起点としてのヒトを示す「から」と"从" : 他動性の観点から
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(2) 甲南女子大学研究紀要第 41号. b。. *核 子是炊 父母生的。. c。. 核子是父母 生 的。. いる. b。. c。. (以 下,こ. ). れ らの動詞 をもらい受け動詞 と仮 に呼. ぶ)ン 。 これ らの動詞 は,モ ノ自体 の移動 を必ず表す と. (3)a.太 郎 が 隣 の 人か ら鍵 を預 か った。 *太 郎炊 今6居. 文学 0文 化編 (2005年 3月. はか ぎらない が. (た. とえ │ゴ 「私 が父か ら牧場 を もら. う」 の場合,牧 場 が移動す るわけではない),モ ノの 所有権 や利用権 ,管 理責任 の移転 も広義 の「移動」概. 那几保管了釧匙。. 今 『居把釧匙存在太郎 那りL了 。. (2)(3)に お い て, 日本語 「か ら」 の文 (2 a)(3a)が 自然 で あ るの に対 して ,対 応 す る中 国語 “炊 "の 文 (2b)(3b)は 不 自然 で あ る。 中国語 で は 文 (2c)(3c)の よ うに,“ 炊 "を 使 わ な い 言 い 方 が. 念 に含 まれるととらえれば,こ れ らの動詞 も移動 を表. な され る。. の移動」「モ ノが移動す る」 な どと言 う。同様 に,モ. 上の例. す と言 える。以下では,こ の広義 の「移動」概念 を採 用 し,モ ノ自体 の移動 だけでな く,モ ノの所有権や利 用権 ,管 理責任 の移転及び1青 報の伝達 も含めて 「モノ. これ までの ところ,「 か ら」 に つ い て は,そ の 用 法. ノ自体 ,モ ノの所有権 ,利 用権 ,管 理責任 の もともと. (城 田 1993)),「 か ら」 と. の所在先 を「起点」,新 しい所在先 を「着点」 と言 う. が 論 じ ら れ (た と え. │ゴ. 「 に」 の使 い分 け (砂 川 (1984)),「 か ら」 と「 を」 の. ことにする。. 使 い 分 け (三 宅 (1995))ま でが 整 理 され てお り,中. モノの もらい受けでは,モ ノは,与 え手 か ら受け手. 国語 “炊 "に つ い て も意味 と用 法 が 記 述 され て い る. に移動す る。 日本語 では,格 助詞 「か ら」 が ヒ ト名詞. (呂. (1980),原. (1998))。. だ が ,上 述 の よ う な 「か. 句 につ き,移 動 の起点. (つ. ま り与 え手)を マー クす. ら」 と “ 炊 "の 対応 ・不対応 につ い ては,筆 者 の知 る. る。動詞 「借 りる」 を例 にとって, 日本語 の もらい受. か ぎ り考察 されて い ない 。. け動詞 の文型. 王 (投 稿 中)で は ,特 に状 態 変 化 表 現 に つ い て. ,. 「か ら」 と “炊 "の 対 応 ・不対 応 を記 述 した。 そ の 記 i杢. に よれば ,物 理 的 に移 動す るモ ノの起点 を表 せ る と. い う点 で は,「 か ら」 と “ 炊 "は 一 致 して い るが ,モ ノの 出現場所 ・発生場所 につい ては ,中 国語 “ 炊 "は 日本語 「か ら」 と違 って表 しに くい。 この記述 を受 け 入れれば ,「 か ら」 と “ 炊 "が (1)で 対応 し,(2)で. (以 下 これ を「か ら」構文 と呼ぶ)を 示. す と,次 の図 1の ようになる. し,語 順 については. (但. 図 1は 仮 の もの とする)。 太郎 が. 花子 か ら. 本を. 受 け手. 与 え手. モノ. もらい受 け. 着点. 起点. 移動物. 移動. 図 1 もらい受け動詞の文型. (日. 借 りた。. 本語の「から」構文). 対応 しな い ことは うま くとらえる こ とがで きる。 とい. 一 方 ,中 国語 にお い て ,前 置詞 “ 炊 "は ヒ ト名詞 の. うの は ,(1)で は北京 とは話 し手 (私 )の 物理 的移動 の 起点 で あ り,(2)で は親 とは子供 の 出現 ・発生 の場. 