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プルチの『モルガンテ』におけるマルグッテ像

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(1)プルチの『モルガンテ Jにおけるマルグッテ像. 中川. プルチの『モルガンテ』におけるマルグッテ像 中川. 光. ふたつの肖像画 ブイレンツェ、サンタ・トリニタ教会内のサッセッティ礼拝堂にはドメ ニコ・ギルランダイオ作の半月形のプレスコ画、“フランチェスコ会則の承 認"の図がある。これは聖ブランチェスコが教皇オノリオ 3世によってブ ランチェスコ派の修道会としての認可を受ける場面を描いたものであるが、 この絵が制作された当時(14 83-1485年頃)のブイレンツェの支配者ロ レンツォ・デ・メディチ ( L o r e n z od e 'M e d i c i1 4 4 9 ・1 4 9 2 ) とそのサーク ルがこの中に描き込まれている. O. 背景にはシニョリーア広場が描かれ、上. 下にふた通りの群像が描き分けられている。上段には聖ブランチェスコが 脆き、右側の教皇に会則を示し、その後ろで弟子たちが居並んで、見守って p る様子が表されているのに対し、下段には地下から地上に上がる階段に. ポリツィアーノをはじめとするロレンツォのサークルの面々が列を作って 並んでおり、右前の地上に立つロレンツォを仰ぎ見る構図になっている。 ちょうど教皇とロレンツォが、ポリツィアーノとフランチェスコが対応す る形になっている。アビ・ヴアールブルクはこのロレンツォのグループの 末尾にいる人物をルイージ・プルチと推定している。ルイージ・プルチは ロレンツォの若い頃からの友人であり、このグループの内にプルチがいる ことは不思議でないどころか、いない方が不自然であり、その容姿からし て描かれた人物は当然プルチであると推定したのである ファノ・カライはこの推定の誤りを指摘している ところに拠れば. O. しかし、ステ. )。ヴァザーリが記する. (1. )、プルチにはもうひとつ同じ頃描かれた肖像画がある. (2. O. 門. 噌EA. i 唱. i.

(2) 文学・芸術・文化 1 6巻 1・2号合併号 2 0 0 5 . 2. それは同じくブイレンツェのカルミネ教会内ブラシカッチ礼拝堂にある. O. フィリッピーノ・リッピの子になるビザンチン帝テオフィルスの皇太子の 復活の図の中に、それに立ち会う群衆の 1人として描かれているのである. O. この両肖像画を比較すると、その容貌に著しい違いが見受けられるのであ る 例えば鼻筋の通り方は、ギルランダイオの画の方は、額から直線的に O. 延びて、はっきりと筋が浮き上がっているのに対して、ブイリッピーノ・ リッピによる画の方は額の下の窪みから延びて、鼻先がやや上向いている. O. また顎は、ギルランダイオの肖像は張りがあり、やや突き出ているのに対 して、リッピの肖像は細く、下顎の肉もやや垂れている。全体としてみて も、ギルランダイオの像の方が、髪も豊かで、艶があり、若々しいのに対 し、リッピの像はやや壮年期を過ぎようとする人物の印象が強く、当時の プルチの年齢と呼応している. O. 従って、カライに拠れば、ギルランダイオ. の像はプルチではなく、プルチと対立していたマッテオ・ブランコである という。しかし、こうした外見的な相違点の他に、ギルランダイオの画が プルチでないとするには別の理由が存在する。それは当時のロレンツォ宮 廷の人間関係の変化であった。そのためにプルチは疎外されており、この 群像の中に加えられることはなかったのである。本論は、 1 5 世紀ブイレン ツェの、異端の詩人ともいわれるルイージ・プルチ ( L u i g iP u l c i 1432-. o r g a n t e )J(最終版 1 4 8 3 ) 1 4 8 4 ) の文学的傾向を代表作『モルガンテ(1M の登場人物マルク守ッテ ( M a r g u t t e ) の造型に探ろうとするものである. O. プルチと口レンツォ プルチ家は名門の家系であったが、ルイージが生まれる 1 4 3 2年頃には衰 退の道を辿っていた。ルイージ・プルチは有力な実業家であったブラン チェスコ・カステッラーニに公私ともに援助を受けた後、その伝を頼って メディチ家に出入りするようになる。当時メディチ家の当主は大コジモの. -118-.

(3) プルチの『モルガンテ Jにおけるマルグッテ像. 中川. 時代であったが、プルチはその息子の嫁であったルクレツィア・トルナ ブォーニに目をかけられて、その依頼によって、代表作『モルガンテ』を 書き始める O この頃、ロレンツォは 1 8 歳、プルチはすでに 3 0 歳になろう としていた。ここで 2人の聞に交流が生まれることになるが、若き日のロ レンツォは人生の先輩としてのプルチに対し、無垢な心で親近感を覚えた か も し れ な t' ¥ 。 し か し 、 や が て ロ レ ン ツ ォ が 成 長 し 、 メ デ ィ チ 家 の 後 継 者. としての道を辿るにつれて、プルチとの力関係は変化してくる。 1 464 年. 465年にかけて兄が継いでいたプルチ家は破産に追い込まれ、プル から 1 チも兄とともにフレンツェから退去せざるを得なくなり、ロレンツォに援 助を請うことになる。例えば、次にあげるのは、この頃プルチがロレン ツォに宛てた子紙であるが、悲痛なほど一方的な j 思い入れが窺われる. O. あなたはついに私を雪の降りしきる森に独り寂しく残して、ローマへ行 かれるのですね。数ある不幸に、またしでもあなたと一緒に馬上の旅をで きないという不幸が重なるのですね。何という私の定めか。いつになった らお供できるのでしょうか。老いぼれとなった頃なのでしょうか。天から 見捨てられ、打ちのめされでもこんなにも忠実な召使い、あるいは仲間を 他に見つけられるとでも言うのですか。何度となくローマについて語り 合ったではないか。私はあなたと一緒に行くべきではないのか。私を見捨 てようとしているのか。私のために費用がかさむのを恐れているのか。で も疑う事なかれ、さんざんな仕打ちを受けても私はあなたに敬意を払うで しょう. O. 一頭の馬を与えてくれるだけでよいのです。その町で私はたくさ. んの友情ができ、才能を生かすことが十分できるでしょうから. O. あなたの. 部下のなかでも、あなたが思うほど恥ずかしい者とはならないでしょう。 本当に私を追い出してしまうなんて間違っています。このまま私を不遇の ままにするなんて大変な間違いです。これで私は苦しんでいるのです。鎖 を断ち切って、このように私を追い出さないでくださ t) 0 私のことを気に 4EA tEA. Qd.

