55)前掲書 27)、73.
56)前掲書 27)、86.
ケルシェンシュタイナーはここで「教養ある
人」及び「教養」の概念について、「教養は
文化財を通して目ざまされ、個性的に組織化
された価値感覚(Wertsinn)である」と定義
づけている。またこの文化財のことを「科学、
芸術、
宗教、風習、道義的人格、文化民族等々」
としている。
57)前掲書 27)、85.
58)前掲書 27)、89.
ケルシェンシュタイナーはこの論理に至る
までに「幻想的遊戯」、
「規則的な遊戯」、
「営
み」、
「スポーツ」
、
「労作」といった 5 つの類
型を用いて説明しているが、ここでは紙数の
都合上解説を省略する。
59)前掲書 27)、91.
60)前掲書 27)、95.
61)前掲書 44)、9.
62)小森伸一(2011)
:野外教育理論の再考Ⅱ―
その特性:基本構造(構成基礎要素:教材・
教育の場・教育方法)の観点から―、東京学
芸大学紀要芸術・スポーツ科学系、63:31-44.
63)前掲書 27)、92-93.
64)前掲書 27)、100.
65)星野敏男(2017):キャンプディレクター1
級・2 級共通 はじめに、キャンプディレク
ター必携、公益社団法人日本キャンプ協会、
東京、1-2.
66)日本ネイチャーゲーム協会、体験型環境教
育研究会編著(2007):小学校の授業に生き
るネイチャーゲームスタート編、ネイチャー
ゲーム研究所、東京、20-21.
67)井上真理子、大石康彦(2016):学校が身近
な森林で体験活動を行うための実施プロセ
スに関する理論研究、野外教育研究、19(1)
:
1-13.
68)Tilton, B.(2003). Leave No Trace Master
Educator Handbook. The Leave No Trace
Center for Outdoor Ethics & The National
Outdoor Leadership School. 4.
69)市川智史(2016)
:日本環境教育小史、ミネ
ルヴァ書房、京都、25-46.
70)前掲書 9)、4.
71)小森伸一(2010)
:野外教育理論の再考Ⅰ―
「三大学習視点」の提言から―、東京学芸大
学紀要芸術・スポーツ科学系、62:39-46.
小森の見解はこの論文がもととなっている。
72)束原昌郎(1996)
:野外スポーツ特性と環境
教育的課題、環境教育、5(2)
:14.
芸術的野外活動の例として、「自然環境を題
材にした絵画、写真、作詞、作文、作曲、演
劇等の創作や鑑賞を中心とする活動」が挙げ
られている。
73)前掲書 27)、91-92.
ケルシェンシュタイナーは「ただそれ自身の
ためにのみ駆りたてられるすべての活動を
遊戯と呼ぶ、と総括したい」とし、仕事を客
観的に形成する「労作」と分けて考えている。
これはスポーツについても同様で、「子ども
の純粋な遊戯や純粋なスポーツは、活動その
もののほかに何らの目的も持たない」とする
のに対し、「労作」については「活動それ自
身のために、あるいはその活動の完成した遂
行能力のために企てられるのではなく、意志
によってその活動に課せられた、活動するこ
ととは異なった目的に基づく活動である」と
している。
付記
本論文の一部には日本野外教育学会第 23 回
大会で発表している箇所がある。
(令和
2 年 4 月 23 日受付)
(令和
2 年 9 月 18 日受理)
株式会社
backcountry classroom
〒300-3253 茨城県つくば市大曽根 3765-4
backcountry classroom Inc.
3765-4 Ozone, Tsukuba, Ibaraki (300-3253)
1.背景
近年、多くの研究が、自然体験活動に参加し
た参加者の効果について報告している。この評
価方法における一つの流れは、心理学の既存の
理論に基づいた効果変数(例えば、自己概念、
自己効力感など)を用いた、局面的な評価であ
る。この評価のメリットは、自然体験活動にお
ける効果要因を、既存の理論に基づいて説明可
能なことである。一方デメリットは、評価の範
囲が効果変数に限定され、多くの効果を含む自
然体験活動の一面しか明らかにすることがで
きない。
もう一つの流れは、自然体験活動の総合的な
効果を測定する試みである。全米キャンプ協会
1)
は「キャンプ効果尺度」を開発し、国内では岡
村ら
2)
によって、この尺度を用いて全国調査が
行われた。谷井・藤原
3)
は「小・中学校用自然
体験効果尺度」を開発し、橘ら
4)
が作成した「IKR
評定用紙」は、後に「IKR 評定用紙(簡易版)
」
5)
へと発展し、全国の青少年教育施設で広く利用
され、自然体験活動の横断的な効果の検証を可
能とした。一方で、効果と要因の理論的背景に
乏しく、自然体験活動の「何」が「どのように」
影響を及ぼしたのか同定ができないため、事業
改善を第一義とする評価のツールとして課題
が残る。また、心理テストとしての信頼性と妥
当性を高め、かつ、キャンプの総合的な効果を
測定する理由から、項目数の削減が困難であり、
調査時の負担の軽減に限界があった。さらに、
事前事後の調査を有意差検定により比較する
ことを前提とした方法であり、現場の指導者に
は運用が難しい。
自然体験活動における効果要因の究明は、
1980 年代からさけばれていることであるが
6)
、
2000 年に入り、Means-End 理論を応用し、自然
体験活動の効果の要因を究明する研究が全米
でにわかに発表されている。Means-End 理論と
は、Guttman
7)
によって発表された、消費者が製
品やサービスを選択する要因を明らかにする
ためのマーケティングの方法である。消費者に
とって重要な製品の特性(Attribute)
、その特
性によって得られる結果(Consequence)、その
結果によってもたらされる個人的価値(Value)
のつながりを、ラダーリングという方法で調査
し、それらを統合することで、消費者が重要と
する製品の特性-結果-価値のつながりを示し
た、ヒエラルキカル・バリュー・マップ(HVM)
にモデル化するものである。自然体験活動の分
野では、一般的に、コース中の様々な体験の要
