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初代培養肝細胞におけるブドウ糖利用におよぼすインスリンの早期および遅発作用

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Academic year: 2021

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初代培養肝細胞におけるブドウ糖利用におよぼすイ

ンスリンの早期および遅発作用

その他の言語のタイ

トル

ショダイ バイヨウ カンサイボウ ニ オケル ブド

ウトウ リヨウ ニ オヨボス インスリン ノ ソウキ

オヨビ チハツ サヨウ

著者

鈴木 正昭

発行年

1985-03-23

URL

http://hdl.handle.net/10422/664

(2)

氏名・(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与の要件

学位授与年月日

学位論文題目

すず き  まさ あき 鈴 木 正 昭 (東京都) 医学博士 医博第9号 学位規則第5条第1項該当 昭和60年3月23日 初代培養肝細胞におけるブドウ糖利用におよぽすインスリンの早期 および遅発作用 審 査 委 員  主査 教授  細 田 四 郎 副査 教授  繁 田 幸 男 副査 教授  野 崎 光 洋 論 文 内 容 の 要 旨 〔目 的〕 肝臓におけるブドウ糖利用がブドウ糖濃度あるいはホルモンによりどのように調節されている かは糖尿病病態生理解明上重要であるが末だ明らかでなく、異った意見が主張されている。この 点を明確にするためにはin vitrdでの実験系が必要であるが、本研究では初代培養肝細胞を用い インスリンの早期(2∼4時間)および遅発(24時間)効果についてブドウ糖の細胞内へのとり こみ、主要代謝産物であるグリコーゲン、乳酸、脂肪への転換について検討した。またブドウ糖 濃度の影響および上記代謝経路の律速酵素の活性、さらに蛋白合成阻害剤を用い検討を加えた。 〔方 法〕 体重250∼300gのSD系雄性ラットよりコラゲナーゼによる肝海流にて肝細胞を単離し、 CO2インキュベーターにて9%FCSを含むF−10培地にて培養し、18時間後に〔U−14C〕 glucoseあるいはインスリンを含む培地と交換した。その後2∼24時間後にプレートに着床した 肝細胞を洗浄後0.1%SDSによる可溶化分画を用いて14C放射能の細胞内とりこみ、グリコー ゲン、脂質、ヌクレオタイド分画へのとりこみを測定した。培地中乳酸への転換はレジンカラム 法により測定した。ブドウ糖利用律速酵素としてはglucokinase(以下GKと略す)、glucose,6− phosphatedehydrogenase(G6PDH)、glycogensynthase(GS)、pyruVatekinase(PK) の活性について、培養肝細胞をポリトロンにて破砕Ll×104RPM2分間遠心した上清を用い て測定した。 ー 29 −

(3)

〔結 果〕 1.〔U−Z4C〕glucoseから培養肝細胞へのとりこみ、グリコーゲンおよびヌクレオタイド分画 への転換は300、800mg/屯1のブドウ糖濃度においてそれぞれ経時的に増加し、しかも800mg/al においては前者より約3倍大であった。200ng/五1のインスリン存在下では各々さらに有意な増 加がみられた。このインスリン作用は2∼4時間の早期よりみられ、24時間で最も明確となった。 2.インスリンの早期(4時間)作用としては、300mg/璃1のブドウ糖濃度で〔U−14C〕glucose の細胞内とりこみは対照に対し200ng//hlのインスリン存在下で54%の増加がみられた。グリコ ーゲン、脂質、ヌクレオタイド分画、培地中乳酸への〔U−14C〕glucoseの転換はそれぞれ細 胞内とりこみの8、9、29、350%に相当したが、インスリンにより30∼50%の増加がみられた。 3.インスリンの遅発作用(24時間)としては、〔U−14C〕glucoseの肝細胞内へのとりこみはブ ドウ糖濃変100∼800mg/41でブドウ糖濃度依存性に増加し、200ng/′hlのインスリン存在下 に各ブドウ糖濃度で82∼112%増加した。300mg/璃1のブドウ糖濃度で〔U,14C〕glucoseの グリコーゲン、脂質、ヌクレオタイド分画、培地中乳酸へのとりこみは細胞内とりこみの15、11、 39、533%であり、・インスリン(200ng/hl)存在下に20∼90%増加がみられた。またインスリ ンの作用はインスリン濃度依存性に促進され、50%最大効果は10∼20ng//hlでみられた。インス リン添加4時間の早期では、GSの全活性は有意差がみられなかったが活性型は有意に増加した。 PKも低濃度基質(0.2mMphosphoenolpyruvate)存在下に活性化が示された。GK、G6PD Hにおいても有意な活性増加(Vmax)がみられた。24時間においてはGSはインスリンにより 全活性、活性型ともに43、74%の増加がみられた。PKはVmaxが有意に増加し(1.6倍)、GK、 G6PDH活性もそれぞれ93、65%の増加がみられた。 4.cycloheximidel/噌/血1存在下では〔U−14C〕glucoseの細胞内とりこみのインスリン (200ng/壷11)による促進効果は4時間においてはなお存在したが、24時間ではインスリン効果 は消失した。 〔考 察〕 肝細胞ブドウ糖利用は、ブドウ糖濃度依存性に100より800mg/璃1まで増加を示し、生体にお ける血糖値に比例して増加することが示唆された。インスリンは各ブドウ糖濃度についてさらに この利用を促進させた。このインスリンの効果は2∼4時間の早期よりみられ24時間でははぼ頂 値に達した。ブドウ糖代謝経路としては乳酸産生が最も多く、ついでヌクレオタイド分画、グリ コーゲン、脂質分画であった。脂質分画のうちグリセロール分画が大部分であった。インスリン はブドウ糖利用の上記経路をいずれも促進し、律速酵素であるGK、GS、G6PDH、PKの 活性増加がみられたことよりこれら酵素の活性化(インスリンの早期作用)および誘導(遅発作 用)を介すると想定される。CyCloheximideによりインスリンの早期作用は抑制されず遅発効果 が抑制されたことはこれを支持するものである。しかしG6PDH、GKはCycloheximideによ り早期においても活性増加が消失したことはこの両酵素は早期よりインスリンにより誘導されブ ドウ糖利用に関与していると考えられるが、今回の成績ではそれ以降の律速酵素による利用促進 が観察されたと考えられる。 〔結 論〕 1)肝細胞におけるブドウ糖利用は100∼800mgノ41のブドウ糖濃度依存性に増加した。 ー 30 −

