ロシア
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原子力事情・原子力政策動向
1.1 エネルギー政策と原子力政策の状況と動向 1986 年のチェルノブイリ事故以降も原子力発電所の運転は継続していたが、新規原子炉の建 設はしばらくなかった。しかし、2001 年に新規原子炉を立ち上げて以降、原子力利用に目を向 け始め、ロシアの原子力業界は、天然資源はいずれ枯渇するので原子力政策が重要であると主張 し、2003 年に発表された「エネルギー戦略」*においてロシアのエネルギー戦略における原子 力の重要性が認められた。 * 2003 年エネルギー戦略:政府の方針を示す「21 世紀前半のロシアの原子力開発戦略」(2000 年 5 月政府承認)に基づき策定されたロシアの長期エネルギー戦略。 2006 年 7 月、ロシア政府は、2030 年までに総発電量に占める原子力の割合を 25%にまで拡 大することを目指し、連邦目標計画「2007 年から 2010 年までのロシア原子力産業コンプレッ クスの発展及び2015 年までの展望」で、2013 年から毎年 200 万 kWe 以上の新規原子炉の運転 を開始する計画を示した。加えて、2007 年 1 月、プーチン大統領による「原子力発電部門の改 革とその発展促進のための法律」と題する原子力発電部門再編法案が下院で可決された。この法 案に基づき、ウラン炭鉱、燃料加工、発電に至るまで広範囲な活動を行うアトムエネルゴプロム 社が誕生した。同社は、ロスアトム社の傘下に民間原子力ホールディング企業として設立された 会社であるが、政府が100%の株式を保有する実質的な国営会社である。 原子力発電政策 ・MINATOM の発足と原子力開発構想 1991 年 12 月のソ連崩壊以降、ソ連邦を構成していた各共和国は独立し、それぞれに所属し ていた原子力発電所や研究所は、それぞれの国に属すこととなった。ロシアでは、1992 年にソ 連原子力発電産業省(MAPI)が廃止され、ロシア連邦原子力省(MINATOM、現在のロスアト ム社)が発足した。MINATOM は、1992 年 9 月に「ロシア連邦における原子力開発の構想」を 発表した。この構想では、石油や天然ガスをなるべく多く輸出に回して自国の発電目的以外に用 いるとともに、国内の発電は原子力で賄うことが望ましいとする見解が示された。さらに同構想 では、第1 段階(~2000 年)において原子炉の安全性の向上、新世代原子炉の開発・建設を行 うこととしており、その後の第2 段階(2000~2010 年)では、出力増強と加圧水型の新世代原 子炉への移行を目指す方針を示した。 ・MINATOMの長期開発戦略 MINATOMは、2000年5月に長期的な原子力開発戦略として「21世紀前半におけるロシアの 原子力開発戦略」を発表した。その内容は、高速炉の研究開発が重要であると主張するものであ った。・ウランを使用する熱中性子炉を中心とする原子力開発を長期的に安定的に進めるために は国内の天然ウランの埋蔵量では不十分である ・熱中性子炉と併せて高速炉の長期的研究開発の戦略が必要である その後、2004年3月に大統領令が発表され、MINATOMは、ロシア連邦原子力庁へと改組さ れた。改組の目的は、原子力の発展に向けて効率化を図ることであるとされ、産業・エネルギー 省(当時)の傘下に位置づけられたが、5月に再び大統領令が出され、ロシア連邦政府直轄の組 織として位置づけが直された。名称は庁(agency)であるが省(ministry)と同レベルの扱い であった。 ・ロシア政府による原子力産業発展計画 ロシア政府は、2006年10月、連邦目標計画「2007年から2010年までのロシア原子力産業コン プレックスの発展及び2015年までの展望」を閣議決定し、原子力発電比率を2015年までの9年間 に15.6%から18.6%へと3%引き上げるという目標を設定した。 同計画では、2015年には10基、計980万kWの原子炉の操業を目指す目標が設定されており、 また、2025年までに原子力発電比率を25%まで引き上げ、26基の原子炉を建設することも目標 とされていた。 ・原子力産業再編法案とアトムエネルゴプロム社の設立 ロシア下院は、上記の原子力産業複合体の発展計画を遂行するために国内の産業基盤を強化す ることとし、2007年1月19日に「原子力利用分野の機関の活動と資産管理の特殊性及び連邦法の 修正に関する法律(原子力産業再編法案)」を可決した。 同法に基づいて2007年7月には、国家が経営権を完全掌握する持株会社として、全ての民生原 子力部門を包含するアトムエネルゴプロム社が設立された。ただし、使用済み燃料の再処理及び 放射性廃棄物の最終処分についてはアトムエネルゴプロム社の業務の対象から外されている。 ・原子力庁ロスアトムとロスアトム社 2007年12月3日にプーチン大統領がロスアトム国営原子力会社の設置に関する法律に署名し、 ロスアトム社が設立された。しかし、ロシア連邦原子力庁であるロスアトムも存在したままでの 設立であった。ロシア連邦原子力庁は2008年3月に廃止されたが、一時期は2つのロスアトムが 併存していたために注意が必要である。 国営原子力会社となったロスアトム社の下に、アトムエネルゴプロム社、核兵器部門、研究機 関(応用基礎科学)、原子力安全・放射線防護機関、原子力砕氷船部門、核医学、材料部門が組 み入れられて新体制が発足した。なお、民生部門の大部分はアトムエネルゴプロム社に集約され ている。 ・新ロスアトム体制下での長期計画(2009~2015 年) ロシア政府は、2008年9月に、ロスアトム社の「長期活動計画(2009~2015年)」を承認し た。同計画は、2009年1月1日から、2006年10月の連邦目標計画「2007年から2010年までのロ シア原子力産業コンプレックスの発展及び2015年までの展望」を継承するものとされている。 2009~2011年がロスアトム社の下部企業、下部組織の移行期とされており、2012~2015年にか
けて、ロスアトム社が組織、法律、産業、テクノロジー、科学、技術に関わる産業の複合体にな るとされている。 ・連邦目標計画(FTP) ロシア原子力産業の問題点の克服を目指すために策定された連邦目標計画(FTP)「2010~ 2015 年と 2020 年までの新世代原子力技術」が、2009 年 7 月 30 日にプーチン首相により承認 され、翌2010 年 1 月にロシア政府に承認された。この FTP プログラムの基本的な考え方は、 少なくとも2030 年頃までは VVER 原子炉を基本とするが、いずれは高速炉と燃料サイクル技 術の確立を目指すとしており、高速炉研究開発の注力、強化の方針が良く示されている。 ・2030年までのロシアのエネルギー戦略 2030 年までのロシアエネルギー戦略のドラフトは、2009 年 8 月 27 日に閣議承認を得て、プ ーチン首相により「2030 年までのロシアエネルギー戦略」(No.1715-r)が 2009 年 11 月 13 日に承認され、2030 年までのロシアのエネルギー戦略が明確化された。この 2009 年のエネル ギー戦略の基本目標は、以前のように数値を羅列して目標を設定するのではなく、「経済の持続 可能な発展」「国民の生活の質的向上」「対外政策面でのロシアの地位の強化」のために天然資源 およびエネルギー部門の潜在力の最も効率的な利用を目指すという内容となっている。 ・ロシア連邦政府政令(2016 年 8 月 1 日付) 2016 年 8 月 9 日、ロシア連邦政府は、8 月 1 日付の政府政令を公表し、これにより 2 基の BN-1200 を含めた 11 基の原子炉を 2030 年までに建設する計画が明らかになった。この 11 基 には、現在建設中の原子炉や浮揚式原子力発電所(FNPP)は含まれていない。また政令では、 鉛冷却高速炉(BREST-OD-300)の実証炉を 2025 年までに建設することや、ウラン-プルトニ ウム窒化物燃料製造施設の建設が承認された。BN-1200 はベロヤルスクとサウスウラル両原子 力発電所に1 基ずつ建設することとされ、2030 年までに VVER-600(1 基)をコラ原子力発電 所に、VVER-TOI(7 基)をコラⅡ、スモレンスクⅡ、ニジニ・ノヴゴロド、コストロマおよび タタールの各原子力発電所に建設することも承認された。放射性廃棄物処分施設の建設サイトと して低・中レベル放射性廃棄物浅地中処分用が、ウラル電気化学統合プラント(4 万 8,000m3)、 マヤク(10 万 m3)、シベリア化学コンビナート(20 万 m3)の3 か所、低・中レベル放射性廃 棄物余裕深度処分用としてソスノヴイ・ボール(5 万 m3)が、高レベル放射性廃棄物の地層処 分用としてニジネカンスキー花崗岩塊に2 か所(計 15 万 9,500m3)が承認された。 原子力の海外展開 ロシアは、積極的な海外展開を図っている。 外国での原子力発電所の建設を担当しているのは、アトムエネルゴエクスポルトとザルベージ ュアトムエネルゴストロイが合併して、1998 年に設立されたアトムストロイエクスポルト(ASE) 社である。また2011 年 8 月には、原子力発電所の建設だけでなく原子力関連の全ての領域にお いて海外進出を促進していくための機関として、ルスアトム・オーバーシーズ(Rusatom Overseas)社が新たに設立された。 以下、外国への原子力技術輸出状況を示す。