(4) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号 2 0 0 5 . 2. してくれるなら、再びしっかり幹は元に戻るでしょう. O. たとえ縁が切れて. も、私には援助と慰みが必要なのです。あなたが幸福の絶頂にあるとき、 私は不幸をかこっていることを覚えておいてください。(:l). まるで不実な恋人をなじるかのような調子で執掲に援助を求めてくる様 子は、 その当時の二人の力関係を如実に表している。若い頃、 ロレンツォ を指導する立場にあったプルチの面影はまるでない。 こうした援助を請う 内容のロレンツォ宛書簡がいくつも残っている。 ロレンツォとしても昔の よしみで援助の手を差しのべる用意はあるが、 あまりの押しつけがましい 友情に閉口したのではないだろうか。 ロレンツォとプルチの仲は冷めてい く一方である。 やがて、 プルチはロレンツォの援助によってブイレンツェに戻ることが できるが、その後はロレンツォの命によって、 フィレンツェの外への派遣. 4 7 3 4 7 1年にはカメリーノとフォリーニョ、 ローマ、そして 1 が多くなる o 1 年ボローニャにいた傭兵隊長サンセヴエリーノのもとへ遣わされる。 この 機にサンセヴエリーノと親交が結ばれ、 のちの主従関係に発展していくこ とになり、事実上、プルチはロレンツォの宮廷から離脱するのである. O. 口レンツォ宮廷 プルチの疎外された要因は、 ロレンツォ自身の忌避という点が大きいと 思われるが、そのロレンツォの変心を促したとも言えるのが当時の宮廷の なかの状況であった。プルチがブイレンツェに帰国を許された頃、 ロレン ツォの宮廷にポリツィアーノ ( An g e l oPo1 iz i a n o1 4 5 4 1 4 9 4 ) が加わる. O. プルチは、 この古典的素養をもとに田園的美を歌い上げた詩人に対しては、. r. その学識の深さから敬意をはらったものとみられる o モルガンテ Jの中で も彼のことを取り上げた一節がある。. -120-.

(5) プルチの『モルガンテ Jにおけるマルグッテ像. ともかく. 私は天蓋を従え. 奏楽をともない 朱筆で. 中川. 日傘をさしかけられる. 身分を望むわけではない. 名前を目だたせるわけでもない. それはありふれた書物のやり方だ 私はあの天使が. 居てくれるなら. 知性で名を際立たせようぞ この天使アニョロは. そのために手を貸してくれるから. モンテプルチアーノの栄光として生まれし人だ. x. (X 珊1 4 5 ) (4). この天使アニョロとはもちろん、モンテプルチアーノ出身のポリツイ アーノのことである。プルチはこのように、自分の創作にあたっても、彼 に助言を求めるほど信頼していたと思われる。自分とは全く別の作風をも っ詩人として、敵偏心を抱く必要もなかったのかも知れない。しかし、こ うした仲間ばかりではなかった。ポリツィアーノと同時期にロレンツォ宮 廷に名を連ねた詩人としてマッテオ・フランコ ( M a t t e oF r a n c o1447-. 9 4 ) がいる. O. プルチはこの詩人とは激しく反目しあった。 1 4 7 4年から翌. 年にかけて、互いに非難する詩のやりとりがあった。. ルイージよ. お前は大変気を悪くしているらしいな. 私がお前を居候、たかりと呼んだから. 2日間自分で自分の勘定を払い 自分の塩でスープをつくろうとした それでもはや顔には飢えが 描かれている. ジオットの絵のようだ. 不幸なやつだ. このようなところまでおちぶれて. 誰でもない. この私がお前の状態を心配するほどだ ワ 臼.

(6) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号. ハンカチや子で黄色い青白い頬を もう死後 4日目の. 拭ってみても. ラザロの様だ. お前が宮廷にもう戻って. 仕えないなら. わたしたちも葬儀の鐘を聞くことも 地獄のルビカンテが お前は. 2 0 0 5 .2. ほとんどないだろう. お前のお供をするだろうから. まだ 8日の余裕がある. 死神は十分に. 生きてるうちにいたぶったら. 草刈りがまを抱えて. 大急ぎでやってくる. お前は足を引きずって お前の兄の. 銭泥棒ルーカを訪ねていくがいい. 地獄のジュデッカに. お前の居場所をとってくれているから(s). 一方、プルチの方も応酬する. それでも今は. 行くがいい. O. このちっぽけな詩をなげつけてもらってもよい. 好きなことを言うがいい. 私は笑ってやる. しかし私が我慢していることを忘れるな. これぐらいなら そのうち爆発するからな. ソネットや警句でいがみ合うのはこれでたくさんだ {pい決闘だった〉 だから. これ以上続けるな. さるないと. お前に言っておく. 張り子でお前の顔は血に染まる. 試合に臨まない者を攻撃するのは卑怯なわざ 貴人は詩の中に. お前よりもずっと繊細さを宿す. 警句や. 手紙においてもだ. お前は. ノンサッレの僧ではないか. 本分を忘れたか. マルス神に剣を戻せ 朝に祈祷書を目覚めさせよ そいつはもう十分に昼寝はしたのだから((j). 唱 ム. ワ 臼. 臼 つE.

(7) プルチの『モルガンテ』におけるマルグッテ像. 中川. フランコとの対立は両者とも諮語詩人という作風を共有するゆえの近親 憎悪的なものだったと言えるのではないだろうか。同じロレンツォとの関 係をめぐっての鞘当てを演じたのではないかとも思われる。 プルチにはもう 1人の対立者がいた. O. ブランコとの対立よりもある意味. で深刻ともいえる別の確執であった。それは大コジモの代からメディチ家 に仕えるマルシリオ・フィチーノ ( M a r s i l i oF i c i n o1433-1499) とのそれ である。ブィチ一ノとの対立は単にロレンツォの歓心を競うというのでは なく、イデオロギーとは言えなくとも、自らの拠って立つ文化的基盤をか けたものであった。ブイチーノの唱える新プラトン主義思想(7)はプルチ が代表するような俗世的譜語的文化とはかけ離れたものであったからであ る 何よりもそれが教義を持った宗教としての性格を備えていたからであ O. る。しかし、ロレンツォは若い時代の民衆的趣味を捨て、ブィチーノの新 プラトン主義思想に深く浸ることになる。貴族的で神秘主義的な傾向を持 つこの思想、に、プルチは馴染めなかった。. あの人たちはたいそうな議論をしている 魂がどこに入ってどこから出るかなどと 桃の中の種みたいに メロンについて研究したというわけだ アリストテレスとプラトンを引き合いに出して あの人たちは魂が静かに眠ることを願いながら 歌や騨子に紛れて. ペテンにかける. 頭の中は何がなんだか分からなくなる 魂というものはひとつで. はっきりしている. 暖かい白いパンにのった松の実のように あるいは. パンに挟んだ焼き豚のように つd. “ ヮ.

