Title
十年を振り返って沖縄県公文書館における保存修復業務
について
Author(s)
大湾, ゆかり
Citation
沖縄県公文書館研究紀要 = OKINAWA PREFECTURAL
ARCHIVES BULLETIN OF STUDY(8): 65-78
Issue Date
2006-03-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/8129
十年を振 り返って
沖縄県公文書館 における保存修復業務 について
大湾ゆか り
†
は じめに 1 保存修復業務 の概要 2 琉球政府 文書 に関す る調査 3 岸文庫古文書 ・古典籍資料等の修復 4 現在着手 している作業 について おわ りに は じめに 沖縄 県公 文書館 が開館 して10年 の歳月が経過 した。 開館 当初 よ り、県民の大切 な財産 を 守 るとい う責任 の重い仕事 に就 かせ ていただき、 これ まで何 をす るに も勉強の毎 日であっ たが、幸い良き指導者 に恵 まれ 、また暖かい先輩方の励 ま しに支 え られ て今 日まで来た。 少 し年 を重ねたのは職 員だけでな く、公文書館 自体 もこの10年 の間に随分成長 した よ うに 思 う。 ガ ラン としていた書庫 も資料 に埋 め尽 くされ 、来館者 の数 も伸び、公文書館 の知名 度 も高まって今 では多 くの人々に利 用 されてい る。 それ に呼応す るかの よ うに、ます ます 資料 の保存業務 も重要 になって きた。利用者 のニーズに応 え られ るよ う、所蔵資料 の一つ 一つを健全 に保存 し、利用で きるよ うにす ること、それ が我 々に求 め られ てい る。 10年経 ち、まだまだた くさんの資料 に手 をつ け られず にはい るものの、 平成7年5月15 日に沖縄県立図書館 史料編集 室 よ り正式 に移管 され た琉球政府 文書 については、16万簿冊 余の膨大な資料群 に対 して調査段階 を経 て本格的 に保存措置 に取 り組 む ことになった。 ま た、岸秋正文庫 に含 まれ る古文書 ・古典籍資料 の修復やマイ クロ撮影 も終 了 し、戦前 の公 文書や私文書、雑誌類、地図等 の保存手 当等 も行 って きた。 そ こで、 この機会 に この場 を 借 りて筆者 が担 当 した沖縄 県公文書館 の保存修復業務 についてま とめて報告 し、 これ か ら の保存業務 の展望 を述べてみ ることにす る。 1 保存修復業務の概要 資料保存業務 とは、資料保存機 関がそれ ぞれ に所蔵す る資料 について、現在及 び将来の 利用 を保証す るために行 われ る業務 である。 沖縄県公文書館 にお けるこれ らの業務 の内容 を大 き く分 ける と、まず搬入 された資料 の煉蒸処理 、保管 され てい る書庫 の管理 、マイ ク ロ撮影等の複製 、 さらには修復や保存措置 に関す る業務 とな る。 当館 が開館 した当時 、 これ らの業務 は筆者 の担 当 とな り、他 の専門員や嘱託員 と協同 し†
財団法人沖縄県文化振興会公文書管理部修復士 -65-て手順や方法 を検討 しなが ら作業 を進 めた。平成10年 にマイ ク ロ撮影 を担 当す る専門員が 採用 され たの を機 に複製業務 は保存修復業務 と分離 し、筆者 は主 と して煉蒸 、書庫管理 、 修復保存 の各業務 に力 を入れ られ るよ うになった。 そ こで、 ここでは筆者 が担 当す るこの 3つの業務 について概要 を説明す る。 (1)煉蒸処理 当館 では、平成7年 に琉球政府文書 をは じめ多 くの資料が搬入 されたので、書庫燥蒸 を 計3回実施 した。以来、平成 11年 まで毎年1回ずつ書庫燥蒸 を行 っていたが、大量の薬剤 使用 に伴 う環境-の影響や煉蒸 時にお ける湿度 の急激 な変化 、 さらに青焼 き資料 と煉蒸剤 とが反応 して生 じる悪臭等の問題 によ り、平成12年か ら書庫煉蒸 は行わない こととなった。 代 わ りに新 しく搬入 され る資料 の初発燥蒸 を徹底す るこ とに し、平成16年度末 までに館 内 の煉蒸設備 で行 った煉蒸処理 は191回。 また、毎年1回大量の県文書 が運び込 まれ る時期 には、 当館 の煉蒸庫 では対応 で きないので那覇青果組合 の倉庫 を借 り、平成16年度 までに 計 12回煉蒸処理 を実施 した。 当館 で使用 していた薬剤 は、平成7年 の第 1回 目の燥蒸 のみブンガ ノン、残 りはほ とん どエ キボ ンである。 この薬剤 は、周知 の通 り平成 16年末で製造 が中止 とな り17年 か らは使 用 で きな くな ったt。 そ こで、 当館 では平成13年度頃か ら代替法 に関す る資料収集及び調 査 を開始 し、平成15年度 には本格 的に館 内で協議 を始 めた。 これ までの よ うに他 の薬剤 を 使 って煉蒸す るか、それ ともこの機会 に薬剤 を用 いない方法 に切 り替 えるかで議 論が繰 り 返 され た。代替法に もいろんな方法 があるので、それ らを比較 し各々の利 点や欠点 をま と め、切替時に必要 となる経費や ランニングコス トの算定、作業工程や作業量の予測等、様 々 な資料 を作成 した。 これ を元 に何度 か議論 を重ねてい る間に も、館 内では度 々虫や カ ビの 問題 が発生 し、その対策 に追 われ ていた。や は り薬剤燥蒸 でなけれ ばな らないだろ うか、 一一時その よ うな ことも考 えた。 その頃、独 立行政法人東京文化財研 究所 で定期的 に開かれた臭化 メチル全廃後 の代替法 やTPM2に関連 した研 究会 に筆者 も参加 したO この研 究会 では、臭化 メチル に代 わる燥蒸剤 やその事例 、薬剤 に よる危険性等 も報告 され た。 そ して、何 よ りこれか らの害 虫管理が環 境管理 を重視 した方法- と転換 しつつ あるこ とを学んだ。 これ までの よ うに薬剤 に頼 るこ とな く、資料 を取 り巻 く環境整備 に努 めなけれ ばな らない ことを痛感 したのである。 同時 に、館 内では環境 に も人体 に も影響 のない方法 を選択 したい とい う職員 の要望 もあ り、長 期的にみて も従来 の燥蒸釜 を改良 して薬剤 を使 用 しないで行 える方法 に切 り替 えること-意見が集約 され てい った。 こ うして、非薬剤処理 ●.の どの方法 を採用す るか具体的 な検討 に入 り、他館 の状況等 も 調査 した結果 、平成16年 には低 酸素濃度処理法 の導入 がほぼ決ま り、それ に伴 う予算獲得 を行 うと同時 に取扱業者 の調査や実作業の シュ ミレー シ ョン等 を実施 した。 最終的 に当館 ' 従来使用 していたエキボンは、臭化メチル及び酸化エチレンの混合剤。この うち臭化メチルがオ ゾン層破壊物質であることから、モン トリオール議定書により先進国は検疫以外では2005年に全廃 することが決定された。 ∼ IntegratedPestManagement-総合的有害生物管理 ∼ 非薬剤処理 として、低酸素濃度処理、高温処理、低温処理、二酸化炭素処理等がある。