前 に置 かれ ,起 点 の与 え手 を示す こ とがで きる。 日本. 所 だか らであ る。 しか し,(3)は. ,出 現 ・発生や ,王. 語 と違 うの は,ヒ ト名 詞 の 後 に “那 りL(nar,∼ の と こ ろ )",“ 手 里 (sh6uh,手 の 中 )",“ 身 上. (shen―. (投 稿 中)で 取 り上 げた状 態変化 の さまざ まな下位 類. shang,∼ の体 )"な どの場所化表現 が付 き,ヒ トが場. には該 当 しない ため ,上 の考 えで は説 明 で きな い。 炊 "の 対 応 ・不 対 応 を,他 本 稿 で は ,「 か ら」 と “. 所化 され る ところであ る。 中国語 の もらい受 け動詞 の. 動性 の観点 か ら論 じる。紙面 の都 合 に よ り,こ こで は. よ うになる。. 特 に,ヒ トが起点 であ る場 合 ,つ. ま リヒ トを表す名詞. 文型 (以 下 これ を “炊 "構 文 と呼 ぶ )は ,下 の 図 2の. に「か ら」 と “ 炊 "が 付 い て い る場 合 を取 りあげ る こ. 太郎 太郎. とにす る。. 受け手 着点 2。. も らい 受 け を 表 す 構 文. 炊 から. 一本市。 那几 借了 花子 一冊の本 ところ 借 りた 花子 与え手 場所化表現 もらい受け モノ 移動物 起点 移動. 図 2 もらい受け動詞の文型. (中. 炊"構 文 国語の “. ). ヒ ト名詞 に「か ら」 と “ 炊"が 付 いてい る文 の多 く. この ように起点が ヒ トで あ る場合 ,中 国語 には上 に. は,も らい受けの表現 で あ り,前 述 の (3)も その例. 述 べ た 「場所化」 とい う特殊事情 が た しか に存在す る. 外 ではない。観察 に先立 ち,ま ず もらい受けの表現 に. が ,そ れ以 外 に つ い て は,「 か ら」構 文 と “ 炊 "構 文. ついて紹介 してお く。. に特 に違 い はな い よ うに見 える。で は,な ぜ 日本語文. 日本語では,モ ノの もらい受 け を表す には,「 もら. (3a)の 「か ら」構文 に中国語文 (3b)の “炊 "構 文. う」「借 りる」「預 かる」「受 け取 る」 な どの動詞 を用. は対 応 しな い の か。次 の 3節 以 降 で は,「 か ら」構 文.
(3) 王 軟. 群 :起 点 としての ヒ トを示す 「か ら」 と “ 炊". 67. と“ 炊 "構 文 の対応 ・不対応 を他動性 の観点か ら解明. 手 の意志 は無視 されてい る. してい く。. に与 えるわけではない)。 受け手 が意図 を達成 し,利. (つ. まり,与 え手 は意 図的. 益 を得 る。 これ に対 し,与 え手 は受け手 の動作 によつ. 3.他 動 性 に よ る も らい 受 け動 詞 の 分 類. て被害 を受ける。 したがって,こ の タイプの動詞 は他 動性 が高 い と言える。 これ ら (4)(5)の 文 (b)を 見. ホ ッパー と トンプソ ンは,他 動性 とい う概念 は二項. ればわかるように,こ の タイプの「か ら」構文 には. ,. 的なものではな く,高 い∼低 い とい う程度 の問題 であ ると主張 し,他 動性 の高低 を左右す るパ ラメー タとし. いず れ も “ 炊"構 文 が対応 してい る。. て,「 参加者」「運動性」「アスペ ク ト」「瞬時性」「意. ら」構文 は無理 な く “ 炊 "構 文 に訳せ る。次 の文. 図性」「肯定性」「モー ド」「動作主性」「 目的語 の受影. を見 られたい。. 性」「 目的語 の個体性」 の十項 目を挙 げ て い る. (HOp―. per&Thompson(1980))。. 日本語の他動性 に関 しては さ ら に,ヤ コ ブ セ ン (1989),角 田 (1992),鷲 尾. (1997)な どの詳 しい研究 が ある。角 田 (1992)は. ,. この タイプの動詞 の場合,モ ノが抽 象的 で も,「 か (6). (6)a.