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第 2 章 アジア 内需 とともに成長する我が国 持続的成長実現に向けたアジア 太平洋の枠組み ASEAN 第 図

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(1)

2章

(1)中間層の拡大

アジアには、人口13億人の中国、12億人のインド

といった人口大国が存在し、アジア全体で世界人口の

約 5 割を占めている(第 2-3-1-1 図)。こうした巨大な

人口を抱えるアジアが経済成長し、人々の購買力が向

上する影響は大きい。

中国、インド、ASEANの一人当たり消費額(2008

年 ) は、 中 国 で 1,215 ド ル、 イ ン ド で 576 ド ル、

ASEAN

で1,478ドルであり、米国の32,883ドルや我が

国の22,233ドルと比較すると小さいものの、国・地域

全体でみた場合には、中国で16,133億ドル、インドで

6,838

億ドル、ASEAN で 8,573 億ドルと一大消費市場

1 拡大するアジア消費市場

第3節

アジア消費市場の拡大 〜良質な市場へ向けて

第2節では、消費市場としてのアジアが注目される

中で、東アジア生産ネットワークが、販売拠点や研究

開発拠点も含めたネットワークへと発展しつつあるこ

とについて確認した。

本節では、消費市場としてのアジアについて様々な

角度から分析を行う。アジアを消費市場としてみた場

合、NAFTA や EU と比較して経済規模や貿易規模に

ついては、大きな違いはないものの、一人当たり

GDP

は、NAFTA・EUの約4分の1と小さく、アジア

域内における国・地域別の一人当たりGDPの格差も

大きいことから、アジアは NAFTA や EU とは異なっ

た特徴を持つ市場となっている。ここでは、こうした

アジアで消費される財・サービスそれぞれの特徴や販

売形態等について確認するとともに、アジア消費市場

が今後さらに拡大し、世界の大消費市場となる可能性

について検証する。

第2-3-1-2図 世界の消費市場規模と人口(2008年)

第2-3-1-1図 国・地域別の世界人口構成(2008年)

資料:IMF「World Economic Outlook」から作成。 中国 20% インド 18% ASEAN 9% その他アジア 3% EU 7% 米国 5% 南米 6% アフリカ 14% その他 18%

(2)

としての存在感がある(第2-3-1-2図)。

近年、消費市場としてのアジアが急成長しており、

我が国現地法人の地域別売上高は、アジア現地法人企

業数の増加の影響もあるが、2006年第2四半期にアジ

ア地域が北米を上回り最大の売上高地域となっている

(第 2-3-1-3 図)。2008 年後半から世界経済危機の影響

により、各地域とも売上高は大きく減少したが、北米

や欧州が低迷する中、アジアはいち早く世界経済危機

前の水準まで回復している。

なお、アジア現地法人の 2009 年の売上高を国・地

域別でみると、中国(含香港)が 44%、ASEAN4 が

38%となっており、合計で約 8 割を占めている(第

2-3-1-4

図)。

中国やインド等のアジアの個人消費額は、近年増加

しており、更なる経済成長や耐久消費財の普及等に後

押しされ、今後とも増加し続けると考えられる。2020

年には中国の個人消費額は5.57兆ドルと、我が国を大

きく上回ることが予想されている。また、2020 年に

は、アジア全体の個人消費額は16.14兆ドルと、我が

国の約4.5倍に成長し、欧州を抜き、米国に並ぶ見込

みである

1

(第2-3-1-5図)。

1 なお、2020年の各国・地域の実質ベースの個人消費額予測はそれぞれ、日本3.39兆ドル、中国4.38兆ドル、アジア全体(ASEAN+日中 韓+インド)12.30兆ドル、米国12.60兆ドル、EU10.41兆ドル。

第2-3-1-3図 我が国現地法人の地域別売上高の

推移

5,523 9,883 3,203 1,528 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 北米 アジア 欧州 その他 (億ドル) 資料:経済産業省「海外現地法人四半期調査」から作成。

第2-3-1-4図 我が国のアジア現地法人売上高の

地域別内訳

2009 年 9,883 億ドル NIES3 11% 資料:経済産業省「海外現地法人四半期調査」から作成。 中国(含香港) 44% ASEAN4 38% その他アジア 7%

第2-3-1-5図 アジア各国・地域の個人消費額の実績と予測

2.73 1.53 0.66 0.85 0.85 2.36 9.86 10.30 3.61 5.57 3.06 2.22 1.68 6.96 15.78 12.67 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 日本 中国 インド ASEAN NIEs3 インド+ ASEAN+ NIEs3 米国 EU 2008 2020 (兆ドル) 備考:1.名目ベース、ドル換算。 2.ここでいうアジアは、ASEAN+ 日中韓 + インド。 資料:Euromonitor International2010 から作成。 NIEs3 ASEAN インド 中国 日本 2008 2020 16.14 6.62 アジア全体

(3)

2章

こうしたアジア新興国における個人消費が拡大する

な か で、 中 間 所 得 者 層( 世 帯 可 処 分 所 得 5,000∼

35,000

ドル)の拡大が注目されている。

アジア新興国における中間所得者層は、2000 年に

2.2

億人から、2010年には、9.4億人に拡大しており、

米国、EU を合わせた人口規模を上回っている(第

2-3-1-6

図)。また、アジア新興国における中間所得者

層は、2020年には20億人に拡大することが見込まれ

ており(第2-3-1-7図)、世帯可処分所得35,000ドル以

上の富裕層2.3億人(第2-3-1-8図)と合わせると、ア

ジア新興国全体の3分の2を占めるまでに拡大する見

込みとなっている。

第2-3-1-6図 アジア新興国における所得階層別人口の推移

2.2 8.8 14.5 20.0 0.3 0.6 1.2 2.3 9.1 9.0 10.211.8 14.5 17.5 20.8 26.2 31.2 30.432.1 48.3 66.0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 0 10 20 30 40 50 60 70 35千ドル以上 5 ∼ 35千ドル 5千ドル未満 5千ドル以上の比率(右目盛) (億人) 備考 1:世帯可処分所得の家計人口。 備考 2:2009 年までが実績値。それ以降は予測値。 資料:Euromonitor international2010から作成。

第2-3-1-7図 アジアの中間層の推移

0 5 10 15 20 25 2000 2005 2010 2015 2020 その他 インド 中国 (億人) 2.2 4.6 9.4 14.5 20.0 2.1 倍 4.3 倍 中国 9.7 億人 その他 4.1 億人 インド 6.2 億人 5.0 2.5 1.9 0.7 1.1 0.4 推計値 備考:世帯可処分所得の家計人口。アジアとは中国・香港・台湾・インド・ インドネシア・タイ・ベトナム・シンガポール・マレーシア・フィ リピン。2010 年、2015 年、2020 年は Euromonitor 推計値。 資料:Euromonitor international 2010 から作成。

