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模擬授業と教育実習を通して学生の「体育の授業における知識」はいかに発達するか: リフレクションの内容に着目して

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Academic year: 2021

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37(1):1-15.2021

模擬授業と教育実習を通して学生の

「体育の授業における知識」はいかに発達するか

:リフレクションの内容に着目して

濱本 想子

(名桜大学・広島大学大学院)

1. 研究の目的

ドナルド・ショーンが 1983 年に「The Reflective Practitioner」で提唱した新たな専門家像「反省的 実践家(reflective practitioner)」の概念が広まっ て以降,教師の専門性開発,特に教師の知識を 発達注 1)させるには,実践とそれに対するリフレ クション注 2)が重要であると言われてきた(コ ルトハーヘン,2010;Rowland et al., 2009;坂本, 2013;ショーン,2015;Shulman, 1987).1980 年 代以降は,認知心理学の台頭もあり教師の知識研 究が発展してきた.しかしながら,教師の知識, 特に実践で生きて働く「実践的知識」は個人的 で暗黙的であり,その分析は難解であった(坂本 と秋田,2012;佐藤,1996;谷口と漆畑,2015). また,教師の知識には教科の固有性が存在する が,これまでは特に理科や数学科での研究が多 く,体育科などの技能教科における研究の蓄積は 浅い.そのため,特定の教科における単発的な事 例研究やアクションリサーチが多く,主な調査方 法はインタビュー調査や質問紙調査が用いられ, 「教師はどのような知識を持っているか(活用し たか)」といった視点から授業者の知識を研究者 が意図的に引き出す研究方法がとられてきた.し かしながら,近年はその研究方法や分析の視点も 多様化してきた.田中(2019)は,「実践的知識」 の発達過程について,複数の現職教師(理科,社 会科,英語科,管理職)を対象に縦断的な調査を 実施した.その結果,「実践的知識」を構成する ①考え方の 1 つ1つが拡がる総体としての実践的 知識の広がりという発達,②考え方自体が増える 実践的知識総体の広がりという発達,③これまで の考え方に新しい知見を加えての再解釈と刷新 という発達の 3 つの発達があることを明らかにし た.また,Rowland et al.(2009)は,現職数学教 師らのリフレクションの内容から授業で活用した 知識を分析することで「実践的知識」を以下のよ うに構造化した.具体的には,「Foundation(基 盤)」「Transformation(応用)」「Connection(接続)」 「Contingency(偶発)」の 4 つであり,それらを 「Knowledge Quartet(知識のカルテット)」と称し, 教師の知識を分析する際のフレームワークとして 提唱した. ここで,教師の専門性開発の基盤として質の 向上が求められている教員養成に目を向けたい. 教員養成において,学生が授業実践を行うこと のできる機会としては模擬授業と教育実習があ げられ,それら契機を通した学生の成長に関す る実践や研究も蓄積されてきた(中央教育審議 会,2006;川口ら,2017;小松崎,2010;黒崎, 2001).しかし,教師の知識研究は,これまで「教

実践研究

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師はどのような知識を持っているか(活用した か)」という視点から進められてきた背景もあり, 学生はあまり対象とされてこなかった.また,体 育科教員養成課程の学生を対象とした研究をみ ると,大学院生を対象とした場合が多く(浜上, 2012;早川と大友,2010;岩田ら,2014),学部 段階の学生はほとんど対象とされてこなかった. 濱本ら(2020)は,保健体育科教育実習生のリフ レクションに表出する知識について調査を行った が,あくまで教育実習を対象とした単発的な事例 研究にとどまっていた.以上より,体育科におけ る知識研究の課題として,蓄積が浅いこと,学部 段階の学生が対象とされてこなかったこと,そし て,縦断的な調査が行われてこなかったことが挙 げられる. そこで本研究では,国立大学法人 X 大学教育 学部(健康スポーツ系コース)の保健体育科教員 志望学生を対象に,授業実践とそれに対するリフ レクションを通して体育の授業で活用される知 識(以下,濱本ら(2020)を援用し「体育の授業 における知識」と明記)が発達するのか,その要 因も含めて縦断的な調査から明らかにすることを 目的とした.なお,特定の対象者に対し 2 つ以上 の時点で調査を行う縦断的な調査として,本研究 では教員養成課程において学生が行う模擬授業場 面と教育実習場面に焦点を当てた.また,具体的 には以下の研究課題を設定した.(1)模擬授業に 対するリフレクションにはどのような「体育の授 業における知識」が表出するのか(調査 1).(2) 教育実習に対するリフレクションにはどのような 「体育の授業における知識」が表出するのか(調 査 2).(3)(1)及び(2)を踏まえ,模擬授業と 教育実習を通して「体育の授業における知識」は いかに発達し,それを促す要因は何か(調査 3).

2. 研究の方法

2.1 調査対象とした大学及びコース 調査対象とした国立大学法人 X 大学教育学部 は,初等・中等教育学校の教員の養成を行う,総 合大学の中の一学部である.さらに,1 学年 500 名近い学生を有し,国公立大学の教育系学部とし ては全国でも有数の規模を持つ.また,多くのコー スが教員免許の取得が義務付けられていない,い わゆるゼロ免課程のカリキュラム編成となってい る.このうち本研究では,中等保健体育科教員養 成を主に担うコース(以下,保健体育科コースと 明記)の学生を分析の対象とする.当コースに は 1 学年約 30 名の学生が在籍し,ゼロ免課程で はあるものの免許取得に向けて積極的に学修に励 み,例年ほぼ全ての学生が中学校保健体育科,高 等学校保健体育科の教員免許を取得する. 表 1 X 大学教育学部における保健体育科目と教育実習関連科目の概要 年次 科目名 主な内容 1 年次 教育実習入門 講義及び附属学校での授業観察 2 年次 体育科教育概論 講義を中心とした体育科教育の本質と理論の理解 教育実習観察 附属学校での教育実習生の授業観察 体育科教育課程・ 教材構成論 講義及び模擬授業を通した、保健体育教師としての体育授業実践に必要な知識や技能及び実践力 の向上 3 年次 保健体育科教育 法・評価論 講義及び模擬授業を通した、保健体育教師としての保健授業実践に必要な知識や技能及び実践力 の向上 教育実習指導 B 附属学校での授業観察及び指導案作成 中・高教育実習Ⅰ 附属学校での教育実習 4 年次 教職実践演習 教員として最小限必要な資質・能力を備えているかチェック及び弱点の補完

