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二 見 興 玉 (ふたみおきたま) 神 社 を 参 拝 します ここは 夫 婦 岩 があることでも 知 られます この 神 社 ではカエルが 神 の 使 いとされており この 神 社 の 周 りにはカエルの 置 物 がたくさあります そして 無 事 に 帰 る おカネが 帰 る ということで カエル

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1 平成24 年度 第 3 回環境問題学習会 (平成25 年 2 月 26 日(火)、上尾市プラザ 22 会議室)

見て、聴いて、触れて、身近なカエルを知ろう!

講師:岩井 大輔

さん 財団法人埼玉県生態系保護協会 主任研究員/技術士(環境部門) 皆さん、こんばんは。ご紹介にあずかりました、岩井と申します。本日は、このような 機会を与えていただきまして、ありがとうございます。 今日、お話するカエルですが、私は、県内の幼稚園や保育所に行ってお話をすること が あ る の で す が 、 カ エ ル が 好 き な 子 ど も は 多 い で す 。 け れ ど も 、 最 近 、 カ エ ル や オタマジャクシに触れたことがない、という子どもが増えてきています。幼児が歩いて 行ける範囲にカエルがくらしているところが少なくなってきているという現状があります。 今日は、カエルのくらしや埼玉県のカエルの現状についてお話ししていきたいと思って います。 本日の話は、大きく3 つ。 ・カエルという生きもの ・私たちの暮らしとカエル ・カエルの調べ方、守り方 について、お話をしたいと思います。 まず、カエルという生きものはどんなものなのか、ということをお話しします。 カエルという生きもの カエルは、日本人にとても親しまれてきた動物です。 和歌や俳句に詠まれています。万葉集にも、カエルを詠み込んだ和歌があります。 松尾芭蕉(1644-1694)に、有名な句があります。 古池や蛙(かはづ)飛び込む水の音 それまでの俳句では、カエルの鳴き声を詠み込んでいましたが、カエルの動く情景を 詠んだものはこの芭蕉の句が初めてということで、評価されているそうです。 それから、「鳥獣人物戯画」。平安時代末期に描かれたもので、カエルが古くから日本人 にとって身近な生き物であったということがわかります。 また、テレビアニメのキャラクターや、製薬会社のマスコットなど、カエルがいろいろ なキャラクターになっているのをご存じかと思います。 私は大阪の出身なのですが、大阪の小学生は、修学旅行で伊勢に行くことが多く、

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2 二 見 興 玉 ( ふ た み お き た ま ) 神 社 を 参 拝 し ま す 。 こ こ は 、 夫 婦 岩 が あ る こ と で も 知られます。この神社ではカエルが神の使いとされており、この神社の周りにはカエルの 置物がたくさあります。そして、「無事に帰る」「おカネが帰る」ということで、カエルの お守りをおみやげに買って帰ります。 このように、カエルは、私たち日本人に親しまれてきました。 では、生きものとしてのカエルの特徴とは、なんでしょうか。 カエルは、両生類です。サンショウウオやイモリも、同じ両生類の仲間です。 カエルの多くの種類が、一生の間に、水中生活と陸上生活を行います。カエルは、 水中と陸上と、両方の環境を必要としている生きものだということです。 カエルの特徴としては、まず、尻尾が無く、後ろ足が発達しています。 皮膚呼吸と肺呼吸の両方を行っています。 オタマジャクシは、脚が無くて、ひれの付いた尾を持っています。水の中に暮らしてい るので、この時期はえら呼吸をしています。水の中から陸上に揚がると、呼吸のしかたを 変えてしまいます。 オスのカエルは、繁殖期に鳴きます。鳴きかたは、私たちの声の出し方とは違っていて、 「鳴のう」といいますが、アマガエルだと「口の下側」、トノサマガエルだと「ほほ」の 部分をふくらませて鳴き声を出します。 カエルは、音をコミュニケーションに使いますので鼓膜がすごく大きく発達しています。 カエルは、鳴くのはオスだけです。オスは、メスにアピールするために鳴きます。 カエルは動く生きものを捕まえて食べます。捕まえるときに舌を使いますので、舌が とても発達しています。私たちは、舌が口の中の奥のほうに付いていますけれども、 カエルは下あごの前に付いています。それを伸ばして、動いているものを捕まえます。 カエルは肉食性で、陸上で昆虫などを食べます。オタマジャクシは、水の中で藻類や 動物の死骸などを食べます。成長とともにくらす環境が水辺から陸上へと変わると、 食べる物も変えてしまいます。 また、カエル、オタマジャクシ、ともに、いろいろな動物に食べられます。 自然には 5 つの要素があります。太陽光・大気・水・土があり、多くの野生の生きもの がくらしています。それぞれが関わりあって生きています。植物があって、植物を食べる 動物がいて、さらにその動物を食べる動物がいます。カエルはいろいろな生きものを食べ、 ほかの生きものに食べられます。自然生態系の「食う-食われる」の関係のなかで、 カエルは重要な位置にあります。 では、世界には何種類のカエルがいるでしょう? 世界では約 5000 種類。実際には、もっと多いと言われています。熱帯雨林には、 まだまだ新種がいるだろうと言われています。