第2-3-1-8図 アジアの富裕層の推移

1.0 0.9 0.9 1.0 1.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 日本 アジア︵日本除く︶ 日本 アジア︵日本除く︶ 日本 アジア︵日本除く︶ 日本 アジア︵日本除く︶ 日本 アジア︵日本除く︶ 2000 2005 2010 2015 2020 その他 インド 中国 日本 (億人) 0.3 0.5 0.6 1.2 2.3 推計値 (年) 備考:世帯可処分所得の家計人口。アジアとは中国・香港・台湾・インド・ インドネシア・タイ・ベトナム・シンガポール・マレーシア・フィ リピン。各所得層の家計比率×人口で算出。 資料:Euromonitor International 2010 から作成。 3.5 倍 1.9 倍

(4)

(2)消費マインドの回復

世界経済危機は、アジア各国・地域の輸出減少、生

産・雇用調整を通じて、アジア消費にも大きく影響を

及ぼしている。アジア各国の消費信頼感指数は、2007

年後半から大きく落ち込んだ(第2-3-1-9図)。

しかし、その後アジアでは、景気刺激策の効果や今

後の成長期待から、2009 年に入り、各国の消費信頼

感指数は回復している。すでにインドネシアや韓国で

は、世界経済危機以前の水準を上回るまでに回復して

いる。また、アジア各国の家計支出をみても、2008

年後半から前年同月比でマイナスに転じた国が多い

が、2009 年後半からは、韓国、インドネシア、タイ

等で回復しつつある(第2-3-1-10図)。

このように、アジア消費は世界経済危機の影響から

いち早く回復し、さらなる拡大に向けて動き出してい

る。

第2-3-1-10図 各国の家計支出(前年同月比)の

推移

−30 −20 −10 0 10 20 30 40 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 2009 2008 2007 中国 インドネシア 日本 韓国 マレーシア シンガポール タイ 資料:CEIC Databaseから作成。 (前年同月比)

第2-3-1-9図 各国の消費信頼感指数の推移

85 90 95 100 105 50 60 70 80 90 100 110 120 130 (2007 年 1 月=100) (2007 年 1 月=100) 資料:CEIC database から作成。 インドネシア 中国(右軸) 日本 タイ(右軸) (年月) 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 123456789101112123456789101112123 2008 2009 2010 2007

(1)アジアの消費トレンド

経済産業省では、日系企業のアジアのボリューム

ゾーン獲得支援を目的に、平成21年3月に「アジア消

費トレンドマップ」

2

を作成し、拡大するアジアの中

間所得者層の消費実態調査を行った。本調査では、消

費トレンドの発信地として、アジアの4都市(香港、

シンガポール、バンコク、ムンバイ)を指定し、20∼

30

代の中間所得者層を対象に、衣・食・住・移動・

娯楽の各分野でどのような消費実態がみられるかを調

査した

3

(a)アジア消費トレンドの現状

アジアの都市中間層では、全体として経済成長に伴

う消費生活の現代化が進んでおり、更なる成熟への希

求がみられた。例えば、ファッション・美容にお金を

かけると答えた消費者は全ての都市において6割を超

えており、食の分野でも多少高くても料理には良い食

材を使うと答えた消費者は7割を超えていた(第2-3-2-1

図)。携帯、PC、デジタルカメラ、白物家電など

の家電製品も普及が進み、調査対象の中間層以上では

8

割を超えて普及していることがわかった。デジタル

機器に関しては、機能を絞り込み、価格を抑えた機種

が受容されていることが分かった。

(b)更なるマーケティング&プロモーションの必要性

日本製品の置かれた現状についてみると、調査対象

の都市全てにおいて、品質、信頼感、技術力が優れて

いるというポジティブなイメージが抱かれている(第

2-3-2-2

表)。注目すべきは、品質や技術に次いで評価

されている項目として、「現代的」、「デザインがよい」

2 アジアの消費実態・トレンド

2 詳細については経済産業省Webサイトを参照(http://www.meti.go.jp/report/data/g100329aj.html)。 3 調査設計は二段階に分けられ、第一に、生活環境・価値観を示す商品の写真撮影による実態情報と意識項目の調査により、生活環境全 般及びライフスタイルの把握と消費傾向の分析を行うフォトダイアリー調査と、第二に、代表的な消費者像と見込まれる消費者に焦点 をあて、フォトダイアリーで得られた消費性向の背景、価値意識などをより精査な消費実態、嗜好、価値観などを明らかにするフォー カスグループインタビュー調査(FGI調査)を行った。その上で、衣・食・住・移動・娯楽分野における各国の消費傾向をグラフにプ ロットし、各都市の消費者がどのような嗜好に基づいて消費を行っているかの相対的関係を示すマップを作成した。

(5)

2章

など感性的イメージが挙げられる点であり、これらを

付加価値に変換した商品作りが求められている。ま

た、日本製品に対する選択肢の豊富さや消費の楽しさ

を喚起しているといった評価も高く、様々なライン

ナップから自分の好みで選べることが大きな強みと

なっている。

他方で、日本製品は価格が高いというイメージが強

く、価格に見合う価値をアピールできていない点が見

い出された。例えば家電製品では、消費者の求める機

能と製品にミスマッチが生じている可能性がある。ま

た、そもそも日本製品の情報が不足しており、アジア

の消費者から日本製品のイメージそのものが持たれて

いないケースもみられた。例えば、インドでは「日本

について知っていることが一つもない」との回答が

30%に達するなど、日本のファッションや食分野への

接触機会が少なく、有効なプロモーションが行われて

いない可能性がある(第2-3-2-3図)。

(c)日本製品のチャンスと課題

前述のとおり、日本製品は「品質」、「信頼感」、「技

第2-3-2-1図 アジアにおけるライフスタイル意識項目

65.0 77.5 82.5 62.0 58.0 80.0 84.0 76.0 54.0 76.0 76.0 54.0 76.0 62.0 88.0 42.0 72.0 92.0 82.0 76.0 40 60 80 100 全体 シンガポール インド タイ 香港 国内ブランドより 海外ブランドが好き ファッション・美容 / 着るものにはお金をかける 多少高くても料理には良い材料を使う こだわりがあるクルマには (%) 資料:経済産業省「平成 21 年度アジア消費トレンド研究会報告書」から作成。

第2-3-2-3図 日本について知っていることが一つ

もないとの回答率

2 2 0 30 0 40 インド 香港 シンガポール タイ (%) 資料:経済産業省「平成 21 年度アジア消費トレンド研究会報告書」か ら作成。

第2-3-2-2表 アジアにおける日本製品のイメージ

n数 1 2 3 4 5 6 全体 200 品質が良い78.5 信頼できる65.5 技術力がある/高い56.5 デザインが良い54.5 現代的50.5 価格が高い42.0 タイ 50 品質が良い74.0 技術力がある/高い56.0 現代的52.0 信頼できる46.0 価格が高い36.0 デザインが良い32.0 シンガポール 50 品質が良い82.0 信頼できる80.0 技術力がある/高い74.0 価格が高い66.0 デザインが良い62.0 壊れにくい54.0 香港 50 品質が良い88.0 信頼できる80.0 デザインが良い78.0 多機能74.0 技術力がある/高い68.0 最先端66.0 インド 50 品質が良い70.0 信頼できる56.0 使う人のことを考えている48.0 高級感がある48.0 デザインが良い46.0 現代的42.0 資料:経済産業省「平成 21 年度アジア消費トレンド研究会報告書」から作成。

