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直接投資のマクロ理論再考
大石 達良
(人文学部経済学科)
Reconsideration on the Macro Theory of Foreign Direct Investment
Taturo Ooisi ‥ Department of Economics, School of Humanities 1 2 目次 はじめに+ 2国2財モデル はじめに 3。自由貿易による世界価格の下での直接投資 4.閉鎖経済の価格体系の下での直接投資 5.関税の存在の下での直接投資 6.おわりに 犬 十∧ 1960年代以降、多国籍企業による直接投資が 世界経済の中で重要性を増していくのに応じて、 直接投資について多くの議論が行われてきた。 そのうちのーづのアプローチとして、基本的に ミクロ的な企業理論に基づいて展開ざれた多国 籍企業論をあげることができるだろう。その代 表的な論者としては、うヽイマー、キンドルバー ガー、バーノン、バックレー、カッソン、ダ平 ング等がいる1)。 それとは別のアプローチとして、マクロ的な 国際経済理論に基づいて直接投資の理論化を図 ろうとする試みかおる2)。この議論においでは、 企業の優位性とその有効な活用方法にっいての 分析を軸とする上記のミクロ的議論とは別の枠 組で論理が立てられる。とくに、国際経済論の 中で直接投資論を貿易論とリンクさせて理解し ようとするときには、必然的に、絶対生産力で はなく比較生産力を念頭に置かなければならず、 それを規定する諸国民経済全体に目を向けなけ ればならないであろう3)。 ト 筆者も以前、マクロ的な議論に基づいて、直 接投資め成功条件について議論をおこなったこ とがある4)。そこでの主要な結論は次のような =も:のであった。直接投資の成功は、直接投資を 行う企業の技術が本国と投資受入国で同じ効率 性で活用できたとしても、直接投資企業が投資 受入国の同部門企業に対して持つ技術上の絶対 的な優位性によっては必ずしも保証されていな い。というのは、直接投資の成功とは、直接投 資を行った企業が投資受入国で現地企業と対等 に競争しながら、本国水準以上の利潤率を確保 することをいうが、一般に本国と投資受入国の 利潤率には格差があ力、直接投資を行った資本 と現地資本は異なる条件の下で競争するこしとに なるからである。したがって、直接投資の成功 は、各々の国の利潤率を決定する諸要因の影響 を受げることになる。結論的には√直接投資の 成功は、投資国と投資受入国の比較優位構造と 実質賃金率格差によって規定されている。具体 的には、先進国の比較優位産業が先進国あるい
は途上国に直接投資するときい先進国の比較劣………j………二………<………∧T金率ゾ=j………>レ……\1……\\…………j \ 位産業がレ比較劣位の妨果か打ち消さノれるほとレケノ……=―>\レ\(……=。レ牛刊スノレt(……卜≠/1\↓ダ=2レ)………=レj j に実質賃全率格差のある途上国仁直接投資するニレ∧\…………>……=│レ=ニニ……:=。=I\∧▽レ1ニ\レ\………… エ………=\……=………g………j とノき、途上国の比絞優位産業が、………Jとヒ―較;優位の効………ノ宍l―ニIニ斗くケ………1――.自.―I由ニ..I貿j万易万=JI!1=こ:―jJ ただしミ上記の議論ぱ、各々の国が√閉鎖経∧……IJ・・jj=、。 済の価格体系を維持する七いう仮定に基づいてノヘ・ヽ・∧::j; いた。すなわち√貿易が存在七ない状況√あ丿る∧………=1 いは貿易が各々の国○価格体系を乱吉∇な=AYよノうレレjノノノプ な関税がかけられている状況という特殊な想定……:IJ==j万∧……:..・::..;・ の下での議論であっ比。 し 本 稿 の j 目 的 は 、 前 稿 の 議 論 を よ り 緩 や か = な 仮 ノ … … … ; ・ . : ・ 、 間 巾 ね 定 の 下 で 再 度 論 じ √ よ り レ ー 般 的 な 場 合 に \ も 、 j 上 … … = . … … … … と = ・ 4 ・ ・ . ・ I ・ J . 