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インクルーシブ教育体制における特別な支援ニーズのある子どもの家族支援 -アイスランドにおけるインタビュー調査から見えてきたもの-

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(1)Title. インクルーシブ教育体制における特別な支援ニーズのある子どもの家族 支援 −アイスランドにおけるインタビュー調査から見えてきたもの−. Author(s). 阿部, 美穂子; 二宮, 信一; 西田, めぐみ; 小林, 麻如. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第50号: 61-68. Issue Date. 2018-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/10473. Rights. publisher. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第50号(平成30年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.50(2018):61-68. インクルーシブ教育体制における特別な支援ニーズのある子どもの家族支援 -アイスランドにおけるインタビュー調査から見えてきたもの- 阿 部 美穂子1・二 宮 信 一1・西 田 めぐみ2・小 林 麻 如3 北海道教育大学釧路校地域学校教育専攻1・アイスランド大学大学院教育学研究科2・釧路市児童発達支援センター3. Family Support Services in the Icelandic Inclusive Education System : Through Qualitative Interviews ABE Mihoko1, NINOMIYA Shinichi1, NISHIDA Megumi2, KOBAYASHI Maki3 Department of Community and Environmental Education, Kushiro Campus, Hokkaido University of Education1 University of Iceland, School of Education2 Kushiro-city Child Development Support Center3. 筆者らは、共生社会の実現に向けて、必要とされる家族支援の在り方を探るため、インクルーシブ教育体制整備の先進 国であるアイスランドにおいて、調査を実施した。すなわち、特別な支援ニーズのある子どもを抱える家族への支援を実 施している機関を視察し、インタビューにより家族支援の取り組み例を収集し、家族支援機能を充実させる要因の分析と 課題について検討した。視察対象は、レイキャビーク市内にある特別な支援ニーズのある子どもを抱える家族のためのカ ウンセリングセンター、ソーシャルセンター、及びインクルーシブ教育を実践する幼稚園であった。また、インタビュイー は、各機関の代表者及び(あるいは)実務者であった。調査の結果、①支援機関をつなぐ相談ハブステーションの存在、 ②保護者の自立を促す支援構造、③保護者の家庭療育力を高める学習機会の設定、④チームとしての各支援機関協働関係 の構築の4つが、家族支援機能充実の要因として見出された。一方、相談支援機関が機能を果たすためには、必要な予算 と長期的視野に立ってリーダーシップを発揮する人材を確保できることが課題であることも示された。. Ⅰ.はじめに. れは、「誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々. 2006年に「障害者の権利に関する条約」が国連総会で採. の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会」で. 択されて以来、各国が次々とこれを批准したことにより、. あり、「このような社会を目指すことは、我が国において. 「インクルーシブ教育システム」 は、 今や世界中において、. 最も積極的に取り組むべき重要な課題である」とされてい. 教育施策の中心的理念となっている。日本においても2014. る(文部科学省,2012)。このような共生社会の形成に向. 年に本条約を批准し、 「インクルーシブ教育システム」整. けた取り組みにあたっては、特別な支援ニーズのある子ど. 備への動きが加速化した。外務省(2014)によれば、「イ. も自身への支援だけでなく、その家族も安心して地域の一. ンクルーシブ教育システム」とは「障害者を包容するあら. 員として子育てができ、地域の学校に子どもを送り出すこ. ゆる段階の教育制度」を指す。また、文部科学省(2012). とができる支援体制が必要であると考える。すなわち、イ. の定義では、 「人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精. ンクルーシブ教育の体制整備に併せ、保護者やきょうだい. 神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、. 児などの家族が、障害のある子どもとともに充実した生活. 自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的. を送るために必要な支援がなされることで、だれもがより. の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み」で. 自由に社会参加できる可能性が高まるものと考えられる。. あるとされる。. しかしながら、実際にインクルーシブ教育の実践に伴っ. このようなインクルーシブ教育システムの整備は、「共. て、どのような家族支援がなされる必要があるのか、 特に、. 生社会」の実現を目的としてなされるものである。「共生. インクルーシブ教育体制整備の途に就いたばかりの我が国. 社会」とは、 「これまで必ずしも十分に社会参加できるよ. では、その具体化はいまだ不十分である。. うな環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献して. そこで筆者らは、インクルーシブ教育についてすでに体. いくことができる社会」 (文部科学省,2012)を指す。そ. 制整備が整い、実践実績が積まれてきているアイスランド. - 61 -.