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3 日本では、41 種。うち、もともと日本にいたものは 38 種。 昨年(2012 年)、佐渡島で新種のカエルが見つかり、サドガエルという名前がつきました。 日本でも、まだ新種が見つかる可能性があります。 日本在来のカエル 38 種のうち、およそ半数は、南西諸島や対馬、隠岐などの島々に 住んでいます。そして、日本のカエルの半分以上の種は、日本国内でしか見つかって いない固有種です。 では、埼玉県には何種類のカエルがいるでしょう? 埼玉県には、13 種類のカエルがいます。もともと県内にいたものは 11 種。埼玉県には いなかったのですが、西日本から来てしまったカエルが1 種類、外来種が 1 種類います。 山にしかいない種類や、渓流にしかいない種類があり、上尾市には 8 種類のカエルが います。お手元の資料に「上尾市のカエル」として掲載しましたので、ご覧いただければ と思います。 では、それぞれの種類を見ていきましょう。 ①アズマヒキガエル。ヒキガエルの仲間で、ガマガエルともいわれます。 ②ニホンアマガエル。このカエルは、アマガエルの仲間で、色を変えることができます。 自分が止まっている場所で、皮膚の色を変える。白くなったり、茶色になったりします。 アマガエルは、飼育している容器に黒い紙を貼っておくと、体が黒っぽくなります。白い 紙を貼ると、白っぽくなります。止まっている場所の色に似せて自分の身を隠します。 ③ニホンアカガエル(埼玉県レッドデータブック・地帯別危惧)。アカガエルの仲間です。 小林一茶(1763-1827)の句に「やせ蛙(がへる)まけるな一茶これにあり」があります が、その題材はアカガエルであるといわれています。 ④トウキョウダルマガエル(埼玉県レッドデータブック・準絶滅危惧、全国レッドデー タブック・準絶滅危惧)。「トノサマガエル」によく似ているカエルです。 ⑤ツチガエル(埼玉県レッドデータブック・絶滅危惧Ⅱ類)。皮膚がデコボコしていて、 イボガエルとも呼ばれます。 それから、⑥シュレーゲルアオガエル(埼玉県レッドデータブック・地帯別危惧)。 アオガエルの仲間。モリアオガエルも、上尾市にはいませんが、アオガエルの仲間です。 モリアオガエルは、樹の上で泡の塊をつくって卵を産むことで知られます。 多くのカエルは田んぼ・池・沼などの止水域にくらしていますが、カジカガエルは渓流 にくらすカエルです。 それから、もともと埼玉県にはいなかったのですが、西日本から持ち込まれた種類で、 ⑦ヌマガエル。ヌマガエルは農業資材にまぎれて持ち込まれたと言われています。10 年前 くらいから関東地方でも見つかっていて、埼玉県で増えてきています。 そして、⑧ウシガエル。北アメリカから持ち込まれた外来生物です。これについては、 のちほど詳しく話します。