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次に,保健体育科コースの教員養成カリキュラ ムについて概説する.表 1 は,保健体育科目と教 育実習に関連する科目を整理したものである(色 付きは保健体育科目を示す).X 大学教育学部で は,3 年次後期に実施される教育実習を中心とし た体系的な教員養成カリキュラムが設置されてお り,教育学部では 1 年次から段階的・継続的に教 育実習に関わる授業が開講されている.なお,保 健体育科目もこの体系的な教員養成カリキュラム に合わせて構成されている.具体的には,2 年次 前期に「体育科教育概論」,2 年次後期に「体育 科教育課程・教材構成論」,そして,3 年次前期 に「保健体育科教育方法・評価論」が開講されて いる(研究対象とする学生の入学年度のシラバス より:主な内容は表 1 参照). 2.2 調査対象者と模擬授業及び教育実習 本研究では,2017 年度に保健体育科コースへ 入学した学生 6 名(学生 a―f)を調査対象者とし た.対象学生らは,全員が教員免許取得を希望し ているが,体育科教育課程・教材構成論受講前に 教職志望度(5 段階:5 が強く希望する,1 が希 望しない)を確認した際には,5―2 と差があった. また,対象学生らの専門とする競技種目はそれぞ れ異なっていた(表 3).なお,6 名とも配属され る教育実習校は同じであった.そして,学生 a― f が受講した体育科教育課程・教材構成論(2018 年度開講:2018 年 12 月 5 日―2019 年 2 月 6 日) にて調査 1 を,教育実習(2019 年度実施:2019 年 8 月 30 日―2019 年 10 月 1 日)にて調査 2 を実 施し,それぞれの授業実践及びリフレクション内 容に着目した.筆者は,調査 1 に対してはティー チング・アシスタント(以下,TA と略記)とし て授業に関与しながら調査を行い,調査 2 に対し ては実際に実習校に赴き調査を行った. 調査 1 の体育科教育課程・教材構成論について は,表 2 の日程で実施され,模擬授業は全 8 回中 後半の 6 回にわたって実施された.受講生は 39 名であり,全員が模擬授業を担当できるよう 1 グ ループにつき 2―3 名の 18 グループに分けられた. 1 回の授業(1 コマ 90 分の授業を 2 コマ連続)に つき,3 グループがそれぞれ同じ単元を対象に順 に 20 分ずつの模擬授業を行なった.なお,模擬 授業担当グループの学生は,担当授業の学習指導 案を作成し,20 分間の模擬授業では必ず全員が 教師役を担うよう指示された.模擬授業担当グ ループ以外の学生は,生徒役として模擬授業に参 加した.また,模擬授業の対象単元は,「球技(バ スケットボール,バレーボール)」「体つくり運動」 「器械運動(マット運動,跳び箱運動)」であった. シラバス上の限界性として,模擬授業において全 ての単元が網羅できないことを踏まえた上で,こ れら 3 つの単元は「天候による影響を避けるため 体育館での実践が主であること」を前提に,それ ぞれ次に示すような理由から授業担当者(大学教 員 A)によって選定された.「球技(バスケット ボール,バレーボール」と「器械運動(マット運 動,跳び箱運動)」は,「オープンスキルとクロー ズドスキルを対象とするそれぞれの単元の学習と 実践経験を積むため」に選定された.そして「体 つくり運動」は「中等教育段階における教育実習 で実践対象となる機会が少なく,学習と実践経験 を積むため」に選定された.各回とも,3 つのグ ループによる模擬授業が終了した後に,協議会を 実施した.協議会は,グループ毎に 15 分程度で 実施された.協議会の流れは,まず,5 分間でリ フレクションシート(以下,RS と略記)に模擬 授業に関するリフレクション内容を記述させた. なお,本授業で活用された RS は,岩田ら(2010) が教員養成課程の学生のリフレクションを促すた めに考案した「リフレクション・シート」を参考 に,大学教員 A によって作成された.具体的には, 「授業の計画」「教師の行動」「教材や教具」「生徒 の活動」の 4 項目を設定し,それぞれ自由に記述

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させた.大学教員 A が RS を取り入れた意図とし ては,2 点挙げられた.1 点目は,受講学生全員 に模擬授業に対するリフレクションを行う機会を 提供するためであった.2 点目は,本授業まで体 育授業に対するリフレクションを行った経験のな い対象学生に対し,リフレクションの視点を示す ことでその力量を向上させるためであった.次に, 授業者の学生がリフレクションを述べた後,生徒 役の学生との質疑応答を行った.最後に,大学教 員 A と TA である筆者が総括を行うという流れで あった. 調査 2 の教育実習について概説する.X 大学に は 4 つの附属学校があり,約 4 週間ある教育実習 を 2 期(前期・後期)に分け,学生は 2 週間ごと にそれぞれ別の附属学校で教育実習を実施するこ ととなっている.その中でも,学生 a―f は Y 中 学校に配属された(学生 a―c が前期,学生 d― f が後期).Y 中学校の保健体育科教育実習では, 中堅期の指導教員(指導教員 B,教職歴 7 年)が 学生 a―f の指導を行った.指導教員 B は,授業 実践者及び研究者として,これまで多くの研究会 や学会,学術誌等で授業実践を提案・発表し,実 習生の指導経験も豊富である.また,体育授業を 多様な視点から分析する力を有し,体育授業の実 践者,研究者,そして指導者としての力量を持ち 得ている.対象とする教育実習では,指導教員 B は「教育実習では子どもを観ることに専念してほ しい」という想いから,教材研究に時間をかけす ぎないように,学生 a―f にそれぞれ専門とする 競技に関連する単元を担当させた.なお,指導教 員 B に「教育実習では子どもを観ることに専念 してほしい」という指導の意図を問うたところ, 「学生に教育実習で一番学んでほしいことは,大 学では観ることのできない子どもたちの実態や反 応だから」という返答があった.ここから,子ど もの表情や取り組みの様子をよく観察し,学習内 容や方法の適否を見定めて欲しいという想いを 持っていることが推察できる.さらに,対象学生 らは,教育実習期間中にそれぞれ振り分けられた 授業時間内で単元計画を作成し,単元の終わり (つまり,教育実習期間中の最後の担当授業)に は,生徒の学習に対して簡易的な評価を行うよう 指示された.対象学生が担当した授業は前期が合 計 14 回,後期が合計 12 回の前・後期合計 26 回 で,全ての授業後にその授業に関わる協議会が開 かれたため,協議会の回数は授業回数と同じであ る.なお,各授業後の協議会は授業者の振り返り, 観察者(実習生)の批評と質疑応答,指導教員 B の批評と質疑応答という順で実施された.各対象 学生の属性と,教育実習での担当クラスや授業回 数,協議会の時間数を表 3 にまとめた. 2.3 調査内容とデータの収集 調査内容は,対象学生の模擬授業と教育実習で の授業実践に対するリフレクションに表出する 「体育の授業における知識」についてであった. データ収集は以下の手順で行った. 調査 1 については,(1)RS への記述内容,(2) 表 2 体育科教育課程・教材構成論の授業計画 回 コマ 内容 1 1 オリエンテーション 2 体育教師の力量に関する講義 2 3 モデル模擬授業 4 協議会・講義 3 5 模擬授業①(バスケットボール) 6 協議会・講義 4 7 模擬授業②(バレーボール) 8 協議会・講義 5 9 模擬授業③(体つくり運動) 10 協議会・講義 6 11 模擬授業④(マット運動) 12 協議会・講義 7 13 模擬授業⑤(跳び箱運動) 14 協議会・講義 8 15 模擬授業⑥(マット運動と跳び箱運動の融合) 16 協議会・講義