病 魔 が彼女 か ら幸せ を奪 い取 った。 b.病 魔炊地身上奇走了幸福。 モ ノが 幸ネ 冨の よ うに抽象的 で も,(6a)の 「か ら」 炊"構 文が対応 してい る。 構文 には (6b)の “. Hopper&Thompson(1980)を 踏 まえて,典 型的な他 動詞文 の意味的特徴 を「参加者が二人. (動 作者 と動作. の対象)ま たはそれ以上 い る。動作者 の動作 が対象に 及 び,か つ,対 象 に変化 を起 こす」 としてい る。そ し て鷲尾 (1997)は ,「 自動詞 ―他動詞 ―使役動詞」 と い う他動性 の系列 に関 して 日本語 と英語 の比較対照 を してい る。. 3.2 動詞 の他動性 がやや低 い「か ら」構文 タイプ Bは ,い ま見たタイプ Aよ り少 し他動性が 低 い動詞 である。具体的 には,日 本語 では「借 りる」 「買 う」 などが この タイプにあたる。 (7)(8)を 見 ら れたい。 (7)a。. これ らの他動性 に関する先行研究 に基づ き,「 か ら」 構文 に現 れるもらい受け動詞 を,他 動性 によってタイ. b。. (8)a。. プ A∼ Dの 四つ の タイプに分類す るこ とがで きる。. b。. 太郎が花子 か ら本 を借 りた。 太郎炊花子那りL借 了本市。 太郎 がアメリカ人か ら絵 を買 った。 太郎炊美国人手里 4. i了. 幅画。. 以下 , 日本語 「か ら」構文 と中国語 “ 炊 "構 文 の対応 ・不対応 を,動 詞 の他動性 の高 さごとに,1タ イプず. ノの移動がある。 しか し,タ イプ Aと まった く同 じ. つ観察す る。. とい うわけではない。「借 りる」「買 う」が表すのは動. 文 (7)(8)│こ お い て も,受 け手 と与 え手 の 間でモ. 作主 の意図的な行為 ではあるが,動 作主か らモノヘ の. 3.1 動詞 の他動性が最 も高 い「か ら」構文 タイプ Aは ,他 動性 が最 も高 い タイプの動詞 で 日本語では「奪 う」「取 る」「掏 (す )る 」「盗む」「持. 直接的 な働 きかけではない。受け手 の 目的が達成 で き. ってい く」「さらう」 などが この タイプに該当す る。. か とい う判 断 に よるこ とで あ る。つ ま り,タ イプ B. 伊Jを (4)(5)に 2挙 │デ る。. の動詞 の場合 はタイプ Aと は異 な り,与 え手 の意志. ,. (4)a。 b。. うかは,与 え手の 「貸す」 か ど うか,「 売 る」 か ど う. 泥棒が通行人か らかばんを奪 った。. が深 く関わ つてお り,そ れだけ受け手 か らの働 きかけ. 小倫炊行人手里拾了包。. の度合が弱 くなっている。. (5)a.男 が女か らお金 を盗んだ。 b。. るか どうか,う まリモノの移動が引 き起 こされるか ど. 男人が、 女人那ノL倫 了践。. この タイプの構文 は,モ ノが「本」 や「絵」 のよう な具体物 の場合 ,文 (7)(8)の よ うに “ 炊 "構 文 が. この タイプの文 で は,デ キ ゴ トを構成す る参加者. 「か ら」構文 に対応す るが,モ ノが抽象的な もの にな. は,受 け手 ,与 え手 ,モ ノの 3つ であ り,受 け手が意. ると, 日本語 「か ら」構文が 自然 であるのに対 し,直. 図的 にモノに働 きかけを行 い,モ ノを与 え手 (典 型的 にはモノの本来 の持 ち主)か ら自分 の方へ移動 させ る. 訳 された中国語 “ 炊"構 文 は成 り立 たな くな る。 (9). ことが表現 されてい る。 (4)の かばん強奪 ,(5)の 窃. (9)a.友 人か ら名前 を借 りて土地 を購入 した。. を見 てみ よう。. 盗 はいずれ も,動 作 は瞬時的で,終 結性 が高 い。モ ノ. b.*炊 朋友那りL借 名字要了土地。. の移動 を引 き起 こすのは主体 としての受け手 か らの一 方的な (典 型的には物理的な)働 きかけであ り,与 え. 文. c.借 朋友的名字要了土地。 (9)の 場合 ,移 動す るモ ノは,名 前 とい う抽象.