(3) 阿 部 美穂子・二 宮 信 一・西 田 めぐみ・小 林 麻 如 (2)レイキャビーク市ショーヌストゥミズストゥーズ. において、家族支援サービス機関及び幼稚園を視察訪問. (ソーシャルセンター). し、支援にかかわっている当事者に家族支援の具体例に関 するインタビュー調査を実施した。アイスランドでは、 「障. 本ソーシャルセンターは、レイキャビーク市に設立され. 害のある子どもに対する教育を含め、すべての子ども一人. た5つのソーシャルセンターのうちの一つであり、特別な. ひとりの権利を尊重することを柱としたインクルーシブ教. 支援ニーズのある子どもとその家族が社会参加するために. 育が展開されており、それは、アイスランドという国の将. 必要な福祉サポートと教育サポートを組み合わせて行うも. 来を見通した『持続可能な共生社会』の構築にまでつなが. のである。一部の特別なプログラムを除き、通常は、子ど. る国家的な枠組みとして展開されている」とされる(二宮・. もへの直接支援を行うのではなく、家族や子どもが所属す. 服部・小林・佐々木・菊地,2016) 。本稿では、調査結果. る学校などを対象としたカウンセリングとコンサルテー. を報告するとともに、インタビューで得られた具体例に基. ションをその主な業務としている。その内容は、対象児の. づいて、家族支援機能を充実させる要因、及び、課題につ. 生活支援、学習支援、行動評価と問題行動改善支援、家庭. いて検討する。これにより、我が国が共生社会を目指すに. 環境調整、保護者の子育て支援などである。. あたって求められる家族支援の在り方について、有益な示. インタビュイーは3名で、グループ・インタビューを実. 唆を得ることを目的とする。. 施した。代表者は、本センターの特別支援教育カウンセラー を務めているソールハットラ・グズムンズドッティル氏で. Ⅱ.方法. ある。他に同席した2名は、臨床心理士と、ソーシャルエデュ. 1.視察先及びインタビュー方法等. ケーターである。北欧諸国には、ペダゴーグと呼ばれる専. (1)ショーナルホーット・カウンセリングセンター. 門職種があり、障害児(者)が地域社会の一員として、自. 本カウンセリングセンターは、障害のある子どもをもつ. 立的な生活を営むために必要な社会性、コミュニケーショ. 家族のための包括的な相談センターであり、首都レイキャ. ン能力等に関する教育支援を行う。彼らは、スーパーバイ. ビーク市のほぼ中心に位置している。その設置目的は、 「障. ザーとしてインクルーシブ教育に携わる教員等を支援する. 害のある子どもとその家族がよりよい生活を実現できるよ. とともに、障害のある子どもの家族に対し、家庭療育に関. うに支援すること」であり、具体的には保護者を対象とし. するアドバイスも行う。インタビュイーの回答において. たカウンセリング、特別な支援ニーズのある個々の家族に. は、ソーシャルエデュケーターとペダゴーグは、ほぼ同職. 対するケアの提供である。2004年に障害のある子どもの保. 種として認識されていた. 護者が直面している支援とカウンセリングに関する喫緊の. インタビューは、上記(1)と同様の方法で、本センター. ニーズに応えるべく、関係者有志の寄付によって、土地と. 内の一室でアイスランド語及び英語によって行われた。. 建物を購入して設立されたNPO法人であり、webページに (3)レイクスコーリン・ムーラボルグ(ムーラボル. よれば、その設立基盤は、全国ADHD者支援協会、全国. グ幼稚園). 学習障害者支援連盟、障害児共済会、全国慢性疾患者支援 協会であると示されている。. 本幼稚園はレイキャビーク市中心に位置する、インク. また、 本カウンセリングセンターにはアイビンガストゥー. ルーシブ教育を行っている公立幼稚園である。以前は、障. ジンという、0歳から成人までを対象とした障害児・者の. 害のある子どもとそうでない子どもを分離した教育体制を. ための療育施設が併設されている。. とっていたが、25年前にフルインクルーシブ教育へと体制. インタビュイーは、シグルロース・グンナルズドッティ. を転換した。障害のある子どもはすべて同年齢の子どもと. ル氏で、本カウンセリングセンターのディレクターを務め. ともに保育活動に参加しており、現在は、全4クラス計80. ている。自身もまた、聴覚障害と肢体不自由のある子ども. 名の園児の中に、脳性まひ、自閉症スペクトラム障害、ダ. (現在29歳)を育てた保護者であり、かつて、小学校と高. ウン症、ADHD等のある子ども9名が在籍している。ほか. 校の教員をしていた経験をもつ。教育学修士でもある。. に、アイスランド語を母国語としない家庭の子どもも数名. インタビューは、氏による施設概要の説明の後、筆者ら. おり、言語に関する特別な支援ニーズのある子どもとして. の質問に答える形で、本センター内の一室でアイスラン. 支援を受けている。. ド語によって行われた。通訳は第3筆者が務めた。インタ. インタビュイーは、園長のレベッカ・ヨーンズドッティ. ビュー内容は許可を得て録音し、第1筆者が必要な内容を. ル氏である。また、同園には2名のペダゴーグが常勤して. 抽出して書き起こした。また、 補足資料として、 本センター. おり、インクルーシブ教育体制整備のキーマンとして、特. が発行しているパンフレットと、作成しているwebページ. 別な支援ニーズのある子どもに対し、園全体で支援を行う. (いずれも英語版)より情報を収集した。. ための教員へのサポートや支援会議の開催運営、教材開 発、保護者支援などを主導している。インタビューでは、 そのうちの1名が同席して、回答内容を補足した。 インタビューは英語によって行われ、通訳はアイスラン. - 62 -.