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学生らが作成した学習指導案,(3)授業 VTR の 3 つをデータとして収集した.調査 2 については, (i)協議会でのリフレクションの内容を録音した ボイスレコーダーの音声記録,(ii)実習生が作 成した学習指導案,(iii)授業 VTR の 3 つをデー タとして収集した.なお,本研究では(1)と(i) を質的データとし,そこで言語化かつ表出した「体 育の授業における知識」を分析の対象とした.そ して,調査 3 については,①模擬授業後(体育科 教育課程・教材構成論の受講後)と②教育実習後 の 2 つの時期に,「獲得した」「課題であった」と 思う「体育の授業における知識」とその理由を問 う記述式のアンケート調査を実施した.なお,本 研究は,2019 年度に X 大学における倫理委員会 の承認を受けている(承認番号:2019549). 2.4 分析の枠組みと分析の方法 本研究では,対象学生のリフレクションに表出 する「体育の授業における知識」の特徴や発達及 びその要因について明確に明らかにするために, 「選定あるいは標準化されたコード群からコード を選んで付すテンプレート(template)コーディ ング」(大谷,2017,p.655)を援用し,質的デー タに対して分析の枠組みを用いた量的な分析を行 うこととした.分析の枠組みとしては,濱本ら (2020)が保健体育科教育実習生の「体育の授業 における知識」の変容について検討する際に,関 連する先行研究(福ヶ迫ら,2005;シーデントップ, 1988;Siedentop and Tennehill, 2000; 吉 崎,1987)

注 3)をもとに作成した「体育の授業における知識 カテゴリー」(表 4)を援用した.分析の方法と しては,調査 1―3 についてそれぞれ以下の手順 で行った.なお,分析の際には,両場面とも授業 に関するリフレクションのみ対象とし,授業に関 係のない内容は除外した. 調査 1 については,対象学生全員の RS の記述 内容から「体育の授業における知識カテゴリー」 (濱本ら,2020)の枠組みに沿って「体育の授業 における知識」を分類し,領域及びカテゴリー 毎に割合を算出した.調査 2 について,各授業後 に行われた協議会における対象者全員のリフレ クションの内容を文字化した.次に,文字化した データから「体育の授業における知識カテゴリー」 (濱本ら,2020)の枠組みに沿って「体育の授業 における知識」を分類し,各領域及びカテゴリー で割合を算出した.なお,授業者及び観察者(授 表 3 対象学生の属性と教育実習の概要 学生 a 学生 b 学生 c 学生 d 学生 e 学生 f 性別 男 女 男 女 男 男 教職志望度 5 2 3 5 3 5 競技種目 ダンス 剣道 陸上競技 バスケットボール 陸上競技 野球 教 育 実 習 担当 クラス 2-1/2-2 1-1/1-2 3-1/3-2 2-1/2-2 1-1/1-2 3-1/3-2 単元 ダンス(現代的なリズムのダンス) 武道(剣道) (短距離走)陸上競技 バスケットボール)球技(ゴール型・ (ハードル走)陸上競技 (ベースボール型)球技 授業 回数 4 回 5 回 5 回 3 回 4 回 5 回 協議会 時間 ① 13 分 ① 13 分 ① 13 分 ① 15 分 ① 14 分 ① 14 分 ② 15 分 ② 13 分 ② 15 分 ② 21 分 ② 20 分 ② 15 分 ③ 14 分 ③ 18 分 ③ 14 分 ③ 10 分 ③ 17 分 ③ 12 分 ④ 10 分 ④ 12 分 ④ 17 分 – ④ 12 分 ④ 20 分 – ⑤ 10 分 ⑤ 10 分 – – ⑤ 10 分

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業者以外の対象学生と指導教員 B)のリフレク ションに加え,質疑応答の内容からも「体育の授 業における知識」の表出が見られた場合は分類の 対象とした. また,両調査とも「体育の授業における知識」 を分類する際には,メリアム(2004)が提示した 質的研究の内的妥当性を高めるための方策のう ち,複数の調査者でデータの分析を行う「トライ アンギュレーション」を採用した.具体的には, 体育科教育学を専門とする大学教員(教員歴 14 年目)と体育科教育学を専攻する大学院生 1 名(博 士課程後期)と筆者で,3 名の意見が一致するま で文脈を読み取りながら文字化したデータを区切 り,分類を行った. さらに,データの信憑性を担保するために,調 査 1 については(2)―(3)のデータを,調査 2 については(ii)―(iii)のデータを用いて,事 実を確認しながら分類を行った.なお,本研究で は,リフレクションの視点や RS の記述量,教育 実習の前・後期で対象とする授業実践回数及び協 議会の時間などの指定はせず,両場面における実 践の自由度を担保し,調査のバイアスがかからな いように配慮した.加えて,本研究には個人差や 大学及び学校現場での実践を対象とした縦断的な 事例研究としての限界性も内含している.そこで, リフレクションに表出した「体育の授業における 知識」の数ではなく割合を算出することによって, 模擬授業及び教育実習の特徴を数量的に比較し, それらを通した知識の発達とその要因について, 実態を詳細に検討することとした. 最後に,調査 3 に関しては,調査 1 及び調査 2 の結果とアンケート調査の自由記述を踏まえ,「体 育の授業における知識」の発達を促進する要因を 探ることとした.

3. 結果及び考察

3.1 模擬授業実践に対するリフレクションに表出 した「体育の授業における知識」の特徴 表 5 は,学生 a―f の模擬授業実践に対するリ フレクションに表出した「体育の授業における知 識」の領域・カテゴリー毎の割合である.領域別 にみると,全員に共通して最も高い割合を示した のが「教授方法についての知識」(領域 2)であり, 次いで「教材内容と教授方法についての知識」(領 表 4 体育の授業における知識カテゴリー(濱本ほか,2020) 領域 カテゴリー 1 教材内容について の知識 教材の中心概念 他の教材との関係 ・概念間の相互関係 2 教授方法について の知識 授業及び単元の構造 学習指導法 マネジメンント 授業開始時 移動 勢いとペース,雰囲気 相互作用・フィードバック 予防的マネジメント 学習 環境 安全管理(場所・置き場・ 服装・用具・教師の立ち位置) 場,時間,用具の設定 しつけ 3 生徒についての 知識 一般的な発達段階の生徒の 知的・情意的特徴 個々の生徒及び学習集団の 知的・人格的特性 個々の生徒及び学習集団における 技能差の特徴 A 教材内容と教授方 法についての知識 説明・指示・概念の表現・発問 師範・示範の仕方 B 教材内容と生徒に ついての知識 教材に対する生徒の感情 教材に対する生徒の理解度及び 技能到達度 生徒に応じた教材の工夫 生徒の誤った考えや学習のつまずき C 教授方法と生徒に ついての知識 様々な特性を持つ生徒を教える 動機づけ D 教材内容,教授方 法,生徒について の知識 誤りや つまずき の 防止 明確な指示・説明・例示 明確な示範・師範 効果的なフィードバック 誤りやつまずきの治療