一 記 の 議 論 の 結 論 が 基 本 的 に 妥 当 な ら = の で あ る こ \ … … … J レ = j ト … … 1 万 j : 万 と を 涙 吊 ☆ 巻 と と = ( こ む 乱 レ … … … j … … … 万 … … : j ・ ニ \ . / 尚 万 ‥ ‥ ‥ : … … … j 万 万 = . ・ : . 万 . . . j . . 宍 ・ ・ = . j j . ・ j ・ = . . j 一 万 1 2 2 = 国 2 財 そ デ ル ト ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ : … … 、 ∧ ヘ ゚ タ ゙ ・ : ・ ・ ↓ i ・ [ 玉 \ 声 声 9 ≠ 糾 √ 前 芦 六 向 坪 卜 … … 次 . . ・ ゐ や 守 く … … ノ . 1 万 : ・ 一 万 . ・ ・ . j . ・ . . j I . j ・ . ・ . : = j . ・ . y ・ ・ j 。 ノ ノ 呂 ン プ ル な \ 2 国 : 2 財 モ デ ル に 基 づ い て 行 わ れ ミ レ . … … … ∧ … … レ … … … j ・ J j ・ = ・ 一 万 . ・ .j ・ = j j 1 財 脊 資 本 財 √ 2 財 を 消 費 財 と す 乱 \ 蝶 術 陽 、 … … … … / │ ノ 宍 . ソ ト ゙ 1 夕 9 財 1 単 位 を 生 産 す る 壮 か え ) 資 利 廿 投 水 量 と 直 接 \ … … … \ ノ \ = j ・ . 偕 . . ・ l = ・ j. 万 = . ・ 労 働 投 大 量 の 固 定 的 な 役 人 係 数 辻 よ っ て 表 現 = さ … … … … … = ソ ゙ 、 . 万 万 レ ノ な . . : t . y : メ れ る ・ ・ ト 賃 章 は 後 払 い さ す 障 こ と と す る √ 各 ヶ の : … … … : … … … = ・ ノ 八 万 . レ . J 国 史 、 実 質 賃 金 率 が 輝 済 体 系 の 外 部 で 決 定 さ 群 \ … … 、 = こ 万 る も の = と す る ノ な 叔 \ 先 進 国 士 途 上 国 は 、 前 者 十 ∧ j j 世 = … … … 万 = ・ ・ ‥ … … … _ _ . 界 の 方 が 後 斉 よ 凹 実 質 賃 金 率 が 高 い と い う か 泉 ち … … … : . = j . 万 . 万 j ・ 一 万 ・ く = ・ . ・ ど ヒ ゚ : ・ y で 表 現 さ れ る こ と と す る 犬 レ こ の = と き 、 閉 鎖 経 \ … … … く ] = j . ・ y . ・ J : 。 I . ・ j ° … … 自 済 下 に あ る イ 国 の 相 対 価 格 年 平 均 利 潤 率 径 、 上 次 … … … … I j . 宍 、1 万 、 一 万 ・ ・ 1 万 一. 雨 = 内 の 方 程 式 で 決 定 さ れ ヤ ソ レ = … … … … … … … … j ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ 十 … … … \ : . = : 万 : = 向 ・ j 一 放 P n = ( l ∧ タ ゙ ☆ う よ レ レ 琵 ル + ノ レ 乱 札 止 … … … ① \ \ \ … … … j ヤ j . ・ f j j ・ ! J P ; 2 = イ 士 千 二 ) 礼 丿 ① 十 五 l w に ) i 2 … … ( ? ) … … … = : ・ . ・ j 。 ・ ・ . j ・ j j ・ 、 万 . : . 一 一 . 万 I ・ に ・ t サ j : : ・ . ・ \ 即 √ レ i 国 士 財 の 価 格 < … … … = … … … … … \ ノ = … … I … … 万 t j が開放経済に 四相対価格に lと比較劣位産 きを考えよう。 φj相対価格の ケ\pレ乱)とする 立方あ。るとき、 □………゜:………(3) ∧ゲノI (4) まノ五加は、通 れj=ぎ確定でき 生産条件忙あ 七で卜.るしの=懲、と 晦なレ議論は行わず、 を示レすに止めてお う=はこ上記の世界価格が両国の T\るぐと……仁になトる=。…………し・・・・1だ力jうて、 U聯経済体系:はぐ①財生産部門 ごぐ…………土入………十∧レゾ……=………=: 乱\匯レレドbTw謳Å(5) 副]医よ㈲b言皿pj、、、(6) wぺ2財(消費財)レで測うケた1国の実質賃\j………>∠\…………1.こ奏・]……=万・,:・.:宍=1