(6)

術力」といった項目において評価が高く、次いで「デ

ザインがよい」、「オシャレ」、「かっこいい」、「かわい

い」等のイメージが持たれている。特に品質が安定し

ない製品やサービスがまだまだ多いアジア諸国におい

ては、信頼感や安心感は、日本における以上に価値あ

るイメージとなっている。

また、コンパクトに工夫された製品は日本のイメー

ジとうまく合致しており、ライフスタイルの都市化が

進むアジアの消費者に高評価を得ている。

他方で多機能・高機能で価格が高くなるよりも、む

しろ「適度な機能と価値に見合った価格」が望まれて

いることが伺えた。例えば韓国製品は、求められる機

能を絞り込み、価格を押さえ積極的なプロモーション

でシェアを急激に伸ばしている(第2-3-2-4図)。

特に、香港、バンコク、シンガポールでは、韓国文

化・製品の浸透が急激に進んでいる。音楽、アイド

ル、ドラマなどコンテンツ領域では日本を大きく上回

る浸透がみられた。こうした状況はコンテンツ分野だ

けでなく、テレビドラマの中でみられる韓国製の

ファッションや携帯電話などの消費を促していると推

測される。コンテンツや日本のライフスタイル、ブラ

ンドイメージをうまくプロモーションに組み込むこと

で他の分野の消費につながる可能性が高い(第2-3-2-5

表)。

(2)耐久消費財の消費動向

製品ごとの消費状況を国・地域別にみると、液晶テ

レビやノートブックPC等、2008年の欧米での消費需

要は依然として大きい(第2-3-2-6図)。

しかし、2014 年の消費需要予測(乗用車について

は2015年)をみると、中国、アジアの消費需要は欧

米に匹敵するほど高く、アジア市場の存在感のさらな

る高まりが見込まれている。

なお、ルームエアコンや洗濯機といった家電製品に

ついては、既に2008年において、中国やその他アジ

アの消費需要が大きく、アジア消費市場の存在感が高

まっている。

液晶テレビやパソコン等については、既に製造拠点

が中国等のアジア新興国に移転しており、自動車につ

いても、現地で販売するものについては、現地で生産

するなど、市場の拡大に応じて、生産・販売拠点のア

ジア新興国地域へのシフトが進められている。さら

に、近年では、現地市場向けに家電製品等の製品設計

を行うなど、研究開発拠点をアジアに設置する動きも

みられている。

第2-3-2-4図 アジア消費トレンドマップ・グルー

プインタビュー発言の一部

「サムソン製は家で使っているが、サムソン製のほうがプロモーショ ンがよい。日本のものよりもプロモーションが良ければ、韓国のも のを買う。」(シンガポール女性) 「携帯電話ではサムソン製も安いので好き。サムソン製で狙っている ものは、800 万画素のカメラつきの携帯電話。カメラ重視で購入す る。」(バンコク男性) 資料:経済産業省「平成 21 年度アジア消費トレンド研究会報告書」から 作成。 グループインタビュー発言より

第2-3-2-5表 各都市における衣食住、乗用車バ

イク等、娯楽(コンテンツ)にお

ける日本ものの浸透度等

衣 ・日本のファッションの浸透度は、香港>シンガポール・バンコク>ムン バイ。 ・香港では日本のファッション誌が読まれており、実際の洋服にも接触有 り。シンガポール以下では情報は少ない。少数の日本のテレビ番組など で接する断片的な情報からイメージ。むしろ韓国ファッションの方が浸 透。 ・一部、日本ファッションの情報が非常に先端的、尖鋭的なものに偏り、 「過激すぎる」「極端すぎる」といったイメージあり。ボリュームゾーン 向けのファッション情報発信が必要。 食 ・4都市ともに、目新しさや見た目の華やかさへの期待から、家庭内でも 外国料理を取り入れ出している様子。 ・重視されている要素としては、香港→食の安全性、シンガポール→味と 簡便性、ムンバイ→味、バンコク→健康、美容 ・ムンバイ以外の3都市では、日本製品は広く出回っており、品質の高さ、 安全性への信頼、味の良さなどの好イメージ。 ・ムンバイでは日本製品の認知度が低い。 住 ・4都市ともに、日本の家電製品は幅広く浸透し、イメージも高い。 ・最も評価されているのは“きちんと品質管理されて作られている”とい う品質への信頼感。デザインがよい、オシャレ、かっこいい、かわいい 等といったイメージも高評価。 ・一方、日本製の住宅機器は認知が不十分。あまりブランドが意識されて いない分野。 ・ムンバイを除くと、日本に似た住環境であり、日本の住宅機器のコンパ クトさと、信頼性をうまくアピールすれば、受容性は大きい可能性。 移動①(携帯) ・香港>シンガポール>バンコク>ムンバイの順でハイスペックなものが 求められている。 ・目新しさ、デザインのかっこよさは共通して重視。 ・日本製品は、シンガポールでは先進的なイメージが持たれているが、香 港ではむしろ台湾・韓国などより遅れているイメージ。バンコクやムン バイでは情報自体が少ない。 移動②(車・バイク) ・ムンバイではステータス感がかなり意識されているが、他の都市では実 用性重視。 ・4都市ともに、日本の車・バイクに対するイメージは高い。技術力の高 さや燃費の良さ、耐久性への評価。 ・付加価値としては、運転をサポートしたりアメニティを高めたりといっ た実利的な方向への関心あり。 ・エコカーや運転サポート機能に対する興味は高いものの、実際の購入・ 利用に対してはコスト面に関心。 娯楽(コンテンツ) ・日本のコンテンツの浸透度は、香港>シンガポール・バンコク>ムンバ イ。 ・最も浸透している日本コンテンツはゲームとアニメ。ともに、日本のも のはクオリティが高く深みもあると評価が高い。 ・日本のものより韓国のテレビ番組や音楽、タレントがポピュラー。 資料:経済産業省「平成 21 年度アジア消費トレンド研究会報告書」から作 成。

(7)

2章

アジア新興国における、消費需要の高まりは、携帯

電話、パソコン等の耐久消費財の普及率からも予想す

ることができる(第2-3-2-7表)。特に、巨大な人口を

抱える中国、インド、インドネシア等では、携帯電

話、パソコン、乗用車等の普及率が、我が国等の先進

国と比較すると低い。今後の普及率の高まりを考慮す

ると、アジア消費市場の拡大が期待できる。

第2-3-2-6図 製品別の各国・地域の消費需要

携帯電話(UMTS) 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 液晶テレビ(LCD-TV) 0 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 その他 欧州 中南米 北米 アジア 中国 日本 その他 欧州 中南米 北米 アジア 中国 日本 その他 欧州 中南米 北米 アジア 中国 日本 日本 中国アジア北米中南米欧州その他 その他 欧州 中南米 北米 アジア 中国 日本 日本 中国アジア北米中南米欧州その他 2008 年 2014 年(予測) 2008 年 2014 年(予測) 2008 年 2014 年(予測) 2008 年 2014 年(予測) 2008 年 2015 年(予測) 2008 年 2014 年(予測) (千台) (千台) ルームエアコン 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 (千台) ノートブック PC 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 (千台) 洗濯機 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 (千台) 自動車 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 資料:FOURIN「世界自動車統計年刊」から作成。 (千台)