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域 A)であった.一方,学生 a・c・d は「教授方 法と生徒についての知識」(領域 C)が,学生 b・ f は「生徒についての知識」(領域 3)の割合が最 も低かった.また,学生 a・c・d は次いで「生徒 についての知識」(領域 3),学生 b・f は「教授方 法と生徒についての知識」(領域 C)の割合が低 かった.学生 e は「生徒についての知識」(領域 3)と「教授方法と生徒についての知識」(領域 C) の 2 つの領域の割合が同率で最も低かった.カテ ゴリー別にみると,全員に共通して最も高い割合 を示したのが「説明・指示・概念の表現・発問」(領 域 A)であった. 以上の結果を踏まえると,模擬授業に対するリ フレクションには,「教授方法についての知識」(領 域 2)や「教材内容と教授方法についての知識」(領 域 A)など,主に教授方法に関する知識の表出が 多く,「生徒についての知識」(領域 3)や「教授 方法と生徒についての知識」(領域 C)など,主 に生徒に関する知識の表出が少ないという特徴が あることが明らかとなった.岩田ら(2010)は, 保健体育科教員志望の学生を対象に体育の模擬授 業に対するリフレクションの傾向を調査した.そ の結果,学生のリフレクションは「授業計画」「授 業運営」「教授行為」「教材の内容」「その他」の 5 つに大別され,特に「教授行為」(教師の指導 技術としての指示や示範,発問など)と「授業運 営」(時間配分や学習形態,安全など)の割合が 高いという特徴があることを明らかにした.つま り,学生にとって,授業のマネジメントや説明の 仕方などに関する知識や技術は,模擬授業を実践 する上で課題となる場合が多いが,その分,リフ レクションの機会も多く,知識としても獲得しや すいものであった可能性が考えられる.一方,保 健体育科の学生の模擬授業と教育実習でのリフレ クションの構造を調査した日野と谷本(2009)の 研究では,子どもの「実態把握」については,実 際の子どもを相手にしないとリフレクションの視 点を向けられないという結果が明らかになった. 本研究では,学生が生徒役を担っていたため,先 の結果と同様に生徒に関する知識の表出が少な かったと考えられる.以上より,実際に生徒を相 手に授業実践を行わなければ,学生にとって関連 する知識の獲得は難しいことが推察された. 吉崎(1997)は,「生徒についての知識」(領域 3)とは,発達段階からみた生徒の認知的・情意 的・技能的特徴などについて理解していることと 定義している.この点については,授業実践だけ でなく講義内容を充実させることで学生に理解さ せることは可能であろう.具体的には,吉崎が示 すような「生徒についての知識」に関する講義の 工夫や,模擬授業やリフレクションを行う際に学 んだ「生徒についての知識」を他の知識とつなげ させるような指導の工夫などを行うことによりこ の問題に対処できるのではないだろうか. 3.2 教育実習での授業実践に対するリフレクショ ンに表出した「体育の授業における知識」の 特徴 表 6 は,学生 a―f の教育実習でのリフレクショ ンに表出した「体育の授業における知識」の領域・ カテゴリー毎の割合である.領域別にみると,学 生 b・e・f のリフレクションに表出した「体育の 授業における知識」のうち,最も高い割合を示し たのは「教授方法についての知識」(領域 2)で あり,2 番目に高かったのは「教材内容と生徒に ついての知識」(領域 B)であった.学生 a・d の リフレクションには「教材内容と生徒について の知識」(領域 B)が最も高い割合で表出してお り,学生 d は「教授方法についての知識」(領域 2) が,学生 a は「教材内容についての知識」(領域 1) が 2 番目に高い割合を示した.なお,学生 c のリ フレクションには,「教授方法についての知識」(領 域 2)と「教材内容と生徒についての知識」(領域 B) が同率で最も高い割合で表出した.