Key words: The Prospects of New Evaluation of Experiential Education Using Means-End Analysis
J-STAGE Advance Published date: Feb.8, 2021
Means-End 分析を用いた自然体験活動の新たな評価の可能性
岡村 泰斗
The Prospects of New Evaluation of Experiential Education
Using Means-End Analysis
素(例えば、登山、カヌーなど)を特性とし、
その特性から得られる体験の質(例えば挑戦、
協力など)を結果ととらえ、個人的な価値(効
果)へのつながりを検証している。我が国では、
岡村ら
8)
、岡田ら
9)
の研究が、自然体験活動に
Means-End 分析を応用した最初の事例である。
今日我が国の自然体験活動は、様々な内容と効
果の広がりを見せており、すべての自然体験活
動を、画一的な尺度で評価することは限界があ
る。一方、Means-End 分析は、1)多様な効果
を抽出でき、2)その効果に影響を及ぼした、
自然体験活動中の要因を明らかにすることが
できる。さらに、質的な調査方法によって、3)
現場での調査の負担を軽減し、4)モデル化に
より効果要因を可視化できる。これらの特性か
ら、広く自然体験活動現場の指導者が利用でき、
事業改善のために有効な情報を得ることので
きる評価への応用が期待される。そこで、本研
究は、我が国の自然体験活動の新たな評価方法
を開発するために、自然体験活動に Means-End
分析を用いた文献を分析し、その特性と課題を
明らかにすることを目的とした。
2.文献収集の方法
本研究の目的を達成するために、Means-End
分析を用いた学位論文を、次の理由により調査
の対象とした。1)学位授与機関によって一定の
質が補償されている。2)論文中に、研究の意
義・背景、用語の操作的定義、研究の限界、現
場への示唆など、学術論文では、紙面の都合上
割愛される箇所が載っている。3)実際に調査で
用いた質問紙が巻末資料に掲載されている。4)
充分な先行研究により、有効な文献情報を得ら
れ る 。 北 米 の 学 位 論 文 の 検 索 ・ 販 売 を 行 う
University Microfilm International ( UMI )
社の運営する ProQuest 上で、”Experiential
Education” and ”Means-End”のキーワード
検索を行った(2011 年現在)
。ヒットした文献
のタイトルから、自然体験活動を変数としてい
る文献を選択し、全文購入、翻訳し、その概要、
目的、方法、結果について整理、統合を行った。
3.結果及び考察
3.1.論文概要
自然体験活動における Means-End 研究は、
2002 年の Goldenberg
10)
が始まりであった。その
後、6 編の内、2 編は、ミネソタ大学の McAvoy
の指導によるものであり、別の 2 編は、彼の指
導 の も と M e a n s - E n d 研 究 で 学 位 を 取 っ た
Goldenberg の主査によるものであった。また、
2007 年には、インディアナ大学でも発表されて
いることから、特定の研究グループから他大学
へも広がっていた。また、6 編中 5 編が野外冒
険活動に関連する論文であり、1 編がロープス
コースを対象とするなど、全て冒険教育を起源
とするものであった。つまり、結果の不確実性
A10)
B11)
C12)
D13)
E14)
F15)
題目 Means-End分析を
用 い た 野 外 冒 険
教 育 体 験 の 効 果
の理解
ロ ー プ ス コ ー ス
プ ロ グ ラ ム へ の
効 果 的 な 参 加 の
探求
Means-End理論を
用 い た ウ ィ ル ダ
ネ ス 冒 険 統 合 プ
ログラムの理解
ス ピ リ チ ュ ア ル
体 験 と し て の バ
ッ ク カ ン ト リ ー
冒 険 体 験 :Means
- End研究
ウ ィ ル ダ ネ ス 冒
険 教 育 プ ロ グ ラ
ム 参 加 に よ る 効
果の縦断的研究
O B と NOLSの プ
ロ グ ラ ム の 効
果 : M e a n s - E n d
研究
著者 Goldenberg M Haras SK Holman RT Marsh EP Cummings PJ Pronsolino TD
発表年 2002 2003 2004 2007 2009 2009
発行 ミネソタ大学 テキサスA&M大学 ミネソタ大学 インディアナ大学 カリフォルニア
州立専門職大学
カリフォルニア
州立専門職大学
主査 Leo McAvoy Bunting JC Leo McAvoy Alan Ewart Goldenberg M Goldenberg M
素(例えば、登山、カヌーなど)を特性とし、
その特性から得られる体験の質(例えば挑戦、
協力など)を結果ととらえ、個人的な価値(効
果)へのつながりを検証している。我が国では、
岡村ら
8)
、岡田ら
9)
の研究が、自然体験活動に
Means-End 分析を応用した最初の事例である。
今日我が国の自然体験活動は、様々な内容と効
果の広がりを見せており、すべての自然体験活
動を、画一的な尺度で評価することは限界があ
る。一方、Means-End 分析は、1)多様な効果
を抽出でき、2)その効果に影響を及ぼした、
自然体験活動中の要因を明らかにすることが
できる。さらに、質的な調査方法によって、3)
現場での調査の負担を軽減し、4)モデル化に
より効果要因を可視化できる。これらの特性か
ら、広く自然体験活動現場の指導者が利用でき、
事業改善のために有効な情報を得ることので
きる評価への応用が期待される。そこで、本研
究は、我が国の自然体験活動の新たな評価方法
を開発するために、自然体験活動に Means-End
分析を用いた文献を分析し、その特性と課題を
明らかにすることを目的とした。
2.文献収集の方法
本研究の目的を達成するために、Means-End
分析を用いた学位論文を、次の理由により調査