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4 ところで、カエルの鳴き声といえば、どんな声を思い浮かべますか? 「カエルの合唱」という歌がありますね。「カエルのうたが きこえてくるよ クワッ クワックワックワッ ゲゲゲゲ ゲゲゲゲ クワックワックワッ」。 この歌、メロディーはどこでも同じですが、地域によって歌詞が変わるそうです。 「ゲゲゲゲ ゲゲゲゲ」の部分が「ゲロゲロゲロゲロ」になったりします。 さて、カエルの声の CD を用意しました。代表的な種類の声を、皆さんに聴いて いただこうと思います。 まず、ニホンアマガエル。(ゲッゲッゲッゲッ……) シュレーゲルアオガエル。(コロロ・コロロ……) こうして聴いてみると、ぜんぜん違いますね。 次、渓流に暮らしているカジカガエル(フィフィフィフィーフィー) トウキョウダルマガエル。(グゲゲゲゲッグゲゲゲ) 最近、増えているヌマガエル。(キャウ・キャウ) 夜、荒川沿いを歩くと、ヌマガエルがものすごくたくさんいるのがわかります。 最後、ウシガエル。(ヴォォォォーヴォォー) ウシの鳴く声に似ているからウシガエルです。ウシガエルは、体が大きく、声も大きい です。 このように、カエルは、種類によって鳴き声が違います。カエルは、鳴き声を使って 「ここにいるよ」とメスにアピールします。 では、カエルはどのような生活をしているのでしょう? カエルの 1 年を見てみましょう。 ニホンアマガエルは、4 月から 7 月くらいに卵を産み、オタマジャクシになって、 子ガエルになります。親のカエルは4 月から 11 月くらいまで活動し、その後は冬眠して、 春を待ちます。 ニホンアカガエルは、今の時期、2 月から 3 月頃に産卵します。オタマジャクシになり、 5 月頃には子ガエルになって上陸します。 カエルの種類によって、繁殖の時期、産卵の時期が違うということがわかります。 ニホンアカガエルは、なぜ2 月に産卵するのでしょう? オタマジャクシにはたくさんの天敵がいます。その天敵から逃れるために、寒い時期に 卵を産むように進化してきたのだろうと言われています。 では、ニホンアカガエルのくらしを見てみましょう。 雨が降った後の少し暖かい2 月の夜、画面、このようにカエルが出てきて卵を産みます。 カエルの卵は、周りをゼリー状のもので覆われています。鳥の卵のような殻がありませ ん。水を吸ってふくらみます。 1 匹のメスが産み付けた卵の塊を「卵塊」といい、だいたい 1000 個くらいの卵が入って います。1000 粒もの卵が入っていても、親にまでなれるものはわずかです。

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5 10 日ほどでオタマジャクシになります。オタマジャクシは、落ち葉や藻などを食べて 大きくなっていきます。 3 か月くらいして、脚が生えて、手が生えて、子ガエルになり、陸上に上がります。 上陸してからは、林や草はらで過ごします。主に昆虫などを食べます。 林や草はらから出てきて、水辺で卵を産んで、成長して、また林や草はらへ戻ります。 林や草はらと水辺とのつながりが、とても大事なわけです。この間の移動ができなく なってしまうと、ニホンアカガエルはくらしていくことができなくなってしまいます。 さて、カエルを食べる生きものには、どんなものがいるでしょうか? 昆虫のタガメ。 爬虫類のヘビ。ヘビのなかでもヤマカガシはカエルを特に好んで食べます。 鳥類のサシバ。サシバはヘビも食べますが、カエルもよく食べます。 鳥類では、サギの仲間や、コウノトリもカエルを食べます。 今の時期、「モズのはやにえ」が見つかりますが、モズもカエルを食べます。 哺乳類では、水辺によく現れるイタチやタヌキ。 これらの生きものは、カエルがいなくなってしまうと、とても困ってしまいます。 次に、私たちの暮らしとカエルについて見ていきます。 私たちの暮らしとカエル 私たちは、自然に支えられて暮らしています。自然から得ている恵みのことを、「生態系 サービス」といいます。 自然には、先ほど述べたように、太陽光・大気・水・土・野生の生きものという、5 つの 要素があります。私たちの経済や社会はその上に成り立っています。太陽光・大気・水・ 土を汚したり、野生の生きものを絶滅させたりしてしまうと、私たちの生活の土台が揺る ぎます。 では、私たちは、カエルからどのような恩恵を得ているのでしょうか? カエルから 得ている恵みを挙げてみます。 まず、食品として恩恵を受けています。日本ではカエルはあまり食べませんけれども、 フランス料理ではカエルは高級食材になっています。 バイオミミクリー(生物模倣)。画面、この写真は、アマガエルの足です。吸盤を持って いて、ガラス面にひっついています。その構造を真似して、さまざまな道具に応用されて います。 それから、医薬品。ヒキガエルの分泌物を固めたものは「せんそ」と呼ばれていますが、 これを使った薬があります それから、病害虫の制御。カエルは昆虫を食べると言いましたが、ウンカやヨコバイ、 ガなど、私たちにとって害虫とされる虫もよく食べています。ニホンアマガエルは 1 日に 約30 頭のヨコバイを食べるそうです。