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表 5 模擬授業に対するリフレクションに表出した「体育の授業における知識」の結果 「体育の授業における知識」カテゴリー 学生 a 学生 b 学生 c 学生 d 学生 e 学生 f 学生 a ー f 領域 カテゴリー 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 1 教材内容につ いての知識 教材の中心概念 6 5.8% 16 15.4% 4 3.9% 8 7.8% 1 0.8% 12 9.9% 9 4.8% 21 11.3% 2 1.8% 11 9.7% 9 7.1% 16 12.7% 31 4.1% 84 11.2% 他の教材との関係・概念間の相互関係 10 9.6% 4 3.9% 11 9.1% 12 6.5% 9 8.0% 7 5.6% 53 7.0% 2 教授方法につ いての知識 授業及び単元の構造 3 2.9% 39 37.5% 4 3.9% 39 37.9% 4 3.3% 54 44.6% 3 1.6% 92 49.5% 3 2.7% 57 50.4% 5 4.0% 60 47.6% 22 2.9% 341 45.3% 学習指導法 1 1.0% 3 2.9% 1 0.8% 16 8.6% 5 4.4% 0 0.0% 26 3.5% マネジメンント 授業開始時 0 0.0% 0 0.0% 3 2.5% 1 0.5% 0 0.0% 3 2.4% 7 0.9% 移動 2 1.9% 3 2.9% 4 3.3% 1 0.5% 1 0.9% 8 6.3% 19 2.5% 練習隊形 1 1.0% 0 0.0% 4 3.3% 1 0.5% 1 0.9% 1 0.8% 8 1.1% 勢いとペース,雰囲気 4 3.8% 5 4.9% 1 0.8% 9 4.8% 4 3.5% 3 2.4% 26 3.5% 相互作用・フィードバック 7 6.7% 5 4.9% 4 3.3% 9 4.8% 9 8.0% 8 6.3% 42 5.6% 予防的マネジメント 8 7.7% 9 8.7% 14 11.6% 14 7.5% 13 11.5% 8 6.3% 66 8.8% 学習 環境 安全管理(場所 ・ 置き場 ・ 服装 ・ 用具・教師の立ち位置) 8 7.7% 5 4.9% 5 4.1% 15 8.1% 6 5.3% 12 9.5% 51 6.8% 場、時間、用具の設定 5 4.8% 5 4.9% 14 11.6% 22 11.8% 13 11.5% 10 7.9% 69 9.2% しつけ 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 0.5% 2 1.8% 2 1.6% 5 0.7% 3 生徒について の知識 一般的な発達段階の生徒の認知的・情意的特徴 5 4.8% 6 5.8% 1 1.0% 1 1.0% 1 0.8% 2 1.7% 1 0.5% 6 3.2% 0 0.0% 2 1.8% 1 0.8% 1 0.8% 9 1.2% 18 2.4% 個々の生徒及び学習集団の知的・人格的特性 1 1.0% 0 0.0% 1 0.8% 5 2.7% 0 0.0% 0 0.0% 7 0.9% 個々の生徒及び学習集団における技能差の特徴 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 2 1.8% 0 0.0% 2 0.3% A 教材内容と教 授方法につい ての知識 説明・指示・概念の表現・発問 16 15.4% 20 19.2% 15 14.6% 19 18.4% 24 19.8% 30 24.8% 22 11.8% 27 14.5% 14 12.4% 22 19.5% 21 16.7% 24 19.0% 112 14.9% 142 18.9% 師範・示範の仕方 4 3.8% 4 3.9% 6 5.0% 5 2.7% 8 7.1% 3 2.4% 30 4.0% B 教材内容と生 徒についての 知識 教材に対する生徒の感情 3 2.9% 9 8.7% 7 6.8% 17 16.5% 3 2.5% 13 10.7% 2 1.1% 22 11.8% 2 1.8% 9 8.0% 1 0.8% 10 7.9% 18 2.4% 80 10.6% 教材に対する生徒の理解度及び技能到達度 5 4.8% 4 3.9% 6 5.0% 10 5.4% 5 4.4% 3 2.4% 33 4.4% 生徒に応じた教材の工夫 0 0.0% 5 4.9% 4 3.3% 4 2.2% 1 0.9% 5 4.0% 19 2.5% 生徒の誤った考えや学習のつまずき 1 1.0% 1 1.0% 0 0.0% 6 3.2% 1 0.9% 1 0.8% 10 1.3% C 教授方法と生 徒についての 知識 様々な特性を持つ生徒を教える 4 3.8% 4 3.8% 2 1.9% 3 2.9% 1 0.8% 1 0.8% 1 0.5% 3 1.6% 1 0.9% 2 1.8% 2 1.6% 2 1.6% 11 1.5% 15 2.0% 動機づけ 0 0.0% 1 1.0% 0 0.0% 2 1.1% 1 0.9% 0 0.0% 4 0.5% D 教材内容, 教授方法,生 徒についての 知識 誤り やつ まづ きの 防止 明確な指示・説明・例示 2 1.9% 10 9.6% 7 6.8% 16 15.5% 3 2.5% 9 7.4% 5 2.7% 15 8.1% 4 3.5% 10 8.8% 7 5.6% 13 10.3% 28 3.7% 73 9.7% 明確な示範・師範 2 1.9% 2 1.9% 3 2.5% 2 1.1% 2 1.8% 3 2.4% 14 1.9% 効果的なフィードバック 2 1.9% 3 2.9% 2 1.7% 2 1.1% 4 3.5% 1 0.8% 14 1.9% 誤りやつまずきの治療 4 3.8% 4 3.9% 1 0.8% 6 3.2% 0 0.0% 2 1.6% 17 2.3% 合計 104 100.0% 104 100.0% 103 100.0% 103 100.0% 121 100.0% 121 100.0% 186 100.0% 186 100.0% 113 100.0% 113 100.0% 126 100.0% 126 100.0% 753 100.0% 753 100.0%

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表 6  教育実習での授業実践に対するリフレクションに表出した「体育の授業における知識」の結果 「体育の授業における知識」カテゴリー 学生 a 学生 b 学生 c 学生 d 学生 e 学生 f 学生 a ー f 領域 カテゴリー 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 数 % 計 % 1 教材内容につ いての知識 教材の中心概念 6 13.3% 15 33.3% 1 3.0% 2 6.1% 3 6.0% 5 10.0% 8 12.7% 10 15.9% 1 2.4% 4 9.8% 3 5.0% 3 5.0% 22 7.5% 39 13.4% 他の教材との関係・概念間の相互関係 9 20.0% 1 3.0% 2 4.0% 2 3.2% 3 7.3% 0 0.0% 17 5.8% 2 教授方法につ いての知識 授業及び単元の構造 0 0.0% 4 8.9% 6 18.2% 12 36.4% 4 8.0% 15 30.0% 1 1.6% 15 23.8% 1 2.4% 13 31.7% 1 1.7% 23 38.3% 13 4.5% 82 28.1% 学習指導法 3 6.7% 5 15.2% 2 4.0% 1 1.6% 1 2.4% 4 6.7% 16 5.5% マネジメンント 授業開始時 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 1.6% 1 2.4% 0 0.0% 2 0.7% 移動 0 0.0% 0 0.0% 1 2.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 1.7% 2 0.7% 練習隊形 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 2.4% 0 0.0% 1 0.3% 勢いとペース ,雰囲気 0 0.0% 0 0.0% 1 2.0% 3 4.8% 0 0.0% 2 3.3% 6 2.1% 相互作用・フィードバック 0 0.0% 1 3.0% 2 4.0% 2 3.2% 1 2.4% 2 3.3% 8 2.7% 予防的マネジメント 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 5 7.9% 4 9.8% 6 10.0% 15 5.1% 学習 環境 安全管理(場所 ・ 置き場 ・ 服装 ・ 用具・教師の立ち位置) 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 2.4% 4 6.7% 5 1.7% 場、時間、用具の設定 1 2.2% 0 0.0% 4 8.0% 1 1.6% 3 7.3% 2 3.3% 11 3.8% しつけ 0 0.0% 0 0.0% 1 2.0% 1 1.6% 0 0.0% 1 1.7% 3 1.0% 3 生徒について の知識 一般的な発達段階の生徒の認知的・情意的特徴 1 2.2% 1 2.2% 0 0.0% 1 3.0% 0 0.0% 1 2.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 2.4% 0 0.0% 1 1.7% 1 0.3% 5 1.7% 個々の生徒及び学習集団の知的・人格的特性 0 0.0% 0 0.0% 1 2.0% 0 0.0% 1 2.4% 1 1.7% 3 1.0% 個々の生徒及び学習集団における技能差の特徴 0 0.0% 1 3.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 0.3% A 教材内容と教 授方法につい ての知識 説明・指示・概念の表現・発問 2 4.4% 2 4.4% 2 6.1% 3 9.1% 6 12.0% 8 16.0% 3 4.8% 5 7.9% 4 9.8% 7 17.1% 7 11.7% 9 15.0% 24 8.2% 34 11.6% 師範・示範の仕方 0 0.0% 1 3.0% 2 4.0% 2 3.2% 3 7.3% 2 3.3% 10 3.4% B 教材内容と生 徒についての 知識 教材に対する生徒の感情 5 11.1% 19 42.2% 2 6.1% 10 30.3% 4 8.0% 15 30.0% 6 9.5% 23 36.5% 1 2.4% 8 19.5% 1 1.7% 16 26.7% 19 6.5% 91 31.2% 教材に対する生徒の理解度及び技能到達度 11 24.4% 5 15.2% 7 14.0% 9 14.3% 6 14.6% 9 15.0% 47 16.1% 生徒に応じた教材の工夫 2 4.4% 1 3.0% 2 4.0% 4 6.3% 1 2.4% 4 6.7% 14 4.8% 生徒の誤った考えや学習のつまずき 1 2.2% 2 6.1% 2 4.0% 4 6.3% 0 0.0% 2 3.3% 11 3.8% C 教授方法と生 徒についての 知識 様々な特性を持つ生徒を教える 0 0.0% 0 0.0% 1 3.0% 1 3.0% 1 2.0% 4 8.0% 0 0.0% 1 1.6% 0 0.0% 1 2.4% 0 0.0% 0 0.0% 2 0.7% 7 2.4% 動機づけ 0 0.0% 0 0.0% 3 6.0% 1 1.6% 1 2.4% 0 0.0% 5 1.7% D 教材内容, 教授方法,生 徒についての 知識 誤り やつ まづ きの 防止 明確な指示・説明・例示 1 2.2% 4 8.9% 3 9.1% 4 12.1% 1 2.0% 2 4.0% 2 3.2% 9 14.3% 4 9.8% 7 17.1% 3 5.0% 8 13.3% 14 4.8% 34 11.6% 明確な示範・師範 0 0.0% 1 3.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 2.4% 0 0.0% 2 0.7% 効果的なフィードバック 2 4.4% 0 0.0% 0 0.0% 3 4.8% 2 4.9% 2 3.3% 9 3.1% 誤りやつまずきの治療 1 2.2% 0 0.0% 1 2.0% 4 6.3% 0 0.0% 3 5.0% 9 3.1% 合計 45 100.0% 45 100.0% 33 100.0% 33 100.0% 50 100.0% 50 100.0% 63 100.0% 63 100.0% 41 100.0% 41 100.0% 60 100.0% 60 100.0% 292 100.0% 292 100.0%