・アルゼンチン 2011年5月24日に署名された原子力平和利用に関する協力協定に基づき、アルゼンチンで4番 目となる原子炉の建設を計画している。2012年10月2日、J.デビード(Julio De Vido)公共事業 大臣は、ロスアトム社に対して国内で4・5基目となる原子炉建設に入札する資格を認めた。2015 年4月23日、新規原子炉建設の協力に関する了解覚書(MOU)が締結された。新規原子炉はア ルゼンチンにおいて6基目となるものであり、120万kWeのVVERの採用を想定している。 ・アルメニア 2010 年 8 月 21 日に締結された新規の原子炉建設に関する政府間協定に基づき、メツァモー ルにあるアルメニア原子力発電所に新規原子炉を建設する計画がある。原子炉は60 年の運転寿 命を想定したVVER-1000(1 基または 2 基以上)である。2011 年 7 月 11 日、ロシアのエネル ギー相は、7 月 8 日に行われたロシアとアルメニアの政府間経済協力委員会の会議で、アルメニ ア原子力発電所に新しい原子炉を建設することに関心を示す覚書(プロトコル)を承認したと発 表した。2019 年から 2020 年の運転開始を念頭に置いているとされているが、計画は遅延して いるため、それ以降の運開になることが予想される。このような状況を踏まえ、2013 年 9 月、 アルメニア政府は、アルメニア原子力発電所2 号機の運転期間を 10 年間延長し 2026 年まで運 転することとし、2015 年 2 月に同炉の改修に関するロシアからの融資について両国が合意した。 2017 年 6 月 13 日、ロスアトム社は、アルメニア原子力発電所 2 号機の改修工事を 2018 年と 2019 年に実施することを発表した。この改修工事は、同発電所 2 号機の 10 年間の運転期間延 長を目的としたものであり、冷却塔、タービン、制御・安全システム、およびその他の機器を最 新のものにするための作業が実施されることとなる。 ・イラン シーメンスKWUによって開始、中止されたブシェール原子力発電所1号機の建設計画を引き 継ぎ、イランとロシアは1995年にVVER-1000を建設する旨の契約を交わした。その後も建設の 中止と再開を挟み、2013年9月に商業運転を開始した。2014年11月にロスアトム社はイラン原 子力庁とイランにおける8基の原子炉新設に関する協力協定を締結した。このうち4基の建設サ イトはブシェール原子力発電所(今回2基の建設契約に署名)であるが、他の4基の建設サイト は未定である。 2017年1月にロスアトムとイラン原子力庁(AEOI)が、ロシア製の原子炉8基(ブシェールの 4基を含む)を建設する可能性を含む、原子力産業における協力拡大のロードマップに署名をし た。JCPOAの枠組みの範囲内での国際協定に関しては、イランのフォルドゥ(Fordow)にある ウラン濃縮施設を安定した(非放射性)同位体を生産するために再建するという。この再建に関 して、同年1月にTVELとAEOIが、ガス遠心分離機の2つのカスケードを改造するための事前設 計作業について契約を締結している。 ・インド クダンクラム原子力発電所では、ロシアの協力のもとで最大8 基(VVER)の原子炉建設計画 が進められている。1、2 号機(VVER-1000)は 2002 年に着工し、1 号機が 2014 年 12 月に商
業運転を開始し、2 号機は 2015 年中に運転開始予定であったが遅延している。3、4 号機建設に 関する契約は、原子力損害賠償に関する意見の不一致で一時期交渉が難航していたが、2014 年 4 月 10 日に両国は 3、4 号機建設に関する一般枠組み協定(GFA:General Framework Agreement)を締結した。 また、西ベンガル州のハリプールでも原子炉建設を計画していたが、2011年8月西ベンガル州 は原子力発電所建設を受け入れない方針を発表し、これにより、サイトが変更されることになっ た。このためインド中央政府は、ロシアの要望により、ハリプールに代わる新たな原子力発電所 建設用地の選定を開始しており、代替サイトとしてオリッサ州が提案されている。 2014年12月11日、ロシアとインドは、2035年までに少なくとも12基の原子炉を建設するとし た原子力協力協定に署名した。 2016年10月20日、ロスアトム社は、インドのムンバイに地域センターを開設した。 2017年6月1日、ロシアとインドは、クダンクラム原子力発電所5、6号機の建設について、一 般枠組み協定(GFA:General Framework Agreement)と融資に関する議定書(Credit Protocol) に署名した。同発電所5、6号機の建設費用は5,000億ルピー(77億ドル)と見積もられており、 この内の42億ドルについてはロシアがインドへ融資する予定であるという。また、この2基の建 設には7年を要するとのことである。 2017年7月17日にロスアトム社とロシア財務省が、7月19日にインド原子力発電公社(NPCIL) 理事会が、同発電所5、6号機建設計画の合意についてそれぞれ承認した。これを受けて、同年7 月31日、アトムストロイエクスポルト(ASE)社とNPCILは、クダンクラム原子力発電所5、6 号機建設計画における主要設備の供給と設計に関する契約を締結した。 ・インドネシア ロシアとインドネシアのコンソーシアムであるRENUKOが、1万kWtの高温ガス炉の小型実 験炉建設に向けた詳細設計を立てる事業者に2015年4月に選定され、5月から設計作業を開始し た。2015年9月、ルスアトム・オーバーシーズ社とBATANは、浮揚式原子力発電所を含めた原 子力発電所建設協力に関する了解覚書(MOU)に署名をした。 ・ウガンダ 2016年10月31日、ロスアトム社とウガンダ政府が、ウガンダ初の原子力発電所を2034年まで に建設することについて、ロシアが原子力インフラ整備、人員の訓練、パブリック・アクセプタ ンス、核医学および農業における専門教育の場を援助することで合意した。 ・ウクライナ 1990年に建設が凍結されたフメルニツキ3、4号機(VVER-1000)の建設工事をアトムストロ イエクスポルト社が2015年に再開する予定であったが、2015年9月にウクライナ議会が2010年 にロシア政府と結んだ協力協定の無効化を承認し、プロジェクトは破棄された。 ・エジプト 2015年2月、ロシアとエジプトは、新規原子力発電所の建設に係るプロジェクト開発合意 (PDA:Project Development Agreement)に署名した。この合意に基づき、2015年11月には、
