• 検索結果がありません。

マウス精子形成および初期胚の発生過程におけるユビキチン・プロテアソーム系の役割に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "マウス精子形成および初期胚の発生過程におけるユビキチン・プロテアソーム系の役割に関する研究"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)学位論文要約. 清水なつみ. ユビキチン・プロテアソーム系(ubiquitin-proteasome system, UPS)は、真核細胞に おいて様々な制御タンパク質や細胞活動で不必要になったタンパク質を選択的に分解する 機構である。この UPS は、細胞周期制御・DNA 修復・アポトーシス・免疫応答・シグナ ル伝達・転写・代謝・タンパク質の品質保証に重要な役割を果たしていることが明らかに なっているが、生殖細胞の形成・分化過程において UPS が果たす役割については未だ十分 に明らかとなっていない(Murata et al., 2009; Tanaka et al., 2009; Saeki et al., 2012) 。 最近、多能性を持つ細胞であることから再生医療や薬の評価などの医学分野へ大きな貢 献が期待されている細胞である人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells, iPS 細 胞)及び胚性幹細胞(embryonic stem cells, ES 細胞)において、未だ詳細な分子機構は明 らかになっていないものの UPS が多能性維持機構やリプログラム機構に関与することが 報告された(Buckley et al., 2012; Vilchez et al., 2012)。生殖細胞形成過程ならびに分化全 能性を持つ唯一の細胞である受精卵の形成過程では、多くのプロセスのエピジェネティッ ク機構が存在する。現在、iPS 細胞の作製効率を挙げる研究が展開されているが、生殖細 胞あるいは受精卵の形成時のエピジェネティックなリプログラミングに UPS が関わる分 子機構の詳細を明らかにしたならば、iPS 細胞の作製効率の向上に貢献することが期待さ れる。そこで、本研究では、哺乳動物における生殖細胞や受精卵の形成時期における UPS が 果たす役割を明らかにすることを目的に、マウス精巣及び受精卵において UPS の発現解析 及び機能解析を行った。 まず、第2章では、精子形成過程において ZPAC タンパク質が果たす役割について検討 した。26S プロテアソームは、多くのサブユニットで構築された 20S プロテアソーム(core particle, CP)と 19S 複合体(regulatory particle, RP)から構成される(Murata et al., 2009) 。そして、組織特異的なサブユニットや制御因子が存在するとともに、多様な機能を 持つプロテアソームが組織特異的に構築されることが明らかになりつつある(Sahara et al., 2013; Kunjappu et al., 2014; Kniepert et al., 2014) 。最近、 我々も生殖細胞特異的な 20S プ ロテアソーム会合に働くシャペロンタンパク質として、ZPAC タンパク質を同定している (Shin et al., 2013) 。ZPAC タンパク質は、マウス性腺およびマウス初期胚の母性から胚 性への移行時期(maternal-to-zygotic transition, MZT)に特異的に発現しているが、マウ ス精巣における ZPAC タンパク質の発現プロファイルや ZPAC タンパク質を介した 20S プロテアソームの機能は未だ明らかになっていない。そこで、マウス成熟精巣における ZPAC タンパク質の発現プロファイルを免疫組織化学的解析によって検討したところ、 ZPAC タンパク質は、20S サブユニットの一つであるα4/PSMA7 タンパク質と同様に、精 原細胞からステップ 10 の精子細胞の核および細胞質で局在が認められ、精母細胞からステ ップ 10 の精子細胞までの細胞で強い免疫反応を示した。一方、ステップ 11 以降の精子細.

