(1)(2) 今をさかのぼること139年前の1872
(明治5)
年、漢方薬が
主流の時代にあって、資生堂は日本初の洋風調剤薬局として
東京・銀座に誕生しました。社名は、中国の古典、易経の一
節
「至哉坤元 万物資生
(至
いた
れる哉
かなこんげん
坤元、万
ばんぶつ
物資
と
りて生
しょう
ず)」
に由来します。この一文が表すように、大地のあらゆるものを
融合することで新たな価値を創造し、お客さまのお役に立ち、
社会に貢献するという
「創業の精神」は、今なお、脈々と受け
継がれています。
目 次
資生堂グループ企業理念
··· 4
価値を紡いできた資生堂の歴史
··· 6
財務ハイライト
··· 8
社長メッセージ
··· 10
特集:新
3
カ年計画における成長戦略
··· 16
ブランド一覧
··· 24
事業別概況
国内化粧品事業
··· 26
グローバル事業
··· 29
Our Way
に基づく資生堂の取り組み
··· 32
お客さまとともに
··· 33
取引先とともに
··· 37
社員とともに
··· 38
社会・地球とともに
··· 40
環境データ
··· 44
社会性データ
··· 45
資生堂の経営体制
··· 46
取締役・監査役および執行役員
··· 47
コーポレートガバナンス
··· 50
リスクマネジメント
··· 55
主要関係会社
··· 58
財務セクション
··· 59
6
年間の財務サマリー
··· 60
経営の概況
··· 61
連結財務諸表
··· 76
連結財務諸表に対する注記
··· 82
独立監査人の監査報告書
··· 103
株式の状況
··· 104
会社情報
··· 105
見通しに関する注意事項
当資料の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、資生堂の将来に関する
見通しおよび計画に基づいた将来予測です。
これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、
実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
プロフィール
(3)(4)資生堂グループ企業理念
お客さまとともに
1. 私たちは、常にお客さまの視点に立ち、真に満足していただける
安全で優れた商品とサービスの研究、開発、製造、販売に努めます。
2. 私たちは、お客さまと接するあらゆる機会に、
お客さまの満足と信頼を高められるように誠実に行動します。
3.私たちは、資生堂グループのすべてのブランド価値を高めることに努めます。
取引先とともに
1.私たちは、取引先を適切に選び、公正・透明・自由な競争、ならびに適正な取引を行います。
2.私たちは、公正さを疑われるような贈答や接待をしたり、受けたりしません。
3.私たちは、こころざしを同じくするすべての取引先を尊重し、お互いの持続的な発展に努めます。
株主とともに
1. 私たちは、有形・無形資産、資金などの資産を最大限にいかし、
持続的な企業価値の向上に努めます。
2.私たちは、企業統治と内部統制に関するルールを遵守し、適正な会計処理を行います。
3.私たちは、株主や投資家との対話を大切にし、信頼を得られるように努めます。
社員とともに
1. 私たちは、職場におけるすべての人たちの人格、個性、およびその多様性を尊重し、
ともに育ち、育てあうように努めます。
2.私たちは、誠実に仕事へ取り組むとともに、公私のけじめを守ります。
3.私たちは、健康的で安全な職場環境と、社員のゆとりと豊かさの充実に努めます。
社会・地球とともに
1. 私たちは、すべての国や地域それぞれの法令を遵守し、
人権尊重はもとより高い倫理観を持って行動します。
2. 私たちは、独自の厳しい基準に沿った環境対応を推進し、生物多様性に配慮しながら、
人も地球も美しく共生する持続可能な社会をめざします。
3.私たちは、広く社会と双方向のコミュニケーションを充実させ、協働して社会的課題解決に努めます。
私たちは、多くの人々との出会いを通じて、
新しく深みのある価値を発見し、
美しい生活文化を創造します
多様性こそ、強さ
挑戦こそ、成長性
革新を続ける伝統こそ、卓越した美を創造する
4
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(5)5
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
Our Missionは、資生堂の根幹をなす普遍の存在意義です。コーポレートメッセージは、
Our Missionを象徴する言葉であり、
「美しく生きたい」という世界中の人々の願いに
誠実に応えるために、当社がさらに徹底したお客さま志向の企業をめざすことを広く社会
に宣言するメッセージとしてつくられました。
今日までの資生堂の歩みは、人が美しく生きるためにさまざまな活動に取り組んでき
た道のりです。これからも資生堂は、一人ひとりのお客さまに一層満足していただくため、
魅力ある商品ときめ細やかなサービスをお届けすることはもちろん、社会に対しても責任を
果たしていきます。
社会と、お客さまと、そしてすべての人が、
「一瞬も 一生も 美しく」あるように。
お客さまとともに
1. 私たちは、常にお客さまの視点に立ち、真に満足していただける
安全で優れた商品とサービスの研究、開発、製造、販売に努めます。
2. 私たちは、お客さまと接するあらゆる機会に、
お客さまの満足と信頼を高められるように誠実に行動します。
3.私たちは、資生堂グループのすべてのブランド価値を高めることに努めます。
取引先とともに
1.私たちは、取引先を適切に選び、公正・透明・自由な競争、ならびに適正な取引を行います。
2.私たちは、公正さを疑われるような贈答や接待をしたり、受けたりしません。
3.私たちは、こころざしを同じくするすべての取引先を尊重し、お互いの持続的な発展に努めます。
株主とともに
1. 私たちは、有形・無形資産、資金などの資産を最大限にいかし、
持続的な企業価値の向上に努めます。
2.私たちは、企業統治と内部統制に関するルールを遵守し、適正な会計処理を行います。
3.私たちは、株主や投資家との対話を大切にし、信頼を得られるように努めます。
社員とともに
1. 私たちは、職場におけるすべての人たちの人格、個性、およびその多様性を尊重し、
ともに育ち、育てあうように努めます。
2.私たちは、誠実に仕事へ取り組むとともに、公私のけじめを守ります。
3.私たちは、健康的で安全な職場環境と、社員のゆとりと豊かさの充実に努めます。
社会・地球とともに
1. 私たちは、すべての国や地域それぞれの法令を遵守し、
人権尊重はもとより高い倫理観を持って行動します。
2. 私たちは、独自の厳しい基準に沿った環境対応を推進し、生物多様性に配慮しながら、
人も地球も美しく共生する持続可能な社会をめざします。
3.私たちは、広く社会と双方向のコミュニケーションを充実させ、協働して社会的課題解決に努めます。
(6)1872
1923
年
日本初のボランタリーチェーンシステム
「資生堂チェインストア制度」開始
1897
年
化粧品事業をスタート。
化粧水「オイデルミン」を発売
1932
年
当時の最高級化粧品
「ドルックス」発売
1934
年
ビュ-ティ-コンサルタントの
前身「ミス・シセイドウ」誕生
1918
年
日本初の本格的クリーム
「コールドクリーム」発売
1959
年
日本初の本格的男性用
化粧品「MG5」発売
1957
年
