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JAIST Repository: デジタルカメラとカメラ付き携帯電話の動向 : 日本の大学発ベンチャーの進め方への提言(スタートアップ/中小企業, 第20回年次学術大会講演要旨集I)

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

デジタルカメラとカメラ付き携帯電話の動向 : 日本の

大学発ベンチャーの進め方への提言(スタートアップ

/中小企業, 第20回年次学術大会講演要旨集I)

Author(s)

立野, 公男; 浜田, 真悟; Cavasin, Nathalie; 桑原,

輝隆

Citation

年次学術大会講演要旨集, 20: 61-64

Issue Date

2005-10-22

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/6011

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

1A18

デジタルカメラとカメラ 付き携帯電話の 動向

一日本の大学金ベンチャ 一の進め方への 提言一 0 立野公男,浜田真悟 ( 文科 省 ) , NathalieCavasin ( 早大 ) , 桑原糖 隆 ( 文科 省 ) 1 . 緒 言 日本のデジタルカメラ 産業は、 昨今の日本のデジタル 家電景気を支えている 重要な製品の 一 つ であ る 1) 2) 。 これは、 「誰にもまねのできないものを、 誰にもまねされない 方法で作る。 」という ビジネス戦略が 功を奏したのであ り、 1995 年に始まった 市場の立上りから 急激に国際競争力を 発 挿 して高い市場シェアを 獲得してきた。 その反面 1 0 年の年月を経て、 この技術イノベーション の波に乗りきれ 々 苦境に立たされているカメラ 関連企業もあ る。 実際に、 2005 年 5 月 28 日、 DPA 通信は、 ドイツの ア グファ・フォト 社が破産したと 報道した。 同社はこれまで、 日本の ( 株 ) 富

士写真フィルム、 および、 米国のコダック

と並んで世界のビッバスリーと 称せられていた

写真 フィルムメーカの 老舗であ る。 そしてさらに、 既に国内において、 デジタルカメラ 市場は撲和し つつあ り、 日本のカメラメーカ 間で淘汰が始まっており、 未だ飽和しきっていない 海外市場の争 奪を巡って 織烈 な競争を展開している。 一方、 小型のデジタルカメラモジュールを 搭載した携帯電話の 市場規模が 2001 年より急速に 拡大しつつあ り、 携帯電話の 2004 年度までの総生産台数 5 億台のうち、 カメラ付きは 1.8 億台 にも達している。 カメラ付き携帯電話に 搭載されている 撮像素子と光学モジュールのおよそ 80% は 日本製であ り、 ここでも日本の 企業は強い国際競争力を 発揮している。

本報告では、 ここ数年のカメラ 付き携帯電話の 急進展という 新たな局面を 迎えたデジタルカメ

ラ 技術と産業の 動向を探る。 特に 、 主として携帯電話への 搭載を狙った「可変焦点液体レンズ」 という新たな 技術イノベーションへの 挑戦が、 フランスの大学 発 ベンチャー、 Vanoptic 社によっ て 推進されている 事実に注目する。 同社は 、 ノキア 社 、 モトローラ社に 次いで世界第 3 位の携帯 電話シェアを 持っ韓国のサムスン 社と 技術提携を結んで 本格的なビジネス 構築に向けて 遭進 して おり、 日本が目下、 国を挙げて推進中の 産学連携の好事例と 見られるからであ る ") 。 2005 年 5 月に経済産業省が 発表した統計。 ) によると、 日本の大学 発 ベンチャ一企業の 数は 、 1099 社に達した。 これは、 2001 年に立てられた 数 的 目標が産官学の 努力により 3 年の歳月を経 て達成された 数であ る。 そして、 これからは、 大学 発 ベンチャ一の 質的向上、 すな む ち、 経営の 自立性が問われる 段階に来ている。 本報告は、 このような状況の 中で、 Varioptic 社をフランスの 大学 発 ベンチャ一の 典型例とし、 その立上げの 経緯やフランス 政府からの支援状況などを 見て 、 質の向上に向け 道 進 中の日本の大学 発 ベンチャー育成の 進め方への提言を 行 2. カメラ付き携帯電話の 市場動向と技術課題 図表 1 は、 デジタルカメラ 市場の変容を 模式的に表したものであ る。 すな む ち、 デジタルカ メラは撮像素子のピクセル 数の増加とともに 進展し、 日本のメーカーが 強い国際競争力を 発揮し てきたが、 今後は少なくとも 三つの方向に 多様化すると 予想される。 一 つは 従来の延長線の 普及 型デジタルカメラであ る。 二 つは 5M ピクセル以上の 撮像素子を搭載した 高級一眼レフ 式デジタ ルカメラの方向であ る。 そして、 二つ白がカメラ 付き携帯電話, ) であ る。