ロスアトム社とエジプトの電力・再生可能エネルギー省がエジプトにおける原子力発電所の建設 と運転に関する協力協定に署名をした。 2017年9月4日、エジプト政府は、エジプト国内のエルダバに原子力発電所(4基)を建設する ためのロシアからの融資契約に署名した。契約に基づき、原子力発電所を建設する費用の85% に相当する250億ドルをロシアから借り受け、残りについては民間の投資家による投資によって まかなうという。 2017年12月4日、ロスアトム社とエジプト政府は、使用済み燃料貯蔵施設の建設契約を締結し た。同月11日には、ロスアトム社とエジプトの電力・再生可能エネルギー省が、エルダバ原子 力発電所の建設契約*1の着工通知(Noticesto proceed)*2に署名した。 *1 両社が締結した契約によると、ロスアトム社はエルダバ原子力発電所にVVER-1200を4基建設 し、運転期間を通じて燃料を供給することとなっており、また、稼働して10年間はロスアトム 社が現地の会社に運転とメンテナンスの支援と職員訓練を行うことになっている。エルダバ原 子力発電所1号機は2026年に運転を開始する予定である。また、建設計画の実施の一環としてロ スアトム社は、(エジプトにおける)原子力インフラ整備、現地化の度合いを高めること、人員 の訓練について支援を行う予定であるという。 *2 依頼主から契約者へ出される契約の作業開始日を記載した文書であり、ここで記載される日付 が作業開始日になる。但し今回の報道では、その日付について言及されていない。 ・カザフスタン 2014年5月29日、カザトムプロム社とロスアトム社が新規原子力建設に関する協定覚書を締結 した。当初、西地域のアクタウに小型の熱併給発電炉2基(VBER-300)を建設する計画があっ たが、地元の反対を受けて、建設候補サイトを東部のクルチャトフ(Kurchatov)へ変更し建設 計画を進めている。 ・ザンビア 2016年12月7日、ザンビア政府とロスアトム社との間で「原子力分野の発展と人材育成に係る 覚書」(MOU)と「パブリック・アクセプタンス向上の協力に係るMOU」、連邦環境・技術・ 原子力監督庁(Rostechnadzor)との間で「原子力平和利用における規制と安全への協力に係る MOU」、ルスアトム・オーバーシーズ社との間で「ザンビア国内に原子力研究技術センターを 建設するプロジェクト開発に係る合意書」が署名された 。これらの署名により、ザンビアにお いてロシアの技術による研究炉を所有する原子力研究技術センターの建設が開始される予定で ある。 ・スーダン 2017年12月21日、ロスアトム社は、同社の子会社であるルスアトム・オーバーシーズ社とスー ダンの水資源・灌漑・電力省が原子力発電所建設計画に関する合意文書に署名したことを明らか にした。今後はフィージビリティスタディにより、サイト選定や資金調達の枠組み等について検 討されるという。今回の両国による合意は、2017年11月24日に署名された原子力平和利用に関 する協力協定に続くものである。 ・タンザニア 2016年10月31日、ロスアトム社とタンザニア政府が、タンザニアにおいて原子力開発に向け た第一段階として研究炉を建設することで合意した。
・中国 江蘇省の田湾原子力発電所に2基のAES-91を供給した(それぞれ2007年5月と8月に稼働を開 始している)。同サイトでは更に2基のAESの建設計画があり、田湾3号機は2012年に、田湾4号 機は2013年に建設を開始した。運転開始はそれぞれ2018年2月、同年12月を予定している。ま た、2013年10月にはTVEL社が、江蘇核電有限公司(JNPC)及び中国原子能工業公司(CNEIC) と、田湾原子力発電所3・4号機に装荷する燃料を供給する契約に署名をしている。2014年7月、 ロスアトム社と中国核工業建設集団公司(CNEC)は、中国における浮揚式発電プラントの開発 プロジェクトへの協力合意に関するMOI(Memorandum of Intent)に署名した。 2016年4月7日、ロスアトム社が地域事務所を北京に開設した。2016年11月8日、李克強首相 とメドベージェフ首相が、原子力平和利用について中露二国間の戦略的協力強化に関する共同声 明を発表した。 2017年4月26日、TVEL社は、田湾原子力発電所1、2号機に対する燃料の追加供給とエンジニ アリング・サービスについて、CNEIC、JNPCと契約に署名した。契約額は10億ドル程度であ るとのことである。 ・トルコ 2010年5月12日に締結した「アックユ原子力発電所の建設と運転に関する協力協定」のもと、 アックユ原子力発電所で4基(VVER-1200)を建設する予定である。建設費は約200億ドルで全 額をロシアが融資する予定であり、全株を保有する会社を設立し、後に全株の49%を投資家へ売 却するとした。建設方式は、民間事業者が自ら資金を調達、建設し、一定期間管理・運営を行う BOO(Built Own Operate)方式を採用している。2013年2月18日には、原子力発電所の建設を 進めているロスアトム社が、サイト周辺における地震の調査が完了したことを発表している。初 号機のコンクリート打設は2016年1月に行う予定であったが、2015年11月にロシア軍機がトル コ軍機に撃墜された事件の影響により遅延した。しかし、2016年8月には両国関係が回復したこ とから、トルコのエルドアン大統領は、アックユ原子力発電所建設プロジェクトの進捗が加速す る見込みであると述べた。 ・ナイジェリア 2016年5月30日、ロスアトム社とナイジェリア原子力委員会(NAEC)が、ナイジェリアにお ける原子力研究技術センターの建設に関する協力協定に署名した。2016年12月20日、両国はナ イジェリアにおける原子力発電所建設計画に関する事業開発協定(PDA:Project Development Agreement)を締結した。 2017年10月30日、ロスアトム社は、ナイジェリア国内における原子力発電所の建設・運転や、 多目的研究炉を設置した研究センターの建設・運転に関する協定について、同社とナイジェリア 原子力委員会が署名したことを明らかにした。また両者は、原子力技術の平和利用分野での協力 についてのロードマップにも署名した。 ・ハンガリー パクシュ原子力発電所における2 基(AES-2006)の増設計画が、2014 年 1 月 14 日に両政
府により合意された。同発電所の設備容量を 2 倍以上に増強させる計画であり、ロスアトム社 が建設を担当する予定である。
・バングラデシュ
2013年10月2日、アトムストロイエクスポルトの管理会社であるNIAEP-ASEのV.リマレンコ (Valery Limarenko)社長がバングラデシュの原子力委員会(BAEC)のフィロス(Abu Sayed Mohammed Firoz)委員長とルプール原子力発電所の建設(エンジニアリング設計を発展させ る)契約に調印し、基礎(Foundation Stone)の定置記念式が開催された。ロシア側が当初提 案したのはVVER-1000であったが、2015年10月にVVER-1200の採用が決定した。2015年初旬 に着工し2020年の運転開始を予定していたが、着工が遅れていた。2017年11月30日、ルプール 1号機において最初のコンクリート打設が行われ、建設工事が開始された。 2016年7月26日、ロシア政府とバングラデシュ政府が、ルプール原子力発電所の建設に係るロ シア政府からの融資に関する政府間合意(IGA)に署名した。2016年7月13日にロシア政府はル プール原子力発電所建設に関する113億8,000万ドルの融資を承認しており、建設計画の見積総 額126億5,000万ドルの残りの額はバングラデシュ側が調達する。今回の融資は2017年から2024 年にわたる原子力発電所建設のために使用され、バングラデシュは2027年3月15日から毎年2回、 20年間にわたって返済する予定である。 2017年5月16日、ロシアの連邦環境・技術・原子力監督庁(Rostechnadzor)は、同庁に技術 サポートを行う組織であるFSUE VO“Safety”*とバングラデシュ原子力規制機関(BAERA)
の間で、技術支援に関するコンサルティング契約が同日に署名されたことを明らかにした。この 契約によりバングラデシュは、ルプール原子力発電所の原子炉や機器の設計、製造、建設に至る 期間を通じて、原子力安全規制と放射線安全規制に関してロシア側からの支援を受けることとな る。 * 1993 年 9 月 8 日 付 の 政 令 ( No.93 ) に よ り 、 非 常 事 態 省 の 原 子 力 安 全 ・ 放 射 線 防 護 部 門 (Gosatomnadzor)によって設立された。 2017年8月30日、ロスアトム社とバングラデシュ科学技術省(MOST)は、ルプール原子力発 電所へ供給されるロシア製の燃料について、再処理に関する条項を定めた合意に署名した。なお 署名を行ったのは、ロスアトム社のA.リハチョフ(Alexey Likhachev)総裁とバングラデシュ 科学技術省のY.オスマン(Yafes Osman)長官である。 2018年3月1日、ロスアトム社、バングラデシュの科学技術省(MOST)、およびインドの原 子力庁(DAE)は、バングラデシュでのルプール原子力発電所建設プロジェクトの実施協力に 関する了解覚書(MOU)に署名をした。このMOUは、同建設プロジェクトに関連した作業の 実施において、総合請負業者であるアトムストロイエクスポルト社(ロスアトムの技術部門)、 およびインドとバングラデシュの専門家が協力していくための枠組みを設定するものである。ま た3者は特に、人員の訓練、経験の交換、およびコンサルタンティングの分野において協力して いく予定である。なおインドの企業が、同プロジェクトに係る建設作業と機器の設置作業等に関 与してくことが可能になるとのことである。