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一方,学生 a・f は「教授方法と生徒について の知識」(領域 C)が,学生 c・d は「生徒につい ての知識」(領域 3)が,そして,学生 b・e は「生 徒についての知識」(領域 3)と「教授方法と生 徒についての知識」(領域 C)が,それぞれのリ フレクションに表出した知識の中で最も低い割合 を示した.また,カテゴリー別に見てみると,学 生 a・c・d・e・f のリフレクションには「教材に 対する生徒の理解度及び技能到達度」(領域 B)が, 学生 b のリフレクションには「単元及び授業の構 造」(領域 2)が最も高い割合で表出した.なお, 学生 b のリフレクションには,「教材に対する生 徒の理解度及び技能到達度」(領域 B)が 2 番目 に高い割合で表出した. 以上の結果を踏まえると,教育実習での授業 実践に対するリフレクションには,「教授方法に ついての知識」(領域 2)が表出する割合は高い. しかし,模擬授業場面と比べるとその割合は減少 し,生徒の実態を把握することに関係する「教材 内容と生徒についての知識」(領域 B)の割合が 増加するという特徴があった.なお,吉崎(1987) は,「教材内容と生徒についての知識」(領域 B) とは,「ある教材に対して生徒がすでに持ってい る誤った考えや,学習における『つまずき』につ いての知識」と定義している.本研究では,教 材に対して生徒が持っている既存の誤った考えや つまずきのみならず,教材に対する授業内での生 徒の理解や技能,つまずきの把握に関する知識 も,教材と生徒に関わる知識としてこの領域に分 類した.その結果,模擬授業場面から教育実習場 面にかけて関連する領域の知識の表出の割合が増 加することが明らかになった.上述した日野と谷 本(2009)の研究では,学生が実際の中学生を相 手に授業を行うことで,「子ども」の「実態把握」 に対してリフレクションの視点が向けられるよう になると述べている.また,濱本ら(2020)でも, 教育実習を通して授業実践やリフレクションを繰 り返すことで,徐々にリフレクションに「教材内 容と生徒についての知識」(領域 B)」が表出する ようになることを明らかにしている.したがって, 本研究対象の学生らにも,実際に生徒を対象に授 業を行うことで,生徒の教材に対する実態(理解 や技能の到達レベル)を把握する知識が獲得され たと考えられる. 3.3 アンケート調査の結果:「体育の授業におけ る知識」に関する学生の捉えとその理由 表 7 及び表 8 は,模擬授業後(体育科教育課程・ 教材構成論の受講後)と教育実習後に行ったアン ケート調査(調査 3)において,「獲得した」「課 題であった」と思う「体育の授業における知識」を, それぞれ強く思う順から 3 つずつ選択してもらっ た結果を示している.なお,学生 d については, 教育実習後のアンケートにおいて「課題であった」 と思う「体育の授業における知識」への回答がな かった. まず,模擬授業を通して「獲得した」と思う「体 育の授業における知識」については,6 名中 4 名 (学生 a・d・e・f)が「教授方法についての知識」(領 域 2)を挙げていた.一方,「課題であった」と 思う「体育の授業における知識」については,6 名中 3 名(学生 a・b・f)が「教材内容と生徒に ついての知識」(領域 C)を挙げていた.このよ うに,模擬授業を通して学生らが最も「獲得した」 と実感していた知識は「教授方法についての知識」 (領域 2)であった.それに対し,自由記述から, その獲得に効果的であったこととしては,記述の 多かった順に①指導案の作成・添削,②授業観察, ③模擬授業後の協議会,④授業実践,⑤講義が挙 げられた.一方,「教授方法と生徒についての知識」 (領域 C)を課題と思った理由としては,「実際の 生徒を相手にしていないこと」「多人数に対する 指導経験がないこと」などが挙げられた.また, 「教材内容についての知識」(領域 1)については,