資料:Euromonitor International 2010 から作成。 資料:Euromonitor International 2010 から作成。 資料:Euromonitor International 2010 から作成。

資料:Euromonitor International 2010 から作成。 資料:富士通キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク ス市場総調査」から作成。

第2-3-2-7表 アジア各国・地域の耐久消費財普及率

世帯当たり 人口(百万人) 携帯電話 年 パソコン 年 乗用車 年 テレビ 年 日本 127.7 86.4 (2008) 40.7 (2003) 44.1 (2004) 99.0 (2004) 韓国 48.6 93.8 (2008) 57.6 (2007) 24.0 (2006) ― 中国 1,327.7 47.8 (2008) 5.7 (2006) 1.8 (2006) ― 香港 7.0 163.0 (2008) 68.6 (2007) 5.2 (2006) 99.0 (2007) シンガポール 4.7 131.7 (2008) 74.3 (2007) 10.5 (2006) 98.6 (2002) マレーシア 27.3 100.5 (2008) 23.1 (2006) 22.5 (2003) ― タイ 66.4 118.0 (2007) 6.7 (2005) 5.4 (2003) ― インドネシア 228.6 61.6 (2008) 2.0 (2006) 1.2 (1996) 65.4 (2004) フィリピン 90.5 75.4 (2008) 7.2 (2006) 0.9 (2005) 63.1 (2003) ベトナム 86.2 81.2 (2008) 9.6 (2006) ― 70.0 (2002) カンボジア 13.7 28.8 (2008) 0.4 (2007) 2.5 (2001) 55.2 (2005) インド 1,186.3 30.4 (2008) 3.3 (2007) 0.8 (2003) 45.9 (2006) オーストラリア 21.6 103.5 (2008) 60.3 (2003) 54.2 (2005) ― ニュージーランド 4.3 108.2 (2008) 52.6 (2006) 60.9 (2006) 98.5 (2007) 備考:人口は 2008 年、携帯電話、パソコン、乗用車は 100 人当たりの保有台数、テレビは、100 世帯当たりの保有台数。

(8)

(3)アジア各国のサービス支出動向

アジア各国で耐久消費財の普及率が高まる中で、

サービスについても支出が増えている。1998 年から

2008

年の10年間に、アジア全体のサービス支出は1.6

倍に増えており、今後10年間でさらに2倍増え、2018

年には7.5兆ドルに近づくことが予測されている。(第

2-3-2-8

図)サービス支出の家計消費に占める割合につ

いても増加しており、中国、インドでは家計消費の4

割程度をサービス支出が占めている(第2-3-2-9図)。

アジア新興国におけるサービス支出の中身をみる

と、それぞれ異なる特徴を持っている。中国では情報

通信、タイ、インド等では旅行、インドネシアでは教

育が、サービス支出のうち最も支出額の多い分野と

なっている(第2-3-2-10図)。

いずれの分野も2000年から2008年にかけて支出が

拡大している。アジア新興国ではサービス需要が拡大

すると同時に、求められるサービスの質も向上すると

考えられる。

第2-3-2-8図 アジア各国・地域のサービス支出の

実績・予測

0 1 2 3 4 5 6 7 8 1998 2008 2018 (年) NIEs3 豪州・ニュージーランド インド ASEAN 中国 日本 (兆ドル) 資料:Euromonitor International 2010 から作成。

第2-3-2-9図 中国、インド、インドネシア、タイ

のサービス支出及び家計支出に占め

るサービス支出の割合

18.4 40.9 27.3 39.7 14.9 32.9 29.2 34.1 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 1990 年 2008 年 1990 年 2008 年 1990 年 2008 年 1990 年 2008 年 タイ インドネシア インド 中国 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 サービス支出額 家計支出に占めるサービス支出の割合(右目盛) (億ドル)

資料:EUROMONITOR「World Consumer Spending 2009/2010」    から作成。

(9)

2章

第2-3-2-10図 アジア各国の一人当たりサービス関連支出

72 121 94 35 20 26 25 4 0 50 100 150 教育 情報通信 健康及び医療 旅行 中国 2000 2008 (ドル) 15 18 24 86 6 4 14 38 0 20 40 60 80 100 教育 情報通信 健康及び医療 旅行 インド (ドル) 79 20 32 44 15 4 9 9 0 20 40 60 80 100 教育 情報通信 健康及び医療 旅行 インドネシア (ドル) 資料:Euromonitor International から作成。 21 40 140 425 12 16 78 154 0 100 200 300 400 500 教育 情報通信 健康及び医療 旅行 タイ (ドル) 60 236 103 719 31 72 34 264 0 200 400 600 800 教育 情報通信 健康及び医療 旅行 マレーシア (ドル) 59 8 42 105 31 5 14 44 0 20 40 60 80 100 120 教育 情報通信 健康及び医療 旅行 フィリピン (ドル) 2000 2008 2000 2008 2000 2008 2000 2008 2000 2008

(1)小規模小売店販売が主流であるアジア消費市場

アジア新興国では、物流網や流通システムの整備が

先進国と比べて遅れていることもあり、大規模な小売

チェーンよりも小規模な小売店を通じた消費財の販売

が多い。

消費財売上全体に占める小規模小売店を通じた販売

の割合は、インドやベトナム、インドネシアでは9割

を超えている(第 2-3-3-1 図)、中国においても、3 級

都市や4級都市

4

といった小規模な都市においては、

独立系スーパーマーケットや、家族経営による零細小

売店、ローカルな飲食店等が数多く見受けられる。こ

うした地域は、多くの消費財について急速に需要が高

まっているものの日系企業の投資において軽視されが

ちである。例えば、マッキンゼーによる調査

5

では、

日系企業のテレビのブランドの認知度は、1級都市で

は35%であったが、2級以下の都市では低い(第2-3-3-2

図)。一方、中国企業は、より小規模な都市でも

ニーズにあった商品を販売し、高い認知度を得てい

る。

3

多様化するアジアの販売形態

4 中国は、人口や経済規模などにより都市を1級から5級に分類している。1級都市は直轄市、特別行政区などを指し、北京、上海、香港 等が含まれる。3級都市は、沿海都市・経済が発達していて収入が高い都市を指し桂林等が含まれ、4級都市は人口100万都市・重点経 済都市を指し、洛陽等が含まれる。 5 ブライアン・ソーズバーグ、金田修、李翔、ゴードン・オール(2009)「中国の消費者市場で成功を収めるために」McKinsey Asia Consumer and Retail。

(10)