・フィンランド 2012 年 1 月、東芝(EU-ABWR)とアレバ社(当時、EPR)が応札し、2013 年 2 月 25 日に フェンノボイマ社が東芝に優先交渉権を与えたが、2013 年 3 月に、ロスアトム社との交渉を開 始したことが明らかとなった(提案された炉型はAES-2006)。その後、7 月 3 日にロスアトム 社の子会社であるルスアトム・オーバーシーズ社とフェンノボイマ社が建設プロジェクトを進め ていくことで合意し、12 月 21 日に建設契約を締結した。 2014 年 12 月 5 日、フィンランド議会は、同建設プロジェクトの炉型として、ロシア製の AES-2006 を採用することを承認した。着工は 2018 年を見込んでいる。 ・ブルガリア 2006年に締結した契約のもと、ベレネ原子力発電所にAES-92を2基建設する計画であったが、 資金繰りの見通しが立たなかったため、2012年3月28日にプロジェクトは正式に破棄された。計 画の破棄に伴い、ロシアは10億ユーロの損害賠償を請求している。一方で、ルスアトム・オー バーシーズ社は、コズロドイ原子力発電所7号機建設に関する環境リスク評価(ERA)の入札に 参加するための書類を提出した。 ・ベトナム 2010 年 10 月 31 日に締結された「ニン・トゥアンⅠ原子力発電所の建設協力に関する協定」 のもと、ベトナム初のニン・トゥアンⅠ原子力発電所に4 基の VVER-1000 または 1200 を建設 することとされた。ロシア財務省は最初の原子炉について最低でも85%の融資を準備しており、 2011 年 11 月に 90 億ドルまでの融資について契約に署名をした。2014 年 11 月には、ベトナム 政府によりVVER-1200 の採用が発表された。2014 年の着工が予定されていたが、計画は何度 も遅延し、2016 年には着工が 2020 年になることが見込まれていた。しかし 2016 年 11 月 22 日にベトナムの国会が、原子力発電所の建設計画を撤回するとしたベトナム政府の決定を承認し た。 また、原子力科学技術センターを設立するための5億ドルの融資にも両国は合意していた。当 初、ダラット市に建設予定であった同センターは、2015年着工、2018年の完成を目指していた が、2017年現在、建設サイトも決まっておらず、計画が遅延している。 ・ベラルーシ 2011年10月11日に締結された原子力発電所建設の基本契約のもと、ベラルーシ国内初の原子 力発電所を建設している。ベラルーシは、「エネルギー戦略2011-2020」においてエネルギーの 過度のロシア依存(2012年には天然ガスの90%をロシアから輸入)から脱する方針を示し原子 力発電を推進することとしたが、原子炉の建設はロシアと契約(ターンキー契約)した。建設予 定の原子炉は120万kWeのAES-2006型VVERで、1号機は2013年11月に、2号機は2014年5月に 着工しており、それぞれ2018年と2020年に完成する予定である。 2017年4月20日、ロシアとベラルーシは、ロシアのバルチック原子力発電所のために製造され ていた原子炉圧力容器(RPV)を、ベラルーシのオストロベツ原子力発電所2号機に供給するこ とで合意した*。オストロベツ2号機の運転開始時期は、予定通り2020年である。 * オストロベツ2号機の元々のRPVは2016年5月には完成していたが、2016年8月に同発電所1号機の PPV設置作業中に落下事故が発生したことにより、1号機のRPVとして使用されることとなった (2017年4月1日に設置完了)。
・モンゴル
2018 年 2 月 28 日、ロスアトム社とモンゴルの原子力委員会(NEC)は、モンゴルにおいて 原子力科学技術センター(CNST:Centre of Nuclear Science and Technology)を建設するた めの協力覚書(MOC)に署名した。この MOC に基づきロシアの専門家は、CNST について予 備的な要件と施設構造をNEC が決定するのを支援するという。また、当該建設プロジェクトの ために予備的なロードマップが作成されるとともに、建設作業プロセスの策定に向けた、分野別 の専門家グループが設置される予定である。 ・ヨルダン 2013 年 10 月にヨルダン政府は、国内初の原子力発電所の技術提供者としてアトムストロイ エクスポルト社を選定した。これにより同社が、2 基の VVER-1000-AES 99 を提供する見通し である。2014 年 9 月 22 日、ルスアトム・オーバーシーズ社は、ヨルダン原子力委員会(JAEC) と原子力発電所建設に関するプロジェクト開発協定を締結した。 2017 年 12 月 13 日、ルスアトム・オーバーシーズ社と JAEC は、SMR 技術における協力に 関するMOU に署名した。この MOU によると両社は、SMR の技術評価を行うこと、およびロ シア製の SMR を使用した発電所を建設するためのフィージビリティスタディの準備を行う可 能性について合意したとのことである。 <ウラン資源> 2015 年 1 月時点で、1kg 当たり 260 ドル以下で採掘できる発見資源量(確認資源量と推定資 源量の合計)は69 万 5,200tU である。 2017 年 3 月 27 日、アトムレッドメットゾラタ(ARMZ:AtomRedMetZoloto)は、シベリ ア南部のブリヤート共和国にあるVershinnoye ウラン鉱床の開発を開始したと発表した(ウラ ン埋蔵量は4,577tU)。同鉱床における初のウラン生産について ARMZ は、同社の子会社である ヒアグダ(JSC Khiagda)社が原位置抽出法(ISL:In Situ Leaching)を用いて 2018 年に行 う予定であるとしている。
2017 年 9 月 11 日、ロスアトム社の子会社であるウラニウム・ワン(Uranium One)は、子 会社として商社(Uranium One Trading AG)をスイスに設立したと発表した。ウラニウム・ ワンは、この商社を設立することにより、ウランの国際市場において同社のシェアを拡大するこ とを目指しているという。
2018 年 3 月 12 日、ロスアトム社とロシア・中国地域開発投資基金(Russia-China Investment Fund for Regional Development)は、ロシアのザバイカリエ地方における第 6 鉱山の建設に係 る投資に関するタームシートに署名をした。同基金は、中国核工業集団公司(CNNC)の代理 で署名したものであり、このタームシートの下でCNNC は、地上施設の建設等のために 2018 ~2019 年において 25 億 3,000 万ルーブル(4,450 万ドル)の投資を行う予定であるという。同 基金を通してCNNC は、第 6 鉱山の建設に対して 161 億ルーブル(2 億 8,300 万ドル)の投資
にARMZ 社と共に設立するジョイントベンチャーについて株式の 49%を取得するとともに、同 鉱山から採掘される量の50%(年間 600 トンのウラン)の供給を受けることを定めたオフテイ ク契約をARMZ との間で 3 月下旬に締結する予定であるとされた。