-66-の燥蒸釜 に適応す る方式 で窒素ガスを発生 させ る装 置の開発業者 を選 定 し、 当年 これ まで の燥蒸施設 の一部 を撤去 して当該機器 を設置 した。 この処理方法 を選択 した ことに よ り殺 虫処理 には約3週間 を要す ることになったが、そ の分資料 の ク リーニ ング等 を強化 して煙蒸す る必要のある資料 のみ処理す るよ う体制 を整 える 7,定であ る。 さらに、初発燥蒸 できない資料 もでて くるので、 これ まで以上 に環境整 備 に努 めなけれ ばな らない。 この よ うな手間が生 じはす るものの、作業者や資料 に対 して 影響 な く安心 して殺 虫処理 が行 える現方式 を導入 で きた ことは本 当に良か った と思 う。 ま た、薬剤燥蒸 ではガ スの投薬作業 は業者委託 であったが、 これ か らは職員が誰 で も対応 で きるので コス ト削減 に も繋が るであろ う。 まだ稼働 し始 めた段 階ではあるが、将来的 に も IPMにつなげ る第一歩 にな るもの と期待 してい る。 (資料の流れ) 従来 :資料の搬入 一 便蒸処理 (薬剤)- 中間書庫 (選別 ・整理待 ち)- 保存庫 今後 :資料の搬入 - 点検 ・ク リーニ ング - 低酸素濃度処理 (必要な資料のみ)- 保存庫 県 文書の搬入 - 中間書庫 - 低酸素濃度処理 (選別後保存す る資料 のみ)- 保 存庫 (2)書庫管理や環境管理 この10年 間で もっ とも多 くの時間を費や して きたのが書庫管理 をは じめ とす る環境 管理 業務 であった。 とい うの も、当館 の建物 内においては書庫や各室 の温度差 が大 き く、湿度 の高い 日には作業部屋 をつな ぐ廊 下や天井が結露 し、カ ビの温床 にな ることも しば しば。 その度 に清掃す る 日々が続 いた。 こ うした状況は、閲覧室や展示室、あるいは書庫 の内廊 下等 で も起 こった。 た とえば、展示室ではケー スの 中の展示台 にカ ビが発 生 した こともあ る。各書庫 をつな ぐ廊下は、 とくにフイル ム保管庫の入 り口付近が結露 してカ ビが生えた。 事務室や 隣接す る職員用の資料室等 に も発生す る。 幸い資料 に大 きなダメー ジを与 えるこ とな くカ ビを除去 したが、展示室、書庫 、作業部屋等全ての場所 で何 らかの対策が必要で あった。 そ こで、筆者 らは書庫 に温湿度デー タ ロガー を設置 し、空調機 の 日常デー タ と照合 して 誤差 を割 り出す とともに、毎月のデー タを集積 した結果 をみ て施設管理担 当者 に不具合 を 報告。 そ こか ら業者へ連絡 がい き、調整す る とい う体制 を敷 いた。つ ぎに、廊 下や 作業部 屋等の結露 を解消す るため小型 除湿器 を設 置 し、毎 日の温湿度計や除湿量等 を測定 した。 これ らのデー タを元 に施設担 当者や建築設計業者 と協議 した結果 、各室 の温度差 を極力均 一にす るため施設 の改修 工事が行 われ 、結露 は改善 され た。 また、今年度 はカ ビの除去作業 を専門業者 に委託 し、初 めて天井面内部 にまで沈着 して いたカ ビまで除去、滅菌や染みついた面の塗装等 も行 った。 こ うして、 よ うや く夏場湿度 が高い時期 に もカ ビの発生 を ごくわずかに抑 えることがで きたのである。 この他 、展示室 や書庫の内廊下等 にも除湿器 の設置や空調設備 の改良等 を行 い、今 ではそれ ぞれ に安定 し た環境 が保 たれてい る。 書庫管理 では も う1つ重要な ことに衛 生管理 がある。 当館 では書庫 の清掃 は2カ月 に1 回の割合 で行 ってい る。 しか しなが ら、通常の清掃 では床 面 に限 られ てい るため、書架 の 棚上等 に挨が積 もってい る場合 もある。 これ までは特別整理期 間の作業時にで きる範 囲で 職員 自ら清掃 して きたが、次年度 には大がか りな清掃業務 を委託す る予定である。 また、 -67一
虫のモニ タ リング と して各書庫 には トラップ を仕掛 けて点検す ることも行 ってみた。結果 的 には虫はほ とん ど発 見できなか ったが、 これ か らも継続 的に見てい こ うと考 えている。 この他 の業務 と して、職員共用 の場 である書庫 にお ける利 用基準 を作 り、各書庫 の配架 状況 を毎年点検 して、分類 の異 な る資料群 の大 まかな ゾーニ ングを し、県文書、行政刊行 物 、地域 資料等 、種類別 に資料 の配架位 置 を指示 、掲示板等 の作成す るな ど、利用 しやす い よ うに工夫 してい る。 また、他機 関か ら預かった資料 の管理や展示 ケー スの改良丁事等 も行 ってい る。 以 上の よ うに、書庫 をは じめ館 内の環境管理 について様 々な業務 を紹介 した。 先述の通 り、当館 では温湿度 の不具合か ら結露が生 じ、カ ビを発生 させ るな どの大問題 があったが、 それ らもこれ までに改善の途 をた どってい る。 しか しなが ら、館 の外 回 りを見 る と、まだ まだ沢 山の問題 を抱 えてい る。 中で もヤスデや ア リ等 の大量発生、鳥 の巣による汚損状況 は、頭 の痛 い問題 であ る。 そ こで、蛇足 ではあるが これ らの状況 と対策 について付 け加 え てお くことにす る。 (ヨヤスデ 公 文書館 の敷地 に時期 にな る と大量のヤ スデ が発 生す る。 