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母親間の人間関係が構築されるプロセス ― 専業主婦における「ママ友」に対する捉え方を通して―

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(1)論文タイトル. 研究論文 (2). 母親間の人間関係が構築されるプロセス. ―― 専業主婦における「ママ友」に対する捉え方を通して ―― The relationships building process between mothers: Through how homemakers perceive“Mom friends” 木田千晶[*1]・鈴木裕子[*2] Chiaki Kida & Yuko Suzuki 要約 本研究では、「ママ友」との関係が構築されるプロセスを通して、子育てをする母親らの「ママ友」とい う存在の捉え方を明らかにすることを目的とした。それによって、変わりゆく社会の中で母親たちが求め る子育て支援のあり方を検討するための基礎資料を得る。対象者は、第 1 子を幼稚園に通わせた専業主婦 である母親 7 名である。妊娠の判明から就学直後までの他の母親との関係を半構造化面接によって調査し、 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。 その結果、4 つのカテゴリー【存在を認識】【関係の質の判断】 【自分の中での位置づけ】 【関係の進展】 及びそれに含まれる 11 のサブカテゴリー、32 の概念が作成された。母親たちが「ママ友」という存在を 捉えるとき、 【存在を認識】することによって「ママ友」を意識し始め、多様な【関係の質の判断】をしな がら、 【自分の中での位置づけ】を行い、その後、【関係の進展】を経験することが認められた。母親らに とっての「ママ友」は、繰り返される関係構築のプロセスにおいて、その存在の捉え方が変化し続けるこ とが示された。 「ママ友」は、母親自身の子育て状況や周囲の環境の変化によって、ポジティブな存在にも ネガティブな存在にもなり得る、決して安定した存在でないことが示唆された。 キーワード:ママ友、専業主婦、子育て支援、M-GTA. 1 問題と目的. で本研究では、「ママ友」という言葉に焦点を当て、. 1. 1 目的. 母親らが、子育てをする他の母親を、「ママ友」と. 子育て支援に対する関心が高まり、支援の制度や. いう存在としてどのように捉えていくのか、またそ. 施策が様々に整備される一方で、母親たちの抱える. のママ友関係が構築されるにはどのようなプロセス. 子育てに対するストレスや不安は解消されていない。 があるのかを明らかにし、ママ友関係が子育てを支 そのストレスの一つには、母親間の人間関係も要因. え合う仲間づくりとなるために求められることを考. として指摘されており(宮木, 2004)、母親間の人間. 察する。. 関係構築によってもたらされる子育てへの恩恵や困. それに先立ち、以下では、母親間の人間関係、い. 難感を明らかにすることは、子育て支援の施策の一. わゆる「ママ友づくり」が子育て支援の施策の一つ. つとして喫緊の課題である。. となった経緯について、子育てを取り巻く歴史的背. そのなかで、母親間の人間関係に関わる用語とし. 景や現状、そして「ママ友」に関する先行研究から. て、 「ママ友」という新たな概念も生まれ、多くの. 整理する。. メディアによって取り上げられることで、社会の中. 1. 2 「ママ友」という言葉が出現した経緯. で新たな存在価値として成立しかけている。そこ. 「ママ友」とは、母親同士の人間関係をさす言葉. [1]名古屋文化学園保育専門学校(Nagoya Bunka Gakuen Nursery and Kindergarten Teachers College) [2]愛知教育大学(Aichi University of Education). 15. (15).

(2) 子育て研究 第 10 巻. である。この言葉はメディアによって取り上げられ、 ることに困難感を感じていたことも指摘されている 子育てに関する言葉の一つとして一般的に使われる. (齋藤, 2007) 。1989 年には、 「1.57 ショック」とい. ようになった。この言葉の始まりについては諸説あ. う合計特殊出生率が最低を記録し、少子化問題が広. る。プチタンファンという子育て雑誌の相談コー. く認識されることとなる(太田, 2016) 。このように、. ナーにおいて、子どもを介した母親同士の関係に悩. 少子化や核家族化、地域の人間関係の希薄化などの. みを抱える母親たちからの多くの相談について、雑. 社会的変化を背景として、子育てをする母親たちは、. 誌編集者が「ママ友付き合い」と称したことがきっ. 周囲からの支援が少ないことを一因とした育児スト. かけという説がある(すいかのブログ, 2012)。「マ. レスや育児不安を抱え、育児に対して否定的な感情. マ友」は、母親自身が捉える友人関係の一つ(荒. を持つ傾向にある(厚生労働省, 2003) 。荒牧・無. 牧・無藤 , 2008)だが、通常の友人関係とは異なり、 藤(2008)は、育児ストレスや育児不安などの否定 子どもを介しての間接的な関係がベースとなるとい. 的な感情を持つことが問題でなく、否定的感情が高. う特徴をもつ(今井, 2006)。また、子どもの幼稚園. まり親業や一般的な生活全体に対する満足度の低下、. 入園によりできた母親同士の付き合いは、自分の行. 抑うつなどの母親自身のメンタルヘルスの悪化(佐. 動や言動が子どもの友達関係に影響を及ぼす可能性. 藤・菅原・戸田ら , 1994)、ひいては幼児虐待事件. を含む関係でもある(今井, 2006)。. などへの関連にまで及ぶことを問題視しており、母. 「ママ友」という言葉が一般化する前に、1990 年. 親の抱える育児ストレスや育児不安が社会的な問題. 代中頃には「公園デビュー」という言葉も注目され. として注目されてきた。そのため政府は、社会状況. た。集まってくる他の母子連れへの仲間入りを果た. の変化を踏まえ、「これからの家庭と子育てに関す. すことを示し、 「公園デビュー」とは「ママ友づく. る懇談会報告書(1990 年) 」によって「子育て支援」. り」でもある。宮坂(2000)は、「公園デビュー」. という言葉が使われるようになり、少子化対策のた. に不安を抱く母親が公園の利用に消極的になり、公. めの「エンゼルプラン」(1994 年 12 月)をはじめ. 園づきあいから自らを回避させる傾向が見られる様. として、様々に子育て支援・施策が取り組まれるこ. 子を報告し、母親の育児の特殊性を顕在化させた言. ととなり、子育て支援を社会全体で取り組むべき課. 葉と述べている。子育てにおけるこのような行為. 題として位置付けた。. は、従来でも行われていたにもかかわらず、「公園. 子育てに対する責任を部分的にではあれ家族の外. デビュー」という名詞として、ことさらに意味づけ. 部へ移行することの必要性が語られ、「育児の社会. られた。同様のことが「ママ友」にもいえるだろう。 化」という理念が新たに生まれる一方で、子育ての 「ママ友」という言葉によって、母親同士のかかわ. 責任を家族とりわけ母親へと帰属する規範は根強. りを特別な感情を含む特別な人間関係として、社会. い(松木, 2009) 。住田・中村・山瀬(2009)の幼. 及び母親たちにイメージさせることとなった。. 児をもつ親の役割意識に関する調査では、父親と母. 1. 3 「ママ友」を取り巻く社会背景から見た母親. 親が考える親役割における仕事と育児のバランスに. たちの抱える子育てストレスと不安. ついて、父親は仕事と育児に等しく関わるべきであ. 母親の友人関係、特に子どもとの繋がり上の他の. り、母親は育児を優先すべきと考える者が多いとい. 母親との関係をことさらに「ママ友」という言葉で. う結果が見られた。また、男女共同参画が主張され. 他の友人関係と区別するのは、様々な社会的な背景. る現代社会ではあるが、現実には子育てに関して男. に由来する。1950 年以降(高度経済成長期)、きょ. 性の参画は少ない。政府調査(内閣府男女共同参画. うだいの数は戦後の半分ほどに減少、さらに、身近. 局, 2016)によれば、 「夫は外で働き、妻は家庭を守. な生活圏の中での子育てや近隣の人々の子育てに関. るべき」という考え方に賛成、どちらかといえば賛. する情報交換は少なくなり、近隣のサポートが受け. 成と答える者は、長期的には減少傾向にあるものの、. づらい環境が形成された。つまり、母親が一人で子. 平成 26 年で女性 43.2%、男性 46.5%と 4 割以上存. 育てを抱え込む状況が作られたことを示す。さら. 在している。また現実生活では、女性は家庭生活優. に、1975 年以降(高度経済成長後)になると、家. 先が 45.3%、男性は仕事優先が 37.7%と、仕事か家. 族構成員が減少し、近隣の人々からの支援が希薄に. 庭生活のいずれか一方を優先せざるを得ない人が多. なったことで、母親たちは家庭や地域で子育てをす. い。子育ては母親が担うという意識が男女ともに根. 16. (16).