* 2018 年 3 月 12 日、ロシア・中国地域開発投資基金、ARMZ、および PIMCU 社(Priargunsky Industrial Mining and Chemical Union)の 3 者は、ロシアのウラン鉱業に対する投資について、 ロシア国外の投資家へ開放することで合意している。この合意を根拠として、CNNC は第 6 鉱山 の開発に対して投資を行うことが可能となっている。同プロジェクトは185 億ルーブル(3 億 2,500 万ドル)の費用が掛かる見込みで、ロシアの計画では2023 年に操業開始を予定している。 <核燃料サイクル、バックエンドに関する動向> 使用済み燃料と再処理 旧ソ連時代より、自国内で全てを完結するクローズド燃料サイクル及びこれを実現するための 製造能力と技術の確立を原子力・核燃料戦略の基本としている。基本の流れとしては、VVER-440 型軽水炉の使用済み燃料をRT-1 再処理工場(400tU/年)で再処理し、回収ウラン及びプルトニ ウムをRBMK 型炉の新燃料にするという方針で進めていた。ただし、この方針は主に高速炉向 けのプルトニウム燃料及びRBMK 向けの燃料(低濃縮の二酸化ウラン)の製造を念頭に置いた ものであり、軽水炉用MOX 燃料の加工施設は建設されていない。高速炉用の MOX 燃料の加工 施設としては、以下のものがある。 ・マヤク・パケット施設(1980年に運開、製造能力:0.5tHM/年) ・原子炉科学研究所(RIAR)(1975年に運開、製造能力:1tHM/年) ロシアの再処理は、1971年にチェリヤビンスク-65のRT-1(マヤク再処理工場)で開始してお り、自国の他に東欧諸国のVVER-440から発生した使用済み燃料、またBN-600、研究炉、砕氷 船搭載原子炉からの使用済み燃料を再処理している。RT-1は、民生用の再処理を行うための施 設で、処理能力は公称400tU/年である。1980年代に新たにゼレズノゴルスクでRT-2(1,500tU/ 年)の建設を始めたが、工事は凍結された。RT-2の建設計画は、クラスノヤルスクにおける核 燃料サイクル完結総合センター建設の計画に引き継がれているが、運転開始時期も2025~2030 年頃まで延期の見込みである。なお、RT-2再処理工場は、ロシアが国外に建設する原子炉の使 用済み燃料の再処理も考慮しているという。 ゼレズノゴルスク(クラスノヤルスク近郊)の鉱業化学コンビナート(MCC)でMOX燃料の 加工施設の建設計画が進められており、2014年9月16日にMOX燃料を初めて製造したことが発 表された。製造されたMOX燃料は、ベロヤルスク4号機として稼働するBN-800高速炉で使用さ れることになる。なおMCC では、2016年までの完成を目指して再処理技術を実証するための 実験実証センター(PDC)が建設中である。PDCは、最初はVVER-1000型原子炉からの使用済 み燃料の再処理のための新技術開発と試験のために使用され、その後は高速炉からの使用済み燃 料の再処理に関する技術開発が行われる予定である。本格的な再処理プラントは、同じMCCの サイトに2025~2030年の間に稼働する予定である。 2016年8月9日に公表された8月1日付政府政令で、ウラン-プルトニウム窒化物燃料製造施設の 建設が承認された。2016年12月13日、TVEL社は鉛冷却高速炉用の燃料束の試験に成功したと
発表した。ベロヤルスク原子力発電所の高速炉(BN-600)で照射後、安定した状態を保持し、 鉛冷却炉であるBREST-OD-300への装荷という次の段階へ進むこととなった。 使用済み燃料のサイト内貯蔵、集中型の長期乾式貯蔵 VVER-1000の使用済み燃料は、ゼレズノゴルスク(Zheleznogorsk)にあるMCCの使用済み 燃料プール(1985年完成)に集中的に中間貯蔵されている*。同施設は2009~2010年にかけて 容量の拡張工事を実施し、8,400tの貯蔵容量を有している。なおVVER-1000の湿式貯蔵容量を1 万1,000tまで増やす計画があるという。 * ウクライナおよびブルガリアにおけるVVERの使用済み燃料をも受け入れている。 MCCでは、乾式貯蔵施設が2012年より第1段階として操業を開始した。第2段階では、湿式貯 蔵施設よりVVER-1000の使用済み燃料を映し、貯蔵容量を3万7,000t(RBMK:2万6,510t; VVER:1万1,275t)以上に増やすこととしている。 2016年8月25日、全ロ原子力発電所運転技術開発研究所(VNIIAES、ロスアトム社の子会社) は2016~2018年および2020年までの使用済み燃料管理プログラムを公表した 。原子力発電所 サイトにある使用済み燃料は、このプログラムを通じて、マヤクの施設で再処理、またはMCC の集中貯蔵施設へ輸送される。 放射性廃棄物管理 2008年6月11日、特別事業体ラドンを吸収し、放射性廃棄物管理を行う連邦国家単一企業放射 性廃棄物管理企業RosRAO社が設置された。RosRAO社は、ロシア国内に8つの管区を有し、研 究所・大学・工場・病院等のRI・放射線利用による放射性廃棄物の処理処分も行っている。 ロシア議会では2008 年から放射性廃棄物管理法案が審議され、ロシア下院は 2010 年 1 月 20 日、本会議の第一読会で放射性廃棄物管理に関する法案を採択した。同法案の詳細は発表されて いないが、次のような内容とみられている。 ・政府は、原子力平和利用における安全性を保証するため、放射性廃棄物管理システムを 構築し、放射性廃棄物の安全管理の責任を有する ・放射性廃棄物処分のための費用は、ロスアトム社が特別準備基金を設置すること ・国、放射性廃棄物発生者、放射性廃棄物管理組織の義務について ・国の規制機関及び処分事業者の特定について ・輸出・輸入された放射性廃棄物は、発生国へ返還されるべきであること 2011 年 7 月、ロスアトム社の放射性廃棄物管理計画をサポートすることを目的として、「放射 性廃棄物管理法」が制定された。これにより、ロシアでは、高レベル放射性固体廃棄物と長寿命 中レベル放射性固体廃棄物は地層処分し、低レベル放射性固体廃棄物と短寿命の中レベル放射性 固体廃棄物は浅地中処分することが定められた。 2012 年 3 月、「放射性廃棄物管理法」の定めに従い、ノオラオ(NO RAO)が設立された。 NO RAO は、連邦政府の天然資源省の管轄下に置かれた企業で、ロシアにおける放射性廃棄物 の管理と処分に責任を持つ会社である。支所は、ゼレノグルスク(クラスノヤルスク)、セベル スク(トムスク)、ディミトロフグラード(ウリャノフスク)およびノヴォウラルスク(スヴェ ルドロフスク)に置かれている。
2013 年 7 月、規制機関である連邦環境・技術・原子力監督庁(Rostechnadzor)は、NO RAO の各支所に対し、液体放射性廃棄物の最終処分実施のための許認可(5 年)を発給した。 NO RAO の計画と見積もりによれば、3,200 万 m3の放射性廃棄物を処分するために3,070 億 ルーブルが必要で、2035 年までの投資計画を作成している。処分費用の 8 割は放射性廃棄物の 所有者が提供し、残りの2 割は連邦政府が負担することとなっている。処分サイトに関しては、 シベリア、ウラル、ボルガ地域、北東地域など18 地域に約 30 の候補サイトを確認している。 低・中レベル放射性廃棄物の浅地中長期貯蔵施設 2015 年 9 月、ロスアトム社は、低・中レベル放射性廃棄物を長期貯蔵するための浅地中貯蔵 施設を建設するために27 億ルーブルを投資することを決定した。施設の建設サイトは、セベル スク(Seversk)市近郊のシベリア化学コンビナート(SCC)の敷地内であり、2017 年着工予 定とされたほか、2021 年竣工予定、2035 年までの操業が予定とされた(5 年延長して 2040 年 まで操業する可能性もある)。なお、27 億ルーブルは建設費であり、この他に施設の操業費とし て年間1 億ルーブル、施設の管理費として 2.9 億ルーブル(閉鎖後の環境管理費を含む)が必要 と見込まれている。 2016 年 8 月 9 日に公表されたロシア連邦政府政令(8 月 1 日付)が低・中レベル放射性廃棄 物の浅地中処分の建設サイトとして、ウラル電気化学統合プラント(4 万 8,000m3)、マヤク(10 万m3)、シベリア化学コンビナート(20 万 m3)を承認した。また、低・中レベル放射性廃棄物 の余裕深度処分の建設サイトとしてソスノヴイ・ボール(5 万 m3)を承認した。 2016 年 12 月 15 日、NO RAO は、ロシア初となる低・中レベル放射性固体廃棄物の浅地中 処分場(PPZRO)(スヴェルドロフスク州ノヴォウラリスク)の操業を開始したと発表した。 NO RAO によると、この処分場は鉄筋コンクリート構造で全長 140m、幅 24m、深さ 7m であ り、年間 300m3の放射性廃棄物を受け入れて 300 年間で 15,000m3まで貯蔵が可能である。 PPZRO では、原子力発電所の濃縮ウラン燃料を製造しているウラル電気化学コンビナート社か ら発生する放射性廃棄物を貯蔵する予定である。 高レベル放射性廃棄物(HLW) ロシアでは、使用済み燃料及び高レベル放射性廃棄物(HLW)は地層処分する方向で検討さ れている。ロシアのVNIPI プロムテクノロジー(VNIPIPT)は、1970~1980 年代にかけて放 射性廃棄物を隔離する地質の安定性を調査した。ロシアでは、花崗岩や粘土層などの岩盤の地域 を対象として、コラ半島・ノバヤゼムリア諸島・チェリヤビンスク・クラスノヤルスク・極東で 調査を行い、2008 年にクラスノヤルスク地方のニジネカンスキー(Nizhnekansky)花崗岩塊 と呼ばれる岩盤地帯が候補地として提案され、2012 年 7 月に住民公聴会が行われ、2013 年には 処分場計画サイトとしてエニセイスキー(Yeniseysky)市が決定された。 放射性廃棄物の管理と処分に責任を持つノオラオ(NO RAO)は、高レベル放射性廃棄物の 最終処分のための地下研究所を2016 年に着工し、2024 年までにエニセイスキー市に建設する ことを目指している。 2016 年 4 月 6 日、NO RAO は、エニセイスキーにおける放射性廃棄物の地層処分に関連して、
