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塗装現場のリスクコミュニケーション

~大切な近隣への配慮~

2016年3月11日(金)

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 化学物質管理センター 調査官

竹田 宜人

平成27年度東京都環境局 リスクコミュニケーションセミナー

屋外塗装工事におけるリスクコミュニケーション

(2)

2

適切な情報提供が円滑な作業環境を生み出します。

(3)

目次

1. 悪臭苦情の現状

2. リスクコミュニケーションとは何か

3 . 「見える化」とリスクコミュニケーション

4. まとめ

塗装現場でなぜ、リスクコミュニケーションが必 要なのか、リスクの考え方とともに解説します。

3

(4)

1.悪臭苦情の現状

近隣住民への配慮がなぜ必要なのか

4

(5)

VOC ( Volatile Organic Compounds )

• 揮発性有機化合物

• ベンゼンやホルムアルデヒドなどの有機化合物のうち沸点が50℃〜

260℃(WHO基準による)の物質の総称。100種類以上。

• トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン、ホルムアルデヒド、トルエン、

ベンゼン、キシレンなど

• 発がん性など人体に有害な影響の恐れやシックハウス症候群の原 因とされる物質も含まれる。

• 水素(H)と炭素(C)からなる炭化水素(HC)が主な骨格。

• 「有害大気汚染物質」の優先取組物質のVOCのうち、トリクロロエ チレン,テトラクロロエチレン,ベンゼンの3物質について環境基準。

5

(6)

1 悪臭苦情の現状

平成25年度公害苦情調査, 総務省

6

http://www.soumu.go.jp/main_content/000327566.pdf

臭気は継続的な環境問題の一つ。

(7)

7

平成25年度悪臭防止法施行状況調査の結果について(お知らせ)(環境省)

http://www.env.go.jp/press/files/jp/27476.pdf

VOCは人にとって「臭気」として感じられる。

(8)

8

平成

25

年度悪臭防止法施行状況調査の結果について(お知らせ)(環境省)

http://www.env.go.jp/press/files/jp/27476.pdf

(9)

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平成

25

年度悪臭防止法施行状況調査の結果について(お知らせ)(環境省)

http://www.env.go.jp/press/files/jp/27476.pdf

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人のにおいの検知能力

10

物質名 閾値

(永田、竹内1990)

日本産業衛生学会:

許容濃度

アミルメルカプタン 0.8 ppt -

スカトール 6 ppt ー

メチルメルカプタン 70 ppt ー

イソ吉草酸 80 ppt ー

硫化水素 400 ppt(0.0004ppm) 5ppm 酢酸 6 ppb(0.006ppm) 10ppm

ピネン 20 ppb ー

塩素 50 ppb(0.05ppm) 最大0.5ppm ホルムアルデヒド 500 ppb(0.5ppm) 0.1ppm

最大0.2 ppm

エタノール 500 ppb ー

アンモニア 2 ppm 25ppm

プロパン 1500 ppm ー

ppt 10-12 ppb 10-9 ppm 10-6

(11)

揮発性有機化合物 用途 室内濃度指針値(嗅覚閾値) 毒性指標 ホルムアルデヒド 合板など 0.08ppm(0.5ppm) ヒト吸入暴露における鼻咽頭粘膜への刺激

アセトアルデヒド 接着剤、防腐剤、タバコ煙など 0.03ppm(0.0015ppm) ラットの経気道暴露における鼻腔嗅覚上皮への影響

トルエン 接着剤・塗料の溶剤 0.07ppm(0.33ppm) ヒト吸入暴露における神経行動機能及び生殖発生への影響 キシレン 接着剤・塗料の溶剤 0.20ppm(0.041ppm m-) 妊娠ラット吸入暴露における出生児の中枢神経系発達への影響

エチルベンゼン 接着剤・塗料の溶剤 0.88ppm(0.17ppm) マウス及びラット吸入暴露における肝臓及び腎臓への影響 スチレン 断熱材、畳心材など 0.05ppm(0.035ppm) ラット吸入暴露における脳や肝臓への影響

パラジクロロベンゼン 接着剤、防腐剤、タバコ煙など 0.04ppm(-) ビーグル犬経口暴露における肝臓及び腎臓等への影響 テトラデカン 灯油、塗料溶剤など 0.04ppm(-) C8-C16混合物のラット経口暴露における肝臓への影響

クロルピリホス 有機リン系殺虫剤 0. 07ppb(-)

小児の場合 0.007ppb 母ラット経口暴露における新生児の神経発達への影響及び新生児 脳への形態学的影響

フェノブカルブ カーバメート系殺虫剤 3.8ppb(-) ラットの経口暴露におけるコリンエステラーゼ活性などへの影響 ダイアジノン 有機リン系殺虫剤 0.02ppb(-) ラット吸入暴露における血漿及び赤血球コリンエステラーゼ活性への

影響19) フタル酸ジ-n-ブチル 可塑剤(塗料、顔料、接着剤)

可塑剤(塩化ビニル製品全般) 0.02ppm(-) 母ラット経口暴露における新生児の生殖器の構造異常等の影響 フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 可塑剤(塗料、顔料、接着剤)

可塑剤(塩化ビニル製品全般) 7.6ppb(-) ラット経口暴露における精巣への病理組織学的影響

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室内環境指針 (厚生労働省、永田らの資料から)

(12)

2.リスクコミュニケーションとは何か

屋外塗装とは「リスク」なのか?

