 138. 大志長持. 6小節目)、塞音になったり、附点を加えたりして、(7小節削、撃の響きをイメージした背景を作 っている。 -vt-N6-i-VI. 9ホ節目では、バスの(酢S,i,esses,de呉,ee阜,Ges,Eses)下行進行に対して、 (♭♭3うといったサブドミナントの和音を多く用いて膨張させ、. ges. monのI. Ⅰに落ち着かせ. Ⅰ6、 Ⅵtゝ、Ⅰが鳴らされ、次の小節(12小節). ている。景後のLijでは、 Des音上に弄和声音を伴ったV、 で、. asl(des一に対するドミナント)-deslで終わっているoこの和音は、液初に声がはしナってくる3 小節目と同じであり、浮遊音もソプラノに置かれている。 バスを辿っていくと、. desl・esl・as・es・lAs・(lA・1B)-des・琴?S・Eses-Ges・Des・gesl・asl・deslとなり(分 desをトニック、. 析表バス参照),途中、挿入された(lAIB)を除くと、. asをドミナン■ト、-. ges. をサブドミナントと見立てたペンタトニックの撮れが現れてくるo調号を示すCesd肌aSmOllt des、. の関わりは薄いが、それらの音階の上に,. as、. ges等を核音としたベンダトニックを置き譜2)㌔. 4度和声を主に和声づけした形と見るニーとが出来ようか。. 譜2. 2-3-4. リズムについて. 8分の8という表示は、ここでも拍子リズムの8拍を表してはいない。特にメロディーは伸びや かに自在に歌っていて、前半と後半、大きく二つのフレ-ズ(前半<1+3小節/後半4小節)にまと められ、規嗣自勺な構成はない。ピアノのパートは8分音符で2度上行3度下行と、・四分音符の下方へ の5度跳躍の動きが対を為し、それから派生した音形が曲全体に散らされている。郡他には3, 小節及び最後に、シンコペーション及び、音価の長い音と16分音符による断片的な動きが現れてい るo. ∫-一r LIRヨ.一. F:..:i.._. /'鮮. A. -∫-〓r. 斗√t-I. 譜3. 従って、ピアノパートはメロディーに対して相節的であり、対比的であるo. 2-3-5. 楽曲構成. 2小節の前奏にれは半小節の部分動確のくり返しと1小筋に鑑太されたものからなっている) の後、歌い出されたメロディーは、自由リズムにのって自然な起伏を作る4小節(1+2+lゅ節) のフレーズを山なりに作り、16分音符の刻みによって盛り上げられた間奏と沈静した前打音を持つ、 4分音符の先導で始まる後半のプレ∵ズは、高音域への大きな二つの波を作って終っているo余韻. 4.