(4)

2)インスリンは上記濃度いずれにおいてもさらにブドウ糖利用を促進した。 3)ブドウ糖利用経路としては乳酸が最も大で、ついでヌクレオタイド、グリコーゲン、脂肪分 画であり、これらいずれの分画へもインスリンで有意に促進された。 4)インスリンはGK、GS、G6PDH、PKの活性を促進し、とくに早期には活性化を、24 時間では酵素誘導を介して作用発現していることを明らかにした。 5)蛋白合成阻剤存在下でもインスリンの早期作用は存在したが遅発作用はみられなかった。肝 臓はブドウ糖濃度依存性にその利用を促進するがインスリンはいずれのブドウ糖濃度においても さらにブドウ糖利用を増強し、早期作用は主として律速酵素の活性化を、遅発効果としては酵素 誘導を介してブドウ糖利用を促進することを明らかにした。 論文審 査 の 結 果 の 要 旨 肝におけるブドウ糖(以下糖と略す)処理(または糖利用)の代謝系に関与する諸酵素、すな わちglucokinase(GK)、glucose−6−phosphate dehydrogenase(G6PDH)、glycogen− Synthase(GS)及びpyruVate kinase(PK)の働らきに対しinsulinが促進効果をもつことは 広く知られているが、しかしこれらの代謝系あるいは酵素に対するinsulinの作用機構の詳細に 関してはほとんど判っていないのが現状である。 本論文は、この点を明らかにするために初代培養単離肝細胞を用いて糖利用におけるinsulin の作用を糖濃度との関連において、また2∼4時間の早期効果および24時間の遅発効果に分けて 検討した。この際グリコーゲン合成、五炭糖リン酸回路、解糖経路、脂質合成経路に対するin− sulinの作用を検討し、さらに糖代謝経路における律速酵素である上記4酵素の活性を測定し、 insulin の作用部位と作用機構を検討した。 ラット初代培養単離肝細胞における糖利用は糖濃度依存性に100∼800mg/alの範囲で増加 し、24時間のlnSulin存在下では300mg/亀1、800mg′41いずれの糖濃度でも約2倍の増加がみ られた。2∼6時間では300mg/蒐1の糖濃度の方が800mg/alの糖濃度におけるよりもinsulin 効果が大であった。 insulinの肝の糖利用に対する作用は、グリコーゲン合成、五炭糖リン酸回路、解糖経路、脂 質合成(主としてダリセロール分画への促進であり、早期(4時間)および遅発(24時間)効果 からなり、前者はタンパク合成阻害剤cycloheximide共存により消失しないが、後者は消失する ことから、insulin の早期効果は糖代謝律速酵素の活性化によるものであり、遅発効果は律速酵 素の誘導の機構を介するものであることが示唆された。 本研究は、肝細胞におけるブドウ糖利用に及ぼすinsulin の効果に関して、これまで不明であ った諸点を詳細に明白にしたものであり、すぐれたものであるということができる。以上より、 本論文は学位授与に十分価するものと認める。 − 31−

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