Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№2:骨粗鬆症モデルマウスにおける顎骨および脛骨の
形態変化
Author(s)
牧, 浩壽; 松永, 智; 野口, 拓; 小高, 研人; 笠原, 正
彰; 阿部, 伸一
Journal
歯科学報, 115(3): 272-272
URL
http://hdl.handle.net/10130/3699
Right
目的:骨を構成する無機成分である生体アパタイト (BAp)の結晶構造は,異方性のきわめて強い六方 晶をベースとしている。近年この BAp 結晶のc軸 配向性と骨の力学機能との関連がみいだされたこと から,骨質解析の重要性に注目が集まっている。 我々は有歯顎骨および無歯顎骨の BAp 結晶配向性 解析を行い,有歯顎骨歯槽部にみられる咬合方向へ の優先配向性が無歯顎骨においては失われ,長管骨 に類似した近遠心方向への優先配向性を示すことを 報告した。一方,歯科インプラントは顎骨に直接埋 入されることから,与える影響はきわめて大きいと 考えられる。インプラント周囲顎骨の微細構造,特 に力学因子との関連性が深い BAp 結晶配向性につ いて検索を行う必要がある。そこで今回我々は,デ ンタルインプラントを有するビーグル犬顎骨と有歯 顎骨および無歯顎骨における BAp 結晶配向性の測 定を行い,その結果を比較することで,インプラン ト周囲顎骨における BAp 結晶配向性を定量評価す ることを目的とした。 方法:雄性ビーグル成犬の上顎第四前臼歯部の有歯 顎骨および無歯顎骨,デンタルインプラント埋入後 6ヶ月および15ヶ月の顎骨を試料とし,BAp 結晶 配向性の測定を行った。測定点として,鼻腔底およ び眼窩下管底部,口蓋側および頬側の皮質骨の4点 を設定した。BAp 結晶配向性の測定は,微小領域 エックス線回折装置を使用して反射型および透過型 エック ス 線 回 折 を 行 い,そ れ に よ っ て 得 ら れ た (002)と(310)のエックス線回折ピークを用い て,近遠心方向,咬合方向,頬舌方向のそれぞれに 対して配向性の定量的な評価を行った。 結果および考察:インプラントを有する顎骨および 有歯顎骨の頬側皮質骨では咬合方向の優先配向性を 示したが,無歯顎骨では認められなかった。この結 果から,咬合を有する顎骨の頬側皮質骨は咀嚼荷重 方向への圧縮応力に対し高い強度をもっていること が示唆された。一方,インプラントを有する顎骨の 眼窩下管底部では近遠心方向に,鼻腔底部において は頬舌方向に優先配向性を示したが,有歯顎骨では 眼窩下管底部で頬舌方向に優先配向性を示し,鼻腔 底部では優先配向性がみられなかった。この結果か ら,眼窩下管底部および鼻腔底部においてもインプ ラントから伝達する圧縮応力に対し高い強度を発揮 する可能性が示唆された。 目的:骨粗鬆症は,骨密度の低下と骨質の劣化によ り骨強度が低下する疾患と定義されるが,成因は 様々である。中でも,原発性骨粗鬆症は閉経後骨粗 鬆症や男性骨粗鬆症などに分類され,病態解明や治 療法の発展につながっている。一方,加齢や閉経後 のホルモン低下は単独では起こらず,しばしば複合 的に骨粗鬆症の要因になっていると考えられる。し かしながらこれらの複合要因を切り離して考えるこ とは難しいため,加齢にともなう骨粗鬆症と閉経後 骨粗鬆症の複合発症における病態は不明な点が多く 残されている。特に,顎骨は骨粗鬆症の影響を受け にくいといわれているが諸説あるため,他の長管骨 と比較,精査する必要がある。そこで本研究では, 老化促進モデルマウス P6系統を用いてそれぞれの 骨粗鬆症における単独発症・複合発症モデルを作製 し,歯槽骨と脛骨における骨梁構造特性の相違につ いて検討を行った。 方法:試料として,老化促進モデルマウス P6系統 (SAMP6),コントロールとして R1系統(SAMR 1)を16週齢で10体ずつ用いた。これらのマウスに ついて,卵巣摘出(OVX)し,経時的な変化を比較 するために,17週齢で屠殺した群と20週齢で屠殺し た群に分けた。これらのマウスから採取した脛骨と 下顎骨の試料をマイクロ CT で撮像し,骨形態計測 法を用いた解析を行った。 結果および考察:脛骨の骨形態計測結果は,BV/ TV, Tb. N などのパラメータが,17週齢においては SAMR1に比べ SAMP6において有意に低く,20 週齢では有意差を認めなかった。一方,顎骨の骨形 態計測結果は,17週齢で有意差がなく,閉経後骨粗 鬆 症 が 進 行 し た20週 齢 に お い て,SAMP6が SAMR1と比較して有意に骨量が低いという結果が 得られた。これにより,歯を有する顎骨において加 齢にともなう骨粗鬆症の発症は軽減されるが,加齢 と閉経後の性ホルモン低下をきたした複合発症時に は,顎骨においても骨密度の低下と骨質の低下をき たし,症状が増悪する可能性が示唆された。