(9) 山田耕搾『幽韻』に於ける音楽語法について. 139. として3小節目のピアノパ′-トの部分が鳴らされている。瞬時現れた一幅の絵の如くであるo. 2-3-6. 旋律と和声それぞれに特徴を持っているが、一方、リズムと構成がシンプルに要約されていて、 調和がとられている。. 2-4. Ⅳ. 2-4-1. たまのをよ テキストと曲との関わり合い. 和歌では、一句から三句まで一玉の緒よ(5)/絶えなば絶えね(7)/ながらえば(5卜と、臥五句 -しのぶることの/よわりもぞする-とに分けられる。曲もその流れは跨まえているが、一句でひと 息、次に二句三句と大きく上下の抑揚をつけた流れは、そのまま四句に受けとめられ、五句の結句 の前で間をとって注意を喚起し、ささやいている。. iJ.i. -、玉の緒よ(5). :・}-雪<-I. 二、絶えなば絶えね(7). rvも-臥針-. 三、ながら-ば(5). T.iが-臥-\′ず、. 四、しのぶることの(7). シの∴/ユ\こ-亡-ゑ-. 五、よわりもぞする(7). よh-クpi\孝L一-. kえ-\、伸一. 図4. 2-4-2. -. / ,.,.I::,. 。象.-bli京塩綿#1. 旋律について. 一目頭、ピアノで鳴らされる4度和声の緊張度の高い響きの後、歌い出されるメロディーは、曲全 体を通して、. glからg2までの都節音階を主としている。6小節目では第2音が半音上げられ(al)、 律のテトラコ∵ドになっている。音域はflからg2までで、 glからg2のオクタ-ヴを軸に、下方か らの導音として、 flが加えられている。前半は, 行を伴った山なりの線を画き、後半は、. 8-9小節、. 1-3小節、. 4-6小節、・6-7小節と、上行下. 10-12小節と、音域をやや狭くして,上下行. の波を2回作っている。ダイナミズムによる変化は、どの曲も克明につけられており、微妙な味わ fよりpLこ強い緊張感を求めているように思 いを出して表現の巾を広げているが、特にこの曲では、 われるoピアノパートは、冒頭の和音と、それに続く、上方から下方へのユニゾンが新鮮であるo 2分音符から16分音符と音価に中があり、歌のパートと強弱が逆についていることも含めて,揮然 と融け合っている。. 2-4-3. 和声について. 冒頭の2分音符による二つの和音は、. 4度構成による緊張度の高い(不協和音程を含んだ)響き. であり、それに続く2-3小節はglからg2に至る都節音階の合成音から出来ている。バスにC音が 6小節目でas上に出来た変化和 登場する次のフレーズから(4小節日)、三和音の和声が融け込み、.

(10) 140. 大志郎. 田鎮. 音は、続く7プレ←.ズでc・mollのⅠ度に帰結しているo. 6′ト節後半からは、バスのc上に、主とし. てⅡ度を加えながら,フレーズの最後にⅤにつなげているが落ち着かず(V-Ⅵ-V7-Ⅳ{,)、再びⅠ. 度に飛び込み,C上で最後のフレ-ズが歌われているoC音上にサブドミナントの和音を乗せている。 バスは下に示した様に動くが,おおよそAs, 〔AさTC-C(gl ges2). -as-c-c-asJG-C-cJl. 2-4-4. G、. Cが担っている。. 〕. リズムにういて. メロディーでは、第2節、第3節に於いて、細いシンコペーションを用い、切迫して上布している。 フレーズ(2小節/2/ト節半/1/ト箆半/2/ト節/3小節)は、自由リズムに乗って不渡則であるo アノの音形は,. ピ. 4分音符から16分音符まで、休符も8分休. 2分音符の象徴的な和音の怒分以外は、. 符、 16分休符が使われ、短い後打ちから始まる音形が多い。. 呼/I,yぷFノ柑デy,yLb'3&',y弼 類似の音彰を散らしながら、合の手を打っていて、. 1-2,. 8小節目を除桝ぎ、対位的とは言い. 薙い。. 楽曲構成. 2-4-5. 上行し下行する波を、前半は三つ作り、後半は、二つの波で受けている。最初のフレーズを除い て、それぞれの波の頭は、バスのc或いはC音によって支えられている。 特徴. 2-4-6. 冒頭の4度構成の緊張した和音が特徴的であり、それに続くユニゾンの下行旋律も初登場である。. V. 2-5 2-5-1. わがそでは. テキストと書楽の関わi)合い. 和歌の-一旬-わが袖は(5)-から二句一潮干に見えぬ(7)-が続けられて4/ト節のフレーズを作り 四分休符の後、三句一沖の石の(6)-がすぐ始まり、最後のシラブル(いし-の-)は伸ばされてはい るが,次の凹、五句一人こそしらね(7)/かわくまもなし(7)-が畳掛けて歌われている。 メロディ-の最高音は、二句のas2(9小範)、四句のas2(12/j、節)にあるが、クライマックスは、言 葉が細く刻まれている四句(12/ト節)及び、和音に特徴のあるr(増三和音等)五句(13/j、漆)にあ るだろう。. :I:l=,,=三三去,"I,,. ∩--、わが袖は(5) 二、潮干に見えぬ(7) 三、沖の石の(6) 臥. かそ-ぞ-し\9-/. 人こそしらね(7). かと-こ雀し臥ぬ仰. A、J?/(<まi-f!. 五、かわくまもなし(7) 図5. L-. o最あ音LWi. ・^/T&叫1.

