教員養成系大学院における集団指導実習に関する実践研究 -附属小学校との協働実践-
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第60巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.60,No.2. 平成22年2 月 February,2010. 教員養成系大学院における集団指導実習に関する実践研究. 附属小学校との協働実践. 植木 克美・後藤 守*・後藤広太郎・川端 愛子**・伊藤 文雄*** 宮井 真由・秋谷 絵理・池田 智江・石郷岡久乃・市呂 佳奈・上森 美穂・小野寺 仁 岩本 史子・澤野 詩織・柴田明日美・鈴木 一生・問谷 香織・松永 美冬・御代あかね. 北海道教育大学大学院教育学研究科学枚臨床心理専攻・*北海道教育大学 **北海道教育大学/東北大学大学院教育情報学教育部・軸一北海道教育大学附属札幌小学校. PracticalResearchonGroupInstructionTrainingataGraduateSchool forTeacherTraining: CooperativePracticeswithaUniverslty−attaChedElementarySchool. .*** UEKIKatsumi,GOTOHMamoru*,GOTOHKotaro,KAWABATAAiko**,ITOHFumlO, MIYAIMayu,AKIYAEri,IKEDATomoe,ISHIGOKAHisano,ICHIROKana,UEMORIMiho,. ONODERAHitoshi,IWAMOTOFumiko,SAWANOShiori,SHIBATAAshumi,SUZUKIIsshei,. TOIYAKaori,MATSUNAGAMifuyuandMIYOAkane SpeeialCourseofCliniealPsyehologyandSehooIEdueation,GraduateSehoolofEdueation,HokkaidoUniversityofEdueation. *HokkaidoUmiversityofEducation 3B*. GraduateSchoolofEducationalInformatics,EducationDivision,TohokuUniversity/HokkaidoUniversityofEducation. ***. sapporoElementarySchool,AttachedSchooIs,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 本研究では,北海道教育大学大学院学校臨床心理専攻において大学附属小学校と協働して実施している集 団指導実習を取り上げている。実習生が,附属小学校教員,そして,保護者とのかかわりからどのように実 習を深めているかを実習後のレポートを,KJ法により分析し検討した。その結果,実習生が附属小学校教 員を介して集団指導実習における自分の取組に対する「ふりかえり」を深めていること,保護者にインタ ヴューを行い保護者から得た情報を通して児童への理解を深めていること,さらに保護者の児童への願いを 聞き取りそれに対する考えを深めていることがわかった。そして,附属小学校教員からの学びと保護者から の学びは,児童への理解へ向けて構造化されているが,実際のレポートでは附属小学校教員の系列から児童 への理解へ向かう道筋はその途中までを確認できた。. 35.
(3) 植木克美・後藤守・後藤広太郎川端愛子・伊藤文雄・官井真由・秋谷絵理・池田智江・石郷岡久乃・市呂佳奈・上森美砂小野寺仁・岩本史子・津野詩織. 1 はじめに 北海道教育大学大学院教育学研究科学校臨床心理専攻では,平成14年反問設当初より実習科目「臨床心 理基礎実習」において附属小学校と協働して集団指導実習を実施している。この集団指導実習は,附属小学 枚特別支援学級児童と保護者の協力を得て,今年度で第8回目をむかえた。. 著者らは,これまでの集団指導実習を次の3点から検討してきた。1点目は,実習のカリキュラムデザイ ンを検討したものである(後藤・植木・青沼・安部・小川ら,2006)。学校臨床心理専攻は,現職教員・社 会人のリカレント教育を主目的とし,不登校,いじめ,学校・学級機能の不全,特別支援教育等の教育課題 に対応できる高度な実践構想力の滴養を図るためのカリキュラムを編成している。そして,「臨床心理基礎 実習」では学校教育・発達支援における臨床心理面接の基礎的技法を身につけることを授業目的としている。 なお,「臨床心理基礎実習」は財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士養成のカリキュ ラムに設けている実習科目である。実習生のカリキュラムへの評価は肯定的であり,実習生が集団指導実習 の発展的継続を希望していることを明らかにした。. 次の2点目は,実習生の「ふりかえり(renection)」を深めるための教材開発に関する検討である(植木・ 後藤・渡部,2008;植木,2009)。集団指導実習の「ふりかえり」では,実習生が自分の指導について後か らふりかえって考えること,そして,個人的な「ふりかえり」について実習生同士が相互理解を深めること ができる教材を用意する必要がある。そこで,著者らはビデオ映像から「ふりかえり」の対象とするシーン を複数枚の連続する静止画像として取り出し,それに簡単な説明文をつけた静止画像教材を考案した。この 教材の有効性を,「ふりかえり」場面の会話分析と,実習生へのアンケート調査により確認することができた。. そして3点目は,集団指導実習を附属小学校特別支援学級との協働実践として検討している(植木・渡辺・ 後藤,2004)。この集団指導実習を,特別支援学級児童と家族の希望者を対象にした余暇活動として組織し ている。そして,児童と保護者のニーズ分析から,「児童の自由で自発的,創造的な行動が尊重され,楽し さが参加者により共有される」「発達支援となる」余暇活動を計画し,集団指導実習を進めている。実習前 と後には,保護者を対象に説明会を開催し,保護者への支援を,附属小学校教員,そして大学教員の協力体 制で行っている。継続して参加する児童,保護者が多く,兄弟姉妹を伴い,家族全員での参加が多くなって いる。新入生の参加率が高く,附属小学校と大学が協働して実施する活動への保護者の期待が高い。. 2 研究の目的 この集団指導実習の特徴は,附属小学校との協働実践にある。上述したように,実習生が附属小学校での 集団指導実習に満足し,発展的継続を希望していることがわかっている。さらに,附属小学校の保護者も附 属小学校と大学が協働して実施している集団指導実習に期待をもっていることがわかっている。実習生,そ して保護者,児童にとって内容のある集団指導実習を進めるためには,実習生が実習にどのように取り組み 深めているか,そして児童が実習を通してどのように成長しているかを明らかにする必要がある。ここでは 特に,実習生の視点から集団指導実習を検討していく。 本研究では,実習フィールドの附属小学校教員,そして,保護者と児童とのかかわりから,実習生がどの ように実習を深めているかを実習生の実習後レポートを分析し検討する。特に,レポートの内容にどのよう な構造があるのか,附属小学校教員,保護者とのかかわりをどのようにレポートに反映させているのか,附 属小学校教員,保護者とのかかわりを通してどのように児童理解を深めそれをレポートに反映させているの か,の3点を検討する。なお,これらの視点設定には,金子・荒川・菅原(2009)が法実務技能教育におけ. 36.
