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各種薬剤のリンゴ花粉およびモニリア病菌胞子の発芽におよぼす影響

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(1)

発 芽 に お よぼす 影 響

(大内新興化学工業株式会社)

The

effect

of ditio-derivatives

upon

the

germination

of

the

pollen

and

macroconidia

of

Sclerotinia

TAKA.

(blossom

blight)

in the

apple.

Kouhei

KOMIYA

(The

Ouchi

Shinko

Chemical

Industrial

Co. , Ltd.)

I緒

北 日本 に お け る リンゴ 栽培 で 最 も隘 路 と され て い る の はモ ニ リア病 の 蔓 延 で あ る と云 つ て も過 言 で は な い 。 モ ニ リア 病 防 除 の重 要 な点 は本 病 菌 に よ る開 花 中 の柱 頭 侵 入 を 防 止 す る こ とで あ る 。薬 剤 に よ る柱 頭 侵 入 防 止 法 に つ い て は 論 議 の繰 返 え され てい る所 で あ る が,実 用 価 値 の あ る化 合 物 は ま だ 発 見 され て い な い 。 そ し て柱 頭 侵 入 防止 を困 難 に して い る と云 わ れ る 点 は 花 粉 の付 着 す る柱 頭 上 に花 粉 の 発 芽 に影 響 す る こ とな く直 接 保 護 す る こ とに難 点 が あ る た めで あ る2)。 花粉 の 発 芽 に影 響 をあ た え な い 殺 菌 剤 の報 告 は マ ル メ ロの 花粉 に 対 す る亜 酸 化 銅 の報 告 が あ る7)。 ま た, ジ チ オ カル バ メ ー ト誘 導 体 の うち に は リ ンゴ柱 頭 消 毒 に 比 較 的 有 効 な化 合 物 が あ る との 報 告 が あ る 。 以 上 か ら著 者 は柱 頭 侵 入 防 止 用 薬 剤 を探 索 す る 目的 で ジ チ オ カル バ ミン酸 お よび チ ア ゾー ル誘 導 体 に つ い て,リ ン ゴ の 花 粉 お よ び モ ニ リア病 菌 胞 子 の発 芽 状 態 を実験 し,目 的 に 適 合す る化 学構 造 式 の 特 性 を検 討 した 。 本 研 究 の1部,モ ニ リア 病 菌 大 型 分 生 胞 子 の発 芽 試 験 は青 森 県 藤 崎,農 林 省 東 北 農 業 試 験 場 園芸 部 で 昭 和 32年(1957)4月 よ り5月 にわ た り行 なつ た もの で, 実 験 に 際 し多 大 の便 宜 を与 え られ た 森 英 男 博 士(現 農 林 省 園 芸 試 験 場 東 北 支 場 長),な らび に,本 稿 を草 す る に 当 り,御 校 閲 の 労 を とられ た 田杉 平 司 博 士(元 東 北 大 学農 学 部 教 授)の 両 博 士 に心 か ら深甚 の謝 意 を 表 す る 。

II材

料 お よび 実験 方 法

供 試 薬 剤 は つ ぎ の ジ チ オ カ ル バ ミ ン 酸 お よ び チ ア ゾ ー ル 誘 導 体 の30種 類 で あ る 。 ま た 対 照 薬 剤 に は 亜 酸 化 銅(赤 色 と黄 色)等 計7種 を使 用 し た 。 ジ チ オ カ ル バ ミ ン酸 誘 導 体 の う ち,そ の 亜 鉛 塩 類 は (1)zinc diethyl dithiocarbamate,(2)zinc

monomethyl dithiocafbamate,(3)zinc para phenylene dithiocarbamate,(4)zinc ethylph-enyl dithiocarbamte,(5)ethyl phenyl dithio-carbamic acidとamineお よ び 亜 鉛 塩 の 付 加 物

(構 造 式 未 解 明),(6)dimethyl dithiocafbamic acidと フ オ ル ム ア ル デ ヒ ドお よ び 亜 鉛 塩 の 付 加 誘 導 体(構 造 式 未 解 明),(7)para-iodo phenyl amino dimethyl dithiocarbamateの7種 は。 ジ チ オ 酸amine

と の 結 合 物 は(8)

(9)

(10) (11)

(12) (13)

(2)

(15) (16) (17) の10種 は。 チ ウ ラ ム 類 は (18) (19) (20) (21) (22)

