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自己効力の測定結果を踏まえた授業改善 -中学校理科の指導に注目して-

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(1)Title. 自己効力の測定結果を踏まえた授業改善 −中学校理科の指導に注目して −. Author(s). 森, 健一郎; 髙橋, 弾. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第47号: 89-96. Issue Date. 2015-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7931. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第47号(平成27年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.47(2015):89-96. 自己効力の測定結果を踏まえた授業改善 -中学校理科の指導に注目して- 森 健一郎1・髙 橋 弾2 1. 北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻 2. 釧路市立幣舞中学校. The Lesson Improvement Study Based on Results of Self-Efficacy Scale - Through Lessons of a Junior High School Science - MORI Kenichiro1and TAKAHASHI Dan2 1. Hokkaido University of Education Advanced Teacher Professional Development Program 2 Nusamai Junior High School, Kushiro, City. 要 旨 本研究は,理科学習における自己効力感,社会的関係性,メタ認知,学習方略の相互作用を明らかにする研究の一部で ある。公立中学校第1学年の生徒を対象に,自己効力測定尺度,メタ認知測定尺度,学習方略測定尺度を実施した。それ らの結果を共分散構造分析によって検討したところ,「学習方略得点」が「メタ認知得点」に有意な影響を及ぼし, 「メタ 認知得点」が「自己効力得点」に有意な影響を及ぼしていた。このことから,1)生徒に適切な学習方略を身に付けさせ ることで,生徒のメタ認知が活性化されること,2)メタ認知の活性化が,自己効力の向上に有意な影響を与えているこ と,の2点が明らかとなった。ただし, 現時点では「学習方略→メタ認知→自己効力」という仮説の妥当性が明らかになっ たが,調査時点(第1学年修了時)の結果であるため,この仮説が常に当てはまるのかについては明らかとはなっていな い。今後は経時的な変化の有無について検証していきたい。. 1 序論. 自己効力感と自尊感情がほぼ同じ意味で扱われている現状. 本研究のテーマは「生徒が適切な学習方略を身に付ける. があることを示している。. ことで,メタ認知が活性化し,結果的に自己効力感の向上. 理科教育学の分野においても,自己効力感やメタ認知に. につながる」ことを実証的に検証することである。メタ認. 着目した研究や実践が多数報告されている。例えば,鈴木. 知はもともと認知心理学の分野で使用されていた概念で. (1996)は,理科学習において,学習意欲が,自己効力. あったが,近年は教育の分野でも注目されており,多数の. 感,社会的関係性,メタ認知,学習方略といった概念から. 研究や実践が報告されている。国立教育政策研究所の「教. 構成されていることを明らかにし(表1),それらを測定. 育課程の編成に関する基礎的研究」報告書(2012)におい. する尺度を開発している。これらの尺度を活用することに. ても, 「初等中等教育段階において育成すべき資質・能力」. よって,理科学習において,自己効力感やメタ認知などが. の一つとしてメタ認知が示されている。ここでメタ認知. 相互に関連していることが示唆されている。こういった研. は,「21世紀型能力」を構成する3つの力(思考力,基. 究成果を参考に,中学校理科における自己効力感,メタ認. 礎力,実践力)のうちの思考力の一部として紹介されてい. 知,学習方略の因果モデルを作成し,その妥当性を検討す. る1) 。自己効力感は,文部科学省の資料2) では,自尊感. ることで,自己効力感を向上させる授業のあり方を考える. 3). 情を構成する要素の一つとして捉えられており ,道徳,. 際の前提条件を共有することができると考えた。自己効力. 特別活動,各教科など,教育課程全体を通して育成するも. 感,社会的関係性,メタ認知,学習方略といった具体的な. のとして示されている。なお, 国立教育政策研究所 (2015). 概念を共通理解し,これらが相互に関係していることを前. は,「自尊感情」 , 「自己肯定感」 , 「自己存在感」 , 「自己効. 提にした上で,単元計画や授業構想を検討することができ. 力感」が,一般的にはほぼ同じ意味で用いられていると紹. れば,学校現場における授業研究の視点がより実証的にな. 4). 介している 。このことは,教育実践の文脈においては,. り,生徒の自己効力感を高める授業のあり方についても具. - 89 -.