(4) 教員養成系大学院における集団指導実習に関する実践研究 るシュミレーションの映像に付与されたコメントを分析する際に用いたポイントを参照している。. 3 研究の方法 3.1 研究の対象とする集団指導実習の概要 本研究では,2008年度通年開講の「臨床心理基礎実習」(2単位・90時間)で実施している集団指導実習 を対象にしている。集団指導実習のカリキュラムデザインは,後藤・植木・青沼・安部・小川ら(2006)で 検討したものに変更を加え作成している。受講生は,14名である。なお,この実習科目は,複数の授業担当 者によりチームティーチング体制をとっている。. 2008年度の集団指導実習では,附属小学校特別支援学級に在籍する児童1∼6年生のうち希望者を対象に している。集団指導実習では,著者らが開発した集団指導「行動空間療法」を実施した(後藤ら,1984)。 指導の目標は,集団としてのまとまりのある活動を中央に舞台を置いた体育館で大型組み立てブロックを 使って展開することである。保護者と児童には,附属小学校と大学が協働して実践する余暇活動「大きなブ ロックを使って遊ぼう!!」として案内を行い,希望者を募っている。2008年度は,児童と弟妹の合計19名, 保護者17名が参加している。指導時間は,30分間である。. 集団指導実習は,2008年6月20日に実施した。実習生は,児童の指導担当6名,保護者の対応担当4名, ビデオ記録担当2名,に分かれて取り組んでいる。なお,児童の指導は,附属小学校教員(以下,A先生と する)がチーフを担当している。また,集団指導実習には保護者全員が同席し,活動の様子を参観しながら,. 保護者対応の実習生から児童の様子について個別にインタヴューを受けている。 実習終了後,ビデオ記録担当の実習生が撮影した集団指導実習のビデオ映像を中島(2008)の新しい反応 収集提示装置(tidulそeflex)を用いて分析し,全員で反省会を行った。実習生は,実習終了後10口以内に自 由記述方式で体験報告のレポートを作成し,第1著者に提出している。. 3.2 分析の方法 本研究では,以下の手順と方法に従って実習生のレポートを分析する。 まず,12名の実習生より提出されたレポートの中から,A先生と保護者にかかわる内容を抽出する。そし て,意味内容のまとまりによりレポートを断片化し,KJ法(川喜田ら,1970)を用いてレポートの内容を まとめ,その構造を図示化する。 具体的な手順は次の通りである。ここでは,KJ法を用いた金子ら(2009)の方法を応用する。まず,断 片化したレポート80片から類似したものをまとめ,それにラベルと定義を付した。次にできあがった23個の カテゴリのラベルからさらに類似したものをグループにまとめた。このグループが,13個であったために, グループの数が10個以下になるように,さらに類似したグループをまとめ,7個のグループを作った。なお, 13個のグループを小グループ,それをさらにまとめた7個のグループを大グループとした。 これらの分析作業は,第1著者が行い,作業の進行に即して,第2と第4著者にフィードバックを行って いる。. 4 結果と考察 4.1 レポートの構造と内容 A先生と保護者にかかわるレポートを断片化し,80片の分析資料を得た。そして,類似したものをまとめ. 37.