(3) 論文タイトル 母親間の人間関係が構築されるプロセス. 強く、母親が担う子育てにおいての責任は重いこと から、母親であるために抱くストレスが解消されな い原因の一端がうかがえる。. ら連想される、“信頼”“仲間”などの言葉は連想 されないという特徴が示されている(中山, 2011)。 「ママ友」は、マイナス的なイメージ浮かびやすい. 1. 4 子育て支援の施策における「ママ友」. 言葉であることがわかる。. 母親の育児負担を軽減するために、近年様々な子. 「ママ友」という関係を構築する意義では、中村. 育て支援が施され、その意義や効果について研究さ. (2008)が、母親の育児不安と仲間関係には関連が. れてきた。その一つとして、周囲に頼りづらい環境. みられ、育児不安の低い者ほど親しく付き合う幼稚. での育児ストレスや不安を軽減する支援として、母. 園のお母さんの人数が多く、会話頻度も高く、付. 親同士の関係であるママ友関係の必要性が注目され. き合いの満足度も高いことを示し、「ママ友」の存. てきた。. 在によって子育てに対する不安が解消されることを. 中谷(2014)は、地域子育て支援事業の利用に. 述べている。また、宮木(2004)は、育児中の母親. よって、育児情報の取得や活用、仲間づくりが促進. 同士が「ママ友」という友人関係を構築することに. され、母親の身体的な疲労や精神的負担の軽減が図. よって、育児に関する情報入手、育児不安の解消・. られることを明らかにしている。また、堂坂・向後. 悩みの共有、ストレス発散・気晴らし、時間の融. (2014)の調査により、母親は出産後に身体的、精. 通・助け合い、子ども同士が集うことの発育への刺. 神的、環境の変化を経験し、多くの母親は慣れない. 激・効果などの意義があることを明らかにしている。. 子育て生活に不安や葛藤を抱いていることが示され、 「ママ友」との関係から生まれる葛藤については、 しかし、このネガティブ感は周囲とのかかわりに. 實川・砂上(2013)が、母親は「ママ友」との人間. よってポジティブ感へと切り替わることが述べられ. 関係を、個としての同質感と親役割の同質感の高低. ている。特に初めての第一子目の子育てをする母親. と、親しさの度合いの違いによって捉えており、個. は、子育ての知識や技術に関する相談を希望し、そ. としての自分と親役割を担う自分という 2 種類の自. れらが母親のストレス軽減に影響するという報告. 分の存在によって、「ママ友」との関係において葛. (野口・三浦・船越ら, 2015)もある。戸江(2009). 藤が生じることを明らかにしている。中山・池田. は、子育て支援事業における母親サークルが、子ど. (2014)は、 「ママ友」は重要な対人関係であるとと. もについて他愛のない会話をする相手を見つけられ. もに、子どもの教育への考え方や金銭感覚の違いか. る場所、子育ての息抜きをする雰囲気、気楽に来ら. ら、しばしばネガティブ感情や対人葛藤を生じさせ. れる空間として意義を有することを述べている。さ. る存在であることを述べている。具体的には、育児. らに母親が家族以外に気軽に相談できる人は、相談. 観のずれへの葛藤、相手への批判から生じる対人葛. できるママ友、子どもの日常を知る担任、園内の子. 藤、社会経済格差に起因する「相手をうらやましく. 育て相談員というように、悩みの質や深さによって. 思う」ために生じる葛藤などがあげられる。. 選択されることを、高畑(2014)が報告している。. 以上の先行研究からは、母親にとって、子育て期. 以上の研究は、「ママ友」と明言してその影響を. における「ママ友」とのかかわりが、子育てにおい. 述べてはいないが、「仲間づくり」「他の母親からの. てサポーティブな面をもつ一方で、付き合いの難し. 情報」 「相談相手」が育児ストレスの軽減に及ぼす. さも伴う人間関係(荒牧, 2008)と捉える傾向があ. 効果を明らかにしており、現代社会における「ママ. ることがうかがえる。しかし、その捉え方は子育. 友」の役割の重要性が示唆される。. てもしくはママ友関係構築の中のどの段階のもの. 1. 5 「ママ友」に関する先行研究. か、その捉え方は変わらないものなのかは明らかに. 「ママ友」に関する先行研究には、「ママ友」のイ. されていない。これらの要因を明らかにする難しさ. メージ、「ママ友」という友人関係を構築する意義、 は、サポーティブな側面とネガティブな側面は表裏 「ママ友」との関係から生まれる葛藤についての研. 一体であり複雑に絡み合うためと考えられる。そし. 究が見られる。. て、そのことが葛藤する母親たちへの支援のタイミ. 「ママ友」のイメージ研究では、「ママ友」という. ングや方法を適切にすることを難しくしているとも. 言葉からは、 “浅い”“うわべ”“ぐち”といった否. 考えられた。. 定的な言葉が多く連想され、「友達」という言葉か. そこで本研究は、両側面を分極化せず、 「ママ友」 17. (17).