(3) 森 健一郎 ・ 髙 橋 弾 表1 学習意欲を構成する各種概念 概 念. 下位概念 統制感 手段保有感(努力). 自己効力. 手段保有感(能力) 手段保有感(教師) 教える役割. 社会的関係性. 周囲の期待 身近な友人 学習課題の把握 学習状況の把握. 自己評価 メタ認知. 自己目標の設定. 自己制御. 課題解決のプランニング 課題解決の情報処理 暗唱. リハーサル方略. 模写 ノート化、下線引き イメージ化. 学習方略. 精緻化方略. 言語的符号化 要約、ノート化 群化. 体制化方略 概略化. 内 容 「自分は目標を達成できるか否か」といった望む 結果と自分との関係についての自信や信念。 「どのような手段で目標が達成できるか否か」と いった目標と手段を結ぶ認識。目標が,努力, 能力,教師という 3 つのどれと結びついている かによって分類されている。 教室の中で「自分は周囲に対して何らかの働き かけをしている,またはされている」という認 識。先行研究により「友人に教える」「教師,家 族,友人の期待を感じる」「友達に教えてもらえ る」という 3 つの視点によって分類されている。 授業において,その時間の課題を認識できてい るかどうかの判断。 授業の内容の難易の認識。また,自分が内容を 理解できていないときの原因の認識。 目標を決めて学習をするという意識。また,自 分が内容を理解できていないとき,どのように していけば良いのか考える姿勢。 学習が遅れないように計画的に準備していこう とする意識。 わからない課題を解決するために,どのような 勉強方法をとるべきかの判断。 記憶するべき内容の提示後,それを見ないで繰 り返す方略。内容を繰り返し唱える「暗唱」 ,手 書きで書き写す「模写」,重要な部分をノートに 書いたり下線を引く「ノート化、下線引き」の 3 つから構成されている。 イメージや既知の知識を加えることによって学 習材料を覚えやすい形に変換する方略。具体的 な物や出来事を思い浮かべる「イメージ化」 ,言 語を用いて有意味化を図り,覚えやすい形にす る「言語的符号化」,要点を短くまとめる「要約 ・ ノート化」から構成されている。 学習材料の各要素を全体として相互に関連をも つようにまとまりをつくる方略。何らかの関係 または規則に基づいてグループをまとめる「群 化」,および,教科書を読むとき,内容を主なア イデアの部分とそれを支持する部分とに分け, 両者を関係づけ概要にまとめる「概略化」の 2 つから構成される。 鈴木(2012)より森が作成. に分けられ,その一つ一つについても測定できるように. 体的な方向性を示すことができると考える。. なっている。この研究によって,理科学習における学習意 2.先行研究の内容. 欲の構成概念が構造化され,客観的な議論ができるように. 理科学習における自己効力感を扱った研究としては,鈴. なった。この研究以降に発表された理科学習の自己効力感. 木(1996) ,鈴木(1999) ,鈴木(2000) ,鈴木(2002),山. における研究は,主にこの研究で開発された測定尺度や研. 崎(2002) ,三崎(2004)などがある。. 究成果に基づいたものである。. 鈴木(1996)は,理科教育における学習意欲の構造を明. 鈴木(1999)は,中学校と高等学校の理科学習における. らかにし,それらの測定尺度を開発した。この研究では,. 自己効力感,学習方略,学業成績の関係を明らかにし,自. 学習意欲を構成する4つの概念として,自己効力感,社会. 己効力感を高める学習指導への示唆を与えている。ここで. 的関係性,メタ認知,学習方略が示されている。これらの. は,1)学習方略に含まれる一部の概念は,自己効力感を. 概念は,それぞれが表1のように,さらにいくつかの概念. 構成する概念の一部と相関があること,またメタ認知を構. - 90 -.

(4) 自己効力の測定結果を踏まえた授業改善 成する概念の一部とも相関関係にあることから,理科の学. は,解決の意欲を持続させるとともに内容の理解を深めた. 習方略は,生徒の自己効力感を構成する重要な概念の一つ. り,解決の見通しを持たせたりする上で有効であること。. と考えられること。2)理科の学習における社会的関係性. 3)相互評価をおこなうことは,問題解決の結果の考察や. と呼ばれる概念は,自己効力感と相関があり,また自己効. 内容の吟味につながり,相互評価に対する肯定的印象を子. 力感を構成する一部の概念は,すべての構成概念と相関が. 供が感じることができること。4)子供が実験計画を試行. あること。3)高校生において,理科の学業成績が高い生. 錯誤しながら進める学習は,失敗から学ぶという姿勢を子. 徒は,自己効力感の一部の概念の得点平均が高いこと,ま. 供に形成し,自己効力感を構成する概念の一部を高めるこ. た,メタ認知の能力や学習方略に関する数値も高いこと。. とができること。などがあげられている。. などが明らかとなっている。. 