(11) 141. 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. 2-5-2. 旋律線について. ピアノで、恐らく打ち寄せる波の揺れを表しているモティーフによる5小節の前奏の後、旋律は、 一句から二句へと、音域もglから波状に登り、 fl、. のフレーズを作っている。この旋律は、. as2に至ってすぐdes2まで下る4小節(2+2′ト節) asI、 c2、 des2(d2)から成るヨナ抜き短音階から. gl、. 始まり、二句に至ってc或いはgから始まる都節音階べ転じている。三句はg上の都節音階により, 音価の長い第2. (10、 11小節)o四句は細い動. (の)シラブルを含んだ旋律にしている。. (き)第6. きでピークを作るが、最高音as2からdes2にすぐ降りるところは前のフレーズと同じであるo五句は c2の音で c2から始まる全音音階上に、跳躍進行(上下動のある)による節をのせ、核になるf2、 終わっている。前半の4小節フレーズを受けて、後半は三句と四、五句をひとまとめにした5小節 フレーズになっている。. 2-5-3. 和声について. 前奏の響きは、種々の不協和音程を含み、それらが彼の運動を表すモティーフとして鳴らされる 時、弱音のせいもあるが、不思議と融けあって有機的である。冒頭2小節の和音は、この曲のシン ポ.)ックな響きでもあるが、. desl上ゐフランスの六(F(∼)と、いわゆる神秘和音的な響きで`∼'、. d‥-. とdes2の増8度は、浮遊感があって、波頭が反射している様な効果を感じさせる。前半のフレーズ (9小節まで)は、概ね、. c. moll上の和音として捉え得るが、和音構成者は変質され、非和声音が. 加わっていて、バスがc-desIG・cと動いていて和声機能を担っている。 C、. des、. 後半はバスにfが度々現れ、. 13小節には、増三和音が旋律. E等もFに溶け込んでいる。. の全音音階(Wholetonescale)による節を乗せている。 最後の2′ト節は、バスのF上に第1小節目の合成和音が乗り、余情を湛え、さらにdeslヒのサブ ドミナント系の和音がⅠの和音に至って終わっている。 fm。11上に暖味な和音が揺れ、 (都節音階等)を浮かした,. (15ノト節)。、. fmollの第5音(c)、第2音(g)を核音とするペンタトニック. ′模糊とした世界を響かせている。. リズムについて. 2-5-4. 旋律は拍にとらわれず、自在な抑揚を持って うねる様に作られているが、ピアノは、. 1′J、節. 単位のモティーフ(寄せては返す波状の)と、. j.ト卑. /・之/7碑 J. 口7m. m. Ln'. そこから派生したものが曲全体を占めている。 最後の臥五句の箇所で和音が主になっている だけである。謝). _/三 身. ′7t申. 譜4. .T). y,TT7 yi[ア.

