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文学的文章の「読み」の授業におけるコミュニケーション能力の育成 : 第3学年「三年とうげ」の授業実践の分析・考察をもとに

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Academic year: 2021

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(1)文学的文章の「読み」の授業におけるコミュニケーション能力の育成    一策3学年「三年とうげ」の授業実践の分析・考察をもとに一 教育実践高度化専攻 小学校教員養成特別コース. P09076F 小山 祐示一. I 研究報告害の構成.  そこで、国語科の単元の多くを占める「読む. 第1章 問題の所在と研究の目的・方法. こと」領域において行われている、意見や考え. 第2章 学習活動におけるコミュニケーション. を伝え合い、話し合う等の活動が児童にとって. 第3章 文学的文章の「読み」の授業における. 有益なものになれば、コミュニケーション能力.             コミュニケーション. の育成につながるのではないかと仮定した。. 第4章実習校における授業実践の分析と考察.  まず、コミュニケーションを以下のように定. 第5章 総括と今後の課題. 義づけた。.  他者や事物とのかかわりの中で、自己を見つめ. 皿 研究の概要. 直し、新しい自己を再構築するとともに、他者や.  本研究では、文学的文章の「読み」の授業に. 事物との関係を形成・深化していくもの. おいて、児童のコミュニケーション能力を育成.  そして、学習活動におけるコミュニケーショ. することを研究の目的として、先行研究を手が. ンを、ヤコブソン(1960)・村松賢一(1998)らの. かりに、筆者の授業実践を分析・考察した。. 先行研究から明らかにした。.  はじめに、問題の所在として2点を挙げた。..  次に、国語科におけるコミュニケーションに.  1点目は、児童をはじめとして社会全体の言. ついて考察した。国語科、r読むこと」領域、文. 葉の乱れである。例を挙げると、「ヤバイ」に代. 学的文章と焦点化していき、文学的文章の「読. 表される流行している言葉がある。このような. み」の授業で行われているコミュニケーション. 多義的な言葉には、話し手の意図をつかみ損ね. の位置づけと種類を、高橋俊三(1996)らの先行. てしまう危険性がある。また、語彙力の低下に. 研究から明らかにした。. より、自己の気持ちを他人に伝えられないこと.  授業実践の分析・考察を行う視点を、東京都. で、人間関係のトラブルが起こりうることを指. 青年国語研究会(2001)の「学習コミュニケーシ. 摘した。. ョン」の【事柄とのかかわり】と【他者とのか.  2点目は、今日の文学的文章の読みの授業の. かわり】にもとづき、rテキストとの対話」と「詩. 現状である。今日の授業は、教師の解釈により、. 的効果」・「予測不可能事象」の2点に絞った。. あらかじめ用意された「主題」や「心情」を与.  「テキストとの対話」はワークシートと逐語. えられる授業である。これでは、児童のコミュ. 記録から、r詩的効果」・r予測不可能事象」は逐. ニケーション能力を育成することはできない。. 語記録から、それぞれ分析・考察を行った。. 一130一.

(2) 皿 授業実践の分析・考察. を行う機会になりうる。今回の授業実践におい.   児童の多くは、本文の叙述に着目し、それ. ても、そのような可能性はなかったのか検討す. を根拠にして考えを述べることができていた。. る価値はあるだろう。.  おじいさんの「三年とうげで二度と転びたく. ない」等の葛藤も、児童は深くr読む」ことが. 1v 総括と今後の課題. できていた。.   文学的文章の「読み」の授業において、児.  また、おじいさんの気持ちを理解するための. 童は多くの対象とコミュニケーションをとり、. 手段として、挿絵が効果的に働いていた。挿絵. 授業実践を重ねていくことで、ワークシートに. は、おじいさんの嬉しそうな顔が描かれていて、. 表出される言葉や授業における発言に変容が見. 一回目に転んでしまった時の表情と違うことを. られた。これらの活動を有益なものとすること. 指摘し、そこからおじいさんの気持ちを考えて. で、児童のコミュニケーション能力を育成する. ワークシートに表出した児童もいた。. 可能性を見出すことができた。.  今回の活動は、自己の考えをワークシートに.  以上まで、文学的文章の「読み」の授業につ. 記入し、それをもとに発表を行うという学習活. いて考えてきたが、本研究は文学的文章に限定. 動を通して、対人的なコミュニケーションを行. しており、「読むこと」領域には、まだ多くの教. う上で、話し手が自己の思いや考えを明確にし. 材がある。国語科における他の領域からもコミ. てから聞き手に伝えることを、疑似的に体験す. ュニケーション能力の育成の方法、ないし可能. ることを目的としているものであった。. 性を見出す必要がある。.  児童たちは、行動を起こす前に一時でも考え.  本研究の成果を、他の教材や領域に応用して. る時間があることが、コミュニケーションを行. いき、新たなコミュニケーション能力の育成を. う上でも大切であることを少しでも感じたので. 目指す授業を展開していかなければならない。. はないだろうか。.  また、本研究は、学習活動としてのコミュニ.  2つ目の活動として、本時で取り扱う場面を. ケーションとして、特に国語科の授業のことに. 児童とともに内容の理解を深める活動を行った。. ついて述べてきたが、児童が言葉の教育を受け. 本時におけるr逸脱」の読みは、児童の世界観. るのは授業時間が全てではない。. を再構築することができていた。.  言葉やコミュニケーションの指導は国語科に.  「逸脱」から児童の中に新しい世界観が展開. とって重要な指導内容・項目であり、それらが. されることが、文学的文章のr読み」の授業に. 意識的・意図的に行われなければならない。し. おいて必要なのである。. かし、国語科と相まって、他の教科や教科以外.  今回の授業実践では、明らかになった「逸脱」. の活動(道徳、外国語活動等)を含む学校生活. は一通りのみだったが、幾通りかの「逸脱」し. 全体を見通し、言語環境を整え、児童が十分に. た読みが表れる場面を設定することも、今回の. コミュニケーションを行うことのできる状態を. 授業実践とは異なった【他者とのかかわり】を. 造る必要がある;. 生み出す可能性がある。そうすることで、児童.         修学指導教員  吉川 芳則. がさらに新しいかたちの【他者とのかかわり】.           指導教員  吉川 芳則. 一131一.

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