(4) インクルーシブ教育体制における特別な支援ニーズのある子どもの家族支援 ド大学に留学している教育学専攻の学生が行った。その内. コミュニケーションをとり、交渉を進める。保護者がその. 容を第1筆者と第4筆者で聞き取って記録した。また、補. 様子をつぶさに観察することにより、コミュニケーション. 足資料として、本幼稚園が発行しているパンフレット(英. 方法について学ぶことができるようにするためである。ま. 語版)より情報を収集した。. た、保護者が直接交渉できるようになるための「話せる環 境」を整備することも必要な支援の一つである。このよう. 2.視察期間、他. な支援を何回か繰り返すうち、保護者が独力で関係者とコ. インタビューのための視察訪問期間は、2018年4月30日. ミュニケーションできるようになったら、徐々にカウンセ. ~ 5月2日であった。訪問先は、インタビューの目的に照. ラーが代行を減らすようにする。このように、保護者がカ. らして、第2筆者と第3筆者が協議して選定した。視察訪問. ウンセラーに依存することなく、自立して各支援機関を活. の目的はあらかじめ各訪問先に周知され、各インタビュ. 用するようになることを目指す。. イーはいずれも、その目的を理解し、個人情報を含まない. また、虐待ケースにも対応している。法的な介入が必要. 範囲でのインタビュー内容の公開を前提に、インタビュー. な場合には、専門弁護士が対応する。本カウンセリング. 録音、写真撮影などの記録を承諾した。. センターは、虐待児とその家族のための支援組織である 「Save the Children」と提携しており、その組織業務担当. Ⅲ.結果. 者である弁護士が常駐しているので、速やかな対応が可能. 1.ショーナルホーット・カウンセリングセンターにお けるインタビュー結果. である。 成人した障害者のいる家族に関しても、その家族にニー. (1)主な家族支援の内容. ズがある場合は、継続して支援を行う。例えば、当人が別. 本カウンセリングセンターでは、子どもの障害種及び年. 居して独立した生活を送っている場合でも、すでに大人に. 齢を問わず、その家族の各ライフステージで生じるあらゆ. なった障害のある子どもに対して、家族が適切なかかわり. るニーズに対応して相談を行う。家族が自立して生活でき. 方をするためのアドバイスを行う。また、保護者が成人し. るようになるため、エンパワメントすることを主たる目的. た子どもができる仕事を探すため支援する場合もある。い. としている。. わゆるハローワークに連絡を取り、関係者を集めて支援会. 特別な支援ニーズのある子どもとその家族の問題に関す. 議を開き、就労につなぐ。. る専門性のあるカウンセラーが、面談や電話相談により、. 支援及び相談対象は父母だけではない。障害のある子ど. 障害のある子どもと家族が抱える支援ニーズについて明ら. もの祖父母やきょうだい児など、家族成員全員を対象とし. かにしたうえで、そのニーズに応じた支援機関とのマッチ. ている。もし、きょうだい児に支援が必要であると判断し. ングを行う。また、家族が必要なサービスを活用できるよ. た場合は、障害のある子どもと同様に支援を行う。例えば、. うになるための、地域での啓発活動も行っている。. きょうだい児が障害のある同胞に関することが原因で、学. 支援例は多種多様であるが、 主として以下が挙げられる。. 校等で心理的不適応を起こしている場合は、カウンセラー. まず、子どもの障害に関する診断前後の支援である。子. がきょうだい児の学校に出向き、きょうだい児に対する配. どもの発達の状態によっては、専門の医師との連携により. 慮事項について教員等の関係者に説明し、適切なケアが受. 医学的診断を受けることとなる。しかしながら、保護者の. けられるように連携する。. 中にはその診断結果を受け入れられずショックを受けた. さらに、保護者自身が自立的な生活を営むことが難し. り、障害のある子どもに対する十分な理解ができなかった. かったり、理解力に課題があったり、また、麻薬などの服. りする者もいる。そのようなケースに対しては、臨床心理. 用により子育て能力に問題があったりするケースもあり、. 士が心理的ケアを行う。学校等からの通報を受けて、出張. そのような場合には、関係機関と連携しながら、長期にわ. して相談するケースもある。. たる支援を継続することとなる。. 次に、保護者が関係機関と交渉する際のアドボケートで (2)支援体制. ある。保護者の中には、ニーズを的確に関係機関に伝えて 理解してもらうために必要なコミュニケーションスキルが. センター内のスタッフは、カウンセラーが2名、弁護士. 不十分であるため、必要な支援が得られないケースが少な. が2名、臨床心理士が1名であり、カウンセラーは各家族の. くない。特に子どもが毎日通う学校や幼稚園は、保護者に. 支援全般に責任を持つコーディネーターの役割を果たす。. とって、子どもの教育に関して情報を共有したり、要望を. 弁護士は主に法的な分野から支援を行うことを業務として. 伝えたりしたいと願う重要な支援機関である。にもかかわ. おり、1人は前述の虐待専門弁護士であり、もう1人はそれ. らず、保護者の中には、担当教員にどのように自分の気持. 以外の業務を担当している。臨床心理士は心理的なサポー. ちを伝えたり、話し合ったりしたらよいのか、その方法が. トを専門に行う。. わからない者も多い。そのようなケースについては、まず. 近年の新規相談件数は、2015年300件、2016年328件、. は、カウンセラーが保護者と同行し、代わって相手機関と. 2017年313件となっている。この相談件数は、スタッフが. - 63 -.