台湾資生堂設立。
海外事業が本格スタート
1937
年
正しい化粧法の
普及を目的とした
愛用者組織
「花椿会」発足
1976
年
世界展開を意識して開発した
「インウイ」発売
139年積み重ねた
進化の歴史
新たなビジネスモデル
構築への挑戦
1872
年、日本 初 の 洋 風 調 剤 薬 局として 創 業した
資生堂は、その後、化粧水「オイデルミン」を発売し、化
粧品事業を開始しました。医薬品を礎にした研究開発、
「おもてなし」の心をベースとした応対など、すべての人
に美しさと健やかさを届けるための資生堂独自の取り組
みは、創業から
139
年、とどまることなく進化を積み重ね
ています。
日本初のボランタリーチェーンシステムである
「資生堂
チェインストア制度」
や
「ミス・シセイドウ」誕生によって始
まった、お客さまお一人おひとりの美容相談に応じる店
頭活動など、資生堂はお客さまの期待を超えるため、未
来を見据えた新たなビジネスモデルの構築を続けてきま
した。この高い志と情熱を持った挑戦の連続こそが資生
堂の成長性を生み出しています。
価値を紡いできた資生堂の歴史
6
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(7)2011
1994
年
中国専用ブランド「オプレ」を
発売
1981
年
中国北京市にて化粧品の販売開始
1996
年
最高級ブランド
「クレ・ド・ポーボーテ」
発売
2000
年
米 国 発メーキャップブランド
「NARS」を買収
2010
年
米国ベアエッセンシャルを買収
2005
年
メガブランド第1弾
「マキアージュ」発売
グローバルレベルでの
多様性の醸成
卓越した美の創造に
向けた継続的な革新
1957
年の台湾での現地法人設立以来、次々と海外で
の展開地域を広げ、お客さまや市場の変化にしなやかに
対応し、グローバル化を進めてきた資生堂。私たちの大
きな強みは、こうして生まれたグローバルレベルでの多
様性です。お互いの個性を認め合い、異なる価値観を受
け入れる組織こそ、新たな価値をつくり出すための基盤
となっています。
「 クレ・ド・ポ ー
ボ ー テ」や グロー バ ル ブ ランド
「
」など、自らをオリジンとし磨きあげてきた
資産。
「
NARS
(ナーズ)」や「ベアエッセンシャル」など、
新たに注ぎ込まれたエッセンス。こうした独自の価値を
創造し続ける革新の伝統こそ、卓越した美をつくり出し
ていく源となっています。
2010
年
マステージ戦略の拠点、
ベトナム工場新設
2006
年
資生堂ライフクオリティー
ビューティーセンター開設
2006
年
資生堂東南アジアリサーチセンターを
設立。世界5極での研究開発体制に
7
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(8)財務ハイライト
株式会社資生堂および連結子会社
2009年、2010年および2011年3月期
より詳細な6
年間の財務サマリーは、P60
をご参照ください。
(%)
2,248
2,620
2,643
07 08 09
32.4
38.0
36.5
海外売上高比率
アメリカ 欧州
アジア・オセアニア
(億円)
(3月期) (3月期) (3月期)
(3月期)
6,946 6,903
6,442
7,235
07 08 09 10 07 08 09 10
(億円)
営業利益
(%)
500 499
635
7.2 8.8 7.2
504
7.8
売上高営業利益率
国内化粧品事業
その他
グローバル事業 国内化粧品事業
その他
グローバル事業
有利子負債 有利子負債比率
07 08 09 10
(億円)
253
194
337
355
6,707
11 11
445
6.6
11
128
2,375
1,152
10
36.9
2,878
1,220
738
782
485
1,186
885
549
1,121
928
594
915
793
540
876
11
42.9
売上高
営業利益・売上高営業利益率
当期純利益
(%)
(%)
63.3
7.1
12.8
16.8
50.1
6.7
11.8
31.4
61.7
36.7
1.6
78.4
18.2
3.4
事業別構成比(
2010
年
3
月期)
売上高(外円)・営業利益(内円)
所在地別構成比(
2010
年
3
月期)
売上高(外円)・営業利益(内円)
国内化粧品事業
海外化粧品事業 その他
日本 アメリカ
欧州 アジア・オセアニア
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0 0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
(%) (円) (円)
(億円) (%)
(億円) (%)
(億円)
(3月期) (3月期) (3月期)
6.6
5.4
9.8
9.2
07 08 09 10 07 08 09 10
60.9
48.0
86.1
84.6
07 08 09 10
32.0
50.0 50.0
34.0
3.9
11 11
32.1
11
50.0
ROE
1
株当たり当期純利益
1
株当たり配当金
(3月期)
07 08 09 10
227 208 170
100
11
97
4,309 4,239
3,975 3,838 3,584
2,409 2,788 2,757
2,504 3,026
有利子負債・有利子負債比率
報告セグメント別売上高
自己資本比率 デット・エクイティ・レシオ
(%) (倍)
(3月期)
0.33
52.5
0.18
0.62
0.17
55.6
56.6
07 08 09 10
0.64
44.9
41.7
11
自己資本比率・
デット・エクイティ・レシオ
(3月期)
4.5
4.7
8.5
5.1
5.5
10.5
4.8
6.3
8.1
10.1
07 08 09 10
11.4
10.1
9.3
3.8
3.0
11
報告セグメント別売上高利益率
所在地別売上高
所在地別売上高営業利益率
日本
アジア・オセアニアアメリカ 欧州
(3月期)
07 08 09 10
1,096
1,024
1,080
11
1,171
843
855
3,838
833
4,300
507
4,607
566
4,081
457
4,712
517 1,000
1,038
824
884
海外売上高・海外売上高比率
日本
アジア・オセアニアアメリカ 欧州
(3月期)
4.7
5.5
13.4
6.8
5.6
4.0
7.8
13.9
6.1
6.5
8.3
15.3
15.5
07 08 09 10
14.3
5.6
6.5
1.6
7.2
4.1
11
6.0
(%)
07 08 09
1,278
24.0
621
15.0
632
13.7
(3月期)
10
2,144
37.0
11
1,975
38.1
(億円)
増減率 百万円 千米ドル(注1)
2011/2010 2009 2010 2011 2011
経営成績
売上高
+4.1%
¥690,256
¥644,201
¥670,701
$8,066,158
営業利益
−11.7
49,914
50,351
44,458
534,672
当期純利益
−62.0
19,373
33,671
12,791
153,830
財政状態
総資産
−4.5%
¥606,569
¥775,446
¥740,184
$8,901,792
純資産
−12.1
351,951
365,208
321,191
3,862,790
8