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6 また、カエルは、和歌や俳句、絵画などの題材になり、鳴き声を聴いて、季節感を 感じることができます。子どもたちがカエルを捕まえて遊ぶことで、教育でも役立って いる場面があります。 このように、私たちはカエルからさまざまな恵みを得ているのですが、世界と日本の カエルの多くが危機的な状態にあります。世界のカエルの 3 分の 1 の種類が、絶滅の 危機に瀕しています。また、日本のカエル43 種のうち、20 種が国のレッドリストに載って います。 埼玉県に生息するカエル 11 種では、9 種類が埼玉県のレッドリストに載っており、 上尾市内に生息する 6 種のうち、4 種類は埼玉県のレッドリストに載っています。載って いないのはヒキガエルとアマガエルだけで、ほかの種類は載っています。とくに、 ツチガエルが減ってしまっています。 では、カエルが減少している要因は、なんでしょうか? い ろ い ろ な 要 因 が あ り ま す が 、 ひ と つ は 、 生 息 地 が 破 壊 さ れ て し ま っ た こ と 。 もうひとつは、人の働きかけが縮小したこと。それから、外来生物の影響があります。 ほかに、有害化学物質の影響、オゾン層の破壊による紫外線の増加、地球温暖化の影響も 要因に挙げられます。カエルは皮膚呼吸をしており、皮膚があまり強くないので、 有害化学物質や紫外線の影響を受けやすいのです。 これらの要因は、基本的に、すべてが人によるものです。 生息地の破壊としては、開発によって湿地の面積も林の面積も減っています。 圃場整備が行われると、田んぼでの労力を少なくできるという利点があるのですが、 カエルにとっては困ってしまうことがあります。パイプライン化によって田んぼに 水が無い状態になったり、冬に田んぼを乾かしてしまったりすると、カエルは暮らせなく なってしまいます。 水路のコンクリート化も、維持管理はすごく楽になりますが、カエルには影響が あります。アマガエルのように足に吸盤を持っている種類のカエルは、コンクリートの壁 でも上がれるのですが、ヒキガエルやアカガエルの仲間の足には吸盤がありませんので、 壁を上がることができません。 それから、湿地と林の間をカエルが行き来していた場所に道路ができてしまうと、 ロードキルといって、クルマに轢かれてしまうことも起きます。 外来生物の影響もあります。例えば、ウシガエルは、日本在来のカエルを食べることが あります。 ウシガエルは、もともとは食用として日本に持ち込まれました。北アメリカ原産で、 大正 7 年(1918 年)から、その後、何度か持ち込まれています。養殖場で飼育し、 アメリカへ輸出され、戦前までは外貨獲得に役立っていました。けれども、戦争中は輸出