とくに平成13年 には 当館の 建物周 りはすべてヤスデ に覆 われ ているよ うな状態 といって も過 言ではなかった。 この と きには毎 日大 きな ビニル袋 の3- 4袋が掃 き集 め られ 、翌 日にはまた元の よ うになってい る状態であった。 ヤ スデの対策 と しては県環境衛生研 究所及び県南部保 険事務所 、南風原 町等 とともに発 生原 因究明のための調査 を実施 し、対策 を検討 した。 そ して、施設周辺 の雑木等 を取 り払 い、薬剤 を散布す るな どの対策 を講 じた。 (ヨア リ 3年程 前か ら燥蒸室 内に大量のア リ5が発生 した。 それ 以外 の場所 には見 られ なか った ので燥蒸室 に何 らかの原 因があるもの と考 え清掃 を強化 したが、 と りわけ大雨の後 に噂 と 床 の隙間か らた くさんのア リが這 い出 して くる。筆者等 は毎 日の よ うに殺 虫剤 をまき、掃 き掃 除に明 け暮れ た。 それ で も改善の兆 しが見 られず 、原 因究明のため業者 に調査 を依頼 した。 その結果、 1階部分 の花壇 に使 用 されていた添 え木 (枯れ た竹)や地 中にア リの巣 があることが判 明 したので、その部分 に薬剤散布 した。 この よ うな処置 であ る程度 のア リの侵 入 は抑 え られ たが、完全にいな くなったのは、煉 蒸 釜の改良工事 を行 いエ キボ ン仕様 の煉蒸装置 を撤去 した後であった。 なぜ 、装置撤 去後 にア リが全 く出な くなったのか因果 関係 は不明だが、エ キボ ンを使用 してい る ときは部屋 に も独特 の臭 いがあ り、ア リを誘 引す る物質が残 っていたのではないか と推測 している。 ③鳥 沖縄県公文書館 は建築 の段階か ら亜熱帯の気候 を考慮 して様 々な工夫が凝 らされ た建物 である。 その特徴 の一つ がルーバー と呼ばれ る管理棟 の書庫周 りを取 り囲む コンク リー ト 製の花柄 レンガである。ルーバー は、厳 しい直射 日光 を遮 り、風 の流通 を促 す役 目を果 た して書庫 の外界 か ら受 ける環境 を緩和 させ てい る。 しか し、一方 でルーバーは台風等の時 ′l ヤンバル トサカヤスデ :1983年頃から発生 し、瞬く間に沖縄島全域に分布を拡大 したo 六 アシジロヒラフシア リ :2003年夏∼2005年10月まで大量発生 した。 -
68-で さえ格好の雨除け、風除 けになるため、- トや シロガシラ、イ ソヒヨ ドリ等 の鳥 に とっ て巣 を作 る最高の環境 に もな って しま った。 春 の陽気が さ し始 める と、早速巣作 りに励 む鳥た ちが寄 って きて建物周辺 に糞 を落 と し 始 める。小鳥が成長 し始 める頃にはカマ キ リ等 の虫の食べ梓等 がた くさん落 ちて くる。 こ の よ うな状況 を改善 しよ うと、巣の撤去やルーバ ー内の清掃等 を検討 して きたが、建物 の 構造上実行す るのは極 めて難 しく解決で きないのが現状 である。 この よ うに温暖 な気候 の沖縄 では、生物被害 に対す る対策 は重大な問題 であ る。薬剤燥 薫 に頼 らず に人や 自然 に優 しい方法 を推進 してい こ うとい う中で、いかに虫たち と共存 共 栄 してい くかが これ か らの課題 であ るが、そのためには よ り一層周辺環境 を整備 し、館 内 において被害 を受 けやすい所 か ら受 けに くい所 までエ リア ご とに レベル を決 めて管理す る ことを検 討 したい と考 えてい る。 (3)修復保存処置 当館 には修復作業等 のために290平米の広 さを有す る製本補修室がある。 この部屋 には、 大型備 品 として リー フキャステ ィングマシンや プ レス機 、製本機 、断裁機 、軽印刷機等々、 多種 の機械類がある。 これ らの機器類 の管理や メンテナ ンスをは じめ、部屋 全体 の管理 も 筆者 の業務 である。 この他 、修復等 に要す る材料や保存容器 の発 注 ・管理 、整理や修復 ・ マイ クロ撮影等 で一時的に持 ち込まれ る資料の管理等 も行 ってい る。 つ ぎに、修復保 存処置 には実際 に どの よ うな作業 があるか説 明 しよ う。 主 な作業 は以 下 の通 りである。 ①調査 実際 に修復す る資料 に対 しては簿冊 ごとに個別 に詳細 な劣化状態 を記録 し、資料群 ご と に簡易な処理 を大量かつ迅速 に行 うときには、 リス ト形式で調査 シー トを作成 し、簡易な 内容 を記録 してい る。 調査 シー トの記入の際には、紙 の強度やpH等 も測定す る とともに、使 われ てい る材質 を顕微鏡 で確認 した り、イ ンク類 の惨み具合 を調べた り、また対象資料 で とくに特徴的 な 劣化筒所等は随時写真撮影す るな どして記録 に残 してい る。 ②処置 リス トの作成 修復す る資料 については① の調査 シー トに処置 内容 も記録 し、 これ らをま とめて 「修復 台帳」 とい うデー タベースを作成 し検索で きるよ うに した。 ③保存容器 の作成及びマイ クロ撮影 に伴 う作業 容器に収納 して保 護す るだけで良い資料 には、保 存箱や フォル ダー 、エ ンキ ャブ ス レ-シ ョゾ 等 の処置 を行 ってい る。 これ までに、岸 文庫 の地図65件223枚 、沖縄 県対米請求権 協会 か ら寄贈 され た地 図196枚 等 を脱酸処理 し、伸展後 にエ ンキャブス レー シ ョン した。 また、土地所有 申請書5,338冊は、開館 当初 か ら2- 3年間かけて専用の弱アルカ リ性保 存箱 を特別注文 し、整理 、マイ クロ撮影後 に収納 した。岸文庫 の古文書 ・古典籍 資料 には ■' 2枚のポ リエステルフィルムに一枚物の資料を挟み、超音波 ウェルダーマシンを用いてシールす る方法。 ー69一