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(9) 増減率 円 米ドル(注1)
2011/2010 2009 2010 2011 2011
1
株当たり情報
当期純利益
(注2)
−62.0%
¥ 48.0
¥ 84.6
¥ 32.1
$0.39
純資産
(注2)
−11.5
839.9
875.7
774.8
9.32
配当金
±0.0
50.0
50.0
50.0
0.60
財務指標
売上高営業利益率
7.2%
7.8%
6.6%
ROE
(自己資本利益率)
5.4
9.8
3.9
連結配当性向
104.1
59.1
155.5
注: 1. 米ドル表示は便宜上のものであり、1米ドル=83.15円(2011年3月31日)で換算しています。
2. 1株当たり当期純利益は期中平均株式数に基づき、1株当たり純資産は期末株式数に基づき算出しています。
なお、1株当たり当期純利益は潜在株式調整前数値です。
(%)
2,248
2,620
2,643
07 08 09
32.4
38.0
36.5
海外売上高比率
アメリカ 欧州
アジア・オセアニア
(億円)
(3月期) (3月期) (3月期)
(3月期)
6,946 6,903
6,442
7,235
07 08 09 10 07 08 09 10
(億円)
営業利益
(%)
500 499
635
7.2 8.8 7.2
504
7.8
売上高営業利益率
国内化粧品事業
その他
グローバル事業 国内化粧品事業
その他
グローバル事業
有利子負債 有利子負債比率
07 08 09 10
(億円)
253
194
337
355
6,707
11 11
445
6.6
11
128
2,375
1,152
10
36.9
2,878
1,220
738
782
485
1,186
885
549
1,121
928
594
915
793
540
876
11
42.9
売上高
営業利益・売上高営業利益率
当期純利益
(%)
(%)
63.3
7.1
12.8
16.8
50.1
6.7
11.8
31.4
61.7
36.7
1.6
78.4
18.2
3.4
事業別構成比(
2010
年
3
月期)
売上高(外円)・営業利益(内円)
所在地別構成比(
2010
年
3
月期)
売上高(外円)・営業利益(内円)
国内化粧品事業
海外化粧品事業 その他
日本 アメリカ
欧州 アジア・オセアニア
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0 0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
(%) (円) (円)
(億円) (%)
(億円) (%)
(億円)
(3月期) (3月期) (3月期)
6.6
5.4
9.8
9.2
07 08 09 10 07 08 09 10
60.9
48.0
86.1
84.6
07 08 09 10
32.0
50.0 50.0
34.0
3.9
11 11
32.1
11
50.0
ROE
1
株当たり当期純利益
1
株当たり配当金
(3月期)
07 08 09 10
227 208 170
100
11
97
4,309 4,239
3,975 3,838 3,584
2,409 2,788 2,757
2,504 3,026
有利子負債・有利子負債比率
報告セグメント別売上高
自己資本比率 デット・エクイティ・レシオ
(%) (倍)
(3月期)
0.33
52.5
0.18
0.62
0.17
55.6
56.6
07 08 09 10
0.64
44.9
41.7
11
自己資本比率・
デット・エクイティ・レシオ
(3月期)
4.5
4.7
8.5
5.1
5.5
10.5
4.8
6.3
8.1
10.1
07 08 09 10
11.4
10.1
9.3
3.8
3.0
11
報告セグメント別売上高利益率
所在地別売上高
所在地別売上高営業利益率
日本
アジア・オセアニアアメリカ 欧州
(3月期)
07 08 09 10
1,096
1,024
1,080
11
1,171
843
855
3,838
833
4,300
507
4,607
566
4,081
457
4,712
517 1,000
1,038
824
884
海外売上高・海外売上高比率
日本
アジア・オセアニアアメリカ 欧州
(3月期)
4.7
5.5
13.4
6.8
5.6
4.0
7.8
13.9
6.1
6.5
8.3
15.3
15.5
07 08 09 10
14.3
5.6
6.5
1.6
7.2
4.1
11
6.0
(%)
07 08 09
1,278
24.0
621
15.0
632
13.7
(3月期)
10
2,144
37.0
11
1,975
38.1
(億円)
※ 報告セグメント別および所在地別の売上高は、セグメント間の内部売上高または振替高を含まない外部顧客に対する売上高です。
※報告セグメント別および所在地別の売上高営業利益率(売上高セグメント利益率)は、消去または全社を除き比率を算出しています。
※ 当期の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」の適用に伴い、報告セグメントを「国内化粧品事業」「グローバル事業」「その他」に区分しています。
それに伴い、従来「国内化粧品事業」に属していた国内の「プロフェッショナル事業」は「グローバル事業」に含めています。
※有利子負債比率=有利子負債÷投下資本*
*
投下資本=有利子負債+純資産
9
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(10)社長メッセージ
代表取締役
執行役員社長
末川
久幸
プロフィール
1959年東京生まれ 52歳。
1982年入社。奈良で6年間営業
担当を経験後、本社にて戦略立
案業務などを担当。
2005年 経 営 企 画 部にて、中期
計画の企画・立案を手がけ、前田
社長(現会長)とともに改革を推
進。その後国内化粧品事業の事
業企画部長を経て、2008年執行
役員経営企画部長、2009年取
締 役、2010年 執行役員常務。
2011年4月社長就任。
10
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(11)資生 堂がめざす姿は、
「 日本をオリジンとし、アジアを
代表するグローバルプレイヤー」
です。
成 長 軌 道に乗る”をテーマとする新
3
カ年 計 画 では、
国内のたて直しとグローバル化を加速させ、資生 堂を
将来にわたって輝き続ける企業へと進化させていきます。
前
3
カ年計画は、海外で高い成長を果たしたものの、国内では課題を
残す結果となりました。
2011
年
4
月に代表取締役執行役員社長に就任した末川です。前任の前田より改革
のバトンを引き継ぎ、資生堂の舵取りを担うこととなりました。先頭に立って資生堂の
革新を推し進めていく所存ですので、よろしくお願いいたします。
資生堂の今後の経営方針や戦略をご説明するにあたり、
すべての活動の質を高め
る”をテーマに国内外でさまざまな改革に取り組んだ、前
3
カ年計画
(
2009
年
3
月期~
2011年3月期)の総括からお話しさせていただきます。
まず、前3カ年計画の最終年度である2011年3月期(当期)ですが、売上高は、中国を
はじめとするアジアの力強い伸長などにより海外が堅調に推移したことに加え、
2010