これらのうち、 カメラ付き携帯電話の 生産台数は、 デジタルカメラと 同様、 既に急速な伸びる

(3)

示している。 図表 2 は、 カメラ付き携帯電話の 市場実績と今後の 予測であ る 2) 5) 。 2004 年の実 績で、 5 億台。 そのうちカメラ 付きは 1.8 億台であ るが、 2008 年には 7 億台となり、 その 90% 以 上が カメラを搭載しており、 60% がズーム機能を 持つと予想されている。 ところが、 携帯電話に搭載できるレンズ 光学系のモジュールは、 自動焦点機構やズーム 機構を 含めてデジタルカメラの 場合よりも相当小型であ る必要があ る。 また、 携帯電話の落下試験は 1.8m と高く、 作動回数も 5 万回であ り、 通常のデジタルカメラよりも 厳しい。 さらに、 今後も HDD ( ハードディスク ) 搭載 やス イカ機能など 携帯電話の高集積化や 多機能化は益々進展するの でこれまで以上に 部品の小型化と 省電力化が必要であ る。 従って、 光学系の小型化やズームレ ン ズの 駆動用機械系の 面衝撃性、 さらには撤廃への 要求は強くなる 一方であ り、 何らかの技術プレ イクスルーが 期待されることになる。 800 デジタルカメラ 画素数 1 M--2M--3M-@4M--5M 高椴 一眼レフ・デジタルカメラ 胡 100 過去 現在 将来 03 04 05 06 07 08 年度 図表「デジタルカメラ 市

堤の多様化

図表 2 カメラ付き携帯電話市場の 実績と今後の 予測 ( ガートナ一社 2) 、 および、 Va Ⅱ optic 社 5) の 資料をもとに 政策研で作成 ) 3. 可変焦点液体レンズの 登場 光学系の小型化のブレイクスルーへの 挑戦は既に存在し、 今年の CeBIT,05 ( 国際情報通信 見本市・ハノーバメッセ・ 3710-16) で、 サムスン社は、 フランスの大学 発 ベンチャー Varioptlc 社 の 試作品であ る電圧 印加式 可変焦点液体レンズを 搭載したカメラ 付き携帯電話の 試作品を展示し た。 そのモデルの 概観は従来のカメラ 付き携帯電話と 変わらないのに 自動焦点機能を 持つという。 技術提携額は 120 万ユーロ と 報道されている。 図表 3 は、 Varioptic 社の可変焦点液体レンズの 原理であ る 5) 。 すな む ち、 光学系は、 水、 およ ぴ、 油の液 滴 レンズからなるダブレットであ る。 液滴は 、 表面張力により 球面状となりレンズ 効 果を持っ。 単一のレンズでは、 色収差や球面収差が 発生するため、 凸レンズと凹レンズを 組み合 わせたアクロマチック ( 色消し ) な 構成となっている。 図表 3 の左側の図は、 電圧が印 加 されて いない状態であ り、 レンズへの入射光はレンズを 通過後発散する。 しかし、 右側の図のように、 電極に 40V の電圧を印 抗 するとレンズ 曲率が増加して 入射光はレンズを 通過後収束する。 すな む ち、 レンズの焦点距離を 変えることができ、 自動焦点機能を 持たせることができる。 さらに、 こ の ユニットを 二式 設置すればズーム 機能を機械系とそれを 駆動するモータ 一なしで実現できると いうのであ る。 カメラ付き携帯電話への 搭載を狙った 液体レンズの 開発は、 オランダの大企業 Philips 社でも 行われている 6) 。 特許的には Varioptic 社の方が早いと 同社は喧伝しているが、 完成度は両社で ほとんど接近している 模様であ る。 Philips 社は 、 何に積むかは 明らかにしていないが、 既に量 産ラインを準備しているという。

