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プラズマ応用による内燃機関の革新的効率化のためのDLC薄膜の評価 ○芦澤好人(日大理工・教員・電子)

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Academic year: 2021

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プラズマ応用による内燃機関の革新的効率化のための DLC 薄膜の評価

Evaluation of diamond like carbon films for drastically improved efficiency of internal combustion engine using plasma technologies

○芦澤好人1

*Yoshito Ashizawa1

Abstract: Homogeneous charge compression ignition (HCCI) system is a strong candidate for future automobile engine technique with ultra-high efficiency. Ultra-low frictional surface or interface is required to realize a low-loss HCCI engine. Therefore, we investigate diamond-like carbon (DLC) films for coating material of inside surface of the engine. Physical, chemical and mechanical properties of the DLC films fabricated by electromagnetic ion acceleration method are studied.

1. はじめに

自動車用内燃機関の高効率化において、燃焼による高いエネルギー変換効率と地球温暖化係数の高い温室ガスである

窒素酸化物(NOx)等を排出しないクリーンな燃焼を同時に実現可能な方式として、予混合圧縮着火(HCCI:

Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼が注目されている。この HCCI 方式においては、通常のガソリンエン

ジンに比べ摺動部の摩擦損失の割合が増加するため、高効率化に向けて摩擦の低減が極めて重要となる[1]。エンジン 摺動部の低摩擦化用表面材料の一つに、耐摩耗性と低摩擦特性を有するダイヤモンドライクカーボン(DLC: Diamond-Like Carbon)薄膜があげられる。DLC 薄膜は、グラファイトと同様の sp2結合とダイヤモンドと同様の sp3 合の結合種比や水素含有量などに依存して多様な特性を示す。生成される DLC 薄膜の特性は、作製手法及び条件に強 く依存するため、本学所有のプラズマ発生装置により堆積した DLC 薄膜[2]における物性解析、トライボロジー特性評 価から低摩擦 DLC 薄膜の実現を目指し、低摩擦損失実現手法を提案する。 2. DLC 薄膜の評価 2-1 DLC 薄膜の諸物性 薄膜の物性の評価及び機械的特性の評価を行う。内燃機関の摺動部が高温になることを想定し、作製後試料の室 温計測に加え、高真空下での熱処理実施後における耐熱性の評価、さらに、300℃程度の高温状態における評価を 実施する。 作製された薄膜の膜厚の評価、及び、膜密度の評価を X 線反射率(XRR:X-ray reflectivity)法を用いて行う。XRR 法は、低角入射の X 線が、基板と薄膜の界面や薄膜表 面において反射することにより生じた干渉の強度を計 測するもので、その振動周期や減衰率、全反射臨界角 から、試料の膜厚、界面ラフネス、密度を算出できる 非破壊分析法である。結晶質、非晶質を問わず計測可 能であり、ナノメートルから数百ナノメートルの膜厚 を評価可能である。 図 1 に示すように、炭素原子間の化学結合種(sp2 合及び sp3結合)により、DLC 薄膜の状態は大きく異 なる。化学結合種解析を X 線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)法を用いて行う。XPS は、 別名 ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis) とも呼ばれている。XPS では、超高真空下において試 料に X 線を照射して試料内部から発生する光電子を観 測する。光電子のエネルギーが元素固有の値を示すこ

1:日大理工・電子・教員

Figure 1. Chemical bonding sp3/sp2 ratio of various DLC

films as a function of hydrogen contents [3].