年
3
月に買収したベアエッセンシャルの上乗せもあり、増収となりました。しかしながら、
国内においては、セルフ化粧品を中心に一部回復の兆しが見られたものの、資生堂の
ボリュームゾーンである中価格帯市場で苦戦するなど課題を残しています。利益面では、
国内売上の低迷に加え、ベアエッセンシャル買収に伴う一時的な費用もあり、減益と
なりました。
この3年間を通じて、海外での躍進は顕著なものがありました。グローバルブランド
「
」の育成強化に加え、中国での成長を加 速させるべくチャネル 別
ブランドマーケティングに注力するなど、競争力強化に向けて積極的に取り組んだ
結果、
3
年間の年平均売上成長率は
13%
(現地通貨ベース)と高い成長を果たしま
した。特 筆すべきは、年 平 均 売 上 成 長 率を 地 域 別 で見ると、アメリカで26%、
アジア・オセアニアで11%、欧州で5%
と、いずれの地域でも大きく伸長したことです。
当期の海外売上高比率は
42.9%
まで伸長しており、確固たる事業基盤を持つ強力
な事業に育成することができたといえます。
しかしながら、国内では売上高の低下が続きました。チャネルごとに重点領域を絞り
込み、経営資源の集中を進めた結果、デパートや化粧品専門店の注力店での取り組み
は奏功したものの、ドラッグストアや
GMS
において中価格帯商品が苦戦しました。
11
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(12)Paradigm Shift
through radical reforms
A departure from excess
and delay
Globalization Phase 1
Improve quality of activities
across the board
Accelerated transformation into a global company (Integrating of domestic and overseas business operations)
Customer-oriented marketing reforms
Toward GLOBAL PLAYER
Globalization Phase 2
Get into growth trajectory
Globalization Phase 3
Make a leap forward
10年間のロードマップ
Shiseid
o
資
生
堂
資
生
堂
Establish a presence in Asia
抜本的改革への
パラダイム変換
グローバル化
第1フェーズ
“すべての活動の
質を高める”
グローバル企業への躍進(国内外の融合)
お客さま志向のマーケティング改革
グローバルプレイヤーへ
グローバル化
第
2
フェーズ
“成長軌道に乗る”
グローバル化
第3
フェーズ
“躍進を果たす”
新3カ年計画
2005 2008 2011 2014 2017
(2018
年3
月期)
アジアでの存在感の確立
国内売上が低迷した要因は、新製品に依存したマーケティングと、私たちの活動が
お客さまと市場の変化に対応しきれていないことの2点に集約されると考えています。
前3カ年計画においては、すべての改革プランを計画通り実行し、一部は成果につ
ながったものの、改革はまだ道半ばであると認識しています。私は、これまでの改革を
引き継ぎ、そのスピードをあげ、資生堂を進化させていくことが使命と捉えています。
資生堂が“成長軌道に乗る”ためには、国内の早期たて直しとグロー
バル化の加速がポイントとなります。
2008年、資生堂は10年後にめざす姿として
「日本をオリジンとし、アジアを代表す
るグローバルプレイヤー」を掲げ、
10年間のロードマップを策定しました。
2018年3月
期には、グループ全体で売上高
1
兆円超
(海外売上高比率
5
割超)、営業利益率
12%
以上、
ROE15%以上をコンスタントに確保できる会社になることをめざしています。
新3カ年計画は、このロードマップの第2フェーズとして、
成長軌道に乗る”ことをテー
マとしています。
この新
3
カ年計画のスタートに際し、改めて私たちの姿を見てみると、海外売上高
と同様、約40%の社員が日本人以外となるなど、グローバル化も新たな段階に入って
います。こうした経営の大きな転換期には、資生堂グループの全社員がその存在意義
や価値観、そして取り組みの心構えを共有できる指針が不可欠との考えのもと、この
たび、従来の企業理念体系を見直し、資生堂グループ企業理念「
Our M ission,
12
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(13)社長メッセージ
Values and Way
」へと進化させました。これは、世界中のグループ社員へのヒアリン
グなどを通じ、
5,000名を超える社員が関わり策定したものです。私は、この理念を
全社員で共有し日々の業務で実践していくことが、資生堂を持続的成長へ導くと考え
ており、先頭に立って浸透活動に取り組んでいきます。
資生堂が成長軌道に乗る”ための優先課題は、国内の活性化とグローバル化の
加速の2点があげられます。苦戦している国内化粧品事 業に抜 本的なてこ入れを
行い、早期にたて直して活性化させること。そして、グローバルコンペティターと伍して
戦えるように、グローバル事 業のさらなる伸 長を果たし、成 長 軌 道を描くこと。
これこそ、資生堂が進化していく道筋にほかなりません。こうした考えのもと、新
3
カ年計
画では、
2005年に掲げた
「100%お客さま志向の会社に生まれ変わる」、
「大切な経
営 資 源であるブランドを磨き直す」、
「魅 力ある人”
で組 織を埋め尽くす」という
3つのビジョンを継承するとともに、
「4つの成長戦略」とこれらを支える
「経営基盤の
強化」策を策定しました。
「
4
つの成長戦略」を推し進め、これまで以上の挑戦を続けていきます。
新3カ年計画の柱となる
「4つの成長戦略」の1つ目は、
「グローバルメガブランド
戦略」です。エリアを超えて市場を捉え、峻別と集中の観点から経営資源を集中的に
投下し、
500
~1,000億円規模のブランドを複数有する
「グローバルマルチブランド
カンパニー」をめざします。プレステージ領域とマステージ
※
領域からそれぞれ
3
つ
ずつ、合計6つのブランドをグローバルメガブランドとして育成していく計画です。
次の
「アジアブレイクスルー戦略」では、
2020年には世界最大の市場になると見ら
れるアジアを最重点エリアと位置付け、アジア全域でのシェア拡大をめざします。
まず、要となる日本市場において、マーケティング、営業戦略をたて直し、市場成長
率を上回る成長を確保していきます。強みを有する中国をはじめ、アジア各国では
それぞれの課題に対応した重点活動を推進し、事業基盤を強化していきます。
3つ目の
「ニューフロンティア戦略」では、新たな販路におけるお客さまとの接点を
拡大していくため、
Web
マーケティングを本格展開します。特に日本においては、
Web
と既存店舗が連動した新たなビジネスモデルを確立し、
2012年4月から本格展開し
ます。また、次の成長エンジンづくりとして、新興市場の開拓も進めていきます。
最後は
「カスタマーファースト戦略」です。すべての業務プロセスで、お客さまのことを
第一に考え、モノづくりと販売・応対活動を徹底的に磨き直し、抜本的な改革に取り
組むことにより
「全世界のお客さまからNo.1