(5) 植木克美・後藤守・後藤広太郎川端愛子・伊藤文雄・官井真由・秋谷絵理・池田智江・石郷岡久乃・市呂佳奈・上森美砂小野寺仁・岩本史子・津野詩織. た結果,23個のカテゴリができあがった。レポートに記載された内容の構造を明らかにし,図示化するため に,この23個のカテゴリのラベルから類似したものをまとめ,13個の小グループを得た。これをさらにまと めて,7個の大グループを得た。以下に,この7個の大グループの構造とその内容について述べていく。 表1は,大グループとそこに含まれる小グループ,ラベル,レポート数,そして定義とレポート例をまと めたものである。そして,図1が,各グループ,カテゴリの構造を図示化したものである。 まず,大グループ1「保護者の存在」は集団指導実習を保護者が参観することにより,実習生と児童に与 えた影響を扱っている。1−1「実習生にとっての保護者の存在」と1−2「児童にとっての保護者の存在」 の2つのラベルから成り,集団指導実習に同席している保護者の存在が,実習生と児童にとってどのような 影響を与えていたかに着目しているグループである。保護者の存在は実習生自身に影響を与えていただけで. はなく,児童にも影響を与えたと実習生は認識していたことがわかる。 図1では,この「保護者の存在」は,大グループ2「実習生とA先生と児童の関係」と大グループ3「実 習生と保護者と児童のかかわり」の2つのグループとつながっている。. 表1 各グループ,ラベル,レポート数,そして定義とレポート例 人グループ. 小グループ. フ. ベ. ル. 1−1 実習生にとっての保護者の存在. レポー ト数. 内 容 と レ ポ ー ト 例. 4 実習生にとって,保護者がどのような存在であったか に着目しているもの 「(前略),参加してくれたお父さん,お母さんたちが 私たち指導者のやり方を十分に尊重しながら場に加 わってくれたことは本当にありがたいことであった。」. 1.保護者の存在. 1−2 児童にとっての保護者の存在. 3 集団指導実習で児童にとって,保護者がどのような存 在であったかに着日しているもの 「今回全体的に活発だったのは,保護者の視線の力(見 守られている安心感とがんばるぞという気持ち)も あったのではないだろうか。」. 2−1 実習生とA先生の決まった関係. 2 集団指導実習において,実習生がA先生との決まった 関係を明記しているもの 「(前略),A先生の活動を中心に,全体を撮影すると いうのが私の役割であった。」. 2.実習生とA先生 と児童の関係. 2−2 A先生と児童の信頼関係. 2 児童の様子から,A先生と児童の信頼関係に着目して いるもの 「驚いたのは子どもたちのコミュニケーション能力の 高さ。きっと普段からA先生との信頼関係が出来上 がっているのだろう。」. 3−1 保護者の児童へのかかわり. 2 集団指導実習における保護者の児童へのかかわりに着 目しているもの. 3−2−1 実習生の不安. ロ. 「お父さんも,本児の様子をじっと見ていた。」 保護者とのかかわりについて実習生の不安や悩みに言 及したもの 3.実習生と保護者. 「(前略)私はどのような姿勢で保護者の方と関わっ て良いのか,ということについで悩んでいた。」. 3−2実習生. と保護者とのか かわり. 7 集団指導実習における保護者と実習生のかかわりに着 目しているもの 「(前略),遊びがスタートするとBさん[保護者]も 私も自然に,話すよりまず子どもふたりの姿を追うこ とを優先させることになった。」 4−1 A先生からの学び. 4.A先生と保護者 からの学び. 4 A先生から学んだと明記しているもの 「A先生は人ベテランという感じで,(中略)間近で 見させて頂いて,非常に勉強になった。」. 4−2 保護者からの学び. ロ. 保護者から学んだことを明記しているもの 「その中で,お母さんから今回のブロック遊びへのご 意見を沢山お聞きすることができ,とても勉強になっ た。」. 38.
(6) 教員養成系大学院における集団指導実習に関する実践研究 5−1−1 A先生が児童と創る遊びの世界 (1)一A先生と児童一. 3. A先生がブロックを使って舞台を活用しながら,子ど もと創造的に展開している遊びの世界に着目している もの 「「ガソリンスタンド」が[作られ],乗り物で遠くに 出かけた子たちが,A先生の所に戻れば給油しても らって燃料をチャージできる,という意識が働いて, 燃料をもらった子どもたちはまた嬉しそうに旅に出か けていく。」. 5−1A先生 が児童と創る遊 びの世界. 5−1−2 A先生が児童と創る遊びの世界 ロ A先生が創造的に展開している遊びの世界に対する実 (2)一A先生と児童と実習生一 習生のかかわりに着目しているもの 「見事なまでのファンタジーの世界にこちらも引き込 まれて,(中略)子どもと一緒にその世界に浸ること ができた。」. 5.A先生を介した 「ふりかえり」. 5−2−1 実習生のA先生へのかかわりを 「ふりかえり」. 5. 実習生がA先生へのかかわりをふりかえっているもの 「(前略),チーフ[A先生]の顔が見えたら,「あっ, A先生いるね!A先生∼!」と手を振り,チーフと子 どもたちがかかわりをもてるよう,少し意識したが, もっと積極的に声をかけるべきだったかなと,今反省 している。」. 5−2A先生 を介した「ふり かえり」 5−2−2 A先生の行動から「ふりかえり」 ロ A先生の行動から,実習生が自分の行動をふりかえっ ているもの. 「自分の声かけを思い返してもみても「すごいね」と か「いいね」など,単発的なものが多く広がっていか ないなと反省した。(中略)指導者のさじ加減にかかっ てくるのだと思う。」 6−1−1 家庭での児童の様子. 田. 家庭での児童の様子に保護者が言及した内容に着目し ているもの 「外では最近自転車に乗れるようになったのでよく 乗っている。」. 6−1−2 兄弟姉妹の関係や家族のこと 6−1保護者 の語る児童の情 報. 2. 児童とその兄弟姉妹の関係や家族のことに保護者が言 及した内容に着目しているもの 「お姉さんは,本児とはだいぶ歳が離れており,(中略) そのため,本児は,お父さんやお母さんと一緒に遊ぷ ことが多い。」. 6−1−3/ト学枚入学のこと. ロ. 