三崎(2004)は,中学校の理科学習において,教員によ. 鈴木(2000)は,高等学校理科において,学習素材の自. る共感的な参与に基づいた協力的指導をすることで,生徒. 己選択効果と自己効力感との関係性を明らかにしている。. の自己効力感が向上したことを示している。具体的には,. 具体的には,1)理科の学習素材における文字情報と画像. 1)生徒の会話内容のうち「評価・判断」に関わるものが. 情報の記憶において,課題を強制選択するよりも自己選択. 減少し,「共有」の内容の会話が増加したこと,また,授. したほうが,再認テストの得点が高く,自己選択の効果が. 業の文脈でない会話から,授業の文脈に戻る現象が見られ. 認められること。2)意味のない文字情報と画像情報の記. たり,学習者間の学び合いが活性化して広がったり深まっ. 憶においても,課題を強制選択するより自己選択したほう. たりする現象が見られたこと。2)同時に自己効力感の測. が,再認テストでの得点が高く,自己選択の効果が見られ. 定尺度の数値が高い傾向を示したこと。などが示されてい. ること。3)自己選択効果が認められた生徒は,自己効力. る。. 感を構成する概念の一部や,メタ認知を構成する概念の一. これらの先行研究からは,自己効力感,社会的関係性,. 部の得点が高く,自己効力感とメタ認知との間に何らかの. メタ認知,学習方略が相互に関連し合っていることが明ら. 関係があると思われること。これらの3点が明らかにされ. かになっている。つまり,社会的関係性,メタ認知,学習. ている。 このことから, 自己効力感の向上を考える際には,. 方略の向上に重点をおくことで,自己効力感の向上がなさ. メタ認知にも注目すべきことが示唆される。. れる可能性があることが示されている。中学校理科という. 鈴木(2002)は,高等学校の理科学習において,自己効. 分野に限定すると,自己効力感,メタ認知,学習方略の相. 力の違いが生徒の学習目標の設定にどのような影響を与え. 互に関連していることの必要性が示されているが,自己効. ているのかを明らかにした。ここでは理科の学習に対する. 力感の向上に特化した因果モデルの作成および検討につい. 動機付けの異なる2群 (A群は進学校, B群は教育困難校). てはなされていない。そこで,「学習方略→メタ認知→自. を対象とし,両者を比較検討した上で,それぞれの自己効. 己効力感」という仮説を立て,その妥当性を共分散構造分. 力を構成する各種概念の状況を調査している。調査の主な. 析によって検証することを試みた。これは,理科学習にお. 結果として,1)理科の学習に動機づけられているA群. ける自己効力感,社会的関係性,メタ認知,学習方略の相. は,B群より学習目標の設定や自己効力を構成する様々な. 互作用を明らかにする研究の一部として位置づけられる。. 概念の平均得点が高いこと。2)メタ認知を構成する概念. 「学習方略→メタ認知→自己効力感」という仮説が妥当で. の一つである「学習課題の把握」は,A群B群ともに学習. あることが確かめられれば,中学校理科の授業における 「自. 目標に影響与える要因であること。また,メタ認知を構成. 己効力感を向上させる授業のあり方」について,メタ認知. する概念の一つである「課題解決の情報処理」は,A群固. や学習方略といった具体的な観点から検討することができ. 有の要因であること。3)自己効力の高低にかかわらず,. ると考える。. 学習方略を構成する概念の一部が目標に影響を与える要因 となっていること。などが明らかとなった。これらの調査. 3.方法. は,高等学校を対象に実施されたものであるが,中学校の. 公立中学校第1学年の生徒29名を対象に,1年間に4回. 理科学習においても重要な視点を提供するものである。特. (4月,10月,11月,3月)にわたって自己効力測定尺度,. に,自己効力感を高める学習指導を考える際には,メタ認. 社会的関係性尺度,メタ認知測定尺度,学習方略測定尺度. 知や学習方略に着目すべきことを示している。. の4種類の調査を実施した。測定尺度は全て鈴木(2012). 山崎(2002)は,中学校の理科学習において,自己効力. に掲載されているものから,調査対象となる中学生の負担. 感を高めることを通して問題解決能力を高める授業のあり. 感を考慮して,学習方略のうちの「リハーサル方略」と「体. 方について,実践を踏まえて検証している。この研究で明. 制化方略」の項目を除外した上で使用した。調査票の項目. らかになったこととして,1)直接体験やモデリング. を表2に示す。. 5). を取り入れることが,導入段階においては子供の知的好奇. 該当の学級は, 「自己評価を生かして学ぶ意欲を育てる」. 心を高めることにつながると考えられること。2)子供. という地区の理科教育の研究団体の研究主題のもと,学習. に自己選択や自己決定を行わせ,自己評価して進める学習. 方略やメタ認知の能力の育成を意識的におこなっている。. - 91 -.