(12) 142. 田鎖. 大志郎. 楽曲構成及び特徴 2-5-5/2-5T-6 神轡的な和音に乗って自在な線が大きく二つのフレ-ズを作って浮いているoペンアトニツク ピアノによるモティ-. (ヨナ抜き短音階、都節音階)による旋律と偶成和音(合成和音)の融合o フの支配o まとめ. (テキストとの関わり合い)については、和歌の五つの句について・、和歌それぞれの流れ(例え ば、二句切れとか三句切れ)に伴って、フレーズは抑揚を持って連ねられている。五旬のつながり の仕方によって、五句の上行し. F行する様々な波が形成され(五曲目は下行して始まっているが)、. 概ね、大きく二つ、三つのフレ-ズにまとめられている∈}句は重複されてはいない。 音義のアクセントを大事にして旋律化することは、山田の標模するところであるが、和歌の旋律 1ヒについては、基本的には高低のアクセントに準じてはいるが、自由リズムで-,)のシラブ身の音 価が種々あること,メリスマ的旋律によって自在に動いていること(いわ舜る追分様式)で、こだ わってはいない.. 今回、克明に付けられたダイナミズムについての分析は、あえてしていないが、思いを込めてい. る言葉、旋律のピークでは、当然.rが求められているが(ト12小節、. Ⅳ-4小節、. Ⅲ-10-11小節,. v-9/ト節)、反対に、弱音で緊張を作っているところも度々ある(Ⅱ-15-19/ト節†. Ⅳ-10-12/J、節、. v-Ⅰ2-14/ト箆)(,こういった衷情の表し方は、有名な『からたちの花』で、効果は顕著であるoベ ルカントの歌唱法による声楽的技巧が要求されているo iJi). [しろいしろい. はな-が『からたちの花』]. く旋律の特徴)ほ、どの曲もDur,. mollによらず、それぞれの旋律は、ペンタトニック(主とし. て都節音階やヨナ抜き音階)を使って善かれているo'一つの音階に固執することは無く、同じ音刺 を持つ都節音階であっても、核音を変えたり、他の音階(民謡音階や、長短調(=よろヨナ抜き音階) に移ったりしている。 Vの曲では、終わりに全音音階(Wholetone・scale)も顔を出している。自由 リズムに乗り、メリスマ(或いは(こぶいを持った旋律は、オクタ-ヴ以上のかなり如、音域(I -cisl--gis2,. Ⅱ-fesl-as2、. 班-esl-bes2、. Ⅳ・fl-g2、. V-fl-一asヨ)を上下し、様々な音儀を持って波. 状のフレーズを重ねているo動機的な特徴は明快では無く,どの曲も、ゆっくりしたテンポに乗っ =. て流れているo. 〈和声的特徴)は、旋律にペンタトニックを用いているのと同様、最も際立った面である。. /ト島. 氏(アラの指摘の通り、正しく山田が、西欧と日本の音調との融和をEl.ざした軌跡であり、譜面からそ の意図を完全に読み取ることは大変難しく、手際良く整理するところまで至らなかったが、それら. の響きに込められた山田の想いは、強烈に伝わり、旺目せざるを得ない。 それらを要約すると、. ①調性による和声、. ②4度(或いは5度)構成による和声,. ④ペ㌣タトニ. ッ■クによる合成音ということになろうかo ♯や』が沢山ついた調号は、バスに於いて、大枠で、そ LJZ、ずしも の調性を担っている点では妥当性があやが、中音城で鳴らされる多様な組織の和音とは、. 協調しているとは言えず(Ⅲ曲目は調性的であるが)、多層的であるo旋律のペンタトニックに関係 して、和声は度々変化した三和音や七の和音と、掛留等、葬和声音として携れた4度乃至5度と、 4度構成の和音を往来させている.従って、調性及び三和普を使ってもT-S-D-T. (終止形).