(4) 子育て研究 第 10 巻. との関係が構築されるプロセスを通して、母親らの. 揃えられると考えたためである。したがって、保育. 「ママ友」という存在の捉え方を検討する。そして、 園に通わせる母親や第二子以降の子育てにおける その捉え方の変化から、なぜ「ママ友」を求めるの かを考察することを試みるものである。. 「ママ友」という存在の捉え方に一般化できるとは 言えない点に本研究の限界が認められる。 (4)面接方法. 2 研究方法. 半構造化面接による調査を行った。インタビュー. (1)調査期間. ガイドとして、妊娠期、未就園期、幼稚園期、小学 校期という 4 つの時期における経験を語ってもらう. 2016 年 8 月~ 11 月 (2)対象者及び調査対象期間. ことと、他の母親たちとの具体的なかかわり方を振. 第一子を幼稚園に通わせ、卒園して 1 ~ 4 年の. り返ってもらうことを設定した。面接中は、対象者. 30 ~ 40 代の専業主婦である母親 7 名(表 1)を対. の語りに相槌をうち共感的姿勢を示し、対象者が語. 象とし、各対象者における妊娠の判明から就学直後. りやすい雰囲気になるよう配慮した。途中で語りが. までの約 7 年間を調査対象とした。その間、基本的. 途絶えた場合はこちらから新たに話題を提示し、語. には産科病院、就園前の子育て支援事業、幼稚園を. りを再開できるようにした。面接調査の総時間数. 経験している母親を対象とした。幼稚園に子ども. は 6 時間 14 分(1 事例:最長 1 時間 18 分、最短 34. を通わせる母親を対象とした理由は、實川・砂上. 分) 、逐語録は 108,934 文字であった。. (2012)の調査において、就労している母親の多い. (5)倫理的配慮. 保育所よりも専業主婦の母親が多く通う幼稚園の方. 本研究は、愛知教育大学の研究倫理規定に基づい. が、母親同士が過ごす時間が長いために母親同士の. て行い、対象者には、面接を始める前に、書面と口. 交流が活発で、「ママ友」ネットワークを形成され. 頭で研究の目的と方法を説明し、結果において個人. やすいという結果に依拠した。また保育所では、幼. が特定されることのないよう改変することなどを丁. 稚園に比べて母親の属性や子育て内容が多種多様と. 寧に説明し承諾を得た。. なることを考慮し、本調査においては、子どもを幼. (6)分析方法. 稚園に通わせ、専業主婦であった母親に限定して調. 半構造化面接によって得られた逐語録を、修正版. 査することとした。. グラウンデッド・セオリー・アプローチ(Modified Grounded Theory Approach、以下 M-GTA と表記). (3)面接内容 語りの始まりを「第一子の妊娠や出産をきっかけ. を用いて分析した。M-GTA は、ディテールの豊富. に他の母親たちと初めて出会ったところ」と指定し、 な質的データから社会的相互作用、プロセス的特性 就学直後までの他の母親たちとの関係や子育てにつ. を検討することに適しており、現実に問題になって. いて自由に語ってもらった。対象者に先入観を与え. いることがわかりやすく、実践に研究結果を戻すこ. ないよう、こちらからは「ママ友」という言葉を使. とが可能とされる(木下, 2007a; 2007b; 2009) 。本. わないようにした。語りの内容を第一子に限定した. 研究では、変化し続ける社会の中で実際に子育てを. 理由は、子育て経験回数、子育てへの不安や関心の. する母親たちが、「ママ友」という存在をどのよう. 質、「ママ友」への傾倒の背景を条件的に一定程度. に捉え、関係を構築していくのかを母親たち自身の. 表 1 対象者の概要. 語りから言語データとして収集す る。そこでは、子育てを取り巻く. 対象者 年齢 職業 同居者. 多様な環境や様々な要因の相互関. A 41 歳 専業主婦 配偶者、 9 歳男児、7 歳男児. 連が影響を与えることが予想され. B 41 歳 専業主婦 配偶者、 9 歳男児、4 歳男児. る。M-GTA は、このような体験. C 41 歳 専業主婦 配偶者、 9 歳女児、6 歳男児. における人間関係形成に関する概. D 42 歳 専業主婦 配偶者、 7 歳男児、7 か月男児. 念の生成、概念間の関連、変容プ. E 39 歳 専業主婦 配偶者、 8 歳女児、4 歳女児 F 42 歳 専業主婦 配偶者、10 歳男児、8 歳女児、義母 G 41 歳 専業主婦 配偶者、 7 歳女児、4 歳男児. 18. (18). ロセスを明らかにすることに優れ ており、言語データが有している 文脈性を分断せず、動的な構造化.

(5) 母親間の人間関係が構築されるプロセス 論文タイトル. を目指す分析手法(西條, 2007)であるため、本研. な文章で説明した定義を設定した。表 2 で、ワーク. 究の分析に適していると考えられた。. シートの一例として、概念名『作為的な溝や壁』の. 当初 10 名程度の対象者を計画していたが、7 名. 一部を示した。③意味が類似した概念を集めカテ. に対する分析を終了した時点で、新たな概念の抽出. ゴリーとし、さらに 7 名に共通する抽象度を高め. がほぼなくなったと、面接を行った筆頭著者、保育. たカテゴリーを生成し、時系列の経過に沿って並. 研究を専門としている大学教員、保護者支援に精通. べ、 「図 1 4 つのカテゴリーによる「ママ友」に対. している幼稚園教員、保育園園長との合議により判. する捉え方と関係が構築されるプロセス」を作成し. 断し、M-GTA としての理論的な飽和が得られたと. た。なお、この場合の時系列とは、 「1 人の母親(イ. 解釈し調査を終了した。. ンタビュー対象者)が、他の母親(ママ友)を捉え、. (7)分析手順. その関係が構築されるプロセス」である。7 名の対. 以下のような分析手順によって分析を行った。①. 象母親においては、子どもの発達時期別、もしくは. 逐語化したデータの中から、「ママ友」に対する捉. 複数の母親との繰り返される出会いや関係構築が語. え方と、「ママ友」との関係に関連する箇所に着目. られたが、本研究では、それらを統合包括した 1 つ. し、その部分を具体例として抽出し、M-GTA にお. の出会いから始まるプロセスとしての図を作成した。. ける分析ワークシートに記入した。②そこから具体. これらの分析についても、先述した 4 名で合議を繰. 例を短い言葉で説明する概念名と、具体例を簡潔. り返した。. 表 2 分析ワークシート『作為的な壁や溝』 概念名. 作為的な壁や溝. 定義. 何かから避けるためであったり、自分を守るためであったりする意図をもって表面的に付き合った り距離を置いたりする。. 具体例. ●もう疲れそうだったら、やっぱり深入りはしないという、うん、そこに、それだけですね。やっ ぱり、個性なので。第一子の時のお母さんも本当に輪になるとすごくみんなで仲良くって、いろ いろ力も発揮できるメンバーだったんですけど、やっぱりなんか相性っていうか、その中でもよ く一緒にしゃべる人もいれば、そんなに頻繁にはしゃべらない相手もいたりとかするので。でも 苦手とかそういうものでもないんですけどその人のことがまあ距離感かな、距離感、そうですね 距離感は自然とうまくもってたんじゃないかなと思います。(A)疲れそうだから深入りしない という意図、メンバーの中でもよくしゃべる人とそうでない人と意図的に分かれる。 ●何点だったとか聞かれたことも、いや何点って言われてもねーって答えにくいよねーって思うこ とも、そうすると大体、その人からだんだん離れていくみたいな、あ、そういうこと気になる人 なんだって思って、うん、そうそう。んで、自分も、あの子ちょっとよくできてるから、なんか、 なんだろ、でもやっぱちょっと嫉妬心は生まれたりはするけど、そしたら、なんかあえてそこと は付き合わないようにする。うん、なんか自分の心が面倒くさいから、私は異性の女、の子のお 母さんとは仲良くするんだけど、言われるのも嫌だし、言いたくなるのも嫌だし、全部嫌だか ら、浅くしか付き合わないようにする。(F)面倒くさいと感じる前に自らその人から離れてい く、付き合わないようにする。 ●誰々がこうだからちょっと気を付けなって言われた言葉がちょっと一番ちょっと嫌だったかな。 まあでも徐々に色んな人と接していけばそうやって、なんかアドバイス的にくれてた言葉が、 あぁーあーそういうことなんだなってわかる部分もあったんですけど、うーん、まだ自分がこう 親しく、親しくっていうか全然全く知らない状態っていうか、知らない人だったのになんか最初 にガツンとそれを言われたことが、うん、ちょっとびっくりし、たというか、聞きたくなかった なっていう感じで、そこまでトラブル的には…首を突っ込まないっていうか。(G)自分にとっ てはまだ親しくない、知らない人という意識があるからこそ余計に聞きたくなかったという気持 ちになる。. 理論的メモ. ●面倒くささや疲れ、を感じる前に自ら相手との距離をつくったり、自分にとって親しい人とそう でない人の区別をしたりすることで、母親間の煩わしさを避けようとしている。. 19. (19).