峡 を、戦前の大量な雑誌類 にはブ ックケースを作成 した。 この他 、マイ クロ撮影 が終わっ た資料 の一部 は紙焼 き して複製本 を作成 してい る。 ④保存処置 (ク リーニ ングや簡易補修) ク リーニ ング、金具類 の除去や簡単な繕 い等 で十分 な資料 には簡易補修作業 を行 う。 こ の作業は、通常は資料 をぬ らさない状態 で破 損部分 の繕 いや欠損部分の補填 し、アイ ロン 等 を使 って速乾燥 させ るものであ る。資料 に よっては、綴 りが崩れ た りマイ ク ロ撮影のた め解体す る必要が あるもの もある。 こ うした資料 は、解体後 に簡易 に奴 を伸 ば し、必要最 小限の補修 を施 して綴 じ直 してい る。 また、セ ロハ ンテープの除去や水分 を含 ませ るフラ ッ トニ ング、 ウェ ッ トク リー ニ ング等 も資料 の状態 を見なが ら随時行 い、近現代 の酸性紙 に対 しては紙 の劣化 を遅 らせ るため脱酸処理 している。 ⑤修復 資料 の紙力が極端 に落 ち、何 らかの処置 を しない と利用で きない状態の ものについては 修復処 置 を行 う。修 復 には 虫損補修 、裏打 ち、 リー フキャステ ィング法7があ り、各 々の 資料 に見合 った方法 を選択す る。 リー フキ ャステ ィングに よる修復 は、墨の よ うに水 に動 かない ものを対象 に してお り、主 に古文書や 古典籍資料 に適用 してい る。近現代文書 につ いては、脱酸処理 も兼 ねて実施す るた め手修復 による場合 が多い。 これ らの処置 をす る と きに も、で きる限 り厚 みが出ない よ う欠損部分 だけの補填 で事足 りる場合 はそれ だけの処 置に留 め、紙力がかな り落 ちた ものにのみ裏 打 ち等 の処置 を施 してい る。 ⑥修復委託 館 内の設備 あ るいは技術等 では処理 できない資料 には、県 内の技術者 に委託 して修復 し た ものがあ る。 一方で軸装や扇額等の修理 を外注 し、他方 、技術者 を館 内に招 いて職 員-の技術指導 も兼 ねて修復す る場合 とがあった。 主な資料 と しては 『首 里那覇鳥略 図』 (軸 装)や 『東恩納寛淳書簡』 (扇額 )、『夏姓家譜』等家譜 、辞令書 、『琉球人行列之図』 (軸 莱)等 の古文書類 を処置 した。 また、 この3年 間は琉球政府文書のマイ クロ撮影 に伴い、文書に含 まれ る写真や紙同士 が くっつ いて剥離 で きない もの を委託 して修復 した。 これ らは緊急性 のあるものばか りな ので、今年度 か らプ ロジェク ト化 して取 り組み始 めてい る。 ⑦ 資料保存講習会 と資料保存講演会 当館 では、平成8年度 か ら毎年資料保 存講習会 を開催 し、また平成7年度 か ら15年度 ま では県内外 か ら修復や保 存分野の専門家 をお招 き して講演会 を開催 した。講習会では、当 館 の業務紹介 とともに、一般家庭や職場 で活用で きるよ う箱 の作成や修復 ・製本等 を実習 し、講演会 では よ り高度 な技術 を紹介 した り、できる限 り多 くの方 々に資料保存 の考 え方 を普及 させ る 目的 で シンポジ ウムを開催 した。 拡散させた紙の繊維をリーフキャスティングマシンを用いて紙の欠損部分に漉き込む方法。 一70
-これまでに実施 した資料保存講習会一覧 年度 7-、-■マ 開催 日 平成 8年度 開館 一周年記念事業 「保存箱教室」 1996′8/4(2回) 9年度 第2匝け保存箱教案」 1997/8/10.8/24 10年度 「和本 の製本 と保存箱」 1998′8/8.8/9 ー1年度 「無線綴 じ本の簡易製本」 1999′6/19 l2年度 「貧窮資料 を保存 容器で ま もるJ 2001/1/20 ー3年度 「和装製本 と保 存箱作成 」 2001′8′10 14年度 「紙 資料 の ク リーニ ングと簡易補修 」 2002/8/16.10/4 154T=-度 「保存箱 とエ ンキャブス レー シ ョン」 2003/8/14 l6年度 「無線綴 じ本の簡 易製本」 2004/8/12 これまでに実施 した資料保存講演会一覧 年度 フ一一マ 講師 開催 日 汁/-成 7年度 「簡易製 本 と保 存容器 の作成 につ いて」 大竹茂 (国立国会図書館) 1996/1/24 9年度 「図青の補修 と製本」 大 山清二 .丸滞勝利 (国立国会図書館) 1998/l′20 10年度 11年度 「「洋紙資料の保 存 と修復-酸性紙 を ど うす るか県内にお ける資料保存 の現状 と課題 を考 える-」」 青木睦 (A,金 山正 子 ((上江洲敏 夫 (P.ジエンキンズ (国文学研 究資料館 史料館)財)元興寺文化財研 究所)具志川 市立図書館 )沖縄 県公文書館) 22000010′′32/1/18 12年度 「資料保存 の新展 開-国際化 時代の展望-」 安江明夫 (国立国会 図書館 ) 2002′2/24 13年度 「中近世文書の装蛸 と料紙及び修復 .保存」 細井歌寿男 (宮 内庁書陵部) 2003/1/18 14年度 「写真 の保存 について」 荒井宏子 (東京都 写真美術館 ) 2004/1/24 (参出版物 資料保 存講習会 で配布 した資料 の集成版 と して 『資料保 存 の しお り』 を作成 し、講習会 の参加者 をは じめ希望者 に配布 してい る。 (9研修等 筆者 は これ までに修復技術 の習得 、向上のた め様 々な研修 を受 け させ ていただいた。 一 番初 めに研修 したのは東京 の国立国会 図書館 であ り、 ここでは リー フキャステ ィングマ シ ンを使 った修復方法や和紙 で欠損 部 を埋 め る虫損補修 、洋装本 の製本方法等 を教示 してい ただいた。 また、平成 11年度 には、沖縄県人材 育成財 団の助成 を受 けて英 国国立公文書館 やエセ ックス州 立公文書館 、 ランカシャー州立公文書館 等で研修 した。 この ときは、洋紙 資料 に関す る保存修復処置 につ いて、 ドキュメンテー シ ョンか らク リー ニ ング、諸 々のテ ス ト、フラ ッ トニ ング、 リー フキ ャステ ィング、手修復 まで全て実習 しなが ら技術 を習得 し、 さらに英 国内の公文書館や博物館 、図書館等 を多数視察 して、資料 の保管方法や害 虫 管理、防災管理等 について学 ばせ ていただいた。 これ らの研修 は筆者 に とって貴重な経験 であ り、その成果 を もとに現在 も業務 を行 って いる。 これ か らも修復技術等 にお いて先進 県 あるいは先進 国の情報 を積極 的 に集 めて、技 術力 を高めていけるよ う努力す る とともに、研修等 を通 じて各 国の コンサベータ一連 と交 流 を深 めることがで きたので、 これ を十分活用 してい きたい と考 えてい る。 以 上、筆者 が受 け持つ保存修復業務 の概要 を述べた。 日常的 には、環境管理 に費やす時 間が全体の 3分 の 1を 占め、その他 の時間を工夫 して修復作業 にあたってい るのが実状 で ある。 -