の対象とした。1)学位授与機関によって一定の
質が補償されている。2)論文中に、研究の意
義・背景、用語の操作的定義、研究の限界、現
場への示唆など、学術論文では、紙面の都合上
割愛される箇所が載っている。3)実際に調査で
用いた質問紙が巻末資料に掲載されている。4)
充分な先行研究により、有効な文献情報を得ら
れ る 。 北 米 の 学 位 論 文 の 検 索 ・ 販 売 を 行 う
University Microfilm International ( UMI )
社の運営する ProQuest 上で、”Experiential
Education” and ”Means-End”のキーワード
検索を行った(2011 年現在)
。ヒットした文献
のタイトルから、自然体験活動を変数としてい
る文献を選択し、全文購入、翻訳し、その概要、
目的、方法、結果について整理、統合を行った。
3.結果及び考察
3.1.論文概要
自然体験活動における Means-End 研究は、
2002 年の Goldenberg
10)
が始まりであった。その
後、6 編の内、2 編は、ミネソタ大学の McAvoy
の指導によるものであり、別の 2 編は、彼の指
導 の も と M e a n s - E n d 研 究 で 学 位 を 取 っ た
Goldenberg の主査によるものであった。また、
2007 年には、インディアナ大学でも発表されて
いることから、特定の研究グループから他大学
へも広がっていた。また、6 編中 5 編が野外冒
険活動に関連する論文であり、1 編がロープス
コースを対象とするなど、全て冒険教育を起源
とするものであった。つまり、結果の不確実性
A10)
B11)
C12)
D13)
E14)
F15)
題目 Means-End分析を
用 い た 野 外 冒 険
教 育 体 験 の 効 果
の理解
ロ ー プ ス コ ー ス
プ ロ グ ラ ム へ の
効 果 的 な 参 加 の
探求
Means-End理論を
用 い た ウ ィ ル ダ
ネ ス 冒 険 統 合 プ
ログラムの理解
ス ピ リ チ ュ ア ル
体 験 と し て の バ
ッ ク カ ン ト リ ー
冒 険 体 験 :Means
- End研究
ウ ィ ル ダ ネ ス 冒
険 教 育 プ ロ グ ラ
ム 参 加 に よ る 効
果の縦断的研究
O B と NOLSの プ
ロ グ ラ ム の 効
果 : M e a n s - E n d
研究
著者 Goldenberg M Haras SK Holman RT Marsh EP Cummings PJ Pronsolino TD
発表年 2002 2003 2004 2007 2009 2009
発行 ミネソタ大学 テキサスA&M大学 ミネソタ大学 インディアナ大学 カリフォルニア
州立専門職大学
カリフォルニア
州立専門職大学
主査 Leo McAvoy Bunting JC Leo McAvoy Alan Ewart Goldenberg M Goldenberg M
表-1. 論文概要
や、効果の要因の統制の困難な冒険教育のよう
な 自 然 体 験 活 動 に 応 用 さ れ て い た 。 ま た 、
Association of Experiential Education(AEE)
は、Outward Bound(OB)、National Outdoor
L e a de r sh i p S c ho o l( N O LS )、 W i ld e r nes s
E d u ca t io n As s oc i at i on ( W EA )、 P r o jec t
Adventure(PA)などが設立した学術団体であ
ることから、Experiential Education というキ
ーワードで、野外冒険活動に関する論文が抽出
されたと考えられる。
3.2.研究の目的
研究の主たる比較の観点として、参加者特性
によるものが 4 編(A:参加者属性、C:健常者
と障害者、D:参加者属性、F:参加者属性)、
プログラムによるものが 4 編(A:コース中の
活動内容、B:ロープスコースの指導法、D:バ
ックカントリースキーの活動形態、F:OBS と
NOLS)であった。実験的研究が 2 編(B:ロー
プスコースの指導法の効果、F:OBS と NOLS の
効果)であり、1 編の研究が追跡調査を行って
いた。以上のことから、Means-End は、実験的
アプローチ(演繹的)、調査的アプローチ(帰
納的)の両方に応用可能であった。また、参加
者の属性や、コース中の活動内容ごとに HVM を
作成でき、サブグループごとの比較も可能であ
った。
3.3.研究方法
対象者の年齢は 10 歳以上、人数は 66〜510
名であった。かつ、1 編の論文は、認知症以外
の障害者を対象としていた。以上の結果から、
小学校高学年以上の年齢に適応可能であり、か
つ健常者以外にも幅広く調査可能であった。対
象者数は、66 名であったが、Marsh
13)
の研究で
は、インタビューより得られた項目のコード化
のパターンが、30 名で飽和に達したことから、
特性、結果、価値のコード化される項目をより
精選することによって、30 名程度の人数でも調
査可能である。実験条件として、5 時間のロー
プスコース(論文 B)及び、日帰りのバックカ
ントリースキーツアー(論文 D)から、20 日以
上の OB コース、NOLS コース(論文 A,E,F)
まで、多様な期間を対象としていた。
調査方法について、3 編が、参加者の自由回
答式によるものであった。このうち、回答可能
なラダーの最大列数はすべて 3 列であった。一
方、ラダーの段数は 4 段、5 段、6 段と異なっ
ていた。残りの 3 編は、半構造化インタビュー
であり、ラダー数は 3 列、段数は無制限であっ
た。また、質問の仕方について、5 編の論文が、
まずコースの効果(価値)を質問し、次にその
価値についてなぜ重要であったか、回答が飽和
するまで質問を繰り返し、最後にコース中の要
因(特性)について尋ねるものであった。以上
の結果から、オリジナルの Means-End 研究では、
面接調査が原則であったが、質問紙による調査
も可能であり、1 名の回答者より得られるラダ