小学枚へ入学した経緯に保護者が言及したことに着目 しているもの 「(前略)小学枚入学と同時に転居して通うこととなっ た。」. 6−2−1 以前の児童の様子 6.児童への理解. 4 以前に参加した集団指導実習における児童の様子に保 護者が言及した内容に着目しているもの 「1年生の時は,(中略)最後にトンネルができた時 には,くぐってみたりして,すごくいい顔をしていた のだそうだ。」. 6−2−2 児童の成長. 4 以前に参加した集団指導実習から,児童が成長したこ とを保護者が認識していることに着目しているもの 「昨年と比べるとずいぶん成長し,のびのびと他者と かかわっていると話されていた。」. 6−2保護者 の児童の行動に 対する理解. 6−2−3 児童の行動理解. 5 集団指導実習での児童の行動に対する保護者の理解に 着目しているもの 「「もうひとつ欲しかったのよね」と子どもの行動に 解釈をつけていた。」. 6−2−4 児童の行動理解について考えた 2 児童の行動に対する保護者の理解について実習生が考 えたことに言及しているもの こと 「(前略)たしかに言われてみれば[お母さんが言っ たように]そうである。」 7−1 集団指導実習について. 2 集団指導実習に対して保護者が言及したことに着目し ているもの 「(前略)親の姿が見える範囲にあることで安心して いられるのではないか,とお考えだった。」. 7−2−1 保護者の願い 7.保護者の願い 7−2保護者 の願い. 9 保護者の児童への願いやかかわりについて着目したもの 「子どもをよく見て,より良い環境を整え,大切に育 てていることが伺われた。」. 7−2−2 保護者の願いについて考えたこ 4 保護者の児童への願いやかかわりについて実習年が考 えたことに言及したもの. と. 「(前略)すごく前向きな思いで子どもに接している ことに,私はとても安心し,感動した。」. 39.
(7) 植木克美・後藤守・後藤広太郎川端愛子・伊藤文雄・官井真由・秋谷絵理・池田智江・石郷岡久乃・市呂佳奈・上森美砂小野寺仁・岩本史子・津野詩織 5.A先生を介した「ふりかえり」 5−1A先生が児童と創る遊びの世界 5−1−1A先生が児童と創る遊びの世界(1) −A先生と児童 5−1−2A先生が児童と創る遊びの世界(2) −A先生と児童と実習生 5−2A先生を介した「ふりかえり」 5−2−1A先生へのかかわりを「ふりかえり」 5−2−2 A先生の行動から「ふりかえり」. 6.児童への理解 ¢−1保護者の語る児童の情報 8−1−1家庭での児童の様子 8−1−2 兄弟姉妹の関係や家族のこと 8−1−3 小学校入学のこと ¢−2保農者の児童の行動に対する理解 8−2−1以前の児童の様子 8−2−2児童の成長 8−2−3 児壬の行動理解 8−2−4児童の行動理解について考えたこと. 7.保護者の願い 7−1指導について 7−2俣儒者の願い 7−2−1保護者の願い 7−2−2保護者の願いについて考えたこと. 4.A先生と保護者からの学び 4−1A先生からの学び 4−2保護者からの学び. 2.実習生とA先生と児童の関係 2−1実習生とA先生の決まった関係 2−2A先生と児童の信頼関係. q〉 くク. 3.実習生と保護者と児童のかかわり 3−1保護者の児童へのかかわり 3−2 実習生と保護者とのかかわり 3−2−1実習生の不安 3−2−2 実習生と保護者のかかわり. 1.保護者の存在 1−1実習生にとっての保護者の存在 1−2児主にとっての保護者の存在. 図1 各グループの構造. 大グループ2は2−1「実習生とA先生の決まった関係」,そして2−2「A先生と児童の信頼関係」の 2つのラベルから成る。前者の「実習生とA先生の決まった関係」とは,集団指導実習で実習生が担った役 割,つまり児童の指導担当,保護者の対応担当,そしてビデオ記録担当,の3つのそれぞれの役割とA先生 との関係を表したカテゴリである。そのレポート例として,ビデオ記録担当の実習生が自分とA先生との関 係,すなわち「A先生の活動を撮影する」役割を記載しているものをあげている。実習生が,自分の担った 役割から形成されるA先生との関係を明確にしてレポートを組み立てていることがわかる。一方,後者の「A 先生と児童の信頼関係」とは,集団指導実習における児童の様子から,口常の児童とA先生との信頼関係を 推測しているものである。実習生が,眼前の児童の活動をA先生との信頼関係から理解しようとしているこ とがわかる。児童の活動を理解する手がかりとして,実習生はA先生の存在,そしてその関係性に着目して いる。. 大グループ3は,3−1「保護者の児童へのかかわり」,そして3−2「実習生と保護者のかかわり」か ら成る。前者の「保護者の児童へのかかわり」は,集団指導実習で保護者は児童にどのようにかかわってい たかを実習生の目を通してまとめたものである。後者の「実習生と保護者のかかわり」は,3−2−1「実 習生の不安」と3−2−2「実習生と保護者のかかわり」の2つのラベルから成っている。「実習生の不安」 では,集団指導実習前に保護者とどのようにかかわったらよいのかを実習生は不安に思っていたということ が率直にレポートされている。そして,「実習生と保護者のかかわり」は,実習生と保護者のかかわりの実 際を扱っており,実習生と保護者が児童の様子を共通に注視しながらかかわりをとっていることがわかる。 この「実習生と保護者のかかわり」のレポート数は7片と比較的数が多くなっている。 さらに,大グループ2「実習生とA先生との関係」と大グループ3「実習生と保護者のかかわり」は,大 グループ4「A先生と保護者からの学び」につながっていることが,図1をみるとわかる。つまり,A先生 との関係,保護者とのかかわりを通して,自分自身が学んだという実習生の自己認識を導き出している。こ こで,重要な概念となっているのは,自分自身がA先生と保護者から学んだという自己認識である。大グルー プ4「A先生と保護者からの学び」は,実習生がA先生と保護者から「非常に勉強になった」「とても勉強 になった」と具体的に何を,どのように学んだかを自己認識しているグループである。 その具体的な学びの内容を扱っているのが,大グループ5「A先生を介した「ふりかえり」」と大グルー プ6「児童への理解」,そして,大グループ7「保護者の願い」である。これらの3つのグループのうち,. 40.