(23)para phenylene thiuram disulfideの6種 。 チ ア ゾ ー ル 類 は,(24)zinc mercaptobenzothia-zol,(25)cupric mercaptobenzothiazole,(26)

dibenzothiazyl disulfide,(27)dinitro phenyl mercaptobenzothiazole,(28)cyclohexyl amino mercaptobenzothiazoleの5種 。 水 銀 剤 は(29) phenyl mercury dimethyl dithiocarbamate,(30) phenyl mercury benzothiazole-2-thioate,

(31)diphenyl mercury ethylene bis dithiocar-bamate,(32)phenyl mercury methyl dithio-carbamate,(33)hydroxy phenyl mercury chloride,

(34)hydroxy phenyl mercury acetate,(35) tri-chloro hydroxy phenyl mercury acetateの7種 。 そ の 他 に 属 す る 化 合 物 は(36)mylome,(37)メ サ ル フ ア ン,(38)para-chloro phenyl rhodamine,

(39)buthylene alnide dihydro-1,4-thiazine,

(40)黄 色 亜 酸 化 銅(41)赤 色 亜 酸 化 銅 の6種 を 供 試 し た 。 供 試 薬 剤 の 粉 末 度 は80-160メ ツ シ ユ 程 度 で あ る 。 花 粉 発 芽 の薬 剤 処 理 は つ ぎ の とお り行 なつ た 。 実 験 に供 試 した 花粉 は 紅 玉 ・デ ジシヤ ス ・ゴ ー ル デ ンー デ リシ ヤ ス ・ス ター キ ン グお よび 祝 の5品 種 で あ る。 開 花 直 前 の 花 を採 集 し,花 弁 を取 り除 い た後,直 ち に 乾 燥 器 に入 れ て,-5℃ に貯 蔵 した 。実 験 に 供 す る に際 し随時 取 出 して使 用 した 。 花 粉 の 発 芽床 は 先 の 実 験 で 品 種 お よ び糖 濃 度 に よつ て 発 芽 率 お よび 発 芽 管 の 伸 長 に 差 が あ る こ とが 認 め ら れ て い る の で,糖 濃 度 は5品 種 の 発 芽 す る共 通 の 範 囲 をえ らび,17.5%の 蔗 糖 加 用2%馬 鈴 薯 寒 天 を発 芽 床 に し た 。 薬 剤 処 理 は供 試 薬 剤 を発 芽 床 上 に 小型 散 粉 機(人 工 授 粉 用)で 散 粉 した 。 薬 剤 量 は 直径9cmの ペ トリ皿 内 に0.1∼0.9で あ る 。薬 剤 散は布 後,薬 剤 の被 覆 され て い る発 芽 床 上 に花 粉 を散 粉 し,20℃ に24時 間放 置 し た 。 調 査 は 花 粉 の 発 芽 率 お よび 発 芽状 態 を検 討 した 。 つ ぎ に,モ ニ リア 病 菌 大 型 分 生 胞 子 の 発芽 試 験 は, 国 光 の罹 病 葉 を採 集 し,直 ち に1∼2℃ の冷 室 に貯 蔵 し,実 験 に 当 り随 時 取 出 して,14∼20℃ の恒 温 室 に 置 き大 型 分 生 胞 子 を形 成 せ しめ た 。 薬 剤 処 理 は 各 種 供 試 薬 薄目9を 界 面 活 性 剤 エ マ ー ル 40(0.01%)加 用 水 溶 液1000ccに それ ぞ れ 懸 濁 させ た 後,調 製 薬 液 は コ ロヂ オ ン被 膜 ス ラ イ ドグ ラス 上 に2 気 圧,2秒 間 噴 霧 し た 。2。時 間 風 乾 後,罹 は病 葉 上 で 新 し く形 成 した 大 型 分 生 胞 子 を0.2mol硫 酸 マ グネ シ ウ ム加 用10%蔗 糖 液(発 芽 液)に1視 野 中100個 の胞 子 数 を数 え る よ うに 懸 濁 させ,ス ライ ドグ ラ ス上 に 点 滴 した 。 そ の 後,22℃ の飽 和 湿 室 中 に2。時 間放 置 して, 薬 剤 と胞 子 と を接 触 せ しめ た 。 なお,実 験 は2回 反 復 した 。 調査 は 発 芽 率 を求 め,対 照 区 の発 芽 率 を100と した 発 芽 指 数 で 薬 剤 効 果 を検 討 した 。