ーは最大 6 段、3 列までの質問紙が一般的であ
った。また、オリジナルの方法が、商品の特性
から始まっていたのに対し、体験学習の効果
(価値)から質問をはじめていることが特徴的
であった。これは、多くの体験を含む自然体験
活動が、体験(特性)からラダーリングを開始
すると、特定の効果に焦点が絞りきれないとい
った特性のために、応用開発された方法である
と考えられる。
調査時期について、2 編のフォローアップ調
査を行った論文以外は、1 回の事後調査のみ行
っていた。このことより、これまでの心理テス
トによる事前事後調査と比較し、回数の負担が
軽減される。また、1 編の論文は、自宅に持ち
帰って回答しており、調査用紙を工夫すること
によって、郵送法等により、調査者が直接介入
しなくとも調査可能である。
最後に、分析方法について、すべての論文が、
研究者及び複数の評定者により、内部一貫性が
80%以上を満たすコード化が必要であった。さ
らに、それらのコードは Means-End 分析専用に
開発された LadderMap
16)
を用い、HVM の出力を行
っていた(2020 年現在 LadderMap はオンライン
上に存在せず、LadderUX
17)
が同様のサービスを
提供する)。コード化について、一般化を目的
とする科学論文では、複数の専門家と高い内部
一貫性が必要であるが、事業評価をねらいとす
る場合、団体独自にコード化をすることができ、
既存の学説に基づいた心理テストよりも事業
改善に活用できる。分析ツールについて、ラダ
ーリングの段数を無制限・不特定にした場合、
専用のソフトウェアが不可欠であるが、本研究
の 3 編がそうしていたように、特性、結果、価
値の件数を指定することで、より簡便な調査用
紙と、ソフトウェアに頼らない集計が可能であ
る。
3.4.研究結果の概要
Means-End 分析の特性上、多くの結果が示さ
れていたが、それぞれの論文の研究課題に対す
る主要な結果のみを抜粋した。特性、結果、価
値のつながりについて、それぞれの研究対象の
特性、代表的な体験内容、代表的な効果を理解
することができた。野外冒険活動を対象とした、
A、C、E、F の論文では、共通する結果も多く、
調査方法の妥当性を示すものであった。一方、
研究目的
A 目的:野外冒険教育プログラムの意味と結果のつながりについて明らかにする。
課題
1.野外冒険教育体験の参加者にとっての最も高い効果と価値を明らかにする。
2.効果と価値の Means-End におけるつながりを明らかにする。
3.性別、年齢、コースの期間の違いによる、Means-End の構造の違いを明らかにする。
4.カヌー、ロッククライミング、遠征、ソロといったコースの要素の違いによる Means-End の構造の違いを明ら
かにする。
B 目的:ロープスコースにおける、チャレンジバイチョイス(CbC)と最善の参加方法(IOP)の指導法の違いを比較
する。
課題:
1.ハイエレメントと、ローエレメントにおける、CbC と IOP の効果の違いを明らかにする。
2.CbC と IOP のプログラムの特性、結果、価値を明らかにする。
C 目的:ウィルダネス冒険統合プログラムに参加した障害者と健常者の体験の意味、結果を比較し、日常への効果の
違いを明らかにする。
課題:
1.ウィルダネス冒険統合プログラムの効果を明らかにする。
2.効果と価値のつながりを明らかにする。
3.ウィルダネスプログラムのどのような要素が効果に影響を与えるのか明らかにする。
4.障害者と健常者の違いを明らかにする。
5.日常生活における最も高い効果を明らかにする。
D 目的:バックカントリー冒険体験によるスピリチュアル体験としての意味を明らかにする。
課題:
1.バックカントリー冒険体験中のスピリチュアル体験における特性、結果、価値を明らかにする。
2.特性、結果、価値の Means-End のつながりを明らかにする。
3.スキーヤーの年齢、性別、能力、体験の違いによる Means-End の違いを明らかにする。
4.スキー、テレマーク、スノーボードの活動の違いによる Means-End の違いを明らかにする。
5. スピリチュアリティに影響を及ぼした活動のタイプによる Means-End の違いを明らかにする。
E 目的:ウィルダネス冒険教育の効果と、参加者の日常への効果を明らかにする。
1.ウィルダネス冒険教育の個人的な効果を明らかにする。
2.ウィルダネス冒険教育の日常成果への転移を明らかにする。
F 目的:OB と NOLS の特性、結果、価値を明らかにする。
1.OB と NOLS の冒険レクリエーションコースの特性、結果、価値を明らかにする。
2.特性、結果、価値のつながりを明らかにする。
3.性別、参加団体の違いによる Means-End 構造の違いを比較する。
表-2. 研究目的
っていた(2020 年現在 LadderMap はオンライン
上に存在せず、LadderUX
17)
が同様のサービスを
提供する)。コード化について、一般化を目的
とする科学論文では、複数の専門家と高い内部
一貫性が必要であるが、事業評価をねらいとす
る場合、団体独自にコード化をすることができ、
既存の学説に基づいた心理テストよりも事業
改善に活用できる。分析ツールについて、ラダ
ーリングの段数を無制限・不特定にした場合、
専用のソフトウェアが不可欠であるが、本研究
の 3 編がそうしていたように、特性、結果、価
値の件数を指定することで、より簡便な調査用
紙と、ソフトウェアに頼らない集計が可能であ
る。
3.4.研究結果の概要
Means-End 分析の特性上、多くの結果が示さ
れていたが、それぞれの論文の研究課題に対す
る主要な結果のみを抜粋した。特性、結果、価
値のつながりについて、それぞれの研究対象の
特性、代表的な体験内容、代表的な効果を理解
することができた。野外冒険活動を対象とした、
A、C、E、F の論文では、共通する結果も多く、
調査方法の妥当性を示すものであった。一方、
研究目的
A 目的:野外冒険教育プログラムの意味と結果のつながりについて明らかにする。
課題
1.野外冒険教育体験の参加者にとっての最も高い効果と価値を明らかにする。