(6) 子育て研究 第 10 巻. 3 分析結果と考察. ( )で補足を加えている。. 分析の結果、4 つの【カテゴリー】及びそれに含. 3. 1 存在を認識. まれる 11 の〈サブカテゴリー〉、32 の『概念』が. 【存在を認識】は、 〈イメージ〉など 3 つのサブカ. 作成された(表 3)。母親が他の母親との関係を築. テゴリー、『作られたママ友イメージとの一致』な. くとき、 【存在を認識】【関係の質の判断】【自分の. ど 7 つの概念によって構成される。 【存在を認識】. 中での位置づけ】【関係の進展】の 4 つのカテゴ. では、土台となる〈イメージ〉をもとに「ママ友」. リーが成り立つことが示された。図 1 では、4 つの. という存在を初めて認識し、〈人物像〉〈比較対象〉. カテゴリーをもとにして、関係が構築されるプロセ. によって「ママ友」という存在を自身の人間関係の. スにおける「ママ友」の捉え方の変遷を示した。母. 一部として捉え始める。 〈イメージ〉には、 『作られ. 親たちは、関係を構築する時間的なプロセスのなか. たママ友イメージとの一致』や『ママ友である自. で、4 つのカテゴリー間を行き来し、それぞれの相. 分』という概念が得られた。「ママ友」という存在. 手を「ママ友」と捉えていた。4 つのカテゴリーを. を意識する端緒として、メディアなどからの影響を. 完結して関係が構築される場合もあるが、途中で関. 受けて作られたイメージと現実が一致し、こういう. 係が終了する事例も認められている。. 母親が「ママ友」なのだと意識したり、私も「ママ. 以下では実際の語りをもとに、各カテゴリーで生. 友」という存在なのだと実感したりする経験をし. 成されたサブカテゴリーと概念を用いて、各カテゴ. ている。次いで、その母親を『モデル』、『先輩マ. リーについて説明する。カテゴリーは【 】、サブ. マ』 、 『専門家』といった〈人物像〉として具体化す. カテゴリーは〈 〉、概念は『 』、具体的な語りは. る。さらに、自分自身の周囲にいる『元々の友人』. で示し、文中に語りを引用する際には「」. や『家族』と、その相手を比較し、自分にとっての、. を使用する。語りの内容がわかりにくい場合には、. その母親の存在の位置を探る。. 20. (20). 図 1 4 つのカテゴリーによる「ママ友」に対する捉え方と関係が構築されるプロセス 【 】カテゴリー 〈 〉サブカテゴリー 『 』概念.

(7) 母親間の人間関係が構築されるプロセス 論文タイトル. その集団と自分の関係の取り方を模索する姿である。. イメージとしてやっぱりテレビとかでやってる. 具体的には『(入って)居場所キープ』『(入りたい. ように、ママ友って面倒くさいっていうか、う. けど)入りづらい』 『入りたくない(から入らない) 』. わべだけだし、で、あ、そう幼稚園に入る前の. という【関係の質の判断】を表している。このよう. その一年前、そろそろ幼稚園かなって時に、ま. な〈関係の目的〉、〈受ける影響〉、〈集団への志向〉. あでもやっぱり子どもに社会性がないと心配だ. を織り交ぜ、自分と「ママ友」における関係の〈距. から、幼稚園のプレ幼稚園っていうのかな、一. 離感〉 『双方向』 『子どもが媒介・緩衝』 『選択可能』. 週間に一回とか連れていくのを行って、で、新. 『作為的な壁や溝』を選択する。以上のような【関. しいお母さんとかとこう会って、うん、無理だ. 係の質の判断】の過程では、それぞれのサブカテゴ. なって、思った感じ。あえて友達いらないか. リー内、サブカテゴリー間で様々な葛藤が生じる様. なって、知ってる友達、もとからの友達の子ど. 相が捉えられた。. もだけでいいかなって、うん。(対象者 F)『作. . られたママ友イメージとの一致』『元々の友人』. 積極的に声をかけてくださるので、それはあの 子どものことを考えると、あの子どもに与える. 上記は、いろいろな思いを持ちながらもプレ幼稚. 影響はとても大きいので、えっと、うん、面倒. 園に参加した母親の語りである。当初には、「テレ. くさいなと思いつつも、あのせっかく声をかけ. ビとかでやってるような「ママ友」は面倒くさい、. てくださるんだから、ねえ、絶対子どもにとっ. うわべだけ」という既存のイメージに不安を感じ、. てもいい経験にもなるし、まあいっか行っとこ. プレ幼稚園への参加を躊躇するものの、「子どもに. うみたいな感じで、 (中略)自分の苦手分野の. 社会性がないと心配」という母親としての思いに. ことに誘われると、ん~面倒くさい~とか思う. よってプレ幼稚園への参加に行き着く。しかし、実. んですけど、でもそれを子どもが、うん、子ど. 際の出会いによって、その母親に対して『作られた. ものためになる、子どもにとっていい経験にな. ママ友イメージとの一致』を実感し、さらに『元々. る、すごくいい影響になるって思うと、まあい. の友人』と比較し、「無理だな」と感じている。つ. いやっていうふうに考えを切り替えることがで. まり、その母親に対しては、作られたママ友イメー. きるので、だからえっと、終わったあとで、は. ジと一致した「ママ友」、元々の友人より必要性に. あ疲れた~とかっていうのはありますけどだか. 劣る「ママ友」という意味を付与して、その存在を. らそれがその程度ですね。 (対象者C) 『ストレ. 認識している。【存在を認識】は、母親たちが他の. ス』 『母親としての義務』. 母親のことを、自分にとってどのような「ママ友」 であるかという、他の母親に対する「ママ友」とい. 対象者 C は、 「面倒くさいなと思いつつも」と. う存在としての捉え方を判断するために、第一に成. 語ったように、「ママ友」との付き合いに対する否. り立つ概念となる。. 定的な感情『ストレス』と、「絶対に子どもにとっ. 3. 2 関係の質の判断. ていい経験になるし」という『母親としての義務』. 【関係の質の判断】は、〈関係の目的〉など 4 つの. との間で葛藤が生じている。しかし「まあいいやっ. サブカテゴリー、『信頼』など 14 の概念によって構. ていうふうに考えを切り替えることができる」のは、. 成される。【関係の質の判断】は、【存在を認識】に. 「ママ友」との〈関係の目的〉を、自分の思いを抑. よって、ある母親を「ママ友」として認識したこと. えて『母親としての義務』として受け入れ、母親で. で成り立つ概念である。「ママ友」との〈関係の目. ある自分の役割上、子どもに必要な関係であること. 的〉として『信頼』『相互扶助』『情報交換』 『母親. に意義を持たせたからと考えられる。「ママ友」と. としての義務』を判断する。実際のかかわりを通し. の【関係の質の判断】では、子育てをする母親とし. て『相互肯定感』、『不安解消』という肯定的な〈受. ての自分を意識することとなり、自分の思いと、母. ける影響〉と、『ストレス』という否定的な〈受け. 親としての思いを切り離すことができず葛藤し、悩. る影響〉を実感する。〈集団への志向〉とは、一対. みやストレスが生じやすくなると考えられた。「マ. 一の「ママ友」ではなく、「ママ友集団」を経験し、 マ友」との関係を築くプロセスが、母親としての育 21. (21).