(13) 143. 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. を形成する、前進的、機能的な力性は弱まっている。 時折、組織的な響きとは異質な不協和音程が現れている(譜5④、. ⑥、 ㊨)。これらは西欧的な音. 組織としては解釈しにくい。例えば④の離れたところでの減8度の使用は、鋭い不協和音のイメー ⑥は、明らか ジとは遠く、音による(ぼかし)(にじみ)といった微妙な揺れの変化を帯びているo に高音で浮遊感を醸している。. ㊥は、逆に、長9度、増8度の緊張した響きを弱音で鳴らすことに. ょり、幽かな光の点滅(この曲のイメージとしては波頭の反射?)を喚起させる。. 譜5. くリズム>に関して最も本質的な特徴は、どの曲も旋律が、専ら自由リズムでメリスマ的に動いて 4分音符、 8分音符単位の (C、 3/4)の表記があっても、 いて、拍子リズムにはなっていない。 集合を示しているに過ぎず、ピアノパートに於いて、フレーズを支える単位として′ト節の区切りは 存在するが、拍節感、周期的なアクセントの有無は無い。二分割、四分割、或いはその混合による、 草や三味線を連想させる同音連打や,順次進行,或いは跳躍進行による往復運動が多いo <構成,は、旋律が自然に流れているので一見、見落し勝ちだが、よく見ると,山形、波形を画く (2×2) ×2tの様にシンメトリッ 線が,ピークを作りながら連なっていて、小節線は、例えば1 クにはなっていないが、大′トのフレーズは、バランスよく整えられ、自然景観や、 不等辺三角形によるバランスをとっている。. /. \. -・>-ケ//1,-. <活け花,に見る.

(14) 144. 田鋳. 大志郎. 山田は、古典的な和歌に対して、一つのスタイル(様式)を打ち立てているo 『納韻』は様々な特徴を持っているが、さらに要約すると,. (むテキストが古典の和歌五首である. ことにより、その旋律化に関して、民族的音階,或いはそれに倣ったヨナ抜き音階を用いているこ と。自由l)ズムの上にメ7)スマ的旋律を乗せ、日本の伝統音楽が持っている旋律感を引き出してい ること。. ②それに対してピアノパートは調性を基礎としてはいるが、響きの効果としては、後期ロ. マン派の暖味な調性と、表現主義的傾向の無調に至る、不協和音が絶えず鳴っている複雑な響きを 呈している。しかし、ベルクの初期の無調的作品、例えば≪ピアノソナタ≫とか≪初期の七つの歌≫. の≪夜≫の如く、旋律も和声も総じて半音階又は全音階的で無調化しているものとは、根本的に異 なっている。このことは、民族的音階(主として老臣節音階であ′るカ亨)の影響により、 音が多用されていることから来ているo. 4度構成の和. (塾旋律と和声の多層的な響きを乗せているリズムは自由リ. ズムであり、楽曲の構成の仕方は,いわゆる<追分様式>を包んだ柔軟で有機的な形態を創り出して いるo. また、主役である旋律は具象的であるが、ピアノが才由象的な背景を演出している感があるo. それは恰も日本画の尾形光琳の措く<紅梅図>の如く、写実を基にしているが、誇張された梅の木々 と完全に文様化された小川による解け合いの様であり、. -一方、狩野派の画く繊細な秋草等の造形を. も想わせるo 同時代の倍時潔の代表作『沙羅』と比較してみる時、伝暗が西欧の音楽語法をその精神性q)深い. ところで捉え、その上に日本の精神風土を乗やているのに対して、山田は西洋の言吾法を潤沢に引き 寄せ、それに日本的語法、音調を乗せていると言えるであろう。その結果、以外と倍暗が西欧風で あり,山田が鈎欄たる和声を取り入れたにも拘らず日本風であったりする.けれどもどちらも西欧 と日本を対韓させ、素材主義には終わっていない。 宿時の『沙羅』を大西克礼の美的範暗に照らした時、その(自然感的契機)による(崇高さ)に 近づいているのに対して、. Ll」田の『駒韻』は、 (自然感的契機)から(芸術感的契機)により傾き、. 「優娩」 (Grazie,Anmut)の範噂に近いと思われる。. 『酵I韻』に続く北原白秋の詩による『AlYAN. の歌』では、日本的要素はよりシンボリックになっているし(8)、. 『別れ』『紫』等は、ノ探尾須磨子の. 詩の情感を思い切り西欧のモダニズムの上に展由し、日本幼特の(娩)な旋律感を獲得している。 西欧と日本的美の単なる折衷では無く、. (新しい美)となるには、今迄以上の演奏による鼠噂が必. 要であろうし、べ舟カント唱法による弱声から強声に至る豊かな音量と表情を持って,ネさくまと まった日本橋緒ではない,スケ一身の大きな(莱)の位置を獲得するであろう。. 山田の『紳韻』の分析で明瞭になってきたことは、頭初、予想していたことの確証となったが、 具体的には、はるかに多大な意図や工夫が浮かび上り、今やそのパワーに気圧されそうである。譜 面に込められた意味内容をつかみ取ることや、時代的背景及び作品の周辺との関わり合い、作曲家 の意図や、表現への工夫等を汲み取ることによって、作品は、よりその存在感を確固としたものと して現れてくることを示している。 (山田)や(伝時)が日本の璃禅的風土、或いは表現技法を携えて,西欧の精神とその表現方法 と向い合った、その衝撃_と憧侭、自己の使命への凝視と自負等の追体験は、彼らの作品の価値をよ り高め、洗練させていくことになるはずである。そのことに、音楽の三要素である、創作・演奏・ 在寮の環の中で、譜面を中軸に置き、その(意味する)ところと(意味される)ところを問い続け る作菜は不可欠であり、東西の潮流の転換点に居合わせた人々とその業績の意味を読み解くことで、.