(2)アジア消費市場で拡大するオンライン・ショッ

ピング

アジア消費市場の拡大は、インターネットの普及等

によって、オンライン・ショッピングの拡大という現

象にも現れている。

インターネットの利用人口は、既に中国が世界最大

となっており、インドについては普及率は低いものの

世界第 4 位となっている(第 2-3-3-3 表)。中国の B to

C

電子商取引市場は、毎年約2倍のペースで急拡大す

るなど(第2-3-3-4図)、インターネットの普及の進展

により、世界のオンライン・ショッピングは、中国、

インドがけん引していくと考えられる。また、アジア

新興国でも所得水準の向上とインターネットの普及率

の上昇につれて、オンライン・ショッピングの更なる

成長が実現すると考えられる。

中国やインドでは、オンライン・ショッピングを利

用するのは、それぞれの国内で所得の高い層に限られ

ている。しかし、所得に占めるオンライン・ショッピ

ングの利用額の割合をみると、中国で10.9%、インド

で9.4%と他のアジア国・地域と比較して高く、利用

者がオンライン・ショッピングを積極的に活用する傾

向がみられる(第2-3-3-5表)。

こうした中で、ネット通販業者をはじめとしたビジ

ネスのアジア新興国への展開を図る日系企業も増えて

いる(第2-3-3-6表)。

例えば、2010年1月、楽天は、中国の検索エンジン

最大手の百度(バイドゥ)と提携し、中国でのネット

通販事業に参入すると発表している。楽天の海外への

事業展開は、2008年の台湾、2009年のタイに次いで3

例目となっており、アジアへの展開が中心となってい

る。

一方、アジア新興国では、未成熟なオンライン決済

システムや配送ネットワークの整備の遅れといった制

約条件が存在し、消費者にとっては、利用するオンラ

イン・ショップのセキュリティに対する不安や、手軽

第2-3-3-3表 インターネット利用人口世界ラン

キング(2009年9月末現在)

順位 国名 インターネット利用人口 人口普及率 1 中国 3 億 8,400 万人 26.90% 2 米国 2 億 2,772 万人 74.10% 3 日本 9,598 万人 75.50% 4 インド 8,100 万人 7% 5 ブラジル 6,751 万人 34% 6 ドイツ 5,423 万人 65.90% 7 英国 4,668 万人 76.40% 8 ロシア 4,525 万人 32.30% 9 フランス 4,310 万人 69.30% 10 韓国 3,748 万人 77.30% 11 イラン 3,220 万人 48.50% 12 イタリア 3,003 万人 51.70% 13 インドネシア 3,000 万人 12.50% 14 スペイン 2,909 万人 71.80% 15 メキシコ 2,760 万人 24.80% 16 トルコ 2,650 万人 34.50% 17 カナダ 2,509 万人 74.90% 18 フィリピン 2,400 万人 24.50% 19 ベトナム 2,196 万人 24.80% 20 ポーランド 2,002 万人 52% 備考:中国の数値は、2009 年末現在のもの。

資料:Internet World Stats から作成。

第2-3-3-2図 中国における日中テレビメーカーの

ブランド認知度(思い浮かべるテレ

ビブランド上位3つまで)

47 41 42 44 35 14 12 9 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 1 級都市 2 級都市 3 級都市 4 級都市 (%) 中国のブランド日本のブランド 備考:1 級都市 n=475、2 級都市 n=1680、3 級都市 n=2191、4 級都市 n=2051

資料:「McKinsey Asia Consumer and Retail」から作成。 原出所:Insights Chinaによる消費者調査(2009 年)。

第2-3-3-1図 各国の消費財売上高のうち、小規模

小売店を通じた販売の割合

備考:消費財売上高のうち、hypermarkets,supermarkets,departmentstores 以外の小売店を通じた販売の割合。 資料:Euromonitor International2010から作成。 84 82 78 76 60 59 98 フ ラ ン ス 韓国 英国 中国 ロ シ ア イ タ リ ア マ レ ー シ ア フ ィ リ ピ ン ブ ラ ジ ル タ イ メ キ シ コ イ ン ド ネ シ ア ベ ト ナ ム イ ン ド 96 92 83 81 79 63 59 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (%)

(11)

2章

な決済手段が確立されていないという課題も存在して

いる。アジア市場においてオンライン・ショッピング

がさらに発展するためには、インターネット・セキュ

リティの強化、電子商取引等の法制度の整備、取引上

のトラブル問題があった場合の相談システムの整備

等、事業者・消費者ともに安心かつ安全にインター

ネット上の取引に参加できる環境整備が求められる。

第2-3-3-4図 中国におけるBtoC電子商取引市

場の推移

52 157 258 561 1,282 2,484 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 2004 2005 2006 2007 2008 2009(年) (億元) 資料:艾瑞咨洵集団(iResearch)レポートから作成。

第2-3-3-5表 アジア各国・地域の所得に占める

オンライン・ショッピング利用額

の割合(2008年)

所得に占め る利用額の 割合(%) 一人当たり 平均年間 利用額 対象者平均 年間所得 (ドル) 一人当たり 国民所得 (ドル) 対象者数 (n) 中国 10.9 2,180 20,075 3,247 504 韓国 10.1 3,008 29,778 17,455 500 インド 9.4 2,208 23,386 961 500 シンガポール 8.6 3,364 39,300 39,462 521 オーストラリア 7.7 2,576 33,661 46,986 506 香港 7.3 2,172 29,675 30,710 500 タイ 7.0 1,552 22,269 4,177 501 日本 6.6 2,708 40,908 38,543 502 備考:一人当たり平均年間利用額は、3 か月間の一人当たり平均利用額か ら算出。

資料:MasterCard“MasterCard Worldwide Insights”から作成。

第2-3-3-6表 最近のネットビジネス分野の日系

企業海外進出事例

(株)ファーストリティリング 2009 年 4 月 中国でネット通販大手アリババと提携 SBI ベリトランス(株) 2009 年 4 月 中国の消費者向けの仮想商店街を本格開業 (株)ヨドバシカメラ 2009 年 7 月 中国語でのインターネット通販サイトを開設 楽天(株) 2009 年 9 月 タイの現地企業を買収し、EC 事業を展開 (株)ビットウェイ (凸版印刷子会社) 2009 年 9 月 香港にて、日本のマンガ配信を開始。他の中国語圏に拡 大予定。 ケンコーコム(株) 2009 年 10 月 シンガポールに子会社設立し、EC 事業を開始 (株)リサーチパネルエイジア (EC ナビ子会社) 2009 年 10 月 中国でインターネット調査サービスの窓口となるサイト を開設 (株)オウケイウェイブ 2009 年 11 月留学や旅行などで日本に興味を持つ中国人向けに中国語の Q & A サイトを開設 トランスコスモス(株) 2009 年 12 月 中国 EC サイト最大手の淘宝と提携し、淘宝と連携する CRM システムを構築するとともに、出店企業向けにカ スタマーサポートやマーケティングなどのサービスを展 開 楽天(株) 2010 年 1 月楽天と百度が中国国内に合弁会社を同年末までに設立。中国国内のネットショップから中国の国内ユーザーに商 品を販売。国際間取引も視野。 (株)リサーチパネルコリア (EC ナビ子会社) 2010 年 3 月韓国でインターネット調査サービスの窓口となるサイトを開設 資料:各種報道資料から経済産業省作成。