の支持をいただくこと」をめざします。
(
「4つの成長戦略」についての詳細は、
「特集:新3
カ年計画における成長戦略」
(P16~
23)をご参照ください。)
※ マステージ:通常のマス商品よりも高級感はあるが、プレステージ商品に比べると値ごろ感がある商品領域。「マス」
と「プレステージ」をもとにした造語。
13
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(14)グローバルコンペティターと伍して戦える経営基盤をつくり上げていき
ます。
「4つの成長戦略」を支えるため、グローバル最適を基軸としてさまざまな面からの
「経営基盤の強化」を実施します。
生産・調達体制については、アジア地域における生産・物流のさらなる効率化を含
めた、サプライチェーン全体の最適化・強化に取り組みます。また、全世界での情報
化基盤を確立するために、基幹システムSAPの導入による業務の標準化と意思決定
スピードの向上をめざしていきます。加えて、海外現地社員のキャリア形成やグローバ
ル幹部社員の育成などを通じて、人材のグローバル化を推進します。さらに、ここ数
年、取り組みを強化してきた環境・社会活動など
CSR
活動についても、全世界で深
化させていく計画です。
資生堂が果たす責任として、人々の美しさ、健やかさを創造する経営を
推進していきます。
CSR活動について触れさせていただきましたが、ここで、私たち資生堂がどのような
経営を行っていくかについて、お話しさせていただきます。
先に述べた
「Our Mission, Values and Way」の「Our Way」は、ステークホル
ダーに対してとるべき行動基準を定めたものです。
2004年から参加を表明している
国連グローバル・コンパクトで求められる10原則に加え、世界初のCSRに関する国際
規格
ISO26000
での原則や考え方を盛り込んでいます。いわば、
「
Our Way
」は、私
たちのCSR憲章です。
資生堂は、ステークホルダーの皆さまとの対話と協働を通じて、社会の課題と期待に
応える活動を展開し、持続可能な社会の実現をめざしていきます。具体的には、資生堂
が社会に向けて大きく貢献できる分野として、
「女性・化粧(美容)」、
「文化」、
「環境」の
3つを重点領域とし、それぞれ設定した「2020年までに達成すべき姿」の実現に向け、
全社をあげて取り組んでいきます。
また、
2011年3
月に発生した東日本大震災においても、その復興に向けて私たちの果
たすべき役割は大きいと考えています。私は
4
月に、盛岡、仙台、福島で被災されたお得意
先さまを訪問してきました。被災された方々からは、
「せめて鏡と眉墨だけでもほしい」、
「化
粧水がなくて困っている」といったお声も多く、女性にとって化粧品は日々の生活に欠か
せない必需品であると改めて確信しました。化粧をする楽しさや心地よさをお届けするた
めに、化粧品を安定的に供給していくことや、避難所におけるビューティーボランティア
活動など、資生堂ならではの活動を通じて、復興を支援していきたいと考えています。
(資生堂のCSR活動についての詳細は、
「Our Wayに基づく資生堂の取り組み」
(P32
~
45)をご参照ください。)
14
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
14
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(15)将来にわたって輝き続ける企業へと進化していくため、資生堂は不断
の挑戦に邁進します。
新3カ年計画の経営目標については、
「年率
6%以上の売上成長(現地通貨ベー
ス)」と
「3カ年内で営業利益率10%」と設定しました。
当初、震災により資材確保や生産、景況感についても不透明な状況で、国内売上
への影響も大きくなることから、震災前に策定していた目標数値を見直すことも検討
しましたが、
2018年3月期にめざす姿を実現するためにも、目標は変更せず、全社を
あげて当該目標の達成に向けて取り組むことを決断しました。
非常に高い目標へのチャレンジとなりますが、この
3
カ年で成長軌道に乗る”
ため
に、
2012
年
3
月期に国内外でマーケティングコストなどの投資を増加させ、確実に基
盤を整えることで、翌期以降の成長加速につなげていきます。
株主還元につきましては、直接的な利益還元と中長期的な株価上昇による
「株式
トータルリターンの実現」をめざしています。この考え方に基づき、成長のための戦略
投資をドライバーとして、利益の拡大と資本効率の向上を図り、それらを中長期的な
配当の増加と株価上昇につなげていくことを基本方針としています。利益還元の目標
としては、中期的に連結配当性向40%を目安とし、この目標をベースとしつつ安定性
も重視した現金配当を主体としながら、自己株式取得については機動的に行う方針
としています。なお、
2012
年
3
月期については、新
3
カ年計画全体では増益を見込ん
でいることに加え、配当の安定性を重視し、
1株当たり配当金は年間50円を継続する
予定です。
私の使命は、
「お客さまを想い、美しさを通じて世の中に貢献する」という創業時の
精神を受け継ぎ、多くのお客さまとの出会いを通じて
「新しく深みのある価値」を創出
し続けることにより、資生堂を将来にわたって輝き続ける企業へと進化させることで
す。私は、この取り組みに全精力をかけて邁進していくことを、ここにお約束します。
株主・投資家の皆さまには、資生堂のより一層の進化にご期待いただくとともに、
変わらぬご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2011
年
7
月
代表取締役
執行役員社長
社長メッセージ
新
3
カ年計画
経営目標
■
年率
6%
以上の売上成長(現地通貨ベース)
■
営業利益率
10%
の
3
カ年内の達成
(想定為替レート 米ドル:80円、ユーロ:110円、中国元:12.5円)
15
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(16)新3カ年計画の全体像
日本
ホームマーケット
における
成長性の回復
中国
成長エンジン
中国市場での
持続的な成長
他のアジア
拡大する
中間所得層との
出会いの拡大
米州
プレステージイメージの先鋭化
欧州
カスタマーファースト
戦略
経営基盤の強化
ニューフロンティア
戦略
アジアブレイクスルー
戦略
グローバルメガブランド
戦略
資生堂グループブランド価値の向上
プレステージ領域の価値強化
お客さまとの出会いの拡大
マステージ領域の本格展開
名実ともにアジアを代表する企業へ
アジア全体でのシェアの拡大
成長にむけた事業基盤の強化
国別の課題に対応した重点活動の推進
新たな販路でのお客さま接点拡大
生産体制の最適化
調達体制の強化 情報化基盤の確立 人材のグローバル化 CSR活動の深化
Webマーケティングの本格展開
次の成長エンジンづくり
新興国(新規市場)対応の強化
メーカーとしての原点回帰
モノづくりの磨き直し
100%お客さま志向の実現
販売・応対の磨き直し
新3カ年計画の全体像
日本
ホームマーケット
における
成長性の回復
中国
成長エンジン
中国市場での
持続的な成長
他のアジア
拡大する
中間所得層との
出会いの拡大
米州
プレステージイメージの先鋭化
欧州
カスタマー
ファースト
戦略
経営基盤の強化
ニュー
フロンティア