71-そ うした中で、琉球政府文書については、平成7年度か ら文書群全体の特徴 をつかむた めに様 々な調査 を行 ってきた。 とくに利用頻度が高かった土地所有 申請書については、県 立図書館時代 にすでに始 まっていたマイクロ撮影 を継続す るとともに、当館 でももっとも 早 く保存措置 を講 じた
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また、戦前 に作成 された資料が極 めて少 ない沖縄県に とって、岸秋正氏が収集 し、平成 9年1月17日に当館 に寄贈 された資料群約11,000冊は沖縄の記録 として非常に貴重なもの である。 これ らの うち、 とくに希少価値 の高い古文書 ・古典籍資料 については、優先的に 修復及びマイ クロ撮影 を行 い、原本の保護 にあたった。 さらに、同文書群 に含 まれ る戦前 の雑誌類約1,800冊は、独 自にブ ックケースを作成 して収納 した。 この他 、 『夏姓家譜』 や新垣家文書、瀬底毛文書等の古文書類、戦前の新聞や地図類等、利用できない状態にま で劣化 した資料 について、その都度修復処置 を施 してきた。 ちなみ に、平成16年度末まで に実施 した修復保存措置は延べ4,259冊で、修復 した資料数は延べ21,789枚 となっている。 I; =.II J -..r ■ H . 上地所有 申,21'ihl享 保作節収納前 (左)と収納後 (右) 岸秋正文価雑 誌類 の収納状況 『夏拙家譜』 の修松前 (左)級 (右) そ こで、次章では この10年 間で とくに重点的に行 った琉球政府文書の調査、並びに岸文 庫古文書 ・古典籍資料の修復 について報告す る。 2 琉球政府文書 に関す る調査 沖縄県公文書館 の最大の資料群である琉球政府文書。 これ を将来にまで健全 な状態で保 存す ることは我 々の責務 である。 したがって、 この 目標 を常に念頭 に置 きつつ この10年間 にいろいろな調査 を行 ってきた。 開館年度 よ り実施 した調査の内容はつ ぎの通 りである。 年度 調査名 委託先 0 平成 7年度 琉政文番の概 要調査 (有)キ ャ ッ ト ② 10年度 第 1回利用状況調査 ・.・.・.. -③ 11年度 琉政文潜 に使用 され てい る紙 の繊維 分析 高知 県立紙産兼技術セ ンター ㊨ 12年度 第 2回利用状況調査 -⑤ 15年度 琉政文古顔材 調査 (財)元興寺文化財研究所 ⑥ 15年度 琉政文超の保存状態調禿g∫/ (樵)りゆ うせ き ビジネスサー ビス これ らの調査 は段階的に進 め られた もので、平成17年度 か ら開始 している 「緊急保存措 置事業」の基礎 をなす ものであった。琉球政府 文書は何 といって も膨大な盤 と様 々な形態 持 マイクロ撮影に合わせて整理 し、各々の大きさや厚みに合った峡状の保存箱に収納 した。 q 琉球政肘文苗の保存状態調査は人材派遣業者に委託.調査の総括fi7-位者に修復等の専門家をあて 当館職員との協議 しながら作業を進めた。 -72-が保存計画 を立てる上で妨 げになっていた。数量の問題 もさることなが ら、 1冊ずつ形態 が異な り大 きさも編綴方法 も紙 の材質や使用 された筆記類 も違 ってい る。そのよ うなもの が本体だけで も15万冊分 あるわけで、初 めは どこか ら手 をつ けれ ばいいのか、正直な とこ ろ困惑 していた。 したがって、文書群の内容 を把握す ることは、保存計画 を立て実際に作 業に移す上で も大切 なことであった。 そこで、我々はまず調査の専門家に相談 し、サ ンプ リング調査 によって琉球政府文書が 物理的に どの よ うな資料群 か全体 を把握す ることに した。 この調査loでは、同文書群の大 凡の枚数、厚み、規格外簿冊の冊数、青焼 きコピー紙の枚数、修復 を要す る簿冊数等の推 定値 を出す ことができた。 つぎに、筆者 は琉球政府文書のマイ クロ撮影や修復処置 を始 めるためには、何 を優先的 に実施 しなけれ ばな らないだろ うか と考 え、その指標 の一つ として利用状況 を調査 してみ た。 これ は開館か ら3年間及び 5年間分の閲覧のデー タを集積 し、簿冊 1点ずつの利用回 数等 を析 出す ると同時に局課 ごとの利用頻度 を算 定 した ものである。 この結果11、 5年間 で延べ19回 も利用 された簿冊が存在す ることが判明 し、また特定の局課に利用頻度 が高い ことも立証 された。 とくに総務局総務課の文書は平均4.46回、次いで復帰対策室等の文書 は2.21回利用 されてお り、他 に比較 して も高い水準にあることがわかった。 つ ぎの段階は、琉球政府文書の素材 に関す る調査である。 まず、文書 を構成す る紙材 の 繊維分析 を試み、材質的に どうい う特徴 を持 ってい るのか把握 したが、それだけでは同文 書群 自体に生 じている劣化原 因が浮かび上が らなかったので、平成15年度 には本格的な素 材調査12を実施 した。 この調査 では、紙及び筆記具等の種類や素材 的特徴 をよ り詳細 に調 べ、具体的な劣化要因を洗い出 した。 また、紙 の経年劣化速度 を実験 して紙 の持つ寿命 を 尊び こ うとした。結果的には紙の寿命 はわか らなかったが、 どの種類の紙が最 も劣化 しや すいか、あるいは劣化要因 とその対策 について も詳 しい報告を得 ることができた。 最後に、これまでの調査 を足がか りに して琉球政府文書15万簿冊の個々の保存状態調査13 を実施 した。 この調査 は、沖縄県緊急地域雇用創 出特別事業 によって実現 した もので、そ の成果は将来にわたって琉球政府文書 を保存 してい くための基礎資料 として重要 になるも の と確信 している。調査では、全ての文書 について形態や大 きさ、保存状態、青焼 きや湿 式 コピー紙 、ざら紙、 トレー シングペーパー等 を含む文書、あるいは虫食いやサ ビ、カ ビ 等 によって劣化 した文書等 を特定す ることができた。 さらに、 この情報は全 てデー タベー ス化 され、 どの簿冊が どの よ うな状態か瞬時に把握できるよ うになった。 以上の調査結果 をもとに、平成 17年度 には具体的な保存計画 を立て、まずは強劣化資料 及び強弱槌色の湿式 コピー,W を含む資料 か ら優先 して修復やマイ クロ撮影等の作業 を開始 している。 「琉球政府文書群の概要調査について」『沖縄県公文書館研究紀要』創刊号,沖縄県公文書館 (1998年) 「琉球政府文書の利用状況調査報告」『沖縄県公文書館研究紀要』第3号,沖縄県公文書館 (2001年) 「琉球政府文書の現状と保存対策のこれから その2」『ARCHIVES』第29号,沖縄県公文書館 (2005年) 「琉球政府文書の現状と保存対策のこれから その1」「同左 その3」『ARCHIVES』第28号&30号, 沖縄県公文書館 (2005年,2006年)