(5) 阿 部 美穂子・二 宮 信 一・西 田 めぐみ・小 林 麻 如 対応できる上限によるものである。スタッフ数は、運営予. 2点目は、支援体制における成果である。本カウンセリ. 算によって決まるが、現在の予算措置は、国と市からの補. ングセンターは、個々のケースの支援ニーズを明確化し、. 助金及び、宝くじ基金によるものである。以前は企業から. 支援を実現するため各機関をつなぐコーディネーターの役. の寄付金を受け入れていたので、4名のカウンセラーを雇. 割に取り組んできた。その過程で、各支援機関が上下関係. 用していたが、企業が指定する報告書作成が本来業務に支. を持つことなく、医師、教員、ソーシャルワーカーなどが. 障をきたすほど過重負担となったため、寄付金の受け入れ. 水平的関係で、話し合い、支援計画を立て、協働できるよ. を取りやめた。相談はすべて無料で行われ、保護者の金銭. うになった。現在では、本カウンセリングセンターの存在. 的負担はない。. が周知され、その機能に関する理解が進んだことで、多職. 本カウンセリングセンターへの相談経路としては、1歳. 種、多方面からの相談依頼や情報提供がなされている。こ. 半、2歳、 4歳で行われる乳幼児定期健診の結果による紹介、. れにより、支援を必要としている家族に対し、ニーズに対. 幼稚園からの紹介、医療機関からの紹介のほか、保護者自. 応した支援をより迅速に提供することが可能になった。. 身の自発的なアプローチがある。この頃は、フェイスブッ 2.レイキャビーク市ショーヌストゥミズストゥーズ. クで情報を得て相談に訪れる保護者も多い。アイスランド. (ソーシャルセンター)にけるインタビュー結果. では大部分がフェイスブックを利用しているので、情報を. (1)主な家族支援の内容. 取得しやすい。相談は、アイスランド全域から受け入れて いる。. 本ソーシャルセンターは、幼児期(乳幼児健診後)から. 本カウンセリングセンターの機能は、障害児(者)やそ. 学齢期終了時期(16歳)までの障害のある子どもを対象に、. の家族への直接的支援を長期的に行うのではなく、ニーズ. 医学的診断、学校や幼稚園でのコンサルテーション、家族. を評価してそれに応じた支援機関とつなぐことにある。. への心理及び教育相談支援等を業務としている。特に家族. よって、初回インテークの際に、保護者から関係支援機関. 支援としては、以下が挙げられる。. 間での個人情報共有について文書で同意を得ている。本セ. 一つは、子どもの発達相談である。健診及び関係者によ. ンターは地域の各種支援機関と連携を取っており、先に述. る日常の行動観察から、子どもに特別な支援ニーズがある. べた虐待家族サポート機関のほかに、医療機関、各種学校. と示唆される場合に、心理士が子どもの発達状態を評価. や福祉施設(後述するソーシャルセンターとは特に密接に. し、障害の有無とその種類を診断する。その結果にもとづ. 連携している) 、親の会などの保護者ネットワークが挙げ. いて、特別支援教育カウンセラーあるいはペダゴーグが保. られる。職種としては、医師、弁護士、教員、臨床心理士、. 護者と面談し、発達支援に関するアドバイスを実施する。. ソーシャルワーカー、ペダゴーグなどである。支援を必要. 併せて、当該児が所属する幼稚園や学校に対し、コンサル. としている家族が、引っ越しなどで住み慣れた地を離れる. テーションを行う。. 場合には、支援が途切れないように引っ越し先の支援機関. もう一つは、家庭療育支援である。特別な支援ニーズの. と連携することもある。. ある子どもを育てている家庭を訪問し、子育て環境を確認. 連携にあたっては、ケースごとに支援会議を招集する。. し、家庭における子どもの健全育成に関するアドバイスを. 支援会議には、必ず保護者が参加する。カウンセラーは、. 行う。例えば、家庭で問題行動が見られる場合、子ども自. 保護者が各分野の専門家と協議し、必要な支援を得られる. 身の特性だけでなく、その行動を生み出している環境要. ためのコーディネートをする。. 因との相互関係の視点から、その行動を評価する必要があ る。よって、家庭環境をアセスメントし、必要な支援は何. (3)担当者の評価による本センターの家族支援成果. かを見極め、保護者に環境調整も含めてアドバイスする。. 1点目は、保護者における成果である。特別な支援ニー. 訪問の際には、保護者と懇談し、もし経済的な問題を抱え. ズのある子どもを育てている保護者が、必要な情報をより. ていることが明らかになった場合には、しかるべき対策を. 多く入手できるようになり、その情報を利用して支援を受. 取る。. けやすくなった。また、本カウンセリングセンターができ. 特に保護者が孤立していたり、学校等での子どもの行動. る前は、相談先が障害種別や分野別に分かれており、保護. 観察から保護者の不適切な子育てが想定されたりする場合. 者はニーズの内容に応じて、その都度異なる支援機関を探. には、保護者に対し一方的に支援を行うのではなく、必要. さなければならなかった。しかし、現在は本カウンセリン. ならいつでも支援をする用意があることを知らせ、保護者. グセンターに相談するだけで、ニーズに対応した多種多様. からの自発的な支援要請を尊重するようにしている。. な支援機関に関する情報を得ることができ、またそこにア. もう一つは、保護者向け子育て勉強会の実施である。こ. クセスする際にもサポートを受けることができるように. れは、10人ほどの保護者グループに対し、子育てスキルの. なった。すなわち、これまで保護者にとって点在していた. 向上を目的としたトレーニングを1週間に1回計8回行うも. 支援機関が、線でつながり、ネットワーク化されたといえ. のである。対象は3歳から12歳までの子どもを持つ保護者. る。. である。プログラムには、オレゴン式ペアレントマネージ. - 64 -.