(5) 森 健一郎 ・ 髙 橋 弾 表2 調査票の項目(鈴木,2012) 統制感. 努力. 手段保有感. 能力. 教師. 教える役割. 社会的関係性. 周囲の期待. 身近な友人. 学習課題の 把握. 自己評価. 学習状況の 把握 自己目標の. メタ認知. 設定 課題解決の プランニング 自己制御 課題解決の 情報処理 イメージ化. 学習方略. 精緻化方略. 言語的符号化 要約・ノート化. a01. 私はテストなどで失敗しないと決めたら、本当に失敗しません。. a02. 私はやる気になれば、勉強は難しいことでもわかります。. a03. 私は勉強で間違えないと決めたら、間違えません。. a04. 私は学校で良い成績を取ろうと思えば、良い成績を取ることができます。. b01. 私は集中して授業を受けることができます。. b02. 勉強をすると決めたら、私はすごくがんばることができます。. b03. その気になれば、先生の言うことをとても注意して聞くことができます。. b04. がんばらなくても、学校の勉強はすぐわかります。. b05. 私はわりと頭が良いので、勉強はよくできます。. b06. 学校の勉強なら、私はとてもよくできます。. b07. 私はだいたいの先生方に好かれています。. b08. 私が先生に何か聞きたいとき、いつでも先生は答えてくれます。. b09. 私は先生に、よくがんばっていると思われています。. c01. 私は、勉強のことで、友だちに聞かれることがあります。. c02. 私は、友だちに勉強でわからないところを、教えてあげることができます。. c03. 友達が、勉強がわからないとき、私は教えてあげることがあります。. c04. 先生は、勉強について、私に期待していると思います。. c05. 私は、勉強について、家の人の期待を感じます。. c06. 友達が、勉強のとき、私に期待していると思います。. c07. 私には、勉強がわからないとき、気軽に聞ける友だちがいます。. c08. 私には試験の前に、いっしょに勉強をする友だちがいます。. c09. 勉強が分からないとき、私には気軽に教えてくれる友だちがいます。. d01. 私は、今どんな勉強しているのかわかります。. d02. 授業の内容は、私にはかんたんです。. d03. 私は、授業で何を学習しているのかわかります。. d04. 授業がわからないとき、私はそのわけがわかります。. d05. 成績が悪いとき、私は何がダメなのかわかります。. d06. 私は、授業の内容が、やさしいかむずかしいかわかります。. d07. 学校の成績が悪いとき、私は次に何をすればよいのかわかります。. d08. 私は、授業がわからないとき、次にどうすればよいのかわかります。. d09. 私は、自分の目標を決めて勉強をしています。. d10. 悪い成績をとらないように、いつも準備をしています。. d11. 家に帰っても、私は勉強をしています。. d12. 私は、勉強がおくれないように、計画を立ててすすめています。. d13. 成績が悪いときは、私は必ず予習や復習をしています。. d14. 授業でわからないところは、私は先生に聞いたり本で調べます。. d15. 私は、勉強の仕方がわかっています。. e07. 勉強をするとき、私はその内容を思い浮かべながら進めています。. e08. 私は前にならったことを思い出しながら、勉強を進めています。. e09. 私が勉強するとき、学習する内容を別の言葉におきかえて、勉強しやすくしています。. e10. 勉強を進めるとき、私は何かにたとえて、その内容を覚えるようにしています。. e11. 試験前に、私はノートを自分なりにまとめ直して勉強をしています。. e12. 勉強をするとき、私は教科書やワークの内容をノートにまとめています。. この研究団体では,複数年計画でこの研究主題に取り組ん. 己存在感」,「自己効力感」が,一般的にはほぼ同じ意味で. でいる。 「学ぶ意欲を育てる」という目標を設定した理由. 用いられていると紹介している。このことから,本研究で. としては,全国学力・学習状況調査において,北海道の中. は,自尊感情を自己効力感と同義のものとして扱った。 「自. 学生の自尊感情が全国平均よりも低いという結果6) を受. 己評価を生かして」という部分については,イメージマッ. けてのものである。. プをいう手法を用い,生徒自身による学習の振り返りを. 「学ぶ意欲を育てる」という部分は,自己効力感の測定. 活性化させることで達成できるのではないかと考えた。イ. 尺度の数値によって検討ができると考えた。なお,国立教. メージマップとは,中心となる概念(鍵概念)から書き出. 育政策研究所(2015)は, 「自尊感情」 , 「自己肯定感」, 「自. された連想語の数やつながりから,授業評価や自己評価を. - 92 -.