直接投資のマクロ理論再考(大石) 貿易が開始されることで、両国において、比較 優位部門は閉鎖経済時の相対価格より有利な世 界相対価格を与えられることによって利潤率を 高め、それとは逆に、比較劣位部門は利潤率を 低めることになる。 1[罰1財の直接投資について考えよう9]。直 接投資により、1国1財生産企業の技術が企業 内で2国の在外子会社に移転されて活用される とし、2国で現地企業と対等の価格すなわち pnで生産物を販売するときの利潤率をrこと すると、 p、j=(1十r 2*0 a 1, p、。I十biiW, p。2 (9) したがって、 r 2’I=(1 ̄b11゛k?y/p゛1)−1(10) (7)(10)より、WIや`hに応じてr lll三「2*1oし たがって、実質賃金率の高い先進国から途上国 への直接投資は成立し、その逆の直接投資は成 立しない。このケースでは、本国と投資受入国 の在外子会社で、同じ技術を用い、同じ価格で 資本財を購入し、同じ価格で生産物を販売し、 また両国の労働者が同じ価格で消費財を購入す る以上、当然、両国の実質賃金率の格差のみに よって両者の利潤率の大小が規定され、それに 応じて直接投資が決定されることになる。 後段の議論との関係で述べておくなら、この ケースの直接投資の成功は、1国と2国の間の 1財の生産技術の優劣とは無関係であり、また、 1国1財が比較優位部門か比較劣位部門かにも 関係が無い10)。 1国2財の直接投資に関する議論も、1財の 議論と同様であることは明らかである。 4 閉鎖経済の価格体系の下での直接投資 本節では、前稿で詳しく分析した、(1)(2)で 示される閉鎖経済の価格体系が維持された場合 にっいての議論をまとめておこう川)。 直接投資は、在外子会社が投資受入国で現地 63 の同部門の企業と対等に競争しながら、本国で 享受していた利潤率を上回る特別利潤を上げる ことができるときに実行される。 これは、在外 子会社が、本国と同水準の利潤率を確保しなが ら、投資受入国の現地の同部門の企業の生産価 格以下で生産が可能であれば、直接投資が成功 し、直接投資による特別利潤を得ることができ る、と言い換えても良い。 直接投資を行った1国1財企業が、現地で本 国水準の利潤率を確保したときの生産価格を p□とすると、 pM=(1十r i) a 11 pi;十b 11 W , P 0 2 皿) (1)(2)より、 JEリ1_{1−(1十r 2)a2i} b口 .p21 p22− − 1十r 1 ail h^,  ̄び ̄う (12) (12)より、直接投資の成功、つまり罷≦牡 の必要十分条件は、 1−(1十r2)an 1−(1十r i)a 1, b21 ≦ b 11 (13) (13)より、a 11≦aHかっb ll ≦bHでも、 n<いであれば、直接投資は成功するとは限 らない。つまり、1国1財の生産技術が2国1 財より優れていても、それは直接投資の成功を 必ずしも保証しないわけである12)。 いま、(1)(2)を用いて(13)を変形すると、 (p11/p12)w2 てpフフJて万゜百万≦1 (14) (14)より、直接投資の成功は、比較優位構造と 実質賃金率格差によって規定されていることが わかる。この結果から、途上国の比較優位産業 の先進国への直接投資の可能性も導かれる。 も ちろん、途上国の比較優位部門の技術水準が、 先進国の同部門を下回っていたとしても、直接 投資の成功の可能性があることになる。 このよ うに、実質賃金率の低い国から高い国への直接
投資、すなわち途上国から先進国への直接投資 の可能性を認める点で、一見する限りでは、本 節の議論は、3節の自由貿易の下での議論と大 きな違いをみせている。 レレ ニ 1国2財の直接投資についての議論も、1財 の議論と同様である。直接投資を行った1国2 財企業が、現地で本国水準の利潤率を確保した ときの生産価格をj)Hとすると、 * 2 * り 4 p 一 一 (1十r i) a 12 p 21十b 12W2 p H (15) (1)(2)(15)より、
pH(1十ri)a,ふ1十{ト(トトrO an}b・, Pi!