(6) インクルーシブ教育体制における特別な支援ニーズのある子どもの家族支援 メントトレーニングを採用している。これは、すでに専門. 教育計画)の作成である。特別な支援ニーズのある子ども. 的資格を持つ者のみが学ぶことができる大学のディプロマ. の実態について情報を共有し、本園における支援内容を保. コースで、そのプログラムの実践方法を学んだ有資格者ス. 護者が理解、承諾して支援が進められる。併せて、支援の. タッフが、本センターで指導するものである。. 結果得られた子どもの変容など、その効果が定期的に保護. もう一つは、特別な支援を必要とする子どもと保護者へ. 者に報告される。また、そのための支援会議が招集され、. の認知行動療法である。子どもが、不安を抱えて情緒不安. 保護者、園長、ペダゴーグ、担任の他、必要に応じて外部. 定になっている場合に、親子で一緒にその不安解消のため. の専門家が参加する。. のセラピーを受けるもので、 「クール・キッズ」と呼ばれ. もう一つは、家庭療育支援である。本園では、特別な支. ている。. 援ニーズのある子どもの実態に応じて、多様な支援教材を. . 作成したり、わかりやすい教員の働きかけを工夫したりし (2)支援体制. ている。例えば、コミュニケーションのための絵カードや. 本ソーシャルセンターには5名のカウンセラーがおり、. 単語帳、マカトン法によるサインランゲージの活用など. そのうち3名は主として幼稚園向けに、また2人は義務制学. である。その方法について、保護者にも周知し、保護者が. 校向けにコンサルテーション業務を行っている。年間の相. 同じ方法を家庭でも用いることにより、家族間のコミュニ. 談件数は300件ほどである。. ケーションがしやすくなるとともに、本園と家庭での一貫. 支援のスタートは、先に述べた定期健診におけるスク. した支援ができるため、子どもにとって、より効果的な支. リーニングによるところが大きい。出生児の約90%が健診. 援が可能となる。図1は、語彙の獲得に課題がある子ども. に参加している。保健師が共通の発達スクリーニングテス. のためのコミュニケーション・ブックの例である。本園で. トを用いて評価し、特別な支援ニーズがあると判断した場. 使用しているものと同じものを保護者に渡し、家庭でも使. 合は、本ソーシャルセンターでの相談へとつなぐ。ほか. うことができるようにしている。. に、就園や就学に伴い、教員が日頃の行動観察から支援の 必要性を見出し本センターへつなぐケース、また、保護者 自身が子どもの成長発達に不安を感じて本センターを訪れ るケースなどがある。 相談対象者に対しては、支援課題を明らかにしたうえ で、先行研究により効果が確認されている支援方法を選択 して実施する。 いわゆる、 エビデンスに基づく選択である。 これまで実施してきている支援方法としては、応用行動分 析(ABA) 、ソーシャル・ストーリー TM、ビデオによる モデリング、TEACCHプログラムなどが挙げられる。上 述したオレゴン式ペアレントマネージメントトレーニング や認知行動療法もこの考え方に基づいて採用したものであ る。 本ソーシャルセンターでは、一人の特別な支援ニーズの. 図1 コミュニケーション・ブックの例. ある子どもに対し、多角的なアプローチによる支援を行う (2)支援体制. ことを基本的な考え方としている。すなわち、家族支援に ついても、学校や幼稚園などへのコンサルテーションを含. 本園の基本理念は「遊びとコミュニケーションを通して. め、その子どもが現在から将来にわたって、必要な支援を. 発達支援と教育を行うインクルーシブ幼稚園」であり、 「す. 受けて社会参加ができるようになるための包括的な支援の. べての子どものための幼稚園」であることを掲げている。. 一つとして位置づけ、実施しているものである。. よって、障害の有無にかかわらず、すべての子どもの支援 ニーズを把握し、特別な教員だけでなく、すべての教員が. 3.レイクスコーリン・ムーラボルグ(ムーラボルグ幼 稚園)におけるインタビュー結果. あらゆる場面で個々の子どものニーズに応じた教育を適切 に実践するための支援体制を作り上げている。. (1)主な家族支援の内容. 園長のリーダーシップのもと、この支援体制をリードす. 本園では、本来家族支援をその主たる業務としているも. るのが、2名のペダゴーグである。本園のペダゴーグは直. のではないが、インクルーシブ教育の効果的な実践にあた. 接特別な支援ニーズのある子どもを支援するのではなく、. り、家庭との連携を図ることを目的として、 家族支援を行っ. 子どもの発達状況や支援ニーズを把握して、担任や副担任. ている。. など、各子どもが所属するクラスの担当者と協議し、教育. 支援の一つは、保護者との協議に基づく、IEP(個別の. 内容に関するスーパーバイズを行ったり、必要な教材を作. - 65 -.