(1)所得格差と求められる社会保障整備

急速に拡大しているアジア消費市場であるが、米国

やEUと比較すると、一人当たり消費額や製品・サー

ビスの質ともに未発展な部分も多い。アジア市場が

量・質ともに欧米市場を上回るまでに成長するには、

いくつかの課題が存在する。その一つが、地域内の所

得格差である(第2-3-4-1図)。

2008

年のアジアにおける国・地域別の一人当たり

GDP

は、オーストラリアの46,824ドルが最大で、ミャ

ンマーの446ドルが最小となっており、105倍の格差

がある。一方で、2008年のEUにおける国別の1人当

たりGDPは、ルクセンブルクの62,097ドルが最大で、

ブルガリアの6,561ドルが最小となっており、9.5倍の

格差にとどまっている。

4 さらなるアジア消費の拡大に向けて

第2-3-4-1図 アジアとEUのローレンツ曲線

(2008年)

EU アジア 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 人口 名 目 GDP 備考:直線に近づくほど平等。    名目GDP、人口は、1 人当たりGDPの低い国・地域から順に累積した値。    中国、インドは省市、州別データを使用。

資料:IMF「World Economic Outlook」、CEIC Databaseから作成。 (%)

(12)

また、アジアの国・地域では、家計貯蓄率が高いこ

とが特徴として挙げられる(第2-3-4-2図)。将来の収

入や雇用に対する不安が高く、消費者にリスク回避傾

向があれば、支出を抑え貯蓄に回すようになると考え

られる。

アジアの国・地域において家計貯蓄率が高い理由の

一つとして、社会保障制度が未整備である点が指摘で

きる。例えば、主要国の公的年金カバー率をみると、

米国72.5%、我が国71.4%であるのに対して、アジア

新興国では、中国 17.2%、インドが 5.7%と低くなっ

ている(第2-3-4-3図)。また、MasterCardのアンケー

ト調査

6

によれば、中国の都市、農村とも支出を減ら

す理由として、社会福祉が不十分であることが挙げら

れており、社会保障制度の整備が求められている(第

2-3-4-4

図)。

アジア新興国における社会保障制度の整備により、

消費者の将来への不安が解消され、貯蓄から支出に振

り向けられれば、アジア消費市場のさらなる拡大が期

待される。

(2)サービス産業の発展

アジア消費市場が成長・成熟していくためには、現

地の様々な所得階層のニーズに応えうる、多様なサー

ビスが必要になってくる。そのためには、現在も多く

のアジアの国・地域に残っているサービス産業の規制

等を緩和し、貿易・投資の自由化を図ることで、現地

における消費意欲の向上や市場の拡大・質の向上を実

現することが可能となる。

また、サービス産業が拡大するにつれ、その生産性

向上が重要になってくる。生産性は、民営化や競争を

導入することで大きく向上する

7

と考えられており、

外資系企業の参入は競合相手にもなるとともに、新し

い技術等をもたらす存在になる

8

。異なる経済環境や

商習慣の下で育成された外資系企業の参入は、新しい

ビジネスモデルや新しい経営資源の流入による生産性

向上や国内に無かった新しいサービスの提供などによ

る消費者利益の増大をもたらす。こうしたことから、

第2-3-4-4図 中国の家計支出を減らす理由

所得の減少 不十分 社会福祉が 雇用不安 の支払い 住宅ローン が暗い 景気の見通し 56% 44% 38% 34% 45% 69% 61% 45% 30% 5% 0 10 20 30 40 50 60 70 80 都市 農村 備考:1.都市(北京、上海、広州)n=4500、農村(江蘇省昆山、 山東省莱西、陝西省神木)n=1800 2.調査期間は 2009 年 7 月∼ 8 月。

資料:MasterCard「MasterCatd Worldwide Insights調査」から作成。 (%)

6 MasterCard Worldwide Insights「中国における政府の景気刺激策と生活者の反応」調査期間 2009 年 7 月∼8 月(n =都市 4500、農村 1800)。

7 “A Handbook of International Trade in Services”, Aaditya Mattoo, Robert M. Stern, and Gianni Zanini, Oxford University Press, 2008 8 “Service Trade and Growth”, Bernard Hoekman, Aaditya Mattoo, The World Bank, January 2008

第2-3-4-3図 主要国の公的年金カバー率

72.5 71.4 69.6 54.6 18.7 18.0 17.2 11.3 10.8 5.7 0 10 20 30 40 50 60 70 80

資料:「OECD Pensions at a Glance」から作成。 (%) イ ン ド ベ ト ナ ム イ ン ド ネ シ ア 中国 タ イ フ ィ リ ピ ン 韓国 オ ー ス ト ラ リ ア 日 本 米国

第2-3-4-2図 主要国・地域の家計貯蓄率の推計

(2008年)

32.9 31.2 27.9 17.7 17.6 17.4 13.7 12.8 12.7 11.1 9.6 7.5 6.6 4.9 2.2 2.2 1.6 0.9 0 5 10 15 20 25 30 35 備考:家計貯蓄率=(可処分所得−消費支出)÷可処分所得とした。 資料:「Euromonitor Consumer International 2008/2009」から作成。

(%) タイ フィリピン 米国 ブラジル ベトナム 英国 インドネシア インド 日本 フランス ロシア 台湾 ドイツ 韓国 マレーシア 香港 中国 シンガポール

(13)

