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浮力の影響を考慮した仮想バネを用いた液状化解析

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Academic year: 2022

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浮力の影響を考慮した仮想バネを用いた液状化解析

(独)土木研究所 正会員 ○脇中 康太 正会員 石原 雅規 正会員 佐々木哲也

1.はじめに

河川堤防の耐震性能照査においては,液状化層の剛性を低下させ自重による地震時残留変形を求める有限要 素法である安田らの方法1)(以下,ALID)が実務において用いられることが多い.河川堤防の耐震性能照査指針

2)に準拠して液状化強度比などの地盤物性を設定し,ALID により解析を行うと変形量が過大に算出される傾 向にあることが明らかとなっている3).過大に算出される変形量に対して,筆者らは液状化層のせん断剛性に 鉛直有効応力に応じて補正係数をかける方法を提案した4)

河川堤防はこれまでの被害事例で堤防高に対する沈下率が,75%を超える沈下量は確認されたことがない.

このため,ALIDによる沈下率が75%を超えた場合には,堤防の75%が沈下するものとして耐震性能を照査し ている.これは,主に堤防が液状化層に沈み込む際に生じる浮力の影響によるものと言われており,堤体の重 量と浮力との釣り合いから概ね説明されている5).しかし,微小変形理論に基づくALIDによる解析では,前 述した補正係数をかける方法を用いても,地盤条件によっては沈下率が75%を超える沈下量が算出される場合 がある.そこで,本研究では,浮力の影響を簡易に評価するために仮想バネを用いた数値解析を行った.

2.解析手法

解析手法は前述したALIDを用いた.解析は初期応力解析,液状化 による自重解析,過剰間隙水圧消散に伴う沈下解析の順に行い,液状 化による自重解析と過剰間隙水圧消散に伴う沈下解析の順に行い,液 状化による自重解析と過剰間隙水圧消散に伴う沈下解析による変位 を足し合わせて変形量を求めた.液状化による自重解析は応力解放法

1)により行った.この時,液状化時の応力-ひずみ関係は下に凸なバイ リニアモデルで表現され,微小抵抗領域のせん断剛性 G1は液状化強 度比RLと液状化安全率FLから図-1に示すチャートにより設定した.

このチャートは,安田・稲垣の式6)を元に作成された 7)ものである.

なお,図-1のチャートにより得られたG1に液状化層のせん断剛性に 補正係数をかける手法を取り入れて解析を行った.

解析時に浮力の影響を考慮するために,仮想バネを用いて解析を行 った.仮想バネは,図-2に示すように解析モデルの上部に鉛直水平両 方向固定節点を設け,固定節点と地下水面の間にspring要素を設置し

た.spring要素は鉛直方向にのみ式-1 に示すバネ係数を入力して解析

を行った.

鉛直方向バネ係数=γ×B(kN/m2) ・・・式-1

γ:液状化層の単位体積重量(kN/m2)

B:要素幅(m)

キーワード 河川堤防,液状化,数値解析

連絡先 〒305-8516 茨城県つくば市南原1番地6 (独)土木研究所 TEL029-879-6771

RL=0.15 RL=0.20 RL=0.25 RL=0.30 RL=0.35 RL=0.40 RL=0.45 RL=0.50

0.0001 0.001 0.01 0.1 1 10

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20

G1/σ’c

FL

図-1 液状化層の剛性低下チャート

図-2 仮想バネモデル図

鉛直水平固定節点 spring要素

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑53‑

Ⅲ‑027

(2)

3.解析条件

解析は図-3 に示すモデル断面を用いた.解析条件は堤防高を 4m,

液状化層厚を 6m,外力である水平震度は耐震照査時に使用される 0.4(タイプⅠ)とした.液状化強度比RLを0.15,0.25の2通りで解析を 行い,変形量に緩急をつけた.それぞれの条件において仮想バネの有 無の双方で解析を実施した.

4.解析結果

解析結果を図-4に示す.液状化強度比RL=0.15(バネ無し)の条件では,沈下率が大きく堤防の全てが液状化 層にめり込む結果となった.これに仮想バネを設置したところ,浮力の影響分を持ち上げることができ,沈下 率はおよそ半減している.また,法尻部の浮き上がりについては,逆に変形を抑え込む形となっている.液状

化強度比 RL=0.25(バネ無し)の条件では,沈下率が小さくめり込み量が少ないことがわかる.これに仮想バネ

を設置したところ,バネの効果は小さく結果にほとんど差異がないことがわかる.ただし,法尻部の浮き上が りについては,変形が抑え込まれている.

以上より,浮力の影響を考慮した仮想バネを設置することにより,過大に算出される解析結果を改善するこ とができた.また,法尻部の不自然な浮き上がりについても,変形が抑え込まれ,ほとんど隆起が生じなくな り,側方変位が非常に広い範囲で生じるようになった.基礎地盤の液状化による実被害においては法尻部に隆 起が見られる場合もあることから,逆に不自然な変形モードとなっている可能性も考えられる.仮想バネと変 形モードの関係については今後分析を行って行く予定である.

液状化強度比0.15 バネ無し 液状化強度比0.15 バネ有り

液状化強度比0.25 バネ無し 液状化強度比0.25 バネ有り

図-4 浮力の影響を考慮した仮想バネを用いた解析結果 5.まとめ

本研究では,堤防が液状化層にめり込む際に生じる浮力の影響を簡易的に仮想バネにより表現した.あくま で簡易的に表現した手法であるが,これにより,変形量が大きい場合の解析結果は大幅に改善された.また,

変形量が大きくなく浮力の影響が小さい断面においても適用可能であることを示した.

6.謝辞

本研究を進めるにあたり,東畑郁生教授に浮力の影響を考慮した仮想バネの設定方法に関する助言をいただ いた.ここに深く感謝の意を表する.

参考文献

1) 安田進ら他4名:液状化に伴う流動の簡易評価手法,土木学会論文集,1999.

2) 国土交通省・国土保全局治水課:河川構造物の耐震性能照査指針・解説,Ⅰ.共通編,2012.

3) 脇中康太ら他2名:東日本大震災における河川堤防の被害事例解析,土木学会年次学術講演会,2013.

4) 脇中康太ら他2名:造成年代等を考慮した河川堤防の液状化被害事例再現解析,地盤工学研究発表会,2014.

5) 地盤工学会:液状化対策工法,2014.

6) 安田進ら他4名:液状化を含む繰返し軟化時における種々の土の変形特性,地盤工学研究発表会,2005.

7) 豊田耕一・石原雅規:自重解析による河川堤防の地震被害事例の解析,土木学会年次学術講演会,2005.

沈下率:193%

沈下率:43% 沈下率:40%

沈下率:111%

図-3 解析モデル

19m

52m

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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Ⅲ‑027

参照

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