(6) 自己効力の測定結果を踏まえた授業改善 おこなう手法(水越ら,1980)であり,近年,教育研究に. され,その項目は除外して処理をおこなうこととなる。今. おける有益な手法の一つとして確立されている。当該学級. 回は,a04の質問項目が他の3つの項目に対して,突出し. では,年間にわたってイメージマップを理科授業で活用し. た値を示したことから除外し,残りの3項目(a01,a02,. ている。具体的には,単元学習の最初で生徒の既習知識を. a03)を自己効力感の尺度項目として採用した。この内的整. 確認するために用いたり,単元学習の過程で,各生徒の学. 合性は,質問群の信頼性統計量(Cronbachのα係数,以下. 習状況の把握をするために用いたりしている。このイメー. α係数と記述)を算出することで求められ,0.50以下である. ジマップは,学習方略を生徒に身に付けさせることも意識. と不十分であるとされる。今回,突出した値を示した質問. して用いている。当該学級では,年度当初から,学習方略. 項目を除外した後の測定尺度については,α係数が0.87で. を見つけさせることでメタ認知の力がつき,それによって. あった。メタ認知の測定尺度についても同様にα係数に. 自己効力感が向上するであろうという仮説を立て,イメー. よって内的整合性を検討した。5つの質問項目中に除外す. ジマップを活用した授業を実施してきた。. べきものはなく,質問群のα係数は0.80であった。学習方. 実施してきた4回の調査のうち,本研究では,年間の学. 略の測定尺度についても同様にα係数によって内的整合性. 習が終わる時期である3月のデータを活用した。この時期. を検討したところ,4つの質問項目中に除外すべきものは. の調査結果を分析することで,継続的に「自己評価を生か. なく,質問群のα係数は0.76であった。. して学ぶ意欲を育てる」という研究主題を意識した授業を 継続してきたことの妥当性が検討できる。そして,検討結. 2)各尺度項目における合計値の算出. 果から,翌年からの授業改善のために留意すべきことなど. 自己効力測定尺度,メタ認知測定尺度,学習方略測定尺. を明確にすることができる。. 度のそれぞれにおいて合計を算出し,自己効力得点,メタ. 使用した測定尺度のシートは,1枚で自己効力感,社会. 認知得点,学習方略得点とした。各概念の状況を数値化す. 的関係性,メタ認知,学習方略の状況を測定できるように. ることで,各概念を変数として扱うことができる。各概念. 構成されている。各概念とも下位の概念にさらに分類さ. を従属変数や独立変数とみなし,回帰分析や重回帰分析を. れ,4つの選択肢が点数化されている(ぜったいちがう:. おこない,因果モデルの信頼性を検討することが可能にな. 1点,だいたいそうだ:2点,ときどきそうだ:3点,い. る。. つもそうだ:4点) 。分類された各概念は複数の回答(例 えば a01,a02,a03,a04など)を合計することでその状. 3)各合計値における平均値,標準偏差,相互相関の算出. 況が数値として算出される。各概念の状況を数値として扱. 自己効力得点,メタ認知得点,学習方略得点について,. うことで,統計的な手法による分析が可能になる7)。. 平均値,標準偏差,相互相関を算出したところ,表3のよ. 使用した各尺度については, 以下の手順で検討を加えた。. うになった(参考として前述のα係数も併記する) 。自己. 1)各概念の内的整合性を信頼性統計量(α係数)の算出. 効力感とメタ認知(r=.81,p<.01),自己効力感と学習 方略(r=.52,p<.01),メタ認知と学習方略(r=.64,p. によって検討した。 2)自己効力測定尺度,メタ認知測定尺度,学習方略測定. <.01)の間で正の有意な相関が見られた。相関はPearson. 尺度のそれぞれにおいて合計を算出し,自己効力得点,. の相関係数の算出によるものであり,1%水準の有意は両. メタ認知得点,学習方略得点とした。. 側検定によるものである。. 3)自己効力得点, メタ認知得点, 学習方略得点について, 4)共分散構造分析による因果モデルの妥当性検討. 平均値,標準偏差,相互相関などを算出した。 4)「学習方略→メタ認知→自己効力」という因果モデル. 「自己評価を生かして学ぶ意欲を育てる」という研究主. を立て, 共分散構造分析によってその妥当性を検討した。. 題に沿ったかたちで「学習方略→メタ認知→自己効力」と いう因果モデルを立て,共分散構造分析によってその妥当. 4.結果. 性を検討した8)。今回は,観測変数(学習方略,メタ認知,. 各手順の詳細と結果ついて以下に記述する。なお,各種. 自己効力感)を利用した共分散構造分析を実行し,図1の. 統計処理に使用した統計ソフトはIBM Amos 22である。. ような出力を得た。図中の矢印をパスと呼び,因果関係の 向きを示している。また,パスの上部に記された数値は,. 1)内的整合性の信頼性統計量(Cronbachのα係数) による検討. 標準化推定値(相関係数)である。これらの数値は何れも 0.001%水準で有意であった。図中のR2は重相関平均の平. 各尺度は,いくつかの質問項目から構成されているた. 方を表し,メタ認知については0.41,自己効力感について. め,内的整合性を検討する必要がある。例えば,自己効力. は0.65であった。. 感の測定尺度は,4個の質問から構成されている質問群で. 因果モデル適合の妥当性については,主にGFI(Goodness. あるが,質問項目の中に他の項目と比較して突出した値を. of Fit Index;適合度指標,以下略称),AGFI(Adjusted. 示すものがある場合は,内的整合性が不十分であると判断. Goodness of Fit Index; 修 正 適 合 度 指 標, 以 下 略 称 ) ,. - 93 -.