-3 岸文庫古文書 ・古典籍資料等の修復 平成9年 1月17日、岸朝子氏 よ り亡夫、岸秋正氏の蔵書が当館-寄贈 された。 これ を記 念 して平成9年 8月 には特別展 「沖縄-のまなざし-岸秋正文庫の世界」 と題 した展示会 を開催 し、寄贈 された11,000冊余の中か ら448点が紹介 された。 中で もほぼ琉球王朝時代 に作成 された古文書 ・古典籍資料 126点は、同時期 の資料 に乏 しい沖縄県に とって貴重な 資料であった。 そ こで、当館 では展示会終了後す ぐにこれ らの資料のマイ クロ撮影 を計画 し、それに伴 って解体 を要す る資料や保存状態の悪い資料 について修復処置 を施す ことになった。 これ らの中には軸装の書画や絵巻物等 も含 まれていたため一部は外部 に委託 して修復 して もら ったが、大凡の資料 は和装本又は一枚物の絵 図であったのでそれ らについては館 内におい て一部技術指導 を受 けなが ら修復 したO 修復 において もっ とも注意 を払 ったのは、紙の選定や色合わせであった。 中には 「渡地 関係文書」の よ うに芭蕉紙や竹紙が使 われているもの もあった。 そ こで、虫食 い部分を補 填す るための材料探 しに奔走 した。 とくに、芭蕉紙 は県内でそれ を漉いてい る工房や個人 で作 っている方 に協力 を仰いで紙片 を譲 っていただいた。 こ うして原本 となるべ く近似 し た材料が揃 った ところで、い ざ修復 に取 りかかった ところ、紙 によっては吸湿性 が高 く収 縮率が大 きかったため、初 めは非常に苦戦 した ことを覚 えている。 しか しなが ら、長い年 月 を経てかな り縮んでいた紙 も、徐 々に加湿 してい く間にきれいに伸び切 り、その後 虫食 い部分 を埋 めて薄手の芭蕉紙 あるいは典具帖紙等で裏打ちす ることができた。 これ らの文 書は元穴 を使 い元の こよ りで綴 じ戻 して、最後 に専用の峡 を作成 して作業 を終えた。 リー フキャステ ィング法 に よる修復 岸文雄 古文避 ・古典籍 資料の保存状況 この他 の古文書 ・古典籍 も、手修復 で行 うべ きもの とリー フキャステ ィング法が適用で きるものを振 り分けで、ク リーニングと虫損補修、必要な場合には裏打ち処理等を行 った。 修復処置 した資料 については、それぞれ に処置内容や処置 した 日、使用 した材料等 を記 録 した紙 を峡の裏面に添付す るな りして記録 を残す と同時に、劣化状態調査 シー トにも処 置内容等 を詳 しく記 し、デー タ入力 して一連の作業 を完了 している。 以上の作業で、特別展で展示 された資料群の処置は終了 したが、実際には展示 に出展 さ れなかった古文書や絵図類 も多数 あったので、第二次作業 としてそれ らの修復及びマイ ク ロ撮影 を実施 した。 そ して、平成15年度 にはマイ クロ撮影 が終了 し、現在 はほぼ修復作業 も終 え、製本及び峡の作成 を残すのみ となっている。 -74
-岸文庫古文書 ・古典籍の うち修復又は簡易補修 した資料一質 資料 コー ド 資料 タイ トル 冊数 処置 内容 1 TOOO152181i 稽 古案文集 TOOO15248B TOOO15260B TOOO15338B TOOO15361B TOOO16695B TOOOO4769B TOOO15193B 9 TOOO15196B 10 TOOO15212B ll TOOO15213B 12 TOOO15250B 13 TOOO15269B 14 TOOO152748 TOOO15316B TOOO15358B TOOO15370B TOOO15371B TOOO15381B TOOO15384B TOOO15845B TOOO16675B 琉 球 はな し 上 ・下 琉 球年代 記 欄枯柴 東遊 州 官板 琉 球 囲志 略 鎮西 八郎為 朝外侍椿説 弓張月 代 官本 六諭節 義 大意 改正 六諭術 義 大意 全 王氏 国場親 方 愈議 書 稽 古案 文集 琉 球碑使録 完 琉 球入 貢紀 略 完 琉 球 人 屋 良里 之子 碁譜 道 光三拾庚 戊五 月 波龍 舟 日記 宜湾 朝保 大人歌集 雪 堂燕 遊 州 附 世 法録 琉球 考 夢棲詩集 南 島志 南嶋志 三 国通 覧 園説 全 大尾 中山博信 録 (二友 斎蔵 板 ) 23 TOOO16717B 琉 球船漂 着 関係 記録 24 TOOO15215B 仰 渡 写 25 TOOO15216B 稽 古案 文集 26 TOOO15220B 御 財 制 27 TOOO15261B 琉球讃備 置記 28 TOOO15360B 琉 球使 長 歌 -篇 29 TOOO15377B 漢詩 五絶連 句 30 TOOO15378B 五絶 中山向朝保 書 31 TOOO16683B 中 山博 信録 (蘭 園蔵 板 ) 32 TOOOO4486B 給 本為朝 一代記 全 33 TOOO15190B 官刻 六諭 術義 全 34 TOOO15194B 六諭 術義 大意 全 35 TOOO15195B 高島本 六諭術 義 大意 36 TOOO15198B 六諭 術義紗 鈴 木 重義編 全 37 TOOO15211B 四十 二国人物 図説 TOOO15229B 甘藷 百珍 全 TOOO15259B 琉 球状 全 TOOO15263B 頁 の八十船 TOOO15268B 琉球 人来聴 容貌説 1 TOOO15323B 同治 四年 正 月十一 日仲 弁 才天 堂 井荒神 堂 1 古 い裏 打 ち紙 を剥 が し、 虫損 補 修 した後 で 再 裏 打 ちo 角 筆 が あ るた め、 途 中 の 頁 は処 理 し て い ない。 