戦略
アジア
ブレイクスルー
戦略
グローバル
メガブランド
戦略
資生堂グループブランドの価値の向上
プレステージ領域の価値強化
お客さまとの出会いの拡大
マステージ領域の本格展開
名実ともにアジアを代表する企業へ
アジア全体でのシェアの拡大
成長に向けた事業基盤の強化
国別の課題に対応した重点活動の推進
新たな販路でのお客さま接点拡大
生産体制の最適化
調達体制の強化 情報化基盤の確立 人材のグローバル化 CSR活動の深化
Webマーケティングの本格展開
次の成長エンジンづくり
新興国(新規市場)対応の強化
メーカーとしての原点回帰
モノづくりの磨き直し
100%お客さま志向の実現
販売・応対の磨き直し
ビジョン
100%お客さま志向の会社に生まれ変わる 大切な経営資源であるブランドを磨き直す “魅力ある人”で組織を埋め尽くす
特集:新
3
カ年計画における成長戦略
「日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプレ
イヤー」となるための第
2
フェーズにあたる、新
3
カ年計画
(
2012
年
3
月期 ~
2014
年
3
月期 )。
“成 長 軌 道 に 乗る”を
テーマに
4
つの成長戦略を展開することで、国内のたて
直しとグローバル化の加速を果たしていきます。ここでは、
社長の末川へのインタビューを通じて
4
つの戦略と初年度
の計画について解説します。
16
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(17)資生堂のブランドは今後どのようにつく
り上げていくのでしょうか。
資生堂は、グローバルコンペティターと伍して戦え
る、売上高
500
~
1,000
億円規 模のブランドを複数
有する
「グローバルマルチブランドカンパニー」をめざ
しています。
これまで、グローバルに展開する、日本・欧州・アメ
リカの各エリア発のブランドは、それぞれが独自の価
値を磨き、各エリアで存在感を高めてきました。海外
売上高比率が40%を超えた今、ブランド戦略につい
ても、グローバル化を加速させます。引き続きエリアご
とにブランドの価値を最大化する取り組みを進める
とともに、エリアを超えて市場を捉え、マンパワーや
マーケティングコストなどの経営資源を集中投下する
ブランドをグローバルメガブランドと位置付け、重点
的に育成していきます。グローバルメガブランドは、プ
レステージ領域、マステージ領域それぞれから3つず
つ、計6つのブランドを選定しており、プレステージ領
域では、資生堂グループブランドの価値向上、マス
1992
2006 2010 2014 2018 (3月期)
海外売上高比率
6.5%
42.9%
グローバル市場規模予測
(億円)
(億円)
(%)
1992 1998 2003 2008 2011
海外売上高比率
6.5%
42.9%
(%)
(3月期)
19,987 24,453
29,036
34,747
3,485
5,227
6,451
9,868
6,416
3,307
その他
北米
南米
欧州
アジア
(日本のぞく)アジア
地域
日本
+55%
1991 1995 2000 2005 2011
(3月末)
2010
(12月末)
海外展開国・地域数(累計)
29
85
82
1992 1996 2001 2006 2011
(3月期)
海外展開国・地域数(累計)
29
85
2010 2011 2012(3月期)
国内化粧品事業
2012年3月期売上高・利益計画
6,710
389
6,946
500
7,200
580
グローバル化粧品事業
2012年3月期売上高・利益計画
(億円)
6,710
389
6,946
500
7,200
580
1998 2003 2008 2011(3月期)
テージ領域においては、今後大幅に中間所得層が拡
大するアジアを中心に、新たなお客さまとの出会いを
広げていきます。
6
つのグローバルメガブランドについて、
それぞれの取り組みを教えてください。
プレステージ領域においては、グローバルブランド
「
」、
「クレ・ド・ポー
ボーテ」、
「ベアエッ
センシャル」の3ブランドを重点的に育成します。現在、
日本を含む85の国と地域で展開しているグローバル
ブランド
「
」は、ライン強化とともに、ブ
ランドコンセプトを磨き直し、欧米のグローバルコンペ
ティターに匹敵する存在感を持つブランドに育てあげ
ていきます。
2011年春にコンセプトを刷新し、イノベー
ションを行った
「クレ・ド・ポー
ボーテ」は、アジア・ア
メリカの富裕層を魅了するブランドとして、プレゼン
スを高めていきます。
2010年3月に買収した
「ベアエッ
センシャル」は、資生堂とのシナジーを最大限に発揮
し、アメリカでのさらなる成長を軸に、イギリスを中心
グローバルメガブランド戦略
【成長戦略その
1
】
17
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(18)とする欧州、そして日本を基点とするアジアへの事業
拡大により、グローバル化を加速していきます。
マステージ領域においては、まず、中国を中心にア
ジア9カ国で展開し、好調な実績を収めているスキン
ケア・メーキャップの総合ブランド
「Za
(ジーエー)」に
ついて、発売国・地域ごとの特徴を踏まえたセルフ&
アドバイス型のブランドとしてのポジションを確立して
いきます。また日本の低価格帯市場とアジアマステー
ジ市場を面で捉え、すでに日本と台湾で発売している
スキンケアブランド
「専科」の展開地域の拡大を進め、
日本発の品質を軸に、販売国・地域ごとのお客さま
ニーズを捉えながら売上拡大をめざします。加えて、ス
キンケア、メーキャップに次ぐ、新たなカテゴリー拡大
に向けた
3
つ目のブランドを導入する予定です。
新
3
カ年計画では、こうしたグローバルメガブラン
ド戦略を強力に進めていくことで、アジアではプレス
テージ、マステージ双 方の領域での成長をめざし、
欧米においては、プレステージ領域でのプレゼンスを
高めていく計画です。そして、私たちには、これらの
ブランド以外にも、地域に根ざし、魅力的で個性的な
ブランドが数多くあります。欧州発のボーテ・プレス
テージ・インターナショナルのデザイナーズフレグラン
スブランドをはじめ、プロフェッショナル領域の
「デク
レオール」、
「カリタ」、アメリカ発のメーキャップブランド
「NA RS」。そして、中国発の「オプレ」、
「ウララ」や日
本の「マキアージュ」、
「エリクシール」などです。これら
のブランドそれぞれが太く・強いブランドとなるよう
に、その価値をさらに磨きあげることで、グローバルメ
ガブランドと合わせた強固なブランドポートフォリオを
構築し、
「グローバルマルチブランドカンパニー」をめ
ざしていきます。
(ブランドについての詳細は、
「ブラン
ド一覧」
(P24
~
25)をご参照ください。)
グローバルメガブランド
「専科」
グローバルブランド「 」
「
Za
」
「ベアエッセンシャル」
「クレ・ド・ポーボーテ」
18
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(19)特集:新
3
カ年計画における成長戦略
日本
◆既存ビジネスの育成に向けた
重点投資
◆ Webを活用した新たな
マーケティング展開
◆プレステージビジネスの強化
◆マステージブランドの本格展開
◆将来の安定成長に向けた
経営資源の重点配分
◆事業基盤のさらなる強化による