(8) 教員養成系大学院における集団指導実習に関する実践研究. 大グループ5はA先生からの学びについて,そして,大グループ6と7は保護者からの学びをレポートして いる。. 大グループ5は,5−1「A先生が児童と創る遊びの世界」と5−2「A先生を介した「ふりかえり」」 の2つの小グループから成る。前者には,5−1−1「A先生が児童と創る遊びの世界(1)−A先生と児童−」, そして5−1−2「A先生が児童と創る遊びの世界(2)−A先生と児童と実習生−」と2つのカテゴリがある。 「A先生が児童と創る遊びの世界(1)−A先生と児童−」では,A先生との遊びの世界で生き生きと活動する 児童の様子がレポートされている。そこには実習生が感じた児童の感情が添えられ. ,リアリティのある児童. の姿が表記されている。また,「A先生が児童と創る遊びの世界(2)−A先生と児童と実習生−」では,その A先生が児童と創り出している世界に実習生自身がどのようにかかわったかをレポートしている。一方,後 者の「A先生を介した「ふりかえり」」は,実習生がA先生への自分のかかわりをふりかえっているもの(5 −2−1)と,A先生の行動から自分の行動をふりかえっているもの(5−2−2),の2つのカテゴリが ある。実習生がA先生への自分のかかわりをふりかえっているカテゴリでは,集団指導実習のチーフである A先生へのかかわりを指導目標と照らし合わせ,自分に求められている役割との関係からふりかえっている。 そして,A先生の行動から自分の行動をふりかえっているカテゴリでは,A先生の行動をモデルとして実習 生が自分の児童へのかかわりを内省している。 このように,大グループ5は児童の指導を担当した実習生の「ふりかえり」にかかわる内容になっており,. 集団指導実習の深まりに強く関与していることを理解できる。これに対して,保護者対応の実習生が集団指 導実習をどのように深めているかを把握できるのが大グループ6「児童への理解」と大グループ7「保護者 の願い」である。「児童への理解」は29片のレポートが,そして,「保護者の願い」は15片のレポートがあり,. この2つに分類されているレポート数はとても多くなっている。 まず,大グループ6「児童への理解」は,6−1「保護者の語る児童の情報」と6−2「保護者の児童の 行動に対する理解」の2つの小グループから成っている。そして,「保護者の語る児童の情報」の内容として,. 6−1−1「家庭での児童の様子」,6−1−2「兄弟姉妹の関係や家族のこと」,6−1−3「/ト学校入学 のこと」の3つがある。「家庭での児童の様子」は11片のレポートがあり,保護者対応の実習生が,家庭で の児童の様子を多く聞き取っていたことがわかる。一方,「保護者の児童の行動に対する理解」は,4つのカ テゴリ,6−2−1「以前の児童の様子」,6−2−2「児童の成長」,6−2−3「児童の行動理解」,6 −2−4「児童の行動理解について考えたこと」から成っている。保護者が以前に参加した集団指導実習で の児童の様子を語ったり,以前の集団指導実習での様子との違いから児童の成長を語ったことに実習生が着 目してレポートを作成していることを理解できる。さらに,集団指導実習における児童の行動に対して,そ の時の児童の気持ちを言語化している保護者の姿に,実習生は着目していることもわかる。そして,集団指 導実習で観察された児童の行動を保護者がどのように理解しているか,その保護者の理解の仕方を聞いて実 習生はどのように考えたかをレポートしている。. 最後の大グループ7「保護者の願い」は,7−1「指導実習について」と7−2「保護者の願い」の2つ から成り,後者の「保護者の願い」は7−2−1「保護者の願い」と7−2−2「保護者の願いについて考 えたこと」の2つのカテゴリから成っている。実習生が保護者から集団指導実習に対する感想を聞き取り, さらに,児童への願いやかかわりについて考えていることを聞き取り,そこから実習生自身がどのように考 えたかを扱っているのがこのグループである。. 図1ではこれらの大グループ5,6,7の3つのグループ間には,大グループ5「A先生を介した「ふり かえり」」と大グループ7「保護者の願い」の両方から大グループ6「児童への理解」へ向けて矢印をひい てある。これは,「児童への理解」に向けて,A先生からの学びと保護者からの学びの両方から,アブロー. 41.