2 虫損補修 、綴 じ直 し 1 虫損補修 、伸展 、綴 じ直 し 2 虫損補 修 、綴 じ直 し 3 虫損補修 、伸展 6 虫損補 修 10 虫損補修 、峡 作成 1 染み抜 き した後 で 虫損補修 、裏打 ち、帳 作成。 表 紙 裏 の反 故 紙 は エ ン キ ャブ ス レー シ ョン し て別 置 1 虫損補 修 、峡 作成 1 虫損補 修 、伸展 、峡 作成 2 古 い裏 打 ち紙 を剥 が して 虫損 補 修 、 裏 打 ち。 保護表紙 を新たに取付 け、綴 じ直 した。峡作成 、 芭蕉 紙 表紙 は 虫損補修 後 裏打 ち。 本紙 は 虫損補修。 虫損 補修 、伸展、峡 作成 虫損 補 修 、伸 展 、綴 じ直 し、裏 表 紙 に保 護 表 紙 を付 け加 えた。峡 作成 綴 じ直 し、峡 作成 。 芭蕉紙 虫損補 修 、帳 作成 虫損 補修 、綴 じ直 し、峡 作成 虫損 補 修 、綴 じ直 し、 古 い峡 は 虫食 い著 しい た め新 た に恢 作成 虫損 補修。 表紙 と本紙 の一一部 裏 打 ち。 峡 作成 3 虫損 補修 、綴 じ直 し、峡 作成 1 虫損補 修 、綴 じ直 し、恢 作成 6 虫損補修 、古 い峡 は虫食 い著 しいた め別 置 し、 新 た に峡 作成 1 虫損補 修 、峡 作成 1 綴 じ直 し 2 虫損 補 修 、裏 打 ちo 元 の表 紙 は ボー ル 紙 で あ った の で取 り外 して渋 紙 の新 しい表 紙 を取 り 付 けた。 1 綴 じ直 し 1 リー フキ ャステ ィング、綴 じ直 し 1 綴 じ直 し 1 巻 子修 復 1 巻 子修 復 6 綴 じ直 し 1 綴 じ直 し、峡 作成 1 伸 展 、綴 じ直 し、峡 作成 1 カ ビ除去 、伸展 、綴 じ直 し、峡 作成 3 綴 じ直 し、峡 作成 3 伸展 、綴 じ直 し、峡 作成 1 綴 じ直 し、絵 の具 が色 落 ちす るた め、各 頁 に 薄桜紙 を挟 んだ。 峡作成 1 虫損補修 、綴 じ直 し、峡 作成 1 綴 じ直 し、峡 作成 1 綴 じ直 し、峡 作成 1 綴 じ直 し、秩 作成 1 綴 じ直 し、恢 作成 御 候甫 二付勧 43 TOOO15324B 光緒 四年 戊 寅六月 三森修 甫 二付 支 出残 1 綴 じ直 し、峡 作成 帳 44 TOOO15325B 中城御殿御 普請 二付屋 敷 人夫賦 帳 1 綴 じ直 し、峡作成 45 TOOO15326B 中城御殿御 普請 二付 百姓 中面 立帳 1 綴 じ直 し、 l快作成 46 TOOO15327B 中城御殿御 普請 二付御 石御材 木持 夫 出帳 1 綴 じ直 し、峡 作成 47 TOOO15328B 渡地相 参 文書控 1 綴 じ直 し、峡 作成 -7
5-48 TOOO15336B 49 TOOO15363B 50 TOOO153658 51 TOOO15372B 52 TOOO15383B 53 TOOO16691B 弓張月春廼 宵栄 来朝琉球人みづ か らの別荘 に 浦添 王子 沖縄集 王夢棲詩紗 乾 ・坤 五事略 諸註 中山博信録 54 TOOO15201B 琉球神道記 55 TOOO15359B 捧水帝 賞 全 56 TOOO15251B 琉球人事記 57 TOOO15256B 琉球談 全 58 TOOO15351B 五島列 島 ノ内恩納 間切一帖 59 TOOO15718B 舌代書 60 TOOO15720B 松 田道之 よ り藩 主 あての対弁書 48 綴 じ直 し 1 伸展 、綴 じ直 し、峡作成 1 綴 じ直 し、峡作成 1 綴 じ直 し、峡作成 2 綴 じ直 し、峡作成 1 綴 じ直 し、映作成 1 リー フキャステ ィング 1 虫損補修 1 リー フキ ャステ ィングに よ り本紙補修。 保 護 表紙 の取付 け、映作成。 1 リー フキ ャステ ィ ングに よ り本紙 補修。 表紙 は相剥 ぎ後補修 した。峡作成 1 簡易補修 、綴 じ直 し、峡作成 1 表紙 に使 われ ていたボール紙 を除去 して別置。 恢作成。 1 元 のボール 紙製 の表紙 を除去 し、渋紙 で新 し い表紙 を取 り付 けた。 手修復 、秩作成 61 TOOO15785B 琉球王へ官貨 を賜 る義 に付外務省 よ り正 1 表紙 に使 われ ていたボール紙 を除去 して別置。 院 -62 TOOO15227B 長州 薩州 門武書簡 63 TOOO157178 琉球側 の討論 内席 にお ける 口上書 64 TOOO15225B 殊域周番録 65 TOOOO4515B 絵本琉球軍記 66 TOOO15322B 67 TOOO15340B 68 TOOO15226B 69 TOOO16512B 70 TOOO152538 71 TOOOO2933B 72 TOOO15362B 73 TOOO15335B 波龍舟 日記 井午五月 四 日硯水 日記膳部 見聞備 忘 抜粋 之部 異 聞記 六諭術義大意抄 琉球 園来聴記事 琉球 国事略 高野 山事略 慶賀使浦 王詠歌井香川景樹 給本豊 臣琉球軍記 虫損補修 、綴 じ直 し、峡作成。 1 簡 易補 修 、綴 じ直 し時 に表紙 のボール紙 を取 り外 した。l快作成 1 表紙 に使 われていたボール紙 を除去 して別置。 幌作成 1 リー フキ ャステ ィングに よ り表紙 ・本紙 とも に補修。 2 表紙 は 虫損補 修。 本紙 は リー フキ ャステ ィン グに よ り補修。 1 -部 虫損補修 、綴 じ直 し。芭蕉紙 1 虫損補修 、綴 じ直 し 1 虫損補修 、綴 じ直 し 1 虫損補修 、綴 じ直 し 1 虫損補修 、綴 じ直 し 1 虫損補修 、綴 じ直 し 1 虫損補修 、綴 じ直 し 10 表紙 のみ簡易補修 、綴 じ直 し 4 現在着手 している作業について 平成 17年度 よ り、先述の琉球政府文書 に関す る 「緊急保存措置事業」がスター トした。 この中で、平成 15年度及 び16年度 の保存状態調査 の結果 、 「強劣化」 と判定 され た簿冊 172冊 については、修復 しなけれ ば利用す ることができない状態 にあるので早速今年度 よ り修復 を委託 してい る。 ただ し、中にはすでにマイ クロフィル ムが存在 しそれで閲覧利用 できる資料群 が含 まれてい るので、実際には これ らを除外 した119冊 を対象 にす ることに した。 一方、琉球政府文書は現在 ミカ ン箱程の大 き さの箱 にぎっ しり詰 め られているため1箱 が15kg前後 もあって非常に重い。 このため、出納す るときには持 ち上げるのにも随分苦労 し、また中の資料は縦置 き されてい るため、移動す るたびに箱 の中で動いてす り切れ等の 原 因になってい る。 さらに、閲覧 申請等で簿冊が抜 き出 され ると、その部分 に隙間ができ て他 の簿冊が倒れた りたわんで しまってい る。 今回の緊急保存措置事業では、 この よ うな状況 を改善す るため現在の箱 を新 しい箱 に切 り替 え、簿冊 を縦置 きか ら平置 きにす ることを検討 している。そ して、まずは重量がある ために一番取 り出 しに くい書架上段2段 の箱 について、現在 の箱の3分の1、あるいは2 分の1の大 きさの箱 に入れ替 える計画 を立てている。具体的な箱の形状や大 きさ等、幾つ