(8) 文学・芸術・文化 16巻 1・2号合併号 2005.2. だからひとつのものを. 百もあるという連中は. 他のそれを信じる正気とは思えぬ奴とともに 市場に行けば でも. ゆでた栗で支払いをするんだろう. 前世であの世ヘ行った人によれば. もはやそこからは帰れない でも階段だけで. そこには行けると. あの人たちは信じている そこに. 羽のないうぐいすとあおじがいると. 甘いお酒と そして. 手でほぐしたベッドがあると. 坊さんの後をついていく. パンドルフォよ. 私たちは真っ暗な谷へ行こうじゃないか. もうハレルヤの歌声を聞くのをやめて. ( 8). 宗教的神秘主義に流れていこうとする人々の眼をさまさせようとした歌 だが、これは新プラトン主義の批判として受けとめられただけでなく、生 涯、反キリスト、異端の疑いがかけられることになるけ)。いずれにして も、プルチは当時のロレンツォ周辺の文化的傾向に異議を唱えたのである. O. フィチーノへの反撃 プルチの反フィチーノの態度が如実に表現されたと言われているのが、 歌 か ら 第 28 歌にかけて描かれたオルランド 『モルガンテ Jの最後の第 24 (ロラン)の最後の戦い、ロンチスヴアツレ(ロンスヴァル)の死闘であ る。『モルガンテ Jはプルチの代表作であり、それまで流布していたシャル ル・マーニュ伝説をもとに、オルランド(ロラン)、リナルドといったカル ロ・マーニョ(シャルル・マーニュ)麿下の騎士たちが繰り広げる冒険・ 戦争・ロマンスを描いたボイアルド、アリオストの作品へと連なる騎士物 Aせ. “ っ.

(9) プルチの『モルガンテ Jにおけるマルグッテ{象. 中川. 語詩のひとつである。全2 8 歌 、 3万行を超える長編詩であるが、内容的 には第 23歌までで、物語の流れはいったん途切れ、第 24歌からは新しい 話が展開する構成になっている。この全体のほぼ 3分の lにあたる最終部. r. 分に描かれたのがロンチスヴアツレの戦いをめぐる物語である o ロランの 歌』でも知られるこの話はガーノ(ガヌロン)伯の謀略にはまったオルラ ンドが死闘の末、ロンチスヴァレに戦死する経緯を語ったものであるが、 この謀略に加わってオルランドを死に至らしめるイスラムの敵将として、 スペイン王マルシーリオが登場する. O. このマルシーリオという名は伝来の. ものであるが、これは偶然にもロレンツォ宮廷の新プラトン主義者と同名 であった。おそらくプルチはこのことを意識して意図的に、このエピソー ドを付け加えたのではないかと言われている(1)。つまりフィチーノを敵 役に仕立てて、オルランドを倒すものの、最後には征伐されると言う筋立. r. てである o モルガンテ』前半では、マルシーリオは敵ながら紳士的な態度 を示していたのに、第 24歌以降は悪巧みに長けた憎むべき存在として描 かれている。つまり物語の自然な展開から意図的な逸脱がなされているこ とを示している. O. おうと試みている. このことはプルチも意識しており、強引な展開を取り繕 O. マルシーリオは誰にも知れず 天国も地獄の深淵も信じていなかった 冒涜者であったが静かに冒涜をした しかし今回は誰の耳にも届かそうとした たとえ紳士的で分別があっても これは別のところで、歌った通りだが もう一度言おう. まっとうに言おう. この美点で他の欠点、をあがなうことはない. 噌EA. にd. 山 つ.

(10) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号. 2 0 0 5 . 2. この男は真似をしたり、ふりができたのだ 純潔さ、尊厳さ、献身を装おうことが 絵を描くように自分の生き様を偽ることができた 人々がかつて期待していたとおりに だが. いまや戦いが差し迫って来ているのがわかって. つまり. 彼はブアルセローネの死を悼み. 天をご丁寧に罵ったのだ 私が述べたごとく. 誰にも聞こえるように. (XXV I 118119) (11) ・. この設定がプルチの目論見に基づいていたことは明らかである。話の展 開の不都合を承知しながら、わざわざこのフィチーノ批判をするため第 24 歌以降の後半部を付け加えたとすれば、その思いはかなりの根深いもので あったと考えられる。プルチは観想、に沈潜していく新プラトン主義に違和 感を感じ取り、その主唱者を偽善者、詐欺師に喰え、直接的ではないもの の徹底的に物語の中で悪として訴えようとしている. O. しかし、結局はマル. シーリオにオルランドは敗れるのであって、流れを変えることはできない のである. O. 従って、プルチはそのことを分かりながら、文学上の寓意とし. て異議申し立てを試みたのであった。では新プラトン主義を嫌うプルチ自 身の文化的基盤とは一体どのようなものであったのだろうか。それが具体 的に表れているのが、『モルガンテ』のなかのマルク*ッテの存在であろう. O. マルク、ッテの人物像 オルランドの物語は中世において広く街頭の吟遊詩人たちによって歌わ れていた。実はブルチはその中のひとつであったと思われる『オルランド. ( O r l a n d o )J(凶と呼ばれる作者不詳の作品を模倣して『モルガンテ』の前 半部を書いたとされる. O. ストーリー展開をはじめ、数々のエピソードは p o. “ ヮ4EA.

(11) プルチの『モルガンテ Jにおけるマルグッテ像. 中川. 『オルランド Jとそっくりであることから、『モルガンテ Jはプルチの純粋 なオリジナル作品とは言い難い面がある 付け加えたと言うべき部分もある. O. しかし、中にはプルチが独自に. そのひとつがモルガンテとマルク守ッテ. O. rモルガンテ Jのなかにも、この部分が加筆 の出会いと道行の場面である o された部分であることを述べた一節がある O. そろそろ先人の跡を辿っていきたい オルランドの歌には無いものだから このマルグッテの話は ここだけ新しく付け足したものだから エジプトにある書物があって このマルグッテの話を裏付ける 作者をアルファメノンといい 女たちの憲章を書いた人だ. そいつはペルシャ語で書かれていた それがアラビア語とパビロニア語に訳されて それからシリア語にもたらされ さらにギリシア語. そしてヘブライ語. そしてかの古代ローマ語になり ついには俗語になった つまりネムロ(ノすベル)の塔を巡りめぐって ブイレンツェ語にもなったというわけだ. ともかく. 奴はあらゆる悪事に通じており. 大きくなる前から既に悪党で だから子供の時から始まっていたのだ. 門. tEA. i. “ ヮ.

(12) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号. 2 0 0 5 .2. 他人のものを欲しがるということが で. あらゆる悪意を身につけたので. その評判はあまねく広まったが 奴の行ないと罪は ライオンのものではなく狐のものだと思われる. ( X 153155) (日) ・. マルグッテという人物像が古来の伝承であることを述べているが、もち ろんこれは、プルチが真面白にマルグッテの伝統を調べ上げたわけではな く、創作であろうと考えられる。つまり、マルグッテという俗悪な人物像 までもが古代の伝統に連なっていることを示すことで、古典権威を偏重す る人文主義への調刺となっている. O. マルグッテの話がエジプト起源だとい. うのは、同じくエジプト起源で新プラトン主義に大きな影響を与えたとさ れるヘルメス文書と同じレベルに置いて、これをラテン語訳したフィチー ノを榔撤していると思われる。いずれにしても、まともな形で伝統を受け とめるのではなくて、プルチ流の人文主義的な講釈なのだといえる. O. この‘由緒ある'マルグッテは巨人モルガンテの相方として登場する半 巨人である。巨人になろうとして途中で止めた中途半端な存在でもある 出会いの場面でマルグッテは自らの素性を長々と語り出す。. ある日モルガンテは十字路にさしかかる 森の谷聞を抜けたところだ 遠くからやってくるのが眼の片隅にはいった 顔つきからして怪しげな男だ 打ち棒の先を打ちつけた 地面の上に. そして言った〈見知らぬ奴だ〉. そして岩の上に腰掛けた その男が通るのを待つことにしよう. -128-. O.