一一 - Pi. (I十し)aHbH刑1−O十〇a!,}b2! Pn (16) (16)より,直接投資成功の必要十分条件は, 十「 a 十 1− 1十r (1十r 2)a!2 bii川1-(1・+r、) (1)(2)を用いて(17)を変形して、
1ぐ古史・俗才に
a2i}b ll aH}bH ≦1 (17) (18) (17)より、1国2財の生産技術が2国より優れ ていることによっては、直接投資の成功は必ず しも保証されておらず、(18)より、直接投資の 成功が比較優位構造と実質賃金率格差によって 規定されていることがわかる。 5 関税の存在の下での直接投資 3節では関税の全く存在しない自由貿易のケー ス、4節では各々の国で閉鎖経済の価格体系が 維持されるような関税がかけられているケース、 といった両極端の場合について考察してきた。 本節では、ある程度の関税が両国でかけられ、 各々の国の国内価格体系が自由貿易下での世界 価格体系から乖離しているが、しかし、各々の 国の閉鎖経済の価格体系を復活させるほどには 強力な関税がかかってはいない、というより一一 般的なケースについて考察を行う。 犬両国で関税がかけられた=ときのi犬国丿産業の 商品価格と利潤率をpイ、いr/ とすると、1 国1財、2国2財が比較優位のとき、 Pll -p 12且
く
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く
士
(19) ]国士財、2国T含財が比較劣位のどき、 訃>単>こダ>単>E21(20) p. 2 pH……Pw2 p・H P22 このとき、i国の経済体系は、 py1………=(1 +にゾヤ:III・1..・)alilpト十biiWiP≒(21) p≒/=(1十ら)aパ)≒十b,2 wi・p12 (22) .いま、.. 資受入国 を行った1国1財企業が、投 1:財生産部門の利潤率を確保 したときの生産価格をpにニとすると、 p昆し=(丁十………r 1′ 1)a。11・・P;f十b.11w2p几 犬 (23) (21)(23)より p乱 一一 −p j・2 X (1十r jl (24)=より、直接投資の成功、すなわちp/,' / pjノ≦pj、/p j2 が成立する必要十分条件は、 1ニ(・1十r乱:)・a2に丁−(1十r jl ) a 1, bム∇● ≦, b., (25)を変形してご: (25) ヤブ賠ノノヤ千1 ……:…………(26) したがって、以下の結論を得る。(25)より、1 掴1財生産企業の技術が2国より優れていても、 ハヘ>:rムであ万るとき√直接投資の成功は必 ずしも保証されていない。(26)より、直接投資 の成功=は、関税が付加された下で各々の国で実 現された相対価格に基づいた比較優位構造と実 質賃金率格差によ:つて規定されている。 関税の効果にごづレいては次jのように言うことが直接投資のマクロ理論再考(大石) できる。 1国1財が比較優位のとき、両国の関 税が重くなれば、(19)の範囲内でP>',/P.'2は (21)(22)(29)より、 小さくなり、p /./ p j2 は大きくなる。それに 応じてrムは小さくなり、rムは大きくなる。 貿易を行う1国1財生産企業に関税が不利益を 与えることは言うまでもない。直接投資を行う 1国1財生産企業にとっては、r乱が小さくな ることは、最低限確保しなければならない利潤 率が小さくなることを意味し、またpム/p 2'2 が大きくなることは、現地での競争条件が緩く なることを意味する。したがって、関税は直接 投資の成功条件を緩めることになる。 1国1財 が比較劣位のときには、上記とは逆の効果が働 き、直接投資の成功条件は厳しくなる。 それでは、本節で考察した一般的なケースと、 3節、4節の議論との関係について考えてみよ う。 3節での議論は、両国で世界価格が支配する ケースであり、(26)で。 pム/p j2 _p。。1/pu_ pj1/p2'2 ̄p6/p。2 ̄1 =(27) が成立している場合である。したがって、直接 投資の成功は、実質賃金率格差のみによって規 定されることになる。 4節での議論は、両国で閉鎖経済の価格体系 が支配するヶ−スであり、(26)で、