(8) 子育て研究 第 10 巻 表 3 カテゴリー及び概念一覧と定義 サブ カテゴ カテゴ リー リー. 概念. 定義. 語り例. 概念が抽出さ れた対象者数 (全7名). (ママ友)怖いなって思って、そんなんだった 作られたマ メディアが作り出した「ママ らどうしようと思って、いじめられないように、 4 マ友イメー 友」に対するイメージと一致 ど真ん中ぐらいでいたいなって、外されたら怖 イメー ジとの一致 する存在 いなっては思った。 ジ K ちゃんママお願いしますとか呼ばれて、すぐ ママ友であ 自分も「ママ友」の一人であ に主人に K ちゃんママって呼ばれたって言って、 1 る自分 ると実感させる存在 私はそういう存在でしかないのかって。 自分の子育てに還元できる見 自分もこういうふうになりたいなとかって、す ごくいい刺激をもらったりします。 本となりそうな存在. 4. 第二子をもつ母親や子育て経 いろいろやっぱり初めての子育てで、私は第一 験が既にあり、子育ての先輩 子だったので本当第二子のお母さんの話とかは すごく参考にもなったし… となりそうな存在. 6. 専門家. 幼稚園の先生をやってたから、ちょっと普通の 子育てに関して専門的な経験 お母さんたちとは違った視点からも見てくれる がある存在 し。. 1. 元々の友人. 元々の友人を優先したくなる ママ友よりはうんと楽だし、自分の友達の子ど もってほうが、子どもの友達の親よりは楽。 存在. 4. 家族. 実家で母が助けてくれるとか、助けを求めると 家族や親戚を優先できる、し ころがあったのでそこまでなんかこうママ友に 精神的な支えを求めるというのはなかったんで たくなる存在 すけど…. 6. 信頼. 信頼して頼ることができる. あんまり知らないお母さんに話す勇気はないっ ていうか、困ってることはやっぱり信頼あるお 母さんとかに話してたかな。. 3. 相互扶助. 下の子がいるからとか、幼稚園までまた行くの 子育てをする中でお互いに協 に交代で行こうねとか、そういうのは普通にあ 力し合う るし、何かあったら頼ってねって。. 2. プリント持って帰ってきてないんだけど、何々 子育てに関する情報を交換す ちゃんのところどう?とかっていうメールがき る たりとかして…. 5. 子どもの社会性や人間関係、 将来を考えた上での母親とし 中に入らない人だねって思われるかなっていう 母親として ての義務。自分の気持ちを抑 ことで、子どもがなんか外されても嫌だし…、 の義務 えて子どものことを優先させ る. 4. 自分の子どもの成長もすごいなんかお話しして お互いの子育てや子どもの成 くれたりとか、こんなことできるようになった 相互肯定感 長を褒め合い、認め合い、喜 ねとか言ってくれたりするのはすごい嬉しかっ び合うことができそうな存在 たし…. 2. 受ける 不安解消 影響. まあ具体的な解決策はないけども、まあお互い 子育てに対する不安や疲れを に愚痴りながら心落ち着かせていくっていう感 解消できそうな存在 じかな。. 4. ストレス. 気を使ったり、疲れを感じた みんなに追いつけていないのをみなさんに見ら り、プレッシャーに感じたり れてるっていう負い目は、それはたぶんみなさ して子育ての負担になりそう ん思ってないと思うんですけど… な存在. 6. 居場所キー グループの中にいることで自 その日とりあえずこの塊の中にいればいいかな 分の存在を保つ みたいな、そこからは外れたくないかなって。 プ. 2. ぽつんといるよりは会話に入ったほうがたぶん グループに グループに入りたい気持ちは 集団へ は入りづら その場はいいんだけど、たぶんお姉ちゃんたち 持ちつつも、入りづらい の志向 い の話題になると私わからないし。. 2. モデル 存在を 先輩ママ 認識 人物像. 比較対 象. 関係の 目的 情報交換. 関係の 質の 判断. 露骨に無視されたとかも聞いたことはあるけ グループに 自ら意思をもってグループに ど、その中に身を置きたくないって即座に判断 4 は入りたく は入らない して、もう離れる私は。 ない. 22. (22).

(9) 論文タイトル 距離感をみんなわりと上手にとる人たちが多く お互いにほどよい頻度、心理 て、聞けばばっと助けてくれる、でもそこから 的距離を保って良好な関係を は深入りせずに、距離を置いたところで心配し 築く てくれるという距離感はすごくよかった。. 3. 自分よりもやっぱ子どもですね。子どもが仲良 子どもが媒 子どもという存在を媒介とし くなれば、親も自然と仲良くなってくると思う 介・緩衝 て成り立つ し…. 3. 双方向. 関係の 距離感 質の 判断 選択可能. あんまり知らないお母さんに話す勇気はないっ 話す相手や聞く相手を機会や ていうか、うん、困ってることはやっぱりあの、 4 内容によって意図的に選ぶ 信頼あるお母さんとかに話してたかな。. 何かから避けるためであった り、自分を守るためであった 言われるのも嫌だし、言いたくなるのも嫌だ 作為的な壁 りする意図をもって表面的に し、全部嫌だから、浅くしか付き合わないよう 6 や溝 付き合ったり、距離を置いた にする。 りする. 必要性. 仲いいお友達できたらいいな、たまに体験教室 自分が求め 自分のために必要だと感じ、 とかに通ったりはして、ここでできたらいい る 繋がりを求める存在 なっていう気持ちはもちろんあるんだけど…. 3. そういうお母さんたちの関係性繋がりができ 母親として 母親として必要と感じ繋がり たっていうのは、自分の、育児をするにあたっ 求める を求める存在 てとてもプラスのものだったのかな。. 4. 同年齢、同性、同じ幼稚園、 一緒の学年の子がいると、みんな男の子だった 子ども同士 小学校、習い事など子ども同 からそこの子たちと遊ぶことのほうが多かった の共通点 士の間で共通したものがある かなっていう感じです。 ために繋がりを保ちたい存在. 7. 子 育 て に つ い て 共 通 の 考 え 方、しつけの仕方、共感でき うちの子とあそこの子がケンカしてても、お互 る親としての悩みがあるなど いまあほかっといてもいいわっていう暗黙の了 母親としての共通点があるた 解があるけど… めに繋がりを保ちたい存在. 7. 同じような考え方、同じ境遇、 繋がってるお母さんたちには、自分と私と同じ 自分との共 同年代、同職など一人の人間 ように考えてるお母さんがもしかしたら多いの 通点 として相手との共通点がある かもしれません。 ために繋がりを保ちたい存在. 6. 自分の 母親として 中での 共通性 の共通点 位置 づけ. 育 児 に 対 す る 姿 勢 が 違 っ た なんとなく違うお母さんの子と遊んでるとなん 母親として り、 母 親 と し て の 考 え 方 が となくちょっとピリッとしながら、見てるって のズレ 違ったりして、相手とズレを いうか ズレ・ 感じる存在 嫌悪 考え方が合わない、気が合わ わざわざ、じゃあ一緒に行こうねってがちがち 自分とのズ ないなど、自分と合わない部 に固めなくてもいいんじゃないかなっていう感 レ じ。 分がある存在. 関係の 進展. 関係の 評価. 4. 1. 広がる. 新たな関係が生まれる. N ちゃんのお子さんともう一人のお子さんが電 車が大好きだったので、それでまあ仲良かった ので、自然と私たちもなんか仲良くなるみたい な感じ。. 深まる. 信頼度が増し関係が深まる. 長く一緒にいる中で存在としてはだんだん心強 7 い存在になっていったなっていうのがあります。. 友になる. 子どもたちのことから自分たち自身の関係、親 子どもを通してできた関係か 同士の、そういういい関係ができるようになっ ら自分自身の友人になる てる。. 4. 一番目の子が幼稚園に行ってたときのお母さん と顔を合わせる機会ががくんと減るんですよ、 そうすると少しずつ関係性が薄くなって…. 5. 疎遠になる 関係が薄くなる、なくなる. 1. 23. (23).