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「教材研究が足りなかったこと」「そもそもわから ないことが多かったこと」などが挙げられた. 次に,教育実習を通して「獲得した」と思う「体 育の授業における知識」については,6 名中 4 名(学 生 a・c・e・f)が「生徒についての知識」(領域 3) を挙げていた.一方,「課題であった」と思う「体 育の授業における知識」については,学生 f が「教 材内容,教授方法,生徒についての知識」(領域 D) を 1 番にあげ,その他 3 名の学生(学生 a・c・e) も 3 番以内に挙げていた.また,学生 a と e は「教 材内容についての知識」(領域 1)を,学生 b は「教 材内容と教授方法についての知識」(領域 A)を, 学生 c は「教材内容と生徒についての知識」(領 域 B)を 1 番に挙げていた.以上より,教育実習 を通して学生らが最も獲得したと実感した知識は 「生徒についての知識」(領域 3)であった.理由 としては,自由記述から「多様なクラスの授業観 察をしたこと」「実際に授業実践をしたこと」「教 師目線で子どもたちと接したこと」「ホームルー ムや休憩時間など日頃の生徒の行動を見たこと」 などが挙げられた.一方,学生らが「課題であった」 と感じた知識は個々の学生で異なっていた.多く の学生が「課題であった」知識として 3 番以内に 挙げた「教材内容,教授方法,生徒についての知 識」(領域 D)の理由としては,「全員に目が回ら なかったこと」「生徒のつまずきに関する知識が 不足していること」「理解を深めたり,つまずき を解消できるような明確な説明や声かけの仕方が わからなかったこと」などが挙げられた. また,模擬授業後のアンケート調査結果は,リ フレクションに表出した「体育の授業における知 識」の特徴と類似していた.具体的には,模擬授 業に対するリフレクションに多く表出した知識 は,学生も「獲得した」と自覚する傾向にあり, 表出が少なかった知識については,「課題であっ た」と認識する傾向にあることが明らかとなった. 一方,教育実習後のアンケート調査結果は,それ と異なる結果を示した.特に,「生徒についての 知識」(領域 3)については,模擬授業時に課題 であると感じていたために,実際の生徒を相手に 授業実践を行ったことで,これまでになかった知 識を「獲得した」と強く自覚したと考えられる. そして,「課題であった」と認識した知識につい ては,模擬授業場面よりも学生によって個人差が 出ることが明らかとなった. 3.4 総合考察:模擬授業と教育実習を通した「体 育の授業における知識」の発達とその要因 教師の知識を発達させるには授業実践とリフレ クションが重要(コルトハーヘン,2010;Row-land et al., 2009; 坂 本,2013; シ ョ ー ン,2015; Shulman, 1987)であるが,果たして模擬授業から 教育実習にかけて,学生たちは知識を豊かにした のであろうか.そこで本節では,これまでの述べ てきた結果及び考察から,模擬授業と教育実習を 通した「体育の授業における知識」の発達とそれ を促した要因について論考していく. 表 7 獲得したと思う知識 学生 模擬授業 教育実習 1 番 2 番 3 番 1 番 2 番 3 番 学生 a 2 A 1 3 1 A 学生 b 1 C A A B C 学生 c C D 2 3 A 2 学生 d 2 1 D 2 3 D 学生 e 2 A 1 3 C A 学生 f 2 A C 3 2 D 表 8 課題であった知識 学生 模擬授業 教育実習 1 番 2 番 3 番 1 番 2 番 3 番 学生 a C D 1 1 C D 学生 b C 2 1 A 2 B 学生 c 1 3 A B D C 学生 d A C 2 − − − 学生 e 1 A C 1 2 D 学生 f C 2 D D 2 A

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第 1 に,模擬授業と教育実習を通した「体育の 授業における知識」の発達についてである.濱本 ら(2020)によると,単一的な知識と知識が統合 されたことにより,複合的な知識の表出が見られ るようになったことは,対象とする実習生が獲得 していた「体育の授業における知識」が発達した 結果であるとまとめている.また,濱本ら(2020) がカテゴリー作成時に大枠として援用した「授業 についての教師の知識領域」(吉崎,1987)を提 唱した吉崎は,著書「デザイナーとしての教師 アクターとしての教師」(吉崎,1997)にて領域 A―D の複合的な知識について,授業実践を通し て獲得される「実践的知識」として特に重要視し ている.これらの主張を踏まえると,本研究の対 象学生の授業実践に対するリフレクションに表出 する「体育の授業における知識」は,模擬授業か ら教育実習にかけた授業実践を通して,単一的な 知識(特に領域 1 と領域 2)から複合的な知識(特 に,領域 A や領域 B),つまり,領域同士が関連 しあった複雑な「実践的知識」へと発達していっ たと捉えられる.特筆すべきは,領域 2 の割合は 両場面ともに高かったが,模擬授業から教育実習 にかけてその割合は大きく減少し,一方,領域 B の割合が大きく増加したという点である(表 9). また,教育実習場面では「生徒についての知識」 が含まれる複合的な知識の領域(領域 B―D)の 割合が増えた.加えて,教育実習を通して,特に 「生徒についての知識」(領域 3)を獲得したと自 覚する学生も多かった(表 7).以上より,教育 実習を通して「生徒についての知識」が得られ, 授業実践やリフレクションをする中で「教材内容 についての知識」(領域 1)や「教授方法につい ての知識」(領域 2)の知識と統合して,複合的 な知識がリフレクションに多く表出するようにな り,より複雑な「実践的知識」へと発達していっ たと推察される. 第 2 に,上述したような知識の発達を促した要 因については,以下の 3 点があげられる.1点目 は模擬授業を通して「教授方法についての知識」 (領域 2)がある程度獲得されたということであ る.2 点目は,教育実習時にそれぞれの学生が専 門とする種目の単元を担当したことである.その ため,学生らは「教材内容についての知識」(領 域 1)をある程度保持した状態で教育実習にのぞ んでいたと推察される.そして 3 点目は,教育実 習において,指導教員 B によって「子どもを観 ること」に集中できるような指導がなされたこ とである.つまり,学生は,教育実習前に単一的 な知識(特に領域 1 と 2)を獲得しており,教育 実習を通して獲得された生徒に関する知識と統合 させることで「体育の授業における知識」を発達 させることができると考えられる.また,教育実 習においては,それら知識と知識が統合するよう に,学生に不足している知識を補う指導やリフレ クションに対する指導の工夫が重要であることが 示唆された.

4. 摘要

本研究の目的は,模擬授業と教育実習での授業 実践に対するリフレクションに表出する学生の 「体育の授業における知識」の特徴と発達,そし 表 9 模擬授業と教育実習での学生のリフレクションに表出した「体育の授業における知識」の比較 領域 1 2 3 A B C D 模擬授業 11.2% 45.3% 2.4% 18.9% 10.6% 2.0% 9.7% 教育実習 13.4% 28.1% 1.7% 11.6% 31.2% 2.4% 11.6% 増減 (教育実習 - 模擬授業) 2.2% -17.2% -0.7% -7.3% 20.6% 0.4% 1.9%