(4) 甲南女子 大学研 究紀 要第 41号. 文学 0文 化編 (2005年 3月. ). 物 で あ る。 この場 合 , 日本語 「 か ら」構文 が 自然 で あ. 「英語」 を「単語 を覚 える コツ」 に変 える と,文 (H. るの に対 して ,中 国語 “ 炊 "構 文 は不 自然 であ る。 こ. b)の ように 自然 になる,と い うことで あ る。 これは. れ らの場 合 ,中 国語 で は 文 (9c)の よ う に,与 え 手. なぜ だろ うか。. (「 の」 )"を 使 っ て 属 格 (genidve)と して 表. を,“ 的. (11)a。. 教 わった。. す必 要 が あ る。 この よ うに,他 動性 が やや 低 い タイプ Bの 動 詞 の 場 合 ,モ ノが抽 象物 になる と,起 点 と しての ヒ トは中 国語 の. わた しは田中先生か ら単語 を覚 える コツを. “ 炊 "で 表示 で きな くなる。 モ ノが具体 的 か. ,. b。. 我炊田中老llT那 ノL学 了t己 単珂的宥「可。. 「教 わる」 とい うのは相手 に教 えて もらうことで あ り,与 え手 か ら受け手へ の知識 の伝達が存在す ること. ッパ ー と トンプソ ンの考 え. か ら,モ ノの移動 として捉 え られる。 (10)で 問題 に. に よれ ば ,他 動性 を構 成 して い る十個 の パ ラ メー タの. なってい る英語 のような語学能力や,ピ アノの ような. 一 つ 「 目的語 の 個 体性. に関 わ る。 モ. 技能 は,一 般 的・抽象的 で あ り,「 移動す るモ ノ」 と. ノが 具体 的 で あれ ばそれだ け文 の他動性 は高 く,抽 象. してのイメー ジはそれだけ希薄である。 これは,英 語. 的 で あれ ば文 の他動性 は低 い。他動性 とい う概 念 を動. や ピアノの個体性が低 い とい うことである。それに比. 詞 につ い てだけで はな く,文 につい て も考 えてみ た場. べ ると,単 語 を覚える コツや料理法な どは個別的 ・具. 抽 象的 か とい う こ とは ,ホ. 合. (こ. (individuation)」. れ もホ ッパー と トンプ ソ ン以来 ,広 く認 め られ. 体的 で あ り,個 体性 がそれだけ高 い。 日本語 「か ら」. て い る考 えであ る),“ 炊 "構 文 の 成立 は ,文 の他動性. 構文 は,個 体性 の 高 さと関係 な く自然 だが,中 国語. が 高 い場 合 に制限 されて い る と言 える。 この こ とか ら予測 され るのは,動 詞 の他動性 が さら. “ 炊"構 文 は,文 (10b)と 文 (Hb)の ように,個 体 性 が低 い “ 英悟"の 場合 は不 自然 で,個 体性 が 高 い. に低 い場 合 は,“ 炊 "構 文 は さ らに制 限 され る とい う. “ 窃日 (qiaOm6n,コ ッ)"の 場合 は 自然 であ る。つ ま. こ とであ る。 この予想 は ,次 に示す ように,あ た つて. り,文 の他動性が低 い と不 自然である。 情報 ・知識 の獲得 を表す動詞 には,ほ か に「聞 く」. い る。. 「知 る」 がある。 これ らが「教 わる」 な どとまった く. 3.3 動詞 の他動性が さらに低 い「か ら」構文 タイプ cは ,タ イプ Bよ りもさらに他動性が低 い. か もしれない。 だが,こ れ らの動詞 は,移 動す るモノ. 動詞 で あ る。具体的 には,日 本語 では「教 わる」「預. の個体性 の高低 によって “ 炊 "構 文 の 自然 さが変わる. かる」「受け取 る」「授 かる」 などが この タイプに属す. と い う点 で は,「 教 わ る」 と似 て い る。次 の. る。. (13)を 見 られたい。. 同 じ他動性 を有 してい るか どうかは微妙な部分があ る. この タイプの動詞 は ,受 け手が モ ノに働 きか け を行. (12)a。. 彼 か ら妹 のことを聞い た。. うので はな く,受 け手が逆 に与 え手 か ら動作 ,行 為 の. b。. 炊他那りL瞬 現了妹妹的事。. 影響 を受 ける とい う受動 的 な意味 を表 して い る。