Pi'i /Pi'2 _ P.i/Pm
−pム/p几 P 2l/P 22 (28) が成立している場合である。したがって、直接 投資の成功は、閉鎖経済の相対価格による比較 優位構造と実質賃金率格差によって規定される ことになる。 いずれも、(26)で示される直接投資の一般的 な成功条件の特殊な場合である13)。 1国2財の直接投資についての議論も、1財 と同様である。直接投資を行った1国2財生産 企業が、投資受入国で本国の2財生産部門の利 潤率を確保したときの生産価格をp銘とすると、 / り i / り 乙 p 一 一 (1十r1≒)a 12P 2 1 十b 1 2 W 2 P 2 2 屈エ 貼 (1十 一 (1十 r, 1) a以 口2)a22 b 21 十日 -bh刊1 り十 一 (1十 ⊆ rム a −a 65 (29) ■Ibn (30)より直接投資成功の必要十分条件は、 ( 1 − ( 1 十r 11 一 十r八 )aHbH十 )a!2b2i十 (31)を変形して、 ト -1− 1十r -1十r ム) 貼 -pム (30) a川bロ ajil bn ≦1 (31)
1ぺ言言玉子賠 (32)
したがって、直接投資の成功は技術の優秀性に よっては必ずしも保証されておらず、関税が付 加された下で実現された相対価格に基づく比較 優位構造と実質賃金率格差によって規定されて いる。 また、関税が直接投資に与える効果にっいて も、および3節、4節の議論が本節の議論の特 殊な場合であることも、1財の直接投資に関す る議論と同様である。 6 おわりに 以上、一般的に、直接投資の成功は、両国で 実現している相対価格に基づいた比較優位構造 と実質賃金率格差によって規定されていること が確認された。 もちろん、直接投資を行う産業ですべての企 業の技術水準が同じであるわけではない。より 優れた技術をもつ企業は、それによる特別利潤 を得られるから、各企業は自己の優位性をいか に開発、伸長させるかの激しい競争を行う。ま た注9でも触れたように、国ごとに異なる経済、 社会の状況に対応する必要等から、直接投資に は様々なコストがかかるので、各企業はいかに コストを減らし、いかに自己の優位性をより有 効に活用するかの厳しい競争を繰り広げている。 本稿が明らかにしたのは、このような個々の企業の直接投資をめぐる競争の………Iこ台にある、国 際経済の基礎構造にほかならない。 注 1 ) Hymer[3]、Kindleberger[7]、・・Vernon[22]、 Bucklev・Casson[1]、Dunning[2]参照。 2)このような試みとしては、Itak八5][6]、小島 [8]、Kojima and Ozawa[㈲、村岡[11]∼[↓4]、 佐々木[18且!9]などかおる。 3)もちろん、国民経済のマクロ的諸条件の視点から の議論のみで十分だと言っているのではない。現代 の世界経済においては、]多国籍企業自身が自己の企 業論理に基づいて世界貿易網を形成しており、それ がまた諸国民経済に大きな影響をあたえている。 ミ クロ的分析とマクロ的分析の統………-力{求められる。 