2章

各国・地域におけるサービス産業の発展や消費者利益

の増大にとって、外資系企業への規制緩和等により対

内直接投資を拡大することが重要であると考えられ

9

さらに、サービス産業は製造業と比して雇用吸収力

が高いとされている。サービス産業の発展に伴い、そ

の従事者数が増えれば、消費市場をより拡大すること

につながる。

アジア各国・地域においては、マレーシア、ベトナ

ム等での動きが挙げられる。マレーシアでは、流通・

サービス部門の外資参入規制を定めたガイドライン

10

の改定が予定されている。ベトナムでは、2007 年に

WTO

加盟国に流通サービス分野を開放し、代理店・

卸売・小売サービス・フランチャイズの形態について

は、2009年から、外資100%での進出を可能としてい

る。

このように、サービス分野において規制撤廃・緩和

が進みつつあるものの、アジア各国・地域において

は、外資系企業に対する規制・商慣行が多く残ってい

る(第2-3-4-5表)。これらの規制等に対しては、通商

交渉・対話等を通じ、相手国の事業環境整備を促して

いく必要がある。

(3)商業施設へのアクセスのための交通インフラ整

アジア新興国では、交通インフラの整備も消費拡大

のための重要な要素と考えられる。例えば、中国の農

村部においては、インフラ整備による大都市商業施設

へのアクセス改善等により消費が拡大することが期待

されている。MasterCardのアンケート調査

11

によれ

ば、実施されれば支出を増やす施策として、中国農村

部では、社会福祉の充実(社会保障制度の整備)と並

んでインフラ整備を挙げる消費者が多い(第 2-3-4-6

図)。特にインフラ整備については、商業施設が多く

存在する都市部ではなく、農村部で挙げられているの

が特徴である。中国の都市部と農村部の消費性向

12

を比較すると都市部が71.4%であるのに対し、農村部

は 55.9%と低く、消費が抑制されている(第 2-3-4-7

図)。

消費が抑制されている要因は、中国の都市と農村部

における社会保障制度の整備状況の違いなども考えら

れるが、中国農村部等では、消費における選択肢が不

足していることも一因として考えられる。インフラの

整備により農村地域で入手できる財やサービスが質・

量の両面で改善されれば、流通、商業施設などへの新

たな投資が生まれ、中国農村部やアジア新興国におい

て新たな消費市場が生まれると考えられる。

第2-3-4-5表 アジア各国・地域における外資系

企業への主な規制

中国 ・外資出資比率規制(特定商品を扱い 30 以上の店舗を 有する小売・卸売 49%以下等。外資と中国企業の合 弁の場合、外資は 25%以上) ・流通、電信等の地域制限 ・コンピュータ関連サービスの参入分野制限 ・法定保険分野への参入規制 ・音響・映像の制作・配給等の規制 ・最低資本金規制(概ね 15 万米ドル以上) ・外貨送金規制(購入、販売、配当等において許認可が 必要等) インド ・外資出資禁止(総合小売業) ・外資出資比率規制(小売 51%(ブランドホルダーに 限る)、保険 26%、銀行 74%) ・海外送金規制 ・コンピュータ関連サービスの法人設立制限 ・国際海上貨物運送の拠点設置規制 タイ ・外資出資比率規制(資本金 1 億バーツ未満の小売、一 店 舗 当 り 最 低 資 本 金 1 億 バ ー ツ 未 満 の 卸 売、 広 告 50%未満等。製造業では販売 75%、アフターセール スサービス 60%) ・最低資本金規制(原則 200 万バーツ以上。規制業種は 300 万バーツ以上) ・電気通信分野における提供サービスの制限および外資 規制 インドネシア ・外資出資禁止(スーパー、百貨店を除く小売、通販、 陸上輸送機器レンタル等) ・外資出資比率規制(電気通信 35%以下、商品輸送、 海運、航空関係 49%以下、建設 55%以下、発電・給 電 95%以下等) ・外資進出地域限定(スーパー、百貨店等) マレーシア ・最低資本金規制(外国資本 100%の場合にはローカル 資本やローカルと外資の合弁よりも最低額が高い) ・電気通信分野の外資規制 ・流通分野における拠点設立の制限 フィリピン ・外資出資比率規制(公共事業の建設、修理 25%以下、 広告 30%以下、電気通信、国際海上貨物輸送 40%以 下、建設、投資会社 60%以下等) ・最低資本金規制(小売業では外資の場合 250 万米ドル 等) ・流通における拠点設立の制限 ベトナム ・外資出資比率制限(卸売、小売は 2009 年 1 月から 100%外資の設立が可能、電気通信で不可欠設備を持 つ事業者は 49%以下、不可欠設備を持たない事業者 は WTO 加盟時 51%以下、2010 年 1 月に 65%以下 等サービス分野で段階的に開放) 資料:国際経済交流財団「今後の多角的通商ルールのあり方に関する調査 研究報告書」(2010 年 3 月)、経済産業省通商政策局編「不公正貿易 報告書 2009 年版」、ジェトロ「ビジネス情報・国・地域別情報 (J-FILE)」、貿易・投資円滑化ビジネス協議会「各国・地域の貿易・ 投資上の問題点と要望(2009 年版)」、グローバル・サービス研究 会「アジアの消費者との価値共創を通じたイノベーションへの挑戦」 (平成 21 年 3 月)から経済産業省作成。 9 2007年通商白書。 10 国内取引・協業・消費者省(MDTCC)「国内取引・協業・消費者省(MDTCC)による外資参入に関するガイドライン」。

11 MasterCard Worldwide Insights「中国における政府の景気刺激策と生活者の反応」調査期間2009年7月∼8月(n=都市4500、農村 1800)。

(14)

日台企業アライアンスによる中国展開

コラム16

日台企業間のアライアンスは、世界経済危機以降、中国が「工場」から「市場」として注目される中、中国

の内需市場開拓に対中ビジネスの重点を置き始めた日本企業の経営戦略の変化、中台関係の緩和などを背景に

注目を集めている。ここでは、台湾企業の世界・中国市場におけるプレゼンスの拡大を概観した上で、中国内

需市場開拓における台湾企業とのアライアンスのメリットについて紹介したい。

1.台湾企業の世界・中国におけるプレゼンス

IT

製品の OEM、ODM 化と共に、台湾企業は、半

導体、液晶などの分野で、世界的に大きなシェアを有

している。OEM 製造ベースでみた場合、その世界

シェア(2008年)は、ノートPC92%、マザーボード

は 92%などと、圧倒的な存在感を誇っている(コラ

ム第16-1図)。

第2-3-4-7図 中国の都市・農村の消費性向

(2008年)

71.4 66.6 72.7 78.7 55.9 59.1 50.9 72.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 農村部 都市部 備考:消費性向=消費支出(現金消費支出)÷可処分所得(現金収入) 資料:CEIC Databaseから作成。 (%) 陝西省 山東省 江蘇省 中国全体 広東省 上海市 北京市 中国全体

第2-3-4-6図 中国で実施されれば支出を増やす施策

55% 33% 40% 51% 0% 0% 69% 60% 0% 0% 57% 42% 0 10 20 30 40 50 60 70 80 社会福祉の充実 の購入補助金 自動車・家電 所得税減税 の抑制 不動産価格 インフラ整備 融資環境の整備 都市 農村 備考:1.都市(北京、上海、広州)n=4500、農村(江蘇省昆山、山東 省莱西、陝西省神木)n=1800 2.調査期間は 2009 年 7 月∼ 8 月。

資料:MasterCard「MasterCatd Worldwide Insights 調査」から作成。 (%)

コラム第16-1図 台湾IT製品の世界シェア

(2008年)

(%) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 光ディスクドライブ デスクトップ PC サーバーシステム デジタルカメラ モニター LCD モニター マザーボード ノート PC 資料:台湾経済部国際貿易局「2008 対外貿易発展概況」から作成。 25.2 33.3 35.4 39.7 53.1 76.8 92.2 92.4

(15)