(9) 植木克美・後藤守・後藤広太郎川端愛子・伊藤文雄・官井真由・秋谷絵理・池田智江・石郷岡久乃・市呂佳奈・上森美砂小野寺仁・岩本史子・津野詩織. チできるということを表している。ただし,大グループ5のA先生の系列からの矢印は,白抜きになってい る。これは,実際のレポートでは,A先生との関係から児童への理解を実習生が深めている記載はなかった ということを示している。そのことは,大グループ6の下位にある2つの小グループのラベル6−1「保護 者の語る児童の情報」と6−2「保護者の児童の行動に対する理解」には「A先生」という名称がないこと からわかる。. 以上のように,A先生と保護者にかかわるレポートの内容から,実習生がA先生を介して集団指導実習に おける自分の取組に対する「ふりかえり」を深めていること,保護者にインタヴューをして保護者から得た 情報を通して児童への理解を深めていること,さらに保護者の願いを聞き取りそれに対する考えを深めてい ることがわかった。そして,A先生からの学びと保護者からの学びは,児童への理解へ向けて構造化されて いるが,実際のレポー1、ではA先生の系列から児童への理解へ向かう道筋はその途中までを確認できた。. 4.2 A先生,保護者とのかかわりの検討 次に,A先生,保護者とのかかわりがどのようにレポートに反映されているかを検討していく。特にここ では,A先生とのかかわりについては大グループ5「A先生を介した「ふりかえり」」から,そして,保護 者とのかかわりについては大グループ7「保護者の願い」から考えてみたい。 まず,A先生とのかかわりについてであるが,大グループ5「A先生を介した「ふりかえり」」は,すで に述べたように,5−1「A先生が児童と創造する遊びの世界」と5−2「A先生を介した「ふりかえり」」 の2つの小グループから成っている。前者の「A先生が児童と創造する遊びの世界」には,さらに2つのカ テゴリ,A先生と児童を扱った5−1−1と,A先生と児童の遊びの世界にかかわる実習生自身を扱った5 −1−2がある。この2つのカテゴリのレポートに共通した特徴として,その記述の仕方をあげることがで きる。5−1−1では,表1のレポート例「「ガソリンスタンド」が[作られ],乗り物で遠くに出かけた子 たちが,A先生の所へ戻れば給油してもらって燃料をチャージできる,という意識が働いて,燃料をもらっ た子どもたちはまたうれしそうに旅に出かけていく」や,「途中途中,宅急便がきて,離れていてもほかの 子やA先生との関係性を保つというやりかた,(中略)満足感が得られているなあと思って見ていました」 など,実習生が参与観察したことを観察内容に即して記載している点にある。そして,児童の感情の読み取 りをしている。実習生は,即断的に児童の活動を既にもっている知識から評価せずに,場の状況,A先生と のかかわりから丁寧にそこに湧き上がっている児童の感情を読み取っている。そして,そこへ参与する実習 生自身のかかわりについても,5−1−2のレポート例(表1参照)「(前略)子どもと一緒にその世界に浸 ることができた」にあるようにA先生,児童と1つの世界を共有している体験を大切にした記載になってい る。. 野村(2003)は,教員が児童とのかかわりから学んでいくためには,児童との共通体験を自らのことばで そのつど表出していかなければならないとしている。そして,その表出の仕方として体験を素早く既成の概 念にあてはめ,それを直ちに自らの体験のように把握してゆくことは,個人的な体験の差異が無視され,結 果として新たな自己と世界を発見することをできないで終わるとしている。それに対して,一体化した世界 にとどまり,それをできるだけ正確に,自分のことばで表現することで,新たな自己を見出し,見出された 自己をより高次の自己に統合していくなかで,豊かな自己が滴養されていくという。. 5−1「A先生が児童. と創造する遊びの世界」の実習生のレポートにある,参与しながら観察されている事象を丁寧に綴ろうとし ている特徴は,既述してきた野村の指摘する豊かな自己の滴養へ向けて実習生が踏み出していることとして 理解できると考える。. 一方,5−2「A先生を介した「ふりかえり」」では,実習生が自分自身のA先生へのかかわり(5−2. 42.
(10) 教員養成系大学院における集団指導実習に関する実践研究. −1),そして,A先生の行動を通して自分の行動(5−2−2),の2つをふりかえっている。実習生の「ふ りかえり」は,集団指導実習の深まりを左右するものであり,教育実践,臨床実践における教員養成,臨床 家養成で大切にされている観点である(植木・後藤・渡部,2008;植木,2009)。/ト学校教育実習において 実習生が実習中の指導教員とのかかわりをどのように捉えているかを検討している三島(2009)は,三橋・ 山崎(2003)らの研究を参考にして指導教員とのかかわりに関する項目を設定している。しかしながら,「指 導教員の行動からの学び」という,側面については取り上げられていない。また,浅田(2007)は,幼稚園 教育実習において指導教員と実習生のかかわりをメンタリング機能の側面から検討し,「指導教員の行動」 が実習反省会や実習日誌の中で取り上げられていることを明らかにしているが,具体的内容と機能を検討し ていない。. 5−2−2のA先生の行動を通して自分の行動をふりかえるということは,A先生の存在により実習生が 自分の行動のモニタリングを行なったことを表している。A先生は,実習生にとって目の前にいる児童への 具体的なかかわり方を示してくれるモデルとなり,いわゆるKram(1988)が示したメンタリング機能に おける社会的心理機能の役割モデルに合致した機能を果たしていたと考えられる。メンタリングの特徴のひ. とつとして,浅田(2007)と秋田(2005)は,長期的展望に立った援助的・指示的な指導教員と実習生の関 係をあげている。本研究の集団指導実習は20時間でありA先生と実習生のかかわりは短期間である。したがっ て,メンタリング機能に結び付けるのは早急であるが,今後,集団指導実習を積み重ねていく中で築かれる A先生と実習生のかかわりについてさらに検討を深めていきたい。 次に,保護者とのかかわりについて大グループ7「保護者の願い」から考えていく。このグループは,7 −1「集団指導実習について」と,7−2「保護者の願い」から成っている。