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7 できず、その間に養殖場から逃げ出しました。野生化してしまったウシガエルを捕まえて アメリカに輸出するということが、戦後から 1989 年まで続いていました。逃げ出したり、 放逐されたりした個体が全国各地に定着してしまって、もともと日本にいた生きものを 食べてしまうということで、大きな問題となっています。 ウシガエルの餌にするために持ち込まれたのが、アメリカザリガニです。画面、この 写真は、ニホンアカガエルが卵を産みに来たところへ、アメリカザリガニが出てきて 食べてしまっているところです。アメリカザリガニは、カエルだけでなく、トンボのヤゴ にも大きな影響を与えているといわれています。 それ から、ア ライグマ。 ア ライグマ はペットとし て日本に 持ち込まれま したが 、 放逐された個体が繁殖して増えてしまっています。アライグマは、水辺で手探りで食べ物 を探し、カエルやカエルの卵を食べます。カエルだけではなく、埼玉県にはトウキョウ サンショウウオというサンショウウオがいますが、アライグマはサンショウウオにも影響 を与えていると報告されています。 では、カエルが絶滅している問題に対して、私たちには何ができるでしょうか? 自然の恵みを受け続けられる地域づくりに向けて、地域で暮らす人々が、ともに学び、 考え、行動していくことが重要です。私たちとカエルが共存することは、つまり、カエル から私たちが受けている恵みや自然の恵みを受け続けられる地域づくりだということです。 埼玉県の平野部、上尾市では、在来のカエル 6 種類(アズマヒキガエル、ニホン アマガエル、ニホンアカガエル、トウキョウダルマガエル、ツチガエル、シュレーゲル アオガエル)が安定して生息していけることが、豊かな地域の指標になると思います。 カエルと共存するための活動としては、大きく 3 つあります。「調べる活動、守る活動、 伝える活動」です。 「調べる活動」は、まちの中のカエルがどういう状態なのだろうということを、皆さん が目を向けて調べることです。 「守る活動」は、まちのなかの湿地や林を保全し、再生していくことです。それから、 外来生物への対応です。そして、地産地消や旬産旬消を推進することです。 「伝える活動」は、環境教育・体験学習イベントを実施し、子どもたちがカエルと ふれあえる機会や場をつくっていくことです。 カエルの調べ方、守り方 カエルの調べ方は、大きく4 つあります。 ① 卵・卵塊を探す。 ② 鳴き声を聴く。 ③ カエルを探す。 ④ オタマジャクシを探す。

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8 調べ方は、カエルの種類によって、それぞれ適切な方法があります。 アズマヒキガエルやニホンアカガエルは、卵・卵塊を探すことが適しています。 それに対して、それ以外の種類は、卵を探すことはなかなか難しいので、鳴き声を聴く 方法が適しています。 あとは、歩きながらカエルの姿を探したり、オタマジャクシを探したりします。 ニホンアカガエルは 2 月から 3 月、アズマヒキガエルは 3 月に産卵しますので、その 時期に水辺を見回って、卵塊を探します。 卵を産む環境は、種類によって少しずつ違っています。アズマヒキガエルは、ひも状の 卵塊を産みますが、だいたい水深30 センチメートル以内に産み付けられます。ニホンアカ ガエルは水深20 センチメートル以内に産み付けることが多いです。 埼玉県の公園で、北本自然観察公園(北本市荒井5-200)があります。そこには埼玉県自 然学習センターがあり、ニホンアカガエルの調査を行なっています。 この公園の面積は、全体で33 ヘクタール。小学校 1 校がだいたい 1 ヘクタールですから、 33 校分の広さを持った公園です。 公園の園路を歩きながら、水のたまっているところを見て、卵塊を数えていきます。 年によって変動はありますが、去年(2012 年)は 1984 個の卵塊が見つかっています。 ニホンアカガエルは、メス1 個体がそのシーズンに 1 個の卵塊を産みます。1984 個なので、 だいたい 1984 匹のメスがいると推測できます。これをおよそ 2000 匹と考えて、 オスとメスの比が1 対 1 とすると、4000 匹くらいのニホンアカガエルが 33 ヘクタールの 中にいるのではないか、ということがわかります。 鳴き声を聴く方法は、水辺で鳴き声を聴いたり、または、録音したりして調べます。 カエルがよく鳴くのは、雨の日の夜ですが、曇っている日にも鳴きますので、昼間でも 調査することができます。 カエルの種類によって、繁殖期、鳴く時期が限られるので、季節ごとに調べることが 必要です。4 月から 8 月くらいの間に調べると、その地域にいる種類がわかると思います。 なお、「両生類保全研究資料室」という Web サイトでは、カエルの鳴き声を聞くことが できます。 カエルを調べるときに参考となる本を紹介します。 ひとつは、「山渓ハンディ図鑑 9 日本のカエル+サンショウウオ」(山と渓谷社)。 日本のカエルの生態が詳しく載っています。 「カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシ ハンドブック」(文一総合出版) は、オタマジャクシの見分け方が載っています。 では、次に、カエルの守り方についてお話しします。