2章

こうした世界シェア拡大の背景として、台湾企業生

産拠点の中国シフトがある。台湾企業による大陸への

投資は、特に、中国の産業構造変化による投資の大型

化、IT 組立工場移転の急増や台湾からの対中投資規

制の緩和などを背景に大きく拡大してきている(コラ

ム第16-2図)。

その結果、中国の経済活動における台湾企業の存在

感は大きく、成功例も多い。中国における輸出額上位

10

社のうち 6 社が台湾系企業となる(コラム第 16-3

表)。

コラム第16-3表 2008年の中国における輸出額上位10社

企業名 出資企業【国・地域】 業種 1 鴻富錦精密工業(深セン)有限公司 鴻海精密工業【台湾】 コンピュータ周辺機器 2 達豊(上海)電脳有限公司 広達集団【台湾】 コンピュータ 3 諾基亜通信有限公司 ノキア【フィンランド】 固定電信サービス 4 名碩電脳(蘇州)有限公司 華碩電脳集団【台湾】 コンピュータ関連部品 5 華為技術有限公司 中国民営企業 通信製品 6 英順達科技有限公司 英業達【台湾】 コンピュータ及び周辺機器 7 仁寶資訊工業(昆山)有限公司 仁寶【台湾】 コンピュータ及び周辺機器 8 中国石油天然気集団公司 中国国有企業 エネルギー 9 緯新資通 ( 昆山 ) 有限公司 Wistron 社【台湾】 コンピュータ及び周辺機器 10 中国中化集団公司 中国国有企業 エネルギー 資料:中国商務部投資促進事務局 Web サイトから作成。

2.中国展開における日台アライアンスのメリット

台湾企業が中国市場でのプレゼンスを高める中、日台アライアンスによる中国展開を考える日本企業が増え

つつある

13

。台湾企業は、90年代初頭から始まった中国進出により中国ビジネスに関する高度なリスクマネジ

メント能力を蓄積しており、ノウハウを十分に持たない企業にとっては、特に協業のメリットが大きいと思わ

れる

14

。日台企業アライアンスのメリットとしては、台湾企業が有する、中国との言語的・文化的な共通性、中

国人に対する労務管理力、中央・地方政府の許認可への対応、大陸でのネットワーク構築力(特に販売ネット

ワーク)

15

、経営力(意志決定スピードの速さ等)、ビジネスセンス等と、日本企業が有する、技術力(研究開発、

品質管理)、世界的なブランド力、プロジェクトマネジメント力等の相乗効果が挙げられる。中国現地における

台湾系企業の商工会にあたる「台商協会」は、2005年には中国全土で85団体も設立され、2万社以上が会員と

なっている

16

。これらの台商協会の支援により、台湾企業は中国現地の複雑な商慣行、規制等に対処し、現地市

場において広範なネットワークを構築することに成功している。

近年、小売、飲食、流通といったサービス業で中国展開を考える日本企業が増えているが、第3次産業におけ

る中国での規制は複雑と考えられる。こうした規制に対処する上で、台湾企業との協力関係が有効と思われる。

13 在台湾日系金融機関によれば、日台アライアンスに関する日本企業からの相談が増加している。 14 中国に進出した台湾企業の成功率(黒字比率)は高く、中国進出台湾企業の売上トップ1,000社のうち77.2%が黒字である(「大陸台商 1000大(2008年版)」)。なお、中国進出日本企業の黒字比率は51.9%となっている(JETRO「在アジア・オセアニア日系企業活動調査 実態-中国・香港・台湾・韓国編(2009年度調査)」)。 15 また、台湾人向けの投資保護規定も定められており、台湾同胞は中国の法等に基づき優遇を受けられるとされている(中華人民共和国 台湾同胞投資保護法)。 16 中国国務院台湾事務弁公室Webサイトより。

コラム第16-2図 台湾の対中国直接投資額の推移

1.7 2.5 12.69.6 10.912.3 26.1 15.2 12.5 26.1 27.8 38.6 45.9 69.4 60.1 76.4 99.7 106.9 71.4 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 20 40 60 80 100 120 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 (億ドル) (件) 資料:台湾経済部投資審議委員会資料から作成。 投資額 件数(右目盛)

(16)

また、近年では両岸関係の緊張緩和と経済緊密化が進んでいることも、日台アライアンスが注目される理由

となっている。従来、政治的な理由から台湾企業による大陸への投資については、様々な制限が設けられてい

た。2008年5月の台湾政権交代(国民党:馬英九政権)以降、直航解禁、投資制限の大幅緩和等、急速に中台間

の緊張緩和が進みつつある(コラム第 16-4 表)。また、2010 年中に締結される見通しの ECFA(Economic

Cooperation Framework Agreement:両岸経済協力枠組取決め)により、両岸経済関係の更なる緊密化が予想さ

れている(コラム第16-5表)。今後具体化されるECFAの内容によっては、台湾企業とのアライアンスにより中

国市場展開を進めやすくなることが考えられる。

コラム第16-4表 両岸経済・貿易における規制緩和の状況

項目 実施時期 内容 実施済み 「小三通」の緩和拡大と正常化 2008 年 6 月、9 月 金門・馬祖~アモイ間の直接往来全面解禁 台湾の人民元交換業務を開放 2008 年 6 月 許可を得た金融機関による 2 万人民元以内の売買 「大三通」 2008 年 7 月、12 月、2009 年 8 月 海・空の直行便を段階的に実現。航空便は定期便化し、増便。 外資の台湾上場規制の緩和、大陸資本に よる台湾株式市場への投資を一部開放 2008 年 7 月 海外企業の台湾上場資格等の緩和等 中国人の台湾団体旅行の解禁 2008 年 7 月 受入人数 1 日平均 3 千人を上限として、大陸からの台湾団体旅行を解禁 大陸投資金額の上限規制の緩和と審査の 効率化 2008 年 8 月 ・大陸投資の上限が正味資産の 60%まで可能に・投資審査手続きの簡素化 中国資本による台湾投資・事業所設置の 開放 2009 年 7 月 ポジティブリスト方式により段階的に投資開放項目を拡大 (09 年 6 月 30 日発効) 開放項目:製造業 64 項目、サービス業 25 項目、インフラ建 設 11 項目 金融覚書(MOU) 2009 年 10 月 両岸間の金融機関取引の規制緩和 検討中 ECFA(両岸経済協力枠組取決め) 2010 年中(予定) 両岸間の貿易関税撤廃 中国人の台湾自由旅行 未定 個人自由旅行の解禁 資料:台湾行政院大陸委員会、海基会資料等から作成。

中国内需市場獲得においては、現地規制への対応を

はじめ、従来とは異なるビジネスノウハウ・ネット

ワークが必要となる。こうした中、中台関係の緩和を

背景に中国大陸市場にネットワークを深める台湾企業

とのアライアンスに、日本企業の関心は高まっていく

と思われる。

コラム第16-5表 ECFA(両岸経済協力枠組

取決め)の概要

ECFA の位置づけ ・両岸間の経済協力事項のみ規定し、統一・独立 問題など政治問題には触れない。 ・WTO の規定と合致するものとする。 ・経済協力の枠組と達成目標を定め、詳細な内容 については締結後引き続き更なる協議を行う意 向。 内容案 ○財貿易(低関税、貨物輸入制限の開放等) ○サービス貿易 ○投資権益の保障 ○経済協力 ○アーリーハーベスト(早期市場開放)リスト →緊急性があり、高度なコンセンサスが得られ た項目からスタートし、開放範囲を順次広げ ていく ○紛争解決メカニズム ○終了条項 資料:台湾行政院大陸委員会資料から作成。

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