(7) 阿 部 美穂子・二 宮 信 一・西 田 めぐみ・小 林 麻 如 成したりする。また、家族支援の中心となるのもペダゴー. に実施した内容を随時記録し、誰でもそれを見ることがで. グである。支援会議を招集し、保護者をはじめとした参加. き、引継ぎと共通理解に用いられる。このようにすべての. 者をコーディネートしたり、保護者へのアドバイスを行っ. 教員がクラスのすべての子どもにかかわるシステムがある. たりする。. ことで、どの教員も、特別な支援ニーズのある子どもとそ. インクルーシブ教育を実践するための多様な合理的配慮. の保護者について情報を共有し、対応できる体制がつくら. が園の人的・物的環境に組み込まれている。これらをコー. れている。. ディネートしているのもペダゴーグである。すべての教室 には、PECS(Picture Exchange Communication System). Ⅳ.考察 1.アイスランドの事例にみる、インクルーシブ教育体. によるコミュニケーションボードが設置されており、すべ. 制で求められる家族支援. ての子どもが活用する全体用ボードのほかに、コミュニ. (1)多様なニーズに対応するハブ相談ステーション. ケーションに課題がある子どもの個人用ボードが併設され. の存在. ている。 個人用ボードは、 個々の子どもの実態に応じてオー ダーメイドされており、絵カードの内容やシステムの作り. インクルーシブ教育の理念は障害の有無にかかわらず、. 方も個に応じたものとなっている。. すべての子どもにそれぞれのニーズに応じた教育がなされ. また、すべての教員はマカトン法によるサインランゲー. ることである。よって、それぞれの子どもの多様なニーズ. ジを常時使用する。園内のあらゆる表示に「絵カードある. に対応できる体制が求められる。同様に家族支援において. いは写真カード」 「英語とアイスランド語」 「マカトンサイ. も、各家族の多様なニーズに対応できる体制があると、保. ン」が併記されており、 図2に示すように、 教員の氏名など、. 護者は安心して子育てができ、子ども及び家族が地域に社. 個人名を表す際にもマカトンサインを当てはめて用いてい. 会参加する際の土台となると考えられる。. る。教員は必ずすべての子どもに対してマカトンサインを. しかしながら、保護者は必要な支援にアクセスする方法. 併用してコミュニケーションをとっている。. を自ら見つけ出すことが難しいのが事実である。さらに は、保護者の中には、自らの子どもと家族にどのようなニー ズがあるのかということ自体を十分整理できておらず、た だ目の前に起きている問題に翻弄され、不安を抱えている ケースも少なくない。そこで、ショーナルホーット・カ ウンセリングセンターのように、どのような問題であって も、まずは連絡を取ることで、保護者が自分のペースに応 じて、自らのニーズを整理でき、必要な支援機関につなが ることができる場と、それを助けてくれる支援者が必要で ある。すなわち、なんでも相談窓口のようなハブ機能をも つ家族支援の基幹基地の存在が求められる。阿部・川住・ 小林・江利川・野口(2018)は、障害のある子どもととも に生きる家族のQOLを高めるためには、支援サービスそ のものを提供するだけでなく、支援サービス自体に関する 助言や支援機関へのアクセスを仲介するような「コンシェ ルジュ」機能を果たす「なんでも相談窓口」の存在が必要. 図2 教員を示すマカトンサインを併記したボード. であることを指摘している。このような場を実現したのが また、各クラスには20人前後の幼児が年齢別に分かれて. まさに、本カウンセリングセンターであるといえる。. 配置されており、1人の担任と3人前後の副担任が1週間ご. このような相談窓口があることで、支援を必要としてい. とのローテーションで活動を担当する。例えば、特別な支. るすべての家族にニーズに応じた支援が行き届くことにな. 援ニーズのある子どもが複数いた場合、ある週には、A教. る。このことについては、ショーナルホーット・カウン. 員がクラス全体の活動を運営し、B教員、C教員は支援が. セリングセンターのグンナルズドッティル氏も、インタ. 必要な子どもを中心にIEPに即した教育内容を教育活動全. ビューの中で、「保護者にとって、点であった各支援機関. 体の中で実践する責任者となる。翌週になると役割をロー. が、線としてネットワーク化された」と述べているとおり. テーションし、教員Bがクラス全体の活動を運営し、他の. である。. 教員が特別な支援ニーズのある子どもを中心に担当する (2)保護者の自立を促すための支援構造. こととなる。IEPに即して特別な支援ニーズのある子ども のために設定された教育内容及び配慮事項と、毎日の実践. 一人一人のニーズに応じるというインクルーシブ教育の. 記録シートが教室の壁に貼られており、教員はそのシート. 考え方は、言い換えれば、類型化された支援方法のいずれ. - 66 -.