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9 ひとつは、まちに残されている湿地や林を保全、再生していくことです。計画的に自然 を残してつないでいくエコロジカルネットワークを計画的に進めます。 上尾市でも、「緑の基本計画」の中の「将来像図」に自然の拠点があげられていて、 それをつないでいく、という計画が立てられています。 まずは、今、カエルがくらしている田んぼや湿地と林を守っていくことが重要です。 カエルが移動できるように、水辺と陸上のつながりを保つことが大事です。 私たちの会ではトラスト活動によって、見沼田んぼの一画で水辺の維持管理をしていま す。ここには、アズマヒキガエルが卵を産みに来ています。 幼稚園や保育所の園庭に水辺をつくることで、周りの田んぼからアマガエルがやって きて、くらしている事例もあります。もともと湿地だった場所に水辺を再生して、カエル を守っている取り組みです。 先ほど、コンクリート化してしまった水路をカエルが上がれないという話をしました けれども、そのあと、カエル用のスロープを付けた事例もあります。道路にカエルが下を 通れるボックスカルバートを設置する取り組みも行われています。 次に、外来生物への対応です。 外来生物法(※)が、2004 年(平成 16 年)にできました。ウシガエルとアライグマに 関しては、特定外来生物に指定されて、飼育・放逐が禁止されています。すでに定着して 影響を及ぼしている外来生物を除去することが行われていますが、簡単ではありません。 ※ 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律 もうひとつ大事なことは、食生活の見直しです。 昨年(2012 年)、日本では、米の消費を小麦の消費が上回ってしまいました。米の消費を 増やすこととカエルを守ることはつながっていると思います。消費者の行動は重要です。 また 、地域ご とに 違う味で あるとか 、料理法、食 材を大切 にして 、子ど もたち に 伝承していくことも大切なことだと思っています。 地産地消とは、地域で生産されたものをその地域で消費することです。旬産旬消とは、 旬のものを旬の時期に食べることです。 皆さん、「緑ちょうちん」をご存知でしょうか? 飲食店の軒先に、緑色のちょうちんが 下がっていることがあります。「地域産の農産物を使い、地産地消を応援していますよ」と いうお店です。 生きものを育む方法で作られた作物を積極的に購入することも、生きものの保護に つながります。冬場も水を張る「冬期湛水」、「冬水田んぼ」というものがあります。 冬場に水を貯めるわけですから、カエルの産卵場所にもなります。 「生きものマーク」を見て購入することもできます。 例えば、兵庫県豊岡市では、コウノトリの野生復帰の取り組みを行っていますが、

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10 減農薬などの農産物などを「コウノトリの舞」というブランドとして売り出しています。 阿蘇では、阿蘇の草原再生ということで、草刈りしたもので堆肥を作って、その堆肥を 使って作物を作り、マークを付けて売っています。 普段、生活していると、私たちは自然から得ている恵みを忘れがちですが、それを もう一度、皆さんにも意識していただいて、できることから取り組んでいただければと 思います。ぜひ、私たちとカエルが共存できる地域づくりに向けて、皆さんもともに 取り組みを進めていきたいと思っています。 ご清聴ありがとうございました。 (終 了) 文責:上尾市環境政策課

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