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p53-TIGAR axis attenuates mitophagy to exacerbate cardiac damage after ischemia.

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Academic year: 2021

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論 文 内 容 の 要 旨

論文提出者氏名 星野 温 論 文 題 目

p53-TIGAR axis attenuates mitophagy to exacerbate cardiac damage after ischemia. 論文内容の要旨 がん抑制遺伝子であるp53 は DNA 障害に対し細胞周期やアポトーシスを制御するこ とが現在までに詳細に研究されているが、糖代謝の調節等により臓器ホメオスターシス 維持においても重要な役割を果たしていることが解明されつつある。循環器領域ではマ ウスの実験においてp53 欠損マウスや p53 阻害薬にて虚血による心筋障害が抑制される ことが報告されている。一方、ミトコンドリアはエネルギー産生器官であるがその副産 物として酸化ストレスの源でもあり、細胞死の制御においても重要な存在である。その ためミトコンドリアの品質維持が重要となるが、そのメカニズムとして不良ミトコンド リアをオートファジー機構にて処理する「ミトファジー」の存在が解明されている。本 論文では、p53 抑制による心筋保護効果がこのミトファジー亢進によるミトコンドリア 品質管理を介したものであることを示す。 まず我々のマウスの冠動脈前下行枝結紮による心筋梗塞モデルにおいても p53 欠損マ ウスでは虚血境界領域においてアポトーシスが減少し遠隔期のリモデリングが抑制され ることを確認した。またオートファジーのマーカーとなるGFP-LC3 トランスジェニック マウスを用いた検討でp53 欠損マウスでは虚血境界領域にてオートファジーが亢進して いることが見出された。電子顕微鏡による微細構造評価ではオートファゴソームの有意 な増加と共にミトファジーが起きていることを示唆するミトコンドリアがオートファゴ ソームに取り込まれている像も有意に増加していた。逆にクリステの破壊や膨張を来た した異常ミトコンドリアは有意な減少を認めた。 次にp53 欠損マウスでミトファジーが活性化するメカニズムを解明するため過去に報 告されているオートファジー誘導因子をRT-PCR 法を用いて検索した。その結果 p53 欠 損マウスの虚血境界領域ではオートファジー抑制にはたらく p53-inducible regulator of glycolysis and apoptosis (TIGAR)が有意に減少していることを認めた。実際に野生型 マウスの虚血境界領域では p53 の活性化に引き続き TIGAR の発現亢進を認め、それに 逆相関する形でオートファジーが抑制されていることが確認できた。TIGAR の関与を証 明するためTIGAR 欠損マウスを作製し検討したところ、p53 欠損マウスと同様に虚血境 界領域にてオートファジーが亢進し、またミトコンドリアタンパクである TOM20 が野 生型マウスと比較して減少しておりミトファジーが亢進していることが確認できた。そ れに加えミトファジーの誘導因子であるBnip3 の活性化が p53、TIGAR 欠損マウス共に 亢進していた。TIGAR は解糖系をペントースリン酸回路へシフトし NADPH を産生する はたらきがある。NADPH は還元に作用するため TIGAR は ROS シグナルを抑制するこ とでBnip3 の活性化を抑制しミトファジーが阻害されると仮説を立てた。マウスの新生 児初代培養心筋細胞を用いて虚血疑似モデルとして低酸素・グルコース除去刺激を行っ た。またsiRNA によるノックダウンを行い検討したところ p53 や TIGAR ノックダウン によりミトファジー亢進が確認されたがその効果はBnip3 ノックダウンや還元剤である N アセチルシステインの投与にて消失し、さらに p53 ノックダウンによるミトファジー 亢進効果はアデノウイルスを用いたTIGAR の強制発現にて消失した。このことより p53 欠損マウスのおけるミトファジー亢進はTIGAR の発現が抑制されることにより ROS シ グナルが維持されBnip3 を活性化することにより引き起こされることが見出された。 最後にミトファジーが実際に虚血による心筋障害の抑制にはたらいていることを証明 するため、クロロキン投与にてオートファジーを阻害する実験を行った。p53 欠損マウ ス、TIGAR 欠損マウスに心筋梗塞を作成した後にクロロキンを腹腔内投与行ったところ ミトファジーが抑制されミトコンドリアタンパクは野生型マウスと同様にまで増加を認 めた。またクロロキン投与にてシトクロームC の細胞質への漏出が増え、long fragment PCR の検討からはミトコンドリア DNA の障害が増加していることが示された。以上の 結果よりミトファジー抑制により不良ミトコンドリア蓄積をきたしていることが示唆さ れた。さらに虚血境界領域におけるアポトーシス、遠隔期のリモデリングが野生型マウ スと同等まで悪化することわかった。このことよりp53 欠損マウスの虚血に対する心筋 保護効果は TIGAR 発現抑制を介したミトファジー活性化によるものであることが証明 された。 心筋梗塞治療は血行再建療法や薬物治療の発展により急性期死亡率の減少は得られた が梗塞後左室リモデリングによる心不全の発症率は依然高く、また人口の高齢化や生活 習慣の欧米化により今後も虚血性心疾患の発生は増加すると予想される。本研究により、 p53-TIGAR-Bnip3 シグナルカスケードへの介入によるミトコンドリア品質管理の活性 化が新たな治療標的となりうることが示された。

参照

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