(2) 胞では、ZPAC タンパク質の局在が認められなかったのに対して、α4/PSMA7 タンパク 質のシグナルはステップ 12 の精子細胞までの細胞に観察された。次に、実験的停留により 熱ストレスを付与した精巣における ZPAC タンパク質の発現プロファイルをウエスタンブ ロット解析及び免疫組織化学的解析で明らかにするとともに、プロテアソームのキモトリ プシン様活性に与える影響について検討した。術後 10 日目(D10)の停留精巣のプロテア ソームの活性は、未処置精巣と比較して有意な減少を示した。次に、ウエスタンブロット 解析から、停留精巣のα4/PSMA7 タンパク質の発現量は、未処置区と比較して、D1、D4、 D7 および D10 ではほとんど変化は認められなかったが、ZPAC タンパク質のそれは D4 から有意に減少することが明らかになった。また、停留精巣の精巣内局在では、D7 までそ の局在シグナルが認められたα4/PSMA7 タンパク質に対して、ZPAC タンパク質の局在 シグナルは D4 から弱くなり、D7 ではほとんど認められなかった。さらに、D1 の停留精 巣において ZPAC タンパク質はアポトーシス初期の標識である Annexin V タンパク質と 共局在を示すことが明らかとなった。以上の結果から、マウス精子形成過程において ZPAC タンパク質が関与する 20S プロテアソームは、生殖細胞の生存の制御に関与することが示 唆された。 次に、第3章では、マウス初期胚におけるプロテアソームの転写機構への関与について 検討した。これまで、我々は、プロテアソーム阻害剤である MG132 で受精直後一過性(媒 精後 1~9 時間)に処理した受精卵では受精後に起こる胚性ゲノムの活性化(zygotic gene activation, ZGA)の開始が遅延することを明らかにして、UPS が受精直後の母性から胚性 へのリプログラミングに重要な役割を果たす可能性を示唆している(Shin et al., 2010) 。 そこで本実験では、受精直後の MG132 処理が着床後の胚発生に与える影響について検討 したところ、MG132 処理胚は未処理区と比較して産仔率が低下することを認めた。続いて、 受精直後の MG132 処理がプロテアソームの活性に与える影響について検討したところ、 MG132 処理した胚では、未処理区と比較して、MG132 処理区ではユビキチン化タンパク 質の蓄積が認められたが、その蓄積は媒精後 21 時間までに未処理区と同じレベルまで減少 していた。また、ユビキチン化タンパク質の蓄積と一致して、MG132 処理直後(媒精後 9 時間)では、プロテアソームのキモトリプシン様活性の低下も認められたが、24 時間まで に未処理区と同じレベルまで回復することが明らかになった。このことから、受精直後の プロテアソーム活性の一過性の抑制はその後の胚発生に大きな影響を及ぼすことから、受 精後のリプログラムで UPS は重要な役割を果たしていることが示唆された。次に、その機 構を明らかにするために、受精直後のプロテアソーム活性の一過性の抑制が RNA ポリメラ ーゼ II(RNAPII)の細胞内局在および RNAPII の CTD 領域のリン酸化(Ser-5P、Ser-2P) に与える影響について検討した。MG132 処理区では、未処理区と比較して RNAPII の核 内への移行は同時期に行われていたが、RNAPII のリン酸化は未処理区と比較して遅延し ていた。さらに、RNAPII のクロマチンへの取り込みを検討したところ、MG132 処理区 では、RNAPII のクロマチンへの取り込みが阻害されることが示された。RNAPII がクロ.

(3) マチンへ取り込まれるには、その領域のクロマチン構造を変化させてオープンクロマチン 構造に変換されるクロマチンリモデリングが必要となる。以上のことから、UPS は受精直 後のクロマチンリモデリングに関与していることが示唆された。 本研究結果から、精子形成過程においてプロテアソーム会合シャペロンタンパク質 ZPAC が関与する精巣特異的な 20S プロテアソームが精子形成で機能している可能性が示され、 さらに全能性を持つ受精卵が形成される母性から胚性へのリプログラム時期のクロマチン リモデリングで UPS が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。 以上.

(4)

参照

関連したドキュメント

フランツ・カフカ(FranzKafka)の作品の会話には「お見通し」発言

BAFF およびその受容体の遺伝子改変マウスを用 いた実験により BAFF と自己免疫性疾患との関連.. 図 3 末梢トレランス破綻における BAFF の役割 A)

 よって、製品の器種における画一的な生産が行われ る過程は次のようにまとめられる。7

はある程度個人差はあっても、その対象l笑いの発生源にはそれ

ƒ ƒ (2) (2) 内在的性質< 内在的性質< KCN KCN である>は、他の である>は、他の

2.1で指摘した通り、過去形の導入に当たって は「過去の出来事」における「過去」の概念は

詳細情報: 発がん物質, 「第 1 群」はヒトに対して発がん性があ ると判断できる物質である.この群に分類される物質は,疫学研 究からの十分な証拠がある.. TWA

本研究は、tightjunctionの存在によって物質の透過が主として経細胞ルー