マウス精子形成および初期胚の発生過程におけるユビキチン・プロテアソーム系の役割に関する研究
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(2) 胞では、ZPAC タンパク質の局在が認められなかったのに対して、α4/PSMA7 タンパク 質のシグナルはステップ 12 の精子細胞までの細胞に観察された。次に、実験的停留により 熱ストレスを付与した精巣における ZPAC タンパク質の発現プロファイルをウエスタンブ ロット解析及び免疫組織化学的解析で明らかにするとともに、プロテアソームのキモトリ プシン様活性に与える影響について検討した。術後 10 日目(D10)の停留精巣のプロテア ソームの活性は、未処置精巣と比較して有意な減少を示した。次に、ウエスタンブロット 解析から、停留精巣のα4/PSMA7 タンパク質の発現量は、未処置区と比較して、D1、D4、 D7 および D10 ではほとんど変化は認められなかったが、ZPAC タンパク質のそれは D4 から有意に減少することが明らかになった。また、停留精巣の精巣内局在では、D7 までそ の局在シグナルが認められたα4/PSMA7 タンパク質に対して、ZPAC タンパク質の局在 シグナルは D4 から弱くなり、D7 ではほとんど認められなかった。さらに、D1 の停留精 巣において ZPAC タンパク質はアポトーシス初期の標識である Annexin V タンパク質と 共局在を示すことが明らかとなった。以上の結果から、マウス精子形成過程において ZPAC タンパク質が関与する 20S プロテアソームは、生殖細胞の生存の制御に関与することが示 唆された。 次に、第3章では、マウス初期胚におけるプロテアソームの転写機構への関与について 検討した。これまで、我々は、プロテアソーム阻害剤である MG132 で受精直後一過性(媒 精後 1~9 時間)に処理した受精卵では受精後に起こる胚性ゲノムの活性化(zygotic gene activation, ZGA)の開始が遅延することを明らかにして、UPS が受精直後の母性から胚性 へのリプログラミングに重要な役割を果たす可能性を示唆している(Shin et al., 2010) 。 そこで本実験では、受精直後の MG132 処理が着床後の胚発生に与える影響について検討 したところ、MG132 処理胚は未処理区と比較して産仔率が低下することを認めた。続いて、 受精直後の MG132 処理がプロテアソームの活性に与える影響について検討したところ、 MG132 処理した胚では、未処理区と比較して、MG132 処理区ではユビキチン化タンパク 質の蓄積が認められたが、その蓄積は媒精後 21 時間までに未処理区と同じレベルまで減少 していた。また、ユビキチン化タンパク質の蓄積と一致して、MG132 処理直後(媒精後 9 時間)では、プロテアソームのキモトリプシン様活性の低下も認められたが、24 時間まで に未処理区と同じレベルまで回復することが明らかになった。このことから、受精直後の プロテアソーム活性の一過性の抑制はその後の胚発生に大きな影響を及ぼすことから、受 精後のリプログラムで UPS は重要な役割を果たしていることが示唆された。次に、その機 構を明らかにするために、受精直後のプロテアソーム活性の一過性の抑制が RNA ポリメラ ーゼ II(RNAPII)の細胞内局在および RNAPII の CTD 領域のリン酸化(Ser-5P、Ser-2P) に与える影響について検討した。MG132 処理区では、未処理区と比較して RNAPII の核 内への移行は同時期に行われていたが、RNAPII のリン酸化は未処理区と比較して遅延し ていた。さらに、RNAPII のクロマチンへの取り込みを検討したところ、MG132 処理区 では、RNAPII のクロマチンへの取り込みが阻害されることが示された。RNAPII がクロ.
(3) マチンへ取り込まれるには、その領域のクロマチン構造を変化させてオープンクロマチン 構造に変換されるクロマチンリモデリングが必要となる。以上のことから、UPS は受精直 後のクロマチンリモデリングに関与していることが示唆された。 本研究結果から、精子形成過程においてプロテアソーム会合シャペロンタンパク質 ZPAC が関与する精巣特異的な 20S プロテアソームが精子形成で機能している可能性が示され、 さらに全能性を持つ受精卵が形成される母性から胚性へのリプログラム時期のクロマチン リモデリングで UPS が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。 以上.
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