こ の点て、多国籍企業論が企業、産業、国家レベルで の重層的な統合化をおしすすめるという議論につい ては、杉本[20][21]参照。 4)大石[15]。 5)ここでの実質賃金率は、いわゆる生存賃金である 必要はない。なお、賃金と利潤率については、Pas metti[拓]邦訳pp. 90-91参照。 \ 6)経済体系が成立するためには、当然、O十卜) a ;I <1、bi2wiく1が成立していなければなら ない。木稿においては、以下、このような経済体系 を成立させる条件は満たされている場合を考える。 7)どちらかの財に強烈な需要が発生するというよう な特別の場合は別である。また、各国が自国の比較 優位の財に特化七たうえで、世界的に利潤率が均等 化するという想定のもとでは、世界価格は両国の当 初の相対価格の間に決まらないヶ−スも生じ得る。 本山[10]参照。 コ 8)このように、閉鎖経済における比較優位、比較劣 位に応じて貿易が開始され、その交易条件が相互需 要によって決まる、というのはリカード本来の比較 生産費説理解ではない。いわゆる変形理解である。‥= Ricard[!7]、行滓[23]参照。 9)本稿でも、前稿と同様に、直接投資が行われるに あたって、本国の技術が特別のコストをかけずに投 資受入国に移転され、企業活動がなされることとす る。現実的には、直接投資を行った企業は、本圃と 投資受入国で経済、政治、社会状況が異なるここに 対応するために特別のコストを必要とするい汽接投 資企業は、このようなコストを考えなくても良い現 地企業との競争に打ち勝つために、この不利益を補 う=:優位性を持だなければね=らない。周知の通り、こ れは、多国籍業論の嘆矢であるハイマーによって論 じられた問題である。 しかし、本稿では、議論を簡 単にするたノめ仁=ひとまず二の問題をおき、上述の仮 定で議論を行丿6 J.・。・。・ 。・ 10)世界市場価格の成立を前提した直接投資の考察に ついては、村岡八月∼[14]/、佐々木[18][19]参照。 両氏とも、比較優位、比較劣位いずれの部門でも、 直接投資による在外生産の剰余価値率あるいは利潤 率が本国より高いことを認めている。しかし、村岡 氏レは、比較優位部門の在外生産が比較優位構造を変 化させ、本国の比較優位部門の得る特別利潤を減少 させることから、本国と在外生産を一体とした当該 資本全体の立場からは比較優位部門め直接投資は行 われないとするノまた√佐々木氏は、゜先進国と途上 国の労働の質の差のために、先進国の比較優位部門 は途上国でぱ効率的に生産することがでず、直接投 ニ資:はなされない古する。こ〕のような議論により、=両 氏とも、直接投資は比較優位部門で行われると結論 づけている。\ 11)大石[1削よトなjお、閉鎖経済の価格体系を前提とし 元√直接投責め国際地代と比較優位・実質賃金率格 差との関係は、すでにItaki[6]において、リカー ドモデルを用いて考察されている。 !2) a丿<レ如丁かうbll>)b21、あるいはa卜> anかつb。< b,,であるときには、どちらの国 の技術が優れていると断言できないが、a。≦ aいかつb☆・≦、.bnという厳しい条件が成立して いるときには、明らかに寸国の技術が2国より優れ ている(もちろん、同時に等号の時は同技術である)。 ↑3)正確には、5レ節の議論では、(26)は(19)(20)の。範 囲で考えられでいるのでミ……::3節、4節のケースは、 5節の議論を(19)(20)の範囲外に拡張した場合だと 言うべきである。 参考文献
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