(13) プルチの『モルガンテ』におけるマルグッテ{象. 中川. モルガンテはそいつの体つきをじっと見つめた 何度も何度も頭のてっぺんから足の先まで 見るからに異様でおぞましく醜かった 〈名を名乗られよ、道行く人よ〉と言った その男は答えて日く〈俺の名はマルク、、ッテ、. 巨人になりたいと思っていた それから中途まで来たときに後悔してやめたのさ 分かるだろう. 俺はちょうど七ブラッチャで止まっているのさ〉. モルガンテは言った〈よく来た これで酒瓶を傍らに持たせて行ける 酒瓶が無くて 2日間も飲んでいないのだから 俺と一緒に旅をするなら 旅の途中で必要なことはお前にしてやろう もう少し話をしてくれ. まだ聞いていないことがある. お前はキリスト教徒か. イスラム教徒か. キリストを信じているのか. 異教神を信じているのか〉. するとマルク守ッテは答える〈直ぐに答えよう 俺は黒も青も信じていないさ ただ雄鶏は信じているさ. 煮ょうと焼こうと. ある時にはバターも信じるさ ビールもだ. 子にはいったときは酒も信じるさ. 銅貨よりも銀貨の方を信じるさ でもやっぱり特に良いワインを信じているさ 信じるものは救われる. -129-.

(14) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号. 2 0 0 5 .2. タルト菓子は大きいも小さいも俺は信じているさ ひとつは母で. もうひとつはその息子だ. 本当の我が父なる神は豚レバーだ. 3つになるか 2つになるか 1つだけかもしれない 一頭分のレノ fーからこれぐら L川まとれるだろう マホメットがワインを禁じてののしろうと 俺は桶で飲みたいんだ マホメットは夢か幻のようなもんだよ. 異教神アポリンは気が狂っているに違いない トリヴィガンテも悪魔の元締めだろう 信仰なんて痔みのように表れる 考えれば分かると思うよ でなけりゃ俺のことを異端と言っていいさ 俺を改心させようたって無駄だからな 俺の同族は廃れることはない 俺はキリストの果実を生み出す肥沃な土地ではないのだ〉 (X珊. 1 1 2 1 1 7 ) (l4). この後マルクゃッテは自分自身にギリシャ人の血が流れていることを述べ、 吟遊詩人でホメロスの故事などを歌っていたが、親殺しを犯してしまい、 放浪の旅にでた (XV s I1 1 8 1 1 9 )。その後も悪事を犯し続け、賭事でも詐欺 を働く. ( X珊1 2 2 ) 0 食べ物にも凝って、自ら調理の知識を身につけており、. 2 3 1 2 8 )。 しかし最も得意とする技は窃盗で 長々とそれを披涯する (X珊1 あり. ( X珊 1 3 2 )、教会に盗みに入ったり、 ( X咽 1 3 4 )、鶏小屋を根こそぎ. にしたり. ( X珊1 3 5 )、聖職者を身ぐるみ脱がしたりした -130-. (XV s I1 3 6 )0 こっ.

(15) プルチの『モルガンテ』におけるマルグッテ像. 中川. した悪党自慢の鏡舌は却って、凄みより軽さを感じさせる. O. 常人には一瞬. 理解できないような真偽も定かでない言葉を並べ立てて煙に巻くという手 法によって、マルク守ッテの佼知を際立たせている. O. プルチは専門職の用い. る符丁、隠語などを採集した語葉集を残しているが(lヘこの部分はそう した成果を存分に生かしているといえる. O. 『モルガンテ Jは、ロレンツォの母であるルクレツィア・トルナブォー ニの依頼によって書かれたと言われている。そのため果たして『モルガン テJがどれほどプルチの文才に適した題材であったか疑問である。先行の 『オルランド』をなそ守っていることからも、プルチの『モルガンテ Jに対 する思いは測られる O これは『モルガンテ』に登場する騎士たちは類型的 であり、名前が変わるだけで、性格、行動様式が似通っているという事実 にも表れている. O. しかし、先程も述べたように独自に付け加えられたマル. グッテだけは、その中にあって異彩を放っている. O. 特異なマルグッテの存. 在は、単なる文学的遊戯というより、彼独自の文学的姿勢が表明されてい ると言っても良いのではないだろうか。この口上の場面もプルチの独自性 が主張されているのである. O. また状況設定についてもそれは言える. O. ひとつはマルク守ッテを半巨人と. いう中途半端な存在にしたことである O まず、『モルガンテ Jのなかで巨 人の存在はどのように位置付けられているかを知る必要がある。それに よって半巨人マルグッテの意昧も明らかになってくると思われるからであ るo. r モルガンテ』のなかでモルガンテ以外にも、巨人は登場する. O. 第1 歌. において修道院を脅かすモルガンテの兄弟の巨人パッサモンテ、アラバス 歌の洞窟の巨人、第 1 0 歌でカラドーロ王により、パリに送られ トロ、第4. 2歌でペルシアの巨人マルコヴアルド、第 1 5 歌で る巨人ヴェグルト、第 1 巨人カランテなどなど数々現れるが、いずれもあっけなく騎士たちに倒さ れる O 凶暴であり、威圧的であるが力はな~ ) 0 戦闘にも騎士たちに従属し. た形、で参加する。まるで祭の行列に引き回される山車のような、こけおど つJ. 噌 -.