(4)

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ク 電極 / 玉援体 」、 。 ・ 窓 ガラス

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Ⅰ圧を且けな いれ合 ワ 圧を堆けると 人材光は発散する 人材光は収束する 図表 3 可変焦点レンズの 原理 (Variloptic 社の資料をもとに 政策研で作成 ) 4. フランスの技術イノベーションの 伝統と VanioDtlc 社 現在普及しているカメラの 原型の発明は、 米国のコダック 社でもドイツの ア グファ・ゲヴァル ト社でもなく、 フランスの画家 Louis Daguerre (1799 ∼ 1851) によってなされ 1839 年に発表 された。 しかし、 フランスには、 現在、 カメラ産業はほとんど 存在していない。 したがって、 今日のフランスにおいては、 カメラ産業の 技術イノベーションは 大学 発 でしかあ リス ない。 因みに、 同じような事態が 最近、 米国の大学でも 起きている。 すな む ち、 半導体の露 光装置について、 現状では、 アメリカの企業は 国際競争力を 持っていない。 にもかかわらず、 MIT が液浸 リソグラフィーという 技術イノベーションのきっかけを 打ち出し、 いわゆる ITRS (I Ⅱ ternahonal Technology R0ad Map for Semico Ⅱ ductor り ロードマップを 三世代先までプレー

ク スルーした事例があ る ( 科学技術動向 2004.5')) 。

可変焦点液体レンズというユニークな 技術の発明者は、 元フランスの 大学の教職にあ り、 国立

科学研究センター (Nati0nal Center for Scientific Research) の研究科学者でもあ った Bruno

Berge 氏であ る 8) 。 もちろん、 液体レンズの 本格的な実用化には、 耐 温度変化などの 品質保証や 組み立てコストに 課題が残っている。 しかし、 仮に、 液体レンズが 大量生産やコスト 課題に応えられず、 カメラ 付 携帯電話への 適用 が 困難であ った場合でも、 たとえば胃カメラ 用の光学ヘッドなどへの 応用もあ る。 したがって、 液体レンズがもし 何らかの形で 上手 く 製品化されれ ば 、 日本の応用光学分野に 携わっている 大学 の 研究者がせつかくの 機会を見逃してしまうことになり、 残俳な結果となる。 それは、 日本の大 学の研究者の 方が、 最先端のデジタルカメラや 胃カメラの技術に 接する機会が 多く、 発明のチ ャ シ スにより恵まれていると 思えるからであ る。 Berge 教授によると、 可変焦点レンズの 開発は、 ジョセフ・フーリエ 大学 (UniversiteJoseph

Fourier/Gre Ⅱ obleI) 、 及び、 リョン国立高等師範学校 (EcoleNormaleSuperieuredeLyon) に

おける 1 0 年間にわたる 研究の結実であ るという。 すな む ち、 研究は 1990 年ごろに開始し、 特 許 登録は 1999 年 (WIP0:99018456) であ り、 政府からの支援を 受けたのは、 2002 年からであ る。 1990 年当時は、 デジタルカメラもカメラ 付き携帯電話も 存在していなかった。 従って彼は、 液体 物理の専門家として、 応用の出口を 意識しない "ElectrowettiDg" の基礎研究を 数年間じっと 耐え て継続した頑固な 研究者であ ったように見える。 つまり、 Berge 教授はこの水面下での 期間に専 門を深め、 "Electrowetting" のメカニズムを 深く研究し、 技術のコアを 作り上げ、 研究自体の主 体性を先ず獲得した、 つまり、 「競争力のコア」 としたのであ る。

(5)