下層土資源を使用する許可を取得した。この許可は放射性廃棄物の貯蔵可能性を調査するための 地下研究所の建設開始を目的としたものである。 2016 年 8 月 9 日に公表されたロシア連邦政府政令(8 月 1 日付)が高レベル放射性廃棄物の 地層処分に関して、建設サイトとしてニジネカンスキー花崗岩塊(15 万 9,500m3)を承認した。 対外燃料サイクル ・国際ウラン濃縮センター 2006年1月25日、プーチン大統領は、「ロシアはIAEAの管理の下、ウラン濃縮を含む核燃料 サイクル・サービスを提供する国際センターを設置する用意がある」と述べ、同年9月には、ロ シア連邦原子力庁(当時)のキリエンコ総裁が、東シベリアのイルクーツク州アンガルスク市に あるアンガルスク電解化学コンビナート(AECC)に、国際ウラン濃縮センター(IUEC)を設 置すると発表した。 ロシア政府の説明によると、同センターの設置の目的は、原子力発電を新規導入する国が増え ているが、そうした国々が自国で濃縮技術を取得することは機微技術の拡散に繋がるため、国際 的核セキュリティの観点から、また政治的理由による核燃料の供給停止に備えるという“核燃料 供給保証”としての位置づけで設置するという。 2007年5月、ロシアとカザフスタンは、IUECの設置に関する政府間協定を締結し、9月には IUECが共同持ち株会社として登録された。その後、2009年8月にアルメニアがIUECへの参加 協定に署名し、さらに2009年11月にはウクライナもIUECへの参加協定に署名した。 IUECは、これらの国々の出資からなる株式会社であるが、ロシア側の株式は、国営核燃料輸 出企業のテネックス(TENEX:Tekhsnabeksport)社がロシア政府の委託を受けて管理運営し ている。同社は、現在、IUECの敷地内に設立されており、濃縮ウランを市場価格に沿って販売 する事業を行っている。 2009年11月27日、IAEA理事会は、IUECでの低濃縮ウラン備蓄について、それを供給するロ シアのイニシアチブに関する決議(GOV/2009/81)を採択した。内容は以下の通りである。 ① IAEA加盟国向けにLEU備蓄を構築するために、ロシアとの協定(GOV/2009/76添付文 書1)を締結・履行する権限を事務局長に与える。 ② こ の 備 蓄 か ら IAEA を 通 じ て 加 盟 国 が LEU 供 給 を 受 け る た め の モ デ ル 協 定 (GOV/2009/76添付文書2)を承認する。 ③ 加盟国から要求があった場合、事務局長がロシアとの協定に規定された資格基準を満た すと見なす場合には、理事会の承認を得ることなく、事務局長が加盟国とのLEU供給協 定を締結・履行することを認める。ただし、個々の協定の進捗状況が理事会に報告され ることを条件とする。 2010 年 3 月 29 日、IAEA 天野事務局長とロスアトム社のキリエンコ総裁(当時)が、IUEC での低濃縮ウラン備蓄創設に係る協定、「ロシア連邦国内での低濃縮ウラン(LEU)の備蓄の 構築とLEU の IAEA 加盟国向けの供給に関する協定」に署名した。この協定の内容は、「ロシ アのIUEC に UF6の形で120t の LEU(濃縮度は 2~4.95%)を備蓄し、IUEC が IAEA の保障
措置下に入り、備蓄LEU の生産、保管、維持、IAEA 保障措置の適用に関わる費用は全てロシ アが負担する」というものである。2012 年 5 月に、低濃縮ウランを備蓄する燃料バンクはカザ フスタンのウルバ冶金工場(Ulba Metallurgical Plant)に設置されることが報じられた。 ・その他、核燃料関連の動き 2011 年 6 月 6 日、アトムレッドメットゾラタ(ARMZ:AtomRedMetZoloto)は、インドの マントラ・リソーシズ(Mantra Resources)を買収することにより、マントラの主要プロジェ クトのタンザニア・ムクジュ・リバー(Mkuju River)ウラン鉱山を手に入れた。買収計画は 2010 年 12 月に発表されたが、福島事故によるマントラの経営危機のため中断されていた。ウ ラニウム・ワン(ARMZ が株式の 51%を保有)がムクジュの運営に当たり、ARMZ が信用枠を 保証する。2013 年 1 月 14 日、ARMZ はウラニウム・ワンを完全子会社化すると発表した。取 得額は、13 億 3,000 万カナダドルである。 2011 年 9 月 13 日、ウクライナ国営の原子燃料会社が、ロシアの原子燃料メーカーの OSJC TVEL と共同で原子燃料の生産を行う民間の合弁企業を立ち上げることをプレスリリースで発 表した。同年9 月 9 日に出資企業 5 社(ウクライナ国営の原子燃料会社、ウクライナ科学研究 設計協会、ロシア国営のロスアトム社、OSJC TVEL、国営の JSC 設計専門協会)が集まって 会合を行い、企業設立に合意した後、合意文書(プロトコル)に署名した。生産プラントはウク ライナのキロヴォフラード州に建設する予定である。2012 年 10 月 4 日、ロシア・ウクライナ 共同の核燃料製造施設の建設が、ウクライナのキロヴォフラード州のSmolino 村で開始された。 ルスアトム・オーバーシーズ社の声明によると、年に800 の TVSA 燃料集合体を製造する予定 であるという。当面はウクライナ国内への供給を行うが、将来的には第 3 国への輸出も考慮に 入れている。 2011 年 12 月 21 日、ロスアトム社のキリエンコ総裁(当時)と米国 DOE のポネマン副長官 (当時)との間で、2013 年から 2022 年までのウラン濃縮契約に効力を持たせるための政府間 協定に署名が行われた。本協定は、1999 年に署名され 2013 年に失効する現行の HEU 協定に 代わるものである。本協定の成立によって、2011 年 3 月 23 日にロシアの TENEX 社と米国の USEC 社の間で結ばれていた低濃縮ウラン供給契約が初めて発効された。 2011 年 12 月 23 日、ロスアトム社の子会社である TENEX 社が日本の 2 企業と、原子力発電 に使用する低濃縮ウラン供給に関する合意を締結したと発表した。 余剰兵器級プルトニウムの処分 ソ連崩壊直後、110tの兵器級プルトニウムが保有されていたとされ、その後もプルトニウム の生産は継続された。ロシアと米国は、2000年9月1日、「防衛目的にとって不要として指定さ れたプルトニウムの管理及び処分及び関連する協力に関する協定(2000年協定)(PMDA: Plutonium Management and Disposition Agreement)」を締結し、それぞれが34tの余剰兵器 級プルトニウムを処分することとした。2000年の時点で、ロシアは、軽水炉と高速炉で余剰プ ルトニウムを処分することを計画していたが、原子力発電戦略とは両立できず順調には進捗しな かった。プルトニウムの処分方法に関しては、米国側は“ガラス固化処分”と“MOX燃料”の