(16) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号. 2 0 0 5 .2. しのような役回りを担わされている。しかし、物語の舞台装置としては機 能しているといっていい。つまり異形な存在でありながら安定した関係性 の中にはめ込まれている. O. モルガンテはキリスト教に改宗して他の巨人と. は異なっているが、やはり騎士たちの補佐をしていることに変わりはない。 それにたいして、半巨人マルグッテは明らかにこうした関係性の枠外には み出した存在である O それもこうした立場は自らの選択によるものである O 関係性に囚われない自由な存在としてのボヘミアンをマルグッテは体現し ているのである. O. 現世の欲望に執着して悔いのない精神的態度は、宗教だ. とか思想といった抽象性の戯れを拒否した世俗的人生への決意ともいえる。 言葉だけでなく実際にマルグッテの俗悪的悪漢ぶりが遺憾なく発揮され i)という主人の営む宿屋においてである。そこに るのは、ドルミ (Dorm 上がり込んで傍若無人の振る舞いに至る。まず主人が鶏一羽を食事に用意 できるというと、それでは食い物が足らない(凶)と言う. O. それでは木の実. でも食べていろと主人が答えると、モルガンテが栂棒で叩いて怖じ気づか せる(げ)。マルグッテは牛が一頭いるといって、それを丸焼きにする。料 理にはマルグッテが調理人である経歴を生かして支度をする。ワインを桶 で飲みながら、午一頭を平らげた後、主人が出してきたチーズと果物では 足らないと、マルグッテは自ら家の中を捜し始める(凶)。さんざん宿屋を 荒らして、支払いを保証して安心させたあげく(19)、夢遊癖があると言っ て(初)主人を寝室から出ないようにさせ、だまして家財道具をすべてかす め取って火を放って逃げ出す (21)。こうした狼藷ぶりにいっこうに悪びれ ることなくマルグッテはうそぶく(加。モルガンテもマルグッテの悪賢さ にあきれるが、笑い転げる(加。結局、マルグッテはモルガンテの圧倒的 な暴力を利用し、弱 p 者いじめの感があるこの顛末は愚かな者はだまされ、 不幸に合うと結論づけられる(制。こうした愚直な者をからかうグロテス クな笑いは庶民のものであり、高踏的な騎士道物語の勧善懲悪的な世界と はかけ離れている。庶民の中での傍若無人ぶりを発揮して映笑する世界は qd 白 つ 4EA.

(17) プルチの『モルガンテ Jにおけるマルグッテ像. 騎士道の世界にはないものである. O. 中川. 先に引用したマルグッテの悪行は力に. よる抑圧によるものではなく、佼知によるものだという(ライオンでなく 狐)説明は、騎士的な存在ではなく、マルグッテが庶民世界の代表である という意昧である. O. ここにプルチの文学的本質が表れていると言ってもよ. l' 10. しかしこうした悪党マルグッテも滑稽な面を併せ持つことで、悪事も相 殺される. 佼滑な手口と暴力で弱者を虐待したものの、その後はモルガン. O. テに獲物を独り占めされて、食い物にありつけなくなるという、情けない 状況に置かれる。泉の近くで一角獣に遭遇すると、モルガンテが一撃で仕 留めて. 、マルグッテがそれを調理するが、モルガンテはそれをほとん. ( 2 5 ). ど食べて、マルク守ッテはほんの少々昧見できただけで、空腹で泣きたくな る(制。これは悪漢の戯画化である. O. 道化と言ってもいいだろう。力のあ. るものに依存しながら自由な悪行を仕掛けるが、所詮笑い者にされるのが 決まりである. O. しかし道化とは笑いに交えながら警句を発する存在でもあ. る 先の無信仰と取られる様な、登場したときの長口上も、新プラトン主 O. 義に染まって p く主君ロレンツォへの間接的な皮肉で、あると取ることもで きる。. プルチの手法と文学的志向 ところで、このマルク、、ッテには現実にモデルとなった人物があるとオル ヴィエートは指摘している ある。. ( 2 8 ). O. ロ7) それはアントニオ・グイドなる街頭詩人で. アントニオという名はプルチの親友であったベネデット・デイ. ( B e n e d e t t oDei)の書簡の中に『モルガンテ Jの先に引用したモルガンテ とマルグッテの出会いの場面を描いた部分とほぼ同じ 8行詞が残されてい る。しかし原典とは違っており、モルガンテとマルグッテの名前が、それ ぞれベルナルドとアントニオになっていることである. O. この書簡が書かれ. q δ. つd.

(18) 文学・芸術・文化 1 6 巻 1・ 2号合併号 2 0 0 5 . 2. た頃、既に『モルガンテ』は印刷されていた ( 1 4 7 5年)こと、そして、ほ ぼ同じ内容であることから、これはブルチの作品を私的に書き写したもの であると考えられる。これはデイが意図的に替えたという可能性も否定は できないが、それまでのデイの書き残した物からして、デイはプルチの忠 実な記録者にとどまっており、これはプルチ本人の手によって名前が記さ れていると言ってもいいだろう. O. というよりも、まずアントニオなる人物. をもとに詩が書き上げられ、そこからマルク、、ッテという名前が付けられた といっても良 Po このマルグッテという名はオルヴィエートはアリストテ レスの『詩学j(加に言及がある古代ギリシアの偽ホメロスの作品とされ るマルギテースという罵雪雑言をわめき立てながら、失敗を繰り返し、 人々の失笑をかう人物像に遡るとする. O. ギリシャ時代からの悪党の代名詞. とされた名前であった。プルチはこうした人物像の代名詞として、マルギ テースの名をおそらくはポリツィアーノから教示を受け、俗語化してこの 小巨人に与えたと推測されるのである. O. さてマルク、、ッテに呼応するアントニオが実在の人物であった理由として、 この歌の中で表れている自らの経歴について、実際のアントニオ・グイド と重なる点が多くあるということである。まず詩人であること、また兵役 についたこと、調理人であったこと、そして放蕩癖があったことなどがあ げられる O これらはデイの年代記、同時代のアントニオ・ボンチアーニ. (Ant o n i oB o n c i a ni)のソネットなどから確かめられる。このようにマル グッテ像には実際のアントニオ・グイドを意識しながら描かれたことが確 かめられるのである. O. プルチは実際の人物をイメージしながら物語の登場人物を描く手法を とっている。これこそプルチの創作手法というものであって、いつも現実 をイメージさせることをから出発しているのである。ロレンツォの『山弱 狩り』という詩の中にもプルチのこの作品手法を述べている部分がある. O. A 斗A. qJ.

(19) プルチの『モルガンテ』におけるマルグッテ像. ルイージ・プルチはどうした 今日. 中 1 1 /. あいつも居残りだ. あの男は森の中に入っていった. 何か心の中に思いついたか たぶんソネットをひとつ捻り出そうというのだろう コロナよ. 気を付けろ. あとでしまったと思いたくないのなら. あいつは今朝ベッドでひとり口ごもっていた お前の名を唱えていたのを聞いたぞ 戯れ歌か長唄にでも歌い込もうと言うのだろうClu). マルクゃッテはアントニオ・グイドをモデルにした確率が高いと思われる が、プルチの身の上を語っていると考えても自然でもある. O. 道化的存在と. して自己を戯画化し、主人(モルガンテ=ロレンツォ)への恭順を示しな がら、世俗的詩人としての立場を貫くという意思表明をなしたのである. O. マルク、、ッテは猿の仕草に笑い転げて笑い死にする(:lJ)という最期を遂げる が、これもプルチの自分自身の望みであろうか。 新プラトン主義者マルシーリオ・フィチーノと物語のスペイン王マル シーリオ、そしてマルグッテとアントニオ・グイドという風に実在の人物 を想定しながら物語上の人物を形作る手法は絵画の手法とよく似ている. O. 冒頭に示したようにプルチ自身が描き込まれた絵があったように、ある テーマに沿った場面での登場人物を実在の人物をモデルに描き込むことは ルネサンスの絵画によく見られる。この時代、歴史的神話的なテーマを 扱った絵画に当時の人物を描き入れたことと、プルチが物語の中の登場人 物を実在の人物にあてはめたことは何か一致している。当時の人々にとっ て親近感を持たせる要素になったことは間違いなく、より大衆的な子法で あったと言える. O. 作品の中に鑑賞者を取り込み、その中に息づかせる。文. 学でも物語のなかで同時代の者として生きるということこそ、プルチがめ ざした精神ではなかったろうか。新プラトン主義のような抽象化された議 Fhu. qJ. ti.