言 い. (13)a。. ノの 移動 は ,受 け手 か らモ ノヘ の 積極 的. b。. 換 えれば ,モ. な働 きか け に よるの で は な く,与 え 手 が 受 け手 に動 作 ,影 響 を行 う こ とに よつて引 き起 こ され る。受 け手 は動作 の主 体 ではな く,む しろ客体 になって い る。以 上 の こ とか ら,こ の タイプの 動 詞 は,タ イプ Bと 比 べ て ,他 動 ′ Lが さらに低 い とい うこ とが 分 か る。. (12). 彼 か ら将来の展望 を聞いた。 ??炊 他那り L噺 現了対未来的展望。. c.晴 他現了対未来的展望。 上 に挙 げた (12)(13)の うち,(12)で は「か ら」 炊"構 文が対応 してお り,「 か ら」構文 の文 構文 と “ (a)と “ 炊"構 文 の 文 (b)は ともに 自然 だが,(13) では対応が見 られず,「 か ら」構文 の文 (a)が 自然 で. 次 の文 (10)に 例示す る よ うに, 日本語 で は この タ. あ るの に対 して,“ 炊"構 文 の 文 (b)は 不 自然 で あ. イプの動詞 を含 む 「か ら」構文 は無理 な く成立 す るの. る。 この場合,中 国語 では (c)の よ うに,補 文構造. に対 して ,中 国語 に直訳 された “ 炊 "構 文 は成立 しな. をとる必要がある。 以上 のような (12)と. い。 (10)a。 b。. わ た しは 田 中先 生 か ら英 語 を教 わ っ た 。. *我 炊 田 中老 llT那 りL学 了 英 悟 。. c.我 眼 田 中老 llW学 了英 瑶 。. (13)の 違 い も,移 動す るモ. ノ (妹 のこと,将 来 の展望)の 違 い に起因する。つ ま り,妹 に関す る事柄 は具体的で,個 体性 が高 いが,将 来 の展望 に関す る事柄 は抽象的で,個 体性 が低 い。. ここで注 目 した いのは,「 教 わる」 の場合,文 (10. この タイプに属す る動詞 の 中には,目 的語 の個体性. b)の “炊 "構 文 は不 自然 な の に,移 動 物 と して の. だけでな く,動 作主性 (agency)の 高低 に応 じて中国.
(5) 69. 語 の文 の 自然 さが変 わるもの もある。「預 かる」 の例. ノであ り,「 か ら」構文 と “炊 "構 文 の 対 応 が 認 め ら. (14)を 見 よう。. れる。励 ましのほか,愛. (14)a.太 郎 が隣の人か ら鍵 を預か った。 (=(3)) b.*太 郎炊部居那りL保 管了釧匙。 c。. 称 賛 ,援 助 ,褒 美 ,支 持. ,. 評価 なども同様 である。 で は ,な ぜ ,抽 象的 な移 動物 が プラス評価 の場 合. ,. “ 炊 "構 文 が 自然 にな り,マ イナ ス 評 価 の 場 合 ,“ 炊 ". 今 『居把釧匙存在太郎那りL了 。. この例 において も,日 本語 の「か ら」構文 の文. ,. (a). 構 文 が 不 自然 になるのであろ うか 。. に中国語 の “ 炊 "構 文 の文 (b)は 対応 しない。「預 か る」 とい うのは,他 人のモノを,頼 まれて一時的に保. 「「か ら」構 文 が “ 炊 "構 文 に対応 す るのは ,文 の他動. 管す ることであ り,他 人に頼 まれない と,こ のデキゴ. 炊 "構 文 に対 性 が 高 い 場 合 で あ る。「か ら」構 文 が “. トは成立 しない。 したがって この点 で 「預 かる」主体. 応 しな いの は,文 の他動性 が低 い場合 で あ る」 とい う. の動作主性 は低 い。そ して中国語 の文 (14b)は 不 自. 考 え を取 り入れれ ば ,次 の よ うに説明 で きる。. この こ と も,タ イ プ A∼ タイ プ Cの 場 合 と同様. ,. 然 である。 (14c)を 見 て分 か る よ うに,こ の場合 中 今 国語 では,与 え手 “ 『居 "(隣 の 人)を 主語 に し,動. ・虐待 ・攻撃 ・非難 ・報復 0干 渉 ・懲 罰 な どは ,マ イ. 