III実

(1)各 種 化 合 物 の 花 粉 発 芽 に お よ ぼ す影 響 。 ジ チ オ酸 お よ び チ ア ゾ ール 誘 導 体 の 種 類 に よつ て 花 粉 発 芽 に お よぼ す影 響 に差 が見 られ た 。各 種 誘 導 体 処 理 の リンゴ 花 粉 発 芽 率 は第1・2表 に,ま た,花 粉 発 芽 の状 態 は 図 版 に 示 す とお りで あ る。 花粉 の 発 芽 を阻 止 す る薬 剤 は 水 銀 系(29-35),マ イ ロン系(36,37),ロ ダネ ー ト(38)の 各 誘 導 体 で あ る。 ま た,抑 制 す る薬 剤 は ジ チ オ酸 と ア ミ ン との反 応 生 成 物(8-17)お よ び チ ユ ウ ラム類(18-23)で あ る。 発 芽 に悪 影響 の す くな い 化 合 物 は ジ チ オ酸 の 亜

(3)

鉛 塩 類(1-7)お よ びチ ア ゾー ル 類(24-28)の 範 疇 に 属 す る一 部 化 合 物 で あ る 。 また,薬 剤 の種 類 に よつ て 花 粉 の 発 芽 状 態 に 差 が 見 ら れ た 。 薬 剤 処 理 に よる 花 粉 発 芽 状 態 を分 類 す る とつ ぎ の5通 りとな る。 す なわ ち,(1)花 粉 は薬 剤 粒 子 を押 し退 け る こ とな く,そ し て 発 芽 も しな い (A型),(2)薬 剤 粒 子 を押 し退 け る が 発 芽 し な い (B型),(3)薬 剤 粒 子 を押 し退 け る 。 そ し て,そ の 空 所 に 発 芽 管 を伸 長 す る(C型),(4)薬 剤 粒 子 を押 し退 け,そ の空 所 の み な らず,薬 剤 粒 子 間 に 花粉 管 を伸 長 す る(D型),(5)薬 剤 粒 子 と混 在 した ま まで 発 芽 を示 す(E型)で あ る 。

第1表

各種 薬剤の リンゴ花粉発芽 にお よぼす影響

ジ チ オ 酸 亜 鉛 塩 誘 導 体 の 場 合 は 第1表 に 示 す と お り で あ る 。 各 誘 導 体 の う ち,monomethyl amine誘 導 体(2)は 花 粉 の 発 芽 を まつ た く 阻 害 す る が,そ の 他 のanline類 か ら誘 導 さ れ た 化 合 物,す な わ ち,dime-thylamine(1),ethyl phenyl amine(4)お よ

びp-phenyl enediamine(3)のdithiocarbamin

acid亜 鉛 塩 の 場 合 は,花 粉 は 発 芽 を 示 す 。 そ の う ち, zinc ethyl phenyl dithiocarbamateお よ び そ の 誘 導 体(5)とdimethyl dithiocarbamic acidの フ オ ル ム ア ル デ ヒ ド,亜 鉛 縮 合 物(6)は 低 率 の 発 芽 率 で,発 芽 管 の 伸 長 が 短 小 で あ る 。 し か し,zinc di-ethyl dithiocarbamate(1)お よ びzinc parc-pheny-lene dithiocarbamateは 発 芽 率 が 高 く,そ の 上, 薬 剤 粒 子 の 中 へ 花 粉 管 を 伸 長 す る こ と が 示 さ れ た 。

amineとdithiocarbamic acidと の 結 合 物 の 実 験 結 果(第1表)は,monomethylま た はdimethyl dithio-carbamic acidに そ れ ぞ れmonomethyl amine

(8,9),dimethyl amine(10)お よ びethylene di-amineを 結 合 さ せ た 化 合 物 は 花 粉 発 芽 を 阻 害 す る 。 ま たethylene bis dithiocarbamic acidにmono