(20) 文学・芸術・文化. 1 6巻 1・2号 合 併 号. 2 0 0 5 . 2. 論は中世の神学支配への回帰ともプルチには受け取られた。それに対し、 具体性をもった表現を通して実感として人々に受け入れられる文化を担っ ていくことが自らの天命とフルチは感じていたのである. O. 註. 1 )S t e f a n oC a r r a i; “ I lp r e s u n t or i t r a t t od iL u i g id i p i n t od a lG h i r l a n d a i o "i nLeMuse 9 9,Guida,N a p o l i,1 9 8 5 d e iP u l c i,p1891 2) G i o r g i oV a s a r i;Leo p e r ed iG i o r g i oV a s a r i皿 , S a n s o n i,F i r e n z e,1 9 7 3,p 4 6 2 4 6 3 3) s o l a t ω oe ta n d a r n eaRoma.Puo t a n t op e r oi lmiod i s t i n oc h et r at a n t emiea v e r s i t a q u e s t asempres ' a g g i u n g acheao g n ic o s amiv a g l i,nondebboi omaicont e c o e s s e runav o l t aac a v a l l o ? Equandov e r r oi o ? quandos a r op o iv e c c h i o ?E tq u a l e a l t r op i uf e d e l es e r v o0 compagnuzzot r o v e r r a it ua n c o r a,chec o si s i ap e r c o r s o e tr i b u t t a t od a ' c i e l i ?E tq u a n t ev o l t ehabbiamon o ig i ar a g i o n a t od iRomac h ' i o debbae s s e r econt e c o ? Chep e n s it ud il a s c i a r m i0 t e m ih a v e r ep e rmes p e s a ? Nond u b i t a r e :s a r o benea n c o r a,i nmezzoat t u t el emiea v v e r s i t a ,i np u n t oa df a r t i o n o r e :b a s t as o l ounoc a v a l l odat t e .Har む , b enet a n t ia m i c ii nc o t e s t ac i p t ae tt a n t o r ag l ia l t r it u o is e r v inons a ぬ d i s o r r e v o l ecomet uf o r s ee x t i m. iV e r a i n g e g n o,chet mentet umic a c c e r a iat t o r t odat t ee tf a r a it r o p p oe r r o r es et umil a s c ic o s is v e n t u r a t o: a s s a ip i u mid o r r aq u e s t ochel 'a l t r ec o s e .Nonmis p a c c i a r ec o s ip e rf e r r o r o t t o,chet o r n e r o benes a l d oa n c o r a,s emiv o r r a ib e n e .E tquandof u s s ibene r o t t o,t a n t ohop iu d ib i s o g n od ' a i u t oe td ic o n f o r t o .R i c o r d a t id e l l amiai n f e l i c i t a n e lcolmod e l l at u ap r o s p e r i t a. "L u i g iPu1 ci ,MorganteeLet t e r e,ac u r ad iD .De R o b e r t i s,S a n s o n i,F i r e n z e,1 9 8 4,p p 9 4 2 9 4 3 4) P e r t a n t oi onona s p e t t oi lb a l d a c c h i n o/nona s p e t t oc o 'p i f f e r il 'o m b r e l l o/non t r a g g of u o r iinomic o lv e r z i n o/c o m ' i oveggot a l v o l t ao g n il i v e l l o/q u a n d ' i os a r l ゐ conq u e lmios e r a f i n o/i og l it r a r r o白 o rf o r s ec o lc e r v e l l o/p e r c h eq u e s t oAgnol v ip o r r al amano/n a t op e rg l o r i ad iM o n t e p u l c i a n o 『モルガンテ Jの テ キ ス ト 引 用 は 以 後 す べ て L u i g iP u l c i;Morganteconi n t r o d u z i one,n o t eei n d i c id iD a v i d eP u c c i n i からのもので,引用箇所はローマ数字が歌 ( c a n t a r e ) 番号,アラビア数字が 8行句 ( o t t a v a ) 番号を示す。 5) P o e s i ai t a l i a n a;i lQ u a t t r o c e n t o,ac u r ad iC.Oli v a,1 9 7 8,G a r z a n t i,M i l a n o,p 3 2 3 3 P e r c h em o l t o,L u i g i,a v e s t iamale/c h ' it ic h i a m a ip a r a s s i t oec a g n o t t o/duod i p r o v a s t iap a g a r t i1 0s c o t t o/ec o n d i rl am i n e s t r a c o lt u os a l e . /E g i al afamei n f r o n t ea ln a t u r a l e/p o r t id i p i n t aep a r eo p r ad iG i o t t o/es e 's c i a g u r a t e l l oat a l c o n d o t t o/c h ' ame,nonc h ' a l t r i,d e lt u os t a t oc a l e ./Ebenche c o lb e n d u c c i oe con l a mano / t is t r o p i c c il eg o t eg i a l 1 ees m o r t e/L a z e r oa s s e m b r ig i a q u a d r i d u a n o ./Set unont o r n iar a d e rg l io s si .ac o r t e/pocou d i r ac io r m a isomar t r o i a n o/cheR ・. -136-.