2.効果と価値の Means-End におけるつながりを明らかにする。
3.性別、年齢、コースの期間の違いによる、Means-End の構造の違いを明らかにする。
4.カヌー、ロッククライミング、遠征、ソロといったコースの要素の違いによる Means-End の構造の違いを明ら
かにする。
B 目的:ロープスコースにおける、チャレンジバイチョイス(CbC)と最善の参加方法(IOP)の指導法の違いを比較
する。
課題:
1.ハイエレメントと、ローエレメントにおける、CbC と IOP の効果の違いを明らかにする。
2.CbC と IOP のプログラムの特性、結果、価値を明らかにする。
C 目的:ウィルダネス冒険統合プログラムに参加した障害者と健常者の体験の意味、結果を比較し、日常への効果の
違いを明らかにする。
課題:
1.ウィルダネス冒険統合プログラムの効果を明らかにする。
2.効果と価値のつながりを明らかにする。
3.ウィルダネスプログラムのどのような要素が効果に影響を与えるのか明らかにする。
4.障害者と健常者の違いを明らかにする。
5.日常生活における最も高い効果を明らかにする。
D 目的:バックカントリー冒険体験によるスピリチュアル体験としての意味を明らかにする。
課題:
1.バックカントリー冒険体験中のスピリチュアル体験における特性、結果、価値を明らかにする。
2.特性、結果、価値の Means-End のつながりを明らかにする。
3.スキーヤーの年齢、性別、能力、体験の違いによる Means-End の違いを明らかにする。
4.スキー、テレマーク、スノーボードの活動の違いによる Means-End の違いを明らかにする。
5. スピリチュアリティに影響を及ぼした活動のタイプによる Means-End の違いを明らかにする。
E 目的:ウィルダネス冒険教育の効果と、参加者の日常への効果を明らかにする。
1.ウィルダネス冒険教育の個人的な効果を明らかにする。
2.ウィルダネス冒険教育の日常成果への転移を明らかにする。
F 目的:OB と NOLS の特性、結果、価値を明らかにする。
1.OB と NOLS の冒険レクリエーションコースの特性、結果、価値を明らかにする。
2.特性、結果、価値のつながりを明らかにする。
3.性別、参加団体の違いによる Means-End 構造の違いを比較する。
表-2. 研究目的
バックカントリースキーのスピリチュアル体
験に限定した論文 D では、他とは異なる結果が
得られ、調査方法を工夫することで、特定の効
果に影響を及ぼす、特性、結果を同定すること
もできた。一方、サブグループごとに HVM を比
較した結果について、コースの特性が反映され
やすく、事例的な解釈をせざるを得なかった。
また、結果から価値へのラダーの一貫性が乏し
く、ラダーの段数も区々であった。これらの結
果は、Means-End 分析の既存の方法では、結果
の解釈が現場に応用しにくいことを意味して
いる。HVM の複雑さは、ラダーの無制限性・不
特定性に由来するため、これらを現場に即した
件数に制限することも検討しなければならな
い。
4.結果の総括
1)Means-End 分析は、北米の野外教育研究にお
いて、2002 年に最初に発表され、その後全
米に広がった。
2)冒険活動のような、結果が不確実で、効果
要因の相互作用によって効果が得られる自
然 体 験 活 動 の 評 価 に 採 用 さ れ て い た 。
3)実験的アプローチ(演繹的)、調査的アプロ
ーチ(帰納的)の両方に利用でき、自然体
験活動に参加した参加者の特性、活動プロ
グラムによって、効果の要因を比較するこ
A B C D E F
対
象
OBコースに参加し
た16~21 歳 300
名。
5 ~ 8 時 間 の ロ ー
プスコースに参加
し た 10~15 歳 360
名。
4日間以上ウィル
ダネスプログラム
に参加した、認知
症以外の障害をも
つ 18 歳 以 上 の 成
人200名。
バックカントリー
スキーヤー(アル
ペンスキー、テレ
マークスキー、ス
ノーボード、スノ
ーシュー、クロス
カ ン ト リ ー ス キ
ー)66 名。
7 日 間 以 上 の OB
コ ー ス と NOLSコー
ス に 参加 し た 14
歳 以 上 510 人
( OB=162/ NOLS=
348)。
OBとNOLS に参加し
た 14 歳 以上 510
名。
実
験
条
件
ノ ー ス キ ャ ロ ラ
イ ナ ア ウ ト ワ ー
ド バ ウ ン ド ス ク
ー ル の 主 催 コ ー
スと一般コース。
ロ ー プ ス コ ー ス
プ ロ グ ラ ム の 指
導 を 行 う 4 団 体
のう ち、2団 体 が
CbC 、他の2団体が
IOP に 基 づ い た
指導 法を行 った。
ミ ネ ソ タ 州 ミ ネ
アポリスにあるWI
主催のウィルダネ
ス 及 び 半 ウ ィ ル
ダ ネ ス プ ロ グ ラ
ム。
ワ イ オ ミ ン グ 州
テ ィ ト ン 峠 周 辺
の バ ッ ク カ ン ト
リースキー。
コ ロ ラ ド 州 ロ ッ
キ ー 山 脈 で 行 わ
れたOBと、ワイオ
ミ ン グ 州 ワ イ ド
リバー山で行われ
た NOLS コース。
ロ ッ キ ー 山 系 に
おける、OBとNOLS
のプログラム。
調
査
用
紙
自己回答式3列
/ ラダー数は最
大4段。
自己回答式3列
/ ラダー数は最
大5段。
自己回答式3列
/ ラ ダ ー 数 は
最 大 6 段。
半 構 造 化 イ ン タ
ビ ュ ー 3 列 / ラ
ダー数は無制限。
半 構 造 化 イ ン タ
ビュー3列/ ラ
ダー数は無制限。
半 構 造 化 イ ン タ
ビ ュ ー 3 列 / ラ
ダー数は無制限。
調
査
手
順
自 宅 に 持 ち 帰 っ
て 回 答 し て も ら
うか、コース最後
に個別面接法。
ロ ー プ ス コ ー ス
プ ロ グ ラ ム の 最
後に個別面接法。
コース終了後から
自宅に出発するま
での間。フォロー
アップテストは、6
ヶ月後に電話イン
タビュー。
テ ィ ト ン 峠 の 駐
車 場 で イ ン タ ビ
ュー。
コース終了前の2日
間のうち、任意で半
構造化インタビュ
ー。2年後のフォロ
ーアップ調査は電
話インタビュー。
コ ー ス 最 後 の 2