(15) 145. 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. 日常的には遠くなってしまった伝統芸術-の道を辿り、現代の在り様の核心を模索することにもな る。. 深い所で共振する多様で自在な音楽の展開が約束される、豊壌な大地がそこには在るo. 註 1)小島美子. 滝廉太郎から橋本国彦までの歌曲. 2) 『この道』日本歌曲の古典. 1964. 音楽学第10巻(Ⅳ). 山田耕搾の歌曲一図書1). .この章で山田の歌曲は三つの時期に分けて考えられており、この時期は第二期(1917-1922年大正11年)に当たっている。 3)ジャン=ジャック・ナティエ/足立美比古訳「音楽記号学」:第9-/12章 4). ′J、泉美子は、小泉文夫の研究を踏まえ、追分様式としている。. 5)ヨナ抜,音階の使用に関しては小島美子:前掲書に於いて抽出されているo 6-)分析表V-1-2小節参照 7)小島美子:. 「滝廉太郎から橋本国彦までの歌由卜伝統音楽との関連における技法上の諸問題-」. N. 響「フィルハーモニー」誌第34巻11号P.34-38 『AIYANの歌』 -・NOSKAI,の駒下駄の響き、慢珠沙華胤卓リズム等シンプルな要素による表 現主義的世界の表出。. 8). <分析表及び和声の記号等の表記について>. 1)旋律からは音階、ピアノ譜からは和音を抽出している。 2)音高の表記は、ドイツの画音法によっている。 3)長音階(DUで)短音階(moll)については、. Durは大文字、. mollは小文字を用いているo. 4)和声:和音記号は、ローマ数字で表し、音階固有の和音は度数のみ、変化している昔はその都 ((♯r)根音を半音上げる、 度、表記している。 (那)第3音を半音上げるo等) 資料(楽譜) 1). 『山田耕作全集2/歌曲/2』第一法規出版1963・11. 2)畑中良輔:『日本歌曲全集3. 山田耕作全集Ⅰ,Ⅲ,Ⅲ』音楽之友社1991・6. 山田耕作Ⅰ』音楽之友社 3)畑中良輔:『日本歌曲全集3 『最新・日本歌曲全集山田耕作歌曲集Ⅱ』音楽之友社2002・3 4)藍川由美:. 参考文献 論文 1. )小島美子:. 「滝廉太郎から橋本国彦までの歌匹卜伝統音楽との関連における技法上の諸問題-」音. 楽学第10巻(Ⅲ) 2)小島美子:. (Ⅳ)音楽学会. 「滝廉太郎から橋本国彦までの歌臥伝統音楽との関連における技法上の諸間臥」. 響「フィルハーモニー」誌第34巻10,11号. N.