(15),dinlethyl-amine(16)が 結 合 し た 場 合 に は 前 記 化 合 物(8-11)よ り も 花 粉 発 芽 を 阻 害 す る こ と が す く な い 。 し か し,こ れ らのdithiocarbamic acid とamineと の 結 合 化 合 物 に お け る 花 粉 発 芽 率 は 概 し て 低 率 で あ る 。 つ ぎ に 異 種 ま た は 同 種 の ジ チ オ 酸 の-S-S-状 結 合 物 で あ る チ ウ ラ ム 類 に つ い て 見 る と,実 験 結 果 は 第 1表 中 に 示 す と お りで あ る 。 こ れ に 属 す る 化 合 物 の 花 粉 発 芽 率 は ジ チ オ 酸 の 亜 鉛 類 お よ び チ ア ゾ ー ル 類 よ り も 低 率 で あ る が,para-phenylene thiuramdisulfide (23)の み は 特 別 に 発 芽 率 を 良 く し た 。 そ し て ま た, 化 合 物 の 花 粉 発 芽 に あ た え る 影 響 は ジ チ オ 酸 に 付 加 す る ア ル キ ル ま た は ア リル ア ミ ノ 基 の 種 類 で 異 なつ た 効 果 が 示 さ れ た 。dimethyl dithiocarbamic acidと

(4)

monomethyl dithiocarbamic acidの 酸 化 結 合 物 (18)は 発 芽 を 害 し た 。ethylene bis dithiocarba-mic acidとdimethyl dithiocarbamic acid(20)な ら び に2分 子 のethylene bis dithiocarbamic acid

(19)の 結 合 物 お よ びtetra-methyl thiuram mono-sulfide(22)は 樹 種 に よ っ て 花 粉 発 芽 に 差 が 現 わ れ

た 。ethylene bis dithiocarbamic

acidとmercap-tobenzothiazole(21)と の 結 合 物 お よ びpara-pheny-lene thiuram disulfide(23)供 試 樹 種 の 花 粉 全 部 に 発 芽 が み ら れ た 。 こ れ ら チ ウ ラ ム 類 に 属 す る 化 台 物 の う ち で と くにpara-phenylene thiuram disulfide

(23)が 花 粉 発 芽 に あ た え る 悪 影 響 が 最 も す くな く, 発 芽 状 態 は 薬 剤 粒 子 の 間 に 混 在 し て 発 芽 す る こ と が 見 られ た 。

第2表

各種 薬剤の リンゴ花粉 発芽 にお よぼす影響(続 き)

5種 の チ ア ゾー ル 化 合 物 の 実 験 結 果(第2表)は 一 定 の傾 向 が み られ ず,花 粉 の 発 芽 を 害 す る 化 合 物 (24,27)と 何 ら害 を あ た え な い 化 合 物(25,28)と が あ っ た。 供 試 化 合 物 の うち に は2-mercapto-benzothiazoleの 金 属 塩 類 が 含 まれ て い る が,亜 鉛塩 (24)は 花 粉 発 芽 を完 全 に 阻 止 す る が,そ の 銅 塩 (25)は 薬 剤 粒 子 と混 在 し た ま ま で 発 芽 す る。 また, dibenzothiazyl disulf1deお よびcyclohexyl-benzo-thiazyl-sulfenamideの よ うなthiazolとamineお よびthiazolとthiazol(26)と の結 合 物 は花 粉 発 芽 を 害 す る こ とが す くな い よ うで あ る 。 以 上 の ジ チ オ 酸 お よび チ ア ゾ ー ル に 属 す る化 合 物 の 花 粉 発 芽 に お よ ぼ す 実 験 結 果 か ら,花 粉 発 芽 は化 合 物 の結 合 型 とジ チ オ 酸 の 種 類,す な わ ち,ジ チ オ酸 中に 含 有 す るalkylamino-,arylamino-基 の種 類 に よ っ て 発 芽 の 程 度 に影 響 す る こ とが示 され た 。結 合 状 態 の 相 異 に よ る花 粉 発芽 の 影 響 は金 属 塩 型 が最 も良 く, ジ チ オ 酸 とア ミ ン との結 合 お よ び チ ウ ラム型 よ りも抑 制 す る こ と が す く な い 。 ま た,ジ チ オ 酸 お よ び チ ア ゾ ー ル の 種 類 で は, mercapto benzothiazolyl-2-thio基,para pheny-1ene diamino基,ethylene diamino基 の 順 に 発 芽 を 抑 制 す る こ と が 強 ま り,dialkyl amino基 で は 抑 制 す る こ と が さ ら に 高 ま り,monomethyl amino基 で は 発 芽 を 阻 害 す る 。 そ し て,そ れ ぞ れ の 付 着 す るamino基