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てその要因を縦断的な調査を通して明らかにする ことであった.調査方法としては,授業実践に対 するリフレクションの内容を「体育の授業におけ る知識カテゴリー」(濱本ら,2020)に即して分 類した. 本研究の結果,以下の 4 点が明らかとなった. 1)模擬授業に対するリフレクションには,「教 授方法についての知識」(領域 2)や「教材内 容と教授方法についての知識」(領域 A)など, 主に教授方法に関する知識の表出が多く,「生 徒についての知識」(領域 3)や「教授方法と 生徒についての知識」(領域 C)など,主に生 徒に関する知識の表出が少ないという特徴が あった. 2)教育実習での授業実践に対するリフレクショ ンには,模擬授業場面と比べて,「教授方法に ついての知識」(領域 2)が表出する割合が減 少し,生徒の実態を把握することに関係する「教 材内容と生徒についての知識」(領域 B)の割 合が増加するという特徴があった. 3)学生の授業実践に対するリフレクションに表 出する「体育の授業における知識」は,模擬授 業場面から教育実習場面にかけて,単一的な知 識(特に領域 1 と領域 2)の割合が減少し,複 合的な知識(特に,領域 A や領域 B)の割合が 高まった.この結果から,学生は授業実践を通 して単一的な知識を統合させ,複合的な知識, つまり,領域同士が関連しあったより複雑な「実 践的知識」へと発達させていく傾向にあること が明らかとなった. 4)「体育の授業における知識」の発達を促進する 要因としては,①模擬授業を通して「教授方法 についての知識」(領域 2)がある程度獲得さ れること.②教育実習までに学生らが「教材内 容についての知識」(領域 1)を十分に獲得し ていること.そして,③教育実習において,指 導教員により「子どもを観ること」に集中でき るような指導がなされたことの 3 つが挙げられ た.つまり,対象学生らは教育実習までに単一 的な知識(特に 1 と 2)をある程度獲得し,教 育実習を通して「生徒についての知識」(領域 3) を得られたことでそれらが統合し,複合的な知 識,「実践的知識」への発達へと繋がったと推 察された. 他方,今後の課題として,以下のことが挙げら れる. 1 点目に,データ収集の方法が異なる状況で あったという点である.本研究では,模擬授業と 教育実習の 2 場面を対象にそれぞれの実践に対し 自由度を担保し,バイアスをかけないよう配慮し ながら縦断的な調査を行った.そのため,両場面 でのデータ収集方法に違いが生じ,分析が割合の 算出にとどまった.この点については,大学や学 校など実際の教育現場を対象とした本研究の限界 性も含まれるが,今後は研究方法の検討も必要で ある. 2 点目に,一般化を念頭においた数量的な研究 アプローチからの解明の必要性である.本研究で は,縦断的な調査を行ったため対象者が少なく, 事例的な考察に留まったことは質的研究の限界で あった.そこで,本研究で得られた知見の一般的 性を探索的に追求するために,今後は数量的な研 究アプローチから調査してみる価値があるだろ う. 3 点目に,より詳細な質的データの解釈の必要 性である.本研究では,2 場面を通した知識の発 達について,数量的な比較から分析した.そのた め,特定の知識がどのような指導場面でどのよう に深まったか等の,具体的な知識の発達過程まで は検討できなかった.そこで,今後はより詳細な 質的データの分析方法を検討することで,より内 容に焦点を当てた知識の発達過程を明らかにする ことも必要である. 4 点目に,自己と他者のリフレクションを峻別

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した検討である.本研究では,自己の実践と他 者の実践を区別せず,実践を共有したという前提 で,すべての実践に対するリフレクションの内容 を分析の対象とした.そのため,それぞれの立場 (授業実践者か観察者かなど)によるリフレクショ ン内容の差異については検討できなかった.今後 は,対象者の立場を踏まえた分析も必要であろう. 最後に,本研究ではリフレクションやそこで得 られた「体育の授業における知識」の授業実践へ の影響について検討することができなかった.し たがって,授業実践とリフレクションの相互の影 響について,今後は詳細な検討が求められる. 【注】 注 1)教師の知識は,形成する,獲得する,発展する,発 達する,といった述語を用いてその変容が捉えられて いる.教師の知識の構造について言及した吉崎(1987, 1997)や Shulman(1987)は,単一的な(一般的な) 知識が複雑に絡み合う複合的な知識(いわゆる,授業 などの実践で生きて働く「実践的知識」)が教師に最 も重要であると主張している.そこで本研究では,単 一的な知識が統合し,より高次な複合的な知識(「実 践的知識」)となることを知識の発達と捉える. 注 2)ドナルド・ショーンの著書「The reflective Practitioner」

の 訳 書「 専 門 家 の 知 恵 」( シ ョ ー ン,2015) で は, 「reflection」は省察や反省,振り返りと訳され,主に 省察が実践や知の発展に寄与する専門性そのものとし て捉えられている.英語表記での「reflection」につい ては,日本では内省,熟考,反省,省察,振り返りな ど,研究者や実践者によって多様な意味で捉えられて いる.そこで本研究では,教師の知識を外化(表出) させ,その発達を促すといった方法的な意味合いも込 めて,総じて「リフレクション」とカタカナで示す. 注 3)濱本ら(2020)は,吉崎(1987)の「授業について の教師の知識領域」を大枠として援用した(表 4 の領 域欄).なお,吉崎は,領域 1―3 を単一的な知識,領 域 A―D を複合的な知識とし,特に複合的な知識を「実 践的知識」の重要性を唱えている(吉崎,1997). 【引用・参考文献】 中央教育審議会(2006)今後の教員養成・免許制度の在り 方について(答申).文部科学省. 福ヶ迫善彦・鄭ジュ赫・米村耕平・細越淳二・高橋健夫(2005) 小学校体育授業における教師のマネジメント方略に関 する検討−特に,ボール運動単元の分析から−.スポ ーツ教育学研究,25:27-42. 浜上洋平(2012)体育志望学生の教材内容についての知識 が相互作用行動に及ぼす影響− 3 名の教育実習生を対 象とした事例的検討−.東亜大学紀要,16:13-26. 濱本想子・岩田昌太郎・齊藤一彦(2020)体育科教育実習 生の「授業における知識」の特徴と変容に関する 事例 研究―協議会でのリフレクションに表出する「授業に おける知識」に着目して―.体育学研究,65:53-71. 早川由紀・大友智(2010)体育指導における初心期の教師 の意思決定と知識の関係に関する研究―大学院生の体 育指導を対象として―.群馬大学教育実践研究,27: 107-117. 日野克博・谷本雄一(2009)大学の模擬授業並びに教育実 習における省察の構造.愛媛大学教育学部保健体育紀 要,6:41-47. 岩田昌太郎・久保研二・嘉数健悟・竹内俊介・二宮亜紀子 (2010)教員養成における体育科目の模擬授業の方法 論に関する検討―「リフレクション」を促すためのシ ート開発―.広島大学大学院教育学研究科紀要第二部, 59:329-336. 岩田昌太郎・齊藤一彦・前田一篤・山木彩加・手島祥平・ 中山泉(2014)修士課程段階におけるアクションリサ ーチ型実習の効果に関する事例的検討.学校教育実践 学研究,20:141-151. 川口諒・中川麻衣子・前田一篤・齊藤一彦(2017)教育実 習の経験の有無が「リフレクション」に及ぼす影響に 関する事例研究―教育実習の協議会での発言に着目し て―.広島大学大学院教育学研究科紀要第 2 部,66: 203-212. 小松崎敏(2010)模擬授業の意義と効果的な進め方.高橋 健夫・岡出美則・友添秀則・岩田靖編,新版 体育科教 育学入門.大修館書店:東京,pp.263-271. コルトハーヘン,F. 編著,武田信子監訳(2010)教師教育 学−理論と実践をつなぐリアリスティック・アプロ ーチ.学文社.〈Fred A. J. Korthagen Eds. (2001) Linking Practice and Theory: The Pedagogy of Realistic Teacher Education. Lawrence Erlbaum Associates〉

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2020 年 4 月 21 日受付 2020 年 10 月 26 日受理

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参照

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