「集団指導実習について」は, 集団指導実習に対する保護者の感想を実習生が聞き取っているものであり,目の前で繰り広げられている活 動を対象にしている。これに対して,7−2「保護者の願い」は保護者の児童への願いやかかわりを実習生 が聞き取り,それについて実習生はどのように考えたかという,これまで保護者が子育てを通して築いてき ている子どもへの「願い」を対象にしている。保護者の児童への願いやかかわりをレポートしているのが7 −2−1であるが,そこからはレポート例にあるように「子どもをよく見て,より良い環境を整え,大切に 育てていることがうかがわれた」や,「子どものやる気や意志を大事に活動を広げ,労を惜しまない姿が感 じられた」「(前略)一番感じたのは,子を思う親の愛情である」というように,子育てのポジティブな側面. を実習生が把握していることを理解できる。澤江(2003)は,発達に不安のある子どもの長期に渡る面接の 中で保護者から語られるエピソードの特徴について検討し,保護者は子どもの行動の理解や解決に向けた方 法から次第に親としての自分や周囲に意識を広げていくのではないかと考察している。実習生は,保護者の より広い視野から子育てしていることばを聞き取ることができたと考えられる。. 実習生が保護者の願いに対して自分はどのように考えたかをレポートしているのが,7−2−2である。 レポート例「(前略)すごく前向きな思いで子どもに接していることに,私はとても安心し,感動した」や「(前. 略)私自身の「親としての気持」が重なり(後略)」とあるように,実習生が自分を主体にして感じ,考え たことを実習生の生の声で綴っている。集団指導実習では,児童の活動の様子を実習生と保護者が一緒に注 視しながらかかわりをとっており,この実習の枠組みが保護者のことばを抽象的なものではなく,目の前の 児童の姿と照らし合わせながらより実感を伴って実習生が理解することを可能にしたと考える。. 4.3 A先生,保護者とのかかわりを通した児童理解の検討 すでに述べたように,A先生とのかかわりから児童への理解を深めたというレポートはなかった。児童理 解については,実習生が児童と直接かかわって理解を図っていることをレポートの内容から確認できている。. 43.
(11) 植木克美・後藤守・後藤広太郎川端愛子・伊藤文雄・官井真由・秋谷絵理・池田智江・石郷岡久乃・市呂佳奈・上森美砂小野寺仁・岩本史子・津野詩織. この直接的かかわりによる理解と合わせて,A先生とのかかわりを通して児童への理解がどのように図られ ていくのか,この実習のプロセスを形成するにはどのようにカリキュラムをデザインしたらよいのかを,今 後の検討課題としていきたい。. 保護者とのかかわりを通した児童理解については,大グループ6「児童への理解」から検討する。大グルー プ6は,6−1「保護者の語る児童の情報」と6−2「保護者の児童の行動に対する理解」の2つの小グルー プから成っていることはこれまでみてきた通りである。「保護者の語る児童の情報」とは,文字通り実習生 が保護者から聞き取った児童の家庭での様子や兄弟姉妹の関係,家族のことをそのままレポートに記載した ものである。これらの情報は実習生が家庭環境から児童を理解することを可能にすると考える。 これに対して,6−2「保護者の児童の行動に対する理解」は,実習生が眼前の児童の具体的行動を理解 するための手掛かりとすることができると考える。ここでは,6−2−2「児童の成長」にあるように,現 在の児童と,以前の児童の姿を比べてその成長,発達を,実習生が理解することを促すこともできる。そし て,6−2−3「児童の行動理解」にあるように,児童の行動の意味や意図,気持ちを保護者のことばから 理解することも可能となっている。保護者とのかかわりを通した児童理解は,レポート数が29片と全レポー ト数の36%を占め,7つの大グループの中で最も高い割合になっている。保護者から得た情報で児童理解を 図る上でのポイントは,その理解は保護者の目を通したものであるという点をおさえることにある。6−2 −4「児童の行動理解について考えたこと」が,このことにかかわるカテゴリであり,実習生が保護者の理 解をどのように考えるかを記したものである。今回の集団指導実習では,ここに分類されたレポート数は2 つであり,レポート例にあるように保護者の理解を自分自身で確認している。今後,保護者の児童理解から 実習生の児童理解がどのように進展していくかをさらに検討していきたい。. おわりに. 本研究では,実習生の実習後レポートを分析することによって,集団指導実習において附属小学校教員と 保護者とのかかわりから実習生が集団指導実習をどのように深めているかを検討してきた。分析の結果,実 習生がA先生を介して集団指導実習における自分の取組に対する「ふりかえり」を深めていること,保護者 にインタヴューをして保護者から得た情報を通して児童への理解を深めていること,さらに保護者の願いを 聞き取りそれに対する考えを深めていることがわかった。. この集団指導実習の特徴は,附属小学校との協働実践にある。したがって,保護者,児童,そしてA先生 にとって実習がどのような意味をもっているかを検討することが求められる。. 6−2−2「児童の成長」に示されているように,保護者にとっては毎年実施される集団指導実習は児童 の成長を認識できる場となっている。そして,児童の担任であるA先生にとっても日常の学校生括でみられ る児童の様子とは異なる様子を発見できる場となっている。A先生は,「一番の感想は,「学校とは違う子ど もたちの姿」を見ることができ,とても新鮮な思いをしました。また,子どもたちと私との「指導される・ 指導する」といういつもの関係がいつの間にか変わっていることも気付かされました。(中略)「一緒に遊ぶ」. 中で自然に「ガソリンスタンド」・「ハンバーガー店」・「郵便局」…と,私と子どもたちとの遊びは展開 していきます。いつもの学校生括とは少し違う「子どもと一緒になって展開していく」体験を味わうことが. できました。」と感想を述べている。浅田(2007)は,先に取り上げた幼稚園教育実習の指導教員を,「子ど もたちを支え育てていく存在」とともに「自分自身の成長や専門性の向上,保育実践の改善を進めていく学 習者」の役割をも果たす存在として明記している。A先生の感想には,児童の新たな姿の発見と,自分と児 童との新たな関係の構築が語られ,A先生自身にとっての集団指導実習の意味を発見できるものとなってい. 44.