2桁成長の継続
中国
その他
アジア
アジア展開図
アジアブレイクスルー戦略
【成長戦略その
2
】
ホームマーケットである日本市場では、
どのような取り組みを進めていくので
しょうか。
資生堂が名実ともに
「日本をオリジンとし、アジアを
代表するグローバルプレイヤー」となるためには、日
本を含むアジアでのシェアをさらに高めていく必要が
あります。そしてその中でも、売上高の約6割を占める
国内のたて直しに最優先で取り組みます。国内売上
低迷の要因は、①新製品に依存したマーケティング、
②私たちの活動がお客さまと市場の変化に対応しき
れていないこと、と考えており、これらの課題に真摯
に向き合い、
「既存品育成の強化」と
「Webを活用した
新たなビジネスモデルの導入」を2本柱とする抜本的
な改革を実行します。
「既存品育成の強化」に向けて、まず取り組むのは、
新製品の数を絞り込み、一つひとつのブランド価値を
磨きあげることです。
「お客さまから評価されない商
品は市場に出さない」という方針を強く推し進めるこ
とにより、非効率なマーケティングにメスを入れてい
きます。この方針に基づき、先んじて取り組んだ2011
年春の「マキアージュ」のプロモーションでは、
2010
年秋に発売した既存アイテムの情報開発やコミュニ
ケーションの刷新により、好成績を収めることができ
ました。新製品の数を大幅に絞り込むことにより生ま
れてくるマンパワーやコストを、研究開発、情報開発、
営業活動、ビューティーコンサルタントの店頭応対な
どのバリューチェーンに再 投入し、すべての活動の
質を高めていきます。また、販売第一線での機動的な
取り組みを促進し、イノベーションを起こし続けてい
くため、これまで本社にあった、施策立案機能や販
促物の発注権限、マーケティングコストの一部を販売
会社に移管し、市場の変化に各エリアで迅速に対応
できる仕組みを構築していきます。こうした改革を進
めて店頭売上を拡大することで、店頭在庫の低減に
もつなげていきます。
「既存品育成の強化」に向けた
19
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(20)取り組みは、国内のたて直しの特に重要なポイントで
あることから、私自らが先頭に立って推進します。国
内事業所はもとより店頭までを回り、社員の理解を深
め、具体的な活動に落とし込んでいきます。
また、
「ニューフロンティア戦略」の柱の一つである
「Webを活用した新たなビジネスモデルの導入」は、店
舗と
Web、双方の特性を活かした新たなマーケティン
グ展開を進めるもので、次項で詳細をご説明します。
これらの改 革を 進める上で、
2012
年
3
月期には
マーケティングコストを中心に投資を強化し、
2013
年3月期以降の成長に確実に結び付けていきます。
アジアでの安定的な成長を確保してい
くためには、どのようなことに注力してい
くのでしょうか。
資生堂の成長エンジンともいえる中国は、成長が
著しく、その高いポテンシャルがゆえにグローバル
コンペティターも多額の投資を行い、攻勢を強めてい
る市場です。資生堂は、
1981
年に中国でビジネスを
開始してから30周年を迎えており、今後もプレゼン
スを確立し続け、高成長を維持していくために、これ
まで以上に中国に経営資源を重点配分します。投資
を大幅に強化することで、これまでにも増して強力な
事業基盤を築き、新3カ年においても、売上高で2桁
成長を維持するとともに、引き続き
10%
以上の営業
利益率を確保していきます。
盤石な事業基盤を築くために取り組むのが、プレ
ステージ領域のさらなる強化とマステージビジネスの
拡大です。中国における
「憧れのブランド」という地
位を盤 石なものとするために、デパートにおけるグ
ローバルブランド「
」と中国専用ブランド
「オプレ」を徹底的に磨きあげます。また、
5,000店を
突破した専門店は、質を高める第
2
ステージとして
1
店
当たりの一層の売上拡大をめざし、
「ウララ」、
「ピュア
&マイルド」、
「ディシラ」の育成を強化していきます。
さらに
「DQ
(ディーキュー)」を販売する薬局チャネル
についても、コミュニケーション強化などを通じて、さ
らなる成長の拡大をめざします。チャネルごとの取り
組みに加え、
「ベアエッセンシャル」の導入、プロフェッ
ショナル事業のサロン展開の強化など、資生堂グルー
プの総力をあげて市場を開拓していきます。こうした
活動に人材やマーケティングコストなどの経営資源を
重点的に投入し、中国市場での持続的成長につなげ
ていきます。
また、中国以外にも中間所得層の増加が見込まれ
るアジア各国においては、プレステージビジネスの強
化とマステージブランドの本格展開を推進します。中
でもプレステージ領域においてさらなるシェア拡大を
めざす台湾や、市場規模が大きく成長が見込める韓
国、
ASEAN
の拠点となるタイを重点市場として強化
し、売上拡大をめざします。
日本では、店頭応対活動の見直しを行い、商品価値
を伝えるコミュニケーションを強化します。 中国では、「オプレ」の大型プロモーションなどを実
施し、高い成長性を維持します。 アジア各国では、「Za」や「専科」などのマステージ
ブランドを積極的に展開し、プレゼンスを高めていき
ます。
20
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(21)特集:新
3
カ年計画における成長戦略
お客さまを
ご紹介する
お客さまとの
関係を
深める
オンラインストア
オンライン
カウンセリング
店舗
NAVI
美容
コンテンツ
多様な
コンテンツ
ショッピングモール
(様々な企業
のネット上の
仮想店舗)
既存店舗(
)
専門店・デパートドラッグ ・GMS・
CVS
資生堂
Web
ビューティープラ
ットフォーム(
BPF
)
ダイレクト
マーケティング
お客さまと
出会う
お客さまとの
関係を深める
お客さまを
ご紹介する
プラットフォーム
ビジネス
既存の店頭販売
ビジネス
お客さまと
出会う 多様なコンテンツ
ショッピングモール
オンライン
カウンセリング
店舗NAVI
オンラインストア
美容
コンテンツ
プラットフォーム
ビジネス
ダイレクト
マーケティング
既存の
店舗販売
資生堂Web
ビューティープラットフォーム
店舗
(さまざまな企業の
ネット上の仮想店舗)
ニューフロンティア戦略
【成長戦略その
3
】
新たな取り組みである
Web
マーケティン
グについてお聞かせください。
私たちが今後グローバル市場で勝ち残っていくた
めには、お客さまと市場の変化にいち早く対応すると
ともに、成長市場を見定め、切り開いていく必要があ
ると考えます。新3カ年計画においては、成長著しい
Webを中心としたマーケティングに、国内外で本格的
に取り組み、お客さまとの接点拡大をめざします。
まずは、アメリカおよび中国において
eコマースを開
始します。一方で、日本では、数多くの店舗網を有する
資生堂の強みを活かしながら、新たに
Web
を活用し
た「新制度品ビジネスモデル」を確立していきます。
2012年から本格的に展開するこの「新制度品ビジ
ネスモデル」について簡単にご紹介します。まずは、
「ビューティープラットフォーム」と呼ばれるネット上
のショッピングモールを構築します。ここには、資生
堂グループだけでなく、美容関連をはじめ、ヘルスケ
ア、メディカル、ファッションなどさまざまな分野の企
業にも参画いただき、