日 間 に 半 構 造 化
インタビュー。
分
析
研究者によるコー
ド化(全体の25%
の 項 目 に 対 し 内
部一貫性87.3%)/
LadderMap に よ る
HVMの作成。
研究 者による コ
ード化/LadderMap
によるHVM の作成。
研究者によるコー
ド化(内部一貫性
87%以上)/
LadderMap による
HVM の作成。
研究者によるコー
ド化(内部一貫性
87%以上)/
LadderMap による
HVM の作成。
研究者によるコー
ド化(内部一貫性
80%以上)
/LadderMap による
HVM の作成/HVM
の比較はχ二乗
検定。
研究者によるコー
ド化(全体の25%
の項目に対し内部
一貫性87.3%)/
LadderMapによるHVM
の作成。
表-3 研究方法
とができた。
4)30 名程度の参加者から利用でき、数時間の
活動から、長期間の活動まで、幅広い体験
活動の評価に利用されていた。
5)特定の効果、要因に焦点を当てて、ラダー
リング調査することができた。そのため、要
研究結果(抜粋)
A 1.野外冒険プログラム参加者の効果は、「人間関係・チームワーク」、「知識・気づき」、「成長・挑戦」、「身体的
体力」、「自信・自尊心」、「成熟感」、「人生の豊かさ」、「自己信頼」であった。
2.野外冒険プログラム参加者は、「人間関係・チークワーク」の結果に最も強く集約しており、「コース全体」、「遠征」、「ロッ
ククライミング」、「他者交流」の特性から、「他者との友好関係」の価値に発展していた。
3.男性は「身体的体力」を重要な結果と考え、女性は「人間関係・チームワーク」から「転移」への関係が強かっ
た。中学生(14~15才)は、「身体的体力」の結果に最も多くの特性がつながっており、「友好な人間関係」から、「自
己実現」が起こっていた。一方、高校生(16~17才)は、「リーダーシップ」が、「自己実現」につながっているのに
対し、成人(18 才以上)は、リーダーシップが、「他者との関係・チームワーク」に発展していた。
4.「ロッククライミング」から、「決定・我慢」と、「他者との関係・チームワーク」に、「遠征」から「身体的
体力」を経て、「自己実現」に、「他者交流」は、「他者との関係・チームワーク」につながり「自己実現」や「自己
への気づき」に発展した。「ソロ」は、「自立」、「サバイバル」、「自然への感謝」、「ふりかえり」の結果をも
たらした。
B 1.ハイエレメントでは、IOP の「選択」が高く、「一般的なハイエレメント」より「特別なハイエレメント」が高く、
「肯定的自己意識」につながっていた。これに対し、CbCに「ハイエレメント」の記述が少なかった。一方、ローエレメ
ントでは、CbC と IOPの違いはなかった。
2.IOPの特性は「ローエレメント」、「トラスト」、「コミュニケーションゲーム」が顕著であり、CbCは「ローエレメント」、
「ゲーム」が顕著であった。結果では、IOPのみに「集団効力感」があった。価値では、CbCの「興奮」の頻度が高かった。
C 1.ウィルダネスプログラム参加者の主な結果は、「他者との関係の向上」、「生活における新たな気づき」、「自然に
対する感謝」、「新たな体験」、「新たなスキルの向上」であった。主な価値は、「コースの効果の日常生活への転移」、
「自己に対する気づき」、「個人の目標の達成」、「他者との良好な関係」であった。
2.ウィルダネスプログラム参加者の「気づき」は「個人の目標達成」につながり、「自己実現」に発展していた。「新
たなスキルの獲得」は、「個人の目標達成」を導き、同じく「学習転移」に発展していた。「自然への感謝」は、「気
づき」につながり、「生活の豊かさ」に発展していた。「個人の目標の達成」は、特に強く「学習転移」と「成熟
感」につながっていた。
3.ウィルダネスプログラムの「ウィルダネス体験」の特性が効果に最も影響を及ぼした。
4.障害者は、「成熟感」と「他者との良好な関係」に価値を見いだしていた。健常者は、「家族との良好な関係」、「人
生の豊かさ」に価値を見いだしていた。「自己の能力への気づき」は、障害者のみに見られた。
5.6ヶ月後において、「ウィルダネス体験」を要因として効果が日常に転移していた。
D 1.バックカントリー冒険体験の価値は、「超越」、「他者・自然との関係」、「自己への気づき」、「自己実現」、「再
創生」、「感謝」、「幸福感」、「自信」であった。主な結果は、「集中」、「美の認識」、「挑戦」、「静寂」、
「ふりかえり」、「共有」、「楽しさ」、「健康」であった。主な特性は「バックカントリー」、「冒険活動」、
「他者交流」、「スキル発揮」、「身体的・心理的エクササイズ」であった。
2.バックカントリー冒険体験におけるつながりは、「冒険活動」-「集中」-「超越」、「バックカントリー」-「美」-「超
越」、「バックカントリー」-「ふりかえり」-「自己への気づき」、「他者交流」-「共有」-「他者・自然との関係」、「エ
クササイズ」-「健康」、「バックカントリー」-「楽しさ」、「バックカントリー」-「 静寂」、「美」-「超越」、「ふ
りかえり」-「気づき」であった。
3.中年齢群(26-35歳)は、「他者交流」-「共有」-「他者・自然との関係」に強いつながりを示した。低年齢群(18-25
歳)は、「超越」と「自己への気づき」が、「他者・自然との関係」の価値からのみつながっていた。上級者は、「他
者交流」-「共有」-「他者との関係」と、「集中」-「超越」、「美」-「超越」につながりがあった。高経験
群は、「自信」の価値を示さなかった。
4.アルペンスキーヤーのつながりは、「他者交流」の特性と「共有」-「ふりかえり」-「気づき」、「美」と「超越」、
「挑戦」と「超越」であり、「冒険」-「集中」-「超越」の完全な連続的結びつきが見られた。
E 1.OBとNOLS参加者のHVMは、「グループ体験」、「遠征」、「コース全体」などの特性から、「挑戦」の結果を経て、「人間関
係」の効果につながっていた。「ハードスキルの獲得」の結果、「活動の楽しさ」を感じ始め、「新たな視点」、「動機・刺激」、
「自立心」にもつながっていた。「新たな視点」は、「動機・刺激」とともに、「環境への感謝」につながっていた。