5 . 結 青

北露光装置の

液 浸

技術ブレイクスルーハや 本報告の可変焦点液体レンズに 見られるよ

う に

光 学

製品に使われる 材料は、 ガラスにはじまり、 プラスチックを 経て、 液体を活用するところまで

来た。

液体レンズの

開発は、

Handling 、 組み立てコスト、 耐 温度変化などを 考えると、 企業で取 り

組むにはリスクが 大きすぎるテーマであ り、 皮相なアイデアだけでは 本格的な技術にならず、

‥ Electrowetting" の 物性的な現象の 物理学的解明が 先立たね ば ならなかった。 そのため、 研究者 の

自発的な知的好奇心を 駆動力とする 大学の活躍が 重要な役割を

担 う

のであ り、 大学は、 本格的

な技術シーズの 潮流をつくるよ 9 期待されている。

その一方で、 デジタルカメラの 市場が撲和し、 カメラ付き携帯電話の 市場が新しい 潮流となっ

ていることが 明らかとなった。 これらの技術シーズの 潮流と市場ニーズの 潮流がぶつかり

合 う潮 目に、 大きなビジネスチャンスがあ る。 実際、 可変焦点液体レンズ 開発のプロジェクトは、 フラ シ

スの大学

ベンチャーと 韓国サムスン 社の連合のみならず、 巨大企業の老舗であ るオランダの

Philips 社も推進していること ,に注目すべきであ る。

日本の産学連携はここ 数年で体制が 整い、

大学 発

ベンチャ一の 類約目標が達成され、 いよいよ

真価が問われる

段階に入った。 ) 。 企業で辛酸を 舐めながら実績を 積んだ技術者は、 「完成度の低い

研究は冗談であ

る。

」と言い切る。 大学の研究者は、 ハイリスクな 研究テーマに 取り組めるという

エキサイティンバな 境遇に恵まれている。 これまで以上に 自らの技術のコア 育成にっとめ、

市場 の 新しい潮流に 果敢に足を踏み 入れ、 チャンスとみたらビジネス 勝負に挑むべきであ る。 それは、

経済がバローバル 化した今日にあ

っては、 VaanioPtlC 社

g) の事例のように、 その国の企業が 必ず

しも強い国際競争力を 持っていない 分野でも、 質の高い大学

ベンチャーが 育つ可能性が 十分あ

るからであ る。

一方、 政府の機関や 研究を管理する 大学内の機関は、 研究資金の助成や 運営にあ たり、

ハイリ

スクであ ってもスケールの 大きいイノベーションを 狙う研究の保護者として、

る程度の期間

長 い

目で功を焦らず 忍耐強く研究者の 個性と主体性を 十分重んじる 経営の仕方が 重要であ ると考え

る 。

謝辞

本報告執筆にあ

たって貴重なご

意見、 ならびに、 資料を提供頂いた、

( 株 )

ニコンの大木裕史氏、

コニカミ ノルタ ( 株 )

の宮前惇氏、

ソニー ( 株 )

の小松裕司氏、

( 独 ) 産

総研の小笠原敷瓦、 そして、

( 株 )

日立製作

所の井戸立身氏の 各位に感謝します。 6. 参考文献 1) 光学技術コンタクト

滞集

「カメラ付き 携帯電話の現状と 今後の展望」, 1, ,02, Vo1. 40 2)@ http://www . gartner ・ co.p/press/index ・ html@ (July@5.@ 2005)

3) 立野公男「デジタルカメラとカメラ 付 携帯電話の動向」科学技術動向 2005.7. No. 52 4) 経済産業省 大学連携推進課 ;News Release 2005.4.25

5)@ http://www . va Ⅰ optc ・ com/en/technology , php@(July@5.@ 2005)

6)@ B , Hendriks@ et@al , Proceedings@ ofICo , 04 , Tokyo , 12@July , 2004 , ppll-12 7) 立野公男「半導体微細加工技術の 最新動向」科学技術動向 2004.5. N0. 38 8)@http://www , spm ・ cnrs-dir ・ fr/encre/encre-03/CDR/CVs/@(July@5 2005)

参照

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