(7) 森 健一郎 ・ 髙 橋 弾 表3 各得点間の相関係数,平均値(M),標準偏差(SD),α係数 統制感 統制感. ―. メタ認知. メタ認知 0.81. **. ―. M. SD. α. 0.52. **. 7.31. 2.41. .87. 0.64. **. 14.82. 2.80. .80. 12.41. 2.38. .76. 学習方略. 学習方略 **. ―. p<.01. 図1 因果モデル(e1,e2は誤差変数). ***. p<.001. RMSEA(Root Mean Square Error of Approximation,. AGFIを満たすことが確認できたことから,この指標にお. 以下略称)という指標によって判断される。GFIは通常0. いても因果モデルが妥当であると判断される。RMSEAの. から1までの値をとり,因果モデルの妥当性の指標として. 値は0.001以下であり,0.05以下であることから整合性が高. 用いられる。値が1に近いほど説得力のある因果モデルと. いと判断される。. されている。作成した因果モデルのGFIは0.99であった。. これらの共分散構造分析の結果から,作成した因果モデ. AGFIは,値が1に近いほどデータとの整合性が高いとされ. ルの妥当性は高いと判断した。このことは,「学習方略得. ている。同時にGFI≧AGFIであり,GFIに比較してAGFI. 点」が「メタ認知得点」に有意な影響を及ぼしている傾向. が著しく低い因果モデルは好ましくないとされている。. が強いこと,「メタ認知得点」が「自己効力得点」に有意. 作成した因果モデルのAGFIは0.99であった。なお,GFI≧. な影響を及ぼしている傾向が強いことがいえる。. AGFIが満たされていることも小数第6位の数値で確認で. 学習方略に関する質問項目は,「e07 勉強するとき,私. きた。RMSEAは,自由度1あたりの因果モデルの乖離度. はその内容を思い浮かべながら進めています」と「e08 私. を表す指標であり,0.05以下であれば整合性が高く,0.1以. は前にならったことを思い出しながら勉強を進めていま. 上であれば整合性が低いとされている。作成した因果モデ. す」であり,これらは学習方略の中でも「イメージ化」と. ルのRMSEAは0.001以下であった。. 呼ばれるものである。イメージマップを活用する中で, 「勉 強するとき,その内容を思い浮かべながら進める」姿勢や,. 5.考察. 「前にならったことを思い出しながら勉強を進める」こと. 本研究は, 理科学習における自己効力感, 社会的関係性,. が意識化された生徒がいたことが推察される。. メタ認知,学習方略の相互作用を明らかにする研究の一部. メタ認知に関する質問項目は,「d01 私は,今どんな勉. として位置づけられる。本報では,特に,中学校理科にお. 強をしているのかわかります」,「d02 授業の内容は私には. ける自己効力感,メタ認知,学習方略の因果モデルを作成. 簡単です」,「d03 私は,授業で何を学習しているのかわか. し,その妥当性を検討することで,自己効力感を向上させ. ります」,「d04 授業がわからないとき,私はそのわけがわ. る授業のあり方について,メタ認知や学習方略といった具. かります」,「d05 成績が悪いとき,私は何がダメなのかわ. 体的な概念から検討することとした。. かります」の5つである。これらのうち「d01」,「d02」 ,. 「学習方略→メタ認知→自己効力」という因果モデルを. 「d03」は,メタ認知の中で「学習課題の把握」と呼ばれ. 立て,共分散構造分析によってその妥当性を検討した。. るものであり,「d04」,「d05」は「学習状況の把握」と呼. 作成した因果モデルのGFIは0.99であり,1に近い値である. ばれるものである。イメージマップを活用し,学習方略の. ことから,この指標においては因果モデルが妥当であると. 能力が促進されたことで,「今どんな勉強をしているのか. 判断される。AGFIは0.99と1に近い値であり,かつGFI≧. わかる」こと,「授業の内容が簡単だと思える」こと, 「授. - 94 -.