2.OB参加者は、特性の大多数が、「挑戦」の効果にリンクしていた。NOLS参加者は、特性のほとんどが、「人間関係」につなが
り、「新しい体験」に発展していた。NOLSの半数の参加者は、「ハードスキルの獲得」を言及し、「挑戦」から発展した「リ
ーダーシップの機会」、「自立心」、「我慢」からつながっていた。NOLSの「自己実現」は、「良好な友好関係」を導き、「所
属感」と「自己の気づき」に発展している。OBは、「自己実現」が、「自尊心」を経て、「良好な人間関係」に発展し、「自己
への気づき」に終着する。
3.「生活の豊かさ」、「自己実現」については、NOLS の参加者の方が、OBの参加者よりも、多く言及した。
F 1.OB と NOLS の主な特性は、「遠征」、「集団」、「クライミング」、「ウィルダネス」であった。主な結果は、「人間関係」、
「チャレンジ」、「新体験」、「ハードスキル獲得」であった。主な価値は、「自己実現」、「成熟感」、「自尊心」、「人間
関係」であった。
2.「遠征」、「クライミング」、「集団」、「ウィルダネス」の特性と、「新体験」の結果に強いつながりがあった。
「新体験」は、「動機付け」や「我慢」に発展する「チャレンジ」へとながり、その結果、「自己実現」の価値へ
と発展していた。
3. NOLS は、OBよりも「ハードスキル」へのリンクが多かった。女性は「チャレンジ」と、「人間関係」により多
くつながり、男性は、「チャレンジ」が少なく、「新体験」が多かった。
表-4. 研究結果
とができた。
4)30 名程度の参加者から利用でき、数時間の
活動から、長期間の活動まで、幅広い体験
活動の評価に利用されていた。
5)特定の効果、要因に焦点を当てて、ラダー
リング調査することができた。そのため、要
研究結果(抜粋)
A 1.野外冒険プログラム参加者の効果は、「人間関係・チームワーク」、「知識・気づき」、「成長・挑戦」、「身体的
体力」、「自信・自尊心」、「成熟感」、「人生の豊かさ」、「自己信頼」であった。
2.野外冒険プログラム参加者は、「人間関係・チークワーク」の結果に最も強く集約しており、「コース全体」、「遠征」、「ロッ
ククライミング」、「他者交流」の特性から、「他者との友好関係」の価値に発展していた。
3.男性は「身体的体力」を重要な結果と考え、女性は「人間関係・チームワーク」から「転移」への関係が強かっ
た。中学生(14~15才)は、「身体的体力」の結果に最も多くの特性がつながっており、「友好な人間関係」から、「自
己実現」が起こっていた。一方、高校生(16~17才)は、「リーダーシップ」が、「自己実現」につながっているのに
対し、成人(18 才以上)は、リーダーシップが、「他者との関係・チームワーク」に発展していた。
4.「ロッククライミング」から、「決定・我慢」と、「他者との関係・チームワーク」に、「遠征」から「身体的
体力」を経て、「自己実現」に、「他者交流」は、「他者との関係・チームワーク」につながり「自己実現」や「自己
への気づき」に発展した。「ソロ」は、「自立」、「サバイバル」、「自然への感謝」、「ふりかえり」の結果をも
たらした。
B 1.ハイエレメントでは、IOP の「選択」が高く、「一般的なハイエレメント」より「特別なハイエレメント」が高く、
「肯定的自己意識」につながっていた。これに対し、CbCに「ハイエレメント」の記述が少なかった。一方、ローエレメ
ントでは、CbC と IOPの違いはなかった。
2.IOPの特性は「ローエレメント」、「トラスト」、「コミュニケーションゲーム」が顕著であり、CbCは「ローエレメント」、
「ゲーム」が顕著であった。結果では、IOPのみに「集団効力感」があった。価値では、CbCの「興奮」の頻度が高かった。
C 1.ウィルダネスプログラム参加者の主な結果は、「他者との関係の向上」、「生活における新たな気づき」、「自然に
対する感謝」、「新たな体験」、「新たなスキルの向上」であった。主な価値は、「コースの効果の日常生活への転移」、
「自己に対する気づき」、「個人の目標の達成」、「他者との良好な関係」であった。
2.ウィルダネスプログラム参加者の「気づき」は「個人の目標達成」につながり、「自己実現」に発展していた。「新
たなスキルの獲得」は、「個人の目標達成」を導き、同じく「学習転移」に発展していた。「自然への感謝」は、「気
づき」につながり、「生活の豊かさ」に発展していた。「個人の目標の達成」は、特に強く「学習転移」と「成熟
感」につながっていた。
3.ウィルダネスプログラムの「ウィルダネス体験」の特性が効果に最も影響を及ぼした。
4.障害者は、「成熟感」と「他者との良好な関係」に価値を見いだしていた。健常者は、「家族との良好な関係」、「人
生の豊かさ」に価値を見いだしていた。「自己の能力への気づき」は、障害者のみに見られた。
5.6ヶ月後において、「ウィルダネス体験」を要因として効果が日常に転移していた。
D 1.バックカントリー冒険体験の価値は、「超越」、「他者・自然との関係」、「自己への気づき」、「自己実現」、「再
創生」、「感謝」、「幸福感」、「自信」であった。主な結果は、「集中」、「美の認識」、「挑戦」、「静寂」、
「ふりかえり」、「共有」、「楽しさ」、「健康」であった。主な特性は「バックカントリー」、「冒険活動」、
「他者交流」、「スキル発揮」、「身体的・心理的エクササイズ」であった。
2.バックカントリー冒険体験におけるつながりは、「冒険活動」-「集中」-「超越」、「バックカントリー」-「美」-「超
越」、「バックカントリー」-「ふりかえり」-「自己への気づき」、「他者交流」-「共有」-「他者・自然との関係」、「エ
クササイズ」-「健康」、「バックカントリー」-「楽しさ」、「バックカントリー」-「 静寂」、「美」-「超越」、「ふ
りかえり」-「気づき」であった。
3.中年齢群(26-35歳)は、「他者交流」-「共有」-「他者・自然との関係」に強いつながりを示した。低年齢群(18-25
歳)は、「超越」と「自己への気づき」が、「他者・自然との関係」の価値からのみつながっていた。上級者は、「他
者交流」-「共有」-「他者との関係」と、「集中」-「超越」、「美」-「超越」につながりがあった。高経験
群は、「自信」の価値を示さなかった。