(21) プ ル チ の 『 モ ル ガ ン テ Jに お け る マ ル グ ッ テ 像. 中川. gua: o rches o 旺e r t ohat r o p p o/conl af a l c ef i e n a i av i e nd ig u a l o p p o/Tua n d r a i ap iと zoppo/at r o v a rLucat u o .l a d r od iz u c c a/chep e rt es e r b aunl u o g oa l l a I u d e c c a . 6) o p . c i t .P o e s i ai t a l i a n a;p 3 8 3 9, Tub e c c h e r a id it r e n t a s e is o n e t t i,/ches o nd o d i c ia r t i c o l i,es o nc e r t o/c h ' i 't ' h o a s s 'benea lp o p o l os c o p e r t o,/b o c c amial a s a g n i n aedat o c c h e t t i . /E 'p i o v o ng i u d a lc i e lv e r s iev e r s e t t i,/ comep i o v v el amannan e ld e s e r t o,/ep a rc h ' i oa b b i a i n n a n z iunl i b r oa p e r t o,/ n e lq u a ls i e ns c r i t t it u t t ie 't u o 'd i f e t t i . /0 p u rp e ro r a t i r aaq u e s t ip o c h i,/ad i 'c i o chet uv u o i;c h ' i 'hot a n t or i s oc h ' i 's c o p p i o,enon d iment i e ng l io c c h ia 'mochi . /U sanza と cons o n e t t ieconp r o v i s o/d ir o d e r s i unp o 'eb a s t i,ed i r {buong i u o c h i },/ manont o c c a rp i ul a ,c h ' i ot en ' a v v i s o, /che1 'c e 立ot if i e' n t r i s o;/che d a r eac h inong i o s t r av i e ndav 1 ie,/ es u o l s i i nv e r s iu s a r,c h i と gent i 1e,/q u a l c h et r a t t os o t t i 1e/0 c o l p od e s t r o0 l e t t e r ap e r p a r t e ; /mat us e 'S e rN o n s a l l e,eg u a s t il ' a r t e . /R e n d il as p a d aaMarte,/ed e s t a 1 ib r e v i a l eam a t u t i n o/c h ' e g l ihag i af a t t op i u che' 1s o n n e l l i n o . 7)フィチーノがプラトン,プロティノスなど古代の文献をラテン語に翻訳して再興さ せた神秘主義的思想で,観想を通じて人間の魂は超越的な神の存在へ至ることがで きるとした。古代のそれと区別するためにルネサンス・プラトン主義とも呼ばれる。. 8) o p . c it .P o e s i ai t a l i a n a,p 3 7 3 8 C o s t o r,chef a ns ig r a nd i s p u t a z i o n e/d e l l ' a n i m a,o n d ' e l l ' e n t r i0 o n d ' e l l ' e s c a/0 comei 1n o c c i u o ls is t i an e l l ap e s c a,/hannos t u d i a t oi ns un ' u ng r a nm e l l o n e . / Ar i s t o t i l ea l l e g a n oeP l a t o n e,/ ev o g l i o nc h ' e l l ai np a c er e q u i e s c a/f r as u o n ie c a n t i,ef a n n o t iunat r e s c a/chet 'e mpie1 ic a p od ic o n f u s i o n e . /L 'a nimo と s o l comes ivedee s p r e s s o/i nunpanb i a n c oc a l d ounp i n o c c h i a t o,/0 unac a r b o n a t a i nunpanf e s s o ;/eq u e 'che,p e rl 'un,c e n t ohannopromesso,/ec h ic r e d ea 1 t r o hai lf o d e r oi nb u c a t o,/c ip agherand is u c c i o l ei nm e r c a t o . /Mad i c eunchev 'と s t a t on e l l ' a l t r av i t a,ep i u nonpuo t o r n a r v i,/cheappenaconl as c a l as ipuo a n i . /C o s t o rc r e d o nt r o v a r v i/ぶ b e c c a f i c h ieg l io r t o l a np e l a t i/ebuonv i n d a r v d u l c iel e t t is p r i m a c c i a t . i/E 'vannod i e t r oa 'f r a t i:/n o ic en'andrem,P a n d o l f o, i nv a l l eb u i a,/ s e n z as e n t i rp i uc a n t a ra l l e l u i a ! 9)このためプルチは 1 4 8 4 年パドヴァで客死するが, 異端者扱いされて聖別されていな p土地に葬られた。. 1 0 ) この説はパオロ・オルヴィエー卜のものであるが,広く受け入れられつつある。 c f . P a o l oO r v i e t o; “C r i s ied e c a d e n z ad iP u l c i "i nPuJcim e d i e v a l e,S a l e r n o,Roma, 1 9 7 8 1 1 ) EraMarsi 1 iounuomchei ns u os e g r e t o/c r e d e amancon e lC i e lchen e g l ia b i s s i : /b e s t e m m i a t o r,mabestemmiavac h e t o;/purq u e s t av o l. 円. tEA. i つd.

(22) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号. 2 0 0 5 . 2. p e r c h ' i os e n t ol ab a t t a g l i as t r i n g e r e,/d i c i a nches id o l e ad iF a l s e r o n e/eb e s t e m miavai lC i e ld e v o t a m e n t e,/p u rcomei od i s s i,i nmodoc h ' o g n u ns e n t e 1 2 ) フィレンツェ・ラウレンツィアーナ図書館にあるメディチ・パラティーノ写本 ( c o d i c eMediceoP a l a t i n o7 8 ) にあったものが, 1 9 世紀後半, P . R a j n aによって発見され た 。. 1 3 )T a n t oと c h ' i ov o g l i oa n d a rp e ls o1 cor i t t o/chと i ns u lC a n t a rd ' O r l a n d onons i t r u o v a/d iq u e s t of a t t od iM a rguttes c r i t t o,/ed とc c ia g g i u n t ocomec o s ai 1Uo v a: / c h ' u nc e r t ol i b r os it r o v oi nE g i t t o/cheq u e s t as t o r i ad iM a r g u t t ea p p r u o v a,/e l ' a u t o rs ichiamaAlfamenonne,/chef e c eg l iS t a t u t id el 1ed o n n e .//Ef ut r o v a t o i nl i n g u ap e r s i a n a/t r a d o t t op o ii na r a b i c ae' nc a l d e a;/p o if ur e c a t oi nl i n g u a s o r i a n a,/ed i p o ii nl i n g u ag r e c a,ep o ii ne b r e a,/p o inel 1' a n t i c afamosar o m a n a ; / 自n a l m e n t ev u l g a rs ir i d u c e a:/dunquee 'c e r c ol at o r r ed iNembrotto,/ t a n t o u rf i o r e n t i nr i d o t t o .//Quelchee 's is i a,e 's e p p eo g n im a l i z i a/ef u c h ' e g l iと p p r i m ac a t t i v oa s s a icheg r a n d e,/p e r む c h ' e 'c o m i n c i o dap u e r i z i a/ae s s e rvago d e l l ' a l t r u iv i v a n d e;/ef e c ea b i t os id ' o g n it r i s t i z i a/c h ' a n c o rl afamap e rt u t t o s is p a n d e ; /ef u r o nl es u eo p r eel es u ec o l p e/nonc r e d e rl e o n i n e,mad iv o l p e . 1 4 )G i u n t oMorganteund ii ns u' nunc r o c i c c h i o,/u s c i t od ' u n av a l l ei nung r a nb o s c o,/v i d ev e n i rd il u n g i,p e ri s p i c c h i o,/unuomchei nv o l t op a r e at u t t of o s c o . / Dとt t ed e lc a p od e lb a t t a g l i ounp i c c h i o/i nt e r r a,ed i s s e :{ C o s t u inonc o n o s c o }; /ep o s e s ias e d e r ei ns u ' nuns a s s o,/t a n t ocheq u e s t oc a p i t むea lp a s s o .//Morg a n t eg u a t al es u emembrat u t t e/p i u ep i uv o l t ed a lc a p oa l 1 ep i a n t e,/cheg l i p a r e a n os t r a n e,o r r i d eeb r u t t e:/- Dimmii 1t u onome,- d i c e a-v i a n d a n t e .一 /C o l u ir i s p o s e :-1 1mionome M a r g u t t e ; /ede b b iv o g l i aa n c oi od ' e s s e rg i g a n t e : /p o imip e n t i 'quandoa lmezzof u 'g i u n t o : /v e d iches e t t eb r a c c i as o n oa p p u n t o . //D i s s eMorgante: ー Tus i ai 1benvenuto:/eccoc h ' i oa r op u r eunf i a s c h e t t o a l l a t o,/ched adueg i o r n ii nquanonhob e u t o; /es econmecos a r a iaccompagn a t o,/i ot if a ぬ ac aminq u e lche と d o v u t o . /Dimmip i uo l t r e:i onont ' h odomand a t o/s es e 'c r 包t i a n o0 s es e 's a r a c i n o/0 s et uc r e d ii nC r i s t o0 i nA p o l l i n o // R is p o s ea l l o rMorgante:-A d i r t e lt o s t o,/i ononc r e d op i ua ln e r oc h ' al 'a z z u r o, /man e lcappone,0 l e s s o0 v u o g l ia r r o s t o/ec r e d oa 1 cunav o l t aa n c on e lb u r r o,/ n e l l ac e r v o g i a,equandoi on ' h o,n e lmosto/em o l t op i u nel 1' a s p r o c h ei lmang u r r o;/mas o p r at u t t on e lbuonv i n ohof e d e,/ ec r e d oches i as a l v oc h ig l i c r e d e;//ec r e d onel 1a. d. 4EA. 。 。つ.