詞 を他動詞 “ 存"(預 け る)に 変 えることによ り,能. ナ ス評価 で あ るが ゆ えに,受 け手 は一 般 に,こ れ らを. 動的 にデキ ゴ トを表現す る。. 受 け入れ よ う とは思 わ ない。 つ ま り,こ れ らの受 け入. 以上 をまとめると,次 のようになる :他 動性 が低 い タイプ Cの 「か ら」構文 に関 して,“ 炊"構 文 は対応. れ に関 して受 け手 の 意 図性 (volitionality)は 弱 い。受. した り,対 応 しなかった りと複雑 な対応 を示すが,こ. り,受 け手 に よる働 きか け は まった く存在 しない 。 そ. の対応 は無秩序なものではない。「か ら」構文 が “ 炊". の ため ,文 全体 の 他動性 も低 い の で ,“ 炊 "構 文 は対. 構文 に対応す るのは,文 の他動性が高 い場合 であ り. 応 しな い。. ,. 「か ら」構文 が “ 炊 "構 文 に対応 しない のは,文 の他. まず ,移 動物 が マ イナ ス評価 の場合 につい て。誤解. け手 は与 え手 か らの被 害 を一 方的 に蒙 る被動作 主であ. 反対 に,移 動物 が プラス評価 の場合 につ い て。励 ま. 動性 が低 い場合 である。そ して,こ の場合 に重 要な他 動性 のパ ラメー タとは,移 動物 の個体性 ,主 体 の動作. 一 般 に,人 が 手 に入 れた い ,手 に入れ よ う と思 うモ ノ. 主性である。. で あ る。 つ ま り,受 け手 の意 図性 が高 い。 そ の ため文. し,高 い評価 ,称 賛 ,支 持 ,援 助 ,褒 美 ,愛 な どは. ,. 全体 の他動性 が 高 いの で ,“ 炊 "構 文 も自然 になる。. 3.4 受益 と被害 を表す「か ら」構文 タイプ Dは ,タ イプ cと 同 じく受動的な意味 を表 すが,具 体物 だけではな く,情 報伝達 ,心 的作用など. も らい 受 け を 表 さ な い 構 文. 4。. に関す る抽象物 の移動 も表す動詞 である。具体的には. 「ヒ ト名詞 十か ら」 は,以 上で観察 した,も らい受. 日本言 吾では,「 もらう」「得 る」「受 ける」 な どが この. けを表す構文 とは別 の構文 に現れる こともある。次 の. タイプである。 まず (15)の 文 を見 てみ よう。. (17)は その例 で,「 ヒ ト名詞 十か ら」 が受動構文 に現. (15)a。. 彼 は周 りか ら誤解 を受けた。. b.*他 炊周目的人那りL受 到了渓解。. c.他 受到了周目的人的渓解。 (15)に 見 るように,移 動物 が誤解 の よ うな抽象物 の. れてい る。 (17)a。 b。. c。. 彼 が周 りの人から注 目されてい る。. *他 炊周目的人那りL受 到了注 目。 他受到了周国人的注 目。. 場合,日 本語 「か ら」構文 は 自然 だが,中 国語 “ 炊" 構文 は不 自然 で あ る。誤解 のほ か,攻 撃 ,非 難 ,報. 「周 りの 人が彼 に注 目してい る」 の主語であるが,受. 復 ,干 渉,懲 罰,警 告 ,中 傷 ,虐 待 などマ イナス評価. 動 文 で は「か ら」 に よ っ て 表 示 され て い る。砂 川. の移動物 の場合 ,「 か ら」構文 はいず れ も “ 炊 "構 文 い には直訳 で きな 。. (1984)は ,「 か ら」 が受動文 の動作主 マー カー として 使用可能な動詞 を四つの タイプに分け,そ の共通点 と. ところが,移 動物 が プラス評価 の場合 ,“ 炊 "構 文. して,「 Aか ら Bに 向かっての移動 ない しは心的働 き. は 自然 になる。たとえば (16)を 見 られたい。. (16)a.患 者が多 くの人 々か ら励 ましをもらった。 b。. 患者炊根多人那りL得 到了鼓励。. (16)で は,移 動物 は励 ましとい うプラス評価 のモ. 文 (17a)│こ おける周囲の人間 は,対 応す る能動文. か けが合意 されてい るとい う点 である」 と指摘 してい る。 この ことか ら,受 動文 にお い て,「 か ら」 が動作 主 と起点 の二重役割 を担 っていることが分かる。. 3節 で見 たように,も らい受 けを表す構文 の場合. ,.