4.アルペンスキーヤーのつながりは、「他者交流」の特性と「共有」-「ふりかえり」-「気づき」、「美」と「超越」、
「挑戦」と「超越」であり、「冒険」-「集中」-「超越」の完全な連続的結びつきが見られた。
E 1.OBとNOLS参加者のHVMは、「グループ体験」、「遠征」、「コース全体」などの特性から、「挑戦」の結果を経て、「人間関
係」の効果につながっていた。「ハードスキルの獲得」の結果、「活動の楽しさ」を感じ始め、「新たな視点」、「動機・刺激」、
「自立心」にもつながっていた。「新たな視点」は、「動機・刺激」とともに、「環境への感謝」につながっていた。
2.OB参加者は、特性の大多数が、「挑戦」の効果にリンクしていた。NOLS参加者は、特性のほとんどが、「人間関係」につなが
り、「新しい体験」に発展していた。NOLSの半数の参加者は、「ハードスキルの獲得」を言及し、「挑戦」から発展した「リ
ーダーシップの機会」、「自立心」、「我慢」からつながっていた。NOLSの「自己実現」は、「良好な友好関係」を導き、「所
属感」と「自己の気づき」に発展している。OBは、「自己実現」が、「自尊心」を経て、「良好な人間関係」に発展し、「自己
への気づき」に終着する。
3.「生活の豊かさ」、「自己実現」については、NOLS の参加者の方が、OBの参加者よりも、多く言及した。
F 1.OB と NOLS の主な特性は、「遠征」、「集団」、「クライミング」、「ウィルダネス」であった。主な結果は、「人間関係」、
「チャレンジ」、「新体験」、「ハードスキル獲得」であった。主な価値は、「自己実現」、「成熟感」、「自尊心」、「人間
関係」であった。
2.「遠征」、「クライミング」、「集団」、「ウィルダネス」の特性と、「新体験」の結果に強いつながりがあった。
「新体験」は、「動機付け」や「我慢」に発展する「チャレンジ」へとながり、その結果、「自己実現」の価値へ
と発展していた。
3. NOLS は、OBよりも「ハードスキル」へのリンクが多かった。女性は「チャレンジ」と、「人間関係」により多
くつながり、男性は、「チャレンジ」が少なく、「新体験」が多かった。
表-4. 研究結果
因と効果の関係を既存の理論より演繹する
こともできるし、事例的に関連を示唆し、
仮説生成することもできた。
6)自然体験活動終了後に 1 回の調査で終える
ことができた。さらに、フォローアップテ
ストとしても利用可能であり、自然体験活
動の効果の維持について比較可能であった。
7)インタビューと質問紙の両方で調査が可能
であった。質問紙の場合、3 列最大 6 段のラ
ダーリングで、自然体験活動の効果から質
問を開始していた。
8)得られた回答を特性、結果、価値へコード
化し、HVM を作成するために Means-End 分析
専用ソフトウェアを用いていた。
9)自然体験活動の効果と要因について明らか
にすることができたが、それぞれの段階の
コード数、及びラダー数が多いと、HVM が複
雑化し、結果の意味を解釈しにくくなった。
以上の結果より、Means-End 分析は、北米の
野外教育研究、特に冒険教育研究において、一
定の広がりを見せている。また、様々な研究ア
プローチ、研究課題、プログラム、対象者、調
査方法に柔軟に対応できることが明らかにな
った。一方、本報告が 2011 年以前のデータで
あることと、研究対象が冒険教育に傾倒してい
たことから、より広い自然体験活動全般での導
入について、さらなるレビューが必要となろう。
また、コード化、ソフトウェアによる分析、HVM
の解釈の難しさは現場への普及の妨げとなろ
う。今後、特性、結果、価値を選択式にするこ
とや、結果と価値の段数を制限することで、ソ
フトウェアに頼らない集計方法や、結果の解釈
しやすい HVM が可能になると考えられる。
謝辞
本報告のデータ収集は、2011 年度 NPO 法人体験
型科学教育研究所の調査研究として行ったも
のである。
引用文献
1) American Camp Association; ACA (2005):
Youth Development Outcomes of the Camp
Experience, [Brochure] American Camp
Association.
2) 岡村泰斗, 平野吉直, 高瀬宏樹, 多田聡,
甲斐知彦, 築山泰典, 永吉英記, 林綾子,
山田亮, 岡田成弘(2011)キャンプの構成要
素が青少年に対するキャンプ効果に及ぼす
影響、野外教育研究、15-1、1-12
3) 谷井淳一、藤原恵美(2001): 小・中学生用
自然体験効果測定尺度の開発、野外教育研究、
日本野外教育学会、第 5 巻第 1 号、39-47.
4) 橘直隆、平野吉直、関根章文(2003): 長期
キャンプが小中学生の生きる力に及ぼす影
響、野外教育研究、日本野外教育学会、第 6
巻第 2 号、45-56.
5) 国立青少年教育振興機構(2007)事業プロ
グラムの効果測定方法の開発研究
https://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/
contents/detail/i/41/(2020.4)
6) Ewert, A.W. (1987): Research in
Experiential Education: An Overview,
Journal of Experiential Education, v10n2,
4-7.
7) Gutman, A. (1982):A means-end chain model
based
on consumer categorization
processes. Journal of Marketing, 46,
60-72.
8) 岡村泰斗,岡田成弘,荒木恵理(2009):
Means-End Analysis を用いたキャンプ効果
の要因の検討.日本野外教育学会第 12 回大
会(釧路)
9) 岡田成弘,岡村泰斗(2009)組織キャンプ
が参加者の環境リテラシーに及ぼす効果と
要因の関連.日本野外教育学会第 12 回大会
(釧路)
.
10)Goldenberg, M. (2002) Understanding the
Outcome of Outdoor Adventure Experiences