(8) 自己効力の測定結果を踏まえた授業改善 業で何を学習しているのかがかわる」ことといった「学習. 導と評価の一体化」を進めることができる。自己効力感 (本. 課題の把握」に関する能力が高まった生徒がいたことが推. 研究では自尊感情と同義)とは「自分にもできる」という. 察される。同時に, 「授業がわからないとき,そのわけが. 感情である。一つの単元における自己効力感の向上が他の. わかる」こと, 「成績が悪いとき,何が良くないのかがわ. 単元学習に転移すること,また,一つの教科における自己. かる」ことといった「学習状況の把握」に関する能力が高. 効力感の向上が他の教科などの学習に転移することも考え. まった生徒がいたことも推察される。. られる。自己効力感そのものが授業のねらいになることは. これらの変化を受けて,自己効力感が高まったと考えら. ないが,授業する側としては意識すべき視点であるといえ. れる。自己効力感に関する質問項目は, 「a01 私はテスト. る。. などで失敗しないと決めたら,本当に失敗しません」, 「a02 私はやる気になれば, 勉強は難しいことでもわかります」,. 7.今後の課題. 「a03 私は勉強で間違えないと決めたら,間違えません」. 「学習方略→メタ認知→自己効力」という仮説の妥当性. の3つである。これらは自己効力感の中でも「統制感」と. が明らかになったが,調査時点(第1学年修了時)の結果. 呼ばれる。学習方略やメタ認知の能力が高まり, 「テスト. であるため,この仮説がどの時期にも当てはまるのかにつ. などで失敗しないと決めたら,本当に失敗しない」と思え. いては明らかとはなっていない。また,社会的関係性につ. る感情, 「やる気になれば,勉強は難しいことでもわかる」. いては考慮していない。今後は,これらの概念の関係につ. と思える感情, 「勉強で間違えないと決めたら,間違えな. いて,学習している単元の内容や特質などにも着目しなが. い」と思える感情をもった生徒がいたことが推察される。. ら検討していきたい。また,第1学年だけではなく,第2 学年,第3学年時の状況についても,単元の学習内容や特. 6.結論. 質も考慮しながら検討することも有益と思われる。学習指. 本研究によって,中学校の理科授業においては,「学習. 導要領においては,3年間の中で科学的な概念を身に付け. 方略」が「メタ認知」に有意な影響を及ぼし, 「メタ認知」. ることが示されている。各生徒がもっている科学的な概念. が「自己効力」に有意な影響を及ぼしている傾向が強いこ. が3年間でどのように変化していのか,学習方略やメタ認. とが明らかとなった。具体的な学習方略を授業の中で生徒. 知と関連づけながら考察していきたい。. に意識化させ,さらに活用を繰り返して身に付けさせるこ とで,生徒のメタ認知が活性化される。本研究における実. 附記. 践ではイメージマップを用いて生徒の振り返り活動に重点. 本研究は,平成26 ~ 28年度科学研究費補助金・基盤研. をおいたが,現在,学習方略やメタ認知に関する手法につ. 究(B)(課題番号:26285170,研究代表:玉井康之)の. いては,様々なものが提唱されている. 成果の一部である。. 9). ので,授業のね. らいや生徒の実態に応じて用いる手法を選択すればよい。 いずれにせよ,生徒のメタ認知が高まれば,自己効力感が. 註. 高まるといえる。教育の文脈では,自己効力感と自尊感情. 1)文部科学省のホームページ上の資料(PDF)では,. はほぼ同一の概念とされているため,自己効力感が高まる. 以下のように記載されている。『現在,国立教育政策研. ことで,自尊感情が高まった可能性が高いといえる。この. 究所では,「社会の変化の主な動向等に着目しつつ,. ことは,教育課程を通して自尊感情の育成が求められてい. 今後求められる資質や能力を効果的に育成する観点か. る現状において,有益な示唆を与えるものである。. ら,将来の教育課程の編成に寄与する選択肢や基礎的. 本研究では, 「生徒が適切な学習方略を身に付けること. な資料を得る」ことを目的に,平成21年度から「教. で,メタ認知が活性化し,結果的に自己効力感の向上につ. 育課程の編成に関する基礎的研究」が実施されている。. ながる」ことを中学校理科という限られた条件下ではある. 平成24年度の報告書では,「思考力(例:問題解決・. が実証的に検証することができた。学習方略として今回は. 発見力・創造力,論理的・批判的思考力,メタ認知・. イメージマップを用いたが,他にも様々な手法が提唱され. 適応的学習力)」を中核として,それを支える「基礎力 (言. ている。学校現場においては,他の教科,または「総合的. 語スキル,数量スキル,情報スキル)」,その使い方を. な学習の時間」などで用いられている手法なども参考にし. 方向付ける「実践力(自律的活動力,人間関係形成力,. ながら,実態に合った選択をすることで効果的な活用が進. 社会参画力,持続可能な未来への責任)」という三層構. められると考える。メタ認知については,適切な学習方略. 造で構成される「21世紀型能力」を提案している』. を継続的に用いることで,授業の中での育成ができること. ※下線部は筆者による。. が示された。メタ認知の活性化は自己評価の能力を高める. http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/. ことにも有効であり,授業のねらいの達成度などを自己評. shotou/095/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2014/04/10/. 価させることにも活用できると思われる。メタ認知の活性. 1345476_02.pdf(2015年6月11日確認). 化を学習方略の獲得と結びつけて考えることで,より「指. 2)中央教育審議会資料 教育課程部会の当面の検討課題. - 95 -.