平成 27 年度 日本大学理工学部 学術講演会予稿集

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S1-5

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とから、エネルギー値と量を評価することで、試料中に含まれる元素と組成比を同定することが可能である。分析可能 な深さは、光電子の脱出深さによって決まり表面から数 nm 程度である。さらに、エネルギーシフト量から化学結合状 態を評価可能である。また、分光エリプソメトリ法及びラマン分光法を用いた状態分析も検討する。

水素含有量の分析には、弾性反跳散乱分析(ERDA:Elastic Recoil Detection Analysis)法を用いる。DLC 薄膜は水素

含有量が少ないほど高硬度化するため、水素含有量評価が重要である。試料に数 MeV のエネルギーをもった He+イオ

ンを照射することにより前方散乱した薄膜中の水素量を測定する ERDA 法は、水素含有量の定量化が可能である特徴 を有する。

DLC 薄膜の観察には、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)を用い、原子レベルでの非晶質構造 の観察には、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)を用いる。硬度や水素含有量と格子像殿関係 を評価する。 2-2 DLC 薄膜の表面構造 薄膜表面エネルギー、濡れ性の解析には、接触角計を用いる。接触角は、潤滑剤を介した界面の摩擦において影響を 及ぼす濡れ性を定量化するときに用いられる。薄膜表面に滴下した静止液体の自由表面が、薄膜表面に接する位置にお いて液面と固体面とのなす角であり、薄膜表面形状及び材料の化学的状態に依存する。室温及び 300℃高温時における 摩擦を低減するための表面状態の評価を行う。 表面性状としてナノメートルスケールでの表面粗さと摩擦力の評価に、走査型プローブ顕微鏡の一つである摩擦力顕 微鏡(FFM:Friction Force Microscopy)を用いる。巨視的構造における摩耗摩擦特性との関係を評価することで、低摩 擦表面の実現を目指す。 2-3 DLC 薄膜の機械的特性 摩擦摩耗試験は、ボールオンディスク法を用いて室温及び300℃において、さらに湿度制御状況において計測を行う。 ボールオンディスク法は、回転する試料にボールホルダで垂直荷重を印加することで試料とボール間に発生する摩擦力 を、たわみ量として変位センサで計測するものであり、DLC 薄膜の摩擦摩耗試験について国際標準化機構(ISO)の規 格として提案されている手法である。本学の装置で作製した DLC 薄膜の摩擦特性と上述した薄膜の結合種や水素含有 量といった物性値との相関を明確化する。機械的特性として薄膜硬度をナノインデンター法により計測する。薄膜試料 表面に三角錐型の圧子を押し込み、圧子にかかる荷重、変位、圧痕の形状から薄膜試料の硬度やヤング率を求めること が可能である。 3.DLC 薄膜を用いた低摩擦表面の実現 上記検討から、作製した薄膜の物性・機械特性とそれらの熱耐性評価により低摩擦表面形成条件を検討する一方で、 高硬度で形成された DLC 薄膜の表面形状の改善や設計の手法を検討する。熱処理、プラズマ照射等よる平坦性の改善 プロセスを行う。一方、生体模倣構造は蓮の葉を模倣した超撥水性材料や、鮫肌を模倣した水着における水中での摩擦 低減効果、蛾の眼を模倣した無反射光フィルム等、様々な用途へ応用されており、低摩擦化についても研究が活発化し ている。積極的に生体模倣構造を採用してリソグラフィの技術を駆使した人工表面構造の形成を検討することによる低 摩擦化に挑戦する。 4.参考文献 [1] 南部俊和, 「自動車における低摩擦表面技術動向」, 潤滑経済, pp. 28-33 No.19, (2015). [2] 加藤達也, 石川有宰, 浅井朋彦, 平塚傑工, 高津幹夫, 「イオンの電磁加速を用いた DLC 薄膜の生成」, 平成 27 年電 気学会基礎・材料・共通部門大会,17-P-12, (2015). [3] こべるにくす, Vol. 10, pp. 3-5, (2001). [4] 下村政嗣, 「生物の多様性に学ぶ新世代バイオミメティック材料技術の新潮流」, 科学技術動向, pp. 9-28, (2010). 平成 27 年度 日本大学理工学部 学術講演会予稿集

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Figure  1.  Chemical  bonding  sp 3 /sp 2   ratio  of  various  DLC  films as a function of hydrogen contents [3]

参照

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