-76-か
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tイ侶"J,を作 って実際 にシュ ミレー シ ョン し、使 い勝 千を試 して新 しい箱 の仕様 を決定 し たo TJ算 もI7,11られ てい るので全ての箱 を入れ替 えることはで きないが、最小 限必要な部/)) に よ り安全な箱 を導入 してい きたい と考 えている。 最後に、今隼度 主に行 ってい る修復作業 について報 告す る。 現在 、修復作業 は筆者 を含 め2名であたっている。 主に対象 と してい る資料 は地籍 調査図で、今年度初 めに同資料全 冊の概 要調査 を行 い、枚数や劣化状況の記録 を取った。 これ らは上地所有 申請 書を元 に し て作成 され た もので、大 半が トレー シングペーパー にペ ン書 き され た原 図であ る。 中には 存焼 きコ ピー紙 の もの もあ るが、いずれ もその後 この地 図の情報 を確認 す るための調査が 行われてチェ ックマー ク等の書き込みがな され ている。 数に して約35,000枚 にのぼるこれ らの資料 には、 トレー シングペーパー特有の亀裂が入 ってい るものが多 く、 さらにその部分 にセ ロ- ンテープや製本テープが貼 り付 け られ 、テ ープの粘着物質のために互いにひ っついてい る状態 にあ る。 このま まではマイ クロ撮影 も 肘難なので、 まず撮影 で きるよ うにテープを剥がす処置 をこの2年間で実施 しよ うい うも のである。 とは言 え、セ ロハ ンテー プの劣化 は著 しく、テー プ本体 を除去 して も残 った粘 着物 は容 易に落 とす ことができない。 限 られ た時間内に行 う緊急措 置だ けに困難 さは度 を 極 めているが、貴重な資料 であるだけに慎重 に進 めていきたい と思 う0 おわ りに沖
縄県公文書館 は、建設段階か ら文書の修復保存 に対 して非常に力点 を置いてい る。 そ の ・つの表れ と して他県に類 を見ない程広 い製本補修 宅が設 け られ た。 ここに修復 業務 に 必要な備 品類 を買いそ ろえ、また専任 の職員 を配置 したわ けであるO 筆者 は、その 専門職 と して開館 当初 か ら当館 の修復保 存業務 に携 わ って きたO これ まで の10年 は駆 け足で過 ぎ去 った よ うな気 もす る反 面、様 々な業務 を四 苦八苦 しなが らや って きた とい う印象 も強い。 当初 、当館 の修復業務 は最新式の修復機械 (リー フキャステ ィングマ シン) を中心 に、 大量の文書を大 量に修理す ることが 目標 であった。 しか しなが ら、筆者 の力不足 もある と は思 うが、現実には修復 に対峠で きる時間 を確保す ることが難 しく、他 に受 け持 った諸業 務 とのや りく りに 一番手 を焼 いた。 とくに開館 当初 は施設 自体 に不具合が多 く、書庫 のt.rJ 柑度 も安定せず、館 内至 る所 で結露 してカ ビが発生す る状況 であった。 予算等 との兼ね合 いで抜本的な対策 を打てなかった間は、 とにか く毎 日清掃 に追 われ 、環境整備 の対応 ばか りしていた よ うに思 う。 また組織改変 のための閲覧及び利用普及業務 と修復 ・マイ クロ撮影が統合 され た ことを 機 に、展示会や講演会等諸行事- の取 り組み も非常に大 きな ウェイ トを占めた。 手作 りの 展示会が 主である当館 の場合 、毎晩深夜 までパネル作 りが続 くの も普通 であった。 この よ うな混沌 と した10年の 中で も曲が りな りとも進 め られ た事業 が3つある。その う ちの1つが琉球政府 文書の調査 であ り、 2つ めが岸 文庫 を中心 とした古 文書 ・古典籍 資料 の修復、 3つ めが明治か ら昭和初期 の資料 の修復保存措置で ある。 その結果 、琉球政府 文 書の調査では、 これ らか ら得 られ たデー タが計画的な保存措置 を図 る とでの基礎 資料 にな るのは もちろんの こと、同文書群の現状 を後世に伝 える資料 として も活用 され るであろ う。 また、岸 文庫等 に含 まれ る琉球王朝代や戦前 の資料 も、大方マイ クロフィル ムや原本 で利 -77-用 して も らえる状態 にな るな どの成果 があがってい る。 さらに、先述 の とお り保存環境 の整備 のため毎 日の温湿度デー タの集積 か ら異常時の対 応 まで行 って きた。 と りわけ、虫や カ ビ等 に対す る対策 には積極 的に取 り組 んできたっ も りである し、今年度 には10年間使用 してきた燥蒸釜 を改良 し、資料や人体、環境 にまで配 慮 した低酸素濃度処理設備 を導入す るこ とがで きた。 か くして薬剤 による弊害 をな くすた めの この措置 に よって これ まで以上 に環境管理 とク リーニ ングにかか る作業が増 えるであ ろ うが、 自然 と調和 しなが ら大切 な文書 を守 ろ うとす る筆者 のたっての希望 は、職員 の協 力 に支 え られ て よ うや く実 を結 んだ よ うに思 う。 (おおわん ・ゆか り) 追記:『沖縄県公文書館研究紀要』第6号 (2004年3月発行)掲載の 「復帰前における琉球政府文 書の保存活動について」の文中で、筆者の不適切な表現がありましたので訂正 してお詫びい たします。 訂正個所:p113上から20行 目 「徒労」- 「苦労」 -78