(8) インクルーシブ教育体制における特別な支援ニーズのある子どもの家族支援 かに子どもをあてはめるのではなく、他の子どもとは異. とととなり、その様な環境整備のための支援を各方面に向. なっていても、個々の子どもに必要な支援が選択され、. けて要望するための基礎的知識を与えることとなる。. オーダーメイドの支援が作りあげられることであるといえ. 以上のように、保護者が必要な知識とスキルを得て、子. る。となれば、家族支援においても、保護者が誰かに自身. 育て上の課題を解決し、子どもの地域社会参加を促進でき. に必要な支援を準備してもらうのではなく、自ら必要な支. るための家族支援が求められる。. 援を選び取り、コーディネートしていく力を身につける必 (4)チームとしての各支援機関協働関係の構築. 要がある。このことは、共生社会の実現に向けて、それぞ れが主体的に参画する意識を育てることにつながるもので. ショーナルホーット・カウンセリングセンターでのイン. ある。. タビューによれば、当該センターの働きによって得られた. ショーナルホーット・カウンセリングセンターでのイン. 家族支援の効果の一つは、各支援機関が上下関係を持つこ. タビューから、保護者のコミュニケーション力を高めるこ. となく、水平的関係で協働することができるようになった. とが上記の力を獲得するための支援の一つとなることが示. ことであると指摘されている。ショーナルホーット・カウ. 唆された。相談の初期には、支援者が、保護者の立場から. ンセリングセンターというハブ相談ステーション機能をも. 意見を代弁するアドボケートを行うが、徐々に保護者自身. つ支援機関があることで、各支援機関のチーム化を図るこ. が各支援機関に自分の考えを伝え、交渉できるように、移. とができたといえる。. 行していくものである。また、保護者が直接交渉できるよ. 同様に、ショーヌストゥミズストゥーズにおいても、当. うになるための「話せる環境」を整備することも、保護者. 該センターから派遣されたカウンセラーが、特別な支援. の自立的なコミュニケーションに役立つことが示された。. ニーズのある子どもを中心に、保護者、学校の教員その他. また、ショーヌストゥミズストゥーズにおいても、保護. の支援者をつなぐことにより、家庭、学校などそれぞれの. 者に対し必要ならいつでも支援をする用意があることを知. 場で実践がなされ、多角的な子ども支援を実現している。. らせ、保護者からの自発的な支援要請を尊重する支援姿勢. 前者では、保護者は支援を受ける側であり、保護者を取. が指摘されていた。. り巻く支援関係者がチームとして機能することが想定され. このように、保護者が自らに必要な支援を理解したうえ. ている。一方後者では、子どもへの支援という視点から、. で、それをしかるべき相手に伝え、獲得する自立性を身に. 保護者もまた、支援する側のチームの一員としての役割を. つけることができるように、家族支援を進める必要がある. 果たせるように、専門家からのアドバイスがなされるもの. といえる。. である。いずれの場合も、家族支援におけるチーム体制の 重要性を示唆するものであるといえる。. (3)保護者の家庭療育力を高める学習機会設定 2.アイスランドの事例にみる、家族支援実践上の課題. ショーヌストゥミズストゥーズでは、家族支援の一環と. (1)予算の確保. して、保護者の家庭療育力を高める学習機会を提供してい る。例えば、子どもの問題行動の改善を検討する際、家庭. ショーナルホーット・カウンセリングセンターのよう. に出向いて子育て環境を確認し、保護者に子どもの特性だ. に、NPO法人が支援を無料で提供する場合、相応の運営. けから問題行動をとらえるのではなく、環境との相互作用. 資金が必要である。しかしながら、企業など民間からの補. に着目すべきことを示している。また、保護者に対し、ペ. 助金提供を受けると、過剰な報告義務が課され、本来業務. アレントマネージメントプログラムを実施したり、親子で. がおろそかになる懸念が述べられていた。また、十分な資. の認知行動療法への参加を促したりなど、いずれも、保護. 金を得られないために、受け入れることができる相談件数. 者自身が子育てをする際に必要な知識とスキルを獲得する. が制限されてしまう実態も指摘されていた。このように、. ための支援を実施している。. 保護者や家族にとって不可欠な支援を民間団体が担う場. 一方、レイクスコーリン・ムーラボルグでも、保護者に. 合、予算上のリスクが生じると、その働きが滞ってしまう. 対し、家庭療育につながる情報提供を行っている。すなわ. こととなる。. ち、インクルーシブ教育の実践にあたり、特別な支援ニー. しかしその一方で、ショーナルホーット・カウンセリン. ズのある子どもの集団参加とコミュニケーション促進のた. グセンターが果たしている、柔軟なネットワークつくり機. めに作成した教材を家庭でも使えるように提供し、保護者. 能は、NPO法人という当事者の視点に立った組織だから. も同様に子どもへの支援ができるようにサポートしている. こそ実行できたともいえる。. のである。加えて、コミュニケーションボードやマカトン. このように考えると、予算の確保を含め、民間の支援機. サインの使用などを含め、インクルーシブ教育実践のため. 関がその特質を生かして十分な働きをするための体制整備. の人的、物的環境整備が園全体に徹底してなされている。. が求められる。. これは結果として、保護者に、子どもが障害の有無にかか わらず地域社会に参加できるための環境を具体的に示すこ. - 67 -.