(12) 教員養成系大学院における集団指導実習に関する実践研究. る。. この集団指導実習が大学と附属小学校との協働実践としての意味性を強めていくには,保護者,附属小学 校教員に視点をあてた検討が求められていると考える。今後は,これまで述べてきた実習生に焦点化した課 題に取り組みながら,保護者,附属小学校教員,そして児童の視点からこの協働実践について検討を深めて いきたい。. 謝 辞 北海道教育大学大学院教育学研究科学校臨床心理専攻において,平成14年度開設当初より実施している 集団指導実習「大きなブロックを使って遊ぼう!!」が附属小学校特別支援学級児童と保護者のみなさまのご. 協力を得て,平成21年度で第8回目をむかえました。これまで,ご参加いただきました児童と保護者のみな さまに衷心より御礼申し上げます。. 引用文献. 秋田喜代美(2005) Ⅸ授業過程・学校経営の評価.メンタリング.森 敏昭・秋田喜代美編集 教育評価,重要用語300の 基礎知識.明治図書. 浅田 匡(2007) 幼稚園教育実習におけるメンタリングの機能に関する研究.教育心理学年報,第46集:156−165 後藤 守・植木克美・青沼眞弓・安部紀江・小川 央・川島るい・岸田恵美・木村大輔・後藤龍太・佐藤静江・高橋憲生・長 谷川香奈・古野由美子・盛合智絵・山田晶子・山元隆子・渡遠泰行(2006) 高等教育機関における教員・社会人のための 学校臨床心理支援の力量形成を目的としたカリキュラム開発の試み.北海道教育大学附属教育実践総合センター紀要,7: 125−131 後藤 守・小笠原詠子・後藤恵美子・福原真理子(1984) 行動空間療法の体系化に関する研究.北海道教育大学紀要(第1 部C),34(2):77−86 金子大輔・荒川 歩・菅原郁夫(2009) 法実務技能教育におけるシュミレーションの映像に付与されたコメントの分析.日 本教育工学会論文誌,33(1):83−92. 川喜田二郎・牧島信一(1970) 問題解決学 KJ法ワークブック.講談社 Kram,K.E.(1988)Mentoringatwork.Lanham,MD:UniversityPressofAmerica.渡辺直孝・伊藤知子訳(2003) メ ンタリング,社会の中の発達支援関係.白桃書房 三島知剛(2009) 教育実習中の他者との関わりと教育実習生の授業・教師・子どもイメージ,授業観察力の変容.日本教育 工学会論文誌,33(1):71−81 三橋功一・山崎正吉(2003) 段階型教育実習における実習生の経験による教育実践活動の認知比重交.日本教育工学会大会講 演論文集,19(2):923−924 中島 平(2008) レスポンスアナライザによるリアルタイムフィードバックと授業映像の統合による授業改善の支援.日本 教育工学会論文誌,32(2):169−179 野村幸正(2003) 「教えない」教育,徒弟教育から学びのあり方を考える.二瓶社 澤江華別(2003) 子育てに関する認識変容過程の分析研究Ⅰ,療育施設を利用した障害幼児をもつある母親の認識過程.日 本発遠心理学会第14回大会発表論文集,294 植木克美・後藤 守・渡部信一(2008) 指導実習に対する「ふりかえり」を行うための静止画像教材の開発.日本教育丁学 会論文誌,30(4):429−437 植木克美(2009) 教育実践の組織的な「ふりかえり」を目指した静止画像教材の開発.北海道教育大学大学院研究紀要学 校臨床心理学研究,6:29−37. (植木 克美 北海道教育大学大学院教育学研究科学校臨床心理専攻教授) (後藤 守 北海道教育大学名誉教授). 45.
(13) 植木克美・後藤守・後藤広太郎川端愛子・伊藤文雄・官井真由・秋谷絵理・池田智江・石郷岡久乃・市呂佳奈・上森美砂小野寺仁・岩本史子・津野詩織. (後藤広太郎 北海道教育大学大学院非常勤講師). (川端 愛子 北海道教育大学大学院GP担当職員/東北大学大学院教育情報学教育部) (伊藤 文雄 北海道教育大学附属札幌小学校教諭). (宮井 真由・秋谷 絵理・池田 智江・石郷岡久乃・市呂 佳奈・上森 美穂・小野寺 仁・ 岩本 史子・澤野 詩織・柴田明日美・鈴木 一生・間谷 香織・松永 美冬・御代あかね 北海道教育大学大学院教育学研究科学校臨床心理専攻院生). 46.
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