(6) 甲南女子大学研究紀 要 第 41号. 70. 文学 ・文化編 (2005年 3月. ). 「か ら」構文 タイプ A →. タイプ B →. タイプ C → タイプ D. →. 受動文 →. タイプ C. →. 受動文. 自動詞文. “ 炊"構 文 ‐. タイプ. A. →. タイプ. B. →. → タイプ. D. ‐ ‐. →. 自動詞文. 炊"構 文 との異同の まとめ 図 3 日本語の「から」構文 と中国語の “ 能動 的 な意味 を表す タイプ A,Bの 動 詞 と違 い ,タ イ. よ うな用法 には文 寸応 しない 。. プ C,Dの 動詞 は受動 的 な意味 を表す。 上の例 にお け る 「注 目 されて い る」 の よ うな受 動 的 な述部 は,「 受. 5。. ま. め. 動 的 で あ る」 とい う点 で ,タ イプ C,Dの 動詞 とつ な が っ て い る。「か ら」構 文 (17a)に “ 炊 "構 文 (17. 本稿 では,起 点 としての ヒ トと共起する動詞 を,他. b)が 対 応 せ ず ,(17c)の ように言 う必 要が あ る とい う こ とは ,受 動文 の他動性 が一般 に低 い とい う こ とを. 動性 に よって 4つ の タイプ. 考 えれ ば 自然 に理 解 で きる。. との異 同 を対照 した。 さらに,タ イプ Dの 動詞 の文. (タ. イ プ A∼ タイ プ D). に分け, 日本語 の「か ら」構文 と中国語 の “ 炊"構 文. なお ,受 動文 の ほか , 日本語 で は,起 点 と して の ヒ. と連続す るもの として,受 動文 と,一 部 の 自動詞文に. トが意 図性 の な い 自動詞 と共起す る 自動詞文 もあ る。. ついて も「か ら」構文 と “ 炊"構 文 とを比較 した。そ. た とえば (18)で あ る。. の結果 を図で示す と,上 の図 3の ようになる。. (18)a。. 彼 か ら電 話 がかか って きた。. b.??炊 他 那り L打 来了 屯活。 c。. 他打 来了 屯活。. 日本語 で は,他 動 性 が最 も高 い タイプ Aの 表 現 か ら 自動 詞文 まで ,「 か ら」構 文 は連続 的 に分布 して い るの に対 し,中 国語 で は,“ 炊 "構 文 は タイプ Aの 表. (18a)の 自動 詞 文 にお い て ,デ キ ゴ トを引 き出 し. 現 か ら 自動詞文 へ と,他 動性 が下が るに従 って ,自 然. の 意味 で彼 は あ る程度 は動作 主. さが落 ちて くる。 つ ま り,受 け手が動作主 としての役. ら しい と言 える),「 か ら」 に よつて示 されて い る。 こ. 割 が 働 か な い ほ ど,“ 炊 "構 文 は成 り立 ち に く くな. の文 は “ 炊 "構 文 で 言 えず ,(18c)の よ う に起 点 の. る。受 け手 か らの働 きか けが希薄 な場合 ,移 動物 の個. 「彼」 を動 作 主 と して明示 し,能 動 的 に表現 す る必 要. 体性 が 高 くな った り,受 け手 の動作 主性 や意 図性 が強. が あ る。 “ 炊 "構 文 は,起 点 と動 作 主 の 役割 が重 な る. くな る と,“ 炊 "構 文 の 成立 が認 め られ る こ とが あ る. と不 自然 にな り,純 粋 な起点 の表現 に しか現 れ な い。. が ,い ず れ もそれ らの事情 に よって他動性 が 高 くな る. たの は彼 であ るが. (こ. 「か ら」 が 示 した ヒ トが モ ノの 起 点 で あ る と 同 時. か らで あ る。. に,動 作主 で もあ る とい う二 重役割 の表現 は,さ らに 次 の構文 における用 法 につ なが ってい る。 (19)a。. わた しか ら彼女 を推 薦 した。. 注. 1)本 稿 は 2004年. b.*炊 我推 存 了地。. 日本語 教 育 国際研 究 大 会 (2004年 8 月,於 日 召和女子大学 )で の口頭発表 に加筆修 正 した も. c.我 推存了地。. のである。執筆 中に熱心 な指 導 を して くだ さった定延. 文 (19a)の デ キ ゴ トは,(伝 達 内容 の )移 動 と と らえる こ とが 少 し難 し く,「 か ら」 は「が」 で お きか え可能 であ る。 