(9) 阿 部 美穂子・二 宮 信 一・西 田 めぐみ・小 林 麻 如 (2)長期的視野に立つリーダーシップの確保. るチーム支援を可能にしている。このような国における家. 今回視察訪問を行った各機関では、いずれも設置目的に. 族支援の実践例は、今後、少子化と地域の小規模化が進む. 応じて組織の機能強化を図るにあたり、長期にわたって、. 日本の各自治体の取り組みに示唆を与えるものであると考. 当該組織のリーダーが、そのリーダーシップを発揮できる. える。. 環境が用意されていた。 例えば、ショーナルホーット・カウンセリングセンター. 謝辞. のシグルロース・グンナルズドッティル氏は、センターの. 本研究にあたり、調査対象として、視察とインタビュー. 設立に当初から参画し、障害のある子どもの保護者当事者. にご協力いただいた各支援機関のインタビュイーの皆様、. としての視点から、センターの機能確立とその維持発展に. 及び関係者の皆様に深謝申し上げます。また、視察に同行. 尽力してきた。氏は、支援を必要としている家族と各支. し、サポートくださった佐々木先生、菊池先生、アイスラ. 援機関とをつなぐカラビナのような存在として、リーダー. ンド大学日本人留学生の皆様のお力添えに感謝申し上げま. シップを発揮しており、それによりセンターの機能の充実. す。. が図られているといえる。 同様に、レイクスコーリン・ムーラボルグでも、園長の. 付記. レベッカ・ヨーンズドッティル氏が園のインクルーシブ教. 本研究は、 平成28 ~ 31年度科研費助成事業基盤研究 (C). 育体制整備に強いリーダーシップを発揮している。アイス. 課題番号16K04803「障害のある子どものきょうだいと親. ランドでは公立の幼稚園や学校の職員異動制度はなく、日. がともに活きる支援プログラムの開発」(研究代表者 阿. 本のように2、3年で園長や校長が次々と入れ替わることは. 部美穂子)、並びに、平成28 ~ 30年度科研費助成事業基盤. ない。また職員の人事権も、園長や校長が有している。そ. 研究(C)課題番号16K04805「地域型インクルーシブ教. れゆえ、氏は日々の教育活動を視察し、ペダゴーグと力を. 育の理論と推進のための方法論に関する実証的研究」 (研. 合わせて、その見直しと改善を図るとともに、有能なイン. 究代表者 二宮信一)の一部として行われた。. クルーシブ教育の実践家の確保に意を砕き、そのトレーニ ングにも力を注ぐことができた。長期にわたるこれらの取. 引用文献. り組みが、当幼稚園におけるインクルーシブ教育体制の具. 阿部美穂子・川住隆一・小林保子・江利川ちひろ・野口. 現化を成し遂げたのである。. 和人(2018)障害のある子どもとともに生きる家族の. 以上のように、新しい機能をもつ組織を生み出し、その. QOL-支援ニーズについて考える-.日本特殊教育学. 質を高めようとする場合、長期にわたりその目的に向かっ. 会第55回大会自主シンポジウム報告,特殊教育学研究,. て組織改革を成し遂げる強いリーダーシップが必要とな. 55(5),399-400.. る。そのような力量のある人材を確保することと、また、. 外務省(2014)障害者の権利に関する条約. http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000899.. その人材が十分力を発揮できるための時間や財源があるこ. html 2018年6月1日閲覧. とが求められる。. 二宮信一・服部健治・小林麻如・佐々木恵・菊地信二(2016) Ⅴ.まとめ. 一人ひとりを大切にするインクルーシブ教育の理念と実. 本稿では、インクルーシブ教育体制整備の先進国である. 践 ~アイスランドの教育視察からの学び~.日本LD学. アイスランドにおいて、特別な支援ニーズのある子どもを. 会第25回大会発表論文集(JB10).. 抱える家族への支援を実施している機関の視察とインタ. 文部科学省(2012)共生社会の形成に向けて.特別支援教. ビュー調査から、家族支援の取り組み例を収集し、その効. 育の在り方に関する特別委員会報告 1.. 果と課題について検討した。その結果、①支援機関をつな. http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/. ぐ相談ハブステーションの存在、②保護者の自立を促す支. chukyo3/siryo/attach/1325884.htm 2018年6月1日閲覧. 援構造、③保護者の家庭療育力を高める学習機会の設定、 ④チームとしての各支援機関協働関係の構築の4つが、家. 参考資料. 族支援機能を充実させる要因として見出された。一方、相. ・ショーナルホーット・カウンセリングセンター紹介パン. 談機関がその様な機能を十分果たすためには、必要な予算. レット及びwebページ情報(英語版). と長期的視野に立ってリーダーシップを発揮する人材を確. Sjónarhóll is a counselling center for parents of children with special needs. 保できることが課題であることも示された。アイスランド. http://www.sjonarholl.net/Files/Skra_0061662.pdf. は、人口約34万、国土面積も日本の北海道と四国を合わせ た程度の小規模国である。その小規模性を生かして、共生. ・レイクスコーリン・ムーラボルグ紹介パンフレット(英 語版). 社会の形成に向けた国家的なインクルーシブ教育体制への 転換を成し遂げており、顔の見える関係性が、家族に対す. Múlaborg(Leikskóli Fyrir alla). - 68 -.

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参照

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