二本立てを、ロシア側はMOX燃料での燃焼方式のみを考えていたため、両国で相容れなかった が、2002年1月にブッシュ政権下で、MOX燃料燃焼方式で一本化することを米国側も受け入れ、 ロシアではMOX燃料に加工したプルトニウムを軽水炉(VVER-1000)で消費することとなった。 しかし、ロシアは更に軽水炉での燃焼にも難色を示して、高速増殖炉BN-600と建設中のBN-800 での燃焼を受け入れるよう米国側に求めた。 2007年11月19日、ロシア連邦原子力庁(現ロスアトム社)のキリエンコ長官(当時)と米国 DOEのボドマン長官(当時)は、余剰兵器級プルトニウムの処分方法に関する“互いの了解” と両国のコミットメントを再確認する共同声明を発表した。これによって両国は、軽水炉ではな く、高速炉BN-600及びBN-800においてロシアの余剰兵器級プルトニウムを燃焼させることで 合意し、2000年協定(PMDA)の改訂が必要となった。なお、ロシアのMOX燃料工場の建設費 は、2000年当時で18億ドルと見積もられていたが、その後、41億ドルに上昇したため援助の増 額を求めたが、米国はこの要請については2007年に拒否している。 2010年4月13日に、米国のクリントン国務長官(当時)とロシアのラブロフ外務大臣(当時) は、ワシントンにおいて2000年協定の改正議定書に署名した。議定書の主な改正内容は、次の 通りである。 ・ロシアの処分は、高速炉BN-600、BN-800 を使用する。 ・米国は4 億ドルを上限とする支援をロシアに対して行う。また、ロシアが第 3 国の支援 を得られるよう努力する。 ・両国の処分を確認するため、モニタリング調査を実施する。 ・双方、遅くとも2018 年までに処分を開始する。 ロシアは国内のプルトニウムの処分に25億ドルを拠出するとしており、米国は4億ドルの支援 を約束している。4億ドル以外の米国や他国からの追加の資金援助はロシア側の処分の履行の条 件とはなっていない。同議定書の発効に向けた手続きが行われており、ロシア政府は2000年協 定を改訂する議定書を承認し、下院に送付する決定をしたことを2011年2月25日に発表した。 2011 年 7 月 13 日、米国の国務省でのセレモニーで、2000 年協定(PMDA)が前進したと、 米国のH.クリントン国務長官(当時)とロシアの S.ラブロフ外相が公式に発表した。 2016年10月3日、プーチン大統領がPMDAの中断を発表した。 1.2 原子力関連予算の状況と動向 <予算措置の状況> 連邦目標計画の予算 2010 年に政府が承認した連邦目標計画(FTP)「2010~2015 年と 2020 年までの新世代原子 力技術」では、高速中性子炉の技術を確立することになっており、2016~2020 年にかけて高速 炉に600 億ルーブルが投じられることになっている。この予算が BREST(30 万 kW)、SVBR (10 万 kW)、ナトリウム冷却炉の研究に当てられる。このうち SVBR に対しては 132 億 3,000 万ルーブル(約443 億円)が配分されるとしている。 研究開発については、上記FTP の案の段階で、2009 年 7 月 22 日にメドベージェフ大統領(当
時)が、2010~2020 年の 11 年間で 1,283 億ルーブル(約 4,144 億円)を配分すると発表して いる。 連邦環境・技術・原子力監督庁の予算 2016 年 12 月 1 日付の連邦法に従い、連邦環境・技術・原子力監督庁は 2017 年度の予算額を 総額60 億 4,527 万ルーブルで承認されており、そのうち 98.5%は年度内に執行された。このう ち、「2016 年から 2020 年および 2030 年までの原子力および放射能への安全確保」という項目 は、100%執行されている。 2015 年 12 月 1 日付けの連邦法に従い、連邦環境・技術・原子力監督庁に対して約 8 億 8,601 万ルーブルの2016 年度ロシア連邦予算の歳入予想計画が提示された。実際の連邦予算への歳入 は約10 億 4,479 万ルーブルであり、予想計画に対し 117.9%であった。 その他 ・2020 年までの電源開発の予算見積もり 2012 年 7 月、ロシア連邦エネルギー省は、2020 年までに 8,300kWe の新電源を確保する ため、発電所の増強に4 兆 9,500 億ルーブル、送配電網の整備に 3 兆 2,800 億ルーブルの予 算を割り当て、総額 8 兆 2,300 億ルーブルの経費を見積もっていると発表した。原子力に関 しては、1,000 万 kWe を新設するために、1 兆 3,200 億ルーブルが割り当てられている。 ・2020 年までの連邦予算 連邦政府の経済の現代化と革新に関する特別会議(メドベージェフ首相が議長)で、ロシ アの原子力技術の戦略的、経済的重要性を再確認し、原子力への投資を増額し、主要な開発 計画を加速する方針が確認されたことを受け、2012 年 11 月 20 日、ロスアトム社のキリエン コ総裁(当時)は、2020 年には 2007 年に同社を設立した際に支出したよりも 10 倍多い資金 を研究開発に充てると述べた。 ロスアトム社は現在、600 億ルーブルにのぼる原子力計画の年間国家予算の一環として毎年 230 億ルーブルを研究開発に投資するとしている。2020 年には 420 億ルーブルに増額すると いう。 核融合関連では、ロシアのITER 機関の第 5 回年次総会(2012 年 5 月)で、ロスアトム社 の副局長(deputy director general)V.ペルシュコフ(Vyacheslav Pershukov)氏が、ロシ アのITER 向け年間拠出額が 2 億ユーロに達したと述べた。
連邦政府のウラン探鉱関連の予算は、2013 年 4 月 9 日に天然資源省から発表された「2013 ~2020 年における天然資源の再生と利用」計画で、ウラン探鉱のための予算として 139 億 5,000 万ルーブルが割り当てられている。
・安全性向上のための予算 ロシア政府は原子力及び放射線に関する安全性向上を目指し、連邦特別目的プログラム (FTsP)「2008 年及び 2015 年までの期間における核及び放射線安全保障の確保」を 2007 年 に制定した。同プログラムは、使用済核燃料及び放射性廃棄物の取扱い、核又は放射能によ る危険施設の操業停止、核及び放射線の安全を管理又は確保するために必要なシステムの確 立を目指し、2015 年までの期間を次の二段階に分けて各種の施策を実施していくとしている。 プログラムの総予算は、1,453 億ルーブル(約 3,778 億円)が予定されている。 ロスエネルゴアトム社は、2012 年 7 月、仮定の上での設計基準を超える事故数を減らすた めの対策計画に従い、同社が所有する原子力発電所に器機の追加を行った。総額26 億ルーブ ルをかけて、計66 の可動式ディーゼル発電機、35 の可動式ポンプ、80 の一体式ポンプが、 ロシアの全ての原子力発電所に設置された。本対策計画は、福島事故後の2011 年春にロシア 政府の指令に応じてロスエネルゴアトム社がタスクフォースを設置し、原子力発電所で起こ り得る可能性のある事故を分析した結果をまとめた報告書に基づき実施されたものである。 ・ロスエネルゴアトム社の予算 2016 年 1 月 14 日、エネルギー省は約 5,700 億ルーブル(70 億ドル)をロスエネルゴアト ム社に割り当てる2016~2018 年の投資プログラムを承認した。この投資プログラムは政令で 承認されたものであり、1 月 19 日にエネルギー省のウェブサイトで公開された。2016 年の総 投資額は約 1,840 億ルーブルで、以前の見積額(1,500 億ルーブル)よりも高かった。2017 年には2,020 億ルーブル、2018 年には 1,840 億ルーブルを投資する計画である。なお同社は、 2015 年については 1,460 億ルーブルを支出したと報告しており、これは当初の割当額(1,900 億ルーブル)よりも少なかった。 ・他国への融資 2014 年 5 月 15 日、ロシアの金融機関 2 社*とベラルーシ政府は、オストロベツ原子力発電 所の建設に関する前払金として、ベラルーシ政府に最大で 5 億ドルを融資する合意書に署名 を交わした。ベラルーシの M.ミャスニコーヴィチ首相(当時)は、「オストロベツ原子力発 電所の建設のためにすでに 1 億 6,600 万ドルを準備しているが、今回の借款はとても役に立 つだろう」と述べた。 * ロシア開発対外経済銀行(VEB:Vnesheconombank)及び Belvnesheconombank 2014 年 12 月 30 日、ロシア連邦の内閣はフィンランドのハンヒキビ原子力発電所プロジェ クト(1 号機の建設)について、同国のソブリン・ウェルス・ファンド(sovereign wealth fund)