(10) 子育て研究 第 10 巻. 児の悩みと葛藤のプロセスとなっていた。. 好意的で良好な関係を成立させている。これらのこ. 3. 3 自分の中での位置づけ. とから、【自分の中での位置づけ】として『母親と. 【自分の中での位置づけ】は、〈必要性〉など 3 つ. しての共通点』を判断できた場合、「ママ友」との. のサブカテゴリー、 『自分が求める』など 7 つの概. 関係が継続し、さらに母親たちは、その時々の自分. 念によって構成される。【存在を認識】し、【関係の. の状況や話したい内容によって、自分にとって望ま. 質の判断】をした「ママ友」の存在に対して、さら. しい「ママ友」を求めていると考えられた。. に【自分の中での位置づけ】をすることによって、. 3. 4 関係の進展. より具体性のある存在として「ママ友」を捉える。. 【関係の進展】は、サブカテゴリー〈関係の評価〉. 【自分の中での位置づけ】において母親たちは、『自. と、『広がる』『深まる』『友になる』『疎遠になる』. 分が求める』「ママ友」と『母親として求める』「マ. という 4 つの概念によって構成される。 【自分の中. マ友」の間を揺れ動きながらも、自分の理想に近い. での位置づけ】によってある程度方向づけられた関. 価値観として〈必要性〉を判断している。そして、. 係の継続性の中で【関係の進展】が成り立つ。〈必. 〈共通性〉のある「ママ友」を、繋がりを保ちたい. 要性〉や〈共通性〉が【自分の中での位置づけ】と. 存在として価値づけたり、〈ズレ・嫌悪〉といった. して成り立った場合は、 『広がる』 、 『深まる』 、 『友. ネガティブ感も感じたりすることで、自分の生活上 のどこに「ママ友」という存在を位置づけるかを判 断している。. になる』といった継続的な変化を促進させる一方で、 〈ズレ・嫌悪〉に向いた場合は、 『疎遠になる』とい う【関係の進展】になりやすい。しかし、たとえあ る時点では〈ズレ・嫌悪〉として位置づけても、表. いくら子どもが仲いいとか悪いって言っても、. 面的には関係が継続する場合もあり、その後何ら. その気の合うお母さんだと、育児に対してやっ. かのきっかけから『深まる』『友になる』といった. ぱり同じ考え方をやっぱある程度、うん。何か. 【関係の進展】に転じる事例も見られた。以下の語. 悪いことをしたときに、もちろん若干違うから. りである。. その気を使うことはあるけど、でもやっぱりこ. . れがいい、これは悪いっていうことが似た、あ. 一番ボス的な存在のお母さんと、一年二年後く. る程度価値観が似た人が、やっぱりお友達にな. らいにたまたま眼科でお会いをすることになる. るし。そうすると子どももそこまで違うことは. んです。知ってるあの人と思って、ちょっとお. やっぱりないし、同じことしてやっぱ同じこと. 互い目が合って、知ってるよねって思いながら. 叱られるし、こんな事また言っちゃったとか、. も、でも怖い存在だったので避けてたんですけ. そういう話で逆に盛り上がったり慰め合ったり. ど、でも何かでこんにちはって言ったら、だよ. とかお母さん同士もやっぱりしてるし。いやで. ねって言われて、そこから今仲良しの、また. も誰々さんはこうだよねとか、こういうとこ見. その方、今の頼れる存在の一人になってます。. 習わなきゃ、っていう同じ、やっぱ空気感とい. (中略)今もそれをあのときに、G ちゃんって. うか価値観を持った人が、そっかやっぱ残る。. 呼ばれてるんですけど、G ちゃんあのときに声. (対象者E) 『母親としての共通点』『母親とし. かけてくれなかったら今の私たちないよねみた. て求める』. いな感じで、はい。もう今は、子どものポス ター、夏休みの宿題のポスター描きは彼女の家. 対象者 E は、 「育児に対してやっぱり同じ考え方」、 「 (子どもが)何か悪いことをしたときに(中略)あ る程度価値観が似た人」といった、母親として同じ. でさせてもらったりとか、それこそ本当に頼れ るお姉さん的存在で、かっこいい方なんです。 (対象者G) 『深まる』. 考え方、価値観をもった「ママ友」が「友達にな る」や「残る」と実感しており、そのような「ママ. 対象者Gは、 「一番ボス的な存在」で、 「怖い存在. 友」とは継続できる関係であったことが読み取れる。 だったので避けていた」というように、【自分の中 また、「盛り上がったり慰め合ったり」と語られた. での位置づけ】として〈ズレ・嫌悪〉を感じてい. ように、 〈共通性〉のある「ママ友」との関係では、 た、ある「ママ友」の存在が、この日のやり取りを 24. (24).

(11) 母親間の人間関係が構築されるプロセス 論文タイトル. きっかけにして、今では「頼れる存在の一人」に. で、 【自分の中での位置づけ】においては、 『自分が. なったと自覚している。このことから、二人の関係. 求める』という価値観を判断することができた。さ. に『深まる』という【関係の進展】が成り立ったこ. らに、 【関係の進展】によって、 『友になる』という. とが読み取れる。さらに、ある母親への認識が変わ. 当初抱いていた〈ズレ・嫌悪〉とは対照的な関係を. り、「頼れる存在の一人」と語られたように、【関係. 構築するプロセスが示された。つまり、これらのプ. の質の判断】において『信頼』が構築されたことが. ロセスから考えられる母親たちが捉える「ママ友」. 示唆される。また、「今の私たちないよね」という. とは、今の自分にとってどのような存在かというこ. お互いの認識や、「頼れるお姉さん的存在で、かっ. とを、子育て状況の変化に伴いながら捉え直し続け. こいい方」として、頼り尊敬できる存在であること. る存在であると考えられた。. を実感していることからは、【自分の中での位置づ. 「ママ友」とのかかわりが、子育てをする母親た. け】において『自分が求める』が成り立ち、【関係. ちに肯定的な影響を与えることが本研究においても. の進展】として『友になる』に近い存在となってい. 明らかとなった。 【関係の質の判断】として、 『信頼』 、. る。以上のことから、【関係の進展】によって、「マ. 『相互扶助』、『情報交換』や『相互肯定感』 、『不安. マ友」との関係が固定的になるわけではなく、【関. 解消』などのママ友関係におけるポジティブな側面. 係の質の判断】や【自分の中での位置づけ】へと. が示されたことから、子育てをする母親たちにとっ. 戻るプロセスをたどることから、【関係の進展】は、 て何らかの支えとなっており、ママ友関係の必要性 【関係の質の判断】や【自分の中での位置づけ】と. が示唆された。【自分の中での位置づけ】において. 流動的に関係し続け変化するカテゴリーであること. も〈必要性〉や〈共通性〉というポジティブな価値. が認められた。母親たちの「ママ友」に対する捉え. 観を判断し、【関係の進展】においても前向きな変. 方は、関係構築のプロセスの中で変化し続けていた。 化を経験できるプロセスからは、母親たちが「ママ 友」との関係構築に対して、否定的な気持ちだけで 4 総合考察. はなく、良い関係でありたいという願いを持ち、肯. 4. 1 関係構築のプロセスから見た「ママ友」とい. 定的な思いも抱いていることが考えられる。「ママ. う存在の捉え方. 友」とのかかわりにおいてポジティブな影響を受け. 母親たちが、ある一人の母親を「ママ友」と捉え. ることで、母親たちの「ママ友」に対する肯定的な. るとき、何らかの意味を付与して【存在を認識】し. 認識を促す可能性が示唆された。. 始める。特に〈作られたママ友イメージ〉による影. 一方、〈イメージ〉による影響を受けて母親たち. 響を強く受けて成り立つことが認められた。母親た. が捉える「ママ友」とは、多くの場合否定的なもの. ちは、ある母親に対する「ママ友」に対する自分な. であり、その否定的なイメージによって、他の母親. りの存在価値を認識した後、徐々に「ママ友」と. との関係を構築することに消極的になってしまうこ. の関係を構築する。そして、【関係の質の判断】に. とも認められた。このことは、「ママ友」という言. よって具体的にかかわりながら、【自分の中での位. 葉そのものがもたらす弊害とも捉えられる。母親に. 置づけ】をすることで、ある一人の「ママ友」を自. なったら「ママ友」ができて当然であり作らなけれ. 分の生活上に位置づけ、より具体性のある存在とし. ばいけないというような意識が、母親たちの中に存. て「ママ友」を捉えていく。その後、【関係の進展】. 在することがうかがえる。宮坂(2000)の調査で. を経験することが認められた。また、【関係の進展】. は、「公園デビュー」という言葉によって母親たち. を経て、 【関係の質の判断】や【自分の中での位置. は、公園づきあいをしなければならないという過剰. づけ】に再び戻るプロセスも認められ、繰り返され. な義務感を持ち、それが達成できないストレスを感. る関係構築のプロセスによって、その捉え方が変. じることが示されていたが、「ママ友」も同様な面. 化することも示された。例えば、3.4 関係の進展で. が見られた。たとえば「子どものために 1 人浮いて. 示したように、 〈ズレ・嫌悪〉を感じていた、ある. るお母さんじゃだめ」「ある程度真ん中ぐらいにい. 「ママ友」の存在が、ある日のやり取りをきっかけ. て、いろんな人と喋ってるぐらいのお母さんであり. に、『深まる』という【関係の進展】を経験し、【関 係の質の判断】における『信頼』が成り立ったこと. たい」 ( 【関係の質の判断】 『母親としての義務』 )や、 「20 人~ 30 人でランチに行くのはしんどいなとは 25. (25).