の 種 類 で 花 粉 発 芽 に 影 響 を お よ ぼ し,相 加 的 効 果 が あ らわ れ る よ う で あ る 。 純 芳 香 族 ア ミ ン(Rein-aro-matische Amino)か ら誘 導 さ れ た 化 合 物 で あ るpara

phnylene bisdithiocarbamic acidの 亜 鉛 塩 (3)と 同 じ ジ チ オ 酸 チ ウ ラ ム 型 結 合 物(23)お よ び mnercaptobenzothiazoleの 銅 塩(25)は 他 の ア ル キ ル ア ミ ン,ア リル ア ミ ンか ら誘 導 され た ジ チ オ 酸 誘 導 体(こ の 供 試 化 合 物 の うち に は 脂 肪,芳 香 族 ア ミ ン (Fett-aromatishe Amino)か らの 化 合 物(4, 5)も 含 ま れ て い る)に 比 較 し て 発 芽 率 が 高 い 結 果 を 示 して い る こ と か ら,純 芳 香 族 ア ミ ン か ら誘 導 さ れ

(5)

た 化 合 物,para-phenylene diamino基 お よびphe-nyl amino基 と花粉 発 芽 との 問 に何 らか の 関 連 が あ る よ うで あ る。 亜酸 化 銅 に つ い ては 従 来 か らマ ル メ ロの 花 粉 発 芽 を 害 しな い こ とが 報 告 され て い る7)。 著 者 は 製 造 過 程 を 異 に した生 成 物 に つ い て 実験 した。 そ の結 果,環 元 剤 に ブ ドウ糖 を使 用 した亜 酸 化 銅(41)は 花 粉 発 芽 を阻 害 す る影 響 が 低 い こ とが示 され た 。 リ ン ゴ の品 種 問 で 花粉 発 芽 率 は 異 な る よ うで, Golden deliciousが 一 番 よ く発 芽 す る 。 つ い で Delicious, Starking,紅 玉,祝 の順 で あ る。 薬 剤 処 理 を行 なっ た場 合,花 粉(品 種)の 耐薬 性 は薬 剤 の種 類 に よ っ て 異 な る が,概 して,Delicious, Golden delicious ,Starkingの 発芽 が 良 い よ うで あ る 。 (2)リ ンゴ モ ニ リア病 菌 大 型 分 生 胞 子 の 発芽 試 験 各 種 化 合 物 の モ ニ リア病 菌 大 型分 生 胞 子 の 発 芽 抑 制 試 験 を行 なっ た 。 モ ニ リァ病 菌 大 型 分 生 胞 子 の発 芽 力 は 無 処理 区 で も低 率 で あ る のみ な らず,不 同 で も あ る の で,殺 菌 力 の効 果 は 明 瞭 で な い が,こ れ らの供 試 薬 剤 は 大体,病 菌 分 生 胞 子 の発 芽 を抑 制 す る よ うで あ る 。供 試 薬 剤 の うち,前 項 の 実 験 で 少 しで も花 粉 発 芽 を 示 した化 合物 に つ い て,実 験 結 果 を示 す と第3表 に 示 す とお りで あ る 。 結 果 は 薬 剤 の 種 類 で そ れ ぞ れ 異 なつ た発 芽 抑 制 効 果 第3表 各 種 薬 剤 の モ ニ リア病 菌 分 生 胞 子 の発 芽 に お よぼ す 彩 響(1957) が 示 さ れ た 。 ジ チ オ 酸 の 亜 鉛 塩 類 の う ち で はzinc diethyl dithiecarbamate(1)お よ びethyl phenyl dithiocarbamateと ア ミ ン ・亜 鉛 と の 付 加 物(5)

は 病 菌 胞 子 の 発 芽 抑 制 効 果 が 認 醐 られ る が,zinc-para-phenylene dithiocarbamate(3),zinc

ethyl phenyl dithiocarbamate(4)お よ びpara iodo phenyl amino dimethyl dithiocarbamate(7)は

前2者(1,5)よ り も抑 制 効 果 が 低 下 し た 。 ジ チ オ 酸 と ア ミ ン と の 結 合 し た 型 の 化 合 物 の 間 で はethylene bis dithiocarbamic acidとethylene diamineと の 結 合 物(16)お よ びdimethyl dithiocarbalnic acidと