*から最大で1,500 億ルーブル(23 億ドル)を融資することを承認した。1 月 16 日にウェブ 上で公表された政府資料(今回の承認に関する資料)によれば、ロシアは2015 年に 355 億ル ーブル(5 億 4,900 万ドル)、2016 年に 512 億ルーブル(7 億 9,200 万ドル)、2017 年には 413 億ルーブル(6 億 3,800 万ドル)を融資する予定である。 * ソブリン・ウェルス・ファンド:政府が出資する投資機関が運営するファンドのことであり、「政 府系ファンド」などとも呼ばれる。 2015 年 2 月、アルメニア原子力発電所の改修に関する融資についてアルメニアと合意した。 ロシアからの融資の総額は2 億 7,000 万ドルで、利率は 3%であると報道されている。
1.3 原子力発電所の建設・運転状況
(1)既設炉
2018 年 3 月現在、ロシアでは VVER-440/230(2 基)、VVER-440/213(2 基)、VVER-440/179 (1 基)、VVER-1000(多くが V-320 タイプ)(12 基)、VVER-1200(1 基)、RBMK(11 基)、 及び高速炉BN-600(1 基)、BN-800(1 基)の計 31 基が運転中である。2017 年 2 月 27 日に ノボボロネジⅡ1 号機が商業運転を開始した。
2017 年 6 月 27~29 日、世界原子力発電事業者協会のモスクワセンター(WANO MC)は、 レニングラード原子力発電所において、VVER-1200 を採用した原子力発電所の関係者等を対象 とした技術支援ミッション(technical support mission)を初めて実施した。このミッションで は、同発電所の専門家、およびロシア国外から同発電所を訪問した専門家の間で、原子炉機器と 燃料の扱いについて情報を共有したとのことである。また、同発電所を訪問したロシア国外から の専門家は、同発電所の中央管制室や新燃料貯蔵庫などの主要施設を見学したという。 原子炉の寿命延長 ロシアでは、開発当初は原子炉の設計寿命は30 年としていたが、2000 年に第 1 世代原子炉 の定格出力の増大と寿命延長計画を発表し、VVER-440 と RBMK は 15 年、VVER-1000 は 25 年の寿命延長とした。また、第2 世代 VVER-1000 についても、2009 年にノボボロネジ 5 号機 で初めて改造・定格出力増大・寿命延長を計画し、1 年をかけて原子炉制御設備の全面取り換え、 電気設備の80%の取り換えを行うこととした。その結果、安全設備、特に非常用炉心冷却設備、 給水設備、非常用電源設備も強化し、寿命は35 年まで延長されることになった。 2013 年 1 月には、RBMK 型であるスモレンスク 1 号機の 10 年間の稼働延長が承認された。 今回認められた期間は代替炉(VVER-1200 を 2 基、スモレンスクⅡ原子力発電所に建設する計 画がある)が運転を開始するまでの間の運転延長である。 2014 年 6 月 27 日にカリーニン 1 号機について 2025 年までの延長運転が承認され、10 月 8 日にはコラ4 号機について 2039 年までの延長運転が承認された。また 2015 年 12 月にはバラ コボ1 号機について 2045 年までの延長運転が承認され、2016 年 2 月にはコラ 3 号機について 2026 年までの延長運転が承認された。 またロスエネルゴアトム社は、VVER-1000 型については更に出力を増大させ、当初の定格出 力の107%、または 110%までとする計画を進めている。2015 年 5 月にロスエネルゴアトム社 は全ての VVER-1000 型について 104%への出力増強を完了し、バラコボ 4 号機を初めとして 107%への増強工事を開始したと発表した。 2017 年 10 月 18 日、連邦環境・技術・原子力監督庁(Rostechnadzor)は、バラコボ原子力 発電所2 号機について、今後 26 年間にわたって有効な新たな運転許可を発行した。これにより、 2043 年まで運転が可能となった*。 * 同発電所2 号機については、運転延長が可能な状態であるかについての試験が 2012 年に開始され、 また運転延長のための文書(運転延長許可の申請書)の作成が開始されるとともに、機器や設備 等を最新のものとするための大規模な改修作業が行われていた。
2017 年 11 月 27 日、Rostechnadzor は、カリーニン原子力発電所 2 号機について、今後 21 年間にわたって有効な新たな運転許可を発行した。これにより同発電所 2 号機は、2038 年 11 月30 日までの運転が可能となる。同発電所 2 号機では、運転延長のための安全改善プログラム に従い、機器や設備等を最新のものにする改修作業が行われていた。 (2)建設中・計画中の原子炉 建設中の原子炉 ロシア国内では、アカデミック・ロモノソフ1、2 号機(浮揚型原子力発電所。KLT-40S を 2 基搭載)、レニングラードⅡ1、2 号機(VVER-1200)、ノボボロネジⅡ2 号機(VVER-1200)、 ロストフ4 号機(VVER-1000)、バルチック 1 号機(VVER-1200)の計 7 基が建設中である。 ベロヤルスク4 号機は 2014 年 6 月 27 日に初臨界を達成、その後 2015 年 12 月に送電網に接続 されており、2017 年には商業運転を開始する予定であったが、2016 年中に商業運転を開始した。 建設中の原子炉の運転開始予定時期は、アカデミック・ロモノソフは2016 年に、レニングラ ードⅡ1、2 号機はそれぞれ 2016 年と 2018 年に、ノボボロネジⅡ2 号機は 2015 年に、ロスト フ4 号機は 2017 年に、バルチック 1 号機は 2017 年(計画が遅延しているため、これより遅く なる見通し)を見込んでいた。 しかし、2015 年 5 月に経済開発貿易省は、建設中の原子力発電所(計画中も含む)の運転開 始時期について延期することを承認した。電力供給過剰によりこれらの原子炉を稼動する必要性 はないことを延期の理由として挙げている。 運転開始時期が延期された原子炉 建設中の発電所名 型式 着工時期 延期後の運開時期 1 アカデミック・ロモノソフ(1、2 号機) KLT-40S 2007 年 2017 年~2018 年 2 ノボボロネジⅡ2 号機 VVER-1200 2009 年 2019 年 3 バルチック 1 号機 VVER-1200 2011 年 不明 4 レニングラードⅡ1 号機 VVER-1200 2008 年 2018 年 5 レニングラードⅡ2 号機 VVER-1200 2010 年 2020 年 6 ロストフ 4 号機* VVER-1000 2010 年 2018 年 * 2018 年 3 月現在、送電網への接続はされているが、商業運転は開始していない。 ・ロストフ原子力発電所4 号機 2017 年 9 月 1 日、ロストフ原子力発電所 4 号機において、世界原子力発電事業者協会(WANO) による操業前ピアレビュー(pre-startup peer review)が終了した。このピアレビューは、ロシ ア、ベラルーシ、ウクライナ、中国、韓国、フランス、スロバキア、およびカナダからの専門家 チームによって実施されたものであり、同発電所 4 号機に関する文書の閲覧やすでに稼動して いる同発電所 1~3 号機の運転員へのインタビュー、同発電所の訓練部署への訪問などにより、 運転開始に向けた同発電所 4 号機の準備状況についての評価が行われた。今回のピアレビュー を振り返ってWANO モスクワ・センター長の V.アクセノフ(Vasily Aksenov)氏は、同発電所 4 号機について、1~3 号機と同等に安全かつ信頼できるとの考えを明らかにしている。
2018 年 1 月 23 日、ロスアトム社は、連邦環境・技術・原子力監督庁(Rostechnadzor)が同 発電所4 号機の運転に必要な許可を発行したと発表した。ロスアトム社によると、同 4 号機は 現在試験を実施しており、その試験結果に基づいて送電網に接続する日程が決まるということで ある。