「美と健康に関する総合サイト」
に育てていきます。資生 堂と現 在参 画を検 討いた
だいている各 企業の会員組 織登 録者数の合計は、
約
2,000
万人
(
2011
年
4
月時点)と見込まれます。
この「ビューティープラットフォーム」を通じてお客
さまに訪れていただくのが、資生堂Webです。魅力あ
るコンテンツに加え、お客さま、商品、店舗などのデー
タベースを駆使し、最適な美容提案を実施します。化
粧品の場合、色や香り、使い心地を試してから購入し
たいというお客さまが多くいらっしゃいます。資生堂
Web
は、こうしたお客さまにお得意先さまのお店をご紹
新制度品ビジネスモデルの概要
21
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(22)この戦略の背景と今後取り組んでいく
内容について、お聞かせください。
カスタマーファースト”
という言葉には、
2つの意
味を持たせています。
1
つ目は、すべての活動プロセス
の中で、何よりも先にお客さまのことを考えること。そし
てもう
1
つは、全世界のお客さまからNo.1の支持をいた
だくということです。これは資生堂が「日本をオリジンと
し、アジアを代表するグローバルプレイヤー」を実現す
るための、すべての企業活動に関わる取り組み、そして
新3カ年計画の根幹をなす戦略です。
このカスタマーファーストの実 現のために、メー
カーの原 点であるモノづくりと販 売・応 対 活 動を
徹 底的に磨き直します。研究開発、生産からマーケ
ティング、営業、ビューティーコンサルタントの応対に
至るまで、すべてのバリューチェーンにおいて、これま
での成功体験への執着を払拭し、抜 本的な改革に
取り組みます。価格に見合う価値がお客さまにしっか
り伝わるような情報発信、そして、資生堂ならではの
「おもてなしの心」がこもった応対を全世界のビュー
ティーコンサルタントが 実 践することで、お 客さま
満足の最大化をめざし、グローバル競争を勝ち抜い
ていきます。
カスタマー
ファースト戦略
【成長戦略その
4
】
介する店舗ナビゲーションの機能を持つほか、お客さ
まの利便性を重視し、約
3,000
品種の商品を購入する
ことができるオンラインショップの機能も持たせます。
Webを活用することで、これまで出会えていなかっ
た多くのお客さまとの接点を拡大し、お客さまに店舗
をご紹介する資生堂独自のビジネスモデルは、今後の
成長に欠かせない仕組みになると考えます。
次の成長エンジンとして、新興国での
展開はどのように進めていくのでしょ
うか。
資生堂は、新規市場の拡大にもスピードをあげて
取り組んでいます。前3カ年計画では13カ国への進
出を果たし、
2011年3月末現在では、
85の国と地域
(日本含む)で展開するまでに至っています。
新3カ年計画においても展開地域の拡大を進める
とともに、資生堂の成長余地が大きい新興国での取
り組みを一層強化していきます。とりわけここ数年大
きく売上を伸ばしているロシアでは、資生堂の強み
であるスキンケアを中心とした店頭活動を充実させ、
プレステージ領域における同国シェアのトップ5を
めざしていきます。
1992
2006 2010 2014 2018 (3月期)
海外売上高比率
6.5%
42.9%
グローバル市場規模予測
(億円)
(億円)
(%)
1992 1998 2003 2008 2011
海外売上高比率
6.5%
42.9%
(%)
(3月期)
19,987 24,453
29,036
34,747
3,485
5,227
6,451
9,868
6,416
3,307
その他
北米
南米
欧州
アジア
(日本のぞく)アジア
地域
日本
+55%
1991 1995 2000 2005 2011
(3月末)
2010
(12月末)
海外展開国・地域数(累計)
29
85
82
1992 1996 2001 2006 2011
(3月期)
海外展開国・地域数(累計)
29
85
2010 2011 2012(3月期)
国内化粧品事業
2012年3月期売上高・利益計画
6,710
389
6,946
500
7,200
580
グローバル化粧品事業
2012年3月期売上高・利益計画
(億円)
2010 2011 2012(3月期)
6,710
389
6,946
500
7,200
580
1998 2003 2008 2011(3月期)
22
株式会社資生堂 アニュアルレポート2011
(23)特集:新
3
カ年計画における成長戦略
見通し 2011
3月期比年 同現地通貨
ベース
売上高
6,800
+
1.4%
+
4%
国内売上高
3,830
+
0.0%
-
海外売上高
2,970
+
3.2%
+
10%
営業利益
400
-
10.0%
-
当期純利益
210
+
64.2%
-
海外売上高比率
43.7%
+
0.8
-
売上高営業利益率
5.9%
-
0.7
-
※想定為替レート 米ドル:80円、ユーロ:110円、中国元:12.5円
これまでお話しした4つの戦略を実行することで、
新3カ年計画では、
「年率6%以上の売上成長(現地
通貨ベース)」と
「3カ年内で営業利益率10%」をめざ
します。初年度となる2012年3月期の売上高は、国内
市場における東日本大震災による影響額を約100億
円と見 込むほか、欧 米市場における回復 基調の継
続、中国を中心とするアジア市場の売上伸長などを織
り込み、
2011
年
3
月期比
1.4%
増の
6,800
億円を計画
しています。この内訳としては、国内はほぼ2011
年3月
期と同水準、海 外では現地通貨ベースで10%
(円換
算ベースでは3.2%)の増収を見込んでいます。
しかしながら、営業利益については、
2013年
3月
期以降の成長に向けたマーケティングコストなどに重
点的に投資していくため、
2011年3月期を下回る400
億円を見込んでいます。
この投資は国内で約
70
億円、海外で約
130
億円、
合計で約200億円を計画しています。国内では、既存
ビジネスの強化に向けて、広告や販売第一線におけ
るサンプル、施策費用などのマーケティングコストを
増加させます。また2012年から開始する
Webを活用
した新たなビジネスモデルの展開を盤石にするため
のマーケティングコストにも積極的に投入していきま
す。海外では、最重点国である中国におけるシェアと
プレゼンスを拡大するためのマーケティングコストを
増加させるとともに、日本人のビューティーコンサル
タントや営業など、人材を積極的にシフトし、販売を
強化していく予定です。また、全世界において、プレ
ステージ領域、マステージ領域のそれぞれのグローバ
ルメガブランド育成に向けた費用も積極投入してい
きます。
当期純利益については、
2011年3月期と比較して、
特別損益と税金費用等が大きく改善することにより、
2011年3月期比64.2%増の210億円と見通しています。
このように
2012
年
3
月期については、国内外ともに
将来の成長に向けた投資を増加させていくため、営
業減益となりますが、この投資を確実に成長加速に
つなげていくことにより、新3カ年計画の経営目標を
達成したいと考えています。
新3カ年計画初年度の戦略
【
2012
年
3
月期の業績見通し】
2012
年3
月期の業績見通し
(億円)
ポイント
ポイント
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株式会社資生堂 アニュアルレポート2011