尿 素 と の 結 合 物(13)に 発 芽 抑 制 効 果 が み られ た 。 ま た,チ ウ ラ ム 類 の うち で はethylene bisdithiocar-bamic acidとdimethyl dithiocarbamic acidの 結 合

物(20),tetra methyl thiuram monosulfide (22),para phenylene thiuram disulfide(23) に お い て 抑 制 効 果 が 示 さ れ た 。 そ の 他 の ジ チ オ 酸 誘 導 体 は 発 芽 率 が 高 く抑 制 効 果 が 低 か つ た 。 つ ぎ に,チ ア ゾ ー ル 類 の 間 で はcupric mercapto benzothiazole(25)がdibenzothiazyl disulfide (26)お よ びcyclohexyl-amino mercaptobenzo-thiazole(28)よ り.も強 い 胞 子 発 芽 抑 制 効 果 を示 し た 。 以 上 の 結 果 か ら,化 学 構 造 式 と病 菌 胞 子 の 発 芽 抑 制 効 果 と の 間 に 一 定 の 傾 向 を うか が い 知 る こ と は 供 試 化 合 物 の 範 囲 内 で は 困 難 の よ う で あ る 。 し か し,そ の う ち2・3の 点 が 明 ら か と な つ た 。 す な わ ち,para-phenvlene dithiocarbamic acid誘 導 体 の う ち で は,

(6)

体(3)がpora-phenylene thiuram disuflde(23)よ りも発 芽 率 が 高 い こ とお よび病 菌胞 子 の発 芽 抑 制 効果 で は ,para-Phenylene thiuram disufide(23)の 場 合,発 芽 率 が 低 率 で亜鉛 塩 誘 導 体 よ りも抑 制 効 果 が 高 い こ とが 認 め られ た。両 種化 合 物 の発 芽 に対 す る作 用 は花 粉 発芽 に お よぼ す影 響 と胞 子 の発 芽 抑制 効 果 と相 似 た結 果 で あ つ た こ とか らみ る と,ジ チ オ酸 誘 導 体 では 花粉 と胞 子 の発 芽機 作 に対 す る阻 害 傾 向 は 同 様 で あ り,す なわ ち,花 粉 と胞 子 のsulfhydryl基 の活 性 阻 害5)を あ た え る もの と思 わ れ る。 しか るに,花 粉 発芽 にお よぼ す影 響 のす くな い こ と が 認 め られ たcupric mercaptobenzothiazole(25) で は病 菌胞 子 の発 芽 に対 し高 い抑 制 効 果 を有 す る とい う一見 相反 す る現 象 が み られ る。 ヂ ア ゾー ル 類 化 合 物 の殺 菌 作用 は,mercaptobenzothiazoleの 化 学構 造 式 中 に含 まれ て い る-SH基 が,病 菌胞 子 の 発 芽 に 際 してsulfhydrylの 過 剰 供給 を もた らす こ とが 原 因 と なつ て,胞 子 の 発 芽 を抑 制 す る もの と仮 定 す る者 が あ る が,も し然 りとす る な らばcupric mercaptobenzo-thiazole(25)も ま た 同様 の 作 用 を有 す る も の と考 え られ る。 ま た,花 粉 発芽 にお よぼ す 悪 影 響 の す くな い こ とは,花 粉 は単 な る蒸 留 水 や 寒 天 ゲル 上 で発 芽 が悪 く,雌 蘂 の抽 出 物,糖 類 お よび そ の他 の供 給 物 質 を必 要 とす る こ とが 知 られ て いるs)の で 花 粉 発 芽 の 際,あ る種 の物 質 を挙 要 と して い る と見 られ る。 従 つ て,花 粉 に対 して チ ア ゾー ル 化 合物 で はsulfhydryl相 当物 質 が供 給 され る た め,発 芽 に際 し必 要 と して い る物 質 の 一部 を満 す 結 果,発 芽 を改 善 す る の では な い か と思 わ れ る。 以 上 の こ とか ら,cupric Inercaptobenzothiazole (25)は 花 粉 と病 菌 胞 子 の 発 芽 に 際 し,両 者 に 同 じ く,sulfhydrylsの 過 剰 供 給 を 行 な う結 果,花 粉 の 発 芽 を 助 長 し ジ ま た 一 方,病 菌 胞 子 の 発 芽 の 場 合 で は sulfhydrylsの 供 給 が 過 度 に な る た め に,逆 に 発 芽 を 抑 制 す る と い う相 反 す る2種 の 作 用 が 同 時 に 示 さ れ る も の と考 え られ る 。 ま た,チ ア ゾ ー ル 類 の うち,cupric mercaptoben-zothiazoleの み が 他 の 誘 導 体 よ り も 作 用 の 著 し い こ と はCuイ オ ン を 有 す る 化 合 物 の 特 性 と思 わ れ る 。