つ ま り,推 薦者 であ る私 は起点 とい う よ り,動 作 主 と しての性 質 が 濃 い 。動作 主 を表 す 「か ら」 は “ 炊 "で は 表 せ な い の で ,(19b)は 不 自然 で あ り,(19c)の よ うに 「わ た しが ∼」型 の 文 と して 3。. 表す しか な い. 以上 を ま とめ る と,「 ヒ ト名詞 +か ら」 は,も らい 受 け を表 す構 文 の ほか ,受 身文 や 自動 文 構 文 に も現 れ ,動 作 主 と起 点 の二 重 役 割 を担 うが ,“ 炊 "は 起 点 しか示せ ず ,動 作 主 を表 せ な い ため ,「 か ら」 の この. 利之先生及 び発 表当 日貴重 な コメ ン トを くだ さった皆 様 に心 よ り感謝 申 し上げたい。なお,本 稿 にお ける誤 りは無論すべ て筆者 の責任 である。 2)奥 津 (1996)で は「取得動詞」 と呼 ばれてい る。. 3)た だ し,こ. の 場 合 の「か ら」 も使 用 上 に制 約 が あ. る。主語 にお ける「が」 と「か ら」 の交替 に 関す る詳 しい研究 は伊藤 (2001)を 参照。 なお,こ の 場 合 の「か ら」 には 中国語 の 前 置 詞 “由" が対応する ことが ある。た とえば,「 わた しか らご説明 し ま す」 を訳 す と,“ 由 我 来 解経 一 下"に な る。呂 召出事情 的負責者 (1994)は ,“ 由"の 主 な機能 は,“ 介夕 及劫作的執行者"(デ キ ゴ トの責任者 と実行者 を引 き出 す)と 指摘 してい る (呂 (1994:290))。.
(7) 参考文献 "一 “ 来 源 をあ らわす もの と して」 原 由起 子 (1998)「 炊 『姫路独協大学外国語学部紀要』,H号 ,pp.257-271.. Hoppcr,Paul.J&Sandra A.ThompsOn(1980)“ Transitivity in Grammar and Discoursc".Language 56(2),pp.251299。. 書房。 王 軟群 (投 稿中)「 起点 を表す 日本語の 「か ら」 と中国 炊"が 使 えな い 語の “ 炊 (c6ng)"一「か ら」 が使 えて “ 場合 を中心 に一」 城 田 俊 (1993)「 文法格 と副 詞格」,仁 田義 雄編 『 日本 語 の格 をめ ぐって』,pp。 67-94,東 京 :く ろ しお出版 .. 池上嘉彦 (1981)『「す る」 と「な る」 の 言語 学 一言語 と 文化 の タイポ ロジーヘ の試論 ―』,東 京 :大 修館書店。. 砂 川有里子 (1984)「「二」 と「カ ラ」 の使 い 分 け と動 詞 の意味構造 につい て」『 日本語 0日 本文化』 12,大 阪外. 伊藤健人 (2001)「 主語名詞句 におけるガ格 とカラ格 に交 替 に つ い て」『明海 日本 語』6号 ,明 海 大 学 日本 語 学. 角 田太作 (1991)『 世界 の 言語 と日本語』,東 京 :く ろ し. 国語大学 ,pp。. 会,pp.45-63。. お出版. 昌淑湘 (1980)《 現代波悟八百司》 ,北 京 :商 勢印市館. 呂文隼 (1994)《 対外波t吾 教学悟法探索》 ,北 京 :悟 文 出. 版社 . 三宅知 宏 (1995)「 ヲ とカラー起点 の 格表示 ―」,宮 島達 夫 ・仁 田義雄編 『 日本語類義 表現文法 (上 )』 ,pp.67-. 73,東 京. :く. ろ しお出版。. 奥津敬 一 郎 (1996)『 拾遺. .. ヤコブセン,ウ ェスリー OM。 (1989)「 他動性 とプロ トタ イプ論」久野昨彰 0柴 谷方良 (編 )『 日本語学 の新展 開』,pp.213-248,東 京 :く ろ しお出版。 鷲尾龍 一 (1997)「 他動性 とヴ ォイスの体系」,鷲 尾龍 一 。三原健 一著 『ヴォイス とアスペ ク ト』,第 I部 ,pp.2. -lo6,東. 日本文法論』,東 京 :ひ つ じ. 71-86。. 京 :研 究社出版. ..
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