(12) 子育て研究 第 10 巻. 思いつつ、仲良くなって自分の子も仲良くなってほ. いて注目すべき結果である。『友になる』という関. しいっていう思いでニコニコするしかない。」(【関. 係の最終形態に至った「ママ友」との関係は、ポジ. 係の質の判断】『母親としての義務』)などが語られ. ティブなプロセスを経て成り立った関係であると考. た。これらの語りと概念から、「ママ友」とは、母. えられ、『母親としての義務』としてかかわってき. 親の誰にでも共通することのように位置づけられ、. た「ママ友」との関係とは異なる関係である。『友. 不安感を取り去る言葉でもあるが、かえって母親の. になる』関係では、母親が自ら求める関係を築き、. 不安やストレスを煽る可能性を含んでいることも示. 母親自身が他の母親との関係を必要としていること. 唆された。また、 「K ちゃんママお願いしますとか. であるとも考えられる。つまり、「ママ友」との関. 呼ばれて、すぐに主人に K ちゃんママって呼ばれ. 係がどのように進展するかによって、母親間の人間. たって言って、私はそういう存在でしかないのかっ. 関係そのものが母親たちの子育て支援となる可能性. て」(【存在を認識】『ママ友である自分』)の語りと. が示唆される。. 概念からは、自分が子どもの母親という存在でしか. 『友になる』関係に進展するためには、 【関係の質. ないという衝撃と同時に、自分も「ママ友」の一人. の判断】だけではなく、「ママ友」との関係が自分. だと認識せざるを得ない状況によって、「ママ友」. にとってどのような関係なのかという【自分の中. との関係をあくまでも他人事にはできない様子がう. での位置づけ】が重要となると考えられた。特に、. かがえる。「ママ友」という存在を、自身の中でも. 『友になる』要因として結果から挙げられることは、. 様々な場所に位置づけて捉えていると考えられた。. 〈必要性〉や〈共通性〉を【自分の中での位置づけ】. 4. 2 母親同士の仲間づくりをめざして. することである。母親としての〈必要性〉や〈共通. 本研究では、「ママ友」という存在が母親自身の. 性〉を感じられることに加え、『自分が求める』存. 現状や周囲の環境などによって、ポジティブな存在. 在であり、『自分との共通点』のある存在であるこ. にもネガティブな存在にもなり得る、決して安定し. とが母親たちにとっては必要不可欠であると考えら. た存在ではないことが示唆された。本節では、得ら. れる。母親たちが義務としてではなく、育児をする. れた結果をもとに、「母親同士の仲間づくりをめざ. 仲間として、また、自ら求める存在として、他の母. して」と称して、ママ友関係が子育てを支え合う仲. 親と関係を築くことができるように、本研究で示さ. 間づくりとなるための示唆を述べたい。. れたそれぞれの母親の他の母親との関係構築のプロ. 母親たちは、『母親としての義務』、『ストレス』、. セスの現時点を理解することが求められる。その上. 『グループには入りたくない』等、関係を構築する. で、母親間の仲立ちとなり、緩衝となり、母親間の. プロセスにおいて、ネガティブな感情を抱くと、そ. 人間関係における緩やかな介入を行うことができる. のネガティブな感情からなかなか抜け出すことがで. 存在が求められる。それらの介入によって、義務と. きない。それらのネガティブな感情の中には、子. しての「ママ友」づくりから、自らが求める育児を. どものためにも、母親である自分自身のためにも、. する仲間づくりへと、母親たちの意識を転換するこ. 「ママ友」を作るという子育ての既定路線から外れ. とができるのではないだろうか。. ることに対する不安や恐れから、「ママ友」を作. 今後、子育て支援の具体的な検討に際しては、無. らなければ親になれない、良い親になれないとい. 配慮に言葉を冠した制度、施設、内容によって、言. う『母親としての義務』が生じることが考えられた。 葉がひとり歩きし、かえって母親の負担感を増やさ 『母親としての義務』によってかかわる「ママ友」. ないように配慮しなければならないだろう。母親同. は、あくまでも「ママ友」であり、母親たちが抱く. 士の関係とは、子育てをする仲間づくりであるとい. 良い母親像に縛られた状態の関係である。つまり、. う方向に向けて、母親たちの心理的、身体的な支え. 母親たちが『母親としての義務』によって関係を構. となる関係として成り立つ必要があると考える。. 築した「ママ友」としての関係を続ける限り、育児. 4. 3 今後の課題. を支え合い、共同で育児を行う関係には至らないと. 本研究において、対象者の語りの内容が妊娠期か. 考えられる。一方で、関係を構築するプロセスの最. ら小学校入学後という長期的にわたる経験をデータ. 終形態を考えた際、【関係の進展】において『友に. としており、そこでは、子どもの発達時期によるマ. なる』という概念が抽出されたことが、本研究にお. マ友関係への影響の違いも示唆された。しかし、本. 26. (26).