IV考

本 報 告 は リ ンゴ モ ニ リア病 菌 の柱 頭 侵 入 防 止 薬 剤 を 得 る 目的 で 有 機 窒 素 硫 黄 系殺 菌 剤 お よび 同 系 誘 導 体 に つ い て リンゴ の花 粉 お よびモ ニ リア 病 菌 分 生 胞 子 発芽 のscreening testを 行 なつ た結 果 で あ る。 木 村(1962)は 従 来 使 用 され て い る殺 菌 剤 を柱 頭 侵 入 防 除 の薬 剤 と して応 用 した 結 果 を 報 告 して い る3) が , 花 粉 お よ び病 菌 胞 子 の 両 者 に同 じ影 響 を与 え る よ うな薬 剤 を使 用 して柱 頭 を消 毒 し, 実 ぐされ 病 の発 生 を阻 止 しよ う とす る 考 え方 は 最 初 か ら不 合 理 と解 すべ き で あ る と述 べ て い る。 しか し,従 来 か ら使 用 され て い る殺 菌剤 は病 菌 胞 子 の発 芽 を抑 制 ,ま た は 殺 菌 す る カ が 既 成 殺 菌 剤 よ りも強 い こ とを求 め て撰 択 され た 化 合 物 で あつ て,花 粉 発 芽 に お よぼ す影 響 につ い て特 に 考 慮 され た化 合 物 で は な い 。 ま た,殺 菌 剤 は 一般 に, 病 菌 の み な らず 植 物 体組 織 細 胞 に 多 少 の影 響 をあ た え る 化 合 物 で あ る。 従 つ て,病 菌 と寄 主 の両 者 の生 理 機 能 を阻害 す る化 合物 を応 用 の 対象 に し たの で は柱 頭 侵 入 防 除 を解 決 す る薬 剤 を得 る こ とが 出 来 な い こ とは 木 村 の考 察 と同様 で あ る 。 著 者 は有 機 硫 黄 系 殺 菌 剤 と類 似 形 態 を有 す るチ ア ゾ ー ル 類 を併 せ て供 試 して,花 粉 お よび胞 子 発 芽 の 実験 を行 なつ た結 果,供 試 薬 剤 の うち,花 粉 発 芽 を阻 害 し ない 大 部 分 の化 合 物 は遺 憾 な が ら病 菌 胞 子 の 発芽 抑 制 効 果 も ま たす くない 傾 向 を認 め た 。 しか し,2.3の` 化 合物 の場 合 は上 述 の 傾 向 とは別 に,花 粉 発 芽 を害 す る こ と少 な く,胞 子 の発 芽 のみ を阻 止 す る よ うで あ る。 これ ら化 合 物 の構 造 で,共 通 す る点 は 銅 イオ ン を 有 す る こ とお よ びチ ア ゾー ル 塩 類 の有 す る特 異 構 造 で あ る。 ま た,花 粉 発 芽 に 影 響 の 少 な い 種 類 の化 合 物 の場 合,花 粉 発芽 お よ び花 粉 管 の 伸 長 を見 る と,(1)薬 剤 粒 子 と花粉 粒 とが接 触 し た状 態 で発 芽 す る場 合 と, (2)薬 剤粒 子 を押 しの け て発 芽 す る場 合 とが あ る。 こ の こ とは,雌 蘂 の柱 頭 上 に充 分 薬 剤 が 付 着 しだ 場 合 で も,授 精 を まつ と うす る可 能 性 を示 す も の と考 え ら れ る。 木 村 は病 菌 胞 子 の発 芽 を阻 止 す る濃 度 で,し 漆 も花 粉 に 対 す る悪 影 響 のす くない 薬 剤 の 探 索 はモ ニ リア病, 防 除 上 の 今 後 に 残 され た重 要 課 題 で あ る と述 べ て い る 3)が,上 述 の点 か ら も うなづ け る もの で ,さ らに研 究 を続 け る腰 が 認 め られ る 。 今 日,病 菌 胞 子 お よ び花 粉 発 芽 の生 理 機 能 と薬 剤 と の関 係 は 未 だ十 分 な解 明 が な され て い る わ け で は な く,今 後 の研 究 に俟 つ 所 が 多 い。 そ の生 理 機 能 は漸 次 解 明 され て くる も の と思 わ れ るが4)5),そ の生 理 機 能 の 差 を基 礎 と して,新 化 合 物 の台 成 とscreening test の反 復 が 同 時 に 行 なわ れ て,探 索 を続 け な けれ ば 目的 に 適 合 す る 化 合 物 を得 る こ とが 出 来 な い も9と 考 え ら れ る。 著 者 の実験 か らは,cupric mercaptobenzothlazole