(23) プルチの『モルガンテ Jにおけるマルグッテ像. ので,おそらく制作時期はロレンツォ宮廷時代だと思われる 1 6 )“それでは一口にもならない…腹下しにしかならぬぞ. 中川. O. E 'nonf i aunb o c -. c o n e . . . . . C o t e s t a と unap i l l o l ad igera" X珊1 5 0 1 5 1 1 7)“モルガンテは我慢できなくなって/梶棒で殴り始めた/主人は泣き叫んで冗 談とはとれなかった t a lcheMorgantenonf up a z i e n t e/c o m i n c i a lc o lb a t t a g l i oa 5 1 1 5 2 b a s t o n a r e/l ' o s t eg r i d a v aenong l ip a r e v ag i u o c o " X咽 1 1 8 ) “マルグッテはあらゆる長持ちを割って引き出して/ 家具と壷を壊し割り/ 見つ けたものをすべて粉々にする/ 鍋ひとつとて残らなかった M a r g u t t e,es p e z z ae s c o n f i c c ao g n ic a s s a/erompeeg u a s t am a s s e r i z i eev a s a/c i o chet r o v a v ao g n i c o s af r a c a s s a/c h ' u n ap e n t o l as o lnonvモ r i m a s a " X珊1 5 8 1 9 ) “さあ,寝ょう うまく折り合いがつくだろう/俺は決してけちった支払いはしな い / 俺 は 大 尽 様 だ 食った分は/ お前の望むだけ払ってやろう Oro l t r eal e t t o es a r e nbend ' a c c o r d o/c h ' i ononi s t o ap a g a rconm a s s e r i z i a/i os o n1 0s p e n d i t o r eed e g l is c o t t i/comet us t e s s ov o r r a ip a g h e r o t t i " X咽 1 6 5 2 0 ) “恥ずかしいことだが知っていてくれ/俺は夜には服を脱がないでいる/ 夢見た ままで起きあがる悪い癖があるからだ 1 0mivergogno/s a p p ichemail an o t t e nonmis p o g l i o/p e rc e r t ov i z i oc h ' i omil i e v oi ns o g n o " X珊1 7 1 21)“誰もが寝ている いびきを聞くと/ (マルグッテは〕家中まわって 荷造りし始め た / 金庫から何度も金を引き出してきて/ あらゆるものをラクダに載せて/ 出 口か何かを開けるのに/ 掛け金にあのバターを塗りつけた/ 戦利品を持ち出すと. Comee 's e n t ir u s s a rc h ' o g n u n od o r m i v a/ぜ commcl p e rc a s aaf a rf a r d e l l o/a l l ac a s e t t ad e 'd a n a rneg i v a/edo g n ic o s ap o s ei ns u l cammello/comeunu s c i o0 q u a l c h ec o s aa p r i v a/ugnevaconq u e lb u r r oi lc h i a v e s t e l l o/ecomee g l iebbef u o rl av e t t o v a g l i a/a p p i c cl if u o c oi nunmonted ip a g l i a " X咽 1 7 6 2 2 ) “疑うこと無かれ/ この子の技はお手の物さ nond u b i t a rq u e s t al 'a r t emiav e c c h i a " X咽 1 8 0 2 3 ) “モルガンテは顎が外れんばかり/ こみ上げてくる笑いのために Morgantel e 8 2 m a s c e l l ahas g a n g h e r a t e/p e rl ar i s acheg l iabbonda" X珊1 o s is p e s s od e 'm a t t is ic o g l i eX咽 1 7 9 ) 2 4 ) “このようにしてよく迂閲な者は踊される C 2 5 ) “それに優しい一撃を加えると/ 一足ごとにがくがくと倒れた d e t t e g l iunc o l p o g r a z i o s o/checaddes t r a m a z z a t oamanoamano"X珊1 9 0 2 6 ) “一角獣の毛をむしって/ 梨の木の枝で串刺しにした a ll i o c o r n oa b b r a c c i ol ec a l u g g i n e/ef e c eunos c h i d o nd ' u ng r a np e r u g g i n e " X珊 1 9 4 / “肉が焼き上がると /藁の山に火を点けた. タ嗣の食卓についた/ モルガンテはほとんど全部をぶつ切りして食って/ マル. Cossal ab e s t i aep o n g o n o s ip o iac e n a/ Morganteq u a s ii n t e r al ap i l u c c a/sicheMarugutten ' a s s a g g i a v aa p p e n a " X珊 1 9 5 / “マルグッテは言った 〈 お 前 は 笑 う が 俺 は 泣 く / 体 は 空 腹 の ま ま だ 〉 S ' t ur i d iedi op i a n g o/chconl afamei nc o r p omir i m a n g o " X珊 1 9 6 2 7 )P a o l oO r v i e t o;“Anc o r aap r o p o s i t od iM a r g u t t e "i no p . c i. t 28) r モルガンテ』の中にも言及がある。 (XX咽 1 4 4 ) グッテはわずかに昧見できただけだった. 唱EA. Qd. q a.

(24) 文学・芸術・文化. 1 6 巻 1・2号合併号 2 0 0 5 .2. 9 8 5,世界思想社, p 1 0 2 9 ) アリストテレース『詩学.1,松本仁助・岡道夫訳 1 3 0 )L o r e n z od e 'M e d i c i :' U c c e l l a g i o n ed is t a r n e 'i nLeP o e s i ed iL o r e n z od e 'Med i c i,R i z z o l i,M i l a n o,2 0 0 1p 8 7 g l ie r ap e rr i s am o r t o " XI X1 4 9 31)“奴は笑いで死んでいた e. -140-.

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参照

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