(9) 森 健一郎 ・ 髙 橋 弾 (例)における論点についての整理の例(試作)道徳,. 参考文献. 特別活動 . Bandura,A.(1971)Social Learning Theory. General. http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/. Learning Corporation(バンデューラ A. 原野広太郎,. chukyo3/004/siryo/05111802/005/006.htm(2015年6月. 福島脩美(訳)(1974)『人間行動の形成と自己制御』金 子書房,23-50). 10日確認) 3)この資料では,自尊感情を自己肯定感,自己有用感,. 黒上晴夫,田村学,滋賀大学教育学部附属中学校(2014) 『こ. 自己効力感,忍耐力,チャレンジ精神の複合したもの. うすれば考える力がつく! 中学校 思考ツール (教育技術 MOOK) ムック』小学館. として扱っている。 4)ただし,この資料(生徒指導リーフレット)において. 三崎隆(2004)「理科授業における協力的指導に関する臨. は, 「自己有用感」 は他の語句と明確に区別されている。. 床事例的研究 : 中学校理科第2分野単元「動物の生活と. http://www.nier.go.jp/shido/leaf/leaf18.pdf(2015 年 6. 種類」の授業を事例にして」『理科教育学研究』45(1),. 月11日確認). 45-51. 5)モデリング(Modeling)とは, Bandura(1971)によっ. 水越敏行, 吉崎静夫, 三宅正太郎(1980)「映像視聴能力の. て提唱されたもので, 「人が他人の行動を観察すること. 形成と評価に関する実証的研究 : みどりの地球の継続視. による学習」 (原野ら1974)などと訳されている。観察. 聴から」『放送教育研究』10, 1-20. 学習とも呼ばれる。モデリングは,学習に直接経験の. 鈴木誠(1996)「理科教育における学習意欲の構造に関す. 必要性を求めておらず,この点が古典的条件づけやオ. る研究(3) -理科教育用自己効力感測定尺度(SESSE : Self-. ペラント条件づけとの違いとされる。Banduraはこれ. Efficacy Scale for Science Education)の開発-」『日本理. を社会的学習理論と呼び,伝統的学習理論と区別をし. 科教育学会研究紀要』36(3), 1-11 鈴木誠(1999)「理科の学習場面における自己効力感,学習. ている。. 方略,学業成績に関する基礎的研究」『理科教育学研究』. 6)全国学力・学習状況調査(平成25年度)の質問紙調. 40(1), 11-23. 査結果による。 「自分にはよいところがあると思いま すか」という質問項目に対して「そう思う」 「どちら. 鈴木誠(2000)「理科の学習素材における自己選択効果と. かといえば,そう思う」と回答した中学校第3学年. 自己効力感に関する基礎的研究 : メタ記憶能力からの一. の生徒の割合平均が,全国では66.4%であるのに対. 考察」『科学教育研究』24(1), 3-10. し,北海道は64.5%となっている。参考資料は,北海. 鈴木誠(2000)「理科の学習における自己効力の違いが,生. 道教育委員会のホームページにも掲載されている。. 徒の学習目標の設定に及ぼす影響」『理科教育学研究』. http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/grp/06/. 43(1), 1-10 鈴木誠(2012)『「ボクにもできる」がやる気を引き出す』. hotnet35p2.pdf(2015年6月11日確認). 東洋館出版社. 7)調査用紙に連続して同じ回答番号を記してしまうこと の影響(キャリーオーバー効果)を回避するため,実. 山崎敬人,柴一実,神山貴弥,濱保和治,吉原健太郎(2001). 際の調査票では,番号順に調査項目は並んでおらず,. 「問題解決能力の育成を目ざした学習指導法に関する研. ランダムに配置されている。. 究(3)自己効力感を高める理科授業の方略」『学部・附属. 8)調査票には社会的関係性尺度も含んでいたが,今回は 「自己評価を生かして学ぶ意欲を育てる」というテー マと関わりが薄いと判断し,分析対象としなかった。 9)特に学習方略については,黒上ら(2014)による「思 考ツール」が学校現場に紹介されている。. - 96 -. 学校共同研究紀要』31, 191-199.

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