(7)

化 合物 が,モ ニ リア病 菌 胞 子 の 発 芽 を抑 制 し,リ ンゴ の 花粉 発 芽 に は反 対 に害 の す くな い こ とが み られ た点 で,こ の 問 題 に一 つ の示 唆 を与 え た もの と思 わ れ る。

V摘

1.本 実 験 は リンゴ モ ニ リア病 菌 の 柱 頭 侵 入 防止 剤 を得 る 目的 で有 機硫 黄 剤 お よ び そ の誘 導 体34種 に つ い てscreening testを 行 な つ た 。 2.リ ン ゴ花 粉 発 芽 を害 しな い 化 合 物 は ジ チ オ酸 の 亜 鉛 塩 類 お よ び チ ア ゾー ル 類 で あ る 。 3.モ ニ リア 病 菌 胞 子 の 発芽 抑 制 に 効 果 の有 す る化 合 物 は ジ チ オ酸 の 誘導 体 お よ び チ ア ゾー ル 誘 導 体 の そ れ ぞ れ に み られ た。 4.供 試 薬 剤 の うち,ジ チ オ酸 誘 導 体 は花 粉 と病 菌 胞 子 の発 芽 両 方 を抑 制 した 。 しか し,チ ア ゾ ー ル誘 導 体 のcupric mercaptobenzothiazoleは 病 菌 胞 子 の発 芽 抑 制 を示 す が,花 粉 発 芽 に お よぼ す悪 影響 のす くな い こ とが み られ た。

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N. L. (1955). Doctocal

dieser-tation series Pub. No : 14, 212. University

mictofilms, Am. Arbor, Michigan. 7.杉 山直 儀G947).作 物 の薬 害.東 京.

8。 宇 佐 美 正 一 郎(1955).(北 海 道 大 学 理 学 部 植 物 生 理 学 教 室 編)植 物 生 理 学 実 習.東 京.

Summary

To test

fungicidal

protection

on penetration

the

fungus

though

stiguma

of

apple's

fruit

rot (Sclerotinia

mali

TAKA. , fourty-one

chemicals,

including

dithio-carbarnic

acid

derivatives

and

various

mercaptobenzothiazoles,

are

used.

Their

effects

were

assessed

in the

apple

pollen

and

monillia

macroconidia

germination

tests.

The

most

suitable

effect

in two

tests

was shomn

by -cupric

mercaptobenzothiazole,

S-substituents

other

than

cupric

salt

attached

to the

sulphur

atom

reduced

the

effect.

Whereas

a

group

other

than

mercaptobenzothiazole,

dithiocarbarbamic

acid

derivatives,

inhibited

germination

of

both

conidia

and

pollen.

In

growth

of

pollen

tube,

treatment

of

cupric

mercaptobenzothiazole

have

(8)

各 図 と もデ リシ ヤ ス種 の花 粉 を供 試 。P.G.は 花 粉,P.T.は 花 粉 管,compdは 薬 剤 粒 子 を示 す。

第1図 薬 剤粒 子 を押 し退 け るが 発 芽 しな い(B型)。 第2図 薬 剤 粒 子 を押 し退 け,そ の 空所 に 発芽 管 を伸 長 す る(C型)。 第3図 薬 剤粒 子 を押 し退 け,そ の空 所 の み な らず,薬 剤 粒子 間 に 花粉 管 を伸 長 す る(D型)Q 第4図 薬 剤粒 子 と混 在 した ま ま で 発芽 し,薬 剤 粒 子 問 に花 粉 管 を伸 長 す る(E型),

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