(13) 母親間の人間関係が構築されるプロセス 論文タイトル. 研究では、子どもの発達時期や子育て段階によるマ マ友関係に及ぼす影響についての検討までは踏み込 めておらず、それらは次回の課題としたい。 さらに、本研究では、幼稚園に子どもを通わせた 母親を対象としたため、専業主婦と言われる母親と その「ママ友」の関係が捉えられた。しかし、近 年、保育所に子どもを通わせている有職の母親が全 母親の半数を占めている状況を鑑みれば、就労の有. アの役割:ケータイ・メール・インターネットが展開 する新しい関係 ラ イ フ デ ザ イ ン レ ポ ー ト, 159, 4-15 宮坂靖子(2000) . 育児不安と育児ネットワーク:「公園 づきあい」の視点から 家 族 研 究 論, No.6, 55-76. 内閣府男女共同参画局(2016). 男 女 共 同 参 画 白 書 平 成 28 年版. 中村真弓(2008). 育児不安と母親の仲間関係:母親の仲 間関係のサポート効果を中心に 尚 絅 学 園 研 究 紀 要 A, 人 文 ・ 社 会 科 学 編 2, 1-12.. 無(専業主婦と有職の母親)によって、ママ友関係. 中谷奈津子(2014). 地域子育て支援拠点事業利用による. 構築の特質が異なることが予想される。その共通点. 母親の変化:支援者の母親規範意識と母親のエンパワ. や相違点を明らかにする必要がある。今後は有職の 母親を対象とした調査、さらには父親を対象とした 育児に関する意識などの研究を行い、現代社会にお ける育児観と支援のあり方の検討を続けたい。 文献 荒牧美佐子(2008). 幼稚園への入園前後における母親の 育児感情の変化 家 庭 教 育 研 究 所 紀 要, 30, 139-149. 荒牧美佐子・無藤隆(2008). 育児への負担感・不安感・ 肯定感とその関連要因の違い:未就学児をもつ母親を 対象に 発 達 心 理 学 研 究, 19, 87-97. 堂坂更夜香・向後千春(2014). 子育て生活における母親 の幸福感の構造 日 本 教 育 心 理 学 会 総 会 発 表 論 文 集 , 56, 224. 今井麻美(2006). 家庭から幼稚園への移行期における子 どもを持つ母親の心理的変化 乳 幼 児 教 育 学 研 究, 15, 97-105. 實川慎子・砂上史子(2012). 就労する母親の「ママ友」 関係の形成と展開:専業主婦との比較による友人関係 ネットワークの分析 千 葉 大 学 教 育 学 部 研 究 紀 要, 60, 183-190. 實川慎子・砂上史子(2013). 母親自身の語りにみる「マ. メントに着目して 保 育 学 研 究, 52 (3),9-21. 中山満子(2011). ママ友という対人関係 地 域 保 健 , 3 月号, 52-55. 中山満子・池田曜子(2014). ママ友関係における対人葛 藤経験とパーソナリティ特性との関連性 パ ー ソ ナ リ テ ィ 研 究, 22, 285-288.. 野口純子・三浦浩美・船越和代・植村裕子・竹内美由 紀・合田友美・榮玲子・宮本政子・松村惠子(2015). 子育て支援センターを利用している母親の育児ストレ スと育児に対する自己効力感の検討 香 川 県 立 保 健 医 療 大 学 雑 誌, 6, 29-36.. 太田光洋(2016) . 子育て支援と保育 日本保育学会(編) , 保 育 学 講 座 5 保 育 を 支 え る ネ ッ ト ワ ー ク : 支 援 と 連 携(pp.7-22) 東京大学出版会. 西條剛央(2007). 第 6 回テクストから概念を作る:質 的分析法の概観 ラ イ ブ 講 義 ・ 質 的 研 究 と は 何 か : SCQRM ベ ー シ ッ ク 編 新曜社. 齋藤克子(2007) . 子育て支援施策の変遷:1990 年以降の 子育て支援施策を中心として 京 都 女 子 大 学 大 学 院 現 代 社 会 研 究 科 紀 要, 1, 65-77.. 佐 藤 達 哉・ 菅 原 ま す み・ 戸 田 ま り・ 島 悟・ 北 村 俊 則 (1994). 育児に関するストレスとその抑うつ重症度と. の関連 心 理 学 研 究, 64, 409-416. マ友」関係の特徴:相手との親しさの違いに注目して すいかのブログ(2012). 「 ママ友」「公園デビュー」と 保 育 学 研 究, 51 (1),94-104. いう言葉 http://ameblo.jp/suikamaru350blog/entry- . 木下康仁(2007a). 修正版グラウンデッド・セオリー・ アプローチ(M-GTA)の分析技法 富 山 大 学 看 護 学 会 誌, 6 (2),1-10.. 木下康仁(2007b). ラ イ ブ 講 義 M-GTA 実 践 的 質 的 研 究 法 修正版:グラウンデッド・セオリー・アプローチ の す べ て 弘文堂. 木下康仁(2009). 質 的 研 究 と 記 述 の 厚 み :M-GTA・ 事 例 ・ エ ス ノ グ ラ フ ィ ー 弘文堂. 厚生労働省(2003).厚 生 労 働 省 白 書 平 成 15 年 度 版 松木洋人(2009).「保育ママ」であるとはいかなるこ とか:家庭性と専門性の間で 年 報 社 会 学 論 集 , 22,. 11258667042.html(情報取得 2016/12/14) 住田正樹・中村真弓・山瀬範子(2009). 幼児をもつ親の 役割意識に関する研究 放 送 大 学 研 究 年 報, 27, 25-33. 高畑芳美(2014). 子育ての「主体」である母親を支援す る幼稚園の役割:園内の「子育て相談」に対する保護 者インタビューの考察から 保 育 学 研 究, 52 (3), 4554. 戸江哲理(2009). 乳幼児をもつ母親どうしの関係性のや りくり:子育て支援サークルにおける会話の分析から フ ォ ー ラ ム 現 代 社 会 学, 8, 120-134.. 162-173. 宮木由貴子(2004).「ママ友」の友人関係と通信メディ. 27. (27).

(14) 子育て研究 第 10 巻. メッセージ 「ママ友」という存在は、子育てをする母親の不安を解消したり、情報交換を可能にしたり、さら には「ママ友」を超えて一人の友人となったりなど、母親たちに多大なる影響を与える存在です。子 育てをしながら感じる孤独感から、特に専業主婦の母親たちは、「ママ友」という存在によって救わ れることもあり、このことからは、「ママ友」という存在にしか頼れない社会状況であることが見え てきます。さらに、「ママ友」という存在そのものが母親たちのプレッシャーになってしまっている ことも事実として挙げられます。子育てとママ友関係に対する悩みを二重にして抱えることになって しまう可能性があり、ママ友に対する支援についてはまだまだ検討が必要です。支援者や保育者の 方々には何が求められ、何ができるのか、非常に難しい課題だと思います。しかし、インタビューを する中で、子育てに対する本質的な悩みは、専門家である保育者に頼りたくなる、小学校に通うよう になっても頼りたくなるとお話しされる方がいました。忙しい業務の中で、保育者たちは子育て支援 という専門性も求められていますが、事実として、母親たちにとって身近に頼れる存在は保育者であ り、非常に重要な存在であることを再確認することができるのではないかと思います。「ママ友」に 焦点を当てていくうちに、母親たちの抱える不安感、負担感、葛藤が浮き彫りになるとともに、保育 者や支援者といった専門家の存在の重要性を改めて感じることができました。この論文を手に取って 下さった方々が、母親たちの抱える葛藤を知るきっかけとなり、保育者や支援者だけではなく、地域 全体で子育てを支援するきっかけとなれば幸いです。 2018.10.19 受稿 2019.9.12 受理. The relationships building process between mothers: Through how homemakers perceive“Mom friends” Chiaki Kida & Yuko Suzuki Abstract The objective of this study was to reveal how mothers who are raising a child perceive the existence of a“mom friend” (friend who is also a mother and is met through the shared commonality of raising a young child)through the process of constructing a relationship with mom friends. A semi structured interview was conducted with seven mothers as participants. The participants are full time homemakers with children who completed kindergarten. The interview asked questions about their relationships with other mothers from the time of pregnancy to immediately after their child started attending elementary school. The data was analyzed using a modified grounded theory approach. As a result, four categories of[acknowledging the existence] ,[judging the quality of the relationship] , [positioning], and[progresses in relationship], as well as eleven subcategories and thirty-two concepts included there, were developed. When mothers perceive the existence of mom friend by[acknowledging the existence]. By interacting through various [judging the quality of the relationship], they determine the[positioning], ranking them within their lives. Thereafter, they experience [progresses in the relationship]. These results indicate that for mothers, the way they perceive mom friends continuously changes within the process of repeated constructions of relationships. It was implied that mom friends have by no means a stable existence and can be either positive or negative, depending on the changes to their child-raising state and the surrounding environment. Key words : mom friend , homemaker, childhood, M-GTA 28. (28).

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