12

(13)

2.リスクコミュニケーションとは何か リスク評価に基づく化学物質管理

13

有害性は

物質固有の性状 で不変 暴露量は

排出を抑制する等の 製造・使用状況の

管理によって 制御が可能

化学物質を安全に(リスクが懸念されない暴露量以下に抑え て)使用していくために化学物質の有害性を評価した上で暴露 量を制御する必要がある

暴露量

有害性

評価値

屋外塗装はVOCを環境に排出する

→ 環境リスク(人健康、Ox)

低VOC塗料の使用による管理が必要

(14)

14

リスクコミュニケーションの考え方

NRC の報告書(1989)・・・基本的考え方を示したもの

「個人とグループそして組織間でリスクに関する情報や意見を 交換する相互作用的プロセス。」

→ 利害関係者間の理解と信頼のレベルの向上

NRC (National Research Council). 1989. Improving Risk Communication, National Academy Press, 1989: 邦訳

『リスクコミュニケーション:前進への提言』, 林裕造・関沢純訳, 化学工業日報社1997年.

「知る権利」や意思決定の主体が専門家のみではなく、リスクに曝され る人たちにもあるといった考え方が背景に存在する。

パブリック・リレーションズ(PR)

個人や組織体が最短距離で目標や目的を達成する『倫理観』に支えられた

『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションズ活動である。

井之上喬 『パブリック・リレーションズ』(日本評論社、2006)

似ているけど違う。

(15)

15

リスクコミュニケーションの考え方

リスクコミュニケーションの最終目標は、専門知識、合理的マネジメン ト戦略、公衆の好み (preference) の一致である。

OECDワークショップ資料

「化学物質リスク管理のリスクコミュニケーション エグゼクティブサマリー(2000)」

科学的な「リスク評価」の結果を踏まえて、技術的な実行可能性、

費用対効果、国民感情など様々な事情を考慮し、関係者との十分 な対話を行った上で適切な政策・措置を決定・実施する作業が「リ スク管理」です。

リスク評価・・・ 科学的、専門的、中立

リスク管理・・・ 政治的、社会的 → 行政上の意思決定(ガバナンス、マネジメント)

リスクコミュニケーション・・・ リスク管理のための情報の流通、調整、手続き

「リスク評価の独立性と中立性に関する食品安全委員会委員長談話

(平成21年7月1日)」

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16

通常のコミュニケーション

交流会・お祭り

清掃・美化活動

緑化活動

啓発活動

防災訓練 等・・

環境情報開示

CSR報告書(社会、環境)等

ホームページ、パンフレット

現場の公開

工場見学

職場体験

対話

懇談会

環境学習支援

リスクコミュニケーション

工場見学会

環境報告書を読む会

環境モニター・パトロール

地域対話・環境懇談会

JRCC地域対話 等・・

様々な形態 日常的な対話 様々な話題

・地域の環境保全 ・工場周辺の保全 ・騒音、臭気の他 交通、植栽、社 員マナー等々

・教育(見学等)

様々な場を活用したリスクコミュニケーション(事業所の事例)

様々なリスクコミュケーションの形・・・地域との対話と信頼の醸成

(17)

3.「見える化」とリスクコミュニケーション 何を伝えるべきなのか

17

(18)

リスク評価に基づく化学物質管理

18

有害性は

物質固有の性状 で不変 暴露量は

排出を抑制する等の 製造・使用状況の

管理によって 制御が可能

化学物質を安全に(リスクが懸念されない暴露量以下に抑え て)使用していくために化学物質の有害性を評価した上で暴露 量を制御する必要がある

暴露量

有害性

評価値

住民にとってのリスクとは?

におい=化学物質に暴露している。 決まった毒性がある。

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見える化① 物質名がわか

毒性がわ かる

見える化② 排出量がわか

暴露量が わかる

これだけでは リスクはわからない

東京都環境局資料

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/air/event/voc/H27paint.html

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塗装現場における表示について

① 東京都はH19〜20に、低VOC塗装のシンボル事業ということで、 低VOC塗装の取 組事例を紹介するHPを立ち上げた。 H19は鉄道事業者等に、H20年は都各局や 区市にアンケートを実施。

② 区市へのアンケートの結果から、低VOC塗装を積極的に採用する事業所として新宿 区役所道路課と協力。

③ 新宿区の橋梁関係の塗装工事では仕様書の中に、低VOC塗料の利用を明示。

④ 新宿区の第二次環境基本計画(H24〜)に低VOC塗料の利用が記載されている。

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良い点

・ ビジュアルでわかりやすく、具体的な数値を示している。

・ ベネフィット(よいこと:環境にやさしい塗装:環境汚染、生活環境、

労働安全)を明示している。

リスコミ上の改善点

・ 化学物質の具体的な名称が記載されていない。→ どのような害があ るのか、わからない。

・ 89%削減すると、環境にどんな良いことがあるのかわからない。

・ VOCを低減すると光化学スモッグ対策?住民にとって何が良くなるの か、わからない。 →たとえば、溶剤のにおいが少なくなる?

・ 連絡先が書いていない。

(24)

4 まとめ

• 塗装作業は環境リスクである。(周辺住民の健康影響、

光化学スモッグの原因)

• におい=化学物質への暴露である。

• リスクコミュニケーションはリスクの存在を伝えることから。

「どんな化学物質を?」 「どのくらい使っているのか?」

「近くにいる人への影響は何か?」

・ できることから「見える化」をしてみよう。

円滑な作業環境の確保。施工者のイメージアップ 人や環境への影響の低減

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