(16) 146. 大志捲. 田鏡. 図書. 1)社団法人. 日本楽劇協会編『この道山田耕符伝記く十七軌忌記念出版)』恵准重出巌株式会社. 1982.4. 『日本歌曲全集』‥解説書音楽之友社Ⅰ991.6. 2)畑中良輔:. 3) ′ト泉文夫:『日本伝統音楽の研究』音楽之友社1958 4)大西克穫:『美学』上、下巻弘文堂1960 『「いき」の構造』岩波書店2002.10. 5)九鬼園造:. (第2刷). 6)ジャン-ジャック・ナティエ/足立美比古訳:『音楽記号学』奉秋社1996.7 7)小林忠:『墨絵の譜. 日本の水墨画家たちⅠ,Ⅲ』ぺりかん社1991. 『すぐわかる琳漁の美術』東京美術2004.8. 8)伸町啓子:. 9う 下総院-一=-: 『標準・和声学』音楽之友社1950 『楽典一新訂』音楽之友社1975. 10)累沢隆朝: ll)石桁真礼生:. 『西洋音楽史4印象派以後』音楽之友社1967. 12)柴田南雄: 13). Herman. 『新版.楽式論』音楽之友社1950. Grafner. : AILGEMEINE. MUSIK. LEHRE.. Barenreiter. Kasse1. 1978. 辞典 1)ニュ-グローブ皆界音楽大辞典 2)音楽大辞典. 講談社1994. 平凡社1991. CD. 1) 『日本歌曲全集-③,④,⑤山田耕符作品集Ⅰ,Ⅲ,Ⅲ ビクター社. 「紳韻」』Sop.1楯山泳子 Pf.三浦洋一. 日本.

(17) 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. 分析表. <分析表及び和声の記号等の表記について>. 1)旋律からは音階、ピアノ譜からは和音を抽出している。 2)音高の表記は、ドイツの画音法によっている。 3)長音階(DUで)短音階(moll)については、. Durは大文字、. mollは小文字を伺いているo. 4)和声:和音記号は、ローマ数字で表し、音階固有の和音は度数のみ、変化している音はその都 度、表記している○ ((♯,,根音を半音上げる、(那)第3音を半音上げるo等). 147.

(18) 148. 田粗. 『幽報』. 大志郎. Ⅰはなのいろは. (旋律と和声) Lento. ♪=72. mdinconica血ente 1. 2. ,. 小野小町歌. 7+i .旋. .由i抽出t. 厘=薗 一■ こ■■ー′■. Ea. ピアノ音抽出.. 不一′. i泰:二要. gis:卜-=-------半音下行変窯I. IY. L・is:. L/i. i. 顔:(V]T.). I. Ⅱi. 芯毒. (Ⅳ守). ・ト.

(19) 149. 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. (. /て\. せ-. -. --め. よ-に. し. 二聖二二=q⊂=二二争二. Aq. ー. {.L.LTl{A.L7. 王▲■×′丁llllr亭 -X.A. ■■. II. ∩一. ` ∵Z_¶. m X ヽ■_. ±L2.一三.呈. v至. Ⅰ. -丑′タ. (h6). Ⅰ血6.,). "i. 盲lJ\J. \こノ. \エノ. Ⅵり. I. がのっている. の上に磨当. 6.q[5.q16. 半音階的 パス. cis. c. H. B. A. Gis. CIS. -2-. Cis. I+'d6'.

(20) 150. 大志郎. 田錆. 『幽鶴』 く旋律と和声). ‡わすらるる Adagio. non. tanto,. 右近歌. J=76. religiosamente 2. 1. 3. 4. xr ー..主,h_. iiii∃ 田 l 、一■.ー一■一■. 陸転壁書≡…】 Ⅵ. Ⅵ. 皿隻. ・3・. Ⅰ6. W2抑. V葦. l7. 】y. Ⅱ皇鵬.

(21) 151. 山田耕搾『幽韻』に於ける音楽語法について. と. -. の. い. の. ち. し. -の Fコ. (i, -. FIE-J. ヰ------II-・・サ. -‥_.. ー一--「や,I:.. .■一. 丘Ja▲. 1グ +2. +6. Des:I. Ⅱ,(岨. Ⅱ2. Ⅱ2. Ⅱ毛. Ⅰ至. Ⅰ+4. ー7. 割妄 Ⅵ7. (a) +6. Des:Ⅰ+ (増5に附加6). I)(. A:. Ⅰ. Ⅵ6 Des: Ⅰ. Ⅳ7. Ⅱ号. ー4・. Ⅵ至(止苧) Ⅱ9. Ⅶ弛き).

(22) 152. 田鎖. 『幽鶴』. 大志懸. Ⅱあらぎらむ. く旋律と和声). ノヽ.ンヽ ぺー. T'2. JLS:. パス. -、亡S…J. 5. 11S. :甲Si.

(23) 153:. 山田耕待『幽韻』に於ける音楽語法について. A.h斡l∫ゝ…㌣鼠{_._完益,.qiL.I llii/. ---良-->l.. TtJ1"I.y毒l.l伊-l盲/. lbririrI. 曽声)+6(C).. rV. as:I・9 パスeSI. 回. 崩. as. Ⅵ. [Y9 1A. 】V6. eses. I ces. 壷. IB. Ges. .A. .B. de呉. e s. 去. des. _FT_e;一. £es: v (,欠,. Ⅰ6. -T・66 転蔓]. ′†ス回 口内のパス音臥大きくとらえた場合のバス. -6-. v. l`lS-;. L1. r7'(3欠). V毛(3欠).

(24) 154. 大志長持. 田鎖. 『幽鶴』. Ⅳたまのをよ. (旋律と和声). 式子内親王歌 Andante. con. e. moto. inquieto. I=60. 直二頭. JM音抽出. 垣仁画. ..ビ7/書抽宙. 一打 、音、. -/{. ス1. rJIが. ね. -. -. 1-. ■l. Ⅰ2(付. (L7). Ⅰ2 (3欠). aS. -ば. H. I_. c:Ⅵ2. -(>. :&<&. 」_. ■L. -ら. Ⅱ毒+ C. -7・. 刑+.

(25) 155. 山田排符『幽韻』に於ける音楽語法について. (Ⅵ2). [∃. Ⅰ至. Ⅱ皇. C. 偶成和音+Ⅰ. (13). Ⅱ6. Ⅱ萱. Ⅱ竜. Ⅴ. as. G. 曽頭と同じ (4度構成). I C. -8-. Ⅵ. V7. Ⅳ6. 「-il C. Ⅱ雪Ⅰ至.

(26) 156. 田鎖. 『幽鶴』. 大志郎. Ⅴわがそでは. (旋律と和声). 直二画. 匝二哀】. ー. Ⅱ表tg) V皇(-5〉皇Des:E[2(恰V隻弘5) 沌7. i. 粥+. Ⅰ2F. ■l. I2tレ7〉. l小節目と同じ. i*7. J. バスc. des. d (*印読み替え). ー9・.

(27) 157. 山田耕作『幽韻』に於ける音楽語法について. ▲ー. ●±●一■. ●呈_._√一 1. 巴」巴邑j ++PIV. 二二三h.i.u''/壬_/ ±≡±▲●. ■■. -七----♭L. ‖. u ‖. Y. ■■ヽI-. iγ,-y. 岳岳室 ‖. E). ‖ ‖. 醇. ■/. LTI. ‖ ‖. ■ー】尭4. LJ ど:. ⅠⅥ(q,Vl毛.1r,血7 f. des. ■ー′■. H. ペンタトニック. i至.♭5, C. c. ,u]q.4. 中7 E.

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 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

英国のギルドホール音楽学校を卒業。1972

2017 年夏より始まったシリーズ 企画「SHIRAI